平家物語(城方本・八坂系)
巻第八 P334 
法皇の山門御幸 801
さるほどにほうわうは・くらまにしのうで・わたらせたまひけるが・ここはなほみやこちかくて・たまぼこのみちゆくひとの・ひとめもしげけ
ればとて・ささのみね・やくわうざかなんどまをす・けんなんをしのがせたまひ・さんもんへ・ごかうなり・よがはのげだつのたに・じやくぢやう
ばう・ごしよになる・たいしゆうただとうたふへこそ・いらせたまふべけれなんどまをせば・とうたふのみなみだに・ゑんゆうばう・ごしよに
なる・かかりければ・しゆともぶしも・ゑんゆうばうの・ごしよちかうまゐつて・きみをしゆごしたてまつる・ゐんはてんだいざんへ・
しゆじやうは・ぐわいせきのへいけに・とらはれて・さいこくに・せつしやうどのは・よしののおくとかやそのほかにようゐん・みやみやは・にしやま・ひがし
やまの・かたほとりに・ついて・かくれしのびてぞ・おはしける・へいけは・みやこをおちぬれども・げんじはいまだ
いりかはらず・すでにこのみやこ・しうなきさととぞなりにける・てんちかいびやくよりこのかた・かかるためしは・いまだなし・しやうとくたいし
の・みらいきにも・けふのことこそ・ゆかしけれ・さるほどにほうわうは・ていだいざんに・わたらせたまふと・まをすほどこそあり
けれ・はせまゐらせたまふひとびとには・にふだうどのとは・さきのくわんぱくすぎどの・せつしやうどのとはこのゑどの・だいじやうだいじん・さうの
だいじん・だいなごん・ちうなごん・さいしやうさんみ・しゐ・ごゐの・でんじやうびと・すべて・くわんかかいに・のぞみをかけ・しよたいしよしよく
P335
を・たいするほどのひとの・もるるはいちにんも・なかりけり・ゑんゆうばうの・たうじやうだうか・もんぐわいもんないにいたるまで・すき
はざまもなくぞ・みちみちたる・さんもんのはんじやう・これひとへに・もんぜきのめんもくとぞ・みえし・おなじき廿八にちに・ほふ
わう・みやこにくわんぎよなる・きそよしなか・五まんよきにて・ぐぶつかまつる・あふみげんじ・やまもとのくわんじやよしたか・一せんよきに
て・しらはたささせ・せんぢんに・さふらひけり・きのふまでも・へいけの・あかはたあかじるし・きやうちうに・みちみちたりし
が・いつしかけふは・しらはた・しろじるしに・なりにけり・この廿よねん・たえたりし・しらはたのけふはじめて・みやこ
へいる・めづらしかりしみものなり・おなじき廿九にちに・ゆきいへ・よしなかを・ゐんのごしよへ・めされて・へいけつゐたう
のために・さいこくへ・はつかうすべきよしを・おほせくださる・おのおのかしこまりてうけたまはり・ついでをもつて・しゆくしよも・なきよしを・
まをしければ・きそよしなかには・たいぜんのたいふなりただがしゆくしよ・六でうにしのとうゐんをたまはり・十らうくらんどゆきいへには・ほうぢうじ
どのの・なんでんとまをす・かやのごしよをぞ・たまはりける・おなじき八ぐわつついたちのひ・しゆじやうならびに・しんじ・はうけん・ないしどころ・
三しゆのじんきを・ことゆゑなう・みやこへかへし・いれたてまつるべきよしを・へいだいなごんときただのきやうのもとへ・おほせくださる・しゆじやう
のほか・たかくらゐんのわうじ・三ところましましけり・なかにも二のみやをば・へいけ・まうけのきみに・したてまつらむとて・とりたてまつ
つて・さいこくにくだりぬ・いまだ・三四のみやは・みやこに・わたらせたまひけり・おなじき三かのひ・しかるべき・く
ぎやう・さんだいあつて・そもそもいづれのみやをか・みくらゐに・つけまゐらつさせたまふべきと・ぎぢやうあり・おなじき三か
のひ・ほうわう・このみやたちを・しやうじ・まゐらつさせたまひて・まづ三のみやの・ことし五さいに・ならせたまひけるを・ほう
わう・これへと・おほせければ・あながちに・むつからせたまへば・とうとうとて・おんめのとして・いだしまゐらつ
P336
させ・たまひけり・そののち・四のみやの・ことし四さいに・ならせたまひけるを・ほうわう・これへと・おほせければ・いそぎ・
おんひざへ・まゐらせたまひて・よにもなつかしげに・みまゐらつさせ・たまひけり・ほうわうまことに・そぞろならむ・ひと
のこの・このおいほうしを・みたまひては・なにとか・おもひたまふべき・これこそまことの・わが・おんまごにて・わたらせ
たまへ・こたかくらのゐんの・をさな・おひに・すこしも・たがはせたまはず・これほどの・わすれがたみを・もちながら・いま
まで・みたてまつらざりつることよとて・おんなみだに・むせばせ・おはします・おんまへには・しやうどじの二ゐどのの・さ
まかへて・あまぜとめされけるが・ただひとり・さぶらはれけるが・さてこのみやの・みくらゐには・つかせたまふ
べきにて・さふらふやらんと・まをさせたまひたりければ・ほうわう・しさいにやとぞ・おほせける・たびたび・み
うらの・ありけるにも・四のみや・みくらゐに・つかせたまはば・てんか・おだやか・なるべしとぞ・まをしける・この
みやたちの・ごぼぎは・七でうの・しゆりのだいぶのぶたかのきやうの・おんむすめなり・こののぶたかのきやうとまをすは・おんむすめあまた・もちたま
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れけるが・ほどなう・うちへ・めされまゐらせて・うちつづき・わかみや・三ところ・いできさせたまひけり・のぶたかのきやううれ
しうは・おもはれけれども・かつうは・ちうぐうに・おそれまゐらせ・かつうは・へいけに・はばかりて・いともてなし・まをされざ
りけるに・八でうのにようゐんばかりこそ・なにかは・くるしかるべきとて・ひとあまた・つけたてまつつて・もてなしP337
まをされけり・なかにも・四のみやの・おんめのとは・ほつしようじの・しゆぎやう・のふゑんほういんとぞ・きこえし・ほういん・みやこをおつ
るとて・あまりに・あわてて・みやをも・にようばうをも・とりわすれて・いでられけるが・みちよりひとを・のぼせて・
みやいざなひ・まゐらせて・とうとう・くだりたまふべきよしを・のたまひ・つかはされたりければ・このにようばう・みやい
ざなひまゐらせて・にしのきやうまで・いでられたりけるを・このにようばうの・せうと・きのかみのりみち・こは・もののつ
いて・くるひたまふか・このみやのごうんは・たんだいま・ひらけさせたまはんずるものをとて・とりとどめたてまつりたり
ける・つぎのひぞ・ほうわうよりの・おんむかひの・おんのりものは・まゐりける・ただなにごとも・しからしめたるおんこととは・まをし
ながら・きのかみのりみちは・四のみやのおんためには・ほうこうのものとぞ・きこえける
名虎 802
おなじき九かのひ・みやこには・ぢもく・おこなはれて・きそよしなか・さまのかみに・なつて・ゑちごをたぶ・十らうくらんど
ゆきいへをば・びんごになさる・きそよしなか・ゑちごを・きらへば・いよをたぶ・十らうくらんど・びんごをきらへば・びぜん
になさる・おなじき十六にちに・へいけの一もん・百六十三にんを・でんじやうのみふだを・けづらる・なかにも・へいだいなごん
ときただ・くらのかみのぶもと・さぬきのちうしやうときざね・ふし三にんをば・けづられず・これはこんど・しゆじやうならびに・しんじ・はうけん・
ないしどころ・三しゆのしんぎを・ことゆゑなう・みやこへかへし・いれたてまつるべきよしを・このきやうのもとへ・おほせくだされけるに・
よつてなり・さるほどに・へいけは・うらづたひ・しまづたひして・おなじき八ぐわつ十七にちには・ちくぜんのくに・みかさの・こほり・
P338
だざいふにこそ・つきたまひけれ・みやこよりおんともに・さふらひける・きくちの二らうたかなほ・おほどやまの・せきかためて・
まゐらせんとて・てぜい・一千よきを・ひきぐして・ひごのくにに・うちこえ・おのがじやうに・たてこもつて・めせども
めせども・まゐらず・いまはみかたには・いはとのしよきやう・おほくらのたいふ・はらだのたいふたねなほ・ばかりぞさふらひける・おなじ
き十九にちに・へいけの一もん・あんらくじに・まうでつつ・てんじんほうらくのために・うたよみ・らうえいして・あそばれける・
なかにも・ほん三みのちうしやうしげひら
すみなれしふるきみやこのこひしさに・かみもむかしをおもひいづらめ
と・なくなくよまれたりけるにぞ・みなひとそでをば・ぬらされける・おなじきはつかのひ・みやこには・ほうわうの・ごせん
みやうによつて・たかくらゐんの・四のみや・かんゐんどのにして・みくらゐに・つかせたまふ・もつとも二のみや・三のみやこそ・みくらゐ
には・つかせたまふべきに・はるかの・四のみやの・みくらゐにつかせ・たまひけるこそ・ふしぎなれ・しんじ・はう
けん・なくして・せんそのれい・これはじめとぞうけたまはる・ごとばゐんのおんことなり・てんに・二の・ひなし・くにに・ふた
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もとのせつしやうこのゑどの・これは・へいけのおんむこにて・わたらせたまひしかども・こんどさいこくへ・くだらせたまはで・とど
まらせたまふによつてなり・三のみやの・おんめのと・なきかなしみ・こうくわいすれども・かひぞなき・ていわうみくらゐに・つ
かせたまふおんことは・ぼんぶのとかう・まをすには・よらざんなり・てんせうだいしん・しやうはちまんだいぼさつの・おんはからひなり
とぞ・ひとまをしける・かやうのことどもは・いまにかぎらず・むかしもかかる・ためしのありけるにや・もんとくてんわうは・てん
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あん二ねん・八ぐわつ廿三にちに・ほうぎよなりぬ・かかりければ・みこのみやたち・あまた・みくらゐに・のぞみを・かけさせ
たまふ・おんことあり・一のみや・これたかのみこは・ごちやくていにて・ましませば・てんしのくらゐは・われこそとぞ・おほせけ
る・二のみやこれひとのみこは・てんしのくらゐを・ふませたまはんおんことは・あににも・よらせたまふべからず・またおととに
も・よるべからず・てんしのくらゐは・われこそとぞ・おほせける・かかりければ・たがひに・さまざまの・おんいのりどもを
ぞ・はじめられける・一のみやこれたかの・みこの・おんいのりのしには・こうぼふだいしのおんでし・とうじのかきのもとの・きのそう
じやうしんせいとぞ・きこえし・二のみやこれひとのみこの・おんいのりのしには・ぐわいそちうじんこうの・ごぢそう・さんもんのゑりやうくわしやう
ぞ・うけたまはられける・いづれも・おとらぬ・かうそうたちにて・とみに・ことゆかずもや・あらんとぞ・みえし・
しかるにゑりやうは・はかりごとに・うせたりといふ・ひろうをなす・しんせいすこし・たゆむこころもや・ありけん・ゑりやうは・
うせたりといふ・ひろうをなして・いよいよかんたんを・くだきてぞ・いのられける・さるほどに・げつけい・二つに・ひきわかれ
て・そもそもいづれのみやをか・みくらゐには・つけたてまつるべきと・ぎぢやうあり・せんずるところは・すまひのせちをとげて・しようぶ
にまかせ・みくらゐさだめあるべきと・ぎぢやうをはりぬ・あまりにすまひばかりにては・ねんなかるべし・十ばんのくらべむま・あるべ
しとて・十ばんの・くらべうまの・さふらひけるにも・はじめ・四ばんをば・一のみや・かたせたまふ・のち六ばんをば・
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とて・およそ・六十にんが・ちからもつたる・だいりきをぞ・いだされける・二のみやの・おんかたよりは・いだすべきすまひ
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P340
れども・ごむさうの・おんつけありとて・みづからまをしこうてぞ・いでられける・なとら・よしを・よりあうて・すでにしよう
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をを・とつて・ひつさげ・ちうに・さしあげ・二ふり三ふり・うちふつて・えいやつと・いひて・二ぢやうばかり
ぞ・なげたりける・されども・よしをたちなほつて・たふれず・ちからあしをふんで・つつたち・あがる・つぎ
のたび・よしをまた・つつとより・えいえいこゑを・あげて・なとらをとつて・ふせむとす・なとらもともに・こゑ
をあげ・よしをを・とつてふせむとす・いづれ・おとれりとも・みえざりけり・されども・なとらは・だいのをとこ
の・しまのごとくなるが・かさにまはる・よしを・うつてに・いりてぞ・みえたりける・もんぜんいちをなして・
これをみる・二のみやの・ごぼぎ・そめどののきさきの・おんかたより・おんいのりのしの・かたへ・おんつかひの・たつことは・
くしのはの・ごとし・だんかに・はしりつづいて・いかにや・ゑりやうただいまこそ・かぎりなれ・さていかにや・いかにや
と・おほせければ・ゑりやういまは・わがやまのぶつぽふ・さんわうだいしの・おんちからのほかは・またたのみ・たてまつるかたなしとぞ・まを
されける・ゑりやうさるにても・こは・こころうきことかなとて・とつこを・とりなほしかうべを・つきわり・な
づきを・くだいて・ちをいだし・けしに・まぜ・ごまにくべ・あせをながし・こくえんをたてて・ひつともみ・もま
れたりければ・だいゐとくみやうわうの・めされたりける・ゑざうのうしが・おつとほえて・だんじやうを・はしり・ありきけれ
ば・さしも・かさにまはりつる・なとらは・すまひにまけにけり・かかりければ・二のみやこれひとのみこは・
おんとし九さいにして・みくらゐにつかせ・たまふせいわのみかどこれなり・または・みづのをのていとも・まをしき・それよりして・
P341
さんもんには・いささかのことも・あれば・ゑりやうなづきを・くだけば・じていくらゐに・つきたまひ・そんい・ちけんをふり
しかば・かんしやうれいを・とどむとも・まをしつたへたり・されば・これたかのみこは・かからんよには・とても・かくて
も・ありなむとて・おんとし十一さいにしておんよを・いとはせたまひ・えいざんのにしのふもと・をののさとと・いふところに・
うつりぞ・すませたまひける・をののやまさと・おのづから・とひくるひとも・なかりしに・ゆきひら(イ業平)のちうなごんばか
りこそ・ましろのたかを・てにすゑて・ゆきふみわけては・まゐられけれ
大蛇の沙汰 803
そのころ・ぶんごのくにのこくしは・ぎやうぶきやう三みよりすけなり・だいくわんには・しそくのせうしやうよりつなをぞ・おかれける・ある
とき・ぎやうぶきやう三ゐせうしやうのもとへ・ししやをたてて・へいけは・しゆくはうつきて・しんめいにも・はなたれたてまつり・きみにも・
すてられ・まゐらせて・みやこのほかにいで・さいかいのなみのうへに・ただよふ・おちうどとなれり・しかるを・九ごくのものども
が・うけとつて・もてなすことこそ・しかるべからね・ただすみやかに・九ごくのうちを・おひいだしたてまつるべし・これ
よりすけが・げぢにはあらず・ひとへに・一ゐんのおほせにて・あるぞと・のたまひ・つかはされたりければ・あるとき・せうしやう・
たうこくのぢうにん・をがたの三らう・これよしを・めして・のたまひあはせられけり・をがたの三らう・ゐんぜんと・がうして・九ごく
二たうを・もよほしけるに・をがたの三らうに・したがひついてところのせい・三まんよきとぞ・きこえし・このをがたの三らうと・まをす
は・おそろしき・もののすゑなり・けり・たとへばそのころ・ぶんごのくにの・かたやまざとに・あるもの・むすめ一にんもちたり・
P342
いまだをつとも・なかりけるがもとへ・よなよな・かよふものあり・をんなほどなくくわいにんす・ははこれを・あやしめ・
なんぢがもとへ・よなよな・かよふものは・いかなるものぞと・とひければ・きたるをばみれども・かへるをばしらずと
いふ・ははさらば・これをもつて・つないで・みよとて・しづの・をだまきといふものに・はりをつけてぞ・とら
せける・あるときまたきて・かへるをみれば・みづいろ(イにぶ色)の・かりぎぬをぞ・きたりける・かりぎぬのくびかみと・おぼ
しきところに・はりをさし・へてゆく・かたを・つないで・みけるに・ぶんごと・ひうがのさかひなる・うばがたけと・い
ふやまの・ふもとなる・おほきなる・いはやのうちへぞ・つなぎ・いりたりける・をんないはやのくちに・たたずんで・ききけれ
ば・はるかのおくに・おそろしげなる・こゑをもつて・によぶおと・しけり・をんなわらはこそ・これまで・まゐりて
さふらへ・いでさせたまへ・みたてまつらんと・いひければ・われはこれ・ひとのすがたにあらず・わがすがたを・みるほどに
ては・なんぢがきもたましひも・みにそふまじきぞ・われはこよひ・なんぢがもとにて・きずをかうぶり・いのちすでに・をはる
べきなり・なんぢが・うめらんところのこは・なんしたるべし・ゆみやをとつては・九ごく二たうに・ならぶものも・ある
まじきぞ・よくそだてよとぞ・をしへける・そののち・いはやのおくよりも・たちを・一ふりなげいだす・をんなかさねて・
このひごろ・あひなれたてまつりぬるうへは・なんのおんはばかりか・さふらふべき・ただいでさせたまへ・みたてまつらむと・
いひければ・さあらばといひて・はひいでたるを・みれば・ふしたけ・四ぢやうばかりなる・だいじやの・まなこは・
じつげつのごとくにて・くちには・しゆをさせるか・ごとし・したは・くれなゐのはかまを・ふるにおなじ・かりぎぬの・く
びかみと・おぼしきところは・すなはち・だいじやののどぶえにてぞ・さふらひける・さいたるはりをば・ひきぬきて・すてながら・
P343
をめきさけんで・にげかへる・そののちだいじやは・ほどなく・しにけり・くだんのだいじやとまをすは・ぶんごとひうがのさかひに・いは
はれたまふ・うばがたけのだいみやうじん・これなり・またはたかちほの・みやうじんとも・まをしき・をんなはほどなく・さんしたり・なん
しにてぞ・さふらひける・おひたつままに・みちから・だいにして・ちからひとに・すぐれたり・九の・とし・ははかた
のをぢ・だいたいふ・げんぷくせさせ・なをば・だいたとぞ・まをしける・なつも・ふゆも・のやまを・はだしにて・はしり・あ
りきければ・てにも・あしにも・おほきなる・あかがりの・きれたりければ・みなひと・あかがりだいたとぞ・
まをしける・このをがたの三らうとまをすは・そのあかがり・だいたには・五だいの・すゑなり・かやうに・おそろしき・もの
のすゑなりければ・九ごく二たうをも・ただひとりして・うちとらばやなむと・まをすほどの・おほけなき・ものにてぞ・
さふらひける・さるほどにへいけは・だざいふに・おはしけるが・このよしを・ききたまひて・こはいかがせんとぞ・さわ
がれける・このをがたの三らうと・まをすは・もとこまつどのに・めしつかはれけるところの・さぶらひなり・いづれにても・きん
だち一にん・うちこえ・よきやうにこしらへて・みたまへかし・なんど・のたまひあはれければ・ひとびとこのぎ・もつともと
てたいしやうぐんに・しん三ゐのちうしやうすけもり・さちうしやうきよつね・しんせうしやうありもり・たんごのじじうただふさ・さぶらひたいしやうには・ゑつちう
のぜんじもりとしを・さきとして・つがふそのせい・五百よき・ぶんごのくにに・うちこえ・やうやうに・こしらへ・のたまひけれ
ども・をがたの三らう・一せつ・これをもちゐたてまつらず・あまつさへ・きんだちをも・これにて・うちとめまゐらせたくは・さふらへども・
それも・おもふに・なにほどのことか・わたらせたまふべき・ただだざいふへ・かへらせたまひて・ごいつしよにて・いか
にもならせ・たまふべしとて・それよりだざいふへ・おひかへしたてまつり・そののちをがたの三らう・しそくの・のじりの二
P344
らうこれむらを・もつて・へいけへ・まをしけるは・もつともせんぞのしゆにて・わたらせたまへば・ゆみを・はづし・かぶとを・ぬいて・
かうにんにまゐりたくは・さふらへども・これもまた・一ゐんの・おほせにてさふらへば・ちからおよばずただ・すみやかに・九ごくのうちを・おん
いであるべうさふらふと・まをしおくりたりければ・へいだいなごんときただ・ひをくくりの・ひたたれに・くずの・はかまをき・これむら
に・いであひ・たいめんしたまひて・それわがぎみは・てんそん四十九せいのしやうとう・にんわう八十一だいに・あひあたらせたまへば・
てんせうだいじん・しやう八まんぐうも・さだめて・きみをこそ・しゆごし・まゐらつさせ・たまふらんに・ゆきいへ・よしなからが・も
しこのこと・しおふするほどならば・くにをあづけん・しやうを・とらせむと・いふを・まことぞとこころえて・そのはなぶんごが・
げぢにのみ・したがふことこそ・おほきに・こころえられねとぞ・のたまひける・このぎやうぶきやうの三ゐとまをすは・よにすぐ
れて・はなのおほきに・おはしければ・ひと・はなぶんごとぞまをしける・これむらかへつて・ちちに・かくと・かたりければ・
をがたの三らう・おほきにいかりて・むかしはむかし・いまはいま・にくしそのぎならば・九ごくの・うちを・おひいだしたてまつれや
とて・たいぜいにて・むかふよし・きこえしかば・へいけ・さらばまづ・これをふせがばやとて・たいしやうぐんには・しんちう
なごんとももり・さつまのかみただのり・のとのかみのりつね・さぶらひたいしやうには・ゑつちうのぜんじもりとし・じらうびやうゑもりつぎ・かづさの五らうびやうゑ
ただみつ・ゑひのじらうもりかたを・さきとして・つがふそのせい・三千よき・ぶんごと・ちくごのさかひなる・たかののほんしやうと・
いふところに・おしよせて・さんざんに・せめけれども・むぜい・たぜいに・かなはねば・へいけさんざんに・うちちらされまた・だ
ざいふへこそ・ひきしりぞきたまひけれ・へいけ・かさねて・うつてを・むくべけれども・おもへばこれは・わたくしごと・げん
じと・いくさせんとて・だざいふへこそ・かへられけれ
P345
太宰府落 804
さるほどにへいけは・ちくぜんのくに・みかさのこほり・だざいふに・おはしけるが・をがたの三らうこれよし・三まんよきにて・すでに・
よすときこえしかば・とるものも・とりあへたまはず・だざいふをこそ・おちられけれ・をりふし・かよちやうも・まゐら
ねば・たまのみこしを・うちすてて・しゆじやうは・えうよに・めされけり・こくもをはじめたてまつつて・二ゐどのいげの・やご
となきにようばうたちは・はかまの・そばをとり・おほいどのいげの・けいしやううんかくは・さしぬきの・そばたかくとつて・わ
れさきにわれさきにと・みづきの・とをすぎて・はこざきのつへこそ・おちられけれ・をりふしくだるあめ・しやぢくのごとし・
ふくかぜいさごを・あぐとかや・おつるなみだ・ふるあめ・わきて・いづれも・みえざりけり・かのげんじやう三ざうの・りうさ・そう
れいの・けんなんをしのがれけむ・くるしみも・これにはすぎじとぞ・みえし・されども・それは・ぐほふのためなれば・
らいせの・たのみもあり・これはをんできのゆゑなれば・ごせの・くるしみ・かつおもふこそ・かなしけれ・しんら・
はくさい・かうらい・けいたん・までもわたりなばやとは・おもはれけれども・なみかぜむかうて・かなはねば・ひやうとうじひでとほ
に・ぐせられて・やまかのしろにぞ・こもられける・やまがへもまた・てきよすと・きこえしかば・いそぎあまをぶねに・
とりのつて・よもすがら・ぶぜんのくに・やなぎのうらへぞ・わたられける・さるほどに・九ぐわつも・十かあまりに・なりにけり・
をぎのはむけの・ゆふあらし・ひとりまろねの・とこのうへ・かたしくそでも・しをれつつ・ふけゆくあきの・あはれさは・い
づくもとは・いひながら・たびのそらこそ・しのびがたけれ・十三やは・ことになをえたる・つきなれども・そのよ
P346
は・みやこを・おもひいづるなみだにや・われからくもりて・さやかならず・かかりけるなかなれども・かいへんのりよはく・めづらし
くや・おもはれけむ・なかにも・さつまのかみただのり
つきをみしこぞのこよひのとものみや・みやこにわれをおもひいづらむ・
しゆりのだいぶつねもり
こひしとよこぞのこよひのよもすがら・ちぎりしひとのおもひいでられて・
さまのかみゆきもり
きみすめばこれもくもゐのつきなれど・なほこひしきはみやこなりけり・
それよりうさへ・ぎやうかうなる・しやとうは・しゆじやうの・くわうきよとなり・くわいらうは・げつけいうんかくのきよしよとなる・ていしやうに
は・五ゐ六ゐのくわんじん・おほとりゐには・四こくちんぜいのつはものども・かつちうをよろひ・きうぜんをたいして・なみゐたり・
ふりにしあけのたまがきを・ふたたび・かざるとぞ・みえし・七かさんろうのあかつきがた・おほいどののおんために・
ごむさうあつて・ごはうでんのみと・おしひらき・うちよりゆゆしう・けだかきみこゑにて・一しゆのうたをぞ・あ
そばされける
よのなかのうさにはかみもなきものを・なにいのるらんこころつくしに(イ心つくしに何いのるらん)・
おほいどの・うちおどろき・むねさわぎ・こは・いかなるべしとも・おぼえさせたまはず・こかなりけれども・かかるをり
ふしを・おもひいでたまひて
P347
さりともとおもふこころもむしのねも・よわりはてぬるあきのくれかな・
やなぎのうらに・だいりつくらるべしなんど・きこえしかども・ぶんげんなければ・かなはず・またふねにとりのつて・うみに
ぞ・うかびたまひける・なかにも・こまつどのの・三なん・さちうじやうきよつねは・みやこをいづるとて・さいあいのきたのかたを・とどめおき
て・いでられけるが・せめてのなごりに・びんのかみを・一むらきつて・とどめおきてぞ・いでられける・あるときかぜの
たよりの・おとづれに・きたのかたより・おんふみあり・ひらいてみたまへば・ふみのおくに・びんのかみを・ひとむら・まき
ぐして・一しゆのうたをぞ・かかれたる
みるたびにこころつくしのかみなれば・うさにぞかへすもとのやしろへ・
ちうじやう・かやうのことどもを・おもひたまひ・ふねのやかたに・たちいで・つきのよ・こころをすまし・うたよみ・らうえいして・
あそばれけるが・ちうじやうは・わかけれども・よろづ・なにごとをも・おもひいりたまへる・ひとにて・みやこをば・げんじの
ために・おとされぬ・ちんぜいをば・これよしがために・せめいだされて・あみにかかれる・うをのごとし・いづくへゆかば・
のがるべきか・つひにまた・ながらへはつべき・みならずとて・しづかに・きやうよみ・ねんぶつしたまひ・とし二十一と・まをす
には・うみにぞ・しづみたまひける・なんによのきんだち・さしつどひ・かなしみたまへど・かひぞなき
あひ 805
そのころながとは・しんちうなごんの・くになりけるが・だいくわんは・きのぎやうぶのたいふみちすけとぞ・きこえし・へいけこぶねに・
P348
のりたまふよしをききて・あき・すはう・ながと・三ケごくにまさつみけるふね・五百よさうを・てんりやうして・へいけへたてまつる・へい
けこれに・とりのつて・さぬきの八しまへぞ・わたられける・あはのみんぶしげよしが・さたとして・四こくの・うちをもよほし・
さぬきの八しまに・かたのごとくの・いたやのごしよや・だいりをぞ・つくられける・あやしのしづが・やを・くわうきよと・
すべきにあらざれば・ふねをごしよとぞ・さだめける・おほいどのいげの・けいしやううんかくの・あまのとまやに・ひをくらし・
しづがふせやに・よをあかす・りようどうげきしゆを・かいちうに・うかべ・なみのうへのくわうきよは・しづかなるときなし・つきをひた
す・うしほのふかきうれへに・しづみ・しもをおほへる・あしのはの・もろき・いのちをあやぶめり・すさきにさわぐ・千どりのこ
ゑ・あかつきうらみをのこし・そばゐに・かかるかぢのおと・よはに・こころをいたましむ・はくろのゑんしように・むれゐるをみ
ては・げんじはたを・あぐるかと・うたがはれ・さうかいの・やがんのなくをききては・かたきふねを・こぐかと・おどろかる・せい
らんはだへをひたし・すゐたいこうがんのいろ・やうやうおとろへ・さうはまなこをうがちて・ぐわいとばうきやうのなみだ・おさへがたし・すゐちやう
こうけいに・ことなる・はにふのこやのあしすだれ・くんろのけぶりに・かはれる・あしびたくやの・いやしきに・つけても・によう
ばうたちのつきせぬ・おんものおもひに・くれなゐの・おんなみだ・せきあへさせたまはねば・みどんのまゆずみも・みだれつつ・
そのひととも・みえたまはず
征夷将軍の院宣 806
そのころかまくらの・ひやうゑのすけ・よりとも・せいいたいしやうぐんのゐんぜんを・たまはる・おんつかひは・ちやうくわんさししやう・なかはらのやすさだとぞきこえし・
P349
じゆえい二ねん・十ぐわつ四かに・くわんとうにげちやくす・ひやうゑのすけのたまひけるは・よりとも・ぶようのめいよ・ちやうぜるによつて・
ゐながら・せいいしやうぐんのゐんぜんを・たまはる・さればわたくしにては・いかでか・たまはるべき・八まんだいぼさつのごはうぜんに
して・うけとりたてまつるべしと・のたまへば・やすさだ・わかみやへ・むかふ・わかみやは・つるがをかにたたせたまふ・ほんしやに・すこ
しも・たがはせたまはず・しゆくゐんあり・くわいらうあり・つくりみち・十よちやう・みくだせり・おんつかひのやすさだは・いへのこ五
にん・らうどう十にん・めしぐしたり・そもそもこんどのゐんぜんをば・たれしてか・うけとりたてまつるべき・三うらのすけよしずみして・うけ
とりたてまつるべし・そのゆゑは・かれがちち・よしあきが・くわうせんのめいあんを・てらさんがためとぞ・おぼえたる・うけとりてのよし
ずみは・いへのこ二にん・らうどう十にん・めしぐしたり・いへのこ二にんは・一にんは・わだの三らうむねざね・一にんは・ひきのとう
四らうよしかずとぞ・きこえし・らうどう十にんをば・だいみやう十にんして・にはかに・一にんづつ・いだしたてられたり・つがふ十
二にんは・ひたかぶとなり・よしずみは・くまかぶとをばちやくす・かちのひたたれに・くろいとをどしのよろひをき・三じやく五すんの・いかものづく
りのたちをはき・廿四さいたる・おほなかぐろのやおひ・ぬりごめどうのゆみ・わきにはさみつつ・おきみちより
あゆみいで・おんつかひのまへにかしこまる・やすさだ・おんつかひは・たそと・とはれければ・ひやうゑのすけのじに・はばかつてや・
ありけん・三うらのすけとは・なのらで・ほんみやう・三うらのあらじらう・たひらのよしずみと・なのりまをす・やがてゐんぜんぶくろ・らん
ばこにいれて・いだされたり・らんばこをばやがて・かへされけり・やすさだこれをみたまへば・まづしやきん百りやう・いれられ
たり・そののちひやうゑのすけ・てうづ・うがひして・かのゐんぜんをぞ・ひらかれける・そのじやうにいはく
五きない・とうかい・とうさん・ほくろく・せんやう・せんおん・なんかい・さいかい・いじやうしよこく・はやくよりとものあそんをもつて・せいいしやうぐん
P350
たらしむべきこと・みぎ・さだいじんせんほうちよく・はやく・みなもとのあそんをもつて・しよこくをせいちし・せんによつて・これを
おこなへ・てへりゐんぜんかくのごとし・よつてしつたつくだんのごとし
じゆえい弐ねん九ぐわつのひ[*原本「の」]
さだいしをつきのしゆくね・うちうべんふぢはらあそんとぞ・あそばされたる・そののちくわいらうには・かうらいべりのたたみをしきて・やすさだに・
さけをすすめらる・たかつきに・さかなおかれたり・さいゐんのすけちかよし・うけたまはつて・これをけんばいす・五ゐ一にん・やくそうをつとむ・く
どうさゑもんすけつね・うけたまはつて・むま十ぴきひかせらる・三びきに・くらおかれたり・そのひは・やすさだをば・ひやうゑのすけのやかた
へは・いれられず・ふかきかややを・しつらうて・おかれたり・まことにはいはん・ゆたかにして・びれいなる・あつ
わたのきぬ二りやう・こそで十かさね・ながもちに・いれてまうけたり・びけん百ぴき・つぎのきぬ三百ぴき・あゐずりこん・五百たん・しろぬの千
だんを・つませらる・つぎのひ・やすさだ・ひやうゑのすけのやかたへ・まかりむかふ・うちとにさぶらひあり・ともに十六けんなり・
うちさぶらひには・げんじ・しやうざして・ばつざには・かまくらうちの・しよだいみやう・なみゐたり・そとさぶらひには・げんじのつはものども・
かたをならべ・ひざをくみて・なみゐたり・めづらしかりしみものなり・そののちひろびさしには・むらさきべりのたたみをしきて・やすさだに・
しやうざせさせらる・みすをはんに・まかれたり・ひやうゑのすけは・ほいに・たてゑぼし・くずはかまにて・いでられたり・
ひやうゑのすけは・せい・ちひさく・ようばういうびにして・げんぎよふんみやうなり・そののち・ひやうゑのすけのたまひけるは・そもそもへいけ・
よりともがめいにおそれて・みやこをおちぬるそのあとへ・ゆきいへ・よしなからが・わがかうみやうがうにうちいつて・くにをきらひまをし・くわんをのぞみまをす
でう・あまりにきくわいにさふらふ・そのときのききがきたうらいす・よりともおほきにこころえず・また十らうくらんどどのへ・きそのくわんじやと・かいてさふら
P351
ひしときも・へんじをば・してこそ・さふらひしか・またおくのひでひらが・むつのこくしゆになり・さたけのくわんじやまさよしが・ひ
たちのかみに・なつて・さふらふとて・よりともが・げぢにも・したがふまじきよしを・まをしさふらふ・あはれこのついでに・ゐんぜんをたまはつて・こ
れらをも・つゐたう・したうこそさふらへと・のたまへば・やすさだこれもやがて・みやうぶをも・まゐらせたくはさふらへど
も・わたくしにては・いかにも・かなひさふらふまじ・おととにてさふらふ・しのたいふしげやすも・このよしまをせとこそ・さふらひつれ・
いかさまにも・こんどは・まづまかりのぼるべきよしを・まをされたりければ・ひやうゑのすけ・おほきにあざわらひて・いかで
か・よりともなんどがみとして・おのおののみやうぶをば・たまはるべき・さるにても・けふは・まづとうりうあれとて・そのひは
とどめらる・つぎのひやすさだ・ひやうゑのすけのやかたへ・いとままをしにまかりむかふ・むま三びき・ひかせらる一ぴきに・くらおかれたり・よろひ
三りやう・はらまき一りやう・こがねづくりのたち一ふり・九さいたるのや一こし・ぬりごめどうのゆみ一ちやう・やすさだにこれをたぶ・そのほか・
いへのこらうどうどもに・いたるまで・おほくち・ひたたれ・くつ・むかばきに・およびけり・やすさだ・かまくらいでのひよりして・あふみの・
かがみにつくまで・しゆくじゆくに・十こくのこめをまうけさせられたりければ・あまりにたくさんなるままに・みちすがら・せぎやうひき
てぞ・のぼられける・やすさだみやこにのぼり・ゐんのごしよに・まゐつて・このよしを・そうしまをしたりければ・ほうわうをはじめたてまつ
つて・くぎやうでんじやうびとや・つぼねのにようばうたちにいたるまで・みなゑみを・ふくみてぞ・おはしける
猫間(あひ) 807
さるほどにきそは・みやこのしゆごにて・ありながら・ぜんぶんの・あらゑびすにてぞ・さふらひける・そのころ・ねこまのちう
P352
なごんみつたかのきやうとまをすひと・きそにいささか・のたまひあはすべきことありて・おはしたりければ・ひとまゐつて・ねこまのちうな
ごんどのと・まをすひと・いささかごげんざんのために・いらせたまひてさふらふと・まをしたりければ・きそ・どこなる・やとの・ねこの
ひとに・げんざうする・やうや・あると・のたまへば・いいやこれは・ねこまのちうなごんどのとまをして・くげにて・おんわた
りさふらふ・いかさまにも・ねこまどのとは・ごしゆくしよのなと・おぼえさふらふと・まをしけれども・きそなほ・ねこまどのとは・え
いはて・ねこどのの・たまたま・わいたに・いひよそはせよと・のたまへば・ちうなごん・いかでか・さることの・あるべき
とて・いそぎいでむと・したまひけるを・きそ・どこなる・やとの・ねこどのの・たまたま・わいたに・いひよそはせ
では・いかが・あるべき・しかも・けどきなり・なましきものをば・なにをもみな・むえんと・いふぞと・
こころえて・をりふし・むえんの・ひらたけ・もつたり・とうとうとてぞ・いそがせける・ややあつて・ばうりふしたる・
いひを・うづだかに・よそひなし・あはせ三くさして・ねゐのこやた・はいぜんし・きそがまへにも・おなじてい
にぞ・すゑたりける・きそ・はしおつとり・それめせねこどの・ちうなごん・くはでも・あしかりなむと・おもは
れければ・ひきいれの・はたに・くちを・よせむが・いぶせさに・なかを・えりめす・きそ・そのがふし・き
たなしと・おもひたまふな・よしなかが・しやうじんがふしにて・さうものを・かいたまへや・ねこどの・かいたまへや・ねこどの
とて・わがみは・さしわり・つきわり・のこりすくなに・せめなす・ちうなごんすこし・くうて・さしおき
たまへば・きそあつぱれ・きこゆる・ねこおろしをこそ・したまひたれとぞ・わらひける・ちうなごんは・きそに・
いささか・のたまひあはすべき・ことあつて・おはしたりけれども・きそがふるまひ・あまりに・ばうじやくぶじんなりければ・なに
P353
ごとの・さたにも・およばずしてぞ・いでられける・そののちきそは・ゐんざんまをさんと・したまひけるが・くわんなり・
かかいしたるものの・ひたたれにて・しゆつしすべき・やうなしとて・はじめて・いくわん・とりつくろふ・ややあつて・
きそは・くるまに・こがみ・のつてぞ・いでられける・きそどののおんくるまつかまつるものは・ひごろ八しまの・おほいどのの・
めしつかはれし・いや二らうまろとぞ・きこえし・きそに・せめしたがへられて・めしつかはれけることを・やす
からず・おもひければ・もんをいづるとてうしに・ひつと・ずはえ・あてたらむに・なじかは・よかるべき・
うしは・とんでいで・きそは・いつか・くるまに・のりならふべきなれば・まのけに・たふれ・てふの・はねを・ひ
ろげたるが・ごとくにて・やれ・うしこんでいめよ・うしこんでいめよとのたまへども・みみにも・ききいれず・五六ちやうがほどぞ・
あがらせたる・うしかひ・ここにて・きそと・なかなほり・せむとや・おもひけむ・くるまをとどめ・それにさふらふ・
てがたとまをすものに・とりつかせたまへと・まをしたりければ・きそ・むんずと・とりつき・かつはと・おきなほり・
あつぱれ・したくや・これは八しまの・おほいどのの・おんはからひか・または・うしこんでいめが・しわざかとぞ・
のたまひける・かかりけるところに・いまゐの四らうかねひら・いそぎむちあぶみ・あはせて・はせきたり・いかで・かやうに・おん
くるまをば・つかまつるぞと・いひければ・あまりに・うしのはなのこはうさふらふとぞ・のべたりける・そののちきそ・ゐんざんまをし
て・くるまより・おりむと・したまひけるに・ざふしきは・きやうのものなりければ・おんくるまには・めされさふらふおんときこそ・
あとよりは・めされさふらへ・おりさせたまふおんときには・まへあがりおりさせたまふおんことにてさふらふと・まをしたりければ・き
そ・どこなるやとの・くるまなればとて・すどほり・すべき・やうなしとて・なほ・はつて・あとよりこそ・
P354
おりられけれ・きそは・みめよきをとこの・いろのしろきが・よろひとつて・うちきせ・かぶとのををしめ・むまに・うちの
つて・いでたるには・にず・わるかりけり・かむりのつけぎは・さしぬきのけまはしにいたるまで・よろづ・かたく
ななること・おほかりけれども・おそれて・ひとこれをまをさず
水島合戦 808
きそは・そのころさいごくへ・うつてをぞ・むけられける・うつてのたいしやうぐんには・あしかがの・やだのはんぐわんよしきよ・ふくしやう
ぐんには・うんののいやへい四らうゆきちかを・さきとして・つがふそのせい五千よき・おなじき十ぐわつ十五にちに・みやこをたつて・はり
まのくににはせくだり・むろやまに・ぢんをぞ・とつたりける・へいけのかたにも・このよしをききて・さらばまづ・これをふせげ
やとて・たいしやうぐんには・さひやうゑのかみとももり・ふくしやうぐんには・のとのかみのりつね・さぶらひたいしやうには・ゑつちうのぜんじもりとし・じらう
ひやうゑもりつぎ・かづさの五らうひやうゑただみつ・ゑひのじらうもりかたを・さきとして・つがふそのせい・一まんよき・千よさうのふねに・
とりのり・びつちうのくにに・おしわたり・みづしまがとに・ぢんをとる・おなじき廿九日に・げんじもまた・びつちうのくにに・はせくだり・
みづしまがたに・ぢんをとる・あくれば・うるふ十ぐわつついたちの・まんだくらきに・みづしまが・とより・こぶね一さういできたり・
あまぶね・つりぶね・やらんと・みるところに・へいけのかたよりの・しめしのつかひの・ふねなりけり・げんじも・くがも・ほし
あげ・おいたりける・ふねどもを・おめき・さけんで・おしおろす・さるほどにへいけの・かたのたいしやうぐん・さひやう
ゑのかみとももり・ふねのへに・すすみいで・だいおんじやうをあげて・この二三ケねんがあひだ・とうごくほくこくのやつばらに・いきなぶりに・
P355
せられつることをば・こころうしとは・おもはずや・みかたのふねを・くめやとて・千よさうのふねの・ともへをならべ
て・くみあはせ・なかに・もやひのつなを・いれあよみのいたを・ひきならべ・ひきならべわたしたりければ・ふねのうへは・
へいへいたり・げんじのつはものどもは・へいけのふねに・のりうつりのりうつりてぞ・たたかひける・うんののいやへい四らうゆきちか
も・へいけのふねに・のりうつて・たたかひけるが・いかがは・したりけん・たいぜいのなかに・とりこめられ・さんざんに
たたかひて・うたれにけり・げんじのたいしやうぐん・あしかがのやだのはんぐわんだいよしきよは・このよしを・みたまひて・おほきに・はら
をたて・しうじう七八にん・こぶねに・とりのり・へいけのふねの・あたりを・おしまはさせ・さしつめ・ひきつめ・さ
んざんにいたまひけるが・いかがは・せられたりけむ・ふねくるりと・ふみかへして・ひと・一にんも・たす
からず・げんじの・かたには・たいしやうぐん・ふくしやうぐんも・うたれにければ・かなはじとや・おもひけむ・またみづしまがた
に・ひきしり・ぞく・へいけの・かたには・このよしを・みたまひて・ふねども・のりかたぶけのりかたぶけ・うまども・うみへ・おひ
おろしおひおろし・ふなばたにひきつけひきつけ・およがせて・くらづめ・ひたるほどにも・なりしかば・ひたひたと・うちのつ
て・くがへ・をめいて・かけあがり・おちゆくものどもを・ここにおひつめ・かしこにかけつめて・うちとりけり・げん
じの・かたには・ふせぎたたかふといへども・むぜい・たぜいに・かなはねば・さんざんにうちちらされ・のこりすくなに・
なりにけり・へいけは・みづしまがとの・いくさに・うちかつてぞ・くわいけいのはぢをば・すすぎける
妹尾が最後 809
P356
きそどのこのよしを・ききたまひて・おほきにはらをたて・こんどはよしなか・むかふべしとて・三千よきにてぞ・うちたたれ
ける・なかにも・へいけのさぶらひに・びつちうのくにのぢうにん・せのをのたらうかねやすをば・さんぬるなつ・ほつこく・となみやまにて・
いけどりに・せられたりけるを・きそ・いかがは・おもはれけむ・さうなうきらで・かがのくにのぢうにん・くらみつ
の三らうなりずみに・あづけ・おかれたりけるが・あるときせのを・くらみつにあうて・まことやとのは・さいこくげかうとやら
ん・うけたまはる・さらむに・とつては・びつちうのせのをは・ねんらいかねやすが・ちぎやうのところにて・さうが・うまのくさかひ・
くきやうのところにて・さうぞ・ごへんまをして・あづかりたまへかしと・いひければ・くらみつ・きそどのに・このよしをまをす・き
そどのさらば・ごへんさきにくだつて・うまのぬかをも・よういせよかしと・のたまへば・くらみつ・せのをを・あんないしやとし
て・びつちうの・せのをへこそ・くだりけれ・そしけいが・ここくに・とらはれ・りせうけいが・かんてうへかへらざりしが・
ごとく・とほくいこくに・つけることをば・むかしの・ひとのかなしめりしが・ごとしといへり・おしかはのたまき・かも
のばく・もつてふううをふせぎ・なまぐさきしし・らくのつくりみづ・もつて・きかつにあつ・しかるによは・いぬることなく・ひるは・き
をこり・くさをからぬと・いふばかりに・したがひつき・いかにもして・みをまつたうしいま一ど・へいけへ・まゐら
んと・おもひける・かねやすがこころの・うちこそ・おそろしけれ・さるほどに・せのをがちやくし・こたらうむねやすは・びつ
ちうのせのをに・ゐたりけるが・ちちがくだるよしを・ききて・十四五きにて・むかへにのぼるほどに・はりまのこふにて・
ゆきあひ・それより・うちつれくだるほどに・びぜんのくに・みついしのしゆくに・つきたりけるよ・こたらうむねやす・ざふかれひかまへ・
くらみつに・さけをぞ・しひたりける・くらみつ・さけにゑひて・ぜんごも・しらず・ふしたりけるところに・せのを・おやこし
P357
て・さしころしてんげり・これをはじめとして・たたかふものをばうちとり・おちゆくものをば・たすけけり・そのころびぜんは・十
らうくらんどの・くになりけるが・だいくわんの・こふのへんに・さふらひけるをも・うちすぐるとて・ようちにしてこそ・と
ほりけれ・そののちせのを・びぜん・びつちう・りやうごくを・ふれけるは・かねやすこそ・ふしぎのいのち・たすかつて・これまで・
くだりたれ・へいけに・こころざし・おもひあはれんずるひとびとは・かねやすを・たいしやうとして・きそどののくだるに・一やい
よとぞ・ふれたりける・そのころびぜん・びつちう・りやうごくのものどもは・いへのこらうどう・三にんもつたるもの・二にんをば・へいけ
へまゐらせ・五にんもつたるものは・三にんをばへいけへ・まゐらせたりければ・をりふしひとももののぐも・なかりけり・
たまたまのこるものどもは・ぬののこそでに・あづまおり・かきのひたたれに・つめひもし・くさりはらまき・つづりきて・あるひはたかえびらに・
すがりまた・五つ六つ・あるひは・やまうつぼに・たけのねのそや・十四五・かしらだかに・おふままに・つがふ
そのせい・二千よにん・びぜんのくに・ふくりんじ・なはて・ささのせまりを・ほりきつて・じやうくわくかまへて・たてこもる・さるほどに・十
らうくらんどの・だいくわんの・いへのこと・くらみつが・うちもらされのらうどうと・きそどのに・このよしまをさんとて・それより・
うちつれ・のぼるほどに・はりまと・つのくにのさかひなる・ふなさかといふところにて・きそどのに・まゐりあひ・このよしまをしたり
ければ・いまゐの四らうかねひらが・まをしけるは・ささふらへばこそ・きやつが・つらたましひ・まなこざし・けのやつに
て・さふらひつるものを・いそぎきらせたまへと・まをしさふらひつるは・ここさふらふかし・きそよしよし・しやつがことなら
ば・なにほどの・ことかあるべき・ごへんむかうて・うてかしと・のたまへば・いまゐの四らううけたまはつて・五百よきに
てはせくだり・びぜんのくに・ふくりんじなはて・ささのせまりに・おしよせたり・かのささのせまりとまをすは・三ばうはぬま・一ぱうは・ほりなり
P358
けり・いまゐ・ほりの・かたより・おしよせて・ときを・どつとぞ・つくりける・くち一の・ところなりければ・いまゐが
せい・五百き・まとになつてぞ・いられける・いまゐかなはじとや・おもひけむ・そばなる・ぬまへぞ・うちいりた
る・うまの・くさわき・むながいつくしに・たちけれども・いまゐそを・ことともせず・すぢかひさまに・むらめか
してぞ・よせたりける・じやうのうちにも・たかやぐらより・さしつめ・ひきつめ・さんざんに・いけるが・その
のち・やだねつきければ・うちもののさやをはづし・きどを・ひらいて・きつていで・さんざんにたたかひけるが・せのを
がせい・二千よにんとは・みえしかども・おちぬ・うたれぬ・せしほどに・ささのせまりも・やぶれにけり・せのを・百き
ばかりに・うちなされ・いたくらがはを・うちわたし・むかうのきしに・ぢんをとる・いまゐつづいて・いたくらがはをも・わたしけれ
ば・せのを・しうじう三にんに・うちなされ・みどろやま(イみとの山)へぞ・にげいりける・さるほどに・せのをが・ちやくし・こたらう
むねやすは・しやうねん二十三に・なりけるが・ふとりせめたる・だいのをとこ・うまにはなれては・一ちやうとも・はたらきえず・らう
どうがまをしけるは・ただこたらうどのと・ごいつしよにて・いかにも・ならせたまへと・いひけれども・せのをかれを・
うちすて・十よちやうぞ・にげのびたる・せのを・らうどうにむかつて・いひけるは・ひごろかねやすが・てきのなかに・かけいつて・いくさを・
するには・四はうはれて・おぼゆるが・いつしか・けふは・こたらうを・すてて・ゆけばにやらん・四はうくらくな
つて・おぼゆるぞ・ここを・おちのび・へいけへ・まゐらんことは・やすけれども・さいこくのどうれいどもが・あの
としにて・こを・すてたりなんど・いはれむことこそ・くちをしけれ・ただこたらうと・一しよにて・うちじに・せばや・
とおもふぞ・いかがあるべきと・いひければ・らうどう・ささふらへばこそ・こたらうどのと・ごいつしよにて・いかにも・
P359
ならせたまへと・まをしつるは・ここさふらふぞかし・かへさせたまへと・まをしければ・せのをさらばとて・とつてかへして・
みけるに・あんのごとく・こたらうむねやすは・あし・かばかに・はれてぞ・いねゐたりける・こたらうが・まをしけるは・
たとへむねやすこそ・ぶきりやうのものにて・これにて・うちじに・つかまつりさふらふとも・などや・ひとまどなりとも・のびさせたまひ・
さふらはぬやらんと・まをしたりければ・せのを・なんぢと一しよにて・うちじに・せんとおもふなりとて・よろひむしやが三にん・
たがひにいきつぎて・ゐたりけるところへ・いまゐ五百よきにて・おしよせたり・あはやてきは・ここにあるはとて・たい
ぜいのまんなかに・とりこめて・われうちとらむとぞ・すすみける・せのをも・かれこれ・しうじう三にん・うちものの・きつさき
をならべて・さんざんにたたかひけるが・こたらうむねやす・いたでおうてみえければ・せのを・ひとでにかけじとや・
おもひけむ・くびふつと・うちおとして・すててけり・そののちせのをも・とし五十八と・なのつて・てき八き・きつておとし・
わがみも・うちじに・してんげり・らうどうも・さんざんに・たたかひ・ぶんどりあまたして・一しよに・うちじに・してんげ
り・そののち・かれら三にんが・くびをとつて・きそどのに・みせたてまつる・あつぱれ・がうのものの・てほんかな・一にんたう
千とも・これらをこそ・いふべけれ・あつたらもの・いましばし・いけて・みてとぞ・をしまれける・そののち・かれら・三
にんが・くびをば・たうごく・さぎがもりにぞ・かけさせける・せのをおやこ・うたれてぞ・りやうごくのいくさは・やぶれにける
室山合戦(あひ) 810
そののちきそは・たうごく・まじゆのしやうにて・せいぞろへし・へいけと・かせんあるべしと・きこえしが・またみやこのるすに・おか
P360
れたりける・ひぐちのじらうかねみつ・はやうまをたてて・きそどのに・まをしけるは・十らうくらんどどのこそ・ゐんのきりびとして・
さまざまの・ござんげんの・さふらふなる・いそぎのぼらせたまへと・まをしたりければ・きそまづ・さしあたつたる・いくさをば・
せさせず・それより・とつてかへしてぞ・のぼられける・きそは・つのくにを・へて・しやうらくす・十らうくらんど・この
よしをききたまひて・てぜい・一千よきを・ひきぐして・たんばのくにをへて・はりまのこふへぞ・くだられける・さるほどに・
へいけは・三まんよきにて・はりまのくにまで・せめのぼり・むろやまにぢんをぞ・とつたりける・十らうくらんど・このよしをききたまひ
て・ここにて・へいけと・一いくさし・きそと・なかなほりせんとや・おもはれけむ・十らうくらんど・むろやまに・おしよ
せて・ときを・どつとぞ・つくりける・へいけのかたには・これをみて・うんかのごとくに・みだれいで・十らうくらんど・
一せんよきにて・三まんぎがなかに・かけいり・にしよりひがしへ・一わたり・きたより・みなみへ・一わたり・とつては・かへ
し・わつては・とほり・さんざんに・たたかひ・一ぱううちやぶつて・いでたれば・一千よきとは・みえしかども・おち
ぬうたれぬ・せしほどに・二百よきにぞ・なりにける・十らうくらんど・みやこをば・きそに・おそれ・はりまは・へいけ
に・はばかり・たかさごのうらより・ふねにとりのり・いづみのくにに・おしわたり・かはちのくにに・うちこえ・ながのの・じやうにた
てこもる・へいけは・びつちうのみづしま・はりまのむろやま・二ケどの・いくさにうちかつて・いよいよせいこそ・つきにけれ
法住寺合戦 811
さるほどにきそは・みやこのしゆごにて・ありながら・ひたすらの・あらえびす・にてぞさふらひ(脱字アルカ)かも・はちまん
P361
のしやりやうを・いはず・あをたをかつて・まぐさにし・だうたふを・やぶりたく・そのころきやうちうに・いくらもある・くらを・
やぶり・ざいはうを・はこびとる・つじつじに・しらはた・うつたてうつたて・ろじに・もてやう・けんもんせいかの・しやうぜいくわん
ものを・いはず・うばひとる・おのづから・さしあたつたる・しよくじをも・せさせず・そのひを・むなしう・せ・
させけり・へいけのときは・ろくはらとまをして・おそろしきことばかりなり・かやうのことは・なかりしに・いつ
しか・げんじ・へいけに・かへおとり・したりとぞ・ひとまをしける・そのころいきのかみともたかがこに・いきのはんぐわんともやす
は・十のうのものの・きこえありしが・なかにも・すぐれたる・つづみの・しやうずなりければ・ひとつづみはんぐわんとぞ・まをしける・
あるとき・ほうわう・ともやすをめして・なんぢ・きそがもとに・ゆきて・らうぜきしづめよと・いへと・おほせければ・ともやす・かしこまつ
て・うけたまはり・きそがもとに・ゆきむかひ・ちよくぢやうのおもむき・いひふくめけるに・きそまづ・ごへんじをばまをさず・やとのわ
どのを・たうじみなひとの・つづみはんぐわんといふは・よろづのひとに・うたれたうか・はられたうか・またなりたまふかと
いひければ・ともやすは・きき・はらあしき・をのこにて・いそぎ・ゐんのごしよに・かへりまゐつて・きそは・むほん
の・こころざしさふらふなるものを・いそぎ・つゐたうせさせたまはでと・まをしたりければ・ほうわうさらば・しかるべき・くぎやう・でん
じやうびとにも・おほせあはせられず・して・やまのざす・てらのちやうりに・おほせて・さんもんなんとの・あくそうどもをぞ・めされける・
あふみげんじ・やまもとのくわんじやよしたか・しなのげんじ・むらかみのじらうはんぐわんだいもとくには・ごしよがたにぞ・さふらひける・そのほか・
ゆみとつて・よからんずるものは・みなはせまゐるべしと・ふれられたり・ければ・あるひはむかひつぶて・いんぢ・つじくわん
じやばら・もしは・こつじきほうしに・いたるまで・みなごしよがたへぞ・まゐりける・ほふぢうじどのに・まゐりこもるせい・一
P362
万よにんと・しるしまをす・ほうぢうじどのの・かさじるしには・まつのはをぞ・したりける・さるほどに・いまゐの四らう
かねひら・きそどのに・まをしけるは・こは・まつだいと・まをすとも・いかでか・じふぜんのきみに・むかひたてまつつて・ゆみをひき・やを
ば・はなさせ・たまふべき・ただゆみをはづし・かぶとをぬいで・かうじんに・まゐらせたまひさふらへと・まをしたりければ・
きそ・どこなるやとの・たとへじふぜんのきみにても・わたらせたまへ・いかでか・よしなかが・ゆみをはづし・かぶとをぬいて・
かうじんには・まゐるべき・みやこのしゆごにて・あらんずるほどのものの・こま一ぴき・のらざるべきか・それに・い
くらもある・あをたをかつて・まぐさに・せむは・なじかは・くるしかるべき・四はうのせきぜき・ふさがつて・わたくし
のねんぐも・のぼらねば・わかたうどもが・かひなき・いのちたすけんとて・きやうちうに・いくらもある・くらをやぶり・
ひやうらうどり・させんは・なじかは・くるしかるべき・そのほか・にようゐん・みやみやの・わたらせたまふ・ごしよちうへも・
まゐらばこそ・よしなかが・らうぜきにても・あらんずれ・そのうへ・このほうわうは・さるほつかなき・ひとにて・おは
するものを・さうなうまゐつて・くびうつきられ・まをしての・せんのなさよ・よしなかが・こぞ・しなのを・いでしより・
このかた・だいせうのいくさ・かせんに・あふこと・廿よど・されども・一ども・ふかくをせず・こんどぞ・よしなかが・さいごの・か
せんなるべし・よしなかが・いくさのきちれいには・七てに・わかつものなれば・とて・まづいまゐの四らうかねひらに・五百
よきを・さしそへて・れんげわうゐん・いまくまのへ・からめてにこそ・むけられけれ・のこり六ても・おのおの・いたらんずる
ところより・うちいでうちいで・一てに・なれやものどもとて・ころは十一ぐわつ十九にちの・みのこくばかりに・きそがせい・三
千よき・七でうがはらに・うちたつて・ほふぢうじどのへぞ・さしよせたる・さるほどに・ほふぢうじどのには・つづみはんぐわんとも
P363
やす・いくさのぶぎやう・うけたまはつて・さふらひけるが・かちのひたたれに・よろひをば・きず・かぶとばかり・うちきて・かぶとの四はうに
は・四てんをかいてぞ・おしたりける・かほには・あかくにを・ぬり・かたてには・こんがうりやうをもち・ゆくて
には・つるぎをぬき・もつて・うちふりうちふり・まふときもあり・またうたひのたまはするときもあり・くぎやう・でんじやうびと・ふぜい
なし・いかさまにも・ともやすには・てんぐ・いりかはりたりとぞ・わらはれける・そののち・ともやす・ごしよのひがしの・
ついがきにのぼり・だいおんじやうをあげて・こはまつだいと・まをすとも・いかでか・じふぜんのきみに・むかひたてまつつて・ゆみを
ひき・やをば・はなつべき・はなたむずるやは・かへつてみにたち・ぬかんずるつるぎにては・かへつてみを・きる
べしと・よばはつたりければ・きそ・あはやまた・れいのつづみめが・なりまはると・おぼゆるぞ・にくし・その
ぎならば・うちやぶつて・くれよやとて・ごしよのそうもんに・おしよせて・ひをぞ・かけたりける・ともやすは・
いくさのぶぎやう・うけたまはつてさふらひけるが・いくさをば・せず・このよしをみて・ついぢより・とびおりて・みなみをさしてぞ・
にげたりける・そのほかのものどもは・あるひは・むかひつぶて・いんぢ・つじくわんじやばら・もしは・こつじきほうし・なりければ・一たま
りも・たまらず・われ・さきにとぞにげたりける・おくれ・はしるものは・はやう・はしるものに・ふみたをされ・
あとに・はしるものに・ふみころされ・みかたのたち・なぎなたに・つらぬかつて・しぬるもの・おほかりけり・をか
しかりし・ことどもなり・さるほどに・ほうわうは・けぶりに・むせびて・わたらせたまひけるが・みこしに・めされて・七でう
を・にしへ・ごかうなる・つはものども・やをいかけたてまつる・くぎやう・でんじやうびと・らうぜきなり・一ゐんの・ごかうぞと・おほせけれ
ば・つはものども・みな・ゆみをひらめて・かしこまる・このぢんをば・たが・かためたるぞと・おほせければ・ねゐのこやたさふらふ
P364
とまをす・さらばうけとりたてまつつて・いづかたへなりとも・ごかうなしたてまつれかしと・おほせければ・きそどのに・このよしをまをす・
きそどの・かしこまつてうけたまはり・ほふわうを・うけとりたてまつつて・五でうだいりへ・ごかうなしたてまつる・さるほどに・しゆじやうは・おんふねに
めして・いけのみぎはに・うかばせ・おはしまし・たりけるを・つはものども・やを・いかけたてまつる・くぎやう・でんじやうびと・
らうぜきなり・ござふねぞと・おほせければ・つはものども・ゆみをひらめてかしこまる・さらば・うけとりたてまつつて・いづかたへなりとも・
ぎやうかうなしたてまつれかしと・おほせければ・きそかしこまつてうけたまはり・しゆじやうを・うけとりたてまつつて・かんゐんどのへ・ぎやうかうなしたてまつる・
さるほどに・やまのざす・めいうんだいそうじやうも・ほうぢうじどのに・わたらせたまひけるが・おんむまにめして・七でうをにしへ・おち
させ・たまひけるところを・ひぐちのじらうかねみつ・よつ・ぴいて・いころしたてまつり・てんげり・てらのちやうり・八でうのみや
もおなじう・おんうまにめして・七でうをにしへ・おちさせたまひけるところを・いまゐの四らうかねひら・よつぴいて・いころ
したてまつる・もんどのかみさだなりがこ・せいだいげきちかなりは・とくさのかりきぬのしたに・もえぎのはらまきをき・かげなる・うま
に・のり・七でうをにしへ・おちけるところを・ねゐのこやた・よつぴて・いころしてんげり・みやうぎやうだうのはかせの・
いころされぬるこそ・あさましけれ・またみやうぎやうだうのはかせの・かつちうを・よろふことも・これはじめとぞうけたまはる・なかにも・
げんくらんどなかかね・おととかはちのかみなかのぶは・かはらざかにうつていで・さんざんにたたかはれけるところに・げんくらんどのらうどうに・くさ
ししのかがばうと・いふものあり・げんくらんどに・まをしけるは・あまりの・えせうまに・のつてさふらへば・はかばかし
う・いくさもせられさふらはず・あはれ・おんうまに・のりかへさふらはばやと・まをしたりければ・げんくらんどの・うまを・たぶ・しうの
うまに・のりかへ・たいぜいのなかに・わつていり・さんざんに・たたかうて・うたれにけり・げんくらんどなかかね・おととかはちの
P365
かみなかのぶは・いまはごかう・ぎやうかうも・よそへなりぬ・たれをかばひて・いくさをもすべきとて・一ぱううちやぶつて・みなみをさ
してぞ・おちられける・しなのげんじ・むらかみのじらうはんぐわんだいもとくには・てぜい・参百よき・かはらざかにうつていで・さん
ざんにたたかひ一ぱううちやぶつて・みなみをさしてぞ・おちゆきける・あふみげんじ・やまもとのくわんじやよしたかも・てぜい五百よき・か
はらざかに・うつていで・さんざんに・たたかひ・ひとあまた・うたせければ・かなはじとや・おもひけむ・これも・
みなみを・さしてぞ・おちゆきける・なかにも・せつしやうどのは・かからんよには・みやこのおんすまひも・なにかは・せさせたま
ふべき・とて・みこしに・めされ・うぢどのをさして・いらせたまひけるが・むしや二き・こばたのたうげにて・まゐり
あふ・こはいかなるものと・おほせければ・げんくらんどなかかね・おととかはちのかみなかのぶさふらふとまをす・さらばおんともに・ひと・一にん
もなきに・おんともにさふらへかしと・おほせければ・かしこまつてうけたまはり・うぢどのまで・おくりたてまつつて・それより・しよりやう
なりければ・かはちのくに・つぼゐを・さしてぞ・くだられけれる・そのころの・ぶんごのくにのこくし・ぎやうぶきやう・三みよりすけは・
かはらざかに・いくさのけんぶつして・おはしけるが・まつはだかに・はぎなされ・にしむきに・たつてぞ・おはしける・
ころはしもつき十九にちの・みのこくばかりの・ことなりければ・かはらかぜの・はげしさ・まをすばかりも・なかりけり・ここ
にひごろ・ぎやうぶきやう三みをよく・みしりたてまつりける・さぶらひほうしの・一にんさふらひけるが・こそで二つに・ころもをぞ・きた
りける・さらば・したなる・こそでを・ぬいても・きせたてまつらず・うへなる・ころもをぬいで・うちきせたてまつる・
ぎやうぶきやう三みは・たけのたかきをとこの・いろのしろきが・うつぼごろも・うちきて・びやくえなる・ほうしを・さきにたて・
みなみを・さして・おはしけるが・さらば・いそいでも・おはせず・ここは・どこぞ・かしこは・たがしゆくしよ
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ぞなんど・とはれけるこそ・をかしけれ・これをはじめとして・つぼねのにようばう・めのわらは・かしこ・ここにて・
はぎとられ・をめき・さけぶこと・なのめならず・ここに・げんくらんどのいへのこに・しなののじらうよりつなと・まをすものあり・
かはらざかに・うつていでて・みけるに・しうのうまは・あつて・おはせず・ひごろは・一しよとこそ・ちぎりたてまつりた
るに・はや・うたれたまひぬるに・こそと・おもひければ・たいぜいの・かたに・かけむかひ・あぶみふんばり・つ
つたちあがり・だいおんじやうを・あげて・これは・げんくらんどのいへのこに・しなののじらうよりつなと・なのつて・やたばねといて・
おしくつろげ・さしつめひきつめ・さんざんに・いけるやに・やにはに・てき三き・いおとし・そののちやだね・
つきければ・うちものの・さやをはづいて・さんざんに・きつて・まはりけるが・てき二き・きつておとし・わがみも・よ
きてきに・ひきくんでおち・さしちがへてぞ・しにける・てきもこれをみて・をしまぬものこそ・なかりけれ・これをはじめ
として・れんげわうゐん・いまくまの・ほうしやうじおほぢ・やなぎはら・ざいざいしよしよにて・かせんす・七でうがすゑをば・やまほうしの
かためたりけるが・一やもいで・にげにけり・八でうがすゑをば・ならほうしの・かためたりけるが・一いくさも
せで・おちにけり・九でうがすゑをば・つのくにげんじの・かためたりけるが・一やもいで・にげにけり・ひごろ・
ごしよがたより・なにものにても・てきのおちゆかんずるをば・うちとめよと・ふれられたりければ・そのへんの・ざいち
のものども・つのくにげんじの・おちゆくを・てきのおつるぞと・こころえて・りやうはうの・やねゐに・あがり・おそひの・いし
にてぞ・うちたりける・これはごしよがたぞ・あやまちすなと・いひけれども・さないはせそと・いふままに・
ひろひかけてぞ・うつたりける・つのくにげんじ・かなはじとや・おもひけむ・みな・うま・もののぐを・すててぞ・
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おちゆきける・そののち・きそは・七でうがはらに・うちたつて・やはたのかたを・ふしをがみ・いけどりどものくび・きりかけさ
せ・なかにも・やまのざす・てらのちやうりは・たつとき・ほうしなれば・くびを・たかううつて・かけよやとて・たか
ううつてぞ・かけさせける・そのひの・よにいつて・さきやうのたいふながのり・ほうわうの・わたらせたまひける・五でうの
だいりへ・まゐられたり・けれども・しゆごのぶし・きびしうしてもんをも・あけざりければ・しゆくしよにかへり・しゆつけ
して・つぎのひの・まんだあさ・ころもはかま・にてぞ・まゐられける・ながのり・おんまへちかう・まゐられたりければ・ほう
わうさても・きのふのあわたしう・あさましかりし・ことどもを・たがひにおほせあはせられて・なきぬ・わらひぬぞ・し
たまひける・さても・やまのざす・てらのちやうりの・うたれぬるこそ・あさましけれ・これもただ・まろがゆゑなり
とぞ・おほせける・おなじき廿一にちに・ほうわうをば・五でうのだいりを・いだしたてまつつて・たいぜんのだいぶなりただが・しゆくしよ・六
でうにしのどうゐんへ・いれたてまつり・しゆしやうをば・かんゐんどのを・いだしたてまつつて・五でうだいりへ・ぎやうかうなしたてまつる・きそは・
いよいよかつに・のつてぞ・ふるまひける・おなじき廿二にちに・四十九にんの・くわんしよくを・とどめて・おひこめたてまつる・おなじ
き廿三にちに・せつしやうどのよりは・きそをめされて・へいけのときも・四十三にんの・くわんしよくをこそ・とどめたるに・これは
すでに・四十九にん・さやうに・あくぎやうばかりにては・いかでか・よをも・をさむべきと・おほせければ・きそ・
かしこまつてうけたまはり・四十九にんの・くわんしよくを・ことごとく・かへしたてまつる・きそは・ぜんぢやうくわんぱくの・おんむこに・おし
なりける・こそ・をかしけれ・きそさらば・わうにならばやと・おもひけるが・そのころのしゆじやうは・をさ
なう・わたらせたまへば・わうに・ならんずれば・とていまさら・わらはしに・ならんことも・かなふまじ・き
P368
そさらば・ゐんにならばやと・おもひけるが・そのころのゐんは・ほうわうにて・わたらせたまへば・ゐんに・ならんず
ればとて・いまさら・にふだうせぬも・かなふまじ・きそ・くわんぱくとは・えいはで・さらば・はんぱくにも・な
れかし・ひとまゐつて・くわんぱくどのには・ふぢはらしのおんひとこそ・ならせたまふ・おんことにてはさふらへ・げんじにては・い
かにも・かなはせたまふべからずと・まをしたりければ・きそさらばとて・たんばのくにを・ちぎやうして・ゐんの・み
まやのべつたうに・おしなりけるこそ・をかしけれ・おなじき廿四かに・まつどののおんこ・もろいへのとのとて・しやうねん・十
二さいに・なられけるを・きそおんむこに・とりたてまつつて・たいじん・くわんぱく・一どに・せさせたてまつる・をりふしだいじん・あか
ざりければ・とくだいじの・さだいじんどの・かりたてまつつて・だいじん・くわんぱく・一どに・せさせたてまつる・きやうもゐなかも・むかし
もいまも・ひとのくちの・さがなさは・このもろいへのとのをば・みなひと・かるのだいじんとぞ・まをしける・おなじき廿五にちに・
ほうわうくないはんぐわんきんときを・おんつかひにて・きそ・つゐたうのゐんぜんを・かまくらへこそ・くだされけれ・さるほどに・かまくらに
は・この二三ケねんがあひだは・きやうとのさわぎ・くにぐにのらんに・よつて・おほやけのごねんぐも・たてまつらねば・そのおそれありとて・
おほやけのごねんぐ・たてまつらる・ならびに・のりより・よしつねに・一せんよきを・さしそへて・みやこのしゆごのために・さしのぼせられける
が・をはりのくに・あつたの・うらにて・たうりうあり・くないはんぐわん・あつたに・くだり・このよしまをされたりければ・のりより・
よしつね・わたくしにては・いかにも・かなふまじきよしを・まをされければ・くないはんぐわん・おなじき十二ぐわつ八かのひ・かま
くらに・くだりつき・きそ・つゐたうのゐんぜんを・ひやうゑのすけに・たてまつる・ひやうゑのすけ・ぜんぶんの・あらえびすを・みやこのしゆご
に・すゑおきて・くげ・ゐんちうの・おんさわぎこそ・おほきに・おそれいつて・おぼえさふらへ・さらば・やがてきそ・つゐ
P369
たうせむとて・のりより・よしつねに・六まんよきの・ぐんびやうをさしそへてぞ・のぼせられける・さるほどに・四はうのせきせき・
ふさがつて・わたくしのねんぐも・のぼらねば・みやこにおはしけるひとびとは・ただせうすゐの・うをのごとし・へいけはさい
かいに・ひやうゑのすけは・かまくらに・きそは・みやこにはかりおこなふ・たとへば・ごかんの・のち・てんか三に・わかれて・ぎ・
しよく・ごと・がうせしがごとし・あぶなながらに・としくれて・じゆえいも・三ねんにぞ・なりにける

 

入力者:荒山慶一



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