平家物語 巻第七  総かな版(元和九年本)
「ほくこくげかう」(『しみづのくわんじや』)S0701 P13¥じゆえい−にねん−さんぐわつ−じやうじゆん/に、¥きその−くわんじや−よしなか、¥ひやうゑ/の−すけ−よりとも、¥ふくわい/の¥こと¥あり/と¥きこえ/けり。¥さる−ほど/に¥かまくら/の−さきの−ひやうゑ/の−すけ−よりとも、¥きそ¥つゐたう/の¥ため/に/とて、¥その¥せい¥じふまん−よ−き/で、¥しなのの−くに/へ¥はつかう−す。¥きそ/は¥その−ころ¥よだ/の−じやう/に¥あり/ける/が、¥その¥せい¥さんぜん−よ−き/で、¥しろ/を¥いで/て、¥しなの/と¥ゑちご/の¥さかひ/なる¥くまさかやま/に¥ぢん/を¥とる。¥ひやうゑ/の−すけ/も¥おなじき−くに/の¥うち、¥ぜんくわうじ/に/こそ¥つき¥たまへ。¥きそ、¥めのとご/の¥いまゐの−しらう−かねひら/を¥ししや/にて、¥ひやうゑ/の−すけ/の¥もと/へ¥つかはす。「¥そもそも¥ご=へん/は¥とう−はつ−か−こく/を¥うち−したがへ/て、¥とうかいだう/より¥せめ−のぼり、¥へいけ/を¥おひ−おとさ/ん/と/は¥し¥たまふ/なり。¥よしなか/も¥とうせん¥ほくろく¥りやうだう/を¥うち−したがへ/て、¥ほくろくだう/より¥せめ−のぼり、¥いま¥いちにち/も¥さき/に¥へいけ/を¥ほろぼさ/ん/と¥する¥こと/で/こそ¥ある/に、¥いか/なる¥しさい¥あつ/て/か、¥ご=へん/と¥よしなか、¥なか/を¥たがう/て、¥へいけ/に¥わらは/れ/ん/と/は¥おもふ/べき。¥ただし¥をぢ/の¥じふらう−くらんど=どの/こそ、¥ご=へん/を¥うらみ¥たてまつる¥こと¥あり/とて、¥よしなか/がP14¥もと/へ¥おはし/つる/を、¥よしなか/さへ、¥すげなう¥あひ−しらひ¥もてなし¥まうさ/ん¥こと、¥いかん/ぞ/や¥さふらへ/ば、¥これ/まで/は¥うち−つれ¥まうし/たり。¥よしなか/に¥おいて/は¥まつたく¥いしゆ¥おもひ¥たてまつら/ず」/と¥のたまひ−つかはさ/れ/たり/けれ/ば、¥ひやうゑ/の−すけ/の¥へんじ/に、「¥いま/こそ¥さやう/に¥のたまへ/ども、¥まさしう¥よりとも¥うつ/べき¥よし/の¥むほん/の¥くはたて¥あり/と、¥つげ−しらする¥もの¥あり。¥ただし¥それ/に/は¥よる/べから/ず」/とて、¥とひ、¥かぢはら/を¥さき/と/して、¥すまんぎ/の¥ぐんびやう/を¥さし−むけ/らるる¥よし¥きこえ/しか/ば、¥きそ¥しんじつ¥いしゆ¥なき¥よし/を¥あらはさ/ん/が¥ため/に、¥ちやくし/に¥しみづの−くわんじや−よししげ/とて、¥しやうねん¥じふいつさい/に¥なり/ける¥こ−くわんじや/に、¥うみの、¥もちづき、¥すは、¥ふぢさは/など¥いふ、¥いち−にん−たうぜん/の¥つはもの/を¥あひ−そへ/て、¥ひやうゑ/の−すけ/の¥もと/へ¥つかはす。¥ひやうゑ/の−すけ、「¥この−うへ/は¥まことに¥いしゆ¥なかり/けり。¥よりとも¥いまだ¥せいじん/の¥こ/を¥もた/ず。¥よしよし、¥さら/ば¥こ/に¥し¥まうさ/ん」/とて、¥しみづの−くわんじや/を¥あひ−ぐし/て、¥かまくら/へ/こそ¥かへら/れ/けれ。¥
(『ほつこくげかう』)S0702¥さる−ほど/に¥きそ−よしなか/は、¥とうせん¥ほくろく¥りやうだう/を¥うち−したがへ/て、¥すでに¥みやこ/へ¥みだれ−いる¥よし¥きこえ/けり。¥へいけ/は¥こぞ/の¥ふゆ/の¥ころ/より、「¥みやうねん/は¥むま/の¥くさがひ/に¥つい/て、¥いくさ¥ある/べし」/と¥ひろう−せ/られ/たり/けれ/ば、¥せんをん¥せんやう、¥なんかい¥さいかい/の¥つはもの=ども、¥うんか/の/ごとく/に¥はせ−あつまる。¥とうせんだう/は¥あふみ、¥みの、¥ひだ/の¥つはもの/は¥まゐり/たれ/ども、¥とうかいだう/は¥とほたふみ/より¥ひんがし/の¥つはもの/は¥いち−にん/も¥まゐら/ず、¥にし/は¥みな¥まゐり/たり。¥ほくろくだう/は¥わかさ/より¥きた/の¥つはもの/は¥いち−にん/も¥まゐら/ず。¥へいけ/の¥ひとびと、¥まづ¥きそ−よしなか/を¥うつ/て¥のち、¥ひやうゑ/の−すけ−よりとも/を¥うつ/べき¥よし/の¥くぎやう−せんぎ¥あり/て、¥ほくこく/へ¥うつて/を¥さし−むけ/らる。¥たいしやうぐん/に/は、¥こまつの−さんみ/の−ちうじやう−これもりP15、¥ゑちぜんの−さんみ−みちもり、¥ふくしやうぐん/に/は、¥さつまの−かみ−ただのり、¥くわうごぐう/の−すけ−つねまさ、¥あはぢの−かみ−きよふさ、¥みかはの−かみ−とものり、¥さぶらひ−だいしやう/に/は、¥ゑつちうの−じらう−びやうゑ−もりつぎ、¥かづさの−たいふ/の−はうぐわん−ただつな、¥ひだの−たいふ/の−はうぐわん−かげたか、¥かはちの−はうぐわん−ひでくに、¥たかはしの−はうぐわん−ながつな、¥むさしの−さぶらう−ざゑもん−ありくに/を¥さき/と/して、¥いじやう¥たいしやうぐん¥ろくにん、¥しかる/べき¥さぶらひ¥さんびやくしじふ−よ−にん、¥つがふ¥その¥せい¥じふまん−よ−き、¥しんぐわつ−じふしちにち/の¥たつ/の−いつてん/に¥みやこ/を¥たつ/て、¥ほくこく/へ/こそ¥おもむか/れ/けれ。¥かたみち/を¥たまはつ/てげれ/ば、¥あふさか/の−せき/より¥はじめ/て、¥ろし/に¥もつ/て¥あふ¥けんもん−せいけ/の¥しやうぜい¥くわんもつ/を/も¥おそれ/ず、¥いちいち/に¥みな¥うばひ−とる。¥しが、¥からさき、¥みつかはじり、¥まの、¥たかしま、¥しほつ、¥かひづ/の¥みち/の¥ほとり/を、¥しだいに¥つゐふく−し/て¥とほり/けれ/ば、¥にんみん¥こらへ/ず/して、¥さんや/に¥みな¥でうさん−す。¥
「ちくぶしままうで」(『ちくぶしままふで』)S0703¥たいしやうぐん−これもり、¥みちもり/は¥すすみ¥たまへ/ども、¥ふくしやうぐん−ただのり、¥つねまさ、¥きよふさ、¥とものり/など/は、¥いまだ¥あふみの−くに¥しほつ、¥かひづ/に¥ひかへ¥たまへ/り。¥なか/に/も¥くわうごぐう/の−すけ−つねまさ/は、¥えうせう/の¥とき/より、¥しいか−くわんげん/の¥みち/に¥ちやうじ¥たまへ/る¥ひと/にて¥おはし/けれ/ば、¥かかる¥みだれ/の¥なか/に/も¥こころ/を¥すまし、¥ある¥あした、¥みづうみ/の¥はた/に¥うち−いで、¥はるか/の¥おき/なる¥しま/を¥み−わたい/て、¥とも/に¥さふらふP16¥とう−びやうゑ/の−じよう−ありのり/を¥めし/て、「¥あれ/は¥いか/なる¥しま/ぞ」/と¥とひ¥たまへ/ば、「¥あれ/こそ¥きこえ¥さふらふ¥ちくぶしま/にて¥さふらへ」/と¥まうし/けれ/ば、¥つねまさ、「¥さる−こと¥あり。¥いざや¥まゐら/ん」/とて、¥とう−びやうゑ/の−じよう−ありのり、¥あんゑもん/の−じよう−もりのり¥いげ、¥さぶらひ¥ろくにん¥めし−ぐし/て、¥こ−ぶね/に¥のり、¥ちくぶしま/へ/ぞ¥まゐら/れ/ける。¥ころ/は¥うづき−なか/の−やうか/の¥こと/なれ/ば、¥みどり/に¥みゆる¥こずゑ/に/は、¥はる/の¥なさけ/を¥のこす/か/と¥うたがは/れ、¥かんこく/の¥あうぜつ/の¥こゑ¥おい/て、¥はつね¥ゆかしき¥ほととぎす、¥をりしり−がほ/に¥つげ−わたり、¥まつ/に¥ふぢなみ¥さき−かかつ/て、¥まことに¥おもしろかり/けれ/ば、¥つねまさ¥いそぎ¥ふね/より¥おり、¥きし/に¥あがつ/て、¥この¥しま/の¥けしき/を¥み¥たまふ/に、¥こころ/も¥ことば/も¥およば/れ/ず。¥かの¥しんくわう、¥かんぶ、¥あるひは¥どうなん¥くわぢよ/を¥つかはし、¥あるひは¥はうし/を/して¥ふし/の−くすり/を¥もとめ/しむ。「¥ほうらい/を¥み/ず/は、¥いなや¥かへら/じ」/と¥いひ/て、¥いたづら/に¥ふね/の¥うち/にて¥おい、¥てんすゐ¥ばうばう/と/して、¥もとむる¥こと/を¥え/ざり/けん、¥ほうらいどう/の¥ありさま/も、¥これ/に/は¥すぎ/じ/と/ぞ¥みえ/し。¥ある¥きやう/の¥もん/に¥いはく、「¥えんぶだい/の¥うち/に¥みづうみ¥あり。¥その¥なか/に¥こんりんざい/より¥おひ−いで/たる¥すゐしやうりん/の¥やま¥あり。¥てんによ¥すむ¥ところ」/と¥いへ/り。¥すなはち¥この¥しま/の¥おん=こと/なり/とて、¥つねまさ、¥みやうじん/の¥おん=まへ/に¥つい−ゐ¥たまへ/り。「¥それ¥だいべんくどくてん/は、¥わうご/の¥によらい、¥ほつしん/の¥だいじ/なり。¥めうおん¥べんざい¥にてん/の¥な/は、¥かくべつ/なり/と/は¥まうせ/ども、¥ほんぢ¥いつたい/に/して、¥しゆじやう/を¥さいど−し¥たまへ/り。¥いちど¥さんけい/の¥ともがら/は、¥しよぐわん¥じやうじゆ¥ゑんまん−す/と¥うけたまはれ/ば、¥たのもしう/こそ¥さふらへ」/とて。¥しづか/に¥ほつせ¥まゐらせ/て¥ゐ¥たまへ/ば、¥やうやう¥ひ¥くれ、¥ゐまち/の−つき¥さし−いで/て、P17¥かいじやう/も¥てり−わたり、¥しやだん/も¥いよいよ¥かかやい/て、¥まことに¥おもしろかり/けれ/ば、¥じやうぢう/の¥そう、「¥これ/は¥きこゆる¥おん=こと/なり」/とて、¥おん=びは/を¥たてまつる。¥つねまさ¥これ/を¥とつ/て¥ひき¥たまふ/に、¥しやうげん、¥せきしやう/の¥ひきよく/に/は、¥みや/の¥うち/も¥すみ−わたり、¥まことに¥おもしろかり/けれ/ば、¥みやうじん/も¥かんおう/に¥たへ/ず/や¥おぼし/けん、¥つねまさ/の¥そで/の¥うへ/に¥びやくりう¥げんじ/て¥みえ¥たまへ/り。¥つねまさ¥あまり/の¥かたじけな−さ/に、¥しばらく¥おん=びは/を¥さし−おか/せ¥たまひ/て、¥かう/ぞ¥おもひ−つづけ/らる。¥
ちはやぶる¥かみ/に¥いのり/の¥かなへ/ばや¥しるく/も¥いろ/の¥あらはれ/に/けり W049¥
め/の¥まへ/にて¥てう/の¥をんでき/を¥たひらげ、¥きようと/を¥しりぞけ/ん¥こと¥うたがひ¥なし/と¥よろこん/で、¥また¥ふね/に¥のり、¥ちくぶしま/を/ぞ¥いで/られ/ける。¥あり−がたかり/し¥こと=ども/なり。¥
「ひうちかつせん」(『ひうちがつせん』)S0704¥さる−ほど/に¥きそ−よしなか/は、¥みづから/は¥しなの/に¥あり/ながら、¥ゑちぜんの−くに¥ひうち/が−じやう/を/ぞ¥かまへ/ける。¥かの¥じやうくわく/に¥こもる¥せい、¥へいせんじ/の−ちやうり−さいめい−ゐぎし、¥とがしの−にふだう−ぶつせい、¥いなづの−しんすけ、¥さいとうだ、¥はやしの−ろくらう−みつあきら、¥いしぐろ、¥みやざき、¥つちだ、¥たけべ、¥にふぜん、¥さみ/を¥はじめ/と/して、¥ろくせん−よ−き/こそ¥こもり/けれ。¥ところ¥もと/より¥くつきやう/の¥じやうくわく、¥ばんじやく¥そばだち¥めぐつ/て、¥しはう/に¥みね/を¥つらね/たり。¥やま/を¥うしろ/に¥し、¥やま/を¥まへ/に¥あつ。¥じやうくわく/の¥まへ/に/は、¥のうみがは、P18¥しんだうがは/とて¥ながれ/たり。¥かの¥ふたつ/の¥かは/の¥おちあひ/に、¥たいせき/を¥かさね−あげ、¥おほぎ/を¥きつ/て、¥さかもぎ/に¥ひき、¥しがらみ/を¥おびたたしう¥かき−あげ/たれ/ば、¥とうざい/の¥やま/の−ね/に、¥みづ¥せきこう/で、¥みづうみ/に¥むかへる/が/ごとし。¥かげ¥なんざん/を¥ひたし、¥あをく/して¥くわうやう/たり。¥なみ¥せいじつ/を¥しづめ/て、¥くれなゐ/に/して¥いんりん/たり。¥かの¥むねつち/の¥そこ/に/は、¥こんごん/の¥いさご/を¥しき、¥こんめいち/の¥なぎさ/に/は、¥とくせい/の¥ふね/を¥うかべ/たり。¥わが¥てう/の¥ひうち/が−じやう/の¥つきいけ/は、¥つつみ/を¥つき、¥みづ/を¥にごし/て、¥ひと/の¥こころ/を¥たぶらかす。¥ふね¥なく/して/は、¥たやすう¥わたす/べき¥やう¥なかり/けれ/ば、¥へいけ/の¥おほぜい、¥むかひ/の¥やま/に¥しゆくし/て、¥いたづら/に¥ひかず/を/ぞ¥おくり/ける。¥かの¥じやうくわく/に¥こもつ/たる¥へいせんじ/の−ちやうり−さいめい−ゐぎし、¥へいけ/に¥こころざし¥ふかかり/けれ/ば、¥やま/の−ね/を¥まはり、¥せうそく/を¥かき、¥ひきめ/に¥いれ、¥へいじ/の¥ぢん/へ/ぞ¥い−いれ/たる。¥つはもの=ども¥これ/を¥とつ/て、¥たいしやうぐん/の¥おん=まへ/に¥まゐり、¥ひらい/て¥みる/に、「¥この¥かは/と¥まうす/は、¥わうご/の¥ふち/に¥あら/ず。¥いつたん¥やまがは/を¥せき−とめ、¥みづ/を¥にごし/て¥ひと/の¥こころ/を¥たぶらかす。¥よ/に¥いつ/て¥あしがる=ども/を¥つかはし/て、¥しがらみ/を¥きり−おとさ/せ/られ/な/ば、¥みづ/は¥ほど−なく¥おつ/べし。¥いそぎ¥わたさ/せ¥たまへ。¥ここ/は¥むま/の¥あしだち¥よき¥ところ/にて¥さふらふ。¥うしろや/を/ば¥つかまつら/ん。¥かう¥まうす¥もの/は、¥へいせんじ/の−ちやうり−さいめい−ゐぎし/が¥まうしじやう」/と/ぞ¥かい/たり/ける。¥へいけ¥なのめ/なら/ず/に¥よろこび、¥よ/に¥いり、¥あしがる=ども/を¥つかはし/て、¥しがらみ/を¥きり−おとさ/せ/られ/たり/けれ/ば、¥まこと/の¥やまがは/で/は¥あり、¥みづ/は¥ほど−なく¥おち/に/けり。¥へいけ¥しばし/の¥ちち/に/も¥およば/ず、¥ざつと¥わたす。¥じやう/の¥うち/に/も¥ろくせん−よ−き、¥ふせぎ−たたかふ/と¥いへ/ども、¥たぜい/に¥ぶぜい、P19¥かなふ/べし/と/も¥みえ/ざり/けり。¥へいせんじ/の−ちやうり−さいめい−ゐぎし/は、¥へいけ/に¥つい/て¥ちう/を¥いたす。¥とがしの−にふだう−ぶつせい、¥いなづの−しんすけ、¥さいとうだ、¥はやしの−ろくらう−みつあきら、¥かなは/じ/と/や¥おもひ/けん、¥かがの−くに/へ¥ひき−しりぞき、¥しらやま¥かはち/に¥ぢん/を¥とる。¥へいけ¥やがて¥かがの−くに/に¥うち−こえ、¥とがし、¥はやし/が¥じやうくわく¥に−か−しよ¥やき−はらふ。¥なに¥おもて/を¥むかふ/べし/と/も¥みえ/ざり/けり。¥くにぐに¥しゆくじゆく/より¥ひきやく/を¥もつて、¥この¥よし¥みやこ/へ¥まうし/たり/けれ/ば、¥おほい=との/を¥はじめ¥たてまつり/て、¥いちもん/の¥ひとびと¥いさみ−よろこび−あは/れ/けり。¥おなじき−ごぐわつ−やうかのひ、¥へいけ/は¥かがの−くに¥しのはら/に¥つい/て、¥おほて¥からめで¥ふたて/に¥わかつ。¥おほて/の¥たいしやうぐん/に/は、¥こまつの−さんみ/の−ちうじやう−これもり、¥ゑちぜんの−さんみ−みちもり、¥さぶらひ−だいしやう/に/は¥ゑつちうの−じらう−びやうゑ−もりつぎ/を¥はじめ/と/して、¥つがふ¥その¥せい¥しちまん−よ−き、¥かが¥ゑつちう/の¥さかひ/なる¥となみやま/へ/ぞ¥むかは/れ/ける。¥からめで/の¥たいしやうぐん/に/は、¥さつまの−かみ−ただのり、¥くわうごぐう/の−すけ−つねまさ、¥あはぢの−かみ−きよふさ、¥みかはの−かみ−とものり、¥さぶらひ−だいしやう/に/は¥むさしの−さぶらう−ざゑもん−ありくに/を¥さき/と/して、¥つがふ¥その¥せい¥さんまん−よ−き、¥のと¥ゑつちう/の¥さかひ/なる¥しほ/の−やま/へ/ぞ¥むかは/れ/ける。¥きそ/は¥その−ころ¥ゑちご/の¥こふ/に¥あり/ける/が、¥これ/を¥きい/て、¥ごまん−よ−き/で¥こふ/を¥たつ/て、¥となみやま/へ¥はせ−むかふ。¥よしなか/が¥いくさ/の¥きちれい/なれ/ば/とて、¥ごまん−よ−き/を¥ななて/に¥わかつ。¥まづ¥をぢ/の¥じふらう−くらんど−ゆきいへ、¥いちまん−よ−き/で¥しほ/の−やま/へ/ぞ¥むかひ/ける。¥ひぐちの−じらう−かねみつ、¥おちあひの−ごらう−かねゆき、¥しちせん−よ−き/で、¥きたぐろさか/へ¥さし−つかはす。¥にしな、¥たかなし、¥やまだの−じらう、¥しちせん−よ−き、¥みなみぐろさか/へ¥つかはし/けり。¥いちまん−よ−き/は¥となみやま/の¥すそ、¥まつなが/の¥やなぎはら、¥ぐみのきんばやし/に¥ひき−かくす。¥いまゐの−しらう−かねひらP20、¥ろくせん−よ−き、¥わしのせ/を¥うち−わたり、¥ひのみやばやし/に¥ぢん/を¥とる。¥きそ¥わが−み¥いちまん−よ−き/で、¥をやべ/の¥わたり/を/して、¥となみやま/の¥きた/の¥はづれ、¥はにふ/に¥ぢん/を/ぞ¥とつ/たり/ける。¥
「きそのぐわんじよ」(『ぐわんじよ』)S0705¥きそ=どの¥のたまひ/ける/は、「¥へいけ/は¥おほぜい/で¥あん/なれ/ば、¥いくさ/は¥さだめて¥かけあひ/の¥いくさ/にて/ぞ¥あら/んず/らん。¥かけあひ/の¥いくさ/と¥いふ/は、¥せい/の¥たせう/に¥よる¥こと/なれ/ば、¥おほぜい¥かさ/に¥かけ/て¥とり−こめ/られ/て/は¥かなふ/べから/ず。¥まづ¥はかりごと/に¥しらはた¥さんじふながれ¥さきだて/て、¥くろさか/の¥うへ/に¥うつ−たて/たら/ば、¥へいけ¥これ/を¥み/て、¥あはや¥げんじ/の¥せんぢん/の¥むかう/たる/は。¥なんじふまんき/か¥ある/らん。¥とり−こめ/られ/て/は¥かなふ/まじ。¥この¥やま/は¥しはう¥がんぜき/なれ/ば、¥からめで¥よも¥まはら/じ。¥しばらく¥おり−ゐ/て¥むま¥やすめ/ん/とて、¥となみやま/に/ぞ¥おり−ゐ/んず/らん。¥その−とき¥よしなか¥しばらく¥あひ−しらふ¥てい/に¥もてなし/て、¥ひ/を¥まち−くらし¥よ/に¥いつ/て、¥へいけ/の¥おほぜい、¥うしろ/の¥くりから/が−たに/へ¥おひ−おとさ/ん」/とて、¥まづ¥しらはた¥さんじふながれ、¥くろさか/の¥うへ/に¥うつ−たて/たれ/ば、¥あん/の/ごとく¥へいけ¥これ/を¥み/て、「¥あはや¥げんじ/の¥おほぜい/の¥むかう/たる/は。¥とり−こめ/られ/て/は¥かなふ/まじ。¥ここ/は¥むま/の¥くさがひ、¥すゐびん¥とも/に¥よ=げ/なり。¥しばらく¥おり−ゐ/て¥むま¥やすめ/ん」/とて、¥となみやま/の¥やまなか、¥さるのばば/と¥いふ¥ところ/に/ぞ¥おり−ゐ/たる。¥きそ/はP21¥はにふ/に¥ぢん¥とつ/て、¥しはう/を¥きつと¥み−まはせ/ば、¥なつやま/の¥みね/の¥みどり/の¥こ/の−ま/より、¥あけ/の−たまがき¥ほの−みえ/て、¥かた−そぎ−づくり/の¥やしろ¥あり。¥まへ/に/は¥とりゐ/ぞ¥たつ/たり/ける。¥きそ=どの、¥くに/の¥あんないしや/を¥めし/て、「¥あれ/を/ば¥いづく/と¥まうす/ぞ。¥いか/なる¥かみ/を¥あがめ¥たてまつ/たる/ぞ」/と¥のたまへ/ば、「¥あれ/こそ¥はちまん/にて¥わたら/せ¥たまひ¥さふらへ。¥ところ/も¥やがて¥やはた/の¥ご=りやう/で¥さふらふ」/と¥まうす。¥きそ=どの¥なのめ/なら/ず/に¥よろこび、¥てかき/に¥ぐせ/られ/たり/ける、¥だいぶ−ばう−かくめい/を¥めし/て、「¥よしなか/こそ¥なにと−なう¥よする/と¥おもひ/たれ/ば、¥さいはひ/に¥いま¥やはた/の¥ご=はうぜん/に¥ちかづき¥たてまつ/て、¥かつせん/を¥すでに¥とげ/ん/と¥すれ。¥さら/ん/に¥とつ/て/は、¥かつうは¥こうたい/の¥ため、¥かつうは¥たうじ/の¥きたう/の¥ため/に、¥ぐわんじよ/を¥ひとふで¥かい/て¥まゐらせ/う/ど¥おもふ/は¥いか/に」/と¥のたまへ/ば、¥かくめい、「¥この¥ぎ¥もつとも¥しかる/べう¥さふらふ」/とて、¥むま/より¥おり/て¥かか/ん/と¥す。¥かくめい/が¥その−ひ/の¥ていたらく、¥かち/の−ひたたれ/に¥くろいと−をどし/の−よろひ¥き/て、¥こくしつ/の−たち/を¥はき、¥にじふし¥さい/たる¥くろぼろ/の−や¥おひ、¥ぬりごめどう/の−ゆみ¥わき/に¥はさみ、¥かぶと/を/ば¥ぬい/で¥たかひも/に¥かけ、¥えびら/の¥はうだて/より¥こすずり、¥たたうがみ¥とり−いだし、¥きそ=どの/の¥おん=まへ/に¥かしこまつ/て¥ぐわんじよ/を¥かく。¥あつぱれ¥ぶんぶ¥にだう/の¥たつしや/かな/と/ぞ¥みえ/たり/ける。¥この¥かくめい/と¥まうす/は、¥もと/は¥じゆけ/の¥もの/なり。¥くらんど−みちひろ/とて、¥くわんがくゐん/に/ぞ¥さふらひ/ける。¥しゆつけ/の¥のち/は、¥さいじよう−ばう−しんぎう/と/ぞ¥なのり/ける。¥つね/は¥なんと/へ/も¥かよひ/けり。¥ひととせ¥たかくらのみや、¥をんじやうじ/へ¥じゆぎよ/の¥とき、¥やま、¥なら/へ¥てふじやう/を¥つかはさ/れ/ける/に、¥なんと/の¥だいしゆ¥いかが¥おもひ/けん、¥その¥へんてふ/を/ば、¥この¥しんぎう/に/ぞ¥かか/せ/ける。「¥そもそも¥きよもり−にふだう/は、P22¥へいじ/の¥さうかう、¥ぶけ/の¥ぢんがい」/と/ぞ¥かい/たり/ける。¥にふだう¥おほき/に¥いかつ/て、「¥なんでふ¥その¥しんぎう−め/が、¥じやうかい/ほど/の¥もの/を、¥へいじ/の¥ぬか−かす、¥ぶけ/の¥ちり−あくた/と¥かく/べき¥やう/こそ¥きくわい/なれ。¥いそぎ¥その¥ほふし¥からめ−とつ/て、¥しざい/に¥おこなへ」/と¥のたまふ¥あひだ、¥これ/に¥よつ/て¥なんと/に/は¥こらへ/ず/して、¥ほくこく/へ¥おち−くだり、¥きそ=どの/の¥てかき−し/て、¥だいぶ−ばう−かくめい/と¥なのる。¥その¥ぐわんじよ/に¥いはく、「¥きみやう−ちやうらい、¥はちまん−だい−ぼさつ/は、¥じちゐき¥てうてい/の¥ほんじゆ、¥るゐせい¥めいくん/の¥なうそ/たり。¥はうそ/を¥まもら/ん/が¥ため、¥さうせい/を¥りせ/ん/が¥ため/に、¥さんじん/の¥きんよう/を¥あらはし、¥さん−じよ/の¥けんび/を¥おし−ひらき¥たまへ/り。¥ここに¥しきり/の−とし/より¥この−かた、¥へい−しやうこく/と¥いふ¥もの¥あつ/て、¥しかい/を¥くわんりやう−し、¥ばんみん/を¥なうらん−せ/しむ。¥これ¥すでに¥ぶつぽふ/の¥あた、¥わうぼふ/の¥かたき/なり。¥よしなか¥いやしくも¥きうば/の¥いへ/に¥むまれ/て、¥わづか/に¥ききう/の¥ちり/を¥つぐ。¥かの¥ばうあく/を¥あんずる/に、¥しりよ/を¥かへりみる/に¥あたは/ず。¥うん/を¥てんたう/に¥まかせ/て、¥み/を¥こくか/に¥なぐ。¥こころみ/に¥ぎへい/を¥おこし/て¥きようき/を¥しりぞけ/ん/と¥ほつす。¥しかる/に¥とうせん¥りやうか¥ぢん/を¥あはす/と¥いへ/ども、¥しそつ¥いまだ¥いつち/の¥いさみ/を¥え/ざる¥あひだ、¥まちまち/の¥こころ¥おそれ/たる¥ところ/に、¥いま¥いちぢん¥はた/を¥あぐ。¥せんぢやう/に/して¥たちまち/に¥さん−じよ−わくわう/の¥しやだん/を¥はいす。¥きかん/の¥じゆんじゆく¥あきらか/なり。¥きようと¥ちうりく¥うたがひ¥なし。¥くわんぎ¥なんだ¥こぼれ/て、¥かつがう¥きも/に¥そむ。¥なかんづく¥ぞうそぶ¥さきの−みちの−くにの−かみ−ぎかの−あそん、¥み/を¥そうべう/の¥しぞく/に¥きふ−し/て、¥な/を¥はちまん−たらう−よしいへ/と¥かうせ/し/より¥この−かた、¥その¥もんえふ/たる¥もの、¥ききやう−せ/ず/と¥いふ¥こと¥なし。¥よしなか¥その¥こういん/と/して、¥かうべ/を¥かたぶけ/て¥とし¥ひさし。¥いま¥このP23¥たいこう/を¥おこす¥こと、¥たとへば¥えいじ/の¥かひ/を¥もつて¥きよかい/を¥はかり、¥たうらう/が¥をの/を¥いからかい/て¥りうしや/に¥むかふ/が/ごとし。¥しかり/と¥いへ/ども¥くに/の¥ため、¥きみ/の¥ため/に/して¥これ/を¥おこす。¥まつたく¥み/の¥ため、¥いへ/の¥ため/に/して¥これ/を¥おこさ/ず。¥こころざし/の¥いたり、¥しんかん¥そら/に¥あり。¥たのもしき/かな、¥よろこばしき/かな。¥ふし/て¥ねがは−く/は、¥みやうけん¥ゐ/を¥くはへ、¥れいしん¥ちから/を¥あはせ/て、¥かつ¥こと/を¥いつし/に¥けつし、¥あた/を¥しはう/へ¥しりぞけ¥たまへ。¥しかれ/ば−すなはち¥たんき¥みやうりよ/に¥かなひ、¥げんかん¥かご/を¥なす/べく/ば、¥まづ¥ひとつ/の¥ずゐさう/を¥みせ/しめ¥たまへ。¥じゆえい−にねん−ごぐわつ−じふいちにち、¥みなもとの−よしなか¥うやまつ/て¥まうす」/と¥かい/て、¥わが−み/を¥はじめ/て、¥じふさんき/が¥うはや/の¥かぶら/を¥ぬき、¥ぐわんじよ/に¥とり−そへ/て、¥だい−ぼさつ/の¥ご=ほうでん/に/ぞ¥をさめ/ける。¥たのもしき/かな、¥はちまん−だい−ぼさつ、¥しんじつ/の¥こころざし¥ふたつ¥なき/を/や、¥はるか/に¥せうらん−し¥たまひ/けん、¥くも/の¥なか/より、¥やまばと¥みつ¥とび−きたつ/て、¥げんじ/の¥しらはた/の¥うへ/に¥へんぱん−す。¥むかし¥じんぐうくわうごう¥しんら/を¥せめ/させ¥たまひ/し¥とき、¥み=かた/の¥たたかひ¥よわく、¥いこく/の¥いくさ¥こはく/して、¥すでに¥かう/と¥みえ/し¥とき、¥くわうごう¥てん/に¥ご=きせい¥あり/しか/ば、¥くも/の¥うち/より¥れいきう¥みつ¥とび−きたつ/て、¥み=かた/の¥たて/の¥おもて/に¥あらはれ/て、¥いこく/の¥いくさ¥やぶれ/に/けり。¥また¥この¥ひとびと/の¥せんぞ¥らいぎの−あそん、¥あうしう/の¥えびす¥さだたふ¥むねたふ/を¥せめ¥たまひ/し¥とき、¥み=かた/の¥たたかひ¥よはく、¥きようぞく/の¥いくさ¥こはく/して、¥すでに¥かう/と¥みえ/しか/ば、¥らいぎの−あそん¥かたき/の¥ぢん/に¥むかつ/て、「¥これ/は¥まつたく¥わたくし/の¥ひ/に¥あら/ず。¥しんくわ/なり」/とて¥ひ/を¥はなつ。¥かぜ¥たちまち/に¥いぞく/の¥かた/へ¥ふき−おほひ、¥くりやかは/の−じやう¥やけ−おち/ぬ。¥その−とき¥いくさ¥やぶれ/て¥さだたふ¥むねたふ¥ほろび/に/けり。¥きそ=どの¥かやう/のP24¥せんじよう/を¥おもひ−いで/て、¥いそぎ¥むま/より¥おり、¥かぶと/を¥ぬぎ、¥てうづ−うがひ/を¥し/て、¥いま¥この¥れいきう/を¥はいし¥たまひ/ける、¥こころ/の¥うち/こそ¥たのもしけれ。¥
「くりからおとし」(『くりからをとし』)S0706¥さる−ほど/に¥げんぺい¥りやうばう¥ぢん/を¥あはす。¥ぢん/の¥あはひ、¥わづか¥さんちやう/ばかり/に¥よせ−あはせ/たり。¥げんじ/も¥すすま/ず、¥へいけ/も¥すすま/ず。¥やや¥あり/て¥げんじ/の¥かた/より、¥せいびやう/を¥すぐつ/て、¥じふごき、¥たて/の¥おもて/に¥すすま/せ、¥じふごき/が¥うはや/の¥かぶら/を、¥ただ¥いちど/に¥へいじ/の¥ぢん/へ/ぞ¥い−いれ/たる。¥へいけ/も¥じふごき/を¥いだい/て、¥じふご/の¥かぶら/を¥い−かへさ/す。¥げんじ¥さんじつき/を¥いだい/て、¥さんじふ/の¥かぶら/を¥い/さすれ/ば、¥へいけ/も¥さんじつき/を¥いだい/て、¥さんじふ/の¥かぶら/を¥い−かへさ/す。¥げんじ¥ごじつき/を¥いだせ/ば、¥へいけ/も¥ごじつき/を¥いだし、¥ひやくき/を¥いだせ/ば、¥ひやくき/を¥いだす。¥りやうばう¥ひやくき/づつ¥ぢん/の¥おもて/に¥すすま/せ、¥たがひ/に¥しようぶ/を¥せ/ん/と¥はやり/ける/を、¥げんじ/の¥かた/より¥せいし/て、¥わざと¥しようぶ/を/ば¥せ/させ/ず。¥かやう/に¥あひ−しらひ、¥ひ/を¥まち−くらし、¥よ/に¥いつ/て、¥へいけ/の¥おほぜい/を、¥うしろ/の¥くりから/が−たに/へ¥おひ−おとさ/ん/と¥たばかり/ける/を、¥へいけ¥これ/を/ば¥ゆめ/に/も¥しら/ず、¥とも/に¥あひ−しらひ、¥ひ/を¥まち−くらす/こそ¥はかなけれ。¥さる−ほど/に¥きた¥みなみ/より¥まはる¥からめで/の¥せい¥いちまん−よ−き、¥くりから/の−だう/の¥へん/に¥まはり−あひ、P25¥えびら/の¥はうだて¥うち−たたき、¥とき/を¥どつと/ぞ¥つくり/ける。¥おのおの¥うしろ/を¥かへりみ¥たまへ/ば、¥しらはた¥くも/の/ごとく/に¥さし−あげ/たり。「¥この¥やま/は¥しはう¥がんぜき/で¥ある/なれ/ば、¥からめで¥よも¥まはら/じ/と/こそ¥おもひ/つる/に、¥こ/は¥いか/に」/と/ぞ¥さわが/れ/ける。¥さる−ほど/に¥おほて/より¥きそ=どの¥いちまん−よ−き、¥とき/の−こゑ/を¥あはせ¥たまふ。¥となみやま/の¥すそ、¥まつなが/の¥やなぎはら、¥ぐみのきんばやし/に¥ひき−かくし/たり/ける¥いちまん−よ−き、¥ひのみやばやし/に¥ひかへ/たる¥いまゐの−しらう¥ろくせん−よ−き/も、¥おなじう¥とき/の−こゑ/を/ぞ¥あはせ/ける。¥ぜんご¥しまん−よ−き/が¥をめく¥こゑ/に、¥やま/も¥かは/も、¥ただ¥いちど/に¥くづるる/と/こそ¥きこえ/けれ。¥さる−ほど/に¥しだいに¥くらう/は¥なる、¥ぜんご/より¥かたき/は¥せめ−きたる、「¥きたなし/や、¥かへせ/や¥かへせ/や」/と¥いふ¥やから¥おほかり/けれ/ども、¥おほぜい/の¥かたぶき−たつ/たる/は、¥さう−なう¥とつ/て¥かへす¥こと/の¥かたけれ/ば、¥へいけ/の¥おほぜい¥うしろ/の¥くりから/が−たに/へ、¥われ¥さき/に/と/ぞ¥おち−ゆき/ける。¥さき/に¥おとし/たる¥もの/の¥みえ/ね/ば、「¥この¥たに/の¥そこ/に/も、¥みち/の¥ある/に/こそ」/とて、¥おや¥おとせ/ば¥こ/も¥おとし、¥あに/が¥おとせ/ば¥おとと/も¥おとし、¥しゆ¥おとせ/ば¥いへのこ−らうどう/も¥つづき/けり。¥むま/に/は¥ひと、¥ひと/に/は¥むま、¥おち−かさなり−おち−かさなり、¥さ/ばかり¥ふかき¥たに¥ひとつ/を、¥へいけ/の¥せい¥しちまん−よ−き/で/ぞ¥うめ/たり/ける。¥がんせん¥ち/を¥ながし、¥しがい¥をか/を¥なせ/り。¥され/ば¥この¥たに/の¥ほとり/に/は、¥や/の¥あな、¥かたな/の¥きず¥のこつ/て、¥いま/に¥あり/と/ぞ¥うけたまはる。¥へいけ/の¥かた/の¥さぶらひ−だいしやう、¥かづさの−たいふ/の−はうぐわん−ただつな、¥ひだの−たいふ/の−はうぐわん−かげたか、¥かはちの−はうぐわん−ひでくに/も、¥この¥たに/の¥そこ/に¥うづもれ/て/ぞ¥うせ/に/ける。¥また¥びつちうの−くに/の¥ぢうにん、¥せのをの−たらう−かねやす/は、¥きこゆる¥つはもの/にて¥あり/けれ/ども、¥うん/や¥つき/に/けん、¥かがの−くに/の¥ぢうにん、¥くらみつの−じらう−なりずみ/が¥て/にP26¥かかつ/て、¥いけどり/に/こそ¥せ/られ/けれ。¥また¥ゑちぜんの−くに¥ひうち/が−じやう/にて¥かへりちう−し/たり/ける¥へいせんじ/の−ちやうり−さいめい−ゐぎし/も、¥とらはれ/て¥いで−きたる。¥きそ=どの、「¥その¥ほふし/は¥あまり/に¥にくき/に、¥まづ¥きれ」/とて¥きら/せ/らる。¥たいしやうぐん−これもり¥みちもり、¥けう/に/して¥かがの−くに/へ¥ひき−しりぞく。¥しちまん−よ−き/が¥なか/より、¥わづか/に¥にせん−よ−き/こそ¥のがれ/たれ。¥おなじき−じふににち、¥おく/の−ひでひら/が¥もと/より、¥きそ=どの/へ¥りようてい¥にひき¥たてまつる。¥いつぴき/は¥しら−つきげ、¥いつぴき/は¥れんぜん−あしげ/なり。¥やがて¥この¥むま/に¥かがみくら¥おい/て、¥はくさん/の−やしろ/へ¥じんめ/に¥たて/らる。¥きそ=どの「¥いま/は¥おもふ¥こと¥なし」/とて¥おはし/ける/が、「¥ただし¥をぢ/の¥じふらう−くらんど=どの/の¥しほ/の¥たたかひ/こそ¥おぼつかなけれ。¥いざや¥ゆい/て¥み/ん」/とて、¥しまん−よ−き/が¥なか/より、¥むま/や¥ひと/を¥すぐつ/て、¥にまん−よ−き/で¥はせ−むかふ。¥ここ/に¥ひみ/の−みなと/を¥わたら/ん/と¥し¥たまひ/ける/が、¥をりふし¥しほ¥みち/て、¥ふか−さ¥あさ−さ/を¥しら/ざり/けれ/ば、¥きそ=どの¥まづ¥はかりごと/に、¥くらおきむま¥じつぴき/ばかり¥おひ−いれ/られ/たり/けれ/ば、¥くらづめ¥ひたる/ほど/にて、¥さうゐ−なく¥むかひ/の¥きし/に/ぞ¥つき/に/ける。¥きそ=どの¥これ/を¥み¥たまひ/て、「¥あさかり/ける/ぞ、¥わたせ/や」/とて、¥にまん−よ−き¥ざつと¥わたい/て¥み¥たまへ/ば、¥あん/の/ごとく¥じふらう−くらんど=どの/は、¥さんざん/に¥かけ−なさ/れ、¥ひき−しりぞき、¥じんば/の¥いき¥やすむる¥ところ/に、¥あらて/の¥げんじ¥にまん−よ−き、¥へいけ¥さんまん−よ−き/が¥なか/へ¥かけ−いり、¥もみ/に¥もう/で、¥ひ¥いづる/ほど/に/ぞ¥せめ/たり/ける。¥たいしやうぐん−みかはの−かみ−とものり¥うた/れ¥たまひ/ぬ。¥これ/は¥にふだう−しやうこく/の¥ばつし/なり。¥その−ほか¥つはもの¥おほく¥ほろび/に/けり。¥へいけ¥そこ/を/も¥おひ−おとさ/れ/て、¥かがの−くに/へ¥ひき−しりぞく。¥きそ=どの/は¥しほ/の−やま¥うち−こえ/て、P27¥のと/の¥こだなか、¥しんわう/の−つか/の¥まへ/に/ぞ¥ぢん/を¥とる。¥
「しのはらかつせん」(『しのはらがつせん』)S0707¥きそ=どの¥やがて¥そこ/にて¥しよしや/へ¥じんりやう/を¥よせ/らる。¥ただ/の−やはた/へ/は¥てふや/の−しやう、¥すがふ/の−やしろ/へ/は¥のみ/の−しやう、¥けひ/の−やしろ/へ/は¥はんばら/の−しやう、¥はくさん/の−やしろ/へ/は¥よこえ、¥みやまる¥に−か−しよ/の¥しやう/を¥きしん−す。¥へいせんじ/へ/は¥ふぢしま−しちがう/を/ぞ¥よせ/られ/ける。¥さんぬる¥ぢしよう−しねん−はちぐわつ¥いしばしやま/の−かつせん/の¥とき、¥ひやうゑ/の−すけ=どの¥い¥たてまつり/し¥ぶし=ども、¥みな¥にげ−のぼつ/て、¥へいけ/の¥み=かた/に/ぞ¥さふらひ/ける。¥むねと/の¥ひとびと/に/は、¥ながゐ/の−さいとう−べつたう−さねもり、¥うきすの−さぶらう−しげちか、¥またのの−ごらう−かげひさ、¥いとうの−くらう−すけうぢ、¥ましもの−しらう−しげなほ/なり。¥これ=ら/は¥みな¥いくさ/の¥あら/ん/ほど¥しばらく¥やすま/ん/とて、¥ひ−ごと/に¥より−あひ−より−あひ、¥じゆんしゆ/を¥し/て/ぞ¥なぐさみ/ける。¥まづ¥ながゐ/の−さいとう−べつたう/が¥もと/に¥より−あひ/たり/ける¥ひ、¥さねもり¥まうし/ける/は、「¥つらつら¥たうせい/の¥てい/を¥み¥さふらふ/に、¥げんじ/の¥かた/は¥いよいよ¥つよく、¥へいけ/の¥おん=かた/は¥まけいろ/に¥みえ/させ¥たまひ/て¥さふらふ。¥いざ¥おのおの¥きそ=どの/へ¥まゐら/う」/ど¥いひ/けれ/ば、¥みな、「¥さん¥なう」/と/ぞ¥どうじ/ける。¥つぎ/の−ひ、¥また¥うきすの−さぶらう/が¥もと/に¥より−あひ/たり/ける¥とき、¥さいとう−べつたう、「¥さて/も¥きのふ¥さねもり/が¥まうし/し¥こと/は¥いか/に、¥おのおの」/と¥いひ/けれ/ば、¥その¥なか/にP28¥またのの−ごらう−かげひさ、¥すすみ−いで/て¥まうし/ける/は、「¥さすが¥われ=ら/は、¥とうごく/で/は¥ひと/に¥しら/れ/て、¥な¥ある¥もの/で/こそ¥あれ。¥きち/に¥つい/て、¥あなた/へ¥まゐり¥こなた/へ¥まゐら/ん¥こと/は、¥み−ぐるしかる/べし。¥ひとびと/の¥おん=こころ=ども/を/ば¥しり¥まゐらせ/ぬ¥ざふらふ。¥かげひさ/に¥おいて/は、¥こんど¥へいけ/の¥おん=かた/で、¥うちじに−せ/ん/と¥おもひ−きつ/て¥さふらふ/ぞ」/と¥いひ/けれ/ば、¥さいとう−べつたう¥あざ−わらつ/て、「¥まこと/に/は¥おのおの/の¥おん=こころ=ども/を、¥かなびか/ん/とて/こそ¥まうし/たれ。¥さねもり/も¥こんど¥ほくこく/にて、¥うちじに−せ/ん/と¥おもひ−きつ/て¥さふらへ/ば、¥ふたたび¥いのち¥いき/て、¥みやこ/へ/は¥かへる/まじき¥よし、¥おほい=との/へ/も¥まうし−あげ、¥ひとびと/に/も¥その¥やう/を¥まうし−おき¥さふらふ」/と¥いひ/けれ/ば、¥みな¥また¥この¥ぎ/に/ぞ¥どうじ/ける。¥その¥やくそく/を¥たがへ/じ/と/や、¥たうざ/に¥あり/ける¥にじふ−よ−にん/の¥さぶらひ=ども/も、¥こんど¥ほくこく/にて¥いつしよ/に¥しに/に/ける/こそ¥むざん/なれ。¥へいけ/は¥かがの−くに¥しのはら/に¥ひき−しりぞい/て、¥じんば/の¥いき/を/ぞ¥やすめ/ける。¥おなじき−ごぐわつ−はつかのひ、¥きそ=どの¥ごまん−よ−き、¥しのはら/へ/ぞ¥むかは/れ/ける。¥きそ=どの/の¥かた/より、¥いまゐ/の−しらう−かねひら、¥まづ¥ごひやく−よ−き/にて¥はせ−むかふ。¥へいけ/の¥かた/に/は、¥はたけやまの−しやうじ−しげよし、¥をやまだの−べつたう−ありしげ、¥うつのみやの−さゑもん−ともつな、¥これ=ら/は¥おほばんやく/にて、¥をりふし¥ざいきやう−し/たり/ける/を、¥おほい=との、「¥なんぢ=ら/は¥ふるい¥もの/なり。¥いくさ/の¥やう/を/も¥おき/て/よ」/とて、¥こんど¥ほくこく/へ¥むけ/られ/たり。¥かれ=ら¥きやうだい¥さんびやく−よ−き/で¥うち−むかふ。¥はたけやま、¥いまゐ、¥はじめ/は¥ごき¥じつき/づつ¥いだし−あはせ/て、¥しようぶ/を¥せ/させ/ける/が、¥のち/に/は¥りやうばう¥みだれ−あう/て/ぞ¥たたかひ/ける。¥おなじき−にじふいちにち/の¥うま/の−こく、¥くさ/も¥ゆるが/ず¥てらす¥ひ/に、¥げんぺい/の¥つはもの=ども、¥われ¥おとら/じ/と¥たたかへ/ば、P29¥へんしん/より¥あせ¥いで/て、¥みづ/を¥ながす/に¥こと/なら/ず。¥いまゐ/が¥かた/に/も、¥つはもの¥おほく¥ほろび/に/けり。¥はたけやま、¥いえへのこ¥らうどう¥おほく¥うた/せ、¥ちから¥およば/で¥ひき−しりぞく。¥つぎ/に¥へいけ/の¥かた/より、¥たかはしの−はうぐわん−ながつな、¥ごひやく−よ−き/で¥はせ−むかふ。¥きそ=どの/の¥かた/より、¥ひぐちの−じらう−かねみつ、¥おちあひの−ごらう−かねゆき、¥さんびやく−よ−き/で¥うち−むかふ。¥げんぺい/の¥つはもの=ども、¥しばし¥ささへ/て¥ふせぎ−たたかふ。¥され/ども¥たかはし/が¥かた/の¥せい/は、¥くにぐに/の¥かりむしや/なり/けれ/ば、¥いつき/も¥おち−あは/ず、¥われ¥さき/に/と/ぞ¥おち−ゆき/ける。¥たかはし¥こころ/は¥たけう¥おもへ/ども、¥うしろ¥あばら/に¥なり/けれ/ば、¥ちから¥およば/ず¥ただ¥いつき、¥みなみ/を¥さし/て/ぞ¥おち−ゆき/ける。¥ここ/に¥ゑつちうの−くに/の¥ぢうにん、¥にふぜんの−こたらう−ゆきしげ、¥よい¥かたき/と¥め/を¥かけ、¥むち−あぶみ/を¥あはせ/て¥はせ−きたり、¥おし−ならべ/て¥むず/と¥くむ。¥たかはし、¥にふぜん/を¥つかう/で、¥くら/の¥まへわ/に¥おし−つけ、¥ちつと/も¥はたらか/さ/ず、「¥さて¥わ−ぎみ/は¥なにもの/ぞ。¥なのれ、¥きか/う」/ど¥いひ/けれ/ば、「¥ゑつちうの−くに/の¥ぢうにん、¥にふぜんの−こたらう−ゆきしげ、¥しやうねん¥じふはつさい」/と/ぞ¥なのつ/たる。¥たかはし¥なみだ/を¥はらはら/と¥ながい/て、「¥あな¥むざん、¥こぞ¥おくれ/たる¥ながつな/が¥こ/も¥あら/ば、¥ことし/は¥じふはつさい/ぞ/かし。¥わ−ぎみ¥ねぢ−きつ/て¥すつ/べけれ/ども、¥さら/ば¥たすけ/ん」/とて¥ゆるし/けり。¥たかはしの−はうぐわん/は¥み=かた/の¥せい¥また/ん/とて、¥むま/より¥おり/て¥いき¥つぎ−ゐ/たり。¥にふぜん/も¥やすみ−ゐ/たり/ける/が、¥あつぱれ¥よき¥かたき、¥われ/を/ば¥たすけ/たれ/ども、¥いか/に/も−し/て¥うた/ばや/と¥おもひ−ゐ/たる¥ところ/に、¥たかはし¥これ/を/ば¥ゆめ/に/も¥しら/ず、¥うち−とけ/て¥ものがたり/を/ぞ¥し−ゐ/たる。¥にふぜん/は¥きこゆる¥はやわざ/の¥をのこ/にて¥あり/けれ/ば、¥たかはし/が¥み/ぬ¥ひま/に、¥かたな/をP30¥ぬき、¥たち−あがり、¥たかはしの−はうぐわん/が¥うち−かぶと/を¥したたか/に¥さす。¥ささ/れ/て¥ひるむ¥ところ/に、¥にふぜん/が¥らうどう、¥おくれ−ばせ/に¥さんき¥はせ−きたつ/て¥おち−あひ/たり。¥たかはし¥こころ/は¥たけう¥おもへ/ども、¥かたき/は¥あまた¥あり、¥て/は¥おう/つ。¥うん/や¥つき/に/けん、¥そこ/にて¥つひに¥うた/れ/ぬ。¥つぎ/に¥へいけ/の¥かた/より、¥むさしの−さぶらう−ざゑもん−ありくに、¥さんびやく−よ−き/で¥をめい/て¥かく。¥きそ=どの/の¥かた/より、¥にしな、¥たかなし、¥やまだの−じらう、¥ごひやく−よ−き/で¥うち−むかふ。¥これ/も¥しばし¥ささへ/て¥ふせぎ−たたかふ。¥され/ども¥ありくに/は、¥あまり/に¥ふかいり−し/て¥たたかひ/ける/が、¥むま/を/も¥い/させ、¥かちだち/に¥なり、¥かぶと/を/も¥うち−おとさ/れ、¥おほ−わらは/に¥なつ/て、¥やだね¥みな¥つき/けれ/ば、¥うちもの¥ぬい/て¥たたかひ/ける/が、¥や¥ななつ¥やつ¥い−たて/られ、¥かたき/の¥かた¥にらまへ、¥たちじに/に/こそ¥しに/に/けれ。¥たいしやう¥かやう/に¥なる¥うへ/は、¥その¥せい¥みな¥おち/ぞ¥ゆく。¥
「さねもりさいご」(『さねもり』)S0708¥おち−ゆく¥せい/の¥なか/に、¥むさしの−くに/の¥ぢうにん、¥ながゐ/の−さいとう−べつたう−さねもり/は、¥ぞんずる¥むね¥あり/けれ/ば、¥あかぢ/の−にしき/の−ひたたれ/に、¥もよぎ−をどし/の−よろひ¥き/て、¥くはがた¥うつ/たる¥かぶと/の¥を/を¥しめ、¥こがね−づくり/の−たち/を¥はき、¥にじふし¥さい/たる¥きりふ/の−や¥おひ、¥しげどう/の−ゆみ¥もつ/て、¥れんぜん−あしげ/なるP31¥むま/に、¥きんぷくりん/の−くら/を¥おい/て¥のつ/たり/ける/が、¥み=かた/の¥せい/は¥おち−ゆけ/ども、¥ただ¥いつき¥かへし−あはせ−かへし−あはせ¥ふせぎ−たたかふ。¥きそ=どの/の¥かた/より、¥てづかの−たらう¥すすみ−いで/て、「¥あな¥やさし、¥いか/なる¥ひと/にて¥わたら/せ¥たまへ/ば、¥み=かた/の¥おん=せい/は、¥みな¥おち−ゆき¥さふらふ/に、¥ただ¥いつき¥のこら/せ¥たまひ/たる/こそ¥いう/に¥おぼえ¥さふらへ。¥なのら/せ¥たまへ」/と¥ことば/を¥かけ/けれ/ば、「¥まづ¥かう¥いふ¥わ=どの/は¥た/そ」。「¥しなのの−くに/の¥ぢうにん、¥てづかの−たらう−かなざしの−みつもり」/と/こそ¥なのつ/たれ。¥さいとう−べつたう、「¥さて/は¥たがひ/に¥よき¥かたき、¥ただし¥わ=どの/を¥さぐる/に/は¥あら/ず。¥ぞんずる¥むね/が¥あれ/ば、¥なのる¥こと/は¥ある/まじい/ぞ。¥よれ、¥くま/う、¥てづか」/とて、¥はせ−ならぶる¥ところ/に、¥てづか/が¥らうどう、¥しゆ/を¥うた/せ/じ/と¥なか/に¥へだたり、¥さいとう−べつたう/に¥おし−ならべ/て¥むず/と¥くむ。¥さいとう−べつたう、「¥あつぱれ¥おのれ/は、¥につぽん−いち/の¥かう/の−もの/と¥くん/で/うず/よ/な¥うれ」/とて、¥わが¥のつ/たり/ける¥くら/の¥まへわ/に¥おし−つけ/て、¥ちつと/も¥はたらか/さ/ず、¥くび¥かき−きつ/て¥すて/てげる。¥てづかの−たらう、¥らうどう/が¥うた/るる/を¥み/て、¥ゆんで/に¥まはり−あひ、¥よろひ/の¥くさずり¥ひき−あげ/て、¥ふた−かたな¥さし、¥よわる¥ところ/を¥くん/で¥ふす。¥さいとう−べつたう¥こころ/は¥たけう¥おもへ/ども、¥いくさ/に/は¥し−つかれ/ぬ、¥て/は¥おう/つ、¥その−うへ¥おいむしや/で/は¥あり、¥てづか/が¥した/に/ぞ¥なり/に/ける。¥てづかの−たらう、¥はせ−きたる¥らうどう/に¥くび¥とら/せ、¥きそ=どの/の¥おん=まへ/に¥まゐり¥かしこまつ/て、「¥みつもり/こそ¥きい/の¥くせもの/と¥くん/で、¥うつ/て¥まゐつ/て¥さふらへ。¥さぶらひ/か/と¥み¥さふらへ/ば、¥にしき/の−ひたたれ/を¥き/て¥さふらふ。¥また¥たいしやうぐん/か/と¥み¥さふらへ/ば、¥つづく¥せい/も¥さふらは/ず。¥なのれ¥なのれ/と¥せめ¥さふらひ/つれ/ども、¥つひに¥なのり¥さふらは/ず。P32¥こゑ/は¥ばんどう−ごゑ/にて¥さふらひ/つる」/と¥まうし/けれ/ば、¥きそ=どの、「¥あつぱれ¥これ/は、¥さいとう−べつたう/にて¥ある¥ござんなれ。¥それ/なら/ん/に/は、¥よしなか/が¥かうづけ/へ¥こえ/たり/し¥とき、¥をさなめ/に¥み/しか/ば、¥しらが/の¥かすを/なつ/し/ぞ/かし。¥いま/は¥はや¥しちじふ/に/も¥あまり、¥はくはつ/に/こそ¥なり/ぬ/らん/に、¥びんひげ/の¥くろい/こそ¥あやしけれ。¥ひぐちの−じらう−かねみつ/は、¥としごろ¥なれ−あそん/で、¥み−しり/たる/らん。¥ひぐち¥めせ」/とて、¥めさ/れ/けり。¥ひぐちの−じらう¥ただ¥ひとめ¥み/て、「¥あな¥むざん、¥さいとう−べつたう/にて¥さふらひ/けり」/とて、¥なみだ/を¥ながす。¥きそ=どの、「¥それ/なら/ん/に/は、¥はや¥しちじふ/に/も¥あまり、¥はくはつ/に/こそ¥なり/ぬ/らん/に、¥びんひげ/の¥くろい/は¥いか/に」/と¥のたまへ/ば、¥やや¥あつ/て¥ひぐちの−じらう、¥なみだ/を¥おさへ/て¥まうし/ける/は、「¥さ¥さふらへ/ば、¥その¥やう/を¥まうし−あげ/ん/と¥つかまつり¥さふらふ/が、¥あまり/に¥あはれ/に¥おぼえ¥さふらう/て、¥まづ¥ふかく/の¥なみだ/の¥こぼれ¥さふらひ/ける/ぞ/や。¥され/ば¥ゆみ−や−とり/は、¥いささか/の¥ところ/にて/も、¥おもひで/の¥ことば/を/ば、¥かねて¥つかひ−おく/べき¥こと/にて¥さふらひ/ける/ぞ/や。¥さいとう−べつたう、¥つね/は¥かねみつ/に¥あう/て、¥ものがたり−し¥さふらひ/し/は、『¥ろくじふ/に¥あまつ/て、¥いくさ/の¥ぢん/へ¥むかは/ん¥とき/は、¥びんひげ/を¥くろう¥そめ/て、¥わかやが/う/と¥おもふ/なり。¥その¥ゆゑ/は¥わか=どの=ばら/に¥あらそう/て、¥さき/を¥かけ/ん/も¥おとな=げ−なし。¥また¥おいむしや/とて、¥ひと/の¥あなどら/れ/ん/も¥くちをしかる/べし』/と¥まうし¥さふらひ/し/が、¥まことに¥そめ/て¥さふらひ/ける/ぞ/や。¥あらは/せ/て¥ごらん¥さふらへ」/と¥まうし/けれ/ば、¥きそ=どの¥さ/も¥ある/らん/とて、¥あらは/せ/て¥ごらんずれ/ば、¥はくはつ/に/こそ¥なり/に/けれ。¥また¥さいとう−べつたう、¥にしき/の−ひたたれ/を¥き/ける¥こと/も、¥さいご/の¥いとま¥まうし/に¥おほい=との/へ¥まゐつ/て、P33「¥かう¥まうせ/ば、¥さねもり/が¥み¥ひとつ/にて/は¥さふらは/ね/ども、¥せんねん¥ばんどう/へ¥まかり−くだり¥さふらひ/し¥とき、¥みづとり/の¥はおと/に¥おどろき、¥や¥ひとつ/を/だに¥い/ず/して、¥するが/の¥かんばら/より¥にげ−のぼつ/て¥さふらひ/し¥こと、¥おい/の¥のち/の¥ちじよく、¥ただ¥この¥こと/に¥さふらふ。¥こんど¥ほくこく/へ¥まかり−くだり¥さふらは/ば、¥さだめて¥うちじに¥つかまつり¥さふらふ/べし。¥さねもり¥もと/は¥ゑちぜんの−くに/の¥もの/にて¥さふらひ/し/が、¥きんねん¥ご=りやう/に¥つけ/られ/て、¥むさしの−くに¥ながゐ/にきよぢう¥つかまつり¥さふらひ/き。¥こと/の¥たとへ/の¥さふらふ/ぞ/かし。¥こきやう/へ/は¥にしき/を¥き/て¥かへる/と¥まうす¥こと/の¥さふらへ/ば、¥なに/か¥くるしう¥さふらふ/べき。¥にしき/の−ひたたれ/を¥ごめん¥さふらへ/かし」/と¥まうし/けれ/ば、¥おほい=との、「¥やさしう/も¥まうし/たり/ける/ものかな」/とて、¥にしき/の−ひたたれ/を¥ごめん¥あり/ける/と/ぞ¥きこえ/し。¥むかし/の¥しゆばいしん/は、¥にしき/の¥たもと/を¥くわいけいざん/に¥ひるがへし、¥いま/の¥さいとう−べつたう−さねもり/は、¥その¥な/を¥ほくこく/の¥ちまた/に¥あぐ/とかや。¥くち/も¥せ/ぬ¥むなしき¥な/のみ¥とどめ−おい/て、¥かばね/は¥こしぢ/の¥すゑ/の¥ちり/と¥なる/こそ¥あはれ/なれ。¥さんぬる¥しんぐわつ−じふしちにち、¥へいけ¥じふまん−よ−き/にて、¥みやこ/を¥いで/し¥ことがら/は、¥なに−おもて/を¥むかふ/べし/と/も¥みえ/ざり/し/に、¥いま¥ごぐわつ−げじゆん/に、¥みやこ/へ¥かへり−のぼる/に/は、¥その¥せい¥わづか/に¥にまん−よ−き、「¥ながれ/を¥つくし/て¥すなどる¥とき/は、¥おほく/の¥うを/を¥うる/と¥いへ/ども、¥めいねん/に¥うを¥なし。¥はやし/を¥やい/て¥かる¥とき/は、¥おほく/の¥けだもの/を¥うる/と¥いへ/ども、¥めいねん/に¥けだもの¥なし。¥のち/を¥ぞんじ/て、¥せうせう/は¥のこさ/る/べかり/ける/ものを」/と、¥まうす¥ひとびと/も¥あり/ける/とかや。P34
「げんばう」(『げんばう』)S0709¥かづさの−かみ−ただきよ、¥ひだの−かみ−かげいへ/は、¥をととし¥にふだう−しやうこく¥こうぜ/られ/し¥とき、¥ににん¥とも/に¥しゆつけ−し/て¥あり/ける/が、¥こんど¥ほくこく/にて、¥こども¥みな¥うた/れ/ぬ/と¥きい/て、¥その¥おもひ/の¥つもり/に/や、¥つひに¥なげき−じに/に/ぞ¥しに/に/ける。¥これ/を¥はじめ/て、¥おや/は¥こ/に¥おくれ、¥め/は¥をつと/に¥わかれ/て、¥なげき−かなしむ¥こと¥かぎり−なし。¥およそ¥きやう−ぢう/に/は、¥いへいへ/に¥もんこ/を¥とぢ/て、¥あさゆふ¥かね¥うち−ならし、¥こゑごゑ/に¥ねんぶつ¥まうし、¥をめき−さけぶ¥こと¥おびたたし。¥また¥ゑんごく¥きんごく/も¥かく/の/ごとし。¥ろくぐわつ−ひとひのひ、¥さいしゆ¥じんぎ/の−ごん/の−たいふ−おほなかとみの−ちかとし/を、¥てんじやう/の¥しもぐち/へ¥めさ/れ/て、¥こんど¥ひやうがく¥しづまら/ば、¥いせ−だい−じんぐう/へ¥ぎやうがう¥ある/べき¥よし¥おほせ−くださ/る。¥だい−じんぐう/は¥むかし¥たかまのはら/より¥あま−くだら/せ¥たまひ/て、¥すゐにん−てんわう/の¥ぎよ=う、¥にじふごねん−さんぐわつ/に、¥やまとの−くに¥かさぬひ/の−さと/より、¥いせの−くに¥わたらひ/の−こほり¥いすず/の¥かはかみ、¥したついはね/に¥おほみやばしら/を¥ふとしき−たて/て、¥あがめ−そめ¥たてまつ/し/より¥この−かた、¥につぽん¥ろくじふ−よ−しう、¥さんぜんしちひやくごじふ−よ−しや/の、¥だいせう/の¥じんぎ−みやうだう/の¥なか/に/は¥ぶさう/なり。¥され/ども¥よよ/の¥みかど、¥つひに¥りんかう/は¥なかり/し/に、¥ならの−みかど/の¥おん=とき、¥さだいじん−ふひとう/の¥まご、¥さんぎ−しきぶきやう−うがふ/の¥こ、¥うこんゑ/の−せうしやう−けん−だざい/の−せうに、P35¥ふぢはらの−ひろつぎ/と¥いふ¥ひと¥あり/けり。¥てんぴやう−じふごねん−じふぐわつ/に、¥ひぜんの−くに¥まつら/の−こほり/に/して、¥すまん/の¥ぐんびやう/を¥そつし/て、¥こくか/を¥すでに¥あやぶめ/ん/と¥す。¥その−とき¥おほのの−あづまうど/を¥たいしやうぐん/と/して、¥ひろつぎ¥つゐたう−せ/られ/し¥とき、¥みかど¥おん=いのり/の¥ため/に、¥いせ−だい−じんぐう/へ¥はじめて¥ぎやうがう¥あり/し、¥その¥れい/と/ぞ¥きこえ/し。¥かの¥ひろつぎ/は¥ひぜん/の¥まつら/より、¥みやこ/へ¥いちにち/に¥おり−のぼる¥むま/を/ぞ¥もつ/たり/ける。¥され/ば¥つゐたう−せ/られ/し¥とき、¥み=かた/の¥つはもの=ども、¥おち−うせ¥うた/れ/しか/ば、¥くだん/の¥むま/に¥うち−のり、¥ただ¥いつき¥かいちう/へ¥はせ−いり/ける/と/ぞ¥きこえ/し。¥その¥ばうれい¥あれ/て、¥つね/は¥おそろしき¥こと=ども¥おほかり/けり。¥てんぴやう−じふはちねん−ろくぐわつ−じふはちにち、¥ちくぜんの−くに¥みかさ/の−こほり、¥だざいふ/の¥くわんぜおんじ¥くやう−ぜ/られ/し¥だうし/に/は、¥げんばう−そうじやう/と/ぞ¥きこえ/し。¥かうざ/に¥のぼり¥かね¥うち−ならす¥とき、¥にはか/に¥そら¥かき−くもり、¥いかづち¥おびたたしう¥なつ/て、¥かの¥そうじやう/の¥うへ/に¥おち−かかり、¥その¥かうべ/を¥とつ/て、¥くも/の¥なか/へ/ぞ¥いり/に/ける。¥これ/は¥ひろつぎ¥てうぶく−せ/られ/し、¥その¥ゆゑ/と/ぞ¥きこえ/し。¥この¥そうじやう/は、¥きびの−だいじん¥につたう/の¥とき、¥あひ−ともなつ/て¥わたり、¥ほつさうしう¥わたし/たり/し¥ひと/なり。¥たうじん/が¥げんばう/と¥いふ¥な/を¥わらつ/て、「¥げんばう/と/は¥かへつ/て¥ほろぶ/と¥いふ¥こゑ¥あり。¥いかさま/に/も¥この¥ひと¥きてう/の¥のち、¥なん/に¥あふ/べき¥ひと/なり」/と¥さうし/たり/ける/とかや。¥おなじき−じふくねん−ろくぐわつ−じふはちにち、¥しやれかうべ/に¥げんばう/と¥いふ¥めい/を¥かい/て、¥こうぶくじ/の¥には/に¥おとし、¥ひと/なら/ば¥にさんびやくにん/ばかり/が¥こゑ−し/て、¥こくう/に¥どつと¥わらふ¥おと−し/けり。¥こうぶくじ/は¥ほつさうしう/の¥てら/たる/に¥よつ/て/なり。¥その¥でし=ども¥これ/を¥とつ/て¥つか/に¥つき、¥その¥うち/に¥をさめ/て、¥づはか/とP36¥なづけ/て¥いま/に¥あり。¥これ/に¥よつ/て¥ひろつぎ/が¥ばうれい/を¥あがめ/られ/て、¥ひぜんの−くに¥まつら/の¥いま/の¥かがみのみや/と¥かうす。¥さがの−くわうてい/の¥おん=とき、¥へいぜいの−せんてい、¥ないしのかみ/の¥すすめ/に¥よつ/て、¥すでに¥よ/を¥みだら/ん/と¥せ/させ¥たまひ/し¥とき、¥みかど¥おん=いのり/の¥ため/に、¥だいさん/の¥くわうぢよ¥いうち−ないしんわう/を¥かもの−さいゐん/に¥たて¥まゐら/させ¥たまふ。¥これ/ぞ¥さいゐん/の¥はじめ/なる。¥しゆしやくゐん/の¥おん=とき/も、¥すみとも¥つゐたう/の¥れい/とて、¥やはた/にて¥りんじ/の¥み=かぐら¥あり。¥こんど/も¥その¥れい/たる/べし/とて、¥さまざま/の¥おん=いのり=ども¥あり/けり。¥
「きそさんもんてふじやう」(『きそさんもんてうじやう』)S0710¥さる−ほど/に¥きそ−よしなか/は¥ゑちぜん/の¥こふ/に¥つい/て、¥いへのこ−らうどう¥めし−あつめ/て¥ひやうぢやう−す。「¥そもそも¥よしなか、¥あふみの−くに/を¥へ/て/こそ、¥みやこ/へ/は¥のぼる/べき/に、¥れい/の¥さんぞう=ども/の、¥ふせぐ¥こと/も/や¥あら/んず/らん。¥かけ−やぶつ/て¥とほら/ん¥こと/は¥やすけれ/ども、¥たうじ/は¥へいけ/こそ、¥ぶつぽふ/と/も¥いは/ず、¥てら/を¥ほろぼし¥そう/を¥うしなひ、¥あくぎやう/を/ば¥いたす/なれ。¥それ/を¥しゆご/の¥ため/に¥しやうらく−せ/んずる¥よしなか/が、¥へいけ/と¥ひとつ/なれ/ば/とて、¥さんもん/の¥しゆと/に¥むかつ/て¥かつせん−せ/ん¥こと、¥すこし/も¥たがは/ぬ¥に/の−まひ/なる/べし。¥これ/こそ¥さすが¥やすだいじ/よ。¥いかが−せ/ん」/と¥のたまへ/ば、¥てかき/に¥ぐせ/られ/たり/ける¥だいぶ−ばう−かくめい、¥すすみ−いで/て¥まうし/ける/はP37、「¥さんもん/の¥だいしゆ/は¥さんぜんにん¥さふらふ/なる/が、¥かならず¥いちみ−どうしん/なる¥こと/は¥さふらは/ず。¥あるひは¥へいけ/に¥どうしん−せ/ん/と¥まうす¥しゆと/も¥さふらふ/らん。¥あるひは¥げんじ/に¥つか/ん/と¥まうす¥だいしゆ/も¥さふらふ/らん。¥せんずる−ところ、¥てふじやう/を¥つかはし/て¥ごらん¥さふらへ。¥へんてふ/に/こそ、¥その¥やう/は¥みえ¥さふらは/んず/らめ」/と¥まうし/けれ/ば、¥きそ=どの、「¥この¥ぎ¥もつとも¥しかる/べし。¥さら/ば¥かけ」/とて、¥かくめい/に¥てふじやう/を¥かか/せ/て、¥さんもん/へ¥おくら/る。¥その¥じやう/に¥いはく、「¥よしなか¥つらつら¥へいけ/の¥あくぎやく/を¥みる/に、¥ほうげん¥へいぢ/より¥この−かた、¥ながく¥じんしん/の¥れい/を¥うしなふ。¥しかり/と¥いへ/ども、¥きせん¥て/を¥つかね、¥しそ¥あし/を¥いただく。¥ほしいまま/に¥ていゐ/を¥しんだい−し、¥あくまで¥こくぐん/を¥りよりやう−す。¥だうり¥ひり/を¥ろんぜ/ず、¥けんもん−せいけ/を¥つゐふく−し、¥うざい¥むざい/を¥いは/ず、¥けいしやう¥ししん/を¥そんまう−す。¥その¥しざい/を¥うばひ−とつ/て、¥ことごとく¥らうじう/に¥あたへ、¥かの¥しやうゑん/を¥もつしゆ−し/て、¥みだりがはしく¥しそん/に¥はぶく。¥なかんづく¥さんぬる¥ぢしよう−さんねん−じふいちぐわつ、¥ほふわう/を¥せいなん/の−りきう/に¥うつし¥たてまつり、¥はくりく/を¥かいせい/の¥ぜつゐき/に¥ながし¥たてまつる。¥しゆそ¥もの¥いは/ず、¥だうろ¥め/を¥もつて¥す。¥しか/のみ/なら/ず¥おなじき−しねん−ごぐわつ、¥に/の−みや/の¥しゆがく/を¥かこみ¥たてまつり、¥きうちよう/の¥こうぢん/を¥おどろか/さ/しむ。¥ここに¥ていし¥ひぶん/の¥がい/を¥のがれ/ん/が¥ため/に、¥ひそか/に¥をんじやうじ/へ¥じゆぎよ/の¥とき、¥よしなか¥せんにち/に¥りやうじ/を¥たまはる/に¥よつ/て、¥むち/を¥あげ/ん/と¥ほつする¥ところ/に、¥をんでき¥ちまた/に¥みち/て、¥よさん¥みち/を¥うしなふ。¥きんけい/の¥げんじ¥なほ¥さんこう−せ/ず。¥いはんや¥ゑんけい/に¥おい/て/を/や。¥しかる/に¥をんじやう/は¥ぶんげん¥なき/に¥よつ/て、¥なんと/へ¥おもむか/しめ¥たまふ¥あひだ、¥うぢばし/に/して¥かつせん−す。¥たいしやう−さんみ−にふだう−よりまさ−ふし、¥いのち/を¥かろんじ¥ぎ/を¥おもんじ/て、¥いつせん/のP38¥こう/を¥はげます/と¥いへ/ども、¥たぜい/の¥せめ/を¥まぬかれ/ず。¥けいがい/を¥こがん/の¥こけ/に¥さらし、¥せいめい/を¥ちやうか/の¥なみ/に¥ながす。¥りやうじ/の¥おもむき¥きも/に¥めいじ、¥どうるゐ/の¥かなしみ¥たましひ/を¥けす。¥これ/に¥よつ/て¥とうごく¥ほくこく/の¥げんじ=ら、¥おのおの¥さんらく/を¥くはだて/て、¥へいけ/を¥ほろぼさ/ん/と¥ほつす。¥よしなか¥いんじ¥とし/の¥あき、¥しゆくい/を¥たつせ/ん/が¥ため/に、¥はた/を¥あげ/けん/を¥とつ/て、¥しんしう/を¥いで/し¥ひ、¥ゑちごの−くに/の¥ぢうにん、¥じやうの−しらう−ながもち、¥すまん/の¥ぐんびやう/を¥そつし/て¥はつかう−せ/しむる¥あひだ、¥たう−ごく¥よこたがはら/に/して¥かつせん−す。¥よしなか¥わづか/に¥さんぜん−よ−き/を¥もつて、¥かの¥すまん/の¥つはもの/を¥やぶり−をはん/ぬ。¥ふうぶん¥ひろき/に¥およん/で、¥へいじ/の¥たいしやう¥じふまん/の¥ぐんし/を¥そつし/て、¥ほくろく/に¥はつかう−す。¥ゑつしう、¥かしう、¥となみ、¥くろさか、¥しほさか、¥しのはら¥いげ/の¥じやうくわく/に/して、¥すかど¥かつせん−す。¥はかりごと/を¥ゐあく/の¥うち/に¥めぐらし/て、¥かつ¥こと/を¥しせき/の¥もと/に¥え/たり。¥しかる/に¥うて/ば¥かならず¥ふし、¥せむれ/ば¥かならず¥くだる。¥あき/の¥かぜ/の¥ばせを/を¥やぶる/に¥こと/なら/ず。¥ふゆ/の¥しも/の¥くんいう/を¥からす/に¥あひ−おなじ。¥これ¥ひとへに¥しんめい−ぶつだ/の¥たすけ/なり。¥さらに¥よしなか/が¥ぶりやく/に¥あら/ず。¥へいじ¥はいぼく/の¥うへ/は、¥さんらく/を¥くはだつる/なり。¥いま¥えいがく/の¥ふもと/を¥すぎ/て、¥らくやう/の¥ちまた/に¥いる/べし。¥この¥とき/に¥あたつ/て、¥ひそか/に¥ぎたい¥あり。¥そもそも¥てんだい/の−しゆと/は、¥へいじ/に¥どうしん/か、¥げんじ/に¥よりき/か。¥もし¥かの¥あくと/を¥たすけ/らる/べく/は、¥しゆと/に¥むかつ/て¥かつせん−す/べし。¥もし¥かつせん/を¥いたさ/ば、¥えいがく/の¥めつばう¥くびす/を¥めぐらす/べから/ず。¥かなしい/かな、¥へいじ¥しんきん/を¥なやまし、¥ぶつぽふ/を¥ほろぼす¥あひだ、¥あくぎやく/を¥しづめ/ん/が¥ため/に、¥ぎへい/を¥おこす¥ところ/に、¥たちまち/に¥さんぜん/の¥しゆと/に¥むかつ/て、¥ふりよ/の¥かつせん/を¥いたさ/ん¥こと/を。¥いたましき/かな、¥いわう−さんわう/にP39¥はばかり¥たてまつ/て、¥かうてい/に¥ちりう−せ/しめ/ば、¥てうてい¥くわんたい/の¥しん/と/して、¥ながく¥ぶりやく¥かきん/の¥そしり/を¥のこさ/ん¥こと/を。¥しんだい/に¥まどつ/て、¥かねて¥あんない/を¥けいする¥ところ/なり。¥こひねがは−く/は¥てんだい/の¥しゆと、¥かみ/の¥ため¥ほとけ/の¥ため¥くに/の¥ため¥きみ/の¥ため/に、¥げんじ/に¥どうしん−し/て、¥きようと/を¥ちうし、¥こうくわ/に¥よくせ/ん。¥こんたん/の¥いたり/に¥たへ/ず。¥よしなか¥きようくわう¥つつしん/で¥まうす。¥じゆえい−にねん−ろくぐわつ−とをかのひ、¥みなもとの−よしなか¥しんじやう。¥ゑくわう−ばう/の−りつし/の−おん=ばう/へ」/と/ぞ¥かか/れ/たる。¥
「さんもんへんてふ」(『へんでう』)S0711¥さんもん/の¥だいしゆ¥この¥じやう/を¥ひけん−し/て、¥あん/の/ごとく¥あるひは¥へいけ/に¥どうしん−せ/ん/と¥いふ¥しゆと/も¥あり、¥あるひは¥げんじ/に¥つか/ん/と¥いふ¥だいしゆ/も¥あり、¥おもひおもひ¥こころこころ、¥いぎ¥まちまち/なり。¥らうそう=ども/の¥せんぎ−し/ける/は、¥われ=ら¥もつぱら¥きんりんせいしゆ¥てんちやう−ちきう/と¥いのり¥たてまつる。¥なか/に/も¥へいけ/は¥たうだい/の¥ご=ぐわいせき、¥さんもん/に¥おいて¥こと/に¥ききやう/を¥いたす。¥しかり/と¥いへ/ども¥あくぎやう¥ほふ/に¥すぎ/て、¥ばんにん¥これ/を¥そむき、¥くにぐに/へ¥うつて/を¥つかはす/と¥いへ/ども、¥かへつ/て¥いぞく/の¥ため/に¥ほろぼさ/る。¥げんじ/は¥きんねん/より¥この−かた、¥どど/の¥いくさ/に¥うち−かつ/て、¥うんめい¥すでに¥ひらけ/ん/と¥す。¥なんぞ¥たうざん¥ひとり¥しゆくうん¥つき/ぬる¥へいけ/に¥どうしん−し/て、¥うんめい¥ひらくる¥げんじ/を¥そむか/ん/や。¥すべからく¥へいじ¥ちぐ/の¥ぎ/を¥ひるがへし/て、¥げんじ¥がふりよく/の¥むね/に¥ぢうす/べき¥よし、¥さんぜん¥いちどう/にP40¥せんぎ−し/て、¥へんてふ/を/こそ¥おくり/けれ。¥きそ=どの、¥また¥いへのこ−らうどう¥めし−あつめ/て、¥かくめい/に¥この¥へんてふ/を¥ひらか/せ/らる。「¥ろくぐわつ−とをかのひ/の¥てふじやう、¥おなじき−じふろくにち¥たうらい、¥ひえつ/の¥ところ/に、¥すうじつ/の¥うつねん¥いつし/に¥げさん−す。¥およそ¥へいけ/の¥あくぎやく¥るゐねん/に¥およん/で、¥てうてい/の¥さうどう¥やむ¥こと¥なし。¥こと¥じんこう/に¥あり、¥ゐしつ−する/に¥あたは/ず。¥それ¥えいがく/に¥いたつ/て/は、¥ていと¥とうぼく/の¥じんし/と/して、¥こくか¥せいひつ/の¥せいき/を¥いたす。¥しかり/と¥いへ/ども、¥いつてん¥ひさしく¥かの¥えうげき/に¥をかさ/れ/て、¥しかい¥とこしなへ/に¥その¥あんせん/を¥え/ず。¥けんみつ/の¥ほふりん¥なき/が/ごとし。¥おうご/の¥しんゐ¥しばしば¥すたる。¥ここに¥きか¥たまたま¥るゐだい¥ぶび/の¥いへ/に¥むまれ/て、¥さいはひ/に¥たうじ¥せいせん/の¥じん/たり。¥あらかじめ¥きぼう/を¥めぐらし/て¥ぎへい/を¥おこし、¥たちまち/に¥ばんし/の¥めい/を¥わすれ/て、¥いつせん/の¥こう/を¥たつ。¥その¥らう¥いまだ¥りやうねん/を¥すぎ/ざる/に、¥その¥な¥すで/に¥しかい/に¥ながる。¥わが−やま/の¥しゆと、¥かつがつ¥もつて¥しようえつ−す。¥こくか/の¥ため、¥るゐか/の¥ため、¥ぶこう/を¥かんじ¥ぶりやく/を¥かんず。¥かく/の/ごとく/なら/ば、¥さんじやう/の¥せいき¥むなしから/ざる¥こと/を¥よろこび、¥かいだい/の¥ゑご¥おこたり¥なき¥こと/を¥しん/ぬ。¥じじたじ、¥じやうぢう/の¥ぶつぽふ、¥ほんしや¥まつしや¥さいてん/の¥しんめい、¥ふたたび¥けうぼふ/の¥さかえ/ん¥こと/を¥よろこび、¥すきやう/の¥ふるき/に¥ふくせ/ん¥こと/を¥ずゐき−し¥たまふ/らん。¥しゆと=ら/が¥しんぢう¥ただ¥けんさつ/を¥たれよ。¥しかれ/ば−すなはち¥みやう/に/は¥じふに−じんじやう、¥かたじけなく¥いわう−ぜんぜい/の¥ししや/と/して、¥きようと¥つゐたう/の¥ようし/に¥あひ−くははり、¥けん/に/は¥また¥さんぜん/の¥しゆと、¥しばらく¥しゆがく¥さんぎやう/の¥きんせつ/を¥やめ/て、¥あくりよ¥ぢばつ/の¥くわんぐん/を¥たすけ/しめ/ん。¥しくわん−じふじよう/の¥ぽんぷう/は、¥かんりよ/を¥わてう/の¥ほか/に¥はらひ、¥ゆが−さんみつ/のP41¥ほふう/は、¥しぞく/を¥げうねん/の¥むかし/に¥かへさ/ん。¥しゆと/の¥せんぎ¥かく/の/ごとし。¥つらつら¥これ/を¥さつせよ。¥じゆえい−にねん−しちぐわつ−ふつかのひ、¥だいしゆ=ら」/と/ぞ¥かい/たり/ける。¥
「へいけさんもんへのれんじよ」(『へいけさんもんへのれんじよ』)S0712¥へいけ¥これ/を/ば¥ゆめ/に/も¥しり¥たまは/ず、「¥こうぶく¥をんじやう¥りやうじ/は、¥うつぷん/を¥ふくめる¥をりふし/なれ/ば、¥かたらふ/とも¥よも¥なびか/じ。¥たうけ/は¥さんもん/に¥おいて、¥いまだ¥あた/を¥むすば/ず。¥さんもん¥また¥たうけ/の¥ため/に¥ふちう/を¥ぞんぜず。¥せんずる−ところ、¥さんわう−だいし/に¥きせい¥まうし/て、¥さんぜん/の¥しゆと/を¥かたらは/ばや」/とて、¥いちもん/の¥くぎやう¥じふにん、¥どうしん¥れんじよ/の¥ぐわんじよ/を¥かい/て、¥さんもん/へ¥おくら/る。¥その¥ぐわんじよ/に¥いはく、「¥うやまつ/て¥まうす。¥えんりやくじ/を¥もつて¥うぢてら/に¥じゆんじ、¥ひよし/の−やしろ/を¥もつて¥うぢやしろ/と/して、¥いつかう¥てんだい/の¥ぶつぽふ/を¥あふぐ/べき¥こと。¥みぎ¥たうけ¥いちぞく/の¥ともがら、¥こと/に¥きせい−する¥こと¥あり。¥しいしゆ¥いかん/と¥なれ/ば、¥えいざん/は¥これ¥くわんむ−てんわう/の¥ぎよ=う、¥でんげう−だいし¥につたう¥きてう/の¥のち、¥ゑんどん/の¥けうぼふ/を¥この¥ところ/に¥ひろめ、¥しやな/の¥だいかい/を¥その¥うち/に¥つたへ/て/より¥この−かた、¥もつぱら¥ぶつぽふ¥はんじやう/の¥れいくつ/と/して、¥ひさしく¥ちんごこくか/の¥だうぢやう/に¥そなふ。¥まさに¥いま¥いづの−くに/の−るにん、−みなもとの−よりとも、¥み/の¥とが/を¥くい/ず、¥かへつ/て¥てうけん/を¥あざける。¥しか/のみ/なら/ず¥かんぼう/にP42¥くみし/て¥どうしん/を¥いたす¥げんじ=ら、¥よしなか¥ゆきいへ¥いげ、¥たう/を¥むすん/で¥かず¥あり。¥りんけい¥ゑんけい¥すこく/を¥しやうりやう−し、¥とぎ¥とこう¥ばんもつ/を¥あふりやう−す。¥これ/に¥よつ/て¥あるひは¥るゐだい¥くんこう/の¥あと/を¥おひ、¥あるひは¥たうじ¥きうば/の¥げい/に¥まかせ/て、¥すみやか/に¥ぞくと/を¥ちうし、¥きようたう/を¥がうぶく−す/べき¥よし、¥いやしくも¥ちよくめい/を¥ふくん/で、¥しきり/に¥せいばつ/を¥くはだつ。¥ここ/に¥ぎよりん¥かくよく/の¥ぢん、¥くわんぐん¥り/を¥え/ず、¥せいばう¥てんげき/の¥ゐ、¥ぎやくるゐ¥かつ/に¥のる/に¥に/たり。¥もし¥しんめい−ぶつだ/の¥かび/に¥あら/ず/は、¥いかで/か¥はんぎやく/の¥きようらん/を¥しづめ/ん。¥いか/に−いはんや、¥しん=ら/が¥なうそ、¥おもへ/ば¥かたじけなく、¥ほんぐわん/の¥よえい/と¥いつ/つ/べし。¥いよいよ¥そうちよう−す/べし。¥いよいよ¥くぎやう−す/べし。¥じごん¥いご¥さんもん/に¥よろこび¥あら/ば、¥いちもん/の¥よろこび/と¥し、¥しやけ/に¥いきどほり¥あら/ば、¥いつけ/の¥いきどほり/と/して、¥おのおの¥しそん/に¥つたへ/て¥ながく¥しつだ−せ/じ。¥とうじ/は¥かすが/の−やしろ¥こうぶくじ/を¥もつて、¥うぢやしろ¥うぢてら/と/して、¥ひさしく¥ほつさう−だいじよう/の−しう/に¥きす。¥へいじ/は¥ひよし/の−やしろ¥えんりやくじ/を¥もつて¥うぢやしろ¥うぢてら/と/して、¥まのあたり¥ゑんじつ−とんご/の−けう/に¥ちぐ−せ/ん。¥かれ/は¥むかし/の¥ゆゐせき/なり。¥いへ/の¥ため¥えいかう/を¥おもふ。¥これ/は¥いま/の¥せいき/なり。¥きみ/の¥ため¥つゐばつ/を¥こふ。¥あふぎ−ねがは−く/は、¥さんわう−しちしや、¥わうじ−けんぞく、¥ごほふ−しやうじゆ、¥とうざい−まんざん、¥じふに−じようぐわん、¥いわう−ぜんぜい、¥につくわう−ぐわつくわう、¥むに/の¥たんぜい/を¥てらし/て、¥ゆゐいつ/の¥けんおう/を¥たれ¥たまへ。¥しかれ/ば−すなはち¥じやぼうぎやくしん/の¥ぞく、¥おのおの¥て/を¥くんもん/に¥つかね、¥ほんぎやく¥ざんがい/の¥ともがら、¥かうべ/を¥けいと/に¥つたへ/ん。¥よつて¥いちもん/の¥くぎやう=ら、¥いく−どうおん/に¥らい/を¥なし/て、¥きせい¥くだん/の/ごとし。¥じゆ−ざんみ−ぎやう−けん−ゑちぜんの−かみ−たひらの−あそん−みちもり、¥じゆ−ざんみ−ぎやう−けん−うこんゑ/の−ちうじやう−たひらの−あそん−すけもり、¥じやう−ざんみ−ぎやう−うこんゑ/の−ちうじやう−けん−いよの−かみ−たひらの−あそん−これもり、P43¥じやう−ざんみ−ぎやう−さこんゑ/の−ごん/の−ちうぢやう−けん−はりまの−かみ−たひらの−あそん−しげひら、¥じやう−ざんみ−ぎやう−ゑもん/の−かみ−けん−あふみ−とほたふみの−かみ−たひらの−あそん−きよむね、¥さんぎ−じやう−ざんみ−くわうだいこうぐう/の−ごん/の−だいぶ−けん−しゆり/の−だいぶ−かが−ゑつちうの−かみ−たひらの−あそん−つねもり、¥じゆ−にゐ−ぎやう−ちうなごん−せいい−たいしやうぐん−けん−さひやうゑ/の−かみ−たひらの−あそん−とももり、¥じゆ−にゐ−ぎやう−ごん−ぢうなごん−けん−ひぜんの−かみ−たひらの−あそん−のりもり、¥じやう−にゐ−ぎやう−ごん−だいなごん−けん−みち−では−あぜつし−たひらの−あそん−よりもり、¥じゆ−いちゐ−さきの−ないだいじん−たひらの−あそん−むねもり。¥じゆえい−にねん−しちぐわつ−いつかのひ、¥うやまつ/て¥まうす」/と/ぞ¥かか/れ/たる。¥くわんじゆ¥これ/を¥あはれみ¥たまひ/て、¥さう−なう¥しゆと/に¥ひろう/も¥し¥たまは/ず、¥じふぜんじ−ごんげん/の¥しやだん/に¥こめ、¥さんにち¥かぢ−し/て、¥その−のち¥しゆと/に¥ひろう−せ/らる。¥はじめ/は¥あり/と/も¥みえ/ざり/ける¥ぐわんじよ/の¥うはまき/に、¥うた/こそ¥いつしゆ¥いで−き/たれ。¥
たひらか/に¥はな¥さく¥やど/も¥とし¥ふれ/ば¥にし/へ¥かたぶく¥つき/と/こそ¥みれ W050¥
さんわう−だいし¥これ/を¥あはれみ¥たまひ/て、¥さんぜん/の¥しゆと¥ちから/を¥あはせよ/と/なり。¥され/ども¥としごろ−ひごろ/の¥ふるまひ¥しんりよに/も¥たがひ、¥じんばう/に/も¥そむき/ぬれ/ば、¥いのれ/ども¥かなは/ず、¥かたらへ/ども¥なびか/ざり/けり。¥だいしゆ/も¥まことに¥さ/こそ/は/と、¥こと/の¥てい/を/ば¥あはれみ/けれ/ども、¥げんじ¥がふりよく/の¥へんてふ/を¥おくり/ぬる¥うへ/は、¥いま¥また¥かろがろしく、¥その¥ぎ/を¥ひるがへす/に¥およば/ね/ば、¥これ/を¥きよよう−する¥しゆと/も¥なし。P44
「しゆしやうのみやこおち」(『しゆしやうのみやこおち』)S0713¥おなじき−しちぐわつ−じふしにち、¥ひごの−かみ−さだよし、¥ちんぜい/の¥むほん¥たひらげ/て、¥きくち、¥はらだ、¥まつら−たう¥さんぜん−よ−き/を¥めし−ぐし/て¥しやうらく−す。¥ちんぜい/の¥むほん/を/ば、¥わづか/に¥たひらげ/たれ/ども、¥とうごく¥ほくこく/の¥いくさ/は、¥いか/に/も¥しづまら/ず。¥おなじき−にじふににち/の¥やはん/ばかり、¥ろくはら/の¥へん¥おびたたしう¥さうどう−す。¥むま/に¥くら¥おき、¥はるび¥しめ、¥もの=ども¥とうざいなんぼく/へ¥はこび−かくす。¥ただいま¥かたき/の¥うち−いつ/たる¥さま/なり/けり。¥あけ/て¥のち¥きこえ/し/は、¥みの−げんじ/に、¥さどの−ゑもん/の−じよう−しげさだ/と¥いふ¥もの¥あり。¥さんぬる¥ほうげん/の−かつせん/の¥とき、¥ちんぜいの−はちらう−ためとも/が¥ゐんがた/の¥いくさ/に¥まけ/て、¥おちうと¥なつ/たり/し/を、¥からめ/て¥いだし/たり/し¥けんじやう/に、¥もと/は¥ひやうゑ/の−じよう/たり/し/が、¥その−とき¥うゑもん/の−じよう/に¥なり/ぬ。¥これ/に¥よつ/て¥いちもん/に/は¥あたま/れ/て、¥この−ころ¥へいけ/を¥へつらひ/ける/が、¥その¥よ¥ろくはら/に¥はせ−まゐり、「¥きそ¥すでに¥ほくこく/より¥ごまん−よ−き/で¥せめ−のぼり、¥てんだいさん、¥ひがしざかもと/に¥みちみち/て¥さふらふ。¥らうどう/に¥たての−ろくらう−ちかただ、¥てかき/に¥だいぶ−ばう−かくめい、¥ろくせん−よ−き¥てんだいさん/に¥きほひ−のぼり、¥さんぜん/の¥しゆと¥どうしん−し/て、¥ただいま¥みやこ/へ¥みだれ−いる」¥よし¥まうし/けれ/ば、¥へいけ/の¥ひとびと¥おほき/に¥さわい/で、¥はうばう/へ¥うつて/を¥さし−むけ/らる。¥たいしやうぐん/に/は¥しん−ぢうなごん−とももりの−きやう、¥ほん−ざんみ/の−ちうじやう−しげひらの−きやう、¥さんぜん−よ−き/で¥まづ¥やましな/にP45¥しゆくせ/らる。¥ゑちぜんの−さんみ−みちもり、¥のとの−かみ−のりつね、¥にせん−よ−き/で¥うぢばし/を¥かため/らる。¥さま/の−かみ−ゆきもり、¥さつまの−かみ−ただのり、¥いつせん−よ−き/で¥よどぢ/を¥しゆご−せ/られ/けり。¥げんじ/の¥かた/に/は¥じふらう−くらんど−ゆきいへ、¥すせんぎ/で¥うぢばし/を¥わたつ/て¥みやこ/へ¥いる。¥みちの−くにの−しん−はうぐわん−よしやす/が¥こ、¥やたの−はんぐわんだい−よしきよ、¥おほえやま/を¥へ/て¥しやうらく−す/と/も¥まうし−あへ/り。¥また¥つの−くに¥かはち/の¥げんじ=ら¥どうしん−し/て、¥おなじう¥みやこ/へ¥みだれ−いる¥よし¥まうし/けれ/ば、¥へいけ/の¥ひとびと、「¥この−うへ/は¥ちから¥およば/ず、¥ただ¥いつしよ/で¥いか/に/も−なり¥たまへ」/とて、¥はうばう/へ¥むけ/られ/たり/ける¥うつて=ども、¥みな¥みやこ/へ¥よび−かへさ/れ/けり。¥ていと¥みやうり/の−ち、¥にはとり¥ない/て¥やすき¥こと¥なし。¥をさま/れる¥よ/だに/も¥かく/の/ごとし。¥いはんや¥みだれ/たる¥よ/に¥おいて/を/や。¥よしのやま/の¥おく/の¥おく/へ/も¥いり/な/ばや/と/は¥おぼしめさ/れ/けれ/ども、¥しよ−こく−しちだう¥ことごとく¥そむき/ぬ。¥いづく/の¥うら/か¥おだしかる/べき。¥さんがい−むあん、−いうによくわたく/と/して、¥によらい/の¥きんげん、¥いちじよう/の¥めうもん/なれ/ば、¥なじか/は¥すこし/も¥たがふ/べき。¥おなじき−にじふしにち/の¥さ−よ−ふけがた/に、¥さきの−ないだいじん−むねもり=こう、¥けんれいもんゐん/の¥わたら/せ¥たまふ¥ろくはら¥いけ=どの/に¥まゐつ/て¥まうさ/れ/ける/は、「¥きそ¥すでに¥ほくこく/より¥ごまん−よ−き/で¥せめ−のぼり、¥ひえいさん¥ひがしざかもと/に¥みちみち/て¥さふらふ。¥らうどう/に¥たての−ろくらう−ちかただ、¥てかき/に¥だいぶ−ばう−かくめい、¥ろくせん−よ−き¥てんだいさん/へ¥きほひ−のぼり、¥さんぜん/の¥しゆと¥ひき−ぐし/て、¥ただいま¥みやこ/へ¥みだれ−いる¥よし¥きこえ¥さふらふ。¥ひとびと/は¥ただ¥みやこ/の¥うち/にて、¥いか/に/も−なら/ん/と¥まうし−あは/れ/けれ/ども、¥まのあたり¥にようゐん、¥にゐ=どの/に、¥うき−め/を¥みせ¥まゐらせ/ん¥こと/の¥くちをしく¥さふらへ/ば、¥ゐん/を/も¥うち/を/もP46¥とり¥たてまつ/て、¥さいこく/の¥かた/へ¥ご=かう¥ぎやうがう/を/も、¥なし¥まゐらせ/ばや/と¥おもひ−なつ/て/こそ¥さふらへ」/と¥まうさ/れ/けれ/ば、¥にようゐん、「¥いま/は¥ただ¥と/も−かう/も、¥そこ/の¥はからひ/で/こそ¥あら/んず/らめ」/とて、¥ぎよ=い/の¥おん=たもと/に¥あまる¥おん=なみだ、¥せき−あへ/させ¥たまは/ね/ば、¥おほい=との/も¥なほし/の¥そで¥しぼる/ばかり/に/ぞ¥みえ/られ/ける。¥
さる−ほど/に¥ほふわう/を/ば¥へいけ¥とり¥たてまつ/て、¥さいこく/の¥かた/へ¥おち−ゆく/べし/など¥まうす¥こと/を、¥ないない¥きこしめす¥むね/も/や¥あり/けん、¥その¥よ/の¥やはん/ばかり、¥あぜつし−だいなごん−すけかたの−きやう/の¥しそく、¥むま/の−かみ−すけとき/ばかり/を¥おん=とも/にて、¥ひそか/に¥ごしよ/を¥いで/させ¥たまひ/て、¥おん=ゆくへ/も¥しら/ず/ぞ¥ご=かう¥なる。¥ひと¥これ/を¥しら/ざり/けり。¥へいけ/の¥さぶらひ/に¥きち−ないざゑもん/の−じよう−すゑやす/と¥いふ¥もの¥あり。¥さかざかしき¥をのこ/にて、¥ゐん/に/も¥めし−つかは/れ/ける/が、¥その¥よ/しも¥お=とのゐ/に¥まゐつ/て、¥はるか/に¥とほう¥さふらひ/ける/が、¥つね/の¥ごしよ/の¥おん=かたざま、¥よ/に¥もの−さわがしう、¥にようばう=たち¥しのびね/に¥なき/など¥し¥たまへ/り。¥なにごと/なる/らん/と¥きき/けれ/ば、「¥にはか/に¥ほふわう/の¥みえ/させ¥ましまさ/ぬ/は、¥いづかた/へ/の¥ご=かう/やらん」/と¥まうす¥こゑ/に¥きく/ほど/に、¥あな¥あさまし/とて、¥いそぎ¥ろくはら/へ¥はせ−まゐり、¥この¥よし¥まうし/たり/けれ/ば、¥おほい=との、「¥さだめて¥ひがごと/で/ぞ¥ある/らん」/と/は¥のたまひ/ながら、¥いそぎ¥まゐつ/て¥み¥まゐら/させ¥たまふ/に、¥げに/も¥ほふわう¥わたら/せ¥ましまさ/ず。¥ごぜん/に¥さぶらは/せ¥たまふ¥にようばう=たち、¥にゐ=どの¥たんご=どの¥いげ¥いち−にん/も¥はたらき¥たまは/ず。「¥いか/に/や」/と¥とひ¥まゐら/させ¥たまへ/ども、「¥われ/こそ¥ほふわう/の¥おん=ゆくへ¥しり¥まゐらせ/たり」/と¥まうさ/るる¥にようばう=たち、¥いち−にん/も¥おはせ/ざり/けれ/ば、P47¥おほい=との/も¥ちから¥およば/せ¥たまは/ず、¥なくなく¥ろくはら/へ/ぞ¥かへら/れ/ける。¥さる−ほど/に、¥ほふわう¥みやこ/の¥うち/に¥わたら/せ¥たまは/ず/と¥まうす/ほど/こそ¥あり/けれ、¥きやう−ぢう/の¥さうどう¥なのめ/なら/ず。¥いはんや¥へいけ/の¥ひとびと/の¥あわて−さわが/れ/ける¥ありさま/は、¥いへいへ/に¥かたき/の¥うち−いつ/たり/とも、¥かぎり−あれ/ば、¥これ/に/は¥すぎ/じ/と/ぞ¥みえ/し。¥へいけ¥ひごろ/は¥ゐん/を/も¥うち/を/も¥とり¥たてまつ/て、¥さいこく/の¥かた/へ¥ご=かう¥ぎやうがう/を/も¥なし¥まゐらせ/ん/と¥したく−せ/られ/たり/しか/ども、¥かく¥うち−すて/させ¥たまひ/ぬれ/ば、¥たのむ¥こ/の−もと/に¥あめ/の¥たまら/ぬ¥ここち/ぞ¥せ/られ/ける。「¥せめて/は¥ぎやうがう/ばかり/を/も¥なし¥まゐらせよ/や」/とて、¥あくる¥う/の−こく/に¥ぎやうがう/の¥み=こし/を¥よせ/たり/けれ/ば、¥しゆしやう/は¥こんねん¥ろくさい、¥いまだ、¥いとけなう¥ましまし/けれ/ば、¥なにごころ¥なく/ぞ¥めさ/れ/ける。¥ご=どうよ/に/は、¥おん=ぼぎ¥けんれいもんゐん¥まゐらせ¥たまふ。「¥しんし、¥ほうけん、¥ないしどころ、¥いんやく、¥とき/の−ふだ、¥げんじやう、¥すずか/など/を/も¥とり−ぐせよ」/と、¥へい−だいなごん−ときただの−きやう¥げぢ−せ/られ/たり/けれ/ども、¥あまり/に¥あわて−さわい/で、¥とり−おとす¥もの/ぞ¥おほかり/ける。¥ひ/の−ござ/の¥ぎよ=けん/など/を/も、¥とり−わすれ/させ¥たまひ/けり。¥やがて¥この¥ときただの−きやう、¥くら/の−かみ−のぶもと、¥さぬきの−ちうじやう−ときざね、¥ふし¥さん−にん、¥いくわん/にて¥ぐぶ−せ/らる。¥こんゑつかさ、¥み=つな/の−すけ、¥かつちう¥きうせん/を¥たいし/て、¥ぎやうがう/の¥おん=とも¥つかまつる。¥しちでう/を¥にし/へ、¥しゆしやか/を¥みなみ/へ¥ぎやうがう¥なる。¥あくれ/ば¥しちぐわつ−にじふごにち/なり。¥かんてん¥すでに¥ひらけ/て、¥くも¥とうれい/に¥たなびき、¥あけがた/の¥つき¥しろく¥さえ/て、¥けいめい¥また¥いそがはし。¥ゆめ/に/だに¥かかる¥こと/は¥み/ず。¥ひととせ¥みやこうつり/とて、P48¥にはか/に¥あわたたしかり/し/は、¥かかる/べかり/ける¥ぜんべう/と/も、¥いま/こそ¥おもひ−しら/れ/けれ。¥せつしやう=どの/も¥ぎやうがう/に¥ぐぶ−し/て、¥ぎよ=しゆつ¥あり/ける/が、¥しちでう−おほみや/にて、¥びんづら¥ゆう/たる¥どうじ/の、¥おん=くるま/の¥まへ/を、¥つと¥はしり−とほる/を¥ごらんずれ/ば、¥かの¥どうじ/の¥ひだん/の¥たもと/に、¥はる/の−ひ/と¥いふ¥もじ/ぞ¥あらはれ/たる。¥はる/の−ひ/と¥かい/て/は、¥かすが/と¥よめ/ば、¥ほつさう−おうご/の¥かすが−だい−みやうじん、¥たいしよくくわん/の¥おん=すゑ/を¥まもり¥たまふ/に/こそ/と、¥たのもしう¥おぼしめす¥ところ/に、¥くだん/の¥どうじ/の¥こゑ/と¥おぼしく/て、¥
いか/に−せ/む¥ふぢ/の¥すゑば/の¥かれ−ゆく/を¥ただ¥はる/の−ひ/に¥まかせ/たら/なむ W051¥
とも/に¥さふらふ¥しんどう−さゑもん/の−じよう−たかなほ/を¥めし/て、「¥この¥よ/の−なか/の¥ありさま/を¥ごらんずる/に、¥ぎやうがう/は¥なれ/ども¥ご=かう/は¥なら/ず。¥ゆく−すゑ¥たのもしから/ず¥おぼしめす/は¥いか/に」/と¥おほせ/けれ/ば、¥おん=うしかひ/に¥め/を¥きつと¥み−あはせ/たり。¥やがて¥こころ−え/て、¥おん=くるま/を¥やり−かへし、¥おほみや/を¥のぼり/に、¥とぶ/が/ごとく/に¥つかまつり、¥きたやま/の¥へん、¥ちそくゐん/へ/ぞ¥いら/せ¥たまひ/ける。¥
「これもりのみやこおち」(『これもりのみやこおち』)S0714¥ゑつちうの−じらう−びやうゑ、¥たち¥わき−ばさみ、¥せつしやう=どの/の¥おん=とどまり¥ある/を¥おし−とどめ¥まゐらせ/ん/と、¥しきり/に¥すすみ/けれ/ども、¥ひとびと/に¥せい−せ/られ/て、¥ちから¥およば/で¥とどまり/ぬ。P49¥
なか/に/も¥こまつの−さんみ/の−ちうじやう−これもりの−きやう/は、¥ひごろ/より¥おもひ−まうけ¥たまへ/る¥こと/なれ/ども、¥さし−あたつ/て/は¥かなしかり/けり。¥この¥きたのかた/と¥まうす/は、¥こ=なかのみかど/の−しん−だいなごん−なりちかの−きやう/の¥むすめ、¥ちち/に/も¥はは/に/も¥おくれ¥たまひ/て、¥みなしご/にて¥おはせ/しか/ども、¥たうがん¥つゆ/に¥ほころび、¥こうふん¥まなこ/に¥こび/を¥なし、¥りうはつ¥かぜ/に¥みだるる¥よそほひ、¥また¥ひと¥ある/べし/と/も¥みえ¥たまは/ず。¥ろくだい−ごぜん/とて、¥しやうねん¥とを/に¥なり¥たまふ¥わかぎみ、¥その¥いもと¥はつさい/の¥ひめぎみ¥おはし/けり。¥この¥ひとびと/も¥めんめん/に¥おくれ/じ/と¥したひ¥たまへ/ば、¥さんみ/の−ちうじやう¥のたまひ/ける/は、「¥われ/は¥ひごろ¥まうし/し¥やう/に、¥いちもん/に¥ぐせ/られ/て、¥さいこく/の¥かた/へ¥おち−ゆく/なり。¥いづく/まで/も¥ぐそく−し¥たてまつる/べけれ/ども、¥みち/に/も¥かたき¥まつ/なれ/ば、¥こころ−やすく¥とほら/ん¥こと¥あり−がたし。¥たとひ¥われ¥うた/れ/たり/と¥きき¥たまふ/とも、¥さま/など¥かへ¥たまふ¥こと/は、¥ゆめゆめ¥ある/べから/ず。¥その¥ゆゑ/は、¥いか/なら/ん¥ひと/に/も、¥み/も¥し¥みえ/て、¥あの¥をさなき¥もの=ども/を/も、¥はぐくみ¥たまへ。¥なさけ/を¥かく/べき¥ひと/も、¥など/か¥なく/て¥さふらふ/べき」/と、¥やうやう/に¥なぐさめ¥のたまへ/ども、¥きたのかた¥とかう/の¥へんじ/を/も¥し¥たまは/ず、¥ひき−かづい/て/ぞ¥ふし¥たまふ。¥ちうじやう¥すでに¥うつ−たた/ん/と¥し¥たまへ/ば、¥きたのかた¥たもと/に¥すがり、「¥みやこ/に/は¥ちち/も¥なし、¥はは/も¥なし。¥すて/られ¥たてまつ/て¥のち、¥また¥たれ/に/かは¥みゆ/べき/に、¥いか/なら/ん¥ひと/に/も¥みえよ/など¥うけたまはる/こそ¥うらめしけれ。¥ぜんぜ/の¥ちぎり¥あり/けれ/ば、¥ひと/こそ¥あはれみ¥たまふ/とも、¥また¥ひと−ごと/に/しも/や¥なさけ/を¥かく/べき。¥いづく/まで/も¥ともなひ¥たてまつり、¥おなじ¥のばら/の¥つゆ/と/も¥きえ、¥ひとつ¥そこ/の¥みくづ/と/も¥なら/ん/と/こそ¥ちぎり/し/に、¥され/ば¥さ−よ/の¥ねざめ/の¥むつごと/は、¥みな¥いつはり/に¥なり/に/けり。P50¥せめて/は¥み¥ひとつ/なら/ば¥いかが−せ/ん。¥すて/られ¥たてまつる¥み/の¥う−さ/を、¥おもひ−しつ/て/も¥とどまり/な/ん。¥をさなき¥もの=ども/を/ば、¥たれ/に¥み−ゆづり、¥いか/に−せよ/と/か¥おぼしめす。¥うらめしう/も¥とどめ¥たまふ/ものかな」/とて、¥かつうは¥うらみ¥かつうは¥したひ¥たまへ/ば、¥さんみ/の−ちうじやう、「¥まことに¥ひと/は¥じふさん、¥われ/は¥じふご/より、¥み−そめ¥たてまつ/たれ/ば、¥ひ/の¥なか¥みづ/の¥そこ/へ/も、¥とも/に¥いり¥とも/に¥しづみ、¥かぎり−ある¥わかれぢ/まで/も、¥おくれ¥さきだた/じ/と/こそ¥おもひ/しか。¥けふ/は¥かく¥もの−うき¥ありさま=ども/にて、¥いくさ/の¥ぢん/へ¥おもむけ/ば、¥ぐそく−し¥たてまつ/て、¥ゆく−すゑ/も¥しら/ぬ¥たび/の¥そら/にて、¥うき−め/を¥みせ¥まゐらせ/ん/も、¥わが−み/ながら¥うたてかる/べし。¥その−うへ¥こんど/は¥ようい/も¥さふらは/ず、¥いづく/の¥うら/に/も¥こころ−やすう¥おち−つき/たら/ば、¥それ/より¥むかひ/に¥ひと/を/こそ¥まゐらせ/め」/とて、¥おもひ−きつ/て/ぞ¥たた/れ/ける。¥ちうもん/の¥らう/に¥いで/て、¥よろひ¥とつ/て¥き、¥むま¥ひき−よせ/させ、¥すでに¥のら/ん/と¥し¥たまへ/ば、¥わかぎみ¥ひめぎみ¥はしり−いで/て、¥ちち/の¥よろひ/の¥そで、¥くさずり/に¥とり−つき、「¥これ/は¥され/ば、¥いづち/へ/とて¥わたら/せ¥たまひ¥さふらふ/やらん。¥われ/も¥まゐら/ん、¥われ/も¥ゆか/ん」/と¥したひ−なき¥たまへ/ば、¥うき−よ/の¥きづな/と¥おぼえ/て、¥さんみ/の−ちうじやう、¥いとど¥せんかた−な=げ/に/ぞ¥みえ/られ/ける。¥おん=おとと¥しん−ざんみ/の−ちうじやう−すけもり、¥ひだん/の−ちうじやう−きよつね、¥おなじき−せうしやう−ありもり、¥たんごの−じじう−ただふさ、¥びつちうの−かみ−もろもり、¥きやうだい¥ごき、¥むま/に¥のり/ながら、¥もん/の¥うち/へ¥うち−いれ、¥には/に¥ひかへ、¥だい−おんじやう/を¥あげ/て、「¥ぎやうがう/は¥はるか/に¥のび/させ¥たまひ/ぬ/らん/に、¥いか/に/や¥いま/まで/の¥ちさん¥ざふらふ」/と、¥こゑごゑ/に¥まうさ/れ/けれ/ば、¥さんみ/の−ちうじやう¥むま/に¥うち−のつ/て¥いで/られ/ける/が、¥またP51¥ひつ−かへし、¥えん/の¥きは/に¥うち−よせ、¥ゆみ/の¥はず/にて¥み=す/を¥ざつと¥かき−あげ/て、「¥これ¥ごらん¥さふらへ。¥をさなき¥もの=ども/が¥あまり/に¥したひ¥さふらふ/を、¥とかう¥こしらへ−おか/ん/と¥つかまつる/ほど/に、¥ぞん/の−ほか/の¥ちさん¥ざふらふ」/と¥のたまひ/も¥あへ/ず、¥はらはら/と¥なき¥たまへ/ば、¥には/に¥ひかへ¥たまへ/る¥ひとびと/も、¥みな¥よろひ/の¥そで/を/ぞ¥ぬらさ/れ/ける。¥ここ/に¥さんみ/の−ちうじやう/の¥としごろ/の¥さぶらひ/に、¥さいとう−ご、¥さいとう−ろく/とて、¥あに/は¥じふく、¥おとと/は¥じふしち/に¥なる¥さぶらひ¥あり。¥さんみ/の−ちうじやう/の¥お=むま/の¥さう/の¥みづつき/に¥とり−つい/て、¥いづく/まで/も¥おん=とも¥つかまつり¥さふらは/ん/と¥まうし/けれ/ば、¥さんみ/の−ちうじやう¥のたまひ/ける/は、「¥なんぢ=ら/が¥ちち¥ながゐ/の−さいとう−べつたう−さねもり/が、¥ほくこく/へ¥くだり/し¥とき、¥とも−せ/う/ど¥いひ/し/を、¥ぞんずる¥むね/が¥ある/ぞ/とて、¥なんぢ=ら/を¥とどめ−おき、¥つひに¥ほくこく/にて¥うちじに−し/たり/し/は、¥ふるき¥もの/にて、¥かかる/べかり/ける¥こと/を、¥かねて¥さとつ/たり/ける/に/こそ。¥あの¥ろくだい/を¥とどめ/て¥ゆく/に、¥こころ−やすう¥ふち−す/べき¥もの/の¥なき/ぞ。¥ただ¥り/を¥まげ/て¥とどまれ/かし」/と¥のたまへ/ば、¥ににん/の¥もの=ども¥ちから¥およば/ず、¥なみだ/を¥おさへ/て¥とどまり/ぬ。¥きたのかた/は、「¥としごろ−ひごろ、¥かく¥なさけ−なき¥ひと/と/こそ、¥かけ/て/は¥おもは/ざり/しか」/とて、¥ひき−かづい/て/ぞ¥ふし¥たまふ。¥わかぎみ¥ひめぎみ¥にようばう=たち/は、¥み=す/の¥ほか/まで¥まろび−いで、¥こゑ/を¥はかり/に¥をめき−さけび¥たまひ/けり。¥その¥こゑごゑ¥みみ/の¥そこ/に¥とどまつ/て、¥され/ば¥さいかい/の¥たつ¥なみ/の¥うへ、¥ふく¥かぜ/の¥おと/まで/も、¥きく¥やう/に/こそ¥おもは/れ/けれ。¥へいけ¥みやこ/を¥おち−ゆく/に、¥ろくはら、¥いけ=どの、¥こまつ=どの、¥はちでう、¥にしはちでう¥いげ、¥ひとびと/の¥いへいへ、¥にじふ−よ−か−しよ、¥その−ほか¥つぎつぎ/の¥ともがら/の¥しゆくしよじゆくしよ、¥きやうしらかは、¥しごまんげん/がP52¥ざいけ/に¥ひ/を¥かけ/て、¥いちど/に¥みな¥やき−はらふ。¥
「せいしゆりんかう」(『せいしゆりんかう』)S0715¥あるひは¥せいしゆ¥りんかう/の¥ち/なり。¥ほうけつ¥むなしく¥いしずゑ/を¥のこし、¥らんよ¥ただ¥あと/を¥とどむ。¥あるひは¥こうひ¥いうえん/の¥みぎり/なり。¥せうばう/の¥あらし¥こゑ¥かなしみ、¥えきてい/の¥つゆ¥いろ¥うれふ。¥さうきやう¥すゐちやう/の¥もとゐ、¥よくりん¥てうしよ/の¥たち、¥くわいきよく/の¥ざ、¥えんらん/の¥すみか、¥たじつ/の¥けいえい/を¥むなしう/して、¥へんし/の¥くわいしん/と¥なり−はて/ぬ。¥いはんや¥らうじう/の¥ほうひつ/に¥おいて/を/や。¥いはんや¥ざふにん/の¥をくしや/に¥おいて/を/や。¥よえん/の¥およぶ¥ところ、¥ざいざい¥しよしよ¥すじつちやう/なり。¥きやうご¥たちまち/に¥ほろび/て、¥こそたい/の¥つゆ¥けいきよく/に¥うつり、¥ぼうしん¥すでに¥おとろへ/て、¥かんやうきう/の¥けぶり、¥へいけい/を¥かくし/けん/も、¥かく/や/と/ぞ¥おぼえ/ける。¥ひごろ/は¥かんこく¥じかう/の¥さがしき/を¥かたうせ/しか/ども、¥ほくてき/の¥ため/に¥これ/を¥やぶら/れ、¥いま/は¥こうか¥けいゐ/の¥ふかき/を¥たのみ/しか/ども、¥とうい/の/ため/に¥これ/を¥とら/れ/たり。¥あに¥はかり/き/や、¥たちまちに¥れいぎ/の¥きやう/を¥せめ−いださ/れ/て、¥なくなく¥むち/の¥さかひ/に¥み/を¥よせ/ん/と。¥きのふ/は¥くも/の¥うへ/にて¥あめ/を¥くだす¥しんりよう/たり/き。¥けふ/は¥いちぐら/の¥ほとり/に¥みづ/を¥うしなふ¥こぎよ/の/ごとし。¥くわ−ふく¥みち/を¥おなじう¥し、¥じやうすゐ¥たなごころ/を¥かへす。¥いま¥め/の¥まへ/に¥あり。¥たれ/か¥これ/を¥かなしま/ざら/ん。¥ほうげん/の¥むかし/は¥はる/の¥はな/と¥さかえ/しか/ども、¥じゆえい/の¥いま/は¥また¥あき/の¥もみぢ/と¥おち−はてぬ。P53¥はたけやまの−しやうじ−しげよし、¥をやまだの−べつたう−ありしげ、¥うつのみやの−さゑもん−ともつな、¥これ=ら/は¥さんぬる¥ぢしよう/より¥じゆえい/まで、¥めし−こめ/られ/て¥あり/し/が、¥その−とき¥すでに¥きら/る/べかり/し/を、¥しん−ぢうなごん−とももりの−きやう/の¥いけん/に¥まうさ/れ/ける/は、「¥かれ=ら¥ひやくにん¥せん−にん/が¥くび/を¥きら/せ¥たまひ/て¥さふらふ/とも、¥ご=うん¥つき/させ¥たまひ/な/ば、¥おん=よ/を¥たもた/せ¥たまは/ん¥こと¥あり−がたし。¥こきやう/に¥さふらふ¥さいし¥しよじう=ら、¥いか/ばかり¥なげき−かなしみ¥さふらふ/らん。¥ただ¥り/を¥まげ/て¥くださ/せ¥たまへ。¥もし¥うんめい¥ひらけ/て、¥みやこ/へ¥かへり−のぼら/せ¥たまふ¥こと/も¥さふらは/ば、¥あり−がたき¥おん=なさけ/で/こそ¥さふらは/んずれ」/と¥まうさ/れ/けれ/ば、¥おほい=との、「¥さら/ば¥とう¥くだれ」/と/こそ¥のたまひ/けれ。¥これ=ら¥かうべ/を¥かたぶけ¥たなごころ/を¥あはせ/て、「¥いづく/まで/も¥おん=とも¥つかまつり¥さふらは/ん」/と¥まうし/けれ/ば、¥おほい=との、「¥なんぢ=ら/が¥たましひ/は¥みな¥とうごく/に/こそ¥ある/べき/に、¥ぬけがら/ばかり¥さいこく/へ¥めし−ぐす/べき¥やう¥なし。¥ただ¥とう¥くだれ」/と/こそ¥のたまひ/けれ。¥これ=ら/も¥にじふ−よ−ねん/の¥しゆ/なり/けれ/ば、¥わかれ/の¥なみだ¥おさへ−がたし。¥
「ただのりのみやこおち」(『ただのりのみやこおち』)S0716¥さつまの−かみ−ただのり/は、¥いづく/より/か¥かへら/れ/たり/けん。¥さぶらひ¥ごき¥わらは¥いち−にん、¥わが−み¥とも/に¥ひた−かぶと¥しちき¥とつ/て¥かへし、¥ごでうの−さんみ−しゆんぜいの−きやう/の¥もと/に¥おはし/て¥み¥たまへ/ば、¥もんこ/をP54¥とぢ/て¥ひらか/ず。「¥ただのり」/と¥なのり¥たまへ/ば、¥おちうと¥かへり−き/たれ/り/とて、¥その¥うち¥さわぎ−あへ/り。¥さつまの−かみ¥いそぎ¥むま/より¥とん/で¥おり、¥みづから¥たからか/に¥まうさ/れ/ける/は、「¥これ/は¥さんみ=どの/に¥まうす/べき¥こと¥あつ/て、¥ただのり/が¥まゐつ/て¥さふらふ。¥たとひ¥かど/を/ば¥あけ/られ/ず/とも、¥この¥きは/まで¥たち−より¥たまへ。¥まうす/べき¥こと/の¥さふらふ」/と¥まうさ/れ/たり/けれ/ば、¥しゆんぜいの−きやう、「¥その¥ひと/なら/ば¥くるしかる/まじ。¥あけ/て¥いれ¥まうせ」/とて、¥もん/を¥あけ/て¥たいめん¥あり/けり。¥こと/の¥てい¥なにと−なう¥もの−あはれ/なり。¥さつまの−かみ¥まうさ/れ/ける/は、「¥せんねん¥まうし¥うけたまはつ/て/より¥のち/は、¥ゆめゆめ¥そりやく/を¥ぞんぜ/ず/と/は¥まうし/ながら、¥この¥にさん−か−ねん/は、¥きやうと/の¥さわぎ、¥くにぐに/の¥みだれ¥いで−き、¥あまつさへ¥たうけ/の¥み/の−うへ/に¥まかり−なつ/て¥さふらへ/ば、¥つね/に¥まゐり−よる¥こと/も¥さふらは/ず。¥きみ¥すでに¥ていと/を¥いで/させ¥たまひ/ぬ。¥いちもん/の¥うんめい¥けふ¥はや¥つき−はて¥さふらふ。¥それ/に¥つき¥さふらひ/て/は、¥せんじふ/の¥おん=さた¥ある/べき¥よし¥うけたまはつ/て¥さふらひ/し/ほど/に、¥しやうがい/の¥めんぼく/に、¥いつしゆ/なり/と/も¥ご=おん/を¥かうむら/う/ど¥ぞんじ¥さふらひ/つる/に、¥かかる¥よ/の¥みだれ¥いで−き/て、¥その¥さた¥なく¥さふらふ¥でう、¥ただ¥いつしん/の¥なげき/と¥ぞんずる¥ざふらふ。¥この−のち¥よ¥しづまつ/て、¥せんじふ/の¥おん=さた¥さふらは/ば、¥これ/に¥さふらふ¥まきもの/の¥なか/に、¥さり/ぬ/べき¥うた¥さふらは/ば、¥いつしゆ/なり/と/も¥ご=おん/を¥かうむつ/て、¥くさ/の¥かげ/にて/も¥うれし/と¥ぞんじ¥さふらは/ば、¥とほき¥おん=まもり/と/こそ¥なり¥まゐらせ¥さふらは/んずれ」/とて、¥ひごろ¥よみ−おか/れ/たる¥うた=ども/の¥なか/に、¥しうか/と¥おぼしき/を、¥ひやく−よ−しゆ¥かき−あつめ/られ/たり/ける¥まきもの/を、¥いま/は/とて¥うつ−たた/れ/ける¥とき、¥これ/を¥とつ/て¥もた/れ/たり/ける/を、¥よろひ/の¥ひき−あはせ/よりP55¥とり−いで/て、¥しゆんぜいの−きやう/に¥たてまつら/る。¥さんみ¥これ/を¥ひらい/て¥み¥たまひ/て、「¥かかる¥わすれ−がたみ=ども/を¥たまはり¥さふらふ¥うへ/は、¥ゆめゆめ¥そりやく/を¥ぞんず/まじう¥さふらふ。¥さて/も¥ただいま/の¥おん=わたり/こそ、¥なさけ/も¥ふかう、¥あはれ/も¥こと/に¥すぐれ/て、¥かんるゐ¥おさへ−がたう/こそ¥さふらへ」/と¥のたまへ/ば、¥さつまの−かみ、「¥かばね/を¥のやま/に¥さらさ/ば¥さらせ、¥うき−な/を¥さいかい/の¥なみ/に¥ながさ/ば¥ながせ、¥いま/は¥うき−よ/に¥おもひ−おく¥こと¥なし。¥さら/ば¥いとま¥まうし/て」/とて、¥むま/に¥うち−のり¥かぶと/の¥を/を¥しめ/て、¥にし/を¥さし/て/ぞ¥あゆま/せ¥たまふ。¥さんみ¥うしろ/を¥はるか/に¥み−おくつ/て¥たた/れ/たれ/ば、¥ただのり/の¥こゑ/と¥おぼしく/て、「¥せんど¥ほど¥とほし、¥おもひ/を¥がんざん/の¥ゆふべ/の¥くも/に¥はす」/と、¥たからか/に¥くちずさみ¥たまへ/ば、¥しゆんぜいの−きやう/も、¥いとど¥あはれ/に¥おぼえ/て、¥なみだ/を¥おさへ/て¥いり¥たまひ/ぬ。¥その−のち¥よ¥しづまつ/て、¥せんざいしふ/を¥せんぜ/られ/ける/に、¥ただのり/の¥あり/し¥ありさま、¥いひ−おき/し¥こと/の−は、¥いまさら¥おもひ−いで/て¥あはれ/なり/けり。¥くだん/の¥まきもの/の¥なか/に、¥さり/ぬ/べき¥うた¥いくら/も¥あり/けれ/ども、¥その¥み¥ちよくかん/の¥ひと/なれ/ば、¥みやうじ/を/ば¥あらはさ/れ/ず、¥こきやう/の¥はな/と¥いふ¥だい/にて、¥よま/れ/たり/ける¥うた¥いつしゆ/ぞ、¥よみびと−しら/ず/と¥いれ/られ/たる。¥
さざなみ/や¥しが/の¥みやこ/は¥あれ/に/し/を¥むかし/ながら/の¥やまざくら/かな W052¥
その¥み¥てうてき/と¥なり/ぬる¥うへ/は、¥しさい/に¥およば/ず/と¥いひ/ながら、¥うらめしかり/し¥こと=ども/なり。P56
「つねまさのみやこおち」(『つねまさのみやこおち』)S0717¥しゆり/の−だいぶ−つねもり/の¥ちやくし、¥くわうごぐう/の−すけ−つねまさ/は、¥えうせう/の¥とき/より、¥にんわじ/の−お=むろ/の¥ごしよ/に、¥とうぎやう/にて¥さぶらは/れ/しか/ば、¥かかる¥そうげき/の¥なか/に/も、¥きみ/の¥おん=なごり¥きつと¥おもひ−いで¥まゐらせ、¥さぶらひ¥ごろくき¥めし−ぐし/て、¥にんわじ=どの/へ¥はせ−まゐり、¥いそぎ¥むま/より¥とん/で¥おり、¥もん/を¥たたか/せ¥まうし−いれ/られ/ける/は、「¥きみ¥すでに¥ていと/を¥いで/させ¥たまひ¥さふらひ/ぬ。¥いちもん/の¥うんめい¥けふ¥すでに¥つき−はて¥さふらひ/ぬ。¥うき−よ/に¥おもひ−おく¥こと/とて/は、¥ただ¥きみ/の¥おん=なごり/ばかり/なり。¥はつさい/の¥とし¥この¥ごしよ/へ¥まゐり¥はじめ¥さふらひ/て、¥じふさん/で¥げんぶく¥つかまつり¥さふらひ/し/まで/は、¥いささか¥あひ−いたはる¥こと/の¥さふらは/ん/より¥ほか/は、¥あからさま/に¥ごぜん/を¥たち−さる¥こと/も¥さふらは/ず。¥けふ¥すでに¥さいかい¥せんり/の¥なみぢ/に¥おもむき¥さふらへ/ば、¥また¥いづれ/の¥ひ¥いづれ/の¥とき、¥かならず¥たち−かへる/べし/と/も¥おぼえ/ぬ¥こと/こそ¥くちをしう¥さふらへ。¥いま−いちど¥ごぜん/へ¥まゐつ/て、¥きみ/を/も¥み¥まゐらせ/たう¥ぞんじ¥さふらへ/ども、¥かつちう/を¥よろひ¥きうせん/を¥たいし/て、¥あら/ぬ¥さま/なる¥よそほひ/に¥まかり−なつ/て¥さふらへ/ば、¥はばかり−ぞんじ¥さふらふ」/と¥まうさ/れ/けれ/ば、¥お=むろ¥あはれ/に¥おぼしめし/て、「¥ただ¥その¥すがた/を¥あらため/ず/して¥まゐれ」/と/こそ¥おほせ/けれ。¥つねまさ¥その−ひ/は、¥むらさきぢ/の−にしき/の−ひたたれ/に、¥もよぎ−にほひ/の−よろひ¥き/て、¥ながぶくりん/の−たち/を¥はき、P57¥にじふし¥さい/たる¥きりふ/の−や¥おひ、¥しげどう/の−ゆみ¥わき/に¥はさみ、¥かぶと/を/ば¥ぬい/で¥たかひも/に¥かけ、¥ごぜん/の¥お=つぼ/に¥かしこまる。¥お=むろ¥やがて¥ぎよ=しゆつ¥あつ/て、¥み=す¥たかく¥あげ/させ、「¥これ/へ¥これ/へ」/と¥めさ/れ/けれ/ば、¥つねまさ¥おほ−ゆか/へ/こそ¥まゐら/れ/けれ。¥とも/に¥さぶらふ¥とう−びやうゑ/の−じよう−ありのり/を¥めす。¥あかぢ/の−にしき/の¥ふくろ/に¥いれ/たり/ける¥おん=びは/を¥もつ/て¥まゐり/たり。¥つねまさ¥これ/を¥とり−つい/で、¥ごぜん/に¥さし−おき、¥まうさ/れ/ける/は、「¥せんねん¥くだし−あづかつ/て¥さふらひ/し、¥せいざん¥もた/せ/て¥まゐつ/て¥さふらふ。¥なごり/は¥つき/ず¥ぞんじ¥さふらへ/ども、¥さ/しも/の¥わが¥てう/の¥ちようほう/を、¥でんじや/の¥ちり/に¥なさ/ん¥こと/の¥くちをしう¥さふらへ/ば、¥まゐらせ−おく¥ざふらふ。¥もし¥ふしぎ/に¥うんめい¥ひらけ/て、¥みやこ/へ¥たち−かへる¥こと/も¥さふらは/ば、¥その−とき/こそ¥かさね/て¥くだし−あづかり¥さふらは/め」/と¥まうさ/れ/たり/けれ/ば、¥お=むろ¥あはれ/に¥おぼしめし/て、¥いつしゆ/の¥ぎよ=えい/を¥あそばい/て/ぞ¥くださ/れ/ける。¥
あか/ず/して¥わかるる¥きみ/が¥なごり/を/ば¥のち/の¥かたみ/に¥つつみ/て/ぞ¥おく W053¥
つねまさ¥おん=すずり¥くださ/れ/て、¥
くれたけ/の¥かけひ/の¥みづ/は¥かはれ/ども¥なほ¥すみ−あか/ぬ¥みや/の¥うち/かな W054¥
さて¥つねまさ¥ごぜん/を¥まかり−いで/られ/ける/に、¥すはい/の¥とうぎやう、¥しゆつせしや、¥ばうくわん、¥さぶらひ¥そう/に¥いたる/まで、¥つねまさ/の¥なごり/を¥をしみ、¥たもと/に¥すがり¥なみだ/を¥ながし、¥そで/を¥ぬらさ/ぬ/は¥なかり/けり。¥なか/に/も¥えうせう/の¥とき、¥こじ/で¥おはせ/し¥だいなごん/の−ほふいん−ぎやうけい/と¥まうし/し/は、¥はむろの−だいなごん−くわうらいの−きやう/の¥おん=こ/なり。¥あまり/に¥なごり/を¥をしみ¥まゐらせ/て、¥かつらがは/の¥はた/まで¥うち−おくり、P58¥それ/より¥いとま¥こう/て¥かへら/れ/ける/が、¥ほふいん¥なくなく¥かう/ぞ¥おもひ−つづけ¥たまふ。¥
あはれ/なり¥おいき¥わかき/も¥やまざくら¥おくれ¥さきだち¥はな/は¥のこら/じ W055¥
つねまさ/の¥へんじ/に、¥
たびごろも¥よなよな¥そで/を¥かたしき/て¥おもへ/ば¥われ/は¥とほく¥ゆき/なむ W056¥
さて¥まい/て¥もた/せ/られ/たり/ける¥あかはた、¥ざつと¥さし−あげ/たれ/ば、¥あそこ−ここ/に¥ひかへ−ひかへ¥まち¥たてまつる¥さぶらひ=ども、¥あはや/とて¥はせ−あつまり、¥その¥せい¥ひやくき/ばかり¥むち/を¥あげ、¥こま/を¥はやめ/て、¥ほど−なく¥ぎやうがう/に¥おつ−つき¥たてまつら/る。¥
「せいざんのさた」(『せいざんのさた』)S0718¥この¥つねまさ¥じふしち/の¥とし、¥うさ/の¥ちよくし/を¥うけたまはつ/て¥くだら/れ/ける/に、¥その−とき¥せいざん/を¥たまはつ/て、¥うさ/へ¥まゐり、¥ご=てん/に¥むかひ¥たてまつ/て、¥ひきよく/を¥ひき¥たまひ/しか/ば、¥とも/の¥みやびと¥おしなべ/て、¥りよくい/の¥そで/を/ぞ¥しぼり/ける。¥こころ−なき¥やつこ/まで/も、¥いつ¥きき−なれ/たる¥こと/は¥なけれ/ども、¥むらさめ/と/は¥まがは/じ/な。¥めでたかり/し¥こと=ども/なり。¥かの¥せいざん/と¥まうす¥おん=びは/は、¥むかし¥にんみやう−てんわう/の¥ぎよ=う、¥かしやう−さんねん−さんぐわつ/に、¥かもん/の−かみ−ていびん、¥とたう/の¥とき、¥たいたう/の¥びは/の−はかせ¥れんせふぶ/に¥あひ、¥さんきよく/を¥つたへ/て¥きてう−せ/し/に、P59¥その−とき¥けんじやう、¥ししまる、¥せいざん、¥さんめん/の¥びは/を¥さうでん−し/て¥わたり/ける/が、¥りうじん/や¥をしみ¥たまひ/けん、¥なみかぜ¥あらく¥たち/けれ/ば、¥ししまる/を/ば¥かいてい/に¥しづめ/ぬ。¥いま¥にめん/の¥びは/を¥わたい/て、¥わが¥てう/の¥みかど/の¥おん=たから/と¥す。¥むらかみの−せいたい¥おうわ/の¥ころほひ、¥さんごやちう/の¥しんげつ/の¥いろ¥しろく¥さえ、¥りやうふう¥さつさつ/たり/し¥よ¥なかば/に、¥みかど¥せいりやうでん/に/して、¥けんじやう/を/ぞ¥あそばさ/れ/ける。¥とき/に¥かげ/の/ごとく/なる¥もの、¥ごぜん/に¥さんじ/て、¥いう/に¥けだかき¥こゑ/を¥もつて、¥しやうが/を¥めでたう¥つかまつる。¥みかど¥しばらく¥おん=びは/を¥さし−おか/せ¥たまひ/て、「¥そもそも¥なんぢ/は¥いか/なる¥もの/ぞ。¥いづく/より¥き/たれ/る/ぞ」/と¥おほせ/けれ/ば、¥こたへ¥まうし/て¥いはく、「¥これ/は¥むかし¥ていびん/に¥さんきよく/を¥つたへ¥さふらひ/し、¥たいたう/の¥びは/の−はかせ、¥れんせふぶ/と¥まうす¥もの/にて¥さふらふ/が、¥さんきよく/の¥なか/に、¥ひきよく/を¥いつきよく¥のこせ/る¥つみ/に¥よつ/て、¥まだう/に¥ちんりん¥つかまつる。¥いま¥きみ/の¥おん=ばちおと、¥たへ/に¥きこえ¥はんべる¥あひだ、¥さんにふ¥つかまつる¥ところ/なり。¥ねがは−く/は¥この¥きよく/を¥きみ/に¥さづけ¥まゐらせ/て、¥ぶつくわ¥ぼだい/を¥しようず/べき」¥よし¥まうし/て、¥ごぜん/に¥たて/られ/たり/ける¥せいざん/を¥とり、¥てんじゆ/を¥ねぢ/て、¥この¥きよく/を¥きみ/に¥さづけ¥たてまつる。¥さんきよく/の¥なか/に¥しやうげん¥せきしやう¥これ/なり。¥その−のち/は¥きみ/も¥しん/も、¥おそれ/させ¥たまひ/て、¥あそばし−ひく¥こと/も、¥せ/させ¥たまは/ざり/し/を、¥にんわじ/の−お=むろ/の¥ごしよ/へ、¥まゐら/させ¥たまひ/たり/し/を、¥この¥つねまさ¥さいあい/の¥とうぎやう/たる/に¥よつ/て、¥くだし¥たまはら/れ/たり/ける/とかや。¥かふ/は¥しとう/の¥かふ、¥なつやま/の¥みね/の¥みどり/の¥こ/の−ま/より、¥ありあけ/の−つき/の¥いで/ける/を、¥ばちめん/に¥かか/れ/たり/ける¥ゆゑ/に/こそ、¥せいざん/と/は¥なづけ/けれ。¥けんじやう/に/も¥あひ−おとら/ぬ¥きたい/の¥めいぶつ/なり。P60
「いちもんのみやこおち」(『いちもんのみやこおち』)S0719¥いけの−だいなごん−よりもりの−きやう/も、¥いけ=どの/に¥ひ¥かけ/て¥いで/られ/たる/が、¥とば/の¥みなみ/の¥もん/にて、¥わすれ/たる¥こと¥あり/とて、¥よろひ/に¥つけ/たる¥あかじるし=ども¥かなぐり−すて/させ、¥その¥せい¥さんびやく−よ−き、¥みやこ/へ¥かへり−のぼら/れ/けり。¥ゑつちうの−じらう−びやうゑ−もりつぎ、¥ゆみ¥わき−ばさみ、¥おほい=との/の¥おん=まへ/に¥はせ−まゐり、¥いそぎ¥むま/より¥とん/で¥おり、¥かしこまつ/て、「¥あれ¥ごらん¥さふらへ。¥いけ=どの¥おん=とどまり/に¥よつ/て、¥おほく/の¥さぶらひ=ども¥とどまり¥さふらふ/が、¥きくわい/に¥おぼえ¥さふらふ。¥いけ=どの/まで/は¥その¥おそれ/も¥さふらへ/ば、¥さぶらひ=ども/に¥や¥ひとつ¥い−かけ¥さふらは/ばや」/と¥まうし/けれ/ば、¥おほい=との、「¥いま¥これ−ほど/の¥ありさま=ども/を、¥み−はて/ぬ/ほど/の¥ふたうじん/は、¥さ¥なく/と/も¥あり/な/ん」/と¥のたまへ/ば、¥ちから¥およば/で¥い/ざり/けり。「¥さて¥こまつ=どの/の¥きんだち/は¥いか/に」/と¥のたまへ/ば、「¥いまだ¥ご=いつしよ/も¥みえ/させ¥たまひ¥さふらは/ず」/と¥まうす。¥おほい=との、「¥みやこ/を¥いで/て、¥いま¥いちにち/だに¥すぎ/ざる/に、¥はや¥ひとびと/の¥こころ=ども/の¥かはり−ゆく¥うたて−さ/よ」/と/ぞ¥のたまひ/ける。¥しん−ぢうなごん−とももりの−きやう、「¥ゆく−すゑ/とて/も¥たのもしから/ず。¥ただ¥みやこ/の¥うち/にて¥いか/に/も−なら/せ¥たまへ/と、¥さ/しも¥まうし/つる/ものを」/とて、¥おほい=との/の¥おん=かた/を、¥よに/も¥うらめし=げ/に/ぞ¥み¥たまひ/ける。P61¥そもそも¥いけ=どの/の¥おん=とどまり/を¥いか/に/と¥いふ/に、¥ひやうゑ/の−すけ−よりとも、¥つね/は¥なさけ/を¥かけ¥たてまつ/て、「¥まつたく¥おん=かた/を/ば¥おろか/に¥おもひ¥たてまつら/ず、¥ひとへに¥こ=いけ=どの/の¥おん=わたり/と/こそ¥ぞんじ¥さふらへ。¥はちまん−だい−ぼさつ/も¥ご=せうばつ¥さふらへ」/など、¥たびたび¥せいじやう/を¥もつて¥まうさ/れ/けり。¥へいけ−つゐたう/の¥うつて/の¥つかひ/の¥のぼる/ごと/に、「¥あひ−かまへ/て¥いけ=どの/の¥さぶらひ/に¥むかつ/て¥ゆみ¥ひく/な」/なんど、¥こと/に¥ふれ/て¥はうじん−せ/られ/たり/けれ/ば、「¥いちもん/の¥へいけ/は¥うん¥つき/て、¥みやこ/を¥おち/ぬ。¥いま/は¥ひやうゑ/の−すけ/に/こそ¥たすけ/られ/んずれ」/とて、¥おち−とどまら/れ/たり/ける/と/ぞ¥きこえ/し。¥はちでうの−にようゐん/は、¥みやこ/を/ば¥いくさ/に¥おそれ/させ¥たまひ/て、¥にんわじ/の¥ときは=どの/に¥しのう/で¥ましまし/ける¥ところ/へ¥まゐり¥こもら/れ/けり。¥この¥よりもりの−きやう/と¥まうす/は、¥にようゐん/の¥おん=めのと¥さいしやう=どの/と¥まうす¥にようばう/に、¥あひ−ぐせ/られ/たり/ける/に¥よつ/て/なり。「¥しぜん/の¥こと/も¥さふらは/ば、¥よりもり¥たすけ/させ¥おはしませ」/と¥まうさ/れ/けれ/ば、¥にようゐん、「¥いま/は¥よ/が¥よ/で¥あら/ば/こそ」/と、¥よ/に¥たのもし=げ/も¥なう/ぞ¥おほせ/ける。¥およそ/は¥ひやうゑ/の−すけ/ばかり/こそ、¥はうじん/を¥ぞんず/と¥いへ/ども、¥じよ/の¥げんじ=ら/は¥いかが¥あら/んず/らん。¥なまじひ/に¥いちもん/に/は¥ひき−わかれ/て、¥おち−とどまり/ぬ。¥なみ/に/も¥いそ/に/も¥つか/ぬ¥ここち/ぞ¥せ/られ/ける。¥さる−ほど/に¥こまつ=どの/の¥きんだち¥きやうだい¥ろくにん、¥つがふ¥その¥せい¥いつせん−よ−き、¥よど/の¥むつだがはら/にて、¥ぎやうがう/に¥おつ−つき¥たてまつら/る。¥おほい=との¥なのめ/なら/ず¥うれし=げ/にて、「¥いか/に/や¥いま/まで/の¥ちさん¥ざふらふ」/と¥のたまへ/ば、¥さんみ/の−ちうじやう、「¥をさなき¥もの=ども/が¥あまり/に¥したひ¥さふらふ/を、¥とかう¥こしらへ−おか/ん/と¥つかまつる/ほど/に、¥ぞん/の−ほか/の¥ちさん」/と¥まうさ/れ/けれ/ば、¥おほい=との、P62「¥など¥ろくだい=どの/を/ば¥めし−ぐせ/られ¥さふらは/ぬ/ぞ。¥こころ−つよく/も¥とどめ¥たまふ/ものかな」/と¥のたまへ/ば、¥さんみ/の−ちうじやう、「¥ゆく−すゑ/とて/も¥たのもしう/も¥さふらは/ず」/とて、¥とふ/に¥つらさ/の¥なみだ/を¥ながさ/れ/ける/こそ¥かなしけれ。¥おち−ゆく¥へいけ/は¥たれ¥たれ/ぞ。¥さきの−ないだいじん−むねもり=こう、¥へい−だいなごん−ときただ、¥へい−ぢうなんごん−のりもり、¥しん−ぢうなごん−とももり、¥しゆり/の−だいぶ−つねもり、¥ゑもん/の−かみ−きよむね、¥ほん−ざんみ/の−ちうじやう−しげひら、¥こまつの−さんみ/の−ちうじやう−これもり、¥おなじき−しん−ざんみ/の−ちうじやう−すけもり、¥ゑちぜんの−さんみ−みちもり、¥てんじやうびと/に/は、¥くら/の−かみ−のぶもと、¥さぬきの−ちうじやう−ときざね、¥ひだん/の−ちうじやう−きよつね、¥おなじき−せうしやう−ありもり、¥たんごの−じじう−ただふさ、¥くわうごぐう/の−すけ−つねまさ、¥さま/の−かみ−ゆきもり、¥さつまの−かみ−ただのり、¥むさしの−かみ−ともあきら、¥のとの−かみ−のりつね、¥びつちうの−かみ−もろもり、¥をはりの−かみ−きよさだ、¥あはぢの−かみ−きよふさ、¥わかさの−かみ−つねとし、¥くらんど/の−たいふ−なりもり、¥つねもり/の¥おとご¥たいふ−あつもり、¥ひやうぶ/の−せふ−まさあきら、¥そう/に/は¥にゐ/の−そうづ−せんしん、¥ほつしようじ/の−しゆぎやう−のうゑん、¥ちうなごん/の−りつし−ちうくわい、¥きやうじゆ−ばう/の−あじやり−いうゑん、¥ぶし/に/は¥じゆりやう、¥けんびゐし、¥ゑふ、¥しよし/の¥じよう¥ひやくろくじふにん、¥つがふ¥その¥せい¥しちせん−よ−き、¥これ/は¥この¥さん−か−ねん/が¥あひだ、¥とうごく¥ほくこく¥どど/の¥いくさ/に¥うち−もらさ/れ/て、¥わづか/に¥のこる¥ところ/なり。¥へい−だいなごん−ときただの−きやう、¥やまざき¥せきど/の−ゐん/に¥たま/の¥み=こし/を¥かき−すゑ/させ、¥をとこやま/の¥かた¥ふし−をがみ、「¥なむ−きみやう−ちやうらい¥はちまん−だい−ぼさつ、¥ねがは−く/は¥きみ/を¥はじめ¥まゐらせ/て、¥われ=ら/を¥いま−いちど¥こきやう/へ¥かへし−いれ/させ¥たまへ」/と¥いのら/れ/ける/こそ¥かなしけれ。¥おのおの¥うしろ/を¥かへりみ¥たまへ/ば、¥かすめる¥そら/の¥ここち−し/て、¥けぶり/のみ¥こころ−ぼそう/ぞ¥たち−のぼる。P63¥へい−ぢうなごん−のりもり、¥
はかなし/な¥ぬし/は¥くもゐ/に¥へだつれ/ば¥やど/は¥けぶり/と¥たち−のぼる/かな W057¥
しゆり/の−だいぶ−つねもり、¥
ふるさと/を¥やけの/が−はら/と¥かへりみ/て¥すゑ/も¥けぶり/の¥なみぢ/を/ぞ W058¥
ゆく¥まことに¥こきやう/を/ば、¥いつぺん/の¥えんぢん/に¥へだて/つつ、¥せんど¥ばんり/の¥うんろ/に¥おもむか/れ/けん、¥こころ/の¥うち¥おし−はから/れ/て¥あはれ/なり。¥ひごの−かみ−さだよし/は、¥かはじり/に¥げんじ¥まつ/と¥きい/て、¥け−ちらさ/ん/とて、¥その¥せい¥ごひやく−よ−き/で¥はつかう−し/たり/ける/が、¥ひがごと/なれ/ば/とて¥とつ/て¥かへし/て¥のぼる/ほど/に、¥うどの/の¥へん/にて¥ぎやうがう/に¥まゐり−あひ、¥いそぎ¥むま/より¥とん/で¥おり、¥おほい=との/の¥おん=まへ/に¥まゐり¥かしこまつ/て、「¥あな¥こころ−う/や、¥こ/は¥いづち/へ/とて¥わたら/せ¥たまひ¥さふらふ/やらん。¥さいこく/へ¥くだら/せ¥たまひ/たら/ば、¥おちうと/とて、¥あそこ−ここ/にて¥うち−もらさ/れ/て、¥うき−な/を¥ながさ/せ¥ましまさ/ん¥こと、¥くちをしう¥さふらふ/べし。¥ただ¥みやこ/の¥うち/にて、¥いか/に/も−なら/せ¥たまふ/べう/も/や¥さふらふ/らん」/と¥まうし/けれ/ば、¥おほい=との、「¥さだよし/は¥いまだ¥しら/ぬ/か。¥きそ¥すでに¥ほくこく/より¥ごまん−よ−き/で¥せめ−のぼり、¥ひえいさん¥ひがしざかもと/に¥みちみち/たり。¥ほふわう/も¥すぎ/し¥やはん/に、¥うせ/させ¥たまひ/ぬ。¥ひとびと/は¥みやこ/の¥うち/にて¥いか/に/も−なら/ん/と¥まうし−あは/れ/けれ/ども、¥まのあたり¥にようゐん、¥にゐ=どの/に¥うき−め/を¥みせ¥まゐらせ/ん/も、¥わが−み/ながら¥くちをしけれ/ば、¥せめて¥ぎやうがう/ばかり/を/も¥なし¥たてまつり、¥おのおの/を/も¥ひき−ぐし/て、¥さいこく/の¥かた/へP64¥おち−くだり、¥ひとまづ/も/と¥おもふ/ぞ/かし」/と¥のたまへ/ば、「¥さ¥さふらは/ば、¥さだよし/は¥み/の¥いとま/を¥たまはつ/て、¥みやこ/の¥うち/にて¥いか/に/も−なり¥さふらは/ん」/とて、¥めし−ぐし/たり/ける¥ごひやく−よ−き/の¥せい/を/ば、¥こまつ=どの/の¥きんだち=たち/に¥つけ¥まゐらせ、¥てぜい¥さんじつき/ばかり¥みやこ/へ¥とつ/て¥かへす。¥へいけ/の¥よたう/の¥みやこ/に¥のこり−とどまつ/たる/を¥うた/ん/とて、¥さだよし/が¥かへり−いる¥よし¥きこえ/しか/ば、¥いけの−だいなごん/は¥よりもり/が¥み/の−うへ/で/ぞ¥あら/んず/らん/と、¥おほき/に¥おそれ−さわが/れ/けり。¥され/ども¥さだよし/は、¥にしはちでう/の¥やけあと/に¥おほまく¥ひか/せ、¥いち−や¥しゆくし/たり/けれ/ども、¥かへり−いら/せ¥たまふ¥へいけ/の¥きんだち¥いち−にん/も¥おはせ/ざり/けれ/ば、¥さすが¥よ/の¥ありさま¥こころ−ぼそく/や¥おもひ/けん、¥げんじ/の¥こま/の¥ひづめ/に¥かけ/させ/じ/とて、¥こまつ=どの/の¥おん=はか¥ほら/せ、¥ご=こつ/に¥むかひ¥たてまつ/て、¥なくなく¥まうし/ける/は、「¥あな¥あさまし、¥ご=いちもん/の¥おん=はて¥ごらん¥さふらへ。¥しやう¥ある¥もの/は¥かならず¥めつす。¥たのしみ¥つき/て¥かなしみ¥き/たる/と¥いふ¥こと/を/ば、¥むかし/より¥かき−おき/たる¥こと/にて¥さふらへ/ども、¥まのあたり¥かかる¥うき¥こと¥さふらは/ず。¥きみ/は¥かかる/べかり/ける¥こと/を、¥かねて¥さとら/せ¥たまひ/て、¥ぶつしん¥さんぽう/に¥ご=きせい¥あつ/て、¥おん=よ/を¥はやう¥せ/させ¥ましまし/ける¥こと/こそ、¥あり−がたう¥さふらへ。¥いか/に/も−し/て¥その−とき、¥さだよし/も¥ごせ/の¥おん=とも¥つかまつる/べう¥さふらひ/し/ものを、¥かひ−なき¥いのち¥ながらへ/て、¥けふ/は¥かかる¥うき−め/に¥あひ¥さふらふ¥こと/こそ、¥くちをしう¥さふらへ。¥しご/の¥とき/は、¥かならず¥いちぶつど/へ¥むかへ/させ¥たまへ」/と¥なくなく¥はるか/に¥かき−くどき、¥こつ/を/ば¥かうや/へ¥おくり、¥あたり/の¥つち/を/ば¥かもがは/へ¥ながさ/せ、P65¥ゆく−すゑ¥たのもしから/ず/や¥おもひ/けん、¥しゆ/と¥うしろ−あはせ/に、¥とうごく/の¥かた/へ/ぞ¥おち−ゆき/ける。¥さだよし/は¥せんねん¥うつのみや/を¥まうし−あづかつ/て、¥その−とき¥なさけ−あり/しか/ば、¥こんど/も¥また¥うつのみや/を¥たのう/で¥くだつ/たり/けれ/ば、¥その¥よしみ/に/や¥はうじん−し/ける/と/ぞ¥きこえ/し。¥
(『ふくはらおち』)S0720¥へいけ/は¥こまつの−さんみ−ちうじやう−これもりの−きやう/の¥ほか/は、¥おほい=との¥いげ、¥さいし/を¥ぐせ/られ/けれ/ども、¥つぎざま/の¥ひとびと/は、¥さ/のみ¥ひき−しろふ/に/も¥およば/ね/ば、¥こうくわい¥その¥ご/を¥しら/ず、¥みな¥うち−すて/て/ぞ¥おち−ゆき/ける。¥ひと/は¥いづれ/の¥ひ¥いづれ/の¥とき、¥かならず¥たち−かへる/べし/と、¥その¥ご/を¥さだめ−おく/だに/も、¥わかれ/は¥かなしき¥ならひ/ぞ/かし。¥いはんや¥これ/は¥けふ/を¥さいご、¥ただいま¥かぎり/の¥こと/なれ/ば、¥ゆく/も¥とまる/も、¥たがひ/に¥そで/を/ぞ¥しぼり/ける。¥さうでん¥ふだい/の¥よしみ、¥としごろ−ひごろ/の¥ぢうおん、¥いかで/か¥わする/べき/なれ/ば、¥おい/たる/も¥わかき/も、¥みな¥あと/を/のみ¥かへりみ/て、¥さき/へ/は¥すすみ/も¥やら/ざり/けり。¥あるひは¥いそべ/の¥なみまくら、¥やへ/の¥しほぢ/に¥ひ/を¥くらし、¥あるひは¥とほき/を¥わけ、¥はげしき/を¥しのい/で、¥こま/に¥むち¥うつ¥ひと/も¥あり。¥ふね/に¥さを¥さす¥もの/も¥あり、¥おもひおもひ¥こころごころ/に/ぞ¥おち−ゆき/ける。¥
「ふくはらおち」¥へいけ/は¥ふくはら/の¥きうり/に¥つい/て、¥おほい=との、¥しかる/べき¥さぶらひ¥らうせう¥すひやくにん¥めし/て¥のたまひ/ける/はP66、「¥しやくぜん/の¥よけい¥いへ/に¥つき、¥せきあく/の¥よあう¥み/に¥およぶ/が¥ゆゑ/に、¥しんめい/に/も¥はなた/れ¥たてまつり、¥きみ/に/も¥すて/られ¥まゐらせ/て、¥ていと/を¥いで/て¥りよはく/に¥ただよふ¥うへ/は、¥なん/の¥たのみ/か¥ある/べき/なれ/ども、¥いちじゆ/の¥かげ/に¥やどる/も、¥ぜんぜ/の¥ちぎり¥あさから/ず。¥おなじ¥ながれ/を¥むすぶ/も、¥たしやう/の¥えん¥なほ¥ふかし。¥いはんや¥なんぢ=ら/は、¥いつたん¥したがひ−つく¥もんきやく/に¥あら/ず、¥るゐそ¥さうでん/の¥けにん/なり。¥あるひは¥きんしん/の¥よしみ、¥た/に¥こと/なる/も¥あり。¥あるひは¥ぢうだい¥はうおん¥これ¥ふかき/も¥あり。¥かもん¥はんじやう/の¥いにしへ/は、¥その¥おん=ぱ/に¥よつ/て¥わたくし/を¥かへりみ/き。¥なん/ぞ¥いま¥その¥はうおん/を¥むくは/ざら/ん/や。¥しかれ/ば¥じふぜん−ていわう、¥さんじゆ/の−しんぎ/を¥たいし/て¥わたら/せ¥たまへ/ば、¥いか/なら/ん¥の/の¥すゑ、¥やま/の¥おく/まで/も、¥ぎやうがう/の¥おん=とも¥まうし/て、¥いか/に/も−なら/ん/と/は¥おもは/ず/や」/と¥のたまへ/ば、¥らうせう¥みな¥なみだ/を¥おさへ/て、「¥あやし/の¥とり¥けだもの/も、¥おん/を¥はうじ¥とく/を¥むくふ¥こころ/は¥さふらふ/なり。¥いはんや¥じんりん/の¥み/と/して、¥いかで/か¥その¥ことわり/を¥ぞんぢ¥つかまつら/で/は¥さふらふ/べき。¥なかんづく¥きうせん¥ばじやう/に¥たづさは/る¥ならひ、¥ふたごころ¥ある/を¥もつて¥はぢ/と¥す。¥その−うへ¥この¥にじふ−よ−ねん/が¥あひだ、¥さいし/を¥はぐくみ、¥しよじう/を¥かへりみ¥さふらふ¥こと/も、¥しかしながら¥きみ/の¥ご=おん/なら/ず/と¥いふ¥こと¥なし。¥しかれ/ば¥につぽん/の¥ほか、¥しんら、¥はくさい、¥かうらい、¥けいたん、¥くも/の¥はて¥うみ/の¥はて/まで/も、¥ぎやうがう/の¥おん=とも¥つかまつり、¥いか/に/も−なり¥さふらは/ん」/と、¥いく−どうおん/に¥まうし/たり/けれ/ば、¥ひとびと¥みな¥たのもし=げ/に/ぞ¥み¥たまひ/ける。¥さる−ほど/に¥へいけ/は¥ふくはら/の¥きうり/に/して、¥いち−や/を/ぞ¥あかさ/れ/ける。¥をりふし¥あき/の¥つき/は¥しも/の¥ゆみはり/なり。¥しんこう¥くうや¥しづか/に/して、¥たびね/の¥とこ/の¥くさまくら、¥つゆ/も¥なみだ/に¥あらそひ/て、¥ただ¥もの/のみ/ぞP67¥かなしき。¥いつ¥かへる/べし/と/も¥おぼえ/ね/ば、¥こ=にふだう−しやうこく/の¥つくり−おき¥たまへ/る¥ふくはら/の¥ところどころ/を¥み¥たまふ/に、¥はる/は¥はなみ/の¥をか/の−ごしよ、¥あき/は¥つきみ/の¥はま/の−ごしよ、¥いづみ=どの、¥まつかげ=どの、¥ばば=どの、¥にかい/の¥さじき=どの、¥ゆきみ/の−ごしよ、¥かや/の−ごしよ、¥ひとびと/の¥たち=ども、¥ごでうの−だいなごん−くにつなの−きやう/の¥うけたまはつ/て¥ざうしん−せ/られ/し¥さとだいり、¥をし/の−かはら、¥たま/の−いしだたみ、¥いづれ/も¥いづれ/も、¥みとせ/が/ほど/に¥あれ−はて、¥きうたい¥みち/を¥ふさぎ、¥あき/の¥くさ¥かど/を¥とづ。¥かはら/に¥まつ¥おひ¥かき/に¥つた¥しげれ/り。¥だい¥かたぶい/て¥こけ¥むせ/り。¥まつかぜ/のみ/や¥かよふ/らん。¥すだれ¥たえ¥ねや¥あらは/なり。¥つきかげ/のみ/ぞ¥さし−いり/ける。¥あけ/ぬれ/ば¥ふくはら/の¥だいり/に¥ひ/を¥かけ/て、¥しゆしやう/を¥はじめ¥まゐらせ/て、¥ひとびと¥みな¥おん=ふね/に¥めす。¥みやこ/を¥いで/し/ほど/こそ¥なけれ/ども、¥これ/も¥なごり/は¥をしかり/けり。¥あま/の¥たく¥も/の¥ゆふけぶり、¥をのへ/の¥しか/の¥あかつき/の¥こゑ、¥なぎさなぎさ/に¥よする¥なみ/の¥おと、¥そで/に¥やど¥かる¥つき/の¥かげ、¥ちぐさ/に¥すだく¥しつしゆつ/の¥きりぎりす、¥すべて¥め/に¥み、¥みみ/に¥ふるる¥こと/の、¥ひとつ/と/して¥あはれ/を¥もよほし、¥こころ/を¥いたま/しめ/ず/と¥いふ¥こと¥なし。¥きのふ/は¥とうくわん/の¥ふもと/に¥くつばみ/を¥ならべ/て、¥じふまん−よ−き、¥けふ/は¥さいかい/の¥なみ/の¥うへ/に、¥ともづな/を¥とい/て¥しちせん−よ−にん、¥うんかい¥ちんちん/と/して、¥せいでん¥すでに¥くれ/な/ん/と¥す。¥こたう/に¥せきぶ¥へだて/て、¥つき¥かいしやう/に¥うかべ/り。¥きよくほ/の¥なみ/を¥わけ、¥しほ/に¥ひか/れ/て¥ゆく¥ふね/は、¥はんでん/の¥くも/に¥さかのぼる。¥ひかず¥ふれ/ば、¥みやこ/は¥さんせん¥ほど/を¥へだて/て、¥くもゐ/の¥よそ/に/ぞ¥なり/に/ける。¥はるばる¥き/ぬ/と¥おもへ/ども、¥ただ¥つきせ/ぬ¥もの/は¥なみだ/なり。¥なみ/の¥うへ/に¥しろき¥とり/の¥むれ−ゐる/を¥み¥たまひ/て/は、¥かれ/なら/ん、P68¥ありはらの−なにがし/の、¥すみだがは/にて¥こと−とひ/けん、¥な/も¥むつまじ/き¥みやこどり/かな/と¥あはれ/なり。¥じゆえい−にねん−しちぐわつ−にじふごにち/に、¥へいけ¥みやこ/を¥おち−はて/ぬ。P69

 

入力者:荒山慶一



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