平家物語(城方本・八坂系本)
巻第六
新院の崩御
 ぢしよう五ねんしやうぐわつついたちのひだいりにはとうごくのへいかくなんとのくわさいによつてはいらいなしこでうはいもおこなはれず二かのひでんじやうのゑんすゐもなししんゐんのごしよにはごなうときこえさせたまひしかばなんにようちひそめてきんちうのありさまいまいましきほどなりほうわうもないないおほせけるは四だいのていわうおもへばこなりまごなりしかるにせいむをもしろしめさずしてとしつきをおくらむこころうしとぞおほせけるなんとのそうがう三十四にんをげくわんせらるあくそうどもをばきんごくせらるしうとはせんぢやうにてうたれあるひはやきころされあるひはながしうしなはれしかばたまたまのこるものどももいへかまどをすててみなさんりんにこそまじりけれなかにもこうふくじのべつたうけりんゐんのそうじやうやうゑんはほうもんしやうけうのけぶりとなるをみたまひしひよりしてやまひつきほどなううせたまひぬこのやうゑんはやさしきひとにてぞましましけるあるときほととぎすのなくをききたまひてきくたびにめづらしければほととぎすいつもはつねのここちこそすれ とよまれたりけるによつてこそはつねのそうじやうとはめされけれおなじき四かのひそうみやうのさたありしかどもなんとはげくわんせられぬさらばてんだいしうのしゆとばかりをめさるべきかさらずはごえんいんあるべきかなんどごさたありしかどもことしはごさいゑばかりあるべしとてさんろうしうのがくしやうのなかにじやうほうわうかうとてくわんじゆじにさふらはれけるらうそうばかりをめされてぞかたのごとくのごさいゑをばとげられけりそのほどにしんゐんのごしよはこぞのふゆよりごなうときこえさせたまひしがとうごくのへいかくなんとのくわさいによつてなほおもらせたまひしがおなじきむつき十二にちにおんとし二十一にてつひにかくれさせたまひけりやがてそのよひがしやませいかんじへおくりたてまつりゆふべのけぶりにたぐへつつはるのかすみとともにたちぞきえさせたまひける八さいよりおんくらゐにつかせたまひぎよう十二ねんとくせい千まんたんししよじんぎのすたれだるみちをおこしりせいあんらくのたえたるあとをつぎたまふじひのおんめぐみはいつてんをてらしびやうどうのいつくしみは四かいのほかにながれたり三みやう六つうのらかんもまぬかれずげんじゆつへんげのごんじやものがるるかたなきみちなれどもしやうしむじやうのかなしみはことわりすぎてぞおぼえたる
紅葉
 そもそもたかくらのゐんとまをしたてまつるはひとのしたがひつきたてまつることもおそらくはえんぎてんりやくのみかどとまをすともこれにはいかでかまさらせたまふべきとぞひとまをしけるおほかたはけんわうのなをあげじんとくのかうをほどこさせおはしますこともきみごせいじんののちはせいぢよくをわかたせたまひてそのうへのことにてこそあるにむげにこのきみはえうちにわたらせたまひしよりこのかたせいをにうわにうけさせおはしますしようあんのころほひはございゐのはじめつかたにておんとしわづかに十さいばかりにもやならせおはしましけんもみぢをことにえいらんあるにあるときはじかへでのまことにいろうつくしうもみぢたりけるがまゐりたりけるをしゆじやうなのめならずぎよかんあつてきたのぢんにこやまをつかせこれをうゑさせもみぢのやまとなづけてひねもすにえいらんあるになほあきたらせおはしまさずしかるをあるよあらしはげしうふきてもみぢをみなふきちらしらくえふすこぶるらうぜきなりとのもりのとものみやつこあさぎよめすとてことごとくこれをとりすててんげりのこれるえだちれるこのはをかきあつめてあらしすさまじきあしたなればぬひどののぢんにてさけあたためてたべけるたきぎにこそはしたりけれだいぜんのだいぶのぶなりがいまだそのころくらうどにてもみぢのぶぎやううけたまはつてさふらひけるがみゆきよりさきにとかしこへゆきてみけるに一もなしいかにととひければしかじかとこたふのぶなりおほきにいろをうしなつてしらずなんぢらいかなるきんごくるざいにもあうたりのぶなりもまたいかなるげきりんにかあづからむずらむとおほきにおそれをののくところにしゆじやうはいとどしくよるのおとどをおんいであつておんあさまつりごとよりさきにとかしこへぎやうかうなつてえいらんあらんとするにあとかたなししゆじやうさていかにやとおんたづねありければのぶなりそうすべきやうはなしありのままにぞまをしけるしゆじやうてんきことにおんこころよげにうちゑませたまひてりんかんにさけあたためてこうえふをたくといふしのこころをばこれらにはたがをしへけるぞややさしうもつかまつつたるものかなとてかへりてえいかんにあづかつしうへはあへてちよくかんはなかりけりまたあんげん二ねんのふゆのすゑにしゆじやうあるところへおんかたたがへのぎやうかうのなりたりけるにさらでだにけいじんあかつきとなふこゑめいわうねふりをおどろかすころにもなりしかばしゆじやうはいつもおんねざめがちにてうちとけぎよしんもならざりけりいはんやさゆるしもよのてんきことにはげしきときはむかしえんぎのせいだいこくどのたみどもがいかにさむかりつらんとてよるのおとどよりぎよいをぬがせたまひておしいださせたまひしおんことまでもおぼしめしいでてわがていとくのいたらぬことをのみなげかせおはしますそののちはるかによふけひとしづまつてほどとほくをんなのさけぶおとのしければぐぶのくぎやうでんじやうびとはききもいだされざりけるをしゆじやうはきこしめしいだしてただいまさけぶはなにものぞきつとみてまゐれとおほせければうへふししたるでんじやうびとじやうじつのものにおほせくださるじやうじつのものうけたまはつてはしりめぐつてみけるにあるつじにあやしのめのわらはのながもちのふたさげたるがなくにてぞありけるじやうじつのものたちよりていかにととひければささふらへばこそしうのにようばうのやうやうにしてしたてられてさふらひつるおしやうぞくをごしよへもちてまゐりさふらふをただいまおそろしげなるをとこ二三にんがほどいできたつてうばひとつてまかりぬるぞやいまはおしやうぞくがさふらはばこそごしよにもわたらせたまはめまたはかばかしうたちよらせたまふべきをしたしきひともましまさねばこれをおもふになくなりとぞまをしけるじやうじつのものかのめのわらはをぐそくしてごしよにかへりまゐりこのよしをそうしまをしたりければしゆじやうあなむざんなにもののしわざにてかありつらむむかしのげうのよのたみはげうのこころをもつてこころとするゆゑにみなすなほなりきいまのちんがよのたみはちんがこころをもつてこころとするゆゑにかだましきものてうにあつてつみををかすこれわがはぢにあらずやとぞおほせけるさてそのとられつるきぬはなにいろぞとおほせければしかじかとまをすちうぐうのおんかたにさやうのいろしたるおんきぬやさふらふとおほせつかはされたりければはるかにいろうつくしきがまゐりたりけるをしゆじやうかのめのわらはにくだしたまはすとてなほもよふかしさやうのめにもやあふとてじやうじつのものあまたつけさせおはしましてしうのにようばうのつぼねまでおくらせたまふぞかたじけなきさればあやしのしづのをしづのめにいたるまでただこのきみせんしうばんぜいのはうさんをいのりたてまつる
葵の前(あひ)
 なによりもそのころいうにやさしきためしにまをしはべりしはちうぐうのおんかたにさふらはれけるつぼねのにようばうたちのめしつかはれけるうへわらはのなかにあふひのまひとてりようがんにしせきしたてまつることありただあからさまのことにてもなうてしゆじやうつねはめされければしうのにようばうもめしつかはずかへつてしうのごとくにぞもてなしけるそのかみのえうえいにいかでぢよをうんでもひたんすることなかれぢようはひたりひはきさきともなれりしらずこのひとにようごきさきともやいはれたまはんずらんとてないないはあふひにようごなんどぞささやきまをしけるしゆじやうこのよしをつたへきこしめされてそののちはあへてめされざりけりこれはまつたうおんこころざしのつきさせたまへるにはあらずただよのそしりをおぼしめしはばからせたまふによりてなりされどもおんこころざしのつきさせたまはざりしかばくごをもつやつやきこしめされずぎよしんもうちとけならずそのときのせつろくまつどのこのよしをつたへききたまひてさてはさやうにおこころぐるしきおんことのわたらせたまふにこそまゐつてなぐさめたてまつらむとていそぎごさんだいあつてさやうにえいりよにかけておぼしめされむずるおんことをおんはばかりあつてなんのせんかさふらふべきただくだんのじんをめさるべしぞくしやうあひたづねらるるにおよばずやがてもとふさがやうやうにつかまつるべきよしをまをさせたまひたりければしゆじやうおほせなりけるはくらゐをしりぞいてのちはままさるためしありとはしろしめせどもまさしうざいゐのときかやうのものめされたるためしなしわがよにはじめたらむはこうだいのそしりなるべしとてつひにきこしめしもいれさせたまはずこのうへはくわんぱくどのもちからおよばせたまはずいそぎおんくるまにめしてごたいしゆつありあるときしゆじやうおんてならひのついでにみどんのうすやうのにほひことにふかかりけるにふるきうたなりけれどもかかるをりふしをおぼしめしいでてしのぶれどいろにいでにけりわがこひはものやおもふとひとのとふまで おんこころしりのでんじやうびとたまはりついてあふひのまひにたぶあふひのまひたまはつてれいならぬここちいできたりとてさとにかへりしやうじのうちにたふれふしこのぎよしよをむねにあてかほにあてかなしみけるが十四かとまをすにつひにはかなくなりにけりしゆじやうこのよしをつたへきこしめされてなのめならずおんなげきにしづませおはしますきみが一じつのおんのためにせふが百ねんのみをあやまつともかやうのことをやまをすべきかのたうのたいそうのていじんきがむすめをげんくわでんにいれしめんとせしときぎちようがいはくていぢよすでにりくしにやくせりといさめしによつてでんへいれられんとせしことをやめられたりしにもまさらせたまふおんこころばせかなとぞひとまをしけるきみはあふひのまひがことにおぼしめししづませたまひてごなうときこえさせたまひしかばちうぐうのおんかたよりごかいしやくのにようばうたちあまたまゐらせられけり
小督
 そのころさくらまちのちうなごんしげのりのきやうのおんむすめこがうのとのとまをしてきんちういちのびじんならびなきことのじやうずおはしけりれいぜいのだいなごんたかふさのきやうのいまだそのころせうしやうにてせちゑにまゐられたりけるがこのにようばうをひとめみそめたてまつつておもひにこころをそめうたをよみふみをつくしとしつきこひかなしまれけれどもなびくけしきもなかりしにさすがなさけによわるこころにやつひにはなびきたまひけりせうしやうちようあいしてわりなくおもはれけれどもほどなううちへめされまゐらせてあかぬわかれのなみだにやそでしほぬれてほしあへずせうしやうよそながらもみたてまつることもやとてつねはそのこととなくさんだいせられけりこがうのとののすみたまひけるつぼねのまへをかなたこなたへとほりみすのそとにたたずみありかれけれどもつてのなさけをだにもかけられずせうしやうなさけなくおもひたまひてあるとき一しゆのうたをかきてみすのうちへぞいれられけるおもひかねこころはそらにみちのくのちかのしほがまちかきかひなし こがうのとのやがてへんじをもせばやとはおもはれけれどもわれかやうにきみにめしおかれまゐらせぬるうへはせうしやういかにいふともことばをかはしへんじをすべきにあらずとてふみをばうへわらはにとらせてみすのそとへぞなげいだされけるせうしやうなさけなくもうらめしうはおもはれけれどもさすがひとめもそらおそろしくてこのふみをふところにひきいれつつあゆみいでられけるがさるにてもとてまたたちかへりたまづさをいまはてにだにとらじとやさこそこころにおもひすつとも いまはこんじやうにてあひみんこともかたければいきてゐてひとをこひしとおもはんよりただしなんとのみぞのたまひけるあうてあはざるこひもありあはでおもひふかきうらみもありあはでおもふこひよりもあうてあはざるうらみこそせんかたなくはおもはれけれこのれいぜいのせうしやうとまをすもにふだうしやうごくのむこなりまたちうぐうだいりにわたらせたまへばふたりのむこをこがうのとのにとられてにふだういやいやこのこがうがあらむかぎりはよのなかよかるまじさればこのこがうをとらへてなにともなさばやとぞのたまひけるこがうどのこのよしをつたへききたまひてわがみのともかうもならんはいかにもなりなんきみのおんことこそおんこころぐるしけれとてあるくれがたにだいりをばしのびつつまぎれいでゆきがたしらずぞうせられけるきみはこがうがことにおぼしめししづませたまひてぐごなんどもきこしめさずぎよしんもうちとけならずにふだうしやうごくこのよしをつたへききたまひてきみはこがうがことにおぼしめししづませたまひたんなれさらむにとつてはとてごかいしやくのにようばうたち一にんもまゐらせられずさんだいせられけるしんかたちをもそねまれければにふだうのけんゐにはばかりてさんだいするひとなしきんちうのありさまいたいたしきほどなりきみはこがうがことにおぼしめししづませたまひてひるはよるのおとどにのみいらせたまひよるはなんでんにしゆつぎよなつてつきのひかりにおんこころをすまさせおはしますころははづきの十かあまりのことなればさしもくまなきそらなれどもおんなみだにくもりてつきのひかりぞおぼろなるしゆじやうひとやさふらふひとやさふらふとおほせけれどもおんいらへまをすものもなかりけるにややあつてだんじやうのたいひつなかくにそのよしもごぜんちかうおんとのゐまをしてさふらひけるがなかくにとおいらへまをしてまゐりたりいかになかくにちかうまゐれおほせあはすべきことありとおほせければなかくにごぜんちかうぞまゐりたるおもひもかけぬことなれどももしこがうがゆくへやしりたるかとおほせければいかでかたやすくしりまゐらせさふらふべきしゆじやうまことやさがのおくかたをりどとやらんしたるうちにありとまをすもののあるぞとよあるじがなをばしらずともたづねてまゐらせなんやとぞおほせけるなかくにまをしけるはあるじがなをしりさふらはではいかでたやすくたづねまゐらせさふらふべきしゆじやうまことにもとてりようがんにおんなみだせきあへさせたまはずなかくにこのおほせうけたまはるかたじけなさにつくづくものをあんずるにまことやそのひとのだいりにてことひきたまひしときつねはふえのやくにめされてまゐりしものをたとひいづくにもおはせよこのつきのくまなさにきみのおんことおぼしめしいだしてことひきたまはぬことあらじさがのざいけいくほどなしうちまはつてたづねたてまつらんにそのひとのことのねならばいづくにてもききしらんずるものをとおもひければささふらはばたづねまゐらせてみまゐらせさふらはばやたとひたづねあひまゐらせてさふらふともごしよをたまはりさふらはではうはのそらにてもやさふらはんずらんとまをしたりければしゆじやうまことにもとてやがてごしよあそばしてぞたうだりけるれうのおんむまにのつてゆけとぞおほせけるなかくにおんむまたまはつてめいげつにむちをあげてそこはかとなくあこがれゆくをしかなくこのやまさととえいじけむさがのあたりのあきのくれさこそはあはれにおもひけめかたをりどしたるところをみつけてはもしこれにもやおはすらんとてひかへひかへききけれどもことひくおとはせざりけりこのつきのくまなさにつきのひかりにさそはれてもしみだうなんどへもやまゐりたまひたるらんとてしやかだうをはじめとしだうだうをまはつてたづねまゐらせけれどもこがうのとのににたるひとだにもなかりけりだいりをばさしもたのもしげにまをしていでぬたづぬるひとにはいまだあはずむなしうかへりまゐりたらんはなかなかあしかりなんこれよりいづかたへもおちゆかばやとはおもへどもいづくかわうどならぬみをかくすべきやどもなしほうりんはほどちかければほうりんのかたへとゆくほどにかめやまのあたりちかくまつのひとむらあるかたにかすかにことぞきこえけるみねのあらしかまつかぜかたづぬるひとのことのねかおぼつかなくはおもへどもこまをはやめてうつほどにかたをりどしたるうちにことをぞひきすましけるすこしもまがふべからずこがうのとののつまおとなりがくはなにぞとききければをとこおもうてこふとよむさうふれんをぞひかれけるがくしもこそおほきにただいまこのがくをひきたまふことよなかくにいとほしやこのひともいまだきみのおんことをばおぼしめしわすれざりけりとうれしくてやうでうすこしねとりむまよりとんでおりかどをほとほととたたきければことをばはやひきやみたまひぬこれはだいりよりなかくにとまをすものがおんつかひにまゐつてさふらふあけられさふらへあけられさふらへとてたたけどもたたけどもとがむるおともせざりけりややあつてうちよりひとのきたるおとのしければうれしくてまつところにぢやうをはづしかどをあけいたいけしたるこにようばうのかほばかりをさしいだしてこれはだいりなんどよりおんつかひたまはりぬべきところにてもさふらはずいかさまにもかどたがへにてもやさふらふらんとまをしければなかくにへんじせばかどたてられぢやうさされてはあしかりなんとやおもひけんやがておしあけてぞいりにけるこがうのとののすみたまひけるつまどのあひのえんによりゐてまをしけるはいかでかかるおんすまひにてわたらせたまひさふらふぞやきみはおんことゆゑにおぼしめししづませたまひてぐこなんどもきこしめされずぎよしんもうちとけならずただうはのそらとおぼしめされてさふらふがごしよをたまはつてまゐりてさふらふものをとてありつるにようばうしてきみのごしよをたてまつるひらいてみたまへばまことにきみのごしよなりやがてごへんじあそばしてひきむすびつつにようばうのしやうぞく一かさねそへておしいだされたりなかくににようばうのしやうぞくかたにうちかけてまをしけるはよのおんつかひにてもさふらはばごしよのごへんじのうへはしさいさふらふまじけれどもきみのだいりにておことひかせたまひしときつねはふえのやくにめされてまゐりさふらひしそのごほうこうをばいつしかおぼしめしわすれさせたまひてさふらふやらんぢきのごへんじうけたまはらざらむはくちをしうさふらひなんずとまをしければこがうのとのあるべしとやおもはれけんみづからへんじしたまひけりそこにもさだめてしられたるらんやうにだいじやうのにふだうどののあまりにおそろしきことをのみのたまふとききしがあさましさにあるくれがたにだいりをばしのびつつまぎれいでかかるすまひにてありつればことなんどひくこともなかりつるにあすのころよりをはらのへんにおもひたつことのさふらふあひだあるじのにようばうがこよひばかりのなごりををしみつつよもはやふけぬいまはたちぎくものもあらじなんどやうやうにこしらへおくほどにさぞなむかしのこともゆかしくててなれしことをひくほどにやすくもききいだされけるよとておんなみだにむせびたまへばなかくにもそでをぞぬらしけるなかくにまをしけるはあすのころよりをはらのへんにおぼしめしたつおんこととさふらふはいかさまにもおんさまなんどかへらるべきにてさふらふやらんあるべうもさふらはずあるじのにようばういだしたてまつるべからずとてめしぐしたりけるめぶきちじやうなんどまをすをとこをとどめおきわがみはだいりへかへりまゐりければよははやほのぼのとぞあけにけるれうのおんむまつながせつつにようばうのしやうぞくはねむまのしやうじになげかけいまははやぎよしんもはるかになりぬらんたれしてかまをすべきなんどおもひなんでんのかたへとゆくほどにいざよひのつきははやなんていをわたつてにしのちうもんへさしいれどもきみはよるのおとどへもいらせたまはずなかくにをおんまちがほにてゆふべのおんざにぞましましけるみなみにかけりきたにむかふかんうんのあきのかりにつけがたしひがしにいでにしにながるただせんばうをあかつきのつきによすとたからかにえいぜさせたまふところになかくにつつとまゐりこがうのとののごへんじをたてまつるしゆじやうなのめならずぎよかんあつておほせあはすべきものもなきにさらばやがてなんぢむかへかしとおほせければなかくにへいけのかへりききたまはんところをもはばかりおもひけれどもこれもまたちよくぢやうなりければてぐるまきよげにさたしさがにまゐりこのよしまをしたりければこがうのとのしきりにまゐるまじきよしをまをされけるをやうやうにしてこしらへむかへとりたてまつりかすかなるところにしのばせまゐらせてしゆじやうよなよなめされけるほどにひめみやひとところいできさせたまひけりこのひめみやとまをすはばうもんのにようゐんのおんことなり
九州の早馬(あひ)
 一ゐんはうちつづきおんなげきあさからずまづえうまんぐわんねん七ぐわつにはだい一のみこ二でうゐんかくれさせたまひぬまたあんげんぐわんねん七ぐわつにはおんまご六でうゐんほうぎよなりぬひよくのとりれんりのえだとほしをさしさしもおんちぎりあさからざりしけんしゆんもんゐんはゆふべのきりにをかされあしたのつゆときえぞうせさせたまひけるまたげんせごしやうたのみまゐらつさせたまひたりけるこのたかくらゐんにさへおくれまゐらつさせたまひしかば一じようめうてんのおんどくじゆ三みつごまのごくんじゆもつもらせたまひけりにふだうしやうごくもこのひごろこころのままにふるまはれけることをさすがそらおそろしうやおもはれけんあきいつくしまのないしがはらのおんむすめことし十六になられけるをほうわうへまゐらせられけりひとびとをもえらまれにようばうたちをもあまたつけまをされけりひとへにじゆだいのぎしきにたがはずしんゐんかくれさせたまひていまだ七ケにちだにもすぎざるにひといつしかつねめかしとぞまをしけるそのころしなののくにきそとまをすやまなかによしなかといふげんじありとぞきこえしこれはこ六でうのはんぐわんためよしがじなんこたちはきのせんじやうよしかたがこなりけりちちのよしかたはさんぬるきうじゆ二ねん九ぐわつ廿三にちにむさしのくにおほくらがやかたにしてあくげんたよしひらにくんでうたれぬそのときよしなかわづかに二さいになりけるをははいだきてしなのにこえきそのごんのちう三かねとほにあひてこのこそだててひとになしてみせたまへといひければかねとほかひがひしくもたのまれてこの廿よねんがあひだやういくしたりけるにおひたつままにみぢからだいにしてちからひとにすぐれたりはかりごとをめぐらすこともたむらとしひとにもこえまさかどすみともにもなほすぎたらむさればいかにしてへいけをほろぼしよをうちとらばやなむとぞまをしけるやうふのかねとほこのよしをききてまことにさやうにのたまふこそ八まんどののおんすゑともおぼゆれとほめられていよいよこころたけくなるまづしなののくににはねのゐのやた(イ大弥太)しげののゆきちかをさきとしてこくちうのものどもきそにつくかうつけのくににはなはのたらうひろずみをさきとしてたこのこほりのものどもこたちはきのせんじやうよしかたがよしみによつてきそにつくきそとまをすはしなののくににとつてもみなみのはしみののくににさかうたりそれよりみやこもほどちかかりければへいけのひとびとこはいかがせんとぞさわがれけるにふだうしやうごくこのよしをつたへききたまひてしなの一こくはしやうごくなればしたがふともじよのものどもはなにとかおもふべきなかにもゑちごのくにのぢうにんじやうのたらうすけながはよ五しやうぐんのばつえふたせいのものにてあんなればかれらにうちてまゐらせよとおほせくだされたらんになどかうちてまゐらせざるべきとよにもこともなげにぞのたまひけるおなじききさらぎついたちのひじやうのたらうにゑちごをたぶおなじき三かのひじやうのたらうゑちごのかみににんぜらるおなじき七かのひおとどのいへいへにおほせてそんしようだらにならびにふどうみやうわうのじくのじゆかきくやうせさせたてまつらるなにとしたらばはかばかしきことのあらんずるやうにともすればひとぐるしきことのみあつてとぞじやうげささやきあへりけるおなじき八かのひかはちのくにのぢうにんむさしのごんのかみよしもとにふだうしそくいしかはのはんぐわんだいよしかね五百よきにてむほんおこすときこえしかばおなじき九かのひせのをのたらうかねやす一せんよきにてかはちのくににはせくだりながののじやうにおしよせてさんざんにせめければよしもとにふだううたれにけりしそくいしかはのはんぐわんだいはいたでおひていけどりにこそせられけれおなじき十一にちによしもとにふだうがかうべおほぢをわたさるりやうあんにぞくしゆおほぢをわたさるることはほりかはのてんわうのおんときつしまのかみみなもとのよしちかがかうべおほぢをわたされたりしこんどそのれいとぞきこえしそもそもよしもとにふだうとまをすは八まんどのに五なんむつの五らうびやうゑよしときのあそんのこなりけりおなじき十二にちにうさのだいぐうじきんみつはやむまをたててへいけへまをしけるはうすきのじらうこれたかをがたの三らうこれよしざいざいしよしよにじやうくわくをかまへてだざいふのげちにもしたがはずとぞまをしけるいよのくににはかはのの四らうみちのぶ五百よきにてむほんおこすともきこえけりきのくににはゆあさの七らうびやうゑむねみつくまののべつたうたんそうこれもへいけをそむきてげんじにどうしんすともきこえけりとうごくほつこくはちのごとくにおこりあひなんかいさいかいかくのごとし四いすでにみだれぬよはたんだいまうせなむずこはいかがせんとぞさわがれける
入道の死去
 おなじきはつかのひへいけの一もん六はらにはせあつまつてそもそもこんどのいくさのやうはいかがあるべきとひやうぢやうありなかにもさきのうたいしやうむねもりのきやうのすすみいでてまをされけるはどどとうごくへうつてをばつかはしてさふらへどもはかばかしうしいだしたることもさふらはずこんどはむねもりまかりむかふべきよしをまをされたりければひとびとしきだいしてゆゆしうさふらひなんずさたにもさふらはばとうごくにおいてそむきたてまつるべきひと一にんもさふらふまじとまをしあはれければにふだうなのめならずよろこびたまひてぶくわんにそなはりきうせんにたづさはりぬべきひとはみなむねもりをたいしやうとしてとうごくへはつかうすべしとぞのたまひけるおなじき廿六にちにかどいでしてあかつきすでにうつたたんとしたまひけるそのよのやはんばかりよりにふだうにはかにおんやまひつきたまひしかばへいけはかどいでばかりにてとうごくげかうはやみにけりおなじき廿七にちににふだうおんやまひつきたまひぬときこえしかばきやうぢうのじやうげあはやさみつることよことよとぞまをしけるにふだうおんやまひつきたまひしひよりしてゆみづをだにものみいりたまはずみのうちのあつきことはただひをたくにおなじあまりにあつうたへがたければあたり四五けんはまゐりちかづくものもなくたまたままゐりたるものどももあわてさわぎてはしりいでただのたまふこととてはあつやあつやとばかりなりきんぎんのたぐひりようらきんしうぎうば六ちくのたからををしまずれいぶつれいしやへなげうたれけれどもぶつりきもしんりきもつきはてていのるいのりもかなはずただのたまふこととてはあつやあつやとばかりなりにふだうしやうごくのふしたまひけるうへをおほしかの五六十四五廿ばかりかなたへはこゆるこなたへはこゆるとぬればゆめさむればうつつにぞみたまひけるこれひとへにかすがのだいみやうじんのたちかけらせたまふにこそとおそろしかりしおんことなりおなじきうるふきさらぎついたちのひへいけのなんによひとつところにさしつどひかなしみたまへどかひぞなきなかにもにふだうのきたのかた二ゐどのはあまりにあつうたへがたけれどもおんまくらちかうたちよつていまははやごしよらうたのみすくなうみえさせたまひてさふらふになにごとにてもおぼしめしおくおんことさふらはばのたまひおかれさふらへかしとなみだもせきあへずのたまひければにふだうよにもくるしげにていきをついてのたまひけるはへいけよをとつて廿一ねんたのしみさかえはむかしもいまもためしすくなかりしことどもなりされどもしやうをうくるもののしをのがるることなしにふだう一にんにかぎらねばいまさらおどろくべきにもあらずただしかまくらのひやうゑのすけがかうべをみざりつることこそよみぢのさはりともなりぬべうおぼゆれにふだういかにもなりたらんのちあひかまへてきやうをもかきぶつたふをもくやうすべからずにふだうをにふだうとおもひあはれんずるひとびとはむねもりをたいしやうとしてとうごくにはつかうしひやうゑのすけがかしらをきつてつかのまへにかけさせよそれぞなににもすぐれたるこんじやうごしやうのけうやうともおもふべきとのたまひけるにぞきくひとつみふかげにはおもはれけるあるよまた二ゐどののおんゆめにうしのおもてしたるものやむまのおもてしたるものややしやきじんらが四五百千にんばかりひきつれて八えふのくるまのみやうくわおびただしうもえたるにくろがねのふだにむといふもじをかきてたてにふだうしやうごくのしゆくしよにし八でうのつぼのうちへからとやりいれたり二ゐどのあれはいかにとのたまへばこれはえんまだいわうよりへいけだいじやうのにふだうどののおんむかへにやしやきじんらがまゐりてさふらふとまをしたりければ二ゐどのゆめごころにおそろしうはおもはれけれどもさてあのふだはいかにととひたまへばこれはだいがらんほろぼしたまへるとがによつて八万ごふまでしづみたまふべきむげんのむなりげんのじはいまだあらはれずとまをすとおぼしてゆめさめてのち二ゐどのむなぐるしう五たいよりあせながれしばしはものをものたまはずそののちねつびやういよいよしきりにせめければせんずゐよりみづをくだしいしのふねにいれ四はうよりひをかけたれどもみづほどなくゆのごとくになりにけりひさげにみづをいれむねのあひだにおかれけれどもいささかくつろぐここちもしたまはずいたじきにみづをかけそのうへにころびふされけれどもなほたすかるここちもしたまはずただのたまふこととてはあつやあつやとばかりなりおなじきうるふきさらぎ四かのひもんぜつびやくぢしてつひにあつちじににこそしたまひけれおなじき五かのひにふだううせたまひぬときこえしかばきやうちう六はらにむまくるまのかけちがふおとはいかづちのごとしたとひいつてんのきみばんじようのあるじのいかなるおんことわたらせたまふともかぎりあればこれにはすぎじとぞみえしことしは六十四にぞなられけるかならずこれをおいじにとまをすべきにはあらねどもてんばつをかうむりたまひしかばひととかうまをすにおよばずひごろはみにかはらむいのちにかはらむとちぎりしつはものどもめいどのつかひをばふせがずまくらをならべふすまをかさねしさいせふもくわうせんのたびへはともなはずただひごろつくりおきしざいごふばかりやともなふらんとあはれなりしことどもなりさてしもあるべきならねばおなじき七かのひをたぎでらへおくりたてまつりゆふべのけぶりとなしたてまつるこつをばをぢのゑんじつほうげんくびにかけふくはらへもつてくだりきやうのしまにぞをさめけるかかりけるさうさうのよにふだうしやうごくのしゆくしよにし八でうよりひいできてにはかにやけにけるこそふしぎなれひとのいへのやくるはつねのならひなれどもをりふしこそあるにこれもただごとならずとぞひとまをしけるあやしのしづがなきあとにもつねはかねうちならしつとめおこなふこともあるぞかしさこそゆゐごんからにただあけくれはいくさかつせんのいとなみのほかはたじなしとぞきこえし慈心坊 にふだうしやうごくのさいごのありさまこそまことにおそろしかりけれどもおほかたはじんぎをうやまひぶつぽふをあがめたまふこともよにはまたすぐれたまへるひとなりそのゆゑはつのくにふくはらにきやうのしまをつかせじやうげわうらいのふねどものまつだいのいまにいたるまでさうゐなくつくことこそめでたけれこのしまとまをすはしゆそうをあつめいつさいきやうをいしのおもてに一にち一やにかきうつしくやうしてつきこめられけるによりてこそきやうのしまとはなづけたれいまのひやうごのしまこれなりそのうへにふだうしやうごくはただびとにてはおはせざりけりそのゆゑはさんぬるあんげんのころほひつのくにありまごほりせいちようじとまをすやまでらにじしんばうそんゑとてならびなきぢきやうしや一にんさふらひけりあるときかれがゆめにみやうくわんきたつてつげたまはくきたる十ぐわつ廿一にちにえんまぐうのだいりだいごくでんにして十万ごくより十万にんのそうをしやうじてほつけてんどくのことありそんゑもそのにんじゆにいりたりそのときにいたつてかならずきたるべしといふつげをかうむつてゆめさめてのちこのてらのべつたうしゆぎやうにかたりければおほきにふしぎのおもひをなすげにもそのときにいたつてすゐめんのここちいできたりしかばぢぶつだうにとぢこもりねんじゆしてさふらひけるにまことにひとひのみやうくわんきたつてぐそくしてゆくえんまぐうのだいりだいごくでんとおぼしきところにそうりよなみゐてほつけてんどくこころもことばもおよばれずさるほどにほうゑはてにしかばそうりよみないとままをしてまかりいづそのうちにそんゑはいまだいでざりけりえんまだいわうなどなんぢはいでぬぞとおほせければそんゑまをしけるはそもそもほつけはさんぜのしよぶつのしゆつせのほんくわいいつさいしゆじやうじやうぶつのぢきだうなり一け一くのくどくは五はらみつのぜんごんにもこえ五十てんでんのずゐきは八十ケねんのふせにもこえたりとこそみえてさふらへわれえうせうよりいまにいたるまでほつけおこたることなしされどもいまだしやうしよをしらずなにとしてかわうじやうのそくわいをとげさふらふべきやらんとまをされたりければえんまだいわうおほせけるはわうじやうふわうじやうはひとのしんふしんによるなりあくをしゆするものはあくだうにだしぜんをしゆするものはぜんしよにうまるとみえたりただしなんぢがしやうしよははりのかがみにみえたりゆきてみよとてまたみやうくわんにぐせられてゆきてみけるにげにもをさなうよりしておもひとおもひせしことのひとつとしてあらはれずといふことなしそんゑもつひにはとそつのないゐんにうまるべしとぞみえたりけるそんゑかつがうのこころきもにめいしずゐきのなみだせきあへずそののちそんゑえんまだいわうのおんまへにまゐりいとまをまをされたりければえんまだいわうおほせけるはなんぢもさだめてしりたるらんなんぢがくににへいけだいじやうのにふだうじやうかいといふひとありこれはてんだいのじゑそうじやうのさいたんなりまつだいのしゆじやうにいんぐわのことわりをしめさんがためにかりにしやうぐんのみとあらはれたるなりさればただいまてんどくしたてまつるおんきやうもこのひとのためなりそのぐわんりきのありがたさにこのひとをひびに三どらいしたてまつるなりそのもんにいはくきやうらいじゑだいそうじやうてんだいぶつぽふおうごしやじげんさいしよしやうぐんしんあくごふしゆじやうどうりやくとこのもんを三たびとなへてらいするなりとぞおほせけるそんゑかやうのことどもをほんにふくしせいちようじのえんぎにうつしていまにありとぞうけたまはるかのゆのやまとまをすはえんまぐうのとうもんにあたれりとぞひとまをしける
祇園女御
 そのうへにふだうしやうごくはただもりがこにてはなかりけりまことはしらかはのゐんのみこなりとぞまをしけるそのゆゑはさんぬるえいきうのころほひしらかはのほとりにならびなきさいはひじん一にんましましけりしらかはのゐんなにとしてかきこしめしいださせたまひたりけんつねはかしこへごかうなるさてこそひとぎをんにようごとはまをしけれあるときはくぎやう一りやうにんまたあるときはでんじやうびと三四にんがほどめしぐしてひそあにかしこへごかうならせたまひけるにころはさつき廿かあまりのことなればさみだれさへにかきくれてめざすともしらぬやみなるにこのにようばうのすまれけるあたりちかきはやしのなかをすぎさせたまふほどにあるふるだうのうちよりもひかりものこそいできたれひかりもののていたらくかしらにはしろがねのはりをみがきたてたるがごとしかたてにはつちのやうなるものをもちかたてにはひかるものをもちてとばかりあつてはさつとはひかりひかりしだいにちかづきたてまつるぐぶのくぎやうでんじやうびとあなおそろしつちのやうなるものはおにがもつなるうちでのこづちなんめりちかづきたてまつつていかなるおんことのいでこんずらんもしこれをいもしきりもととめたらむものにはけんじやうあるべしとしよきやうごさたありけるにただもりのいまだそのころびぜんのかみにてほくめんにさふらはれけるがらうどうにむかつてのたまひけるはこのへんはやしのなかなりまことのきじんにてはよもあらじおもふにきつねたぬきのしわざにてぞあるらんおなじうはくんでいけどらばやとおもふなりとてみだうのうちにはしりいりひかりものをむずとだくだかれてこはいかにやとまをすこゑをきけばひとのこゑなりそののちてんでにひをともしてみたまへばむそぢばかりなるほうしなりこのみだうのしようしほうしにてぞさふらひけるほとけにみあかしたてまつりけるがてがめにあぶらをいれてもちけるがつちのやうにはみえにけりかはらけにひをいれてふきけるがひかりものとはみえにけりあめしげければぬれじとてこむぎのわらをあみあつめてかづきたるぞしろがねのはりのやうにはみえにけるそのときみなひといちどにどつとわらひてのきたまふ一ゐんこれをえいらんあつてあはれぶしのこころほどたけうやさしかりけるものあらじまことのきじんとこそおぼしめしつるにもしこれをいもしきりもとどめたらむはいかばかりむねんならましくまんとおもひかかりたるただもりがこんやのふるまひかへすがへすもしんべうなりとてけんじやうにはくだんのぎをんにようごをぞたまはりけるこのにようばうくわいにんしたまへりうめらむところのこなんしたらばなんぢがこにせよによしたらばわれにえさせよとぞおほせけるほどなうさんしたまへりまことのなんしにてぞましましけるただもりかやうのことをもそうせばやとはおもはれけれどもとかくうちまぎれこのわかぎみ二さいとまをししあきのころ一ゐんくまのまうでのくわんぎよのとききのくにいとがやまといふところにみこしかきすゑさせしばらくこれにてごきうそくのさふらひけるをりふしただもりそうせばやとおもはれければかたやぶにいくらもあるぬかごとまをすものをそでにもりいれごぜんにまゐりかしこまつてまをされけるはいもがこははふほどにこそなりにけれとまをされたりければ一ゐんはやおんこころえあつてただもりとりてやしなひにせよ とぞおほせけるこのわかぎみあまりによなきをしたまひけるをもただもりまをされたりければ一ゐんよなきすとただもりたてよすゑのよにきよくさかふることもこそあれ とあそばされたりけるによりてこそきよもりとはなのられけれまことのわうじにてましませばただもりなのめならずもてなしまをされけり十二にてじよしやくし十八にて四ゐのひやうゑのすけとぞまをしけるまことのわうじにてましませばしだいのしようしんとどこほらずだいじやうだいじんまでもたやすくへあがりたまひけりとばのゐんばかりこそきよもりがくわしよくはひとにはおとるまじとはおほせけれひとはとかうまをしけれどもいちごはおもふことなくてすごされけるこそめでたけれあひ むかしてんぢてんわうはらみたまへるきさきをたいしよくくわんにたまはすとてなんしたらばしんがこにせよによしたらばわれにえさせよとぞおほせけるほどなうさんしたまへりまことのなんしにてぞましましけるたうぶのみねのほんぐわんぢやうゑくわしやうこれなり
国綱の死去
 おなじきうるふ二ぐわつ廿かのひ五でうのだいなごんくにつなのきやうもうせられけりこのくにつなのきやうとまをすはにふだうしやうごくにしよじないげなうとくいまをされけるがおなじとしのおなじひやまひづきおなじきつきにうせられけるこそふしぎなれこのくにつなのきやうのにふだうしやうごくにとくいはじめられけるゆゑをいかにとまをすにならびなきだいふくちやうじやにておはしければなににてもひに一しゆにふだうのもとへおくられければげんぜのとくいこれにすぐべからずとてくにつなのきやうのしそくたんばのかみきよくにをにふだうのやうしにししそくしげひらをくにつなのむこにぞなされけるさればそのゆゑにやしやう二ゐのだいなごんまであがられけるこそめでたけれせんねんくにつなのははうへやはたへまゐりたまひてねがはくはわがこのくにつなくらんどのとうになしてみせたまへといのりまをされけるよのゆめにかものかたよりとおぼしくてみやびとどもがびりやうのくるまをくにつなのもとへやりいるるといふゆめをみてこれをひとにかたりたまへばいかさまにもくぎやうのきたのかたにならせたまはんずるにこそとまをしければわがみとしおいぬいかでかさることのあるべきとのたまひけるがくにつなくらんどのとうをもさしすぎてしやう二ゐのだいなごんまであがられけるこそふしぎなれこのくにつなのきやうとまをすは八でうのちうなごんかねすけに八だいのまごさきのではのかみもとすけのまごうまのかみもとくにのあそんのこなりけりこのひとのいまだそのころしんしのざふしきにてこのゑのゐんにさふらはれけるがにんぺい三ねんうづきに四でうだいりにぜうまうのいできたりしにしゆじやうなんでんにしゆつぎよなつてひとやさふらふひとやさふらふとおほせけれどもをりふしおいらへまをすものもなかりけるにくにつなえうよをかかせてまゐりたりしゆじやうこはいかなるものぞとおほせければしんしのざふしきふぢはらのくにつなとなのりまをすしゆじやうえうよにめされて五でうのだいりへぎやうかうなるそののちしゆじやうほうしやうじどののもとへかやうにさかさかしきものこそさふらへそれにめしつかはるべしとおほせくだされたりければほうしやうじどのごりやうたびなんどしてめしつかはれけりあるときしゆじやうやはたへぎやうかうなつてりんじのみかぐらのさふらひけるににんちやうがはうしやうがはへおちいりてぬれねずみのごとくにてそのひのみかぐらはあるまじかりしををりふしくにつなほうしやうじどののおんともにさふらはれけるがしんべうにこそさふらはねどもにんちやうがしやうぞくをばこれにもよういせさせてさふらふとてとりいだしてにんちやうにきせそのひのみかぐらをぞとげられけるほどこそすこしおしうつりたりけれどもうたのこゑもすみわたりまひのそでひやうしにあうておもしろかりけりもののおもしろきことはしんめいもひとのこころもおなじことむかしあまてらすおほんがみあなおもしろやとおほせなりしおんことまでもいまこそおぼしめししられけれむかしくわんぺいほうわうさがのおほゐかはへごかうなつてぎよいうのさふらひけるにくわんしゆじのないだいじんたかふぢこうのおんこいづみのたいしやうくにたかをぐらやまのあらしはげしくしてゑぼしをかはへふきおとされたぶさをおさへてせんかたなげにてそのひのぎよいうはあるまじかりしをやまかげのちうなごんのおんこじよむそうづさんえばこよりゑぼしをとりいだしたいしやうにきせたてまつつてそのひのぎよいうとげられけりよあがつてこそかかるふしぎはありしにくにつなときにとつてのよういかしこかりけるかうみやうかなぢしよう四ねんのごせちはふくはらにてぞとげられけるわかきくぎやうでんじやうびとはちうぐうのおんかたにすゐさんまをしいまやうらうえいしてあそばれけるなかにあるでんじやうびとのたけしやうほにまだらなりくもこしつのあとにこるといふらうえいをせられたりければくにつなあなあさましさやうのことはきんきとこそうけたまはれききにもきかじとてぬきあしをしてぞにげられけるこのしのこころはむかしのげうのみかどおんむすめ二にんもちたまへりあねをばがくわういもうとをばぢよえいとてともにしゆんのみかどのきさきにたちたまへりあるときしゆんわうかくれさせたまひしかばさうごののべへおくりたてまつり二にんのきさきみかどのおんわかれをかなしみたまひてさうごののべにてなきたまひけるなみだしやうほのきしのたけにかかつてまだらなりきさきそこにてしつをしらべたまひしかばしやうほのきしのたけおひいづるごとにまだらにてたてりそのうへしつをしらぶるところにはつねにくもたなびいてものあはれなるこころありくにつなさせるぶんしやううるはしきひとにてはおはせねどもさかさかしきによつてかやうのことをもききとがめられけるとかやおなじきうるふ二ぐわつ廿二にちにほうわうほうぢうじどのへくわんぎよなるべきよしをおほせくださるこのほうぢうじどのとまをすはさんぬるおうはうのころつくりいだしたてまつつてせんすゐこだちにいたるまでおんこころにまかせたりしかどもこの三四ねんがあひだはあるひはとばどのにおしこめられさせたまひあるひはふくはらへごかうなりなんどしてごしよもみなあれはてにしかばさきのうたいしやうむねもりきやうざうしんしてなしまゐるべきよしをまをされたりしかどもいまはなにごとのさたにもおよばせたまはずひそかにかしこへごかうなりてえいらんあるにきしのまつみぎりのさくらとしへにけりとおぼえてこだかくなりたりけるをごらんぜらるるにつけてまづこにようゐんのおんことをおぼしめしいでておんなみだにむせばせおはしますたいえきのふようびやうのやなぎこれにむかふにいかでかなみだおちざらんかのなんたいせいきうのむかしのあとしげみにまじるはなとりをごらんぜらるるにつけてもつきせぬものはおんなみだなり
行高の沙汰(あひ)
 おなじきやよひついたちのひなんとのたいしゆほんにふくししやうゑんまつじもとのごとくにちぎやうすべきよしをおほせくださるおなじき三かのひとうだいじつくりはじめらるぶぎやうべんにはくらうどのさせうべんゆきたかとぞきこえしせんねんゆきたかやはたへまゐりたまひてつやしてねんじゆせられけるよのゆめにごはうでんのみとおしひらきうちよりゆゆしうけだかきみこゑにてややなんぢとうだいじぶぎやうのときはこれをたいしてむかふべしとてこがねのしやくをたまふとみてうちおどろきてみたまへばすなはちまくらにぞさふらひけるゆきたかたうじなにごとによつてかとうだいじぶぎやうにはむかふべきとはおもはれけれどもふかうをさめてげかうせられたりけるがはるかにほどへてのちへいけのあくぎやうによつてとうだいじえんじやうしいまこのしやくをたいしてとうだいじぶぎやうにむかはれけるこそふしぎなれ八まんだいぼさつのしんりよにもあひかなひたまへるしゆくしふのほどこそめでたけれ
墨俣合戦
 おなじきやよひ五かのひとうごくよりはやむまうつてへいけへまをしけるは十らうくらんどゆきいへあくぜんしゑんさいきやうのきみぎゑん三にんひとつになつてつがふそのせい七千よきをはりのくにまでせめのぼつたるよしをみののくにのもくだいのもとよりまをしたりければさらばまづこれをふせげやとてたいしやうぐんにはさひやうゑのかみとももりさつまのかみただのりさふらひたいしやうにはゑつちうのぜんじもりとしじらうびやうゑもりつぎかづさの五らうびやうゑただみつゑびのじらうもりかたをさきとしてつがふそのせい一万よきおなじきやよひ十かのひみやこをたつておなじき十五にちにみののくににはせくだりすのまたがはらにぢんをとる十らうくらんどこのよしをききたまひてみののくにまでせめのぼりすのまたがはにおしよせむかひのきしにぢんをとるそのひのよにいりてきやうのきみぎゑんしうじう七きすのまたがはをうちわたりへいけのぢんへぞいりたりけるをりふしゑつちうのぜんじもりとしが五十きばかりにてよまはりするにゆきあうたりあれは たそみかたといふみかたはたそまことはかたきぞかしこれはよしともがばつし きやうのきみぎゑんひごろのうつぷんをたつせんためにただいまよせたるなりといふにくしそのぎならばあますなもらすなうてやとてたいぜいがまんなかにとりこめてわれうちとらんとぞすすみける十らうくらんどこのよしをききたまひてきやうのきみうたすなぎゑんうたすなすすめやものどもつづけつはものとてげんじ七千よきすのまたがはにうちいれてぞわたしけるへいけのかたのたいしやうぐんさひやうゑのかみとももりあぶみふんばりつつたちあがりだいおんじやうをあげてげんじただいまかはをわたしたればぬれむしやはみなかたきぞあますなもらすなうてやとてむまもののぐのぬれたるをばここにおつつめかしこにおさへてくびをとるきやうのきみぎゑん二ときばかりたたかつてうたれにけり十らうくらんどこのよしをみたまひてかなはじとやおもはれけんまたすのまたがはをわたしかへしてひきしりぞくへいけつづいてすのまたがはをうちわたしおちゆくものどもをここにおつつめかしこにかけつめてうちとりけりげんじのかたにはふせぎたたかふといへどもぶせいたぜいにかなはねばさんざんにうちちらされてひきしりぞくすゐえきをうしろにせざれとこそまをすにこんどのげんじのはかりごとおろかなりとぞひとまをしける十らうくらんどみののくににもこらへえでをはりのくににひきしりぞくへいけつづいてをはりのくににうちこえさんざんにせめければ十らうくらんどをはりのくににもこらへえでみかはのくににひきしりぞきやはぎがはのはしをひいてむかひのきしにぢんをとるへいけつづいてみかはのくににうちこえやはぎがはをもわたされければ十らうくらんどみかはにもこらへえでとほたふみのくににひきしりぞきはまなのはしをひきてむかひのきしにぢんをとるへいけつづいてせめられけるがたいしやうぐんしよらうのここちいできたりとてたかせのふもとよりとつてかへすこんども一ぢんはやぶれどもざんたうをやぶらねばはかばかしうしいだしたることなきがごとしへいけはきよきよねんこまつのおとどこうじたまひぬこんねんまたにふだうしやうごくうせたまひしかばねんらいおんこのともがらのほかはまゐりちかづけるものもなしなかにもゑちごのくにのぢうにんじやうのたらうすけながはさんぬる二ぐわつにゑちごのかみににんぜしそのてうおんのかたじけなさにきそつゐたうせんとてゑちごではあひづ四ぐんをもよほしけるにつがふそのせい六まんよきおなじき五ぐわつ十五にちにかどいでしてあかつきすでにうつたたむとしけるそのよのやはんばかりにあめかぜおびただしうふりくだりあめかぜやんでのちこくうしばらくうすぐもつてさふらひけるにおそろしげなるこゑをもつてこくうにものがつげてとほるなにものにてもだいがらんほろぼしたるへいけのかたうどしたらんものをばいちいちにめしとるべしとよばはつたりければじやうのたらうおそろしさきくひとみなみのけよだつておぼえけれどもゆみやとりのそれにはよるべからずとてやかたをいで十四五ちやういでたりけるにじやうのたらうがうへにくろくもひとむらおしおほふとぞみえしたちまちめくれはなぢたつてたふれふすむまにてもかなふべうもみえざりければあをたにかかれてやかたにかへり二ときばかりあつてしにけりじやうの四らうはやむまをたててこのよしまをしたりければへいけのひとびとこはいかがせんとぞさわがれけるおなじき七ぐわつ十三にちにかいげんあつてやうわぐわんねんとぞまをしけるおなじき十四かにぢもくおこなはれてちくごのかみさだよしひごのかみになつてちんぜいのむほんたひらげむとて三千よきにてみやこをたつおなじき八ぐわつ八かのひまさかどつゐたうのれいとてくわんのちやうにてだいにんわうゑおこなはるおなじき九ぐわつ九かのひすみともつゐたうのれいとてくろがねのかつちうをいせへまゐらつさせたまひけるにさいしゆじんぎのおほなかとみのさだたかゐんのごしよへまゐりくろがねのかつちうをうけとりていせへもつてまゐるほどにあふみのむまやにてやまひづきいせのりぐうにてしにけりそのころへいけはみゐでらにて三七にちの五だんのほふをおこなはせられけるにはじめの七かのだい三かにあたりけるよがう三せのだんのだいあじやりかくさんほういんひぎやうしやのひがんしよにてひじに(ねしに)にこそはしたりけれしんめいもさんばうもごなふじゆなしといふこといちじるしそのころあんしやうじのじちげんあじやりへいけへごくわんじゆたてまつりけるがげんじてうぷくとはかかでへいけてうぷくとかきたるぞこれきたいのあやまりなりめされていかにとおんたづねありければさんさふらふわれらはてんかたいへいてうてきてうぷくのおんいのりつかまつるものなりしかるにたうせいのていをみさふらふにへいけもつぱらてうてきとみえさせたまふによつてこれをてうぷくすさればなにのひがごとかさふらふべきとまをしたりければそのほう(イほうし)しざいかるざいかなんどごさたありしかどもてんかのだいせうじにまぎれてやみにけりそののちへいけほろびげんじのよとなりてかまくらどのよりたづねいだされたてまつつてやがてごんりつしなされほういんにきよせらるおなじき十二ぐわつ廿五にちにちうぐうゐんがうかうむらせたまひてけんれいもんゐんとぞまをしけるしゆじやうえうしゆのときのぼこうのゐんがうこれはじめとぞうけたまはるさるほどにとしくれてやうわも二ねんになりにけり
横田河原合戦
 おなじきしやうぐわつ廿三にちにたいはくばうせいをかすてんもんはかせこれをうらなひまをすたいはくばうせいをかすときんばしやうぐんくにのさかひをいづともいへりおそろしおそろしとぞまをしけるおなじき二ぐわつにさんもんのごんせうそうづけんしんきせんじやうげをすすめてひえのやしろにおいて一まんぶのほつけどくじゆのことありかかりければほうわうもおんけちえんのためにごかうなるまたなにものがまをしだしたりけん一ゐんやまのたいしゆにおほせてへいけつゐたうあるべきよしきこえしかばへいけのひとびとこはいかにせんとぞさわがれけるさるほどにさんもんにはへいけやまをせむべしといふことにききなしてさんもんのさうどうなのめならずかかりければおんけちえんもはやうちさましぬほうわういそぎみやこへくわんぎよなるなかにもほん三ゐちうじやうしげひら一千よきにてきたしらかはまでおんむかへにまゐりほうわうをうけとりたてまつつていそぎほうぢうじどのへくわんぎよなしまをされけりかかりければへいけやまをせむべしといふこともまたやまよりへいけをほろぼすべしといふこともあとかたなきそらごとなりこれひとへにてんまのしよゐとぞおぼえたるおなじき五ぐわつ八かのひかいげんあつてじゆえいぐわんねんとぞまをしけるさるほどにゑちごのくにのぢうにんじやうの四らうすけもちはあにすけなががせいきよのあひだながもちとかいめいしあにがうつぷんをたつせんがためにきそつゐたうせんとてこんどはゑちごばかりをもよほしけるにつがふそのせい二まんよきおなじき九ぐわつ十一にちにゑちごのこふをたつてしなののくににうちこしよこたがはらにぢんをとるきそもそのせい三千よきたうごくよだのじやうをたつてよこたがはらにおしよせむかひのきしにぢんをとるきそのたまひけるはよしなかがいくさのきちれいには七てにわかつものなればまづいまゐの四らうかねひらに五百よきをさしそへてよこたがはにうちいれてぞわたさせけるのこり六てもおのおののゐたるところよりうちいれうちいれわたしけるをへいけはうんのきはめにやこれをたいぜいとこそみてんげれまづじやうの四らうがせんぢんにさふらひけるあひづのじようたんばううたれにけりじやうの四らうきそにていたうせめられてむらくもたつてぞひかへたるきそかつにのつていよいよせめければじやうの四らうがせい二まんよきとはみえしかどもおちぬうたれぬせしほどにたんごぶらいになりにけりじやうの四らうただ一きになつてかなはじとやおもひけんよこたがはにとびいりみづのそこをくぐつてゑちござかひへぞおちゆきけるじやうの四らうはやむまをたててみやこへこのよしをまをしたりけれどもへいけはあまりのことにやいとさわぐけしきもましまさずおなじき十ぐわつ十三にちにさきのうだいしやうむねもりきやうないだいじんにあがりたまふくぎやう六にんせんくありでんじやうびと十三にんこしようせらるみなわれもわれもといでたたれたりしありさまいまいくほどぞやとぞみえしとうごくほくこくはちのごとくにおこりあひせんやうせんおんなんかいさいかいのつはものどもすでにみやこへせめのぼるなんどきこえしかどもへいけはかぜのふくやらんなみのたつらんをもしらずしてあそびたはぶれてのみおはしけるぞひとへにへいけのうんのきはめなるさるほどにとしくれてじゆえいも二ねんになりにけり



 

入力者:荒山慶一



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