平家物語(城方本・八坂系)
巻第二  P53


座主流 201
あんげん三ねん五ぐわつ五かのひてんだいざすめいうん・だいそうじやうくじやうをとどめて・けつくわん・せられたまふうへ・くらんどをおんつかひにて・によいりんの・ごほんぞんを・めしかへしたてまつつて・ごぢそうを・かいえきせらる・すなはちしちやうのつかひを・つけてこんど・だいりへ・しんよふりたてまつりし・しゆとの・ちやうぽんをぞ・めされける・またかがのくにに・ざすのごばうりやうあり・もろたか・これを・ちやうはいのあひだ・もんとの・だいしゆを・かたらつて・そしせうを・いたす・これすでに・てうかの・おんだいじに・およびぬべきよし・さいくわうほうし・ふしが・むじつの・ざんそうによつて・ほうわう・つみなき・めいうんを・ぢうくわに・おぼしめし・さだめけり・めいうんも・またほうわうの・ごきそく・あしきよし・きこえしかば・いんやくをかへしたてまつつて・ざすをじし・まをされけり・おなじき十一にちに・とばのゐんの・七のみや・かくくわいほうしんわう・てんだいざすに・ならせたまふ・これは・こしやうれんゐんの・だいそうじやう・ぎやうげんの・みでしなり・おなじき十二にちに・せんざすをば・すでに・すゐくわのせめにおよびぬべきよし・きこえしかば・おなじき十三にちに・だいじやうだいじんいげの・くぎやう十六にん・さんだいあつて・ぢんのざにつき・さきのざす・ざいくわのこと・ぎぢやうあり・なかにも・八でうのちうなごんながかたのきやうの・いまだ・そのころさだいべんのさいしやうにて・ばつざに・さふらはれけるが・すすみいでて・まをされけるは・ほつけの・かんじやうに・まかせ・しざい・一とうを・げんじ・をんる・せらるべしとは・みえてさふらへども・P54
このめいうんは・じやうぎやう・ぢりつなるうへ・けんみつ・けんがく・して・一じようめうきやうを・くげに・さづけたてまつり・三しゆ・じやうかいを・ほふわう(ほうわう)に・たもたせたてまつる・あるひは・おんきやうの・しなり・あるひは・ごかいのしなり・てうくわのをんるに・おこなはれんこと・みやうの・せうらん・はかりがたし・されば・げんぞくをんるをも・ともに・なだめまをさるべきかと・いささか・はばかるところもなう・まをされたりければ・たうざの・くぎやう・もつとも・ながかたのきやうの・ぎに・どうずとは・のたまひあはれけれども・ほうわうの・おんいきどほりふかかりければ・なほてうくわに・おぼしめしさだめけり・そうを・つみするならひとて・どゑんをとつて・げんぞくせさせたてまつり・だいなごんのたいふふぢゐのまつえだといふ・ぞくみやうをつけられける・こそ・うたてけれ・おなじきはつかのひ・せんざすをば・すでに・いづのくにへ・ながし・たてまつらるべきよし・きこえしかば・にふだうしやうごくも・このこと・なだめまをさんとて・ゐんざん・まをされ・たりけれども・ほうわう・おんかぜの・ここちとて・ごぜんへも・めされ・ざりければ・いきどほりふかげにてぞ・いでられける・おなじき廿二にちに・せんざすをば・けふすでに・みやこのうちを・おひいだし・たてまつるべしとて・おつたてのくわんにん・りやうそうしら・しらかはの・ごばうに・まゐりむかひ・このよし・まをしたりければ・せんざす・すこしも・やすらふべきに・あらずとて・いそぎ・ごばうを・いでさせたまひ・そのひは・あはたぐちのほとり・一さいきやうの・べつしよに・なくなくたちぞ・しのばせたまひける・さるほどに・さんもんの・だいしゆ・だいかうだうの・にはに・しゆゑして・せんぎしけるは・そもそもわれらが・かたきは・さいくわうほうし・ふしなりとて・かれら・おやこが・みやうじをかいて・こんぽんちうだうに・おはします・こんぴらたいしやうの・ひだりのみあしのしたに・ふませたてまつり・ねがはくは・十二じんしやう・七千やしや・じこくを・めぐらさず・さいくわうほうし・ふしが・いのちを・めしとらせ・たまへやと・をめきさP55
けんで・しゆそしけるこそ・おそろしけれ・おなじき廿三にちに・せんざす・いつさいきやうのべつしよを・なくなくたちぞ・いでさせたまひける・さしもの・ほふむの・だいそうじやう・ほどのひとに・かうぞめの・おんころもをば・きせたてまつりながら・てんまの・うたてげなるに・のせたてまつり・おつたてのくわんにん・りやうそうしらが・さきに・けたてたてまつつて・けふを・かぎりに・せきのひんがしへ・こえられける・みこころのうち・おしはかられて・あはれなり・おほつの・うちでのはまにも・なりしかば・もんじゆろうの・のきばの・しろじろとして・みえけるを・ふためとも・みたまはず・そでを・かほに・おしあてて・なくなく・そこをぞ・すぎられける・なかにも・ぎをんの・べつたうちようけんほういんの・いまだそのころ・ごんだいそうづにて・おはしけるが・せんざすの・おんなごりををしみたてまつり・あはづまで・おくりたてまつつて・かへられけるに・せんざす・ちようけんの・はるばると・これまで・とぶらひきたりたまへる・こころざしのほどをかんじたまひて・ねんらいごしんぢうに・ひせられける・てんだい・ゑんじゆの・ひほふ・一しん・三くわんのもん・ならびに・けちみやく・せうじようの・しだいを・ちようけんに・さづけらる・そもそも・このひほふとまをすは・しやか・ふぞくのでし・はらないこくの・めみやうびく・なんてんぢくの・りうじゆぼさつ・よりこのかた・しだいに・さうでんし・きたれり・しかるをけふのなさけに・ちようけんに・これを・さづけらる・さすが・わがてうは・ぞくさんへんちの・さかひとはまをしながら・ちょうけんこれを・ふぞくして・ありがたさに・ほうえのそでを・かほにあて・なくなくかへりたまひけり・そもそもこの・めいうんと・まをしたてまつるは・むらかみのてんわうに・だい七のわうじ・ぐへいしんわうに・五だいのまご・こがの・だいなごんあきみちのきやうの・おんこなり・じやうぎやうぢりつなるうへ・けんみつけんがくして・ならびなき・かうそうにて・ましましければ・六しようじ・ならびに・てんわうじの・べつたうをも・かねたまへり・にんあん三ねん二ぐわつ十五にちに・てんだいざすに・ならせたまふ・そのとき・あべのやすちか・このめいうんを・P56
みたてまつつて・ぎようとくのほどは・ありがたけれども・ただしおんなこそ・こころえられね・めいうんは・かみに・じつげつの・ひかりをならべて・しもに・くもありとぞ・なんじまをしける・むかし・でんけうだいし・ちうだうの・はうざうに・こめられたりける・はう一しやくの・はこあり・しろききぬにて・つつまれたり・かのなかに・わうしに・かけるふみ一くわんあり・これはでんけうだいし・まつだいの・ざすの・しだいを・かねてあそばし・おかれたり・されば・だいだいのざす・ごはいだうのおんとき・かのはこを・あけ・ふみをひらいて・みたまふに・わがなの・あるところまでは・みたまひて・それより・おくをば・みずして・まきをさめて・おかるる・ならひあり・されば・このめいうんも・ごはいだうの・おんとき・かのはこをあけ・ふみをひらいて・みたまふに・ぎしんくわしやうより・このかた・てんだいざすはじまつて・五十五だい・めいうんとまをす・おんなあり・かほど・めでたき・かうそうにて・ましましけれども・いかなるつみの・むくいにか・いまるざい・せられたまふらん・さるほどに・さんもんのだいしゆ・だいかうだうの・にはに・しゆゑして・せんぎしけるは・でんけう・じかくの・おんことは・なかなか・まうすにおよばず・ぎしんくわしやうより・このかた・てんだいざす・はじまつて・五十五だい・いまだ・るざいのれいを・きかず・つらつらことのこころを・あんずるに・さんぬる・えんりやくの・ころほひ・くわんむてんわう・でんけうだいしと・おんちぎりを・むすばせたまひ・くわうていは・ていとをたて・だいし・たうさんに・よぢのぼり・このところに・しめいの・けうぼふを・ひろめたまひしより・このかたながく・五しやうの・によにん・あとたえて・三千の・じやうりよ・きよをしめたり・みねには・一じようどくじゆ・としふりて・ふもとには・七しやの・れいげん・あらたなり・かの・ぐわつしの・りやうぜんは・ていとの・とうぼくに・そばだつて・だいしやうの・いうくつたり・じちゐきのえいがくは・わうじやうの・きもんに・あたつて・ごこくの・れいちたり・されば・だいだいの・けんわう・P57
ちしん・みな・このところに・だんじやうをしむ・こは・まつだいと・いはぬからに・いかでか・わがやまの・くわんしゆを・たこくへは・うつさるべき・こは・こころうしなんど・をめきさけぶ・ほどこそありけれ・三千の・だいしゆ・一にんものこらず・みなひがしさかもとに・おりくだる・そののち・三千のだいしゆ・十ぜんじごんげんの・おんまへに・しうゑして・せんぎしけるは・おつたてのくわんにん・りやうそうしらが・あんなれば・われら・こんど・あはづに・ゆきむかひ・るにんを・うばひとどめたてまつらんこと・ありがたし・いまは・十ぜんじごんげんの・おんちからの・ほかは・またたのみたてまつる・かたなしとて・かんたんを・くだいて・いのりたてまつりけるに・ここに・じようゑんりつしが・わらはに・つるまるとて・しやうねん・十八さいに・なりけるが・しんじんを・くるしめ・五たいに・あせをながし・われに・十ぜんじごんげんの・のりゐさせ・たまへりとて・たくせんして・いはく・しやうじやうせぜに・こころうし・こは・まつだいと・いはんからに・いかでか・わがやまの・くわんしゆを・たこくへは・うつすべき・さらんにとつては・われこのやまの・ふもとに・あとをたれても・なににかはせむとなり・だいしゆ・ずゐきのなみだを・ながし・まことの・れいけんにて・ましまさば・われらしるしを・たてまつらん・まづ・ひとつの・ずゐさうを・みせしめたまへとて・おもてに・たちならびたる・らうそう・千よにんが・てんでに・もちたる・じゆずどもを・おほゆかの・うへへぞ・なげあげたる・くだんのものつき・はしりめぐり・つかのごとくに・とりあつめ・すこしもたがへず・もとのぬしに・くばり・わたす・だいしゆいまは・十ぜんじごんげんの・れいけんあらたにましましけり・われらこんど・あはづに・ゆきむかひ・るにんを・うばひとどめたてまつらんこと・うたがひなしとよろこびて・いさみをなしてぞ・むかひける・あるひは・べうべうたる・しが・からさきの・はまぢに・あゆみつづける・だいしゆもあり・あるひは・やまだ・やばせの・こじやうに・ふねおしいだす・しゆともあり・たいぜいP58
うんかのごとくに・むかひければ・さしも・きびしげなりつる・おつたてのくわんにん・りやうそうしら・ざすをば・あはづの・こくぶんじの・みだうのまへに・すておきたてまつつて・みなちりぢりにこそ・なりにけれ・だいしゆ・まゐりければ・せんざす・のたまひけるは・けふすでに・みやこのうちを・おひいださるべしといふ・ゐんぜん・せんじの・なりぬるうへは・すこしもやすらふべきに・あらずとて・はしぢかう・ゐいで・のたまひけるは・われ三たいくわいもんの・いへをいで・四めいけいけいの・まどにいつしより・このかた・ひろく・ゑんしうの・けうぼふをがくし・けんみつ・りやうしうを・まなべり・ひとへにわがやまの・こうりうをのみ・おもへり・しゆとを・はごくむ・こころざしも・ふかかりき・またこくかを・いのりたてまつることも・あさからざりき・りやうしよ・さんじやう・さんわう・七しやも・さだめてせうらんしたまふらん・つみなくして・とがをかうむること・これひとへに・ぜんぜのしゆくしふとのみ・おもへば・まつたうよをも・ひとをも・かみをも・ほとけをも・うらみたてまつらず・しゆとの・これまで・はるばると・とぶらひきたりたまへる・はうしこそ・いつのよまで・わすれがたけれとて・かうぞめの・おんころもの・そでしぼるばかりに・みえられければ・だいしゆも・みなよろひのそでをぞ・ぬらしける・だいしゆ・おんこしさしよせ・いまはとうとう・めさるべうさふらふと・まをしたりければ・せんざす・のたまひけるは・われすでに・るにんのみとして・いかでか・ちゑふかき・しゆがくしや・やごとなき・だいとくたちに・かきささげられては・のぼるべき・たとひかへりのぼるとも・おなじう・あゆみ・つづきてこそは・のぼるべけれとて・さうなう・のりたまはず・ここに・さいたふのぢうりよ・かいじやうばうの・あじやりいうけいとて・そのたけ・七しやくばかりありけるが・ふしなはめのよろひの・かねまぜたるを・くさずりながにきなし・くはがたうつたる・三まいかぶとのををしめ・しらえのおほなぎなたの・さやをはづいて・つゑにつき・はるかのごぢんに・たちたりけるP59
が・かぶとをば・ぬいで・うしろへかつばと・なげけるを・げにんのほうし・とりてんげり・そののち・たいぜいのなかを・おしわけおしわけ・せんざすの・おんまへに・つつとまゐり・だいのまなこに・かどをたて・ざすを・はつたと・にらみたてまつつて・あなあさまし・そのみこころにて・わたらせたまへばこそ・いまかかる・うきめには・あはせたまへ・とうとうめさるべうさふらふとて・おんてをとつて・あらけなく・ひつたてまゐらせければ・ざす・あまりの・おそろしさにや・いそぎ・おんこしにぞ・めされける・だいしゆせんざす・とりえたてまつつたることを・よろこびて・いやしき・ほうしばらに・あらず・ちゑ・ふかき・しゆがくしや・やごとなきだいとくたち・かきささげてぞ・のぼりける・やがて・さきごしをば・いうけいかく・ひとは・かはれども・いうけいはかはらず・ごぢんは・よわれども・せんぢんは・つかれず・こしのながえも・なぎなたのえも・をれよ・くだけよと・もつままにさしも・さかしき・ひんがしざか・へいちをゆくがごとくにて・だいかうだうのにはにぞ・かきすゑたる・そののち・三千のだいしゆ・まただいかうだうの・にはに・しふゑして・せんぎしけるは・われら・こんど・るにんを・うばひとどめたてまつつて・いかでか・わがやまの・くわんしゆとは・あがめたてまつるべきと・せんぎしけるところに・いうけい・またさきのごとくに・すすみいでて・それわがやまは・につぽんぶさうの・れいち・ちんごこくかの・だうぢやうなり・されば・しゆとのいしゆも・よさんにこえ・いやしき・ほうしばらに・いたるまで・よもつて・これをかろんぜず・ちゑ・かうきにして・三千の・くわんしゆたり・とくぎやうおもうして・いつさんのくわしやうたり・われら・こんど・けんみつの・あるじを・うしなひたてまつつて・けいせつの・つとめ・おこたらんこと・とうだい・こうぶく・をんじやうの・あざけり・さんじやう・らくちうの・いきどほりに・あらずや・いうけいこんど・ちやうぽんにしようせられ・きんごく・るざい・かうべを・はねられ・まゐらせむこと・こんじやうのめんぼく・めいどのP60
おもひいでなるべしとて・さうがんより・なみだを・はらはらとながしければ・だいしゆ・もつともとて・またおんこし・かきささげたてまつつて・とうたふの・みなみだに・めうくわうばうへ・いれたてまつる・それよりしてぞ・いうけいをば・いかめばうとは・まをしける・されば・ときのわうさいをば・いかなる・ごんげのひとも・のがれたまはざるにや・だいたうの・一ぎやうあじやりは・げんそうくわうていの・ごぢそうなり・くわうていの・きさき・やうきひに・なだちたまへることあり・これ・あとかたなき・むじつの・とがなりけれども・くわらこくへぞ・ながされける・くだんのくにへは・三のみちあり・いうちだう・りんちだう・あんけつだうとぞ・まをしける・いうちだうは・みゆきみち・りんちだうは・ざふにんの・かよひぢ・なかにも・あんけつだうとまをすは・ぢうぼんのものを・つかはすに・七か七やがあひだ・つきひの・ひかりをみずして・ゆくみちなり・一ぎやうぢうぼんのひとなればとて・かのあんけつだうよりぞ・ながされける・みやうみやうとして・ひとりゆく・かうほうに・千ど・まよひ・しんしんとして・やまふかく・ただかんこくに・とりの一こゑ・ばかりにて・こけの・ぬれぎぬ・ほしあへず・てんだう・むじつの・とがを・あはれませたまふことなれば・九えうの・かたちを・げんじて・一ぎやうを・てらしたまふ・ときに一ぎやう・みぎのゆびを・くひきつて・ひだりのそでに・九えうの・かたちをぞ・うつされける・わかん・りやうてうに・しんごんの・ほんぞんたる・九えうの・まんだら・これなり

西光がきられ 202
こんど・さんもんのだいしゆの・せんざす・とりとどめたてまつたることを・ほうわう・きこしめされて・おほきに・やすからずとぞ・おほせける・れいのさいくわうがまをしけるは・むかしより・さんもんのだいしゆの・みだりがはしきそしようさふらふこと・いまにはじめずとは・まをしながら・P61これらほどの・らうぜきをば・いまだ・うけたまはりおよばず・よは・よにても・さふらふまじと・わがみの・たつたいま・ほろびんずるをも・しらずまた・さんわうだいしの・しんりよにも・はばからず・かやうにまをして・しんきんを・なやましたてまつる・そうらんしげからんとすれば・あきのかぜ・これをやぶり・わうしや・あきらかならんとすれば・ざんしん・これをくらうすともいへり・ざんしんは・くにをみだり・とふは・いへをやぶるとも・かやうのことをや・まをすべき・さるほどに・ほうわうは・しんだいなごんなりちかのきやういげ・ごきんじゆのひとびと・そのほか・ほくめんのともがらに・おほせて・やませめらるべしとぞ・きこえし・さんもんのだいしゆこのよしを・つたへうけたまはつて・われら・わうどに・はらまれながら・さのみ・ぜうめいを・たいかんすべきに・あらずとて・ないないは・ゐんぜんに・したがひ・つきたてまつる・しゆとも・せうせうありなんど・きこえしかば・せんざすは・めうくわうばうに・おはしけるが・このよしを・ききたまひて・またいかなる・うきめにか・あはむずらんとて・やすきこころも・したまはず・さるほどに・しんだいなごんなりちかのきやうは・たうじ・さんもんの・さうどうによつて・わたくしの・しゆくいをば・しばらく・おさへられたり・そもそも・ないぎしたくは・さまさまなりしかども・おほかたの・ぎせいばかりにては・いかにも・かなふべうも・みえざりけるに・むねと・たのまれたりける・つのくにげんじ・ただのくらんどゆきつな・このことむやくなりと・おもふこころぞ・いできにける・つらつらへいけの・はんじやうをみるに・たやすく・かたぶけがたし・まただいなごんどのの・かたらはるるところの・ぐんびやう・いくほどなし・ゆきつなよしなきことに・くみしたり・このことてんかに・もれなば・まづ・ゆきつな・さきに・うしなはれなんず・されば・ひとのくちより・もれぬ・さきに・このことへいけへまをし・わがみの・さいなんを・のがればやと・おもひければ・おなじき五ぐわつ廿九にちの・よにいつて・にふだうしやうごくの・しゆくしよ・にし八でうどのへぞ・P62
まゐりたる・にふだうやがていであひ・たいめんしたまひて・このよは・はるかに・ふけぬらんに・そもなにごとぞと・のたまへば・ゆきつなさんさふらふ・たうじ・ごきんじゆのひとびとの・ひやうぐを・ととのへぐんびやう・あつめられさふらふをば・いまだ・しろしめされ・さふらはぬやらんと・まをしたりければ・にふだうよにも・こともなげにて・わうそれは・ほうわうの・やませめらるべしとこそ・きけとのたまへば・ゆきつな・ゐよりて・いや・そのぎにてはさふらはず・たうじ・ごきんじゆのひとびとの・ご一もんを・かたぶけ・まゐらせんとこそ・ぎせられげに・さふらへと・まをしたりければ・にふだう・もつてのほかに・おどろきたまひて・さてさやうの・ことどもをば・ゐんにも・しろし・めされたるか・まをすにやおよびさふらふ・しつじのべつたう・しんだいなごんどのの・ぐんぴやうあつめられさふらひしにも・ゐんぜんとてこそ・もよほされ・さふらひしか・そのほか・さいくわうが・と・まをして・しゆんくわんが・かうまをしてなんど・あるままにも・さしすぎて・まをしちらし・いとままをして・まかりいづ・にふだうもつてのほかの・おほごゑをもつて・さぶらひども・よび・ののしりたまふ・こゑ・おそろしく・ゆきつなも・なまじひなること・まをしいだし・わがみも・そのしようにんにや・ひかれつらんと・おもひければ・ひともおはぬに・とりはかまし・おほのに・ひをはなつたるここちして・もんぜんにはしりいで・ばばなるむまに・うちのりて・いそぎしゆくしよへ・にげかへる・にふだう・さだよしとめす・ちくごのかみさだよし・おんまへに・まゐりかしこまる・にふだう・ややさだよし・きやうちうに・むほんのともがらどもが・みちみちたんなるぞ・ひとびとにも・ふれまをせ・さぶらひども・めすべしと・のたまへば・さだよしうけたまはつて・きやうちうを・もよほしけるに・こまつどのばかりこそ・なにごとにも・さわぎたまはぬひとにて・さんぜられね・そのほかのひとびとには・とうのちうじやうくらんどのかみ・さまのかみいげの・くぎやうでんじやうびと・みなわれもわれもと・はせまゐらる・そのほか・さぶらひぐんびやうども・われもわれもと・はせたりけり・よのほどに・P63
にし八でうどのには・四五千きにこそ・なりにけれ・あくれば・六ぐわつついたちの・まだくらかりけるに・にふだう・けんびゐしあべのすけなりを・めして・やよすけなり・ゐんのごしよにまゐり・だいぜんのだいぶ・よびいだし・そうせうずるやうよな・ごきんしゆの・ともがらどもが・あまりの・くわぶんにて・あまつさへ・じやうかいを・かたぶけんと・けつこうつかまつりさふらふをいちいちに・めしとつて・ことのしさいを・たづねうけたまはり・まをさうずるをば・ゐんには・しろし・めさるまじうさふらふと・まをせとて・つかはさる・すけなり・ゐんのごしよにまゐり・だいぜんのだいぶを・よびいだし・このよしまをしたりければ・ほうわう・あはれこれは・ひごろ・はかりしことの・はや・もれきこえたるに・こそと・おぼしめすより・あさましくて・こは・なにごとぞと・ばかりにて・ふんみやうのごへんじも・なかりければ・すけなり・さればこそと・むやくにて・いそぎ・かへりまゐるべきよしを・いひいれつつ・にし八でうに・かへりまゐりて・このよし・まをしたりければ・にふだう・さればこそ・よもごへんじは・あらじ・ゆきつなは・まことを・いひけり・このこと・つげしらせずは・にふだうあんをんにてや・あるべきとて・やがて・なんばせのをを・めして・むほんの・ともがらども・からめとるべきやうを・いちいちしだいに・げぢせらる・なかのみかど・からすまるの・しんだいなごんなりちかのきやうの・もとへ・ざふしきをもつて・きつとたちよらせさふらへ・いささか・のたまひあはすべきことの・さふらふとのたまひ・つかはされたりければ・だいなごん・あはれこれは・たうじ・さんもんの・さうどうのことを・ゐんへ・そうせんとにやらん・そのぎならば・おんいきどほり・もつてのほかげなるものをとて・わがみのうへとは・つゆ・しりたまはず・ないきよげなる・ほうえ・たをやかに・きなしつつ・八えふのくるまの・あざやかなるに・のりたまふ・うしかひざふしきに・いたるまで・みな・きよげにてぞ・いでられける・そもさいごとは・のちにぞ・おもひしられける・だいなごん・にし八でう・ちかうなP64
るままに・そのへんを・みたまへば・もののぐしたるつはものどもが・四五ちやう・十ちやうに・ところもなくぞ・みちみちたる・だいなごん・こは・なにごとやらんと・むねうちさわぎ・もんを・さしいりて・みたまへば・ちうもんのとには・おそろしげに・よろうたる・むしや・二にん・だいなごんどのに・たちむかひたてまつり・だいなごんどのの・さうのてを・とつて・ひつぱり・にはへ・ひきおとしたてまつつて・こは・いましめたてまつるべうもや・さふらふらんと・まをしたりければ・にふだう・すこしはらゐて・あるべからずと・のたまへば・うけたまはつて・つはものす十にんがなかに・とりこめたてまつつて・ひとまなるところに・おしこめたてまつる・だいなごんただ・ゆめのここちぞ・したまひける・おんともにさふらひける・しよたいふ・さぶらひども・いくらも・ありけれども・たいぜいに・おしへだてられて・ものをだにも・まをさず・うしかひざふしきに・いたるまで・くるまをすてて・みなちりぢりにこそ・なりにけれ・これをはじめとして・へいけの・さぶらひども・二百よき・三百よき・しよしよに・おしよせおしよせ・むほんのともがらども・一々しだいに・からめとり・まづ・あふみのちうじやうにふだうれんじやう・やましろのかみもとかね・しきぶのたいふまさつな・そうのはんぐわんのぶふさ・しんへいはんぐわんすけゆき・へいはんぐわんやすより・ほつしようじのしふぎやうしゆんくわんそうづも・からめられてぞ・いできたる・さいくわう・これも・このこと・ゐんへそうせんとて・いそぎ・むちあぶみあはせて・はせまゐる・へいけのさぶらひども・みちにて・ゆきあうたり・いかに・ごへん・にし八でうどのより・めしのさうぞ・きと・まゐりたまへと・いひければ・さいくわうこれも・いささか・ゐんへそうすべき・やうあつて・まゐりさふらふ・いかさまにも・やがて・まゐらむずるさふらふとて・うちすぎんとす・につくい・にふだうの・なにごとをか・そうすべき・さな・いはせそと・いふままに・むまよりとつて・あておとして・からめとる・ひのはじめより・どういよりきの・ものなりければ・したたかに・いましめて・にふだうしやうごくのしゆくしよ・にし八でうへ・ぐしP65
てまゐり・おんつぼのうちにぞ・ひつすゑたる・にふだうごらんじて・あはれ・このひごろ・いかにもして・じやうかいを・かたぶけんとせし・やつばらどもの・なれるすがたの・おもしろさよ・しやつ・ここへ・ひきよせよやとて・えんのきはに・ひきふせさせ・まづ・おほきなるむちをもつて・こころのゆくゆく・うちて・のたまひけるは・やれおのれが・やうなる・げらふのはてを・きみの・めしつかはせたまひて・なさるまじき・くわんしよくを・たうで・ふしともに・くわぶんの・ふるまひせし・やつばらと・みしにあはせて・あやまらぬ・てんだいざす・るざいに・まをしおこなひ・あまつさへ・じやうかいをかたぶけんとせし・むほんにん・ひのはじめより・みなひと・しつたり・いささか・そのやうを・すみやかにまをせ・につくい・にふだうのと・のたまへば・さいくわう・ちつともいろも・へんぜず・わるびれたる・きしよくもなくゐなほり・いでいで・さらば・のちごと・ひとつはなさんとて・いいや・さもさうぬぞとよ・しつじのべつたう・しんだいなごんどのの・ぐんびやう・あつめられさふらひしかば・ゐんちうに・めしつかはるるものの・みなれば・くみせぬとは・まをすまじ・それは・くみしたり・ただしごへんは・みみに・とどまることをも・のたまふものかな・たにんのまへはしらず・さいくわうなんどが・まへにては・さやうのくわんぶんの・ことばをば・えこそ・のたまふまじけれ・みさうざつし・ことか・ごへんは・こぎやうぶきやうのこにては・ありしかども・十四五までは・しゆつしもなく・こなかのみかどの・とうのちうなごんかせいのきやうのもとに・たちよりたまひしをば・きやうわらんべは・れいのたかへいたとこそ・わらひしか・いんじはうえんの・ころかとよ・ごへんのちち・ただもりの・はかりごと・いみじうして・かいぞくの・ちやうぽんにん・四十よにん・めししんぜられたりし・けんしやうに・ごへんのいまだ・そのころ・十八か・九にて・四ゐして・四ゐのひやうゑのすけと・いはれたまひしをば・ひといP66
つしかなりと・まをししが・ひごろは・でんじやうのまじはりをだにも・きらはれ・たまひしひとの・しそんの・いまは・きんじき・ざつはうをゆり・りようらきんしうを・みにまとひ・あまつさへ・だいじんたいしやうに・いたつて・きみをも・きみとはせず・しんをも・しんとせぬをこそ・くわぶんとはいへ・さぶらひほどのものの・じゆりやうけびゐしになること・せんれい・はふれい・なきにあらず・されば・なにごとか・くわぶんなるべき・にふだうどのといひければ・にふだうあまりに・はらをすゑかねて・しばしは・ものをも・のたまはず・ややあつて・にふだうしやうごく・のたまひけるは・しやつ・ここへひきよせよやとて・えんのきはに・あをのけに・ひきふせさせ・さいくわうが・しやつらを・ものはきながら・むんずむんずと・ふんで・しやつに・ものないはせそ・したをぬけ・くちをさけとぞ・いかられける・まつうらのたらういへとしと・まをすもの・ちうにくくつて・いでにけり・そののち・あしてを・はさみ・がうきにかけ・さまざまに・いため・とふ・さいくわうもとより・あらがひざつしうへ・きうもんは・きびしかりけり・ことのしさい・のこりなうこそ・おちたりけれ・はくじやうを・かみ四五まいに・きせられけり・そののち・五でうにしのしゆじやかに・ひきいだし・したをぬき・くちをさき・つひに・かうべをはねられけり・じなん・こんどうはんぐわんもろつね・きんごく・せられたりけるをも・めしいだし・おとと・さゑもんのじよう・もろひら・ともに・かうべを・はねられけり・ならびに・らうどう三にん・ちうせらる・ちやくし・かがのかみもろたかをば・をはりの・ゐどたへ・ながされ・たりけるをも・うつてをつかはして・ほろぼさる・もろたか・さんざんに・たたかひけるが・かなはじとや・おもひけむ・たちに・ひかけ・じがいしてこそ・うせにけれ・これらは・すべて・いひがひなき・ものの・ひいでて・あやまらぬ・てんだいざす・るざいに・まをしおこなひ・さんわうだいしの・しんばちみやうばちを・たちどころに・えて・わがみも・P67
しそんも・ことごとくほろびぬるこそ・あさましけれ

小教訓 203
さるほどに・だいなごんは・ひとまなるところに・おしこめられて・おはしけるが・あはれこれは・ひごろ・はかりしことの・はやもれ・きこえたるにこそ・たれもらしけむ・いかさまにも・これは・ほくめんのともがらどもの・うちにもや・あるらんなんど・おもはしなき・こともなう・あんじつづけて・おはしけるところに・うしろのかたより・あしおと・たからかに・ひとの・きたるおとの・しければ・だいなごん・ただいまこれにて・うしなはれんずるに・こそと・おもはれけるに・さはなくて・にふだうしやうごく・そけんのころもの・も・みじかなるに・しろき・おほくち・ふみふくみ・ひじりづかの・かたな・おしくつろげて・さすままに・だいなごんの・おはしける・うしろの・しやうじを・あららかに・さつとあけて・しばらく・にらまへてぞ・たちたまひける・ややあつて・にふだう・のたまひけるは・いかに・ごへんさんぬる・へいぢに・のぶよりのきやうが・むほんの・どうしんによつて・すでに・ちうせられたまふ・べかりしを・こまつのだいふが・やうやうにまをして・くびを・つぎたまひし・ひとぞかし・いつしか・そのおんをわすれて・あまつさへ・じやうかいを・かたぶけむとの・ごけつこうぞや・ひごろの・むほん・けつこうの・しだいを・たづねうけたまはり・まをさうずるは・いかにと・のたまへば・なまじひに・だいなごん・いかさまにも・それは・ひとの・ざんげんにてぞ・さふらふらん・くはしくおんたづねあるべうさふらふと・いはせも・はてず・それなりつる・さいくわうが・はくじやうもつて・まゐれと・のたまへば・うけたまはつて・P68
かみ四五まいに・かいたるものを・もつて・まゐりたり・にふだうひきひろげ・二三べんがほど・たからかに・よみきかせ・あらにくや・このうへは・ここをなにとか・あらがひたまふべき・それよく・みたまへとて・だいなごんの・かほに・さつと・なげかけて・いそぎ・しやうじを・ちやうどたててぞ・いりたまひける・そののち・にふだう・なんばせのをと・めされければ・つねとほ・かねやす・まゐりたり・あのをとこ・とつて・ひつぱり・にはへひきおとし・とつてふせて・をめかせよと・のたまへば・二にんのものども・こまつどのの・かへりきこしめされんずるところも・いかが・さふらふべかるらんとて・ふかうかしこまつてぞさふらひける・にふだう・よしよし・さきいつ・じやうかいが・めいをば・かるんじて・だいふはなほ・おそろしいとや・そのぎならば・そのむねをこそ・こころえめと・のたまへば・二にんのものども・あしかりなんとや・おもひけん・だいなごんどのの・さうのてを・とつて・ひつぱり・にはへ・ひきおとしたてまつつて・さうのおんみみに・くちをよせて・いかさまにも・おんこゑの・いづべうさふらふとて・あげては・どうとおき・どうとおき・二三ど・あげおろしたりければ・おんこゑ二こゑ三こゑぞ・いだされたる・なほいまめ・たてまつるべうもや・さふらふらんと・まをしたりければ・にふだう・すこし・はらゐて・いまはとうとう・やすめまをせとのたま・へば・うけたまはつて・つはものす十にんが・なかに・とりこめたてまつつて・また・ひとまなるところに・おしこめたてまつる・だいなごん・ただゆめのここちぞ・したまひける・そのてい・めいどにて・ざいにんどもが・つみのけいぢうによつて・あるひは・ごふのはかりにかけられ・あるひは・じやうはりの・かがみに・ひきむけられ・しよさのごふに・よつて・かしやくをくはへ・けいばつを・おこなはるらんも・これには・すぎじとぞ・みえし・せうはんとらはれ・とらはれて・かんはうにらき・すされたり・てうそりくをうけ・しうぎ・つみせらる・たとへば・P69
かのせうか・はんくわい・かんしん・はうゑつ・これらはみな・かうその・こうしんたりしかども・せうじんの・ざんによつて・くわはいの・はぢをうくとも・かやうのことをや・まをすべき・さるほどに・だいなごんは・ひとまなるところに・おしこめられて・おはしけるがちやくし・たんばのせうしやうも・いまは・めしやこめられぬらん・のこりとどまる・あとのありさま・さこそはあるらめなむど・おもはじなきこともなう・あんじつづけて・おはしける・ほどに・さしもの・ごくねつに・しやうぞくをだにも・くつろげたまはねば・あせも・なみだも・あらそひてぞ・みえられける・おとどは・いまだ・おはせぬやらん・さりとも・よもすておき・たまふべきとは・おもはれけれども・たれして・のたまふべきとも・おぼえねば・くれをもまたで・つゆのみの・きえぬべうこそ・おもはれけれ・こまつどのは・なにごとにも・さわぎたまはぬひとにて・おはしければ・はるかに・ひたけて・のち・ゑふ四五にん・ずゐしん三四にんほど・めしぐして・のどやかげにてぞ・おはしたる・にふだうよにも・あしげに・みたまへば・ちくごのかみさだよし・おんまへをついたつて・おとどに・まゐりむかひたてまつり・これほどの・おんだいじに・など・ぐんびやうどもをば・一にんも・めしぐ・せられさふらはぬやらんと・まをしたりければ・おとど・だいじとは・てんがの・だいじをこそいへ・されば・これは・わたくしごと・なんでう・ことのあるべきとて・いりたまへば・かつちうを・よろひ・きうせんを・たいしたる・ものどもも・みな・そぞろいてぞ・さふらひける・そののち・おとど・ちうもんに・おはして・だいなごんの・おはするところは・いづくやらんと・かしこここの・しやうじを・ひきあけひきあけ・みたまへば・ここに・くもでゆうたる・ところあり・これや・そなるらんとて・ひきあけて・みたまへば・をりふし・だいなごんは・おとどのこと・おぼしめしいだし・なみだにむせび・うつぶして・おはしけるが・おとど・P70
さていかにやと・のたまふこゑを・ききつけて・めをもちあげ・うれしげに・おもはれたる・けいき・ごくあくしんぢうの・ざいにんが・ぢざうぼさつに・あひたてまつるらんも・これには・すぎじとぞ・みえし・だいなごんは・こはなにごとにてさふらふやらん・みには・いつせつ・あやまつたる・こともさふらはねども・けさより・かやうに・めしこめられ・まゐらせて・ゆふさり・すでに・うしなはるべしとやらん・うけたまはりさふらふ・さんぬる・へいぢに・いのちたすけられ・まゐらせて・そのごおん・いまだ・はうじ・つくしがたうてさふらふ・こんども・よきやうに・まをして・たすけさせ・おはしましさふらへかし・かひなき・いのちだには(イ命だに生きて候はば)・やがて・もとどりきつて・いかならむ・かたやまざとにも・とぢこもり・ひとすぢに・ごしやうぼだいの・いとなみをも・つかまつりさふらはんと・おもひなつて・こそさふらへと・のたまへば・おとど・いかさまにも・それは・ひとの・ざんげんにてぞ・さふらふらん・さりながら・こんどもまた・よきやうにまをして・たすけ・たてまつらばやとこそ・ぞんじさふらへ・おんこころやすく・おぼしめされさふらふべしとて・いでられければ・だいなごん・おとどの・おはしつるほどは・いささか・たのもしう・おもはれつるに・おとど・いでたまひてのちは・だいなごん・よにも・こころぼそくぞ・おもはれける・そののち・おとど・ちちのおんまへに・おはして・さてあの・だいなごんをば・きられんずるにて・さふらふやらんと・まをされたりければ・にふだう・しさいにや・およぶ・このくれを・まつなりとぞ・のたまひける・おとど・あのだいなごん・さうなう・うしなはるべからず・そのゆゑは・かれがせんぞ・六でうのしゆりのだいぶあきすゑきやう・しらかはのゐんに・めしつかへてより・このかた・いへひさしう・へのぼり・くらゐ・じやう二ゐ・くわん・だいなごんに・あがり・ことには・たうじの・きみの・ぶさうのおんいとほしみにて・さふらふなるものを・さうなう・うしなはるべきこと・P71
いかがさふらふべかるらん・かやうには・また・きこしめされてさふらふとも・もしこのことの・ひがごとならば・いよいよふびんの・いたりなるべし・きたののてんじんは・しへいのおとどの・ざんげんによつて・うきなを・さいかいのなみにながし・にしのみやのだいじんは・ただのしんぼちが・ざんさうによりて・そのみを・せんやうの・くもにかくしたまふ・これみな・えんぎのせいしゆ・あんわのみかどの・おんひがごととぞ・まをしつたへたる・じやうこもつて・かくのごとしいはんや・まつだいに・おいてをや・けんわうなほ・おんあやまりあり・いはんやぼんにんにおいてをや・よくよく・ごあんも・あるべし・くはしう・おんたづねも・さふらふべし・こうくわい・さきにただずとこそ・うけたまはりさふらへ・けいのうたがはしきをば・かるんぜよ・こうのうたがはしきをば・おもんぜよとこそ・みえてさふらへ・かやうにまをしさふらへば・しげもり・かのだいなごんが・いもうとに・あひぐしたり・これもりまた・むこなり・かたがたしたしければ・まをすとや・おぼしめされさふらふらん・まつたく・そのぎにてさふらはず・ただよのため・いへのために・ぞんじて・かやうには・まをしさふらふなり・むかしさがのくわうていのおんとき・さひやうゑのじようふぢはらのなかなりが・ちうせられてより・このかた・しにたるものの・ふたたび・かへることなし・これふびんの・いたりなるべしとて・はうげんまでは・きみ・廿五だい・たえてひさしかりし・しざいを・しんぜいにふだう・しつけんのときに・あひあたりて・うぢのさふの・しがいを・ほりおこし・かうべをはね・おほぢをわたし・じつけんせられしこと・なんどは・むだうなる・いたり・あまりなる・まつりごととこそ・みさふらひしか・されば・ふるきひとのことばにも・あまりに・しざいを・おこなへば・かいだいに・むほんの・ともがらたえずと・まをししに・あはせて・なか・ふたとせあつて・へいぢに・こといでき・しんぜい・みやこのうちを・いだされ・いきながら・うづまれ・いくほどなうて・ほりおこし・かうべをはね・おほぢを・わたされ・くびをごくもんに・かけられし・ことP72
なんどは・いつしか・そのむくいかと・おぼえて・かへすがへすおそろしう・こそさふらへ・これは・させる・てうてきにても・さふらはず・せめては・みやこのうちを・いだされたらんに・ことたりさふらひなんず・だいじやうだいじんまでも・きはめさせたまひぬれば・ごえいぐわ・のこるところはさふらはねども・ししそんそんまでも・はんじやうこそ・あらまほしうさふらへ・ふその・ぜんあくは・しそんにおよび・しやくぜんのいへに・よけいあり・しやくあくのかどに・よあうとどまるとこそ・うけたまはりさふらへなんど・やうやうに・まをされたりければ・ゆふさりだいなごん・きられんことをば・おぼしめしとどまり・たまひける

あひ 204
そののちおとど・ちうもんにいで・さぶらひどもに・むかつて・のたまひけるは・たとひにふだう・ふしぎを・げぢしたまふとも・あのだいなごん・さうなう・きるべからず・おんふくりふのままに・ものさわがしき・おんことならば・さだめて・ごこうくわいあるべし・さるにても・つねとほ・かねやすが・けさあの・だいなごんに・あらけなく・あたりつることこそ・かへすがへすも・きくわいなれ・かたゐなかのものどもは・よろづのことに・かかるぞとよと・のたまへば・二にんのものども・さればこそ・けさ・われらが・まをしつるところも・ここぞかしとて・ふかう・おそれいつてぞ・さふらひける・おとどは・かやうに・げぢしつつ・こまつどのへぞ・かへられける・さるほどに・だいなごんのともに・さふらひける・しよたいふさふらひども・なかのみかど・からすまるのだいなごんなりちかのきやうの・ごしゆくしよに・かへりまゐつて・かみには・けさよりして・にし八でうに・めしこめられ・まゐらつさせたまひて・ゆふさりすでに・うしなはれ・させたまふべきと・やらん・うけたまはりさふらふ・またせうしやうどのを・はじめたてまつつて・P73
きんたちたちをも・みな・むかへまゐらつさせ・たまふべしと・やらん・つたへうけたまはつてさふらふと・まをしたりければ・きたのかためのとのにようばうを・はじめたてまつつて・いへのうちに・ありとし・あるひと・みな・きもたましひを・うしなつて・こゑをあげてぞ・なかれける・によばうだち・いまは六はらより・つゐふのくわんにんどもの・まゐりむかひさふらふらんに・こはいづくへも・しのばせたまひてと・まをしあはれければ・きたのかた・いまこれほどに・なりぬるうへは・いづかたへか・しのぶべき・ただひとところにて・ともかうも・なりたらんこそ・ほんいなれ・さるにても・けさをかぎりと・しらざりつる・ことこそ・かなしけれとて・ふししづみてぞ・なかれける・さるほどに・六はらより・つゐふのくわんにんどもの・まゐりむかふよし・きこえしかば・きたのかた・いまさればとて・はぢがましく・うきめを・みむよりは・しのばむとて・きたのかた・くるまにのりたまふ・十さいのわかぎみ・八さいのひめぎみ・ひとつくるまにのせ・たてまつつて・おほみやをのぼりに・きたやまのほとり・うんりんゐんへ・いれたてまつり・あさましげなる・そうばうに・おろしおきたてまつる・おんとものひとびとは・みのすてがたさに・いとままをして・みなちりぢりにこそ・なりにけれ・きたのかた・きんだちばかり・のこりとどまらせたまひて・くれゆくかげを・みたまふにつけても・あはれやだいなごんは・ゆふさりすでに・うしなはれさせたまふべき・なれば・つゆのおんいのち・いまいくほどぞやと・おもひやるにも・きえぬべし・さるほどに・だいなごんのとしごろ・めしつかはれたる・つぼねのにようばうめのわらは・ものをだにも・うちかつがず・かちはだしにて・もんぜんに・はしりいで・みなちりぢりにこそ・なりにけれ・もんをだにも・おしたてず・むまやには・むまどもなみたちけれども・くさかふものもなし・よあくれば・もんぜんには・うまくるまのひまなく・うちには・ひんかく・ざにつらなつて・よをよともせず・みちをすぐる・ものP74
ども・おぢおそれてこそ・きのふまでも・ありつるに・よのまにかはる・よのならひ・しやうじやひつすゐのことわり・は・めのまへにこそ・あらはれたれ・たのしみつきて・かなしみきたると・かかれたる・がうしやうこうの・ふでのあと・いまこそ・おもひしられけれ

少将の乞請 205
さるほどに・しんだいなごんなりちかのきやうのちやくし・たんばのせうしやうなりつねは・きのふより・ゐんのごしよに・うへぶしして・いまだまかりも・いでられざりけるに・ひとまゐつて・このよしまをしたりければ・せうしやうなど・これほどのことを・しうと・さいしやうのもとよりは・つげられぬやらんと・のたまふところに・しうとさいしやうのもとより・つかひあり・にし八でうより・ぐしたてまつつて・きつときたれとさふらふ・とうとうと・のたまひつかはされたりければ・せうしやう・はやこころえたまひて・ごしよちうの・にようばうたちを・よびいだしたてまつつて・かかることこそさふらへ・きのふより・せけん・なんとなう・そうぞうにさふらひつるを・れいのやまの・だいしゆの・くだるかなんど・よそに・ぞんじてさふらへば・はやなりつねが・みのうへにて・さふらひけり・さても・八さいより・おんめにかかり・十二より・このごしよに・しこうつかまつつて・あさゆふは・ふびんのおほせ・まかりかうぶり・さふらひしに・ゆふさり・あのだいなごん・うしなはれさふらはば・さだめてなりつねも・おなじみちにぞ・おこなはれ・さふらはんずらん・いま一ど・きみをも・みまゐらせたくは・さふらへども・かかるみに・まかりなりさふらひぬるうへは・よにおそれてこそ・まかりいでさふらへと・まをされたりければ・にようばうたち・ごぜんにまゐり・このよしそうし・まうされたりければ・ほうわう・なにかはくP75
るしかるべき・いま一どこれへと・おほせければ・せうしやうなくなく・ごぜんへは・まゐられたりけれども・まをしいださるるむねもなし・ほうわうもまた・おほせいださせたまふかたも・なかりけるに・さてしも・あるべきならねば・せうしやうおんいとままをして・いでられけり・ほうわうは・せうしやうの・うしろを・はるばると・ごらんじおくらせたまひて・ただまつだいこそ・こころうけれ・またもごらんぜられぬ・おんこともや・あらんずらんとて・おんなみだに・むせばせ・おはします・そのほかごしよちうのひとびと・せうしやうの・そでに・すがり・たもとにとりつき・みななみだをぞ・ながされける・せうしやうは・けさゐんのごしよを・いづるより・ながるるなみだも・つきざるに・しうとさいしやうのもとに・おはして・まづ・きたのかたの・おんありさまを・みたまふに・せんかたなし・ちかうさんしたまふべきにて・つきごろも・なにとなう・うちなやみたまひけるが・またこのことさへ・うちそひて・ふししづみてぞ・おはしける・またせうしやうのめのとに・六でうとまをす・にようばうあり・せうしやうの・そでをひかへたてまつつて・きみのちのなかに・わたらせたまひしを・とりあげいだき・そだて・まゐらせてより・このかた・わがみのとしの・おいゆくをもしらず・いつかとくして・おとなしく・ならせたまはんずらんと・まをしあかし・まをしくらし・ことしは・廿一まで・そだてまゐらせて・ゐんへも・うちへも・おんまゐりあつて・おそういでさせたまふときは・かつうは・おんこひしうも・かつうはまたおぼつかなうも・おもひまゐらせつるに・ただいまいでさせたまひて・いかなるおんめにか・あはせたまはんずらんとて・なきければ・せうしやういたうな・なげきそ・さいしやうさてましませば・いのちばかりをば・まをして・たすけたまはぬ・ことあらじとは・のたまへども・めのとの・六でう・ただもだえこがれ・たをれふし・なくよりほかの・ことぞなき・さるほどに・にし八でうより・つかひしきなみに・たちけP76
れば・さいしやうさらば・いでてこそ・ともかうも・ならめとて・くるまにのつてぞ・いでられける・せうしやうもどうしやして・こそいでられけれ・さいしやうのうちの・じやうげ・なんによみな・くるまよせまで・はしりいで・なきひとを・いだすがやうに・こゑをあげてぞ・なかれける・はうげんへいぢより・このかた・へいけのひとびとの・たのしみさかえは・ありしかども・うれへなげきは・なかりしに・このさいしやうばかりこそ・よしなき・むこゆゑに・かかるなげきは・したまひけれ・さるほどにさいしやう・にし八でうにおはして・あんないを・まをされたりければ・にふだう・せうしやうをば・うちへは・かなふまじと・のたまふあひだ・そのへんちかき・さぶらひのもとに・おろしおきたてまつつて・さいしやうばかり・いりたまふ・いつしかつはものども・せうしやうを・うちかこみたてまつつて・しゆごしたてまつる・さいしやう・ちうもんにおはして・いであはるるかと・たいめんを・またれけれども・にふだう・とみにも・いでられざりければ・げんたいふのはんぐわんすゑさだをもつて・まをされけるは・のりもり・よしなきものに・むすぼほれて・いまさら・くやしうさふらへどもちからおよびさふらはず・またかれに・あひぐせさせて・さふらふもののうちなやむことのさふらふが・またこのことさへ・うちそへて・いのちも・あやうくこそさふらへ・あはれかれが・いかにも・ならんほど・たんばのせうしやうを・のりもりに・あづけさせ・おはしまし・さふらへかし・なじかは・ひがごと・せさせさふらふべきと・まをされたりければ・すゑさだ・おんまへに・まゐつて・このよし・まをしたりければ・にふだうあはや・また・れいのさいしやうの・ものにも・こころえぬことを・のたまふものかなとて・おほきに・いかつて・しばしは・ものをも・のたまはず・ややあつて・にふだうしやうごく・のたまひけるは・そもそもかの・しんだいなごんなりちかのきやうと・いつぱ・むほんをおこして・たうけを・がたぶけむとす・されども・この一もんいまだ・うんつきざるによつて・このことはやく・あらはれたり・もしこのP77
むほん・とげましかば・そのごへんとても・あんをんにや・おはすべき・うとうも・おはせよ・したしうも・おはせよ・えこそ・なだめ・まをすまじけれ・むこも・こも・まことのときは・ただ・みに・まさることや・あるとぞ・のたまひける・さいしやうかさねて・まうされけるは・はうげん・へいぢよりこのかた・だいせうじ・おんいのちにかはり・まゐらせて・あらきかぜをば・まづふせぎ・まゐらせんとこそ・つかまつりさふらひしが・いまよりのちも・たとひのりもりこそ・としおいてさふらふとも・こどもあまた・もちてさふらへば・などか一ぱうの・おんかために・なりまゐらせでは・さふらふべき・それにしばらく・せうしやうを・のりもりに・あづけさせ・おはしませとまをすを・おんゆるされも・なきはよく・のりもりをも・ふたごころあるものに・おぼしめされたる・にてこそさふらへ・さやうに・うしろめたいものに・おもはれまゐらせて・のりもり・よにありても・なににかはし・さふらふべき・あはれしゆつけのいとまをたまはつて・かうや・こがはにも・とぢこもり・ひとすぢに・ごしやう・ぼだいの・いとなみをつかまつりさふらはばや・よしなき・うきよの・まじはりなり・よにあればこそ・のぞみもあれ・のぞみのかなはねばこそ・うらみもあれ・しかじうきよをいとひ・まことのみちに・いりなんにはとぞ・まをされける・すゑさだまた・おんまへに・まゐつて・このよし・まをしたりければ・にふだうもつてのほかに・おどろきたまひて・さてはさやうに・さいしやうの・しゆつけにふだうなんどまで・まをさるなるこそ・けしからね・さらばしばらく・せうしやうを・しゆくしよにも・おかれさふらへかしと・よにも・しぶしぶにこそ・のたまひけれ・さいしやうなみだをながし・あはれわがこに・むすぼほれざらんには・なにしにか・これほどに・こころをくだくべき・よしなかりける・によしかなとて・なみだにむせびてぞ・いでられける・せうしやうまちうけたてまつつて・さていかに・さふらふと・のたまへば・さいしやうさればこそ・いかにも・かなP78
ふまじかりつるを・のりもりが・しゆつけにふだうなんどまで・まをしたればにやらん・しばらくしゆくしよに・おきたてまつれとはのたまへども・ゆくすゑとても・たのもしからずと・のたまへば・せうしやうさては・ごおんをもつて・しばらくの・いのちのたすかりさふらふござんなれ・さてあの・だいなごんどののおんことをば・なにとか・きこし・めされたるやらんと・のたまへば・さいしやう・いさとよ・いかにもしてぞ・このことをこそ・まをさばやと・しつれ・それまでの・ことは・おもひも・よらずと・のたまへば・さてあの・だいなごんどの・ゆふさり・うしなはれたまひさふらはば・うきもしづみも・なりつねをも・おなじみちには・まをさせたまはでと・のたまへば・さいしやうよにも・こころぐるしげにて・いさとよそれも・こまつのだいふの・けさよりして・やうやうに・とりまをさるなるが・それもしばらくの・いのちのたすからせ・たまふやうにこそ・うけたまはりつれと・のたまへば・せうしやうてをあはせてぞ・よろこばれける・まことの・こならざらむひとの・わがみの・うへをさしおきて・たれかは・かやうに・よろこぶべき・まことのちぎりは・おやこのなかにぞ・ありける・さればこに・すぎたる・たからなしと・やがて・おもひぞ・かへされける・さるほどに・さいしやうは・くるまにのつてぞ・いでられける・せうしやうもまた・けさのやうに・どうしやしてこそ・かへられけれ・ひとさきにまゐつて・せうしやうどのは・べちのおんことも・わたらせたまはで・かへらせたまひてさふらふと・まをしたりければ・さいしやうのうちの・じやうげなんによみな・くるまよせまで・はしりいで・ししたるひとの・いきかへりたるここちして・みなよろこびのなみだをぞ・ながされけるP79

教訓状 206
にふだうしやうごく・しんだいなごんなりちかのきやういげ・ごきんじゆのひとびと・そのほか・ほくめんのともがらどもに・いたるまで・おほくいましめおかれても・なほこころゆりずや(イ心ゆかずや)・おもはれけむあかぢのにしきのひたたれに・くろいとをどしの・はらまきの・むないたせめ・そのかみいまだ・あきのかみたりしとき・いつくしまのだいみやうじんより・れいむかうぶり・うつつにたまはられたりける・しらえのこなぎなた・つねのまくらをはなたず・たてられたりけるを・わきにはさみつつ・ちうもんのらうへぞ・いでられける・おほかたそのけしき・ゆゆしうぞみえし・にふだう・さだよしとめす・ちくごのかみさだよし・もくらんぢの・ひたたれに・ひをどしの・よろひきて・おまへにまゐり・かしこまる・にふだう・やや・さだよし・いかがはからふ・さんぬるはうげんに・をぢへいむまのすけただまさをさきとして・一もんなかばすぎ・しんゐんのみかたに・まゐりたりき・一みやのおんことは・ごぎやうぶきやうのとのの・やうくんにて・わたらせたまひしかば・かたがた・みはなちまゐらせがたうは・おもひしかども・こゐんの・ごゆゐかいにまかせて・このおんかたに・まゐり・さきをかけたりき・これ一の・ほうこうにあらずや・またへいぢぐわんねん十二ぐわつに・のぶより・よしともが・むほんのとき・ゐんうちおしこめたてまつつて・てんかは・くらやみとなりたりしにも・にふだう・いのちを・すてずしては・いかにも・かなふまじかつしあひだ・みかたにてぞくとを・うち・たひらげ・のぶより・よしともを・ちゆうりくし・つねむね・これかたをめし・いましめしにいたるまで・きみのおんために・いのちをすつること・どどにおよぶ・されば・ひと・いかにまをすとも・この一もんをば・いかでか・七だいまでも・おぼしめしすてさせたまふべきに・それになりちかといふ・むようのいたづらもの・またP80
さいくわうといふ・げせんのふたうにんが・まをすことに・きみのつかせ・おはしまして・たうけをかたぶけんとの・ごけつこうこそ・しかるべからね・なほも・ざんそうするものあらば・かさねてゐんぜん・くだされつと・おぼゆるなり・てうてきとなりなんのちは・いかにくゆとも・えきあるまじ・さればしばらくよをしづめむほど・ほうわうを・とばの・きたどのへうつし・まゐらするか・しからずば・また・ごかうを・これへなりとも・なしまゐらせばやと・おもふはいかがあるべき・さらむにとつては・ほくめんのともがらどもの・なかに・やをもひとつ・いつとおぼゆるもののあるぞとよ・さぶらひどもに・そのようい・せよと・ふるべし・おほかたにふだう・ゐんがたのほうこうに・おいては・おもひきつたり・むまにくらおけ・きせなが・とりいだせよとぞ・ひしめかれける・そののち・しゆめのはんぐわんもりくに・いそぎこまつどのに・はせまゐつて・まうしけるは・よははやすでに・かうとこそみえさせおはしましさふらへ・そのゆゑは・かみに・おんきせながを・めされさふらふうへ・つはものどもみな・うつたつて・ただいますでに・ゐんのごしよ・ほうぢうじどのに・よせさふらふぞや・ほうわうをば・とばどのにと・ごひろうあつて・ないないは・さいこくのかたへ・ながしまゐらすべしとこそ・うけたまはりさふらへと・まをしたりければ・おとどいかでか・さるおんことの・わたらせたまふべきとは・おぼしめされけれども・けさのぜんもんの・ふるまひ・さるものぐるはしう・おはしつれば・もし・さやうのこともや・おはすらんとて・いそぎ・おんくるまにめし・にし八でうに・おはして・もんぜんにて・くるまよりおり・もんをさしいりて・みたまへば・げにも・にふだう・はらまきを・ちやくしたまふうへ・一もんのけいしやううんかく・す十にんおもひおもひのひたたれに・いろいろのよろひきて・ちうもんのらうに・二ぎやうにちやくせられたり・そのほかしよこくのじゆりやう・ゑふしよしなんどは・えんにもゐこぼれて・にはにもひしと・なみゐたり・つはものどもはたさをを・ひきP81
そばめひきそばめ・むまのはるびをかため・かぶとのををしめて・ただいますでに・うつたたうずる・きそくなるに・おとどはまた・けさのやうに・ゑぼし・なほしに・だいもんの・さしぬきのそばとつて・さやめきいりたまふ・ことのほかにぞ・みえられける・にふだうしやうごく・このよしをみたまひて・あはまた・れいのだいふが・よをへうするやうに・ふるまふものかな・ついでをもつて・おほきに・いさめばやと・おもはれければ・なぎなた・ひざのしたにおき・ゐだけだかに・なつて・おはしけるが・さすがだいふは・こながらも・うちには・五かいをたもつて・じひをさきとし・ほかにはまた・五じやうをみだらず・れいぎをただしうしたまふ・ひとなり・あのすがたに・はらまきをちやくして・むかはんこと・さすが・おもはゆう・はづかしくもや・おもはれけん・しやうじを・すこしひきたて・そけんの・ころもをとつて・はらまきのうへに・あわてぎに・きたまひけるが・むないたのかなもののはづれて・すこしみえける・を・かくさんと・ころものむねをとつて・しきりにひきちがへひきちがへぞ・したまひける・おとどは・おんおとと・うたいしやうむねもりの・ざじやうに・ちやくせられけり・にふだうしやうごくも・のたまひいださせたまふむねもなし・おとどもまた・まうしいださせたまふかたも・なかりけるに・ややあつて・にふだうしやうごく・のたまひけるは・そもそもかの・しんだいなごんなりちかのきやうが・むほんはことの・かずならず・一かうこれは・おほかた・ほうわうの・ごけつこうにて・さふらひけるぞや・それにふだうが・くわたいは・がいぶんに・くわんとを・すすむばかりなり・それ・ゆみやとるならひ・せんれいなきにあらず・たむらまろは・ぎやうぶきやう・さかのうへの・かつたまろが・こなりしかども・わづかに・とういをたひらげし・けんしやうに・だいなごんにて・さこんのたいしやうを・けんじき・せいだいじやうこにも・わづかに・とういへんどをかせし・くんこうかくのごとし・いはんやにふだう・わうゐをうばはれ・たまはんとせP82
し・二ケどの・くんしやう・すてがたし・しかのみならず・こうしんちやくちやくのみとして・てうていどどの・はぢをきよめき・それになりちかといふ・むようのいたづらもの・さいくわうといふ・げせんのふたうじんが・まうすことに・きみのつかせおはしまして・たうけつゐたうの・ごけつこうこそ・しかるべからね・なほも・ざんそうするものあらば・かさねて・ゐんぜんくだされつと・おぼゆるなり・てうてきと・なりなんのちは・いかにくゆとも・えきあるまじ・さればしばらく・よをしづめむほど・ほうわうを・とばの・きたどのへ・うつしまゐらするか・しからずはまた・ごかうを・これへなりとも・なしまゐらせばやと・おもふは・いかがあるべきと・のたまへば・おとど・このこと・ききもあへたまはず・まづさめざめとぞ・なかれける・にふだうさてはいかにや・いかにと・あきれたまへば・ややあつて・おとどなみだをおさへて・まうされけるは・このおほせうけたまはりさふらふに・ごうんははや・すゑになりぬと・おぼえて・まづ・しげもりが・ふかくのなみだの・さきだちさふらふなり・ひとはかならず・うんめいつきむとては・かかるあくぎやうを・おもひたつことにてさふらふなり・さすがわがてうは・ぞくさんへんちの・さかひとはまをしながら・てんせうだいじんの・ごしそん・くにのあるじとして・あまつこやねの・みことの・ごべうえい・てうのまつりごとを・つかさどりたまひしより・このかた・だいじやうだいじんのくわんに・いたりたまふほどのひとの・かつちうをよろひ・ましますこと・これれいぎを・そむくにあらずや・なかんづくしゆつけのおんみなり・それ三ぜのしよぶつ・げだつどうさうの・ほうえをぬぎすてて・たちまちにかつちうをよろひきうせんをたいしましますこと・うちには・はかいむざんの・つみをまねかせ・たまふのみならず・ほかにはまた・じんぎれいちしんの・ほふにも・すでに・そむきぬらんとこそ・みえてさふらへ・かたがたおそれあるまをしごとにてはさふらへども・しばらく・おんこころをしづめて・しげもりが・まをしじやうを・つぶさにきこしめさるべうもや・さふらふらん・かつうは・さいごの・まうしじやうP83
なり・こころのうちに・ししゆを・のこすべからず・まづよに四おんさふらふ・しよきやうのせつさう・ふどうにして・ないげのぞんぢ・かくべちなりとは・まをせども・しんちくわんぎやうのもんにも・とかれてさふらふが・てんちのおん・こくわうのおん・ぶものおん・しゆじやうのおん・これなり・しるをもつて・じんりんとす・そのなかに・もつともおもきは・てうおんなり・ふてんのしたことごとく・わうどにあらずと・いふことなし・されば・えいせんのみづに・みみをあらひ・しゆやうざんに・わらびををつし・けんじんも・ちよくめいそむきがたき・れいぎをば・ぞんぢすとこそ・うけたまはれ・いまだせんぞにも・きかざりし・だいじやうだいじんのくわんを・きはめさせたまふのみならず・いはゆる・しげもりなんどが・むさいぐあんの・みをもつて・れんぶくわいもんの・くらゐにいたる・しかのみならず・こくぐんなかば・一かのしよりやうたり・でんをんはことごとく・一もんのしんしたり・これきたいの・てうおんにあらずや・いまばくだいの・ごおんをわすれて・みだりがはしく・きみをなみし・まゐらつさせたまはんおんこと・しんりよのほども・はかりがたし・それわがてうは・しんこくなり・かみはひれいを・うけさせたまはず・およそてうてきとなりなんものは・ちかくは百にち・とほくは・みとせを・すごさずとこそ・うけたまはりさふらへ・これはきみの・おぼしめしたつところ・だうりなかば・なきにあらずや・およそ・この一もんは・だいだいの・てうてきを・たひらげて・四かいの・げきらうをしづむること・ぶさうのちうとは・まをしながら・そのしやうにほこること・かへりて・ばうじやくぶじんともまた・まをしつべし・いへのめいをもつては・きみのめいをじせざれ・わうふのめいをもつては・ちちのめいをじせよとこそ・みえてさふらへ・おほせあはせらるる・だいなごんいげの・よたうのともがらに・しよたうのざいくわ・おこなはれぬるうへは・なにのおそれかさふらふべき・いまはしりぞいて・このしさいをちんじ・まをさせたまはば・きみのおんためには・いよいよほうこうのちうきんをいたし・たみのためには・ますます・むいくの・あいれんを・P84
ほどこさせおはしまさば・しんめいの・かごに・あづかつて・ぶつだの・みやうりよにも・そむくべからず・しんめいぶつだの・かんおうあらば・きみもなどか・おぼしめしなほさせたまはでは・さふらふべき・されば・しやうとくたいしの・十七ケでうの・ごけんぽふにも・みなひとこころ・まちまちなり・おのおのしふあり・われをぜし・かれをひす・かれをぜし・われをひす・ぜひのことわりを・たれかよく・さだむべき・あひともに・けんぐなり・はしなくして・たまきのごとし・たとひかのひと・いかるといふとも・かへりて・わがしつを・をさめよとこそ・みえてさふらへ・きみと・しんとを・ならぶるに・しんそわくかたなし・きみにつきたてまつるは・ちうしんのはふ(ほふ)・だうりと・ひがごとを・くらべんに・いかでか・だうりにつかざるべき・これはきみの・おんことわりにてさふらへば・しげもりはかなはぬまでも・ゐんちうを・しゆごしまゐらせんとこそ・ぞんじさふらへ・そのゆゑは・しげもりはじめ・じよしやくより・いまだいじんのたいしやうに・いたるまで・一として・てうおんならずと・いふことなし・そのおんの・おもきことを・おもへば・せんくわ・ばんくわの・たまにもこえ・そのふかきいろを・ろんずれば・一じふさいじふの・くれなゐにもなほ・すぎたらん・しげもりが・みにかはらむ・いのちにかはらむと・ちぎつてさふらふ・さぶらひども・せうせうさふらふらん・かれらを・めしぐして・ゐんの・ごしよにまゐり・もんもんをかためて・ふせぎまゐらせんは・ゆゆしき・おんだいじにてこそ・さふらはんずれ・かなしきかな・きみのおんために・ほうこうのちうきんを・いたさんと・すれば・めいろ八まんの・いただきよりなほたかき・ちちのおん・たちまちにわすれなんとす・いたましきかな・ふかうのつみを・のがれんと・すれば・きみのおんためには・ふちうの・ぎやくしんともなりぬべし・しんたいこれきはまれり・ぜひいかにも・わきまへがたし・せんずるところ・きみをも・しゆごし・まゐらせさふらふまじ・またゐんざんの・おんともをも・つかまつるP85
べからず・せんはただ・まをしうくるところ・しげもりが・くびをめさるべし・らうしのことばこそ・おもひいでてさふらへ・こうみやうかなひとげて・みをしりぞけず・くらゐをさらざれば・すなはち・がいにあふともまをす・かのせうかは・だいこうかたへに・こえたりしによつて・くわん・だいしやうごくにあがり・けんをたいし・くつをはきながら・でんじやうへのぼることを・ゆるされたりしかども・ひとたび・えいりよにそむくこと・ありしかば・かうそこれを・いましめて・おもうつみせられき・かやうのことを・おもふにも・ふつきといひ・えいぐわといひ・てうおんとまをし・ちようしよくといひ・かたがたきはめさせ・たまひぬれば・いまはごうんの・つきさせたまはんことも・かたかるべしとも・おぼえず・ふつきのいへには・ろくゐちようでふせり・なほふたたび・みなるきは・そのねかならず・いたむともまをす・いつまでか・ながらへて・かやうに・みだれむ・よをも・みさふらふべき・ただまつだいに・しやうをうけて・かかるうきめに・あひさふらふ・しげもりが・くわはうのほどこそ・つたなうさふらへ・さぶらひ一にんに・おほせつけ・おつぼのうちに・めしいだし・しげもりが・くびをめされんは・いとやすき・おんことにてこそ・さふらはんずらめ・これやおのおの・ききたまへとて・なほしのそで・しぼるばかりに・みえられければ・にふだうしやうごくを・はじめたてまつつて・一もんのけいしやううんかく・みなよろひのそでをぞ・ぬらされける・にふだうしやうごく・たのみきつたる・だいふは・かやうに・のたまふ・よろづ・ちからも・なげにて・いやいやそれまでの・ことは・おもひもよらず・あくたうどもの・まをすことに・きみのつかせおはしまして・もしおんひがごとなんどもや・いでこん・ずらんなど・おもふばかりにてこそ・あれと・のたまへば・おとど・たとひ・いかなる・おんひがこと・わたらせたまひさふらふとも・きみをば・なにとかし・まゐらつさせたまふべき(イべきとて)・おんまへを・ついたつて・ちうもんにいで・さぶらひどもにむかつて・のたまP86
ひけるは・いまおんまへにて・まをしつることどもをば・なんぢらはうけたまはらずや・けさよりこれにありて・かやうのことどもをもまをし・なだむべかりつれども・これていに・ひたさわぎ・なりつれば・かへりたりつるなり・またゐんざんのおんともに・おいては・しげもりが・くびをめされんをみて・まをすべし・さらばおのおの・まゐれとて・こまつどのへぞ・かへられける・されども・たうけぢうだい・からかはといふ・よろひ・こがらすといふたちをば・しのびつつ・おんくるまに・いれられけるとぞ・うけたまはる・よういのほどこそ・おそろしけれ・そののち・こまつどのには・おとど・かへりたまひてのち・しゆめのはんぐわんもりくにをもつて・もよほされけるは・しげもりこそ・べつして・てんがのだいじ・ききいだしたれ・しげもりを・しげもりと・おもひあはれんずるひとびとは・みな・もののぐして・はせまゐるべしと・ふれられ・たりければ・ひごろは・おぼろけにても・さわぎ・たまはぬひとの・いまかやうに・おほせなるは・べつのしさいぞ・あるらん・いざや・まゐらんとて・あるひは・よどはつかし・うぢをかのや・だいご・うぐるす・ひの・くわんじゆじ・おはら・しづはら・せれうのさと・むめづ・かつらに・あふれゐたりける・つはものども・あるひはよろひきて・かぶと・きるもあり・きぬもあり・やおひて・ゆみとるもあり・とらぬもあり・われさきに・さきにと・こまつどのへぞ・はせたりける・さるほどに・にし八でうに・す千きありつる・つはものどもも・こまつどのに・だいじいできたりと・ききてんげれば・にふだうしやうごくにこのよしかくとも・まをさず・みな・さやめき・つれて・こまつどのへぞ・まゐりける
烽火の沙汰(あひ) 207 P87
さるほどに・にし八でうには・ちくごのかみさだよしが・ほかは・きうせんに・たづさはりぬべき・ひと・一にんもなし・ただおいたるあま・あをにようばう・ふでとりなんどぞ・さふらひける・にふだう・さだよしとめす・ちくごのかみさだよし・おんまへにまゐりかしこまる・にふだう・ややさだよし・なにとてだいふは・これらをば・かやうに・よびとるやらん・いかさまにも・けさこれにて・いひつるやうに・にふだうが・もとへ・うつてなんどや・むけんずらんなど・のたまへば・さだよしまをしけるは・いかでか・さるおんことの・わたらせたまひさふらふべき・けさおんまへにて・まをさせたまひつる・おんことどもをも・いまはさだめて・ごこうくわいぞ・さふらふらんと・まをしたりければ・にふだういやいや・だいふと・なかたがうては・ゆゆしき・だいじぞとて・もののぐぬぎすて・そけんのころもに・けさうちかけ・ながずずつまぐつて・いとこころも・おこらぬ・ねんじゆしてこそ・おはしけれ・ひとへにものぐるひの・くるひさめたに・ことならず・そののち・こまつどのには・しゆめのはんぐわんもりくにうけたまはつて・ちやくたうつけけり・まゐりこもるつはもの・一まんよにんとちうしまをす・ちやくたうひけんののち・おとど・ちうもんにいで・さぶらひどもにむかつて・のたまひけるは・ひごろのけいやくたがへず・みな・しんべうにまゐりたり・ただしいこくにさるためしあり・むかししうのいうわうと・まをししひと・はうじとて・さいあいの・きさきを・もちたまへり・てんかいちの・びじん・されども・このきさき・いささかわらふことを・したまはず・かのくにのならひにて・てんかに・ことのいできたるときは・ほうくわとて・みやこよりはじめて・ひをあげ・たいこをうつて・くにぐにのつはものを・めさるるならひあり・あるとき・てんかにこといできにしかばほうくわを・あげたりければ・きさきこれをごらんじて・ふしぎや・ひもされば・あれほどに・たかうもあがる・ことかやとて・はじめてわらひたまひけり・ひとたびゑめば・もものこび・ありとかや・いうわうふしぎや・このきさきは・ほうくわを・あいしたまP88
へりとて・つねはそのこととなく・ひをあげ・たいこをうつて・きさきをなぐさめたてまつる・しよこうきたるに・あたなし・あたなければ・ほどなくさる・かやうにすること・どどにおよぶ・あるとき・りんごくより・きようぞくおこつて・いうわうのみやこを・かたぶけんとせしとき・ひをあげ・たいこをうちけれども・れいのきさきの・ひにならつて・まゐりちかづく・ものもなし・すなはち・みやこかたぶいて・いうわううたれたまひけり・そののち・このきさきは・きうびの・しやつことなつて・かきけすやうにぞ・うせられける・よにはかかる・ためしの・あるぞとよ・しげもりも・べつしててんかの・だいじききいだしたり・つれども・またひがごとに・ききなしたり・じこんいごも・これよりめさば・かくのごとく・まゐるべし・さらば・おのおのかへれとて・さぶらひどもをぞ・かへされける・およそ・このおとど・まことに・ちちといくさを・すべきには・あらず・またてんかのだいじをも・ききいだされざりけれども・かやうにして・わがみに・せいのつくや・つかぬをもみ・またはにふだうしやうごくの・あくしんをも・やはらげんのための・おとどの・はかりごととぞ・うけたまはる・きみきみたらずと・いふとも・しんもつて・しんたらずんば・あるべからず・ちちちちたらずといふとも・こもつて・こたらずんば・あるべからず・いはんやこのおとどは・きみのおんためには・ちうあつて・ちちのためには・かうあり・これぶんせんわうのことばに・たがはず・ほうわうも・ないないきこしめされて・いまにはじめぬことなれども・だいふがこころのうちこそ・はづかしけれ・あたをばはや・おんをもつて・はうじけりとぞ・おほせける・くににいさむる・しんあれば・そのくにかならず・やすし・いへにいさむる・こあれば・そのいへかならず・ただしともいへり・じやうこにも・まつだいにも・ありがたかりし・おとどなりP89

大納言の流され 208
おなじき六ぐわつ二かのひ・しんだいなごんなりちかのきやうをば・にし八でうの・くぎやうのざに・いだしたてまつつて・ぎよもつまゐらせたりけれども・むねふさがつて・おんてをだにも・かけられず・さてしもあるべき・ならねば・つはものども・おんくるまよせて・いまはとうとう・めさるべうさふらふと・まをしたりければ・だいなごん・こころならずのりたまふ・くるまの・ぜんごさいうを・みたまへば・もののぐしたる・つはものどもが・ところもなく・みちみちて・ひごろみなれたる・ひと・一にんもなし・ただみにそふものとては・つきせぬ・なみだばかりなり・しゆじやかを・みなみへゆけば・おほうちやまも・いまはよそにぞ・なりにける・とばどのを・すぎられけるに・ひごろ・このごしよへ・ごかうなりしには・一どもおんともには・はづれ・ざりつるものをと・わがさんしやう・すはまどのをも・よそに・してこそ・とほられけれ・とばのみなみのもんにて・つはものども・ふねをおそしと・いそがすれば・だいなごん・こはいづくを・さして・ゆくやらん・とても・うしなはるべくは・みやこちかき・このへんにても・あらばやと・のたまひけるぞ・いとほしき・だいなごん・ちかうさふらふ・ぶしは・たそと・とひたまへば・なんばの二らうつねとほと・まをす・だいなごんさて・このへんに・わがかたざまの・ものやある・たづねて・えさせよと・のたまひければ・うけたまはつて・たづねけれども・なかりければ・さふらはずとまをす・だいなごん・むざんやな・われよに・ありしときは・きのふまでも・したがひつきたりし・じやうげ・一二千にんもこそ・ありつらんに・いまはよそにてだにも・とぶらふものの・なきことよと・のたまひけるぞ・いとほしき・ひごろ・くまのまうで・てんわうじまうで・なP90
んどの・ありしには・ふたつがはら・みつむねに・つくつたるふね・またつぎのふね・およそ二三十さう・こぎつづけ・させてこそおはせしに・いまはいつしか・けしかる・かきすゑ・やかたぶねの・ともへあれたるに・おほまく・ひきまはさせ・みもなれぬ・つはものどもと・のりぐして・けふをかぎりに・みやこのうちを・いでられける・こころのうち・おしはかられて・あはれなり・よどのいりえを・こぎすぎて・こつどのうとの・はしらもと・きんや・かたのの・なぎさのをか・いりえいりえを・こぎすぎて・そのひは・つのくに・だいもつのうらにぞ・つきたまふ・またかおうぐわんねんのふゆのころ・このきやう・いまだそのころ・ちうなごんにて・みののくにを・ちぎやうせられたりけるに・もくだい・さゑもんのじようまさとも・さんもんのしよりやう・ひらののしやうの・じんにんと・ことをしいだし・たりしによつて・さんもんおほきに・いきどほり・こくしなりちかるざいにしよせられ・もくだいまさとも・きんごく・せらるべきよし・そうもんまをしたりければ・そのときも・このきやうの・さんもんの・そしようによつて・びつちうへ・ながさるべきにて・にしのきやうまで・いでられたりしをも・きみいかがは・おぼしめされけん・なか五かあつて・やがて・めしかへされさせ・たまひけり・これによつて・さんもんおほきに・いきどほり・なりちかきようを・さまざまに・じゆそしたてまつりけるとぞ・きこえし・されども・じようあんにねんしやうぐわつ十二にちに・じゆ二ゐしたまふ・おなじき三ねん三ぐわつ十三にちに・うひやうゑのかみを・けんじて・けびゐしのべつたうにぞ・あがられける・そのときは・あぜちのだいなごんすけかた・くわざんのゐんのちうなごんかねまさのきやう・こえられさせたまひけり・あぜちのだいなごんは・いへのひとおとななり・かねまさのきやうは・せいぐわのひと・けちやくにて・こえられたまふぞ・ゐこんなる・これは・三でうどの・ざうしんの・しやうとぞ・きこえし・またあんげんぐわんねん七ぐわつ五かのひ・じやう二ゐしたまふ・そのときは・なかのみかどのちうなごんむねいへのきやう・こえられさせ・たまひけP91
り・おなじき二ねん十ぐわつ廿二にちに・けびゐしのべつたうより・ごんだいなごんにぞ・あがられける・かくのみ・さかえたまひしかば・ひとあざけりて・あはれさんもんのだいしゆには・のろはるべかりけるものかなとぞ・まをしける・されども・しんばつ・みやうばつは・ときもあり・おそきもありし・ならひにて・つひには・かかるうきめに・あはれけるこそ・あさましけれ・おなじき三かのひ・だいもつのうらには・みやこよりおんつかひありとて・ひしめきけり・だいなごん・ただいまこれにて・うしなへとの・つかひやらんと・ききたまへば・びぜんの・こじまへ・ながしたてまつれとの・つかひなり・またこまつどのより・おんふみあり・ひらきてみたまへば・みやこちかき・かたやまざとにも・おきまゐらせんとて・やうやうに・まをしさふらひしかども・かなはぬことこそ・よにある・かひもさふらはね・さりながら・おんいのちばかりをば・よきやうに・まをしてこそさふらへ・おんこころやすく・おぼしめされさふらふべし・またなんばがかたへも・あひかまへて・おんこころにたがひたてまつらで・よくよくおんみやづかひ・つかまつれと・あそばされたる・だいなごんさても・かたじけなう・おもはれ・まゐらせつる・きみにも・すてられたてまつり・またつかのまも・はなれがたき・きたのかた・きんたちだちをも・ふりすてて・こはいづくを・さして・ゆくやらん・ひととせも・びつちうへ・ながさるべきにて・にしのきやうまで・いでたりしをも・やがて・めしこそ・かへされたれ・こんどは・いのちながらへて・こひしきものどもを・いま一ど・みみえむことも・かたかるべしとて・あけければ・ふねにのつてぞ・いでられける・みちすがらも・なみだにくれて・ゆくさきさらに・みえわかず・あとのしらなみ・へだつれば・みやこはしだいに・とほざかり・ゑんごくはまた・ちかくなる・さるほどに・だいなごん・びぜんのこじまに・つきたまふ・たひのうらと・いふところの・あさましげなる・しばのいほりに・おきたてまつる・これやこの・しづがP92すむなる・はにふのこやも・これなるらん・しまのならひ・うしろはやま・まへは・いそなれば・きしうつなみのおと・まつふくかぜ・あはれいづれも・つきざりけり

阿古屋の松 209
おなじき六ぐわつ五かのひ・むほんのともがらども・くにぐにへ・ながしつかはさる・まづ・あふみのちうじやうにふだうれんじやう・さどのくに・やましろのかみもとかぬ・おきのくに・しきぶのたいふまさつな・びんごのくに・そうはんぐわんのぶふさ・いよのくに・しんへいはんぐわんすけゆきは・みまさかのくにとぞ・きこえし・にふだうしやうごく・かやうに・さんざんに・しちらし・わがみは・いそぎ・ふくはらへこそ・くだられけれ・おなじき廿かのひ・つのさゑもんもりずみを・ししやにて・おととかどわきどののもとへ・いまは・たんばのせうしやうをも・とうとう・くだされさふらへかしと・のたまひつかはされ・たりければ・さいしやう・さらば・ありしとき・ともかうも・なしたまはで・ふたたびものを・おもはすることよと・のたまへば・にようばうたち・あはれ・さいしやうの・いま一ど・よきやうに・まをさせたまへかし・なんど・のたまひあはれければ・さいしやういまは・のりもりが・よをいとふより・ほかのことをば・なにごとをか・まをすべき・さりながら・いづくのうらわにも・おはせよ・のりもりが・いのちのあらんかぎりは・はぐくむべしとぞ・のたまひける・またせうしやうの・わかぎみ三さいに・なりたまふおはしけり・ひごろは・わかきひとにて・いとこまやかなる・ことも・おはせざりしかども・いまはのときにも・なりしかば・さすがこころにかかつてや・おもはれけん・あはれ・をさなきものを・いま一ど・みばやと・のたまへば・めのといだいてまゐりたり・せうしやう・ひざにおき・わかぎみの・かみP93
かきなでて・のたまひけるは・むざんや・なんぢ七さいにもならば・げんぷくせさせ・ゐんへまゐらせんとこそ・おもひしに・いまは・かひなし・もしまた・いのちながらへて・おとなしく・なりたらば・なりつねが・ごせとぶらうて・えさせよと・おとなしきひとに・むかつて・のたまふやうに・かきくどきて・のたまへば・このわかぎみ・うちうなづき・たまひけり・さてこそ・にようばうたちも・いとどそでをぞ・ぬらされけれ・おつかひ・こんやは・とばまでと・まをしければ・せうしやうとても・かなはぬ・ものゆゑに・こんやはこれにありて・あかつきとく・いでんと・のたまへども・おつかひゆるしたてまつらず・おなじき廿三にちに・つのさゑもん・せうしやうどのを・ぐそくしたてまつつて・ふくはらにくだり・にふだうしやうごくに・このよしまをしたりければ・にふだう・せうしやうをば・びつちうのくにのぢうにん・せのをのたらうかねやすに・おほせて・びつちうのせのをへこそ・くだされけれ・かねやす・かどわきどのの・かへりきこし・めされんずる・ところをも・はばかりにおもひければ・せうしやうどのを・やうやうに・もてなしたてまつる・されども・せうしやうは・いささか・くつろぐここちも・したまはず・ただあけくれ・ほとけのみなを・となへても・ちちだいなごんどのの・ことをのみぞ・いのられける・さるほどに・だいなごんは・びぜんのこじまに・おはしけるが・ここはなほ・ふねつきなれば・びんぎ・あしかりなんとて・それより・(イこなたの)ちにわたしたてまつる・びぜん・びつちう・りやうごくのさかひ・なんばに・かせのがう・きびのなかやまのふもと・ありきのべつしよと・いふところに・おきたてまつる・それより・せうしやうのおはしける・びつちうのせのをへは・わづかに・五十よちやうの・あひだなり・あるときせうしやう・かねやすをめして・これより・ちちだいなごんどのの・おはしける・ありきのべつしよとかやへは・いかほどの・みちぞと・とひたまへば・かねやす・ちかき・よしを・まうしあげては・あしかりなんとや・おもひけむ・十二三にちに・P94
ゆくところにてさふらふと・まをす・せうしやうこはいかに・につぽんは・むかし・三十三ケこくなりしを・てんぢてんわうのおんとき・六十よしうには・わけられたり・さればあづまに・きこゆる・あうしうも・むかしは・六十六ぐんなりしを・もんむてんわうのぎよう・たいはうけいうんに・十二ぐん・さきわかつて・ではのくにとは・なづけられたり・なかごろ・さねかたのちうしやうの・あづまへながされたりしに・むつに・あこやのまつといふ・めいしよあり・ちうしやうかれを・みんとて・くにのうちを・まはつて・たづねられけれども・なかりければ・ちからおよばず・かへられける・みちにて・らうおう・一にんゆきあうたり・ちうしやう・らうおうの・そでをひかへて・ややごへん・みちのくに・あこやのまつといふ・めいしよや・しりたまひたると・とひたまへば・たうごくのうちには・さふらはずと・まをす・ちうしやう・ふしぎや・よのすゑになれば・めいしよをも・はや・よみうしなへるに・こそとて・かへられければ・らうおう・ちうしやうのそでをひかへて・ややきみはみちのくのあこやのまつにこがくれていづべきつきも(イの)いでもやらぬかと・よめるうたのこころをもつて・たうごくのうちとは・しろしめされてさふらふか・さればそれは・いまだかのくにの・六拾六ぐんなりしとき・よめるうたのこころなり・もし・ではのくにに・もやさふらふらんと・いひければ・まことにもとて・ではのくにに・こえてこそ・あこやのまつをも・みたりしか・すでに・十二三にちは・ほとんどみやこより・ちんぜいげかうほどござんなれ・ちんぜいより・はらかの・つかひののぼるこそ・かちぢ・十四五にちとは・きけびぜん・びつちう・びんごも・むかしは・一こくなりしを・三ケこくには・わけられたり・なかんづく・せんやうだうに・それほどの・たいこくありとは・きかぬものを・びぜん・びつちうりやうごくのさかひ・いかにとほしといふとも・りやう三にちには・よもすぎじ・ちかきを・P95
とほきに・まをしなすは・しらせじ・とにこそとて・のちには・こひしけれども・とひたまはず・なかにも・へいはんぐわんやすより・ほつしようじのしゆぎやうしゆんくわんそうづをば・さつまがた・きかいがしまへぞ・ながされける・たんばのせうしやうをも・あひそへてこそ・くだされけれ・なかにも・やすよりは・すはう・むろつみと・いふところにて・しゆつけし・ほうみやう・しやうぜうとぞ・なのられける・しゆつけはもとよりの・のぞみなりければ・かうぞ・おもひつづけ・たるつひにかくそむきはてけるよのなかをとくすてざりしことぞくやしききかいがしまとまをすは・みやこをいでて・ほどとほく・うみをわたりて・ゆくしまなり・ふねなんども・たやすくかよふことなければ・しまには・ひとまれなり・をとこは・ゑぼしきず・をんなは・かみもさげず・みには・しきりに・けおひつつ・いろくろくして・うしのごとし・いしやうなければ・ひとにもにず・しよくするものも・なければ・ただ・せつしやうをもつて・さきとす・しづがやまだを・うたざれば・べいこくの・たぐひもなく・そののくはをも・とらざれば・けんばくのたぐひ・さらになし・さつまがたとは・そうみやうなり・むかしは・おにが・すみければ・きかいが・しまとは・なづけられけり・またいわうといふもの・おほかりければ・いわうがしまともまをす・しまのうちには・たかきやまあり・やまのいただきには・とこしなへに・ひもえつつ・つねは・いかづらのなりあがり・なりさがれば・ふもとのさとに・あめしげし・一にちへんし・つゆのいのち・ながらふべしとも・みえざりけり

大納言の死去 210 P96
さるほどに・だいなごんは・びぜんのくに・ありきのべつしよに・おはしけるが・いささかくつろぐこともやと・おもはれけるに・さはなくて・ちやくし・たんばのせうしやうも・きかいが・しまへなんど・きこえしかば・よろづ・こころぼそくや・おもはれけん・こまつどのへしゆつけのいとままをし・おんとし四十三にて・うきよをよそに・すみぞめのそでと・なられけるこそ・あはれなれ・さるほどに・だいなごんのきたのかたは・みやこきたやまのほとり・うんりんゐんに・おはしけるが・さらでだに・すみもならはぬ・かたやまざとは・さびしきに・いとどしのばれければ・おのづから・すぎゆく・つきひを・くらしかね・あかしわづらふ・おんさまなり・さるほどに・だいなごんの・としごろ・めしつかはれける・しよたいふ・さぶらひども・いくらも・ありけれども・あるひは・よにおそれ・あるひは・へいけに・はばかつて・まゐりちかづく・ものもなし・なかにも・げんざゑもんのじようのぶとしばかりぞ・つねは・まゐりける・あるとき・きたのかた・のぶとしを・めして・ややのぶとしや・まことや・とのは・びぜんのありきの・べつしよとかやに・おはすなる・せめて・ふみをたてまつつて・へんじをなりとも・みて・なぐさまばやと・おもふは・いかがあるべきと・のたまひければ・のぶとし・まをしけるは・これは・えうせうより・きみの・ごおんあくまで・まかりかうぶり・さふらひしかば・つねは・いさめられまゐらせし・おんことの・きもにめいじ・そのみやこまでも・めされたりし・おんこゑの・はるかに・みみのそこに・とどまつて・かたとき・わすれまゐらすることも・さふらはず・みやこを・おんいでのときも・もつともおんともつかまつるべう・ぞんじ・さふらひつれども・へいけゆるされ・さふらはねば・ちから・およびさふらはず・こんどは・たとひ・いかなる・うきめにも・あひさふらへ・おんゆくへを・したひまゐらせて・たづねまゐらばやとこそ・ぞんじさふらへ・おんふみたまはらむと・まをしたりければ・きたのかた・なのめならず・よろこびたまひて・やがて・おんふみあそばP97
してぞ・たうだりける・のぶとし・おんふみたまはつて・よをひについで・くだるほどに・ほどなう・びぜんのくに・ありきのべつしよに・くだりつき・しゆごの・ぶしに・むかつて・まをしけるは・これは・だいなごんどのの・としごろ・めしつかはれし・さぶらひに・げんざゑもんのじようのぶとしと・まをすものにてさふらふ・おんゆくへを・したひまゐらせて・たづねまゐりたるよしを・まをしたりければ・なんばのじらうのぶとしが・はるばると・これまで・たづねくだりたる・こころざしのほどを・かんじて・だいなごんどのに・このよし・まをしたりければ・をりふしだいなごんは・みやこのおんこと・おぼしめしいだし・なみだに・むせび・うつぶして・おはしけるが・のぶとしが・これへこれへと・のたまへば・のぶとし・おんそばちかう・まゐつて・みたてまつるに・おはするところのあさましげなるも・さることにて・はやおんさまかへておはしけるを・みたてまつるにつけても・つきせぬものは・なみだなり・だいなごんさて・みやこのことは・いかにと・のたまへば・みやこのおんことは・なかなか・おぼしめし・やらせたまふべし・きたのおんかたよりの・おんふみとて・とりいだしてたてまつる・だいなごん・ひらいて・みたまへば・きたのかたの・みづぐきの・あとはなみだに・かきくれて・とかく・うらみくどきて・かかれたるより・をさなきひとびとの・いまだいとけなき・ふでのすさび・なるに・こひしこひしと・かかれたるを・みたまひてぞ・いとど・せんかたなくは・おもはれける・そののち・五六にちありて・のぶとしまをしけるは・いましばらくも・さふらひて・おんゆくへをも・みまゐらせたくは・さふらへども・きたのかたよりは・あひかまへて・ごへんじ・たまはつて・いそぎ・まゐりのぼるべきよしを・おほせられさふらひしに・あともなく・ゆくへもなく・さふらはんこと・おほきに・おそれいつて・おぼえさふらへば・こんどは・まづ・まかりのぼり・やがて・まゐるべきよしを・まをしたりければ・だいなごん・こんど・なんぢが・くだらんまで・いのちいきて・みみえんこともかたかるべし・あひかまへて・なりP98
ちかが・ごせとぶらうて・えさせよと・のたまひぬべき・ことはみな・かねてより・はやつきけれども・せめての・したはしさにや・はるばると・いでたりける・のぶとしを・いましばしや・しばしとて・たびたびめしぞ・かへされける・のぶとし・ごへんじたまはつて・またよを・ひについで・のぼるほどに・ほどなう・みやこにのぼりつき・うんりんゐんに・まゐり・だいなごんどのの・ごへんじを・きたのかたへたてまつる・きたのかた・めづらしき・ふみをも・みるものかなとて・わかぎみ・ひめぎみ・三にんひとつところに・さしつどひ・このふみを・ひらいて・みたまひて・なみだに・むせび・たまひけり・ふみのおくに・びんのかみを・一むら・まき・ぐせられたり・けるを・みたまひてぞ・はやさまかへて・おはしけるをも・しられける・あんげん三ねん八ぐわつ十六にちに・かいげんあつて・ぢしようぐわんねんとぞ・まをしける・おなじき廿二日に・だいなごん・ありきのべつしよにて・うせたまふ・そもさいごのありさま・さまざまに・きこゆ・はじめは・さけに・ぶすを・いれて・すすめたてまつりけれども・そのしるしも・なかりければ・のちには・二ぢやうばかりありける・きしのしたを・ほりにほり・ひしをうゑ・うへより・つきおとしたてまつつて・うしなひたてまつりけるとぞ・きこえし・さるほどに・だいなごんの・きたのかたは・うんりんゐんに・おはしけるが・このよしを・つたへ・ききたまひて・やがて・ぼだいゐんより・ひじりをしやうじ・おんとし三十九にて・さまをかへ・ひたすらだいなごんの・ごしやうぜんしよをぞ・いのられける・このきたのかたと・まをすは・やましろのかみあつかたのきやうの・おんむすめなり・わかぎみ・ひめぎみ・きたのかた・のべにいでては・はなをたをり・さはべにおりては・みづをむすび・ひたすらだいなごんの・ごしやう・ぼだいをぞ・いのられける・さるほどに・ときさり・ときうつり・よのかはりゆく・ありさま・ただてんにんの・五すゐとぞみえし・おなじき十ぐわつ廿五にちに・せいせいとうばうにいづ・または・せきP99
きあり・しいうきとも・まをす・てんもんはかせ・これをうらなひまをす・うちには・だいびやう(乱字脱か)あるのみならず・ほかにはまた・おほきなる・うれへとぞ・まをしける・さるほどに・としくれて・ぢしようも・二ねんに・なりにけり

 

入力者:荒山慶一



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