深沢秋男研究室 -4仮名草子研究4

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仮名草子研究4

目  次
 慍談全書』の諸本
◆愆嫣陝戮僚本
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 慍談全書』の諸本
  ―付、『恠談』・『怪談録』・『奇異怪談抄』・『怪談録前集』―

 

深沢秋男

 

 『怪談全書』及びその類書の諸本については『仮名草子集成』第十二巻(平成3年9月25日)、第十三巻(平成4年8月20日)の解題で報告したことがある。ただ、そこでは紙幅の関係から、調査結果の全てを述べることが出来なかった。その後の調査をも加えて、改めて報告したいと思う。

 

  一、『怪談全書』の諸本

 

 『怪談全書』の調査済み諸本は、いずれも同一版木によるものであるが、それらは、次の如く分類し得ると思われる。

 〔一〕、元禄十一年版・

   大阪府中之島図書館本

  ◆都立中央図書館・加賀文庫本

    学習院大学日本語日本文学科研究室・B本

  、京都大学附属図書館本

    東洋大学附属図書館・哲学堂文庫本

 〔二〕、元禄十一年版・

  学習院大学日本語日本文学科研究室・A本

  国立国会図書館本

  長澤孝三氏(長澤規矩也氏旧蔵)本

  早稲田大学図書館本

  東北大学附属図書館・狩野文庫本(未見)(注1)

 〔三〕、享保六年版『異朝怪談故事』(改題、求版本)

  都立中央図書館・諸家買上文庫本

  香川大学附属図書館・神原文庫本

 〔四〕、寛保二年版『怪談全書』(改題、求版本)

  宮内庁書陵部本

 〔五〕、無刊記本

  国文学研究資料館本

  龍谷大学大宮図書館本

 

以下、諸本の書誌を記し、考察を加えたいと思うが、同一版木であるので、一本についてのみ版式を詳しく記し、他は、これと異なる点を記する止めたい。

 

 〔一〕、元禄十一年版・I

 

 ‖膾緝槊中之島図書館蔵255・6/76(平成2年9月4日調査)。

体裁大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 薄藍色原表紙、縦二七〇ミリ×横一六六ミリ(巻一)。暗い緑味青色の後補保護表紙を付す。

題簽 左肩に子持枠原題簽の部分を存す。

  巻一…後補題簽「〔有絵〕怪談全書」と墨書。下部に原題簽の部分を存す。

  巻二…無し。

  巻三…後補題簽「〔有絵〕怪(欠損)」と墨書。

  巻四…子持枠原題簽「〔有絵〕怪談全(欠損)」横は三八ミリ。

  巻五…子持枠原題簽「〔有絵〕怪談全書五(欠損)」横は三八ミリ。

  後補保護表紙には左肩に、子持枠のみ木版刷りで「怪談全書 一(〜五)」と墨書。

目録題 巻一巻頭に「怪談全書巻目録」とある。

目録尾題 巻一巻頭の目録の終りに「怪談全書目録終」とある。

  目録の内容は次の通り。

  一之巻/〇望帝〇詰汾/〇王● 〇伍子胥/〇淳干● 〇呂球/○偃王 ○韋叔堅/〇馬頭娘 〇韓朋/〇元緒 〇欧陽●

  二之巻/○李● 〇●客/〇張守一 〇姚生/〇潤玉 〇中山狼/○魚服

  三之巻/〇袁氏 〇●蜉/○●隠娘 ○張遵言

  四之巻/〇郭元振 〇侯元/〇頼省幹 〇王真娘子/〇陰摩羅鬼〇金鳳釵

  五之巻/〇三娘子〇薛/○巴西侯

内題 「怪談全書巻之一」。その下に「林道春」とあり。

   「怪談全書巻之二(〜五)」

尾題 「怪談全書巻之一(〜五)終」

匡郭 四周単辺、縦二〇一ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)

   縦は一行目と二行目の間、横は一字目と二字目の間で計測。

柱刻 版心は上部白口、下部黒口。上部に書名・巻数、下部に丁付があり、挿絵の丁は又丁となっている。丁付を黒魚尾で囲み、下の黒魚尾には花紋がある。また、上の黒魚尾は(原図省略。元本参照のこと)とあるが、次の二十四の各丁は(原図省略。元本参照のこと)と、上部の横の線が無い。(巻一の八、十八、十九、廿、廿一。巻二の一、三、四、五、六、七、八、九、十九、廿二、廿三。巻三の一、三、四。巻四の十七、十八。巻五の四、又十一、十二)。また、巻四の九丁は(原図省略。元本参照のこと)と、下の線が無い。

  巻一…「怪談目録 甲(乙)」「怪談一 一(〜四)、又四、五(〜九)、又九、十、十一、十二ノ十七、十八、十九、又十九、廿(虫損)、廿一、廿」。「十二ノ十七」の内「ノ十七」は墨書。「廿(虫損)、廿一、廿」の内の「廿」は「廿二」とあるべきところ。ただし、本文は正しく接続しているので、単なる乱丁ではない。

  巻二…「怪談二 一(〜四)、又四、五(〜九)、又九、十、十一、十二、十三ノ十八、十九、又十九、廿(〜廿三)」。「十三ノ十八」の内「ノ十八」は墨書。

  巻三…「怪談三 一(〜五)、又五、六(〜十一)、又十一、十二ノ十六、十七(〜十九)」。「十二ノ十六」の内「ノ十六」は入木。

  巻四…「怪談四 一(〜五)、又五、六(〜十二)、又十二、十三ノ六、十七(〜廿)」。「十三ノ六」の内「ノ六」は入木であるが「ノ十六」とあるべきところ。また、原本は「又十二、十九、十八、十七、十三ノ六、廿」の如く乱丁となっている。

  巻五…「怪談五 一(〜四)、又四、五、六、七ノ十、十一、又十一、十二(〜十四)」。「七ノ十」の内「ノ十」は入木。

丁数 巻一…二十二丁(内、目録二丁)。

   巻二…二十一丁。

   巻三…十七丁。

   巻四…十九丁。

   巻五…十三丁。  合計…九十二丁。

行数 目録は毎半葉七行、本文は毎半葉九行。

字数 一行二十二字。注などに二行割書きが少しある。

話数 巻一…十二、巻二…七、巻三…四、巻四…六、巻五…三。

   合計…三十二話。

挿絵 巻一…片面六図、又四オ「伍子胥」、又四ウ「呂球」、又九オ「馬頭娘」、又九ウ「韓朋」、又十九オ「欧陽●」、又十九ウ「欧陽●」。

   巻二…片面六図、又四オ「張守一」、又四ウ「●生」、又九オ「潤玉」、又九ウ「潤玉」、又十九オ「中山狼」、又十九ウ「中山狼」。

   巻三…片面四図、又五オ「●蜉蜂」、又五ウ「隠娘」、又十一オ「張遵言」、又十一ウ「張遵言」。

   巻四…片面四図、又五オ「郭元振」、又五ウ「郭元振」、又十二オ「金鳳釼(ママ)」、又十二ウ「金鳳釼(ママ)」。

   巻五…片面四図、又四オ「三娘子」、又四ウ「薛昭」、又十一オ「巴西侯」、又十一ウ「巴西侯」。

   合計…片面二十四図。

本文 漢字交り片仮名。振り仮名・濁点を施し、句点は「。」を使用し、まれに「.」を混用する。

序・跋 無し。

刊記 巻五、十三丁オに、

  「右怪談全部羅山子作之

    元禄十一年

           跡ヨリ又平仮名出シ申候

     〔戊寅〕八月吉日

            江戸上野仁王門筋中町

              中 野 孫 三 郎

            京五条橋通

              福 森 兵 左 衛 門

                        板行」

  「跡ヨリ又平仮名出シ申候」は行書体、他は楷書体。

蔵書印等 「牘庫」(内藤風虎)陽刻朱印(縦三六ミリ・横三三ミリ)。「子孫永保/雲煙家蔵書記/共五巻」(鹿島清兵衛)陽刻長方形朱印(縦七二ミリ×横五〇ミリ)。「大阪府立図書館蔵書之印」陽刻方形朱印(四二・五ミリ×四二・五ミリ)。「大阪府立図書館蔵書」陽刻長方形未印(縦二五ミリ×横一一ミリ)。「大阪府立図書館/大正九年九月四日/58999」陽刻長円形朱印(横四一ミリ×縦二七ミリ)数字は青色スタンプ。「255・5/76」の黒ラベル。その他朱印一穎。

その他 巻四の又十二丁以下乱丁。

 

 ◆都立中央図書館・加賀文庫蔵 12196(平成2年3月15日調査)。

体裁 大本、五巻、合一冊、袋綴じ。

表紙 赤墨色表紙、縦二六四ミリ×横一六四ミリ。

題簽 左肩に子持枠後補題簽で文字は墨書。縦一八〇ミリ×横三九ミリ。「怪談全書 林   道春 全」

匡郭 四周単辺、縦二〇一ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 大阪府立中之島図書館蔵本とほぼ同じであるが、次の傍線の部分が異なる。

  巻一…「怪談目録 甲(乙)」「怪談一 一(〜四)、又四、五(〜九)、又九、十、十一ノ十六、十七、十八、十九、又十九、廿二、廿一、廿」。「十一ノ十六」の内「ノ十六」は墨書。「廿二、廿一、廿」は「廿、廿一、廿二」とあるべきところ。ただし、本文は正しく接続している。

  巻二…「怪談二 一(〜四)、又四、五(〜九)、又九、十、十一、十二ノ十七、十八、十九、又十九、廿(〜廿三)」。「十二ノ十七」の内「ノ十七」は墨書。

蔵書印等 「中井氏之記」陽刻長方形朱印(縦五三ミリ×横十三・五ミリ)。「束京都立日比谷図書館/091486/昭和28・1・10」長円形黒スタンプ。「加賀文庫/12196」の茶色ラベル。

 

   学習院大学日本語日本文学科研究室蔵・B本 913・61/5018(平成2年8月28日調査)

体裁 大本、五巻、合一冊、袋綴じ。

表紙 濃縹色後補表紙、縦二六〇ミリ×横二六一ミリ。

題簽 左肩に子持枠後補題簽で文字は墨書。縦一七四ミリ×横三八ミリ。「怪談全書 上」

匡郭 四周単辺、縦二〇一ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 都立中央図書館・加賀文庫本と同じであるが、十三丁目(刊記の丁)が落丁。

蔵書印等 「大嶋屋」陽刻長方形黒印(縦三〇ミリ×横一一ミリ)「学習院図書」陽刻方形朱印(縦一四ミリ×横八・五ミリ)「学習院図書」約四七ミリの桜花の中に刻す、陽刻朱印。前見返しに次の墨書あり「巻五合綴之于時文久二歳□孟春/吉日再綴之者也/引田浦南/佐野姓蔵/清直改」。「158598」の青色スタンプ。「913・61/5018」の赤ラベル。

その他 巻五の十三丁目(刊記)落丁。巻四の「又十二」と「十三ノ六」が入れ変わっている。

 

 、京都大学附属図書舘蔵 4−47/6/9(平成2年9月3日調査)

体裁 大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 灰味茶色原表紙、縦二六三ミリ×横一六七ミリ(巻一)。

題簽 巻五のみ、子持枠原題簽、

   「(欠損)怪談全書 五」縦一八三ミリ×横三七ミリ。

   巻一〜巻四は原題斉の上に、子持枠後補題長が貼ってある。文字は墨書。「〔有絵〕怪談全書 壱(弐・三・四)」

匡郭 四周単辺、縦二〇〇・五ミリ×横一四一・五ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 大阪府立中之島図書館蔵本とほぼ同じであるが、次の傍線の部分が異なる。

   巻一…「怪談目録 甲(乙)」「怪談一 一(〜四)、又四、五(〜九)、又九、十、十一ノ十六、十七、十八、十九、又十九、廿、廿一、廿二」。「十一ノ十六」の内「ノ十六」は入木。「廿、廿一、廿二」は入木によって正されている。

   巻二…「怪談二 一(〜四)、又四、五(〜九)、又九、十、十一、十二ノ十七、十八、十九、又十九、廿(〜廿三)」。「十二ノ十七」の内「ノ十七」は入木。

蔵書印等 巻一前表紙の右下に白紙(縦八〇ミリ×横二〇ミリ)貼付「全部五冊」と墨書し、その下に、丸の中に「大」の陽刻墨印あり(大惣本)。「京都帝国大学図書之印」陽刻方形朱印(五一ミリ×五一ミリ)。「京大図/明治三二・四・二一購入」陽刻円形朱印(二五ミリ)。「33661」の紫スタンプ。「47/力/9」の赤ラベル。

 

   東洋大学附属図書館・哲学堂文庫蔵 わ/3/左/39〜43(平成2年8月9日調査)

体裁 大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 黒色表紙、縦二六七ミリ×横一六八ミリ(巻一)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、巻三欠、全体に部分的欠損あり。

   「(欠損)怪談全書一」「〔有絵〕怪談全書 二(四・五)」

匡郭 四周単辺、縦二〇一ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)

柱刻 京都大学附属図書館蔵本と同じ。

蔵書印等 「紫塵堂」陰刻方形朱印(縦二八ミリ×横三〇ミリ)。「●」陽刻黒印(横三五ミリ)。「甫水井上氏蔵」陽刻方形朱印(二五ミリ×二五ミリ)。花模様の中に「円了文庫」陽刻朱印(四〇ミリ)。「甫水井上円了蔵書/書名 /全五冊/第一(〜五)冊/わ凾/第三架/左班/第卅九(〜四三)/禁庫外帯出」のラベル(数字等は墨書)。「御大典/記念/図書/哲学堂/甫水/円了」陽刻・陰刻混合長円形朱印、(縦四〇ミリ×横一九ミリ)。「昭和51年2月/7346(〜7350)/東洋大学図書館」の紫スタンプ。

 

   〔二〕、元禄十一年版・

 

   学習院大学日本語日本文学科研究室蔵・A本 913・61/5017(平成2年8月28日調査)

体裁 大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 濃縹色原表紙、縦二五四ミリ×横一六六ミリ(巻一)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、

   「〔有絵〕怪談全書 一(〜五)」縦一八三ミリ×横三七ミリ、(巻一)。

匡郭 四周単辺、縦二〇一ミリ×横一四ニミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 元禄十一年版・気劉5都大学附属図書館蔵本と同じ。

刊記 巻五、十三丁オに、

   「右怪談全部羅山子作之

     元禄十一年

      〔戊寅〕八月吉日

               江戸上野仁王門筋中町

                 中 野 孫 三 郎

               京五条橋通

                 福 森 兵 左 衛 門

                           板行」

蔵書印等 「山積蔵書」陽刻方形朱印(三四ミリ×三四ミリ)。「学習院図書記」陽刻方形朱印(五二ミリ×五二ミリ)。「学習院」陽刻長円形朱印(縦三〇ミリ×横一八ミリ)。「学習院図書」陽刻長方形朱印(縦一四ミリ×横八・五ミリ)。「157337(〜157341)」の青色スタンプ。「918・61/5017」の赤ラベル。その他朱印一顆。

 

   国立国会図書館蔵 142/5/1O6(平成2年3月13日調査)

体裁 大本、五巻、合二冊、袋綴じ。巻一、巻二を巻二の表紙で合冊。巻三〜巻五を巻五の表紙で合冊。

表紙 巻二、巻五の前表紙のみ、薄黄茶色原表紙、(縦二六二ミリ×横一六二ミリ(巻二)。各、後表紙は似た色の後補表紙。

題簽 左肩に子持枠原題簽、

   「〔有絵〕怪談全書 二(五)」 縦一八一ミリ×横三八ミリ。「二」を消して左に「一〜二」と墨書、「五」を消して左に「三〜五」と墨書。

匡郭 四周単辺、縦二〇〇ミリ×横一四〇ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻・刊記 学習院大学日本語日本文学科研究室蔵・A本と同じ。

蔵書印等 「越国文庫」陽刻方形朱印(四〇ミリ×四〇ミリ)。「図書寮」陽刻長方形朱印(縦四六ミリ×横二〇ミリ)。「明治九年文部省交付」陽刻長方形朱印(縦五九ミリ×横一五ミリ)。「束京書籍館/文部省創立/明治五年/MONBUSHO」陽刻円形朱印(四九ミリ)。「束京図書館/和書門/小説類/二五凾/八架/八号/五冊」の黒ラベル。

その他 巻四の「十九」落丁。次の三カ所が乱丁。巻三の「又五」と「五」、巻四の「又五」と「五」を入れかえる。巻三の「又十一」は巻四に入っている。

 

   長澤孝三氏蔵(長澤規矩也氏旧蔵) (平成2年8月20日調査)

体裁 大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 薄黄茶色原表紙、縦二五六ミリ×横一六五ミリ(巻一)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、縦一八四ミリ×横三八ミリ(巻一)。巻五の上部に欠損あり。

   「〔有絵〕怪談全書 一(〜五)」

匡郭 四周単辺、縦二〇〇ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻・刊記 学習院大学日本語日本文学科研究室蔵・A本と同じ。

蔵書印等 「阿(陰刻)範(陽刻)」陰陽混合長方形朱印(縦一八ミリ×横一三ミリ)。「¥380 1951.6.23」鉛筆書き。

 

   早稲田大学図書館蔵 へ13/3198/1(〜5) (平成2年9月14日調査)

 

体裁 大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 薄黄茶色表紙、縦二五四ミリ×横一六六ミリ(巻一)。

題簽 左肩に剥落の跡があり、その部分に、墨書にて、

   「怪談全書 一(〜五)」

匡郭 四周単辺、縦二〇〇・五ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻・刊記 学習院大学日本語日本文学科研究室蔵・A本と同じ。

蔵書印等 「早稲田文庫」陽刻長方形朱印(縦四〇ミリ×横一一・五ミリ)。「早稲田大学図書」陽刻長方形朱印(縦三八ミリ×横九ミリ)。「昭和九年/十月三日/購求」陽刻長方形朱印、数字はペン書(縦四二ミリ×横一四ミリ)。「特/へ13/3198/1(〜5)」朱印、数字は黒印。「へ13/3198/1(〜5)」青色ラベル。

その他 巻二の「又十九」落丁。

 

   〔三〕、享保六年版『異朝怪談故事』(改題、求版本)

 

   都立中央図書館・特別買上文庫 421/1(〜5)(平成2年8月11日調査)

 

体裁 大本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 濃縹色表紙、縦二七五ミリ×横一八〇ミリ(巻一)。

題簽 巻四は左肩に子持枠原題簽、

   「〔絵入〕異朝怪談故事 四」(縦一九〇ミリ×横三八ミリ)

   巻三は子持枠原題簽で、上部に破損あり。

   「(破損)朝怪談故事 三」

   巻一は子持枠後補題簽、文字は墨書。

   「異朝怪談故事 一」

   巻二、巻五は無し。

目録題 巻一巻頭に「異朝怪談故事巻目録」と入木。

目録尾題 巻一巻頭目録の終りに「異朝怪談故●目録終」と入木。

内題 各巻本文の始めに入木にて、

   「異朝怪談故●巻之一 林道春選」

   「異朝怪談故事巻之二(〜五)」

尾題 各巻本文の終りに入木にて、

   「異朝怪談故事巻之一終」

   「異朝怪談故●巻之二(〜五)終」

匡郭 四周単辺、縦一九九ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 元禄十一年版・兇汎韻検

奥書 巻五終丁オに、

   「異朝怪談故●也者羅山子之所以選也普摘/百家之書籍遠紀千載之奇●矣好●者●巻/則鴻耳嵬目免朽木糞檣之責云爾」

刊記 奥書に続けて、

   「享保六辛丑年五月吉辰

       大阪高麗橋壱丁目

            浅野弥兵衛 板行」

 

 

蔵書印等 「縁山/慧照院常住物」陽刻子持枠長方形朱印(縦六四ミリ×横三二ミリ)。「宍戸昌蔵書記」陰刻方形朱印(四一ミリ×四一ミリ)。「宍戸氏文庫/第3168号/共5冊」陽刻横長円形朱印(横三五ミリ)。「佐多蔵書」陽刻方形朱印(二四ミリ×二四ミリ)。「反町文庫」陽刻長方形朱印(縦四五ミリ×横一〇ミリ)。「日比谷図書館」陽刻長方形朱印(縦二一ミリ×横七ミリ)。「東京都立日比谷図書館蔵」陽刻方形朱印(三九ミリ×三九ミリ)。「東京都立日比谷図書館/0147926(〜0147930)/昭和34・9・15和」陽刻横長円形スタンプ(横五三ミリ)。「特別買上文庫/421/1〜5」のラベル。「Q38822/1/1(〜5)」のラベル。

 

   香川大学附属図書館・神原文庫蔵 九一三・五一(平成3年3月11日調査)

 

体裁 大本、五巻、二冊、一冊目==巻一・巻二、二冊目=巻三〜巻五、袋綴じ。

表紙 藍色表紙、縦二六〇ミリ×横一七八ミリ二冊目)。

題簽 無し。

匡郭 四周単辺、縦一九九ミリ×横一四一ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻・奥書・刊記 都立中央図書館・特別買上文庫本と同じ。

蔵書印等 「小波選/日本口碑大全用書」陽刻子持枠長方形朱印(縦五〇ミリ×横二七ミリ)。「神原家図書記」陽刻長方形黒印(縦四六ミリ×横一二ミリ)。「寄贈図書/神原文庫/香川大学設立準備委員会」横長円形紫スタンプ。「香川大学附属図書館」陽刻方形朱印(縦四五ミリ×横四四ミリ)。「香川大学附属図書館/乙/125436/昭31・3・30和」横長円形紫スタンプ。年月日は「42・3・31」を朱で消し「31・3・30」と改めている。他に朱印一顆。

 

   〔四〕、寛保二年版『怪談全書』(改題、求版本)

 

   宮内庁書陵部蔵 12172/4/206・861(平成2年9月28日調査)

体裁 大本、五巻、四冊、巻四・巻五を合冊、袋綴じ。

表紙 薄縹色原表紙、縦二五八ミリ×横一八〇ミリ(巻一)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、縦一六二ミリ×横三四ミリ(巻一)。

  「〔有図〕怪談全書 一(〜四)」

目録題 巻一巻頭に「怪談全書巻目録」と入木。

目録尾題 巻一巻頭の目録の終りに「怪談全書目録終」と入木。

内題 各巻本文の始めに入木にて、

   「怪談全書巻之一 林道春選」

   「怪談全書巻之二(〜五)」

尾題 各巻本文の終りに入木にて、

   「怪談全書巻之一(〜四)終」

   「怪談全書巻之五  終」

匡郭 四周単辺、縦一九九・五ミリ×横一四四ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 元禄十一年版・兇汎韻検

刊記 巻五終丁オに、寄木にて、

   「寛保二年壬戌九月穀旦求版

            南久宝寺町心斎橋筋

             丹波屋理兵衛

     浪 速 書 林

         順慶町壱丁目筋

             田原屋平兵衛」

蔵書印等 「帝室図書」陽刻方形朱印(縦二一ミリ×横二二ミリ)。「松岡本/雑/四冊/第二号」のラベル。「図書寮/番号・12172/冊数・4/凾号・206 861」のラべル。

 

   〔五〕、無刊記本『怪談全書』

 

   国文学研究資料館蔵 ナ4/235/1(〜4)(平成2年9月11日調査)

 

体裁 大本、五巻、四冊、巻四・巻五を合冊、袋綴じ。

表紙 濃藍原表紙、縦二五七ミリ×横一八一ミリ(巻一)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、巻一の上部・下部に欠損あり。縦一七一ミリ×横四〇ミリ(巻二)。巻一は楷書風、巻二はやや草書風、巻三は篆書風、巻四五は最も草書風と、各巻の書風が異なっている。

   「(欠損)怪談全書 道春選 (欠損)」

   「〔絵入〕怪談全書 道春選 二(三・四五)」

目録題・目録尾題・内題・尾題 寛保二年版と同じ。

匡郭 四周単辺、縦二〇〇ミリ×横一四三ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 元禄十一年版・兇汎韻検

刊記 無し。刊記の丁を欠く。

蔵書印等 「称好塾図書印」陽刻子持枠方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。「第六号/四冊ノ内/箱・丙/架・一」のラベル。「雑 五十九号 四冊ノ内」と朱筆の書き入れ。「国文学研究資料館」陽刻長方形朱印(縦三八ミリ×横二四ミリ)。「国文学研究資料館/43694(〜43697)/昭和54年6月19日」陽刻横長円形朱印、数字は墨書。「ナ4/235/1(〜4)」のラベル。

その他 巻五の十四丁(刊記の丁)が削除されている。巻五の末尾に「浪花書林赤松閣蔵   板目録」二丁分がある。以下にその目録を掲げるが、割書きは〔 〕で囲んだ。

「浪花書林赤松閣蔵板目録〔大坂船町千種屋新右衛門〕

山海名物図会〔金銀銅鉄其外海陸諸国より出る品々仕こしらへを委く絵図にして全部五冊〕/同後篇 近刻/絵本古実鑑 全部二冊/同御伽姿名鑑〔油煙斎貞柳狂歌長谷川光信図全三冊〕/同家賀御伽〔栗可亭木賜狂歌長谷川光信図全三冊〕/同異国鑑 全二冊/同国見山〔異国人の遊興を図示寺井重房図全三冊〕/同大和詞〔世間かたことばを正しくあらため近刻出来〕/女鑑秘伝書 全三冊/同絵入改成〔婚礼式法しつけかた女の調法品々あつむ〕/新式目必用〔士農工商内外の式法委くあらはす家々是を必用〕/茶湯古織伝〔古田織部作全部一冊〕/摂州式内神社巡〔赤川村久保重宣撰折本一冊〕/年代記 折本一冊/畳算合儀的〔うせものかけをち男女の心いきを知るうらなひ其外色々重宝を委くあつむ折本一冊〕/諸方道中記折本一冊〔常に懐中して重宝なる事を集〕(1オ)名所方角抄〔諸国名所旧跡委く乗る宗祇法師の作全一冊小本〕/住吉名所志〔神社名所旧跡社人の事委く集る全二冊〕/天王寺伽藍記絵図入 全一冊/大坂近国年中行事扇〔あふきうらおもてに諸方角の祭礼法会其外見物所委集る〕/売買出世車〔相物の高下をかんかへ諸商売の利にたよりある事をあらはす〕/大和詞大全 小本全一冊/骨継重宝記全三冊/算図真筆庭訓 手本/〔英一蝶流遊□絵本〕九十九年〔全部一冊近刻〕/滝本今川 全一冊/御家流今川 全一冊/女鹿筆〔女手本全一冊〕/算学初心抄 全五冊/同大成〔掛て割算位見の法其外秘術を集全一冊〕/出世ぢんかう記全一冊/好色助六拙 全五冊/〔絵入実録〕頼光勲功記全六冊/順礼独案内 全一冊(1ウ)異称日本伝〔松下見林撰十五冊〕/国朝佳節録 同作一冊/潜夫論 漢王符撰近刻/秦少遊待帖 正面摺一冊/帰去来〔子昂行書石刻〕一冊/八分字千字文〔文徴明同〕一冊/絵本戯功能艸〔赤松閣妙薬絵図ニあらはし〕全一冊/同弘法秘密艸 同断/須广筧 同断/英一蝶軽書絵本〔全部三冊近刻〕/〔方角参考〕名所袖枕〔寸珍近刻〕全一冊/和漢文会 全一冊/朝鮮人来朝記〔横本〕全一冊/大子撰集抄 全部六冊/灸艸考 全一冊/誹諧橋柱 全一冊/懐中潮時計〔折本〕一冊/和歌題林抄〔能因法師撰〕全部二冊(2オ)同雛遊ひ〔小本〕一冊/同続国見山〔近刻〕全部二冊/住吉図 近刻/八木宝の市〔米商ひの奥義并ニやりくり両替犬切手先納切手の訳委記す 全一冊〕/童蒙須知〔朱文公撰〕全一冊/同頭書〔宇都宮由的撰〕全一冊/宇津山小蝶物語 全部八冊/新鑑艸 全部九冊/たとへかるた〔いにしへよりのたとへをうたかるたのことくゑ入にしてとりやすく児女のなぐさみとす〕箱入/薬湯重宝記 近刻/笛頭附 近刻/実語経 全一冊/万用小謡大成 全一冊/絵本玉千鳥〔横本近刻〕全部三冊/八卦虎之巻〔安倍晴明〕全部四冊/怪談全書〔林道春〕全部五冊/渡世伝授車 全部五冊/螢火丸所〔其外妙薬品々色のしろなる薬有(2ウ)」

 

   龍谷大学大宮図書館蔵 578/14/1(平成3年9月11日調査)

体裁 大本、五巻、合一冊、袋綴じ。

表紙 枯色後補表紙、縦二五六ミリ×横一八〇ミリ。

題簽 左肩に子持枠後補題簽、文字は墨書。縦一七一ミリ×横三五ミリ。「怪談全書」

目録題・目録尾題・内題・尾題 寛保二年版と同じ。

匡郭 四周単辺、縦二〇〇ミリ×横一四二ミリ(巻一本文一丁オ)。

柱刻 元禄十一年版・兇汎韻検

蔵書印等 「書字堂之蔵書」陽刻長円形朱印(縦三九ミリ×横二三ミリ)。「慧/18架/5号/第 冊/共 冊」のラベル。「仏教大学/ウ90/85/1」のラベル。

その他 巻五の十四丁(刊記の丁)が除かれている。巻五の末尾に「浪花書林赤松閣蔵板目録」二丁分がある。内容は国文学研究資料館のものと同じ。

 

 以上、『怪談全書』の調査済み諸本の略書誌を記した。未調査本に関しては、さらに今後調査を重ね補訂することとし、次に、各版の関連について考察したいと思う。

 

   〔一〕、元禄十一年版・

 

 『怪談全書』の現存諸本は、いずれも同一版木によるものであり、元禄十一年八月の刊記を持つものが、最も早いと判断されるが、この版も、刊記の「元禄十一年」の下に「跡ヨリ又平仮名出シ申候」と有るもの(機⊆命拭↓癸院帖帖牒癸供砲函△海諒犬無いもの(供⊆命拭↓11・12・13)の二つに分けられる。この十一文字は、奥付の丁全体が楷書体であるのに、この部分のみ行書体となっている、という点で、入木の可能性が無い訳ではない。しかし、桔椶鉢極椶鯣羈咾垢襪法¬世蕕に桔椶諒が刷りは早く、従って兇この部分を削除したもの、という事になる。

 さて、桔椶任△襪、これも、刷時によって三つに分ける事ができる。文字・匡郭の欠損等の調査によっても、 Ν◆Νの順で刷られたものと思われるが、その丁付に明らかな相違が見られる。

 

  大阪府立中之島図書館本

巻一の丁付が「十二ノ十七」とあり「ノ十七」が墨書。

巻二の丁付が「十三ノ十八」とあり「ノ十八」が墨書。

巻一の丁付が「廿(虫損)、廿一、廿」とあり、「廿」は「廿二」とあるべきところ。ただし、本文は正しく接続しているので、単なる乱丁ではない。

 

 ◆都立中央図書館・加賀文庫本、学習院大学日本語日本文学科研究室・B本

巻一の丁付が「十一ノ十六」とあり「ノ十六」が墨書。

巻二の丁付が「十二ノ十七」とあり「ノ十七」が墨書。

巻一の丁付が「廿二、廿一、廿」とあり、「廿、廿一、廿二」とあるべきところ。ただし、本文は正しく接続している。

 

 、京都大学附属図書館本、東洋大学附属図書館・哲学堂文庫本

巻一の丁付が「十一ノ十六」とあり「ノ十六」が入木。

巻二の丁付が「十二ノ十七」とあり「ノ十七」が入木。

巻一の丁付が「廿、廿一、廿二」と入木によって訂正されている。

 

 『怪談全書』の各巻には、いずれも飛丁かある。‖膾緝槊本では、巻一が十二丁目、巻二が十三丁目で飛丁となっており、「ノ十七」「ノ十八」が、それぞれ墨書である。これに対し、都立中央本は、巻一が十一丁目、巻二が十二丁目と、飛丁部分が変更され、「ノ十六」「ノ十七」は墨書である。さらに、5大本は、巻一が十一丁目、巻二が十二丁目と、都立中央本と同じであるが「ノ十六」「ノ十七」が墨書ではなく入木になっている。また、巻一の巻末の丁付が、‖膾緝槊本と、都立中央本は「廿二、廿一、廿」と誤刻になっているが、5大本は「廿、廿一、廿二」と入木で訂正されている。このように、 ↓◆↓の順序で、変更され、訂正され(写真、癸掘切8・癸后法以後の各版はを踏襲している。

 また、巻二の九丁ウ七行目で、‖膾緝槊本は「一人の女」としているが、都立中央本・5大本は、共に「 人の女」と「一」を削って空白にしている。(写真、10)。これは、後に「女二人」と出てくるので、△早合点して省いたらしく、それを0焚爾脇Ы韻靴討い襦なお、極椶料畭臻椶蓮崙鵝廚鯔呂琶簓し、〔四〕の書陵部本は「一」を補筆している。

 

当時の書籍目録(注2)を見ると、元禄九年、河内屋利兵衛から刊行された『増益書籍目録大全』に『怪談全書』は著録されていないが、その版木を使用して、元禄十一年中冬に丸屋源兵衛から出された『増益書籍目録大全』(増補改訂版)には、

 「〔五福森〕怪談全書(クハイタンゼンシヨ) 道春 三匁五分」

と記載されている。これは、丸屋源兵衛の宝永三年の増修本にも、正徳五年の増修本にも、同様に記載されている。『怪談全書』は元禄十一年八月の刊行である。それが十一月刊の目録から著録された訳で、これは納得のゆくものと考えられる。

 この「福森」は刊記の福森兵左衛門で、京都五条通に住し、万治から元禄にかけて活動した書肆。『弁才天本地』(万治3年)、『子孫鑑』(寛文13年)、『下学集』(刊年未詳)、『日用宝鑑』(貞享2年)、『浄土見聞集』(貞享4年)等を刊行している。(注3)

 中野孫三郎は、寛文〜元禄期に活動した江戸の書肆で、神田鍛冶町、後に神田通乗物町に移り、さらに上野仁王門筋中町に店を構えていた。この『怪談全書』は、京都・福森と江戸・中野の相版であるが、福森兵左衛門が責任版元で、中野は、京都の出店ではないかと推測される。

 

 奥付の刊年の下に「跡ヨリ又平仮名出シ申候」とあるが、『怪談全書』の版本で平仮名本は、現在までに見る事が出来なかった。天理図書館には『漢考怪談録前集』五巻五冊が所蔵されていて、内容は『怪談全書』とほぼ同じで、本文は漢字交り平仮名である。ただ、全三十二話を収録しているのにもかかわらず、「前集」としており、また、収録順序も、かなり異なり、むしろ写本系統に近い。おそらく、元禄十一年に福森・中野が、今後、平仮名本を刊行する、と予告したものとは別に、写本『恠談』または『怪談録』に拠ったものではないかと思われる。これに関しては後述する。

 

 長澤規矩也氏は、元禄十一年版『怪談全書』を、原刊本ではなく、外題換の書としておられる。

 「私の眼で見ると、怪談全書の各巻の書名は改刻であり、版心には「怪談」とのみあつて、しかも、その上には魚尾もないわりにその位置が下り過ぎてゐて、奥附の「板行」の二字が他と遊離してゐる。私は、現行の怪談全書はいはゆる外題換の書で、もと、奥附には「板行」の二字の上に発行書店名があつたものかと考へた。」(『文学論叢』特輯号、昭和32年3月)

 「奥付においては最後の「板行」の二字のみが原刊らしくみえ、詳しくみると、「怪談全部」の「全部」が入れ木、巻首の「林道春」も加刻、各巻の書名は改刻であり、版心には「怪談」とのみあつて、しかもその上には魚尾もないわりに文字の位置が下がりすぎている」(『国語と国文学』38巻4号、昭和36年4月)(注4)

 長澤氏は、その刊記の記し方から推測すると、極椶鮖藩僂靴討られたように思われる。現在までの調査し得た中では、前述の如く‖膾緝槊本が最も早い刷りと判断されるので、改刻か否かの吟味は、この本ですべきものと思う。見たところ、目録題には違和感がないようであるが、内題・尾題には、刷色が部分的に薄いもの、逆に濃いものがあったり、文字が部分的に大きかったり、また、文字の字間に不揃いがあったりする。刊記の丁は、現状では、いずれとも判断しかねるが、「元禄」の「元」、「戊寅」の「寅」、「江戸上野仁王門」の「上野仁」「門」、「中野」の「野」などに欠損が見られ、これらの点から考えて、長澤氏の指摘される如く、この元禄十一年版が後印本であるという事に異論はない。この版が外題換であるか否か、という点をも含めて、さらに未見本の調査を重ね、判断したいと思う。

 

 次に飛丁の事について考察しておきたい。すでに書誌の項で記したが、各巻には、次の如く飛丁がある。

 巻一…「十二ノ十七」として、13・14・15・16・17の5丁分を飛ばしている。

 巻二…「十三ノ十八」として、14・15・17・18・の5丁分を飛ばしている。

 巻三…「十二ノ十六」として、13・14・15・16の4丁分を飛ばしている。

 巻四…「十三ノ六(十六とあるべきところ)」として、14・15・16の3丁分を飛ぱして    いる。

 巻五…「七ノ十」として、8・9・10の3丁分を飛ばしている。

 この飛丁に関して、太刀川清氏の見解がある。(注5)太刀川氏は、元禄十一年版・極椶鮖藩僂靴討られるようであるが、やはり、桔椶傍鬚辰胴佑┐討罎ことにする。

 「この各巻の削除部分を明かにするために『怪談全書』とこれに先行すると考えられている写本『怪談』及び写本『怪談録』を比較しても削除部分は見当らない。いずれも『怪談全書』の内容と一致し、行文にもちがいというほどのものもないところから、あるいは見せかけの丁数をふやそうとする書肆の作為かと疑ってはみたが、そうでもなさそうで、やはりこの部分には別の内容があって、きわめて巧妙な扱いで削除されたものであろう。

  その内容は原刊本をみてはじめて明かになるものであるが、奥付の「右怪談全部羅山子作之」と敢て「全部」といっているところに注目したい。書肆のはからいから一度は『怪談』、『怪談録』に見られない内容の条を加えて刊行を企てたものの、事情あってやはり世間で「羅山作」と考えられている「怪談」にかぎることにして他は削除することにした。そうすればその内容は「全部」羅山作のものとなる。奥付はそんなことを暗示しているようにとれる。かくして書肆は削った本文にかえて挿絵を入れて刊行に及んだ。おそらくこれがはじめての刊行であったであろう。原刊本といったのもいわぱ幻の刊本であったのではなかったか。」

 やや長い引用となったが、要するに、太刀川氏は、これらは単なる飛丁ではなく、この飛丁の部分に、羅山以外の者の作が入っており、これを「巧妙な扱いで削除」したものであろうとされている。

 さて、丁のオ・ウ、丁移りで削除可能な部分を整理すると次の通りである。

 巻一…4丁オと4丁ウ、11丁オ(「元緒」を入木)と11丁ウ。

 巻二…4丁ウと5丁オ、9丁オ(「潤玉」を入木)と9丁ウ。

 巻三…6丁オと6丁ウ、10丁ウと11丁オ。

 巻四…無し。

 巻五…7ノ10丁オと7ノ10丁ウ。

 羅山以外の者の作を削除して、その分を飛丁にしたのであれぱ、同じ丁を飛丁にした方が手数がかからない。右の如く、削除可能な丁と飛丁をみると、巻五が合致しているのみであり、殊に巻四は可能と思われない。

 長澤規矩也氏も、奥付の「怪談全部」の「全部」は入木であるとされており、‖膾緝槊本を見ても、やや違和感があるようにも思える。その意味で、太刀川氏の指摘は興味深いものではあるが、巻四の事をも含めて考えると、ここは、やはり、他の諸作品に見られる如く、丁数を多く見せるための飛丁とするのが妥当と思われる。

 

 本書には、巻一…六図、巻二…六図、巻三…四図、巻四…四図、巻五…四図、合計二十四図(いずれも片面)の挿絵が入っており、全て又丁となっている。飛丁で二十丁水増しし、又丁で挿絵十二丁を追加し、差し引き八丁の水増しという結果になっている。

 長澤規矩也氏は「(本書が外題換ではないかと話したところ)朝倉治彦氏は、同書の挿絵の丁附がずべて「又幾」となつてゐて、後印の際の増入であることを指摘され、吉田幸一氏は、挿絵の丁の版心の「怪談」の二字が楷書である本文と違って、行書風であること)を指摘された。」(『文学論叢』特輯号、昭和32年3月)(注6)と記しておられる。

 挿絵の丁付が全て又丁であるので、挿絵は後から追加したものと考えられるが、絵の無い本文だけの本は、現在までに発見できなかった。本文の版が出来上がってから、挿絵入りと変更になり、急ぎ加えたのではないかと思われる。ただ、太刀川氏の言われる如く、この又丁が飛丁と密接に関連しているとは即断できない。

 この挿絵の絵師・画風等については、現在、未調査の状態であるが、これらの漢画風挿絵について、近時、花田富二夫氏の「仮名草子漢画風挿絵考」が発表されている。(注7)示唆に富む御論考であり、これを参照して、本書の挿絵に関しても、今後、考察したいと思っている。

 

   〔二〕、元禄十一年版・

 

 太刀川清氏は、前掲論文(注8)の中で、

「通行の『怪談全書』は

  元禄十一年戊寅八月吉日

   江戸上野仁王門筋中町 中野孫二(ママ)郎

   京 五条橋通     福森兵左衛門

の刊記をもつもの、たとえば『日本名著全集、怪談名作集』に所収されるようなものが一般であるが、ほかに、同一刊記の刊行年月の下に「後(ママ)より又平仮名出し申候」と入木した版がある。日比谷図書館加賀文庫、及び哲学堂本文庫所蔵の『怪談全書』がそれである。」

 としておられるが、これは前述(84ページ)の如く、刷時は桔椶諒が早く、従って、刊年の下の十一文字は、桔椶入木したのではなく、極椶削除したものである。極椶蓮右以外に次の如く、振り仮名を改めた箇所がある(上が桔棔下が極棔法

 淳于●(シユンカンフン)→淳于●(シユンウフン)(目録甲丁オ)

 金鳳釵(キンホウケン)→金鳳釵(キンホウサ)(目録乙丁オ)

 淳于●(シユンカンフン)→淳于●(しゆんうふん)(巻一4丁オ1行目)

 淳于●(シユンカンフン)→淳于●(シユンウフン)(巻一4丁オ2行目)

 金鳳釵(キンホウケン)→金鳳釵(キンホウサ)(巻四12丁オ5行目)

 金鳳釵(キンハウケン)→金鳳釵(キンハウサ)(巻四12丁オ9行目)

 このように、極椶蓮↓桔椶琉貮瑤鯆正している訳であるが「金鳳釵(キンホウケン)」を改めていない所もあり(2個所)、これらは目録で気付いたものを改めた程度のものであり、全体的に意識的に校訂したものではないと思われる。

 

   〔三〕、享保六年版『異朝怪談故事』(改題、求版本)

 

 この版は、〔二〕元禄十一年版・極椶魑疊任靴董岼枋怪談故事』と改題したものである。従って、題簽、目録題、目録尾題、内題、尾題の全てを入木で改めている。ただ、版心及び柱刻は、元禄十一年版・極椶汎韻犬任△襦兵命拭↓14、15、16、17)。

 当時の書籍目録に「異朝怪談故事」の書名は見当たらないが、この後、〔四〕寛保二年版、〔五〕無刊記本では再び「怪談全書」の書名に改めているので、書籍目録には入らなかったものと思われる。版元の浅野弥兵衛は、屋号は藤屋、浅野氏、星文堂のことで、元禄から天保にかけて、大坂高麗橋一丁目角で活動した書肆。藤屋弥兵衛は『怪談全書』の版木を京都の福森兵左衛門から求め、「異朝怪談故事」と改題、出版したのであろう。

 

   〔四〕、寛保二年版『怪談全書』(改題、求版本)

 

 この版は、〔三〕享保六年版『異朝怪談故事』の版木を求めて、再び「怪談全書」と改題したものである。従って、題簽、目録題、目録尾題、内題、尾題の全てを入木で改めている。ただし、版心及び柱刻は、元禄十一年版・極椶汎韻犬任△襦また、第四冊目に巻四と巻五が合冊されており、これは、この書陵部本のみの製本時の合冊か否か、伝本が一本のみのため未詳である。この点は、〔五〕無刊記本(五巻四冊)と関連するようにも思える(写真、18・19・20)。

 版元の田原屋平兵衛は、抱玉軒、大坂順慶町一丁目、後に心斎橋筋塩町に移転した大坂の書肆で、元禄二年に『梁塵愚案抄』を出版している。丹波屋理兵衛は大坂久宝寺町心斎橋筋の書肆であるが、宝暦十一年頃江戸に下り、文林堂と号した。洒落本刊行上知られた本屋で、淡々系の俳人でもあった。人見姓。寛保二年八月には『大日本廿二社道中記』を出版している。前年には月行事を努めている。その蔵版目録(例えぱ、延享四年刊『時学鍼 』巻末)を見ると、

 「怪談全書 〔林道春作全五冊〕」

と記載されている。田原屋・丹波屋が『異朝怪談故事』の版木を浅野弥兵衛から求め、再び「怪談全書」の書名に復して、田原屋責任で刊行したものと思われる。

 

   〔五〕、無刊記本

 

 この版は、〔四〕寛保二年版の版木を利用しているため、ほとんど寛保二年版と同じで、五巻四冊(巻四、巻五合冊)というのも同じである。ただ、題簽は新たに彫られたもので、四冊目は、

 「〔絵入〕怪談全書 道春選 四五」

とあり、明確に四冊本となっている。

 巻五巻末の刊記の丁は削除されているが、そこに「浪花書林赤松閣蔵板目録」二丁が付されている。版元は大坂の千種屋新右衛門であると推測される(写真、21・22・23)。千種屋新右衛門について、井上和雄氏は「平瀬氏 赤松閣 宝暦―安永/大坂江戸堀三丁目 又船町とす 草野 鬼望 輔世などの号を以て自家刊本の序文を書けり」と記しておられる。(注9)

 次に、この版の刊行年について考えてみたい。ここに付された、赤松閣の蔵版目録の全文は書誌の項に掲げたが、この目録には七十点の書名がある。その内の何点かを『国書総目録』等で調べ、刊年順に掲げると次の如くである。

 

〇和歌題林抄 能因法師 二冊 宝暦七年版

〇国朝佳節録 松下見林 一冊 貞享五年版・刊年不明版

〇異称日本伝 松下見林 十五冊 元禄六年版

〇童蒙須知頭書 宇都宮由的 一冊 元禄十六年版

〇宇津山小蝶物語 (森田吟夕) 八冊 宝永三年版

〇算学初心抄 (脇野光正) 五冊 正徳五年版

〇住吉名所志 (田寺如柳) 二冊 享保二十年序

〇朝鮮人来朝記 横本 一冊 延享五年版

○絵本家賀御伽 栗可亭木端 三冊 宝暦二年版

〇山海名物図会 (平瀬徹斎) 五冊 宝暦四年版・寛政九年版・寛政十年版・寛政年間版・文政十二年版・天保十一年版・刊年不明版

〇絵本国見山 寺井重房 三冊 宝暦七年版

〇新鑑艸 (光風子) 九冊 宝暦九年版・寛政四年版・刊年不明版

〇絵本古実鑑 二冊 宝暦十三年成

〇絵本大和詞 (一冊) 明和四年成

〇出世ぢんかう記一冊 天保五年成

 

 前述の如く、井上氏は、千種屋新右衛門の活動した期間を、宝暦―安永の頃と記述しておられるが、『絵本家賀御伽』から『絵本大和詞』までが、その期間内となる。元来、求版の多い千種屋であるから、それ以外は求版という事であろうか。

 最後の『出世ぢんかう記』が『大阪出版書籍目録』に記す『出世塵功記』と同一書とすると、天保五年の成立で、やや時代が下り過ぎると思われるが、現物の所在も明らかでないので、今は保留事項としておく。

 この蔵版目録の『絵本大和詞』には「近刻出来」とあり、「怪談全書 林道春 全部五冊」は、六十八番目という、目録の終りに出されている。これらの点を考えると、この千種屋新右衛門の蔵版目録を付した、無刊記本『怪談全書』は、明和頃の刊行ではないかと推測されるが、宝暦十一年正月刊『絵本勇名草』(大本、一冊)巻末の蔵版目録三丁中にも見えるので、後考を待ちたい。千種屋への版木譲渡は、丹波屋が東下に際し、出版事務上関係深かったことによるのであろうか。

 

 以上、『怪談全書』の調査済み諸本について述べたが、未調査本については、今後、調査を重ね、さらに補訂したいと思う。

 

 

  二、『恠談』の諸本

 

 

 写本『恠談』の諸本では、現在までに三本を調査し得た。〔一〕島原市立図書館・松平文庫所蔵本、〔二〕長澤孝三氏(長澤規矩也氏旧蔵)所蔵本、〔三〕東洋大学附属図書館・哲学堂文庫所蔵本である。以下、これらの諸本の書誌を記し、考察を加えたいと思う。

 

  〔一〕島原市立図書館・松平文庫本(片仮名本)

 

所在 島原市立図書館・松平文庫 松・115/19(平成2年9月18日調査)

体裁 大本、一巻一冊、写本、袋綴じ。

表紙 極薄青色原表紙、縦二九〇ミリ×横二〇三ミリ。

題簽 左肩に書題簽「怪談」、縦一二一ミリ×横三一・五ミリ。

内題 一丁オ、本文のはじめに「恠談」。

目録題・目録尾題・尾題 無し。

匡郭 無し。一行の字の高さは、二一〇ミリ前後。

丁付 無し。

丁数 五十九丁(他に、巻頭に一丁、巻末に一丁の遊紙あり)。

行数 毎半葉十一行。

字数 一行二十二字〜二十三字。

話数 三十二話。

本文 漢字交り片仮名。振り仮名・濁点は極わずか有り。句読点無し。

挿絵 無し。

序・跋 無し。

蔵書印等 「文庫」陰刻横長方形(角丸)朱印(縦一九ミリ×横二五・五ミリ)。「尚舎源忠房」陽刻長方形子持枠灰味緑色印(縦三九ミリ×横一四ミリ)。「島原図書館/松平文庫/第4646号/昭和36年8月14日」陽刻方形朱印、数字は黒ペン(三六ミリ×三六ミリ)。「松・115/19」のラベル。

その他 乱丁・落丁無し。部分的に、同筆による補筆がある。これらは、書写の折の誤脱を、再度対校して補ったもの。

 

  〔二〕、長澤孝三氏所蔵本(平仮名本)

 

所在 長澤孝三氏(長澤規矩也氏旧蔵)(平成2年8月20日調査)

体裁 大本、二巻、一冊、写本、袋綴じ。

表紙 薄青味灰色原表紙、縦二六四ミリ×横一九八ミリ。

題簽 左肩に書題簽「恠談 上下」縦一六〇ミリ×横二七ミリ。

内題 上巻一丁オの左肩に「恠談 上下」

   上巻三丁オ一行目に「恠談上」

   下巻一丁オ一行目に「恠談下」

尾題 無し。

目録題 上巻二丁オに「恠談上之目録」「恠談下之目録」

    目録は上巻二丁目に、上下一括して次の如く記す。

   「恠談上之目録/一 詰● 天女と契りし事  二 王●人を葬て陰徳有事/三 淳于● 蟻化する事  四 呂球獺の化したる事/五 偃王 徐王の后卵を産み世継と成たる事 六 韋叔堅 犬の恠を不罹る事/七 馬頭娘 女化して蚕成たる事 八 韓朋 夫婦死して鴛鴦となりし事/九 元緒 亀の化したる事 十 欧陽● 猿化して数女并珍物奪取し事/十一 巴西侯 数多獣変化する事 十二 李● 々々蛇に訛取るゝ事/十三 ●客 薬を与て病人消事 十四 張守一 幽霊恩を報する事/十五 ●生 星の精人と契たる事 十六 潤玉 幽霊と契る事/十七 中山狼 狼の変化人に殺さるゝ事 十八 魚服 死て魚と成蘇事/恠談下之目録/一 三娘子 人化て驢馬と成たる事 二 袁氏 猿女に化たると契たる事/三 ●蜉 蟻の化たる事 四 ●陰娘 変化のもの女盗術を教事/五 張遵言犬を飼て死を免るゝ事 六 薛昭 仙女と契し事/七 郭元振 悪神を殺して生贄を止し事 八 侯元 得仙術軍を発し負ぬる事/九 頼省幹 心経の徳にて命助る事 十 玉真娘子 小女福を与へし事/十一 陰魔羅鬼 人死して化鳥に成たる事 十二 金鳳劔 死たる妻と二度契事」

目録尾題 無し。

匡郭 無し。一行の字の高さは、二〇五ミリ前後。

丁付 無し。

丁数 上巻…二十八丁(内、内題一丁、目録一丁)。

   下巻…二十七丁。   合計…五十五丁。

行数 毎半葉十三行。

字数 一行二十二字〜二十三字。

話数 三十話。「望帝」「伍子胥」の二話を収録していない。

本文 漢字交り平仮名。振り仮名を片仮名で付す。濁点・句読点は無いが、朱引、朱によ   る句読点・振り仮名がある。

挿絵 無し。

序・跋 無し。

蔵書印・識語等 「静●」陽刻方形朱印(一六ミリ×一六ミリ)。罫紙一葉に、旧蔵者・   長澤規矩也氏の次の識語がある。

「恠談 二巻一冊/撰者ヲ題セズ 通行スル所ノ怪談全書ノ内/容ニ似テ異同アルニ似、書本雅潤ナルニヨリテ収/ム、寓々返リテ怪談全書卜較ブルニ彼ニアル/望帝伍子胥ノ二条此ニナク、此ノ巴西侯三娘子薛/昭ノ三条彼ハ巻五ニ収メラレタル外、彼此大差ナシ。/怪談全書ハ元禄十一年ノ印行に係リ、此ハソノ/以前の伝抄本ナルベク、此ニハ羅山ノ作ナルヲ云ハズ/予年来考フル所全書が羅山ニ仮託/シタルモノナルコト愈然ルヲ覚ユ 昭和廿三年四月十日。(陽刻朱印「静●」)/  此本文行堂二獲タリ、     」

その他、長澤規矩也氏の『怪談全書』『恠談』『怪談録』『怪談録前集』等に関するメモ五枚が添付されている。

その他 落丁・乱丁は無いが、「望帝」「伍子胥」の二話を省略している。

 

  〔三〕東洋大学附属図書館・哲学堂文庫本(平仮名本)

 

所在 東洋大学附属図書館・哲学堂文庫 わ/8/中/22(平成2年8月9日調査)

体裁 大本、二巻、一冊、写本、袋綴じ。

表紙 原表紙は桃色に唐草模様を印刷したものであったと思われるが、大部分が剥落している。縦二六七ミリ×横一八二ミリ。

題簽 左肩に剥落の跡があり、そこに直接「恠談 壱冊」と墨書。

内題 一丁オ一行目に「恠談上」。

   三十九丁オ一行目に「恠談下」。

尾題・目録題・目録尾題 無し。(目録全体収録せず)

匡郭 四周子持枠(縦二一五ミリ×横一五五ミリ)印刷の本文用紙を使用。用紙は、毎半葉十行で罫あり。版心は最上部に黒魚尾があり、さらに、その下の丁付の部分を黒魚尾(花紋)で囲み、その下に「好古堂蔵」とある。下部は白口。

丁付 「一〜二十四、二十六〜八十」とあり、「二十五」が欠けているが、本文は正しく接続している。

丁数 上巻…三十七丁。

   下巻…四十二丁。   合計…七十九丁。

行数 毎半葉十行。

字数 一行十八字〜十九字前後。

話数 三十話。「望帝」「伍子胥」の二話を収録していない。

本文 漢字交り平仮名。振り仮名を施し、濁点はあるが、句読点は無い。

挿絵 無し。

序・跋 無し。

蔵書印等 「□藤」陽刻長方形鼠色印(縦一四ミリ×横八ミリ)。「多計廼舎所蔵」陽刻長方形朱印(縦四二ミリ×横二三ミリ)。「甫水井上氏蔵」陽刻方形朱印(二五ミリ×二五ミリ)。「円了文庫」(花紋の中に)陽刻朱印(約三八ミリ)。「御大典/記念/図書/甫水/円了/哲学堂」陽刻・陰刻混合長円形朱印(縦四〇ミリ×横二〇ミリ)。「山本氏所蔵」の墨書。「甫水井上円了蔵書/書名  /全一冊/第 冊/わ凾/第八架/中班/第廿二位/禁庫外帯出」のラベル。数字等は墨書。「東洋大学図書館/7729/昭和51年2月」のスタンプ。

その他 「望帝」「伍子胥」の二話を省略している。

 

 諸本の書誌は以上であるが、以下、三本について検討する。

 

  〔一〕、島原市立図書館・松平文庫本

 

 島原市立図書館・松平文庫は、島原藩主・松平忠房の「尚舎源忠房文庫」を核とするもので、昭和三十五年、田中道雄氏が着目した事から始まり、昭和三十六年、中村幸彦氏、今井源衛氏、島津忠夫氏、野口元大氏、松田修氏等によって『肥前島原 松平文庫目録』が作成・刊行され、世に知られるようになった。

 中村幸彦氏は、松平文庫本『恠談』に関しても、他の諸作品と共に、その概略は紹介されているが、(注10)その後、次の如く、やや詳しく述べておられる。

 「……それに先立ち、新出松平文庫の『恠談』一冊を紹介する。実は『文学』誌における紹介では、粗雑なノートを記憶によって補い、早早に書いた為に、とんでもない間違いを書いてしまったので、ここで訂正しておく必要もあっての故である。

  大本墨付一冊五十九丁。外題内題共に「恠談」とある。片仮名交り毎半葉十一行。又「尚舎源忠房」「文庫」の二印があって、寛文頃の写である。所収とその順序は次の如くである。

  望帝(「前書已有之不及再書」と注あり)、詰●、王帳(●の誤り)、伍子胥(「此亦在前書不可再書也」と注あり)、淳于●、呂球、偃王、韋叔堅、馬頭娘、韓朋、元緒、欧陽●、巴西侯、李●、●客、張守一、●生、潤玉、中山娘、魚服、三娘子、袁氏、●蜉、●隠娘、張遵言、薛昭、郭元振、侯元、頼省幹、玉真娘子、陰摩羅鬼、金鳳釵

 である。長沢先生御所蔵の写本『恠談録』と同じ所収順序で、「巴西侯」「三娘子」「薛昭」の三つが、『怪談全書』とその位置を異にしている。「望帝」「伍子胥」二条に注記があって、本文の存することは『怪談全書』に等しいが、この書と相違して、林羅山の署名はどこにも見出されない。」

 さらに、「望帝」「伍子胥」に見られる「前書」云々の注記について考察された後、「松平文庫本の如きは、最も初稿の姿を忠実に伝えるものと言える。」と記しておられる。

 

 中村氏が指摘される如く、この松平文庫本『恠談』(写真、24・25)は貴重な存在であり、この本文の位置付けを考える一つの手順として、まず、刊本『怪談全書』と比較検討してみる。

 松平文庫本『恠談』と元禄十一年版『怪談全書』とを比較してみると、項目の所収順序に一部相違があり、これに関しては、他の諸本と共に後述したいと思うが、本文の異同は以下の如くである。なお、対校の範囲は『怪談全書』の巻一とし、必要に応じて、巻二以下も加えたい。また『怪談全書』は、大阪府立中之島図書館所蔵本を使用し、従って丁付も同本に拠って示す。

1、『怪談全書』が漢字のもの……24

  クタ―下(クダ) ナリ―也(ナリ)(5) アル―或(アル) ソクハク―若干 カへ―帰(カヘ) コレ―是 ツヰ―終 ムコ―婿(ムコ)(2) スミヤカ―急 ウキクサ―浮萍(ウキクサ) フルキ―古(フルキ) ハケ―化(バケ) イタタキ―戴(イタヾキ) チカ―誓 フキ―吹 ウタヽネ―仮寐(カリネ) コト―如(2) ワカキ―若(ワカキ)

2、『怪談全書』が仮名のもの……78

時―トキ(3) 皆―ミナ(5) 是―コレ(4) 来―キタ ●―コト(4) 問―トヒ 彼―カノ 赤―アカ 出―イテ・イダ(3) 生―ウメ(2) 同―オナシ 明―アケ 故―ユへ(2) 衣―キ 去―サ 前―マへ 其―ソノ(2) 此―コノ(5) ●―カホ 奇特―キトク 今―イマ 処―トコロ 昔―ムカ 憂―ウレヒ 聞―キヽ(3) 語―力夕(2) 救―スク 甚―ハナハ 又―マタ 飛―トピ 留―卜ヾ 上―ノボ 織―ヲル 顧―カヘリミ 弥―イヨ/\ 落―ヲチ 怒―イカリ 及―ヲヨ(2) 物―モノ 見―ミ 等―ラ 若―モシ 所―トコロ 斗―ハカリ 殺―コロ 知―シラ 殊―コト 洗―アラ 長―ナガ 食―クラ 必―カナラ 者―モノ 養―ヤシナヒ

24対78と『怪談全書』が仮名のものが多い。これは、出版するにあたって、漢字には振り仮名を付け、漢字を仮名に改めて、より読みやすい本文にしたものと考えられる。

3.『恠談』に無いもの……5

 冠キタル―冠ヲキタル人 上ル―天ニノボル 時―時ニ 煮ニハ―亀ヲ煮ルニハ 往来―往来(ユキキ)スルコト

 これらは、『恠談』のやや説明不足の文章を、『怪談全書』が理解しやすく補足したものと思われる。

4.『怪談全書』に無いもの

 この項に関しては、巻一から巻五までの範囲とし、その中で、10字以上のものを掲げると次の如くである。〔 〕の中が『怪談全書』に無い部分。

ヾ二の1丁ウ・7行目

 一人ノ女門ヲ出テコレヲ招(マネ)ク。〔李●馬ヨリ下テ入ル香キ風ノ吹ヲ聞ク尋常ノニホヒニアラス〕李●已(ママ)が人馬ヲ安邑里ニ遣テ宿(シユク)セシム。

巻二の5丁ウ・3行目

 襟(モスソ)スデニタルレバ〔引アクシハラクアテ(ママ)又〕引(ヒク)者アリ。

4二の12丁ウ・8行目

 狼コレヲ〔オフ半日余リオヒマハレトモ先生足早ク力強クコレヲ〕禦(フセ)ク

ご三の2丁ウ・1行目

 是〔ヲ見レハ〕必ズ滅(ホロボ)スソノ験(シルシ)イチジルシ。〔是ヲ借スヘシヒソカニ〕是ヲ以テ示(シメサ)バ彼(カノ)邪鬼(シヤキ)カナラズ滅(メツ)セント云フ。

ゴ三の7丁オ・9行目

 其刃(ヤイバ)ノ鋭(トキ)コト毛(ケ)ヲ吹カケテモ斬(キル)ベシ。〔先ノ二人ノ女ヲシテ我ニ木ニ上ルコトヲ教シム身ノ軽キコト風ノ如クナルコトヲ覚フ一年過テ猿ヲサス百ニ一モ違ハス後ニ虎豹ヲ剌(ママ)其頭ヲトリテ帰ル三年後ニ鷹ヲ剌(ママ)シ隼ヲ剌(ママ)ニアタラスト云フコトナシ 数年過テ〕二人ノ女ヲトヾメテ

Υ五の2丁ウ・6行目

 此日〔佗ノ旅客ナシ三娘子夜深ニ至ルマテ懇ニシテ所望ハ何●ソト問フ〕季和答(コタヘ)テ

Т五の23丁ウ・8行目

 コレヨリ〔先此所ヲトホル旅人ノ金玉絹帛多ク紛失スルコトアリ皆巴西侯カ奪取タルナリ是ヨリ後〕ソノ憂(ウレイ)ナシ

 ,27字であるが、『恠談』の17丁ウを見ると、4行目の行末に「李●」とあり、6行目の行の頭に「李●」とある。このような関係から『怪談全書』は、4行目より6行目に目移りして、その間の5行目を脱落させてしまったのではあるまいか。

 △10字で、「引」の字が三か所、連続して使用されているため、『怪談全書』は『恠談』の「引アク」から「引モノ」に目移りしたものと思われる。

 は24字。『恠談』26丁オの6行目と7行目に隣り合わせで、「コレヲ」があるところから、目移りによって1行分を脱落させたものと思われる。

 い11字であるが、これも『恠談』33丁ウ11行目で「是ヲ」が重ねて使われているところから、目移りによって生じた脱落と思われる。

 イ94字、約4行分の脱落である。『恠談』37丁ウ11行目から38丁オの4行目にかけてのもの。おそらく、「二人ノ女」が重出するために生じた大量脱落と思われるが、『怪談全書』の本文作りが、かなり機械的である事を裏付けている。

 Δ29字で、『恠談』31丁ウの3行目であるが、特に目移りするような状態ではない。しかし、『怪談全書』の文章が不自然なものであることは、他の諸例と同様で、やはり脱落であろう。

 Г39字で、『恠談』16丁ウの9行目〜11行目である。「コレヨリ先」「是ヨリ後」が、脱落部分の前と後にあるところから生じたものと思われる。ただ、『怪談全書』では、巻五の12丁(丁付は「十三」)ウと、本文の最終丁であり、この2行弱が加わると1丁増になってしまう。そのような関係から、意識的に省略した可能性もある。

 以上、『怪談全書』に無いものを掲出して検討したが、この他にも、『恠談』13丁ウ1行目「アツキヲモ知ス」、27丁ウ9行目「縛リ」、28丁ウ11行目「衣ヲヌイテ」、29丁オ1行目「魚ノ頭アリテ」、29丁ウ2行目「人ノ」、39丁ウ6行目「一ツノ紅色」等のものがあり、これらは、いずれも『怪談全書』の脱落と思われる。また、これらの脱落が『恠談』において、隣り合わせの行による目移りや、各丁の1行目、11行目など、つまり、その丁の両端に多く生じている点などを考えると、『怪談全書』の本文は『恠談』から得たという可能性もあると思われる。

 以上、『恠談』と『怪談全書』の本文を比較してみたが、『怪談全書』は全体的に仮名書きが多く、漢字表記の場合も振り仮名を付している。これらは、出版するに際して、より読みやすい本文にするという配慮からであると思われる。また『怪談全書』は『恠談』の文章のやや説明不足と思われる部分を補ったものも、わずかに見られるが、反面、『怪談全書』の脱落は非常に多く、その大部分が、機械的な誤脱と思われ、本文としては劣ったものになっている。また、これらの異同関係を総合して考えると、前述の如く、『怪談全書』は、『恠談』を使用して本文を作った可能性がある。ただ、この点に関しては、他の諸写本との関連も含めて考えたいと思う。

 

 次に『恠談』本文中の補筆、補訂部分について整理しておく。

 〔 〕の中が補筆部分で、その内「・」を付したものが補訂を示す。

(HTML版注。今は網目をかける)

5丁オ6行目 数ヲ〔シ〕ラス

5丁オ9行目 一ツノ穴ワタカマリ〔マカリ〕テ

10丁オ2行目 亀ヲ煮ル〔トキヤカテタヾレテ烹殺サル是ニヨツテ煮〕ニハ

11丁ウ11行目 約束〔シ速ニ(ママ)〕ニカヘラシム

12丁オ8行目 ●ニ〔云〕聞ス

12丁ウ7行目 諸女〔其〕手を引テ

12丁ウ10行目 其〔四〕足床ニツナカレタリ

13丁ウ5行目 常に果ヲ食ヒ〔尤〕犬を食フコトヲ好ム

15丁オ6行目 白額位〔侯〕ハ

15丁オ7行目 〔マ〕タラナル衣ヲ着ル

19丁オ4行目 春緒紀(ママ)〔聞〕ニ見ヘタリ

20丁ウ2行目 書ヲヨ〔ム〕時

21丁オ5行目 シハラ〔ク〕アテ

21丁オ7行目 ムシロヤ〔カ〕ヽヤクハカリ

22丁ウ1行目 急キ三子〔ヲヨフ三子〕ユカントスル時

22丁ウ1行目 イフ●ナヤ〔カ〕レ

22丁ウ3行目 三子到ル〔●生其サカシクナリタルヲ見テ汝等山ニアリテ物ノケ〕ニツキタルナラン

22丁ウ4行目 三子不〔答〕又卜へトモ

22丁ウ11行目 何故ソヤ〔卜〕問フ時ニ

23丁ウ2行目 今此〔天〕機ヲモラセリ

23丁オ6行目 我〔言ヲ用ヒスシテ〕人ニカタリモラセルヤ

23丁オ11行目 ツヰニ三〔世〕将相タリ

24丁オ3行目 張女郎ヲトフラ〔フ〕

25丁ウ2行目 ●〔嚢(フクロ)〕

26丁ウ8行目 我ヲキリソ〔コ〕ナフ

28丁オ10行目 慈悲ナリト云ヘトモ大ナル〔愚ナリ〕卜云テ

29丁ウ1行目 来テ申サ〔ク〕

29丁ウ2行目 攜行〔ク門〕二入レハ

29丁ウ8行目 ト云ヘトモ〔士〕良敢テ聞ス

30丁オ7行目 板橋〔店〕卜云所

33丁オ7行目 〔マ〕見ユ

35丁オ7行目 此猿ヲ養〔フ〕

36丁オ6行目 学〔テ〕白髪ニ至レトモ

36丁ウ6行目 位〔ヲ〕贈リ

39丁オ8行目 疑フコトナカレト〔イフ〕

43丁ウ2行目 〔酒〕宴ニアツカルヘキモノ

45丁ウ1行目 詩ツナ〔ク〕リテ

45丁ウ3行目 時〔々〕玄宗

46丁ウ4行目 雲容〔出〕テ

47丁ウ10行目 タノモシケニ云〔フ〕

49丁オ5行目 公卜女子トノイ〔キ〕テアルヲ見テ

49丁ウ2行目 患アル〔モ〕ノヲハスクフ

54丁オ8行目 西城〔ノ〕沙門

54丁ウ1行目 沙門〔忽〕倒伏テオキアカラス

 以上の通りであるが、これらの補筆・補訂は本文と同筆と判断される。この本文の書写者は、一度書写し終った後、再度、原本と対校し、誤りを正したものと思われる。なお、書写段階での誤写と思えるものも、かなりあるが、

 例 ●円→●国、王帳→王●、クワシキク→クワシク、彼フクロ→皮フクロ、彼→波、多リ→多ク、日ヲ強テ→日ヲ経テ……

前述の異同等を考え合わせる場合、『怪談全書』よりも早い本文である事は、十分認めてよいと思われる。また、中村幸彦氏の述べられる如く、初稿の姿を伝える本文である事も、一応納得のゆくものと思う。

 

  〔二〕、長澤孝三氏所蔵本

 

 長澤孝三氏所蔵本(長澤規矩也氏旧蔵)は平仮名本である(写真、26・27・28・29)。

 本書の旧蔵者、長澤規矩也氏は次の如く述べておられる。

「恠 談

林羅山の著述として怪談というものがあるといわれている。羅山の著述目録の中に見えるのであるが、戦後予が入手した同名の写本は寛永ごろの書写にかかり、平がなまじり、全二巻、大一冊、私が見た怪談の訳本中では最古のものであり、通行の怪談全書とほぼ同じ内容を有する。詳しく比較すると、怪談全書巻一にある望帝・伍子胥の二条がこの本になく、また巻五の三娘子・薛昭・巴西侯がこの本では巻下一・下六・上十一に分散している以外は、巻一・二がこの本の巻上、巻三・四がこの本の巻下に順序をおつて収録され、片かな平かなの差、かな漢字の差(どちらかに一定しない)、動詞の活用語尾の表示の有無の差以外これという差がない。

さて、この恠談にない二項は、刊本怪談全書では各題下に注があつて、 

 望帝 わり注に 前書已有之不及再書

 伍子胥 同右 此亦有前書不可再書也

としるされている。すると、前書とはなにかということになる。すなわち、通行本怪談全書はなにか同類の書物の後篇であり、家蔵の写本は重複を削つた定稿本系統であることになる。しかるに、この写本の恠談には、羅山の羅の字もなく、全くの無署名で、この本の著者は、直ちに羅山ということはできない。」

 

長澤氏は、本書を寛永頃の書写とされ、刊本『怪談全書』との本文異同に言及され、片仮名・平仮名の差、漢字・仮名の差、動詞の活用語尾の表示の有無の差以外、特に差はないとしておられる。

 ここでは、寛文頃の写本とされている、松平文庫本『恠談』(片仮名本)と本書・長澤本『恠談』(平仮名本)の本文を比較して、両者の関連を考えてみたい。(範囲は『怪談全書』巻一とし、必要に応じ、巻二以下も加える。)

1、松平本が漢字のもの……357

  也―なり(2) 云―いひ(2) 云―いふ(3) 云―いへ(2) 云―い(33) 我―われ(4) 我―わか(2) 我―わ(2) 相―あひ 別―わかれ 別―わけ 是―これ(10) 其―その(13) 方―かた(3) 伝―つた(2) 間―あいた 甚―はなハた(3) 甚―はなハ(2) 与―あた 思―おも 思―おもひ 彼―かの(10) 彼―か 残―のこ 到―いた(2) 宿―屋と 井―ならひ 帰―かへ 夢―ゆめ 車―くるま 本―もと(3) 者―もの(6)……以下省略

2、長澤本が漢字のもの……71

カリ―狩 ナル―成 ナリ―成(5) トリ―取 アリ―有(6) アル―有 コレ―是(9) タチマチ―忽(チ) ノリ―乗(3) キヽ―聞(2) ナリ―也(9) ミ―見 夕テマツ―奉 コト―事 コト―● シカ―然 ホト―程 ユキ―行 クサ―草 ハナ―放 チキリ―契 卜キ―時(6) コロ―殺(2) トコロ―所(3) カナ―悲 キリ―切 コヽ―爰(4) ツネ―常 スナハチ―則 トル―取 スキ―過 カへ―帰

 1、2、の漢字・仮名の異同をみると、357対71と、長澤本の方が仮名表記が五倍強である。中には、●―かたち、発―おこし、如何―いかん、弥―いよ/\(2)、攜―たつさへ、●―とさし、の如く、ややむずかしいものも含まれており、長澤本には、より読み易い本文にしようとする態度が見られる。

3、松平本に無いもの……5(傍線部分)

 となりて 何の所へ 見えたり 久しき これによつて亀を烹

4、長澤本に無いもの……17(傍線部分)

 北朝ノハシメハ北魏ナリ北 代々魏中ニ入ル 行儀ヲ 引キ申ス(2) 生メル トコロノ 東平卜云フ 一人ノ老女 老女ヲ射ル 一人ノ老母 云フ 父怒テ 彼女ヲ巻テ 薪ヲ 者アルニハ

 3、4、いずれも、誤脱に近いものであるが、5対17で、長澤本の方が多い。なお、長澤本には、巻三「張遵言」中に約1行の脱落がある(長澤本、下巻11丁オ・8行目)。松平本では41丁ウになるが、その3・4行目は次の如くなっている。

   是捷飛也君今災難ニカヽリテ死スヘシ我ステニ君

   ノ恩ヲウケタル●四ケ年其情フカシ君ヲスクハンタ

 この字詰の状態からすると、3行目の「今」から4行目の「四ケ年」に目移りしたとも考えられ、従って、長澤本は松平本を写した可能性もあるが、他の異同と共に総合的に考える必要がある。

5、その他のもの(上が松平本)

  ●―事(5) 即―則(10) 坐―座 処―所 薪―焼木 歓―悦 ヲホシクテ―おほしくて 見ヘタリ―見えたり ハヒデ―はいて

  これらは、字体や仮名遣いの異同であるが、長澤本の方が、やや一般的な用字と言えるかも知れない。

6、松平本『恠談』の項で示した、『怪談全書』の誤脱部分(96ページ以下の 銑А砲砲弔い董長澤本を見ると、松平本と同様の文章になっていて、脱落は『怪談全書』のみである。

 

 次に、長澤本『恠談』の補筆・補訂について掲げる。〔 〕の中が補筆部分で、補訂のものには「・」を付した。

(HTML版注。今は網目をかける)

  上巻

  6丁ウ3行目 菱を〔取〕女あり

  7丁オ3行目 偃王となつて〔く〕

  8丁ウ2行目 父母〔を〕顧て

  8丁ウ9行目 康王を〔朱で「を」を消す〕これを奪とる

  12丁オ11行目 引具してい〔つ〕る

  14丁ウ9行目 巴西侯と〔も〕また

  16丁ウ11行目 此にすまい〔ゐ〕す

  17丁ウ4行目 其衾をかけて〔ミれハ〕水たまりて

  23丁ウ7行目 指環(シクハン)を小女〔に〕をくる

  24丁オ13行目 先生に向て〔曰〕

  27丁オ4行目 しきり〔ニ〕呼とも答す

  28丁オ6行目 我〔を〕まな板のうへにおく

  下巻

  1丁オ13行目 已〔亥ィ〕の刻はかり

  1丁ウ12行目 客〔ニ〕食しむ

  2丁オ1行目 同時に地〔ニ〕たふれて

  2丁オ3行目 諸客〔の〕財宝を

  3丁ウ9行目 また人に嫁せすと答〔い〕ふ

  8丁オ8行目 羊角の匕頸〔左に「劔の名」と注す〕をさつく

  9丁オ12行目 白黒の衛二枚ある〔を〕見る

  10丁ウ1行目 往来する〔を見し〕人あり

  11丁ウ6行目 夜刃〔「刃」を下の余白に「叉」と正す〕

  11丁ウ10行目 遵言をにし〔ら〕む

  12丁ウ13行目 王いひ〔はく〕

  13丁オ4行目 戯けれ〔ハ〕其女怒て

  16丁オ12行目 若しから〔され〕ハ

  18丁オ5行目 但懸〔「懸」を下の余白に「県」と正す〕吏に

  20丁オ11行目 皷を〔打〕行列をとゝのへ

  23丁ウ4行目 廊下へ〔しィ〕のひて

  25丁オ8行目 我〔ハ〕深閨にすむ

  26丁ウ6行目 人を惑(マトハス)〔「感」を下の余白に「惑」と正す〕

  これらの補筆・補訂は、本文と同筆と思われ、本文の書写者は、一度書写し終った後、再び原本と対校して誤りを正したものと思われる。ただ、下巻、1丁オ13行目、23丁ウ4行目の補訂は、異本と対校したことを思わせる。

  下巻、1丁オ13行目は、

   已(亥イ)の刻はかり皆つかれて臥り

  とあり、この部分の諸本は次の如くなっている。

  長澤本『恠談』……………已の刻

  松平本『恠談』……………已ノ刻

  東洋大本『恠談』…………已ノ刻

  長澤本『怪談録』…………已ノ刻

  東洋大本『怪談録』………已ノ刻

  天理本『奇異怪談抄』……亥(ゐ)の刻(コク)

  刊本『怪談全書』…………亥ノ刻(コク)

  刊本『怪談録前集』………丑(ウシ)の刻(コク)

 下巻、23丁オ4行目は、

  崔恐て廊下へ(しイ)のひてうかゝへハ

とあり、この部分の諸本は次の如くなっている。

 長澤本『恠談』……………廊下へ(しイ)のひて

 松平本『恠談』……………廊下ヘノイテ

 東洋大本『恠談』…………廊下(らうか)へのいて

 長澤本『怪談録』…………廊下ヘノイテ

 東洋大本『怪談録』………廊下ニノイテ

 天理本『奇異怪談抄』…(落丁)

 刊本『怪談全書』…………廊下(ラウカ)へ。ノイテ

 刊本『怪談録前集』………廊下(ラウカ)へ退(シリゾキ)て

この二か所の異同から考えると、長澤本『恠談』は原本を書写した後、再度対校し、誤脱を正し、補訂を加え、さらに異本と対校しているものと推測される。1丁オ13行目は、夜の就寝の時間であるので、巳の刻では不自然である。23丁オ4行目は、廊下に退いて、か、忍びて、かの違いである。長澤本『恠談』が対校した異本とは、天理本『奇異怪談抄』か、その系統の本文であると思われるが、データが少ないので、今後、さらに調査・検討したいと思う。

 なお、この他、朱筆の加筆があるが、後人のものと思うので省略した。

 以上の諸点を考え合わせると、長澤本は松平本と同系統の本文という事が出来る。長澤本には脱落がやや多いが、書写の後、再度対校して誤脱を正したり、わずかではあるが、異本との校合も行っており、校訂的態度が認められる。巻頭の目録には、題目の下に「天女と契りし事」「人を葬て陰徳有事」等、内容が解る副題も付している。おそらく、松平本も長澤本も同じ原本から書写したものであろう。ただ、その書写の際、一方は原本と同様に片仮名交じりとし、一方は平仮名交じりに改め、漢字を仮名に改めて、読み易くしたのではないかと思われる。

 

 次に、本書が「望帝」「伍子胥」の二話を収録していない点について考える。

 この二話について、諸本を整理すると次の如くである。

  望帝

  長澤本『恠談』……………(題名・本文ナシ)

  松平本『恠談』……………望帝 前書已有之不及再書

  東洋大本『恠談』…………(題名・本文ナシ)

  長澤本『怪談録』…………(題名ナシ)

  東洋大本『怪談録』………●霊

  天理本『奇異怪談抄』……望帝(ぼうてい)

  刊本『怪談全書』…………望帝(バウテイ) 前書已有之/不及再書

  刊本『怪談録前集』………望帝

  伍子胥

  長澤本『恠談』……………(題名・本文ナシ)

  松平本『恠談』……………伍子胥 此亦在前書不可再書也

  東洋大本『恠談』…………(題名・本文ナシ)

  長澤本『怪談録』…………伍子胥

  東洋大本『怪談録』………伍子胥

  天理本『奇異怪談抄』……伍子胥(ゴシシヨ)

  刊本『怪談全書』…………伍子胥(コシシヨ) 此亦有前香/不可再書也

  刊本『怪談録前集』………伍子胥

 長澤規矩也氏は、早くから『怪談全書』『恠談』の編著者が林羅山であるという点に疑問を持たれ、諸論を発表してこられた。これに対し、中村幸彦氏は、昭和三十八年「林羅山の翻訳文学―『化女集』『狐媚鈔』を主として―」(注13)を発表、松平文庫の二作品に関して論じられた後、『恠談』『怪談全書』は羅山の編著である可能性が大きい事を主張された。その論文の中で、中村氏は次の如く述べておられる。やや長文であるが引用させて頂く。

 「さて著者の問題に「望帝」ら二条に見える、「前書」云々の注記から入ってゆこう。松平文庫本及び『怪談全書』は、再書するなと注しながら、本文はある。長沢先生御所蔵の『恠談』にはこの二条は欠けている。この二条を持つ天理図書館蔵の『奇異怪談抄』と名づける一異本は注記がない。これらをもって考えて見るに、この注記は、一旦原稿を作成して、浄書再書させる時のものであることは明らかである。よって、編著者は、初めこの二条を書いた。そして「前書」なるものに、同じものを収めたことに気づいたので自ら注記した。従って、その後に写本をしたものは、一に注記をもそのままに本文を存して写すものがある。松平文庫本や『怪談全書』の姿である。二に注記に従って本文を略すものがある。長沢先生の『恠談』の如き姿をとるものである。三に『奇異怪談抄』の場合は、注記以前の姿と一応思われるが、そうではなかろう。本文を写しさえすれぱ何の用もない注記を削ったものと考えておこう。とすれば松平文庫本の如きは、最も初稿の姿を忠実に伝えるものと言える。実は「前書」云々の注記は『狐媚鈔』にも存するのである。同書の「上官翼」の見出しの下に「前書有之不及再書」、「李令緒」の見出しの下にも「不及清書之」と注記する。忠実な松平文庫本の筆者達は、全く同文庫の『恠談』の場合同様、注記をしたままに本文を写したのである。『狐媚鈔』が羅山の著で、かかる現象があるとすれぱ、同じような注記を認める『恠談』も、羅山の著たる可能性が濃くなってくる。しからば、それらの「前書」とは、如何なる書であろうか。筆者は長沢先生の論文中に(『文学論叢』)紹介された、『幽霊之事』なる一書を、それに相当させようと思う。地遠隔であって、拝見の機を得ずに本稿を執筆するのであるが、寛永に近いその写本は、同じく怪奇の説話二十条の集で、中に「鼈令(『太平広記』)」「伍子胥(東坡詩注、『方輿勝覧』)の二条がある。鼈令は、『怪談全書』や『恠談』の「望帝」の条にも冒頭にその名の見える人物である。この条は望帝と同内容と考えてよい。「伍子胥」は『怪談全書』でも『方輿勝覧』を引用書にしている。ただし長沢先生は「題材には怪談全書や後述の奇異雑談集と同一典拠のものが見えるが、その内容は同一文章ではない」と断って居られる。しかし、見来ったような徳川時代初期の内容本位の翻訳態度の下においては、話の内容さえ同じならば、それを「前書已有之」と称したとしても支障ないであろう。」

 長澤本『恠談』が「望帝」「伍子胥」の二話を省略した経緯についての、右の中村氏の推測は、現時点では一応納得のゆく説であり、これに対して特に異論は無い。太刀川清氏は、『恠談』各話の翻訳態度が必ずしも一様でない事を指摘され、訳者と編者を別人と推測、門下生が訳したものを羅山が編集したのではないか、という説を提出しておられる。(注14)また、『幽霊之事』に関しては冨土昭雄氏によって、その翻刻と詳細な出典考証がなされている。これらの研究成果を踏まえて、さらに調査を重ね考察を深めてゆきたい。

 

  〔三〕、東洋大学所蔵本

 

 東洋大学附属図書館・哲学堂文庫本の『恠談』(写真、30、31)は、平仮名本であり、「望帝」「伍子胥」の二話を省略しているので、長澤本『恠談』と近い関係にある本文であると言うことが出来る。この写本は、近世後期の書写と思われる(「好古堂蔵」の本文用紙を使用)が、長澤本『恠談』の写しではないと思う。長澤本『恠談』には、前述(100ページ)の如く、下巻11丁オ・8行目に約1行分の脱落が見られるが、東洋大本『恠談』53丁(「五十四」とある)ウ・6行目に、

 「災難(さいなん)にかゝりて死(しす)へし我すでに君の恩をうける事」

と有るからである。以上の諸点から、東洋大本『恠談』の位置付けは可能であるが、念のため、長澤本の本文と比較した結果を示すと次の如くである。(範囲は『怪談全書』巻一)

1、長澤本が漢字のもの……71

  約束―約そく 時―とき(2) 見―ミ(16) 是―これ(6) 其―その(6) 也―なり(2) 有―あり(4) 云―いふ(6) 間―あひた 夢―ゆめ 内―うち 程―ほと 方―かた 船―ふね 又―また 取―とる 契―ちきり 皮―かは 桑―くハ(2) 葉―は 付―つけ 相―あひ 墳―つか 亀―かめ(3) 共―とも 烹―にる(2) 今―いま 此―この 絹―きぬ 遇―あひ 尤―もつとも 懇―ねんころ

2、東洋大本が漠字のもの……25

  かへ―帰(2) なる―成 あり―有 その―其(4) しかれ―然 かならす―必 たき―焼 とき―時 いひ―云(2) へ―経 ほか―外 たか―高 ころ―殺(2) さき―前 まね―招 これ―是 こと―事(3)

3、長澤本に無いもの……10(傍線部分)

  北朝のはしめハ北魏なり北魏代々 東平といふ所の 徐国の王の宮女 一人の老母 尋ねて かの女を巻て 一所に埋れん事をねがふ その久しきものは 血の出る事 血を吸て

4、東洋大本に無いもの……11(傍線部分)

  かの槐樹 故に 年わかき時 馳ていつ うたがはしきながらも 木をあミつらねて 女数十人 女たがひに相見て 盗ミ取 色おとろふる時は 武帝兵をもつて

5、その他のもの……15(上が長澤本)

  座―坐 体―躰 ●―事 焼木―薪 赴―趣 下におき―下にをき さしおく―さしをく おのれが―をのれが うはおそひ―うはをそひ いふ事―ゆふ事 ゑらひ―えらひ よりて―よつて 歎く―歎て この鳥は―これ鳥は うつぷせたる故―うつぶせる故

 以上であるが、これらの異同について、特に述べる必要はないと思う。要するに、東洋大本『恠談』は、仮名表記が多く、また、全体に平仮名の振り仮名が多い(長澤本は片仮名)本文である。

 ただ、この東洋大本『恠談』によって、重要な事が一つ明らかになった。右の異同を総合的に考える時、「望帝」「伍子胥」を省略する本文は、長澤本『恠談』以前に、原写本の如きものが存在し、それから、長澤本、東洋大本が別々に書写した可能性がある事である。この点に関しても、今後、さらに調査を重ね、考えを深めたい。

 

 

  三、『怪談録』の諸本

 

 

 長澤孝三氏(長澤規矩也氏旧蔵)所蔵本(平成2年8月20日調査)

 

体裁 大本、上下、二巻二冊、写本、袋綴じ。

表紙 藍色原表紙、縦二六六ミリ×横一九三ミリ(上巻)。

題簽 左肩に書題簽、「怪談録 上」、縦一六五ミリ×横三七ミリ。

   下巻は、左肩に剥落の跡のみ。

内題 上巻一丁オ、本文のはじめに「怪談録上」とあり、次の行の下に「林民部卿道春編」とある。

   下巻一丁オ、本文のはじめに「怪談録下」とある。

目録題・目録尾題・尾題 無し。

匡郭 無し。一行の字の高さは、二〇八ミリ前後。

丁付 無し。

丁数 上巻 一〇四丁(他に巻頭、巻末に各一丁の遊紙あり)。

   下巻  六九丁(他に巻頭、巻末に各一丁の遊紙あり)。

   合計一七三丁。

行数 毎半葉八行。

字数 上巻、一行十八字。下巻、一行十九字。

話数 上巻 三十二話。(第一話は題名なし)

  (●霊)、詰● 柘音蔗跋音撥詰音吉、王●、伍子胥、淳于●、呂球、偃王、韋叔堅、馬頭娘、韓朋、元緒、欧陽●、巴西侯、李●、●客、張守一、●生、潤玉、中山娘、魚服、三娘子、袁氏、●蜉 蟻ノコト也、●隠娘、張遵言、薛昭、郭元振、侯元、頼省幹、玉真娘子、陰摩羅鬼、金鳳釵

   下巻 二十五話。

   王度、章乙、張彦、呂生、何文、盧処、崔玄微、素娥、韋滂、李楚●、許彦、偃師、真々、安陽書生、●正彦、陳才輔、七星橋、趙善弌、呉甲、王翁、張四、安氏女、王良肱、関西老婆、葉司法妻

   合計 五十七話。

本文 漢字交り片仮名。振り仮名・濁点は極わずか有り。句読点無し。

挿絵 無し。

序  無し。上巻一丁オに「林民部卿道春編」とあり。

奥書 下巻、六九丁(最終丁)ウに、

   「右一冊者堀田加賀守正盛承 台命使余抄出焉

     慶安二巳丑(ママ)季二月日 林道春作之」

蔵書印等 下巻1丁オ、内題の右上に白紙貼付(縦五〇ミリ×横九ミリ)、「六十九合百六十五」と墨書。

 

 長澤本『怪談録』(写真、32、33、34、35)の旧蔵者、長澤規矩也氏は、次の如く記しておられる。

 「 写本怪談録

 家蔵の写本怪談録は大二冊、上下二巻に分かれ、題簽も怪談録(下冊は近ごろ佚した)とある。序文はなく、本文は片かなまじり、巻頭に「怪談録上」の一行があり、次行に「林民部卿道春編」とあり、下冊の末に、

   右一冊者堀田加賀守正盛承 台命使余抄

   出焉慶安二巳丑(ママ)季二月日 林道春作之

 の奥書がある。

 本書の内容についていえぱ、上冊は刊本怪談全書の巻五の三篇が怪談全書の巻一至三の各巻末に当たるところに分散されているほかは、すべて全書と同じ順序となつている。下冊の内容はつぎのごとくである。(中略)

 この奥書には疑問がある。羅山が民部卿法印に叙せられたのは早いことであるが、羅山みずから「林民部卿道春」と署名するとは考えられない。しかも羅山は、明暦三年春に七十五歳の高齢で没し、慶安二年は六十七歳の老病の時代にあたり、堀田正盛が将軍徳川家光に殉死した前前年にあたる。奥書をそのまま信ずれば、本書は道春が慶安二年に作つたことになるが、それでは、上述の寛永ごろの写本の恠談がありうるはずがなくなる。「作之」を書写したとは説けまい。「抄出」とあれぱ、もつと内容が多い原稿の中から本書の内容だけを抄出した、抜萃したことになるが、本書以前の写本である恠談などは本書よりも内容がかえつて少ない。「抄出」を「抄書」の誤写であるとも説けないことはないが、そうすると、なおさら慶安二年の著作となつて、恠談が現存することと矛盾する。よつて、わたくしは、巻首第二行の署名および奥書は後人のしわざであろうと推定する。

 出典についていえぱ、玉堂閑話・北夢瑣言・酉陽雑俎などはともかく、宣室志などは太平広記所収のもので、別に太平広記としるしてあるものと矛盾し、学者のしわざらしくない。」

 「この家蔵写本怪談録は、筆跡から見て羅山の自筆ではないが、紙質から見ても、片仮名交りの書体からいつても、かなり早いもので、寛文(一六六一―七三)までには降らず、吉田幸一氏は慶安を去ること遠くなからうといはれる。(注17)」

 

 長澤本『怪談録』は上下二巻に分かれ、上巻に松平本『恠談』と同様の内容の三十二話を収め、下巻には別内容の二十五話を収めている。長澤氏は、巻頭の署名や奥書の記述に関して疑問であるとされ、これらは羅山自身が書いたものではなく、後人のものであろうと推定しておられる。なお、太刀川清氏は、

 「……つまり長沢本『怪談録』の上下二冊は内容から別々の成立過程をもつものであって、上冊は写本『怪談』を内容とする既存のものであり、これに新しく二四(ママ)条を内容とする下冊を加えたものである。この所為が慶安二年二月ということになり、それが果たしていうように羅山の作にかかわるものであったかどうか、散佚した下冊を見なければならないが、自らを「林民部卿道春」と署名する不自然さもあって多分後人のさかしらかと思われる。」

と記しておられるが(注18)、収録話数は、二十五話が正しく、また、下冊が散佚したとされるのも、長澤氏の文章を誤読したところから生じたもので、事実と異なる。佚したのは下巻の題簽のみである。

 本書の成立過程に関して、右の如く様々な推測が可能であるが、ここでは、まず、長澤本『怪談録』の本文を、どう位置付けるかという点から、他の本文と比較してみる。長澤本『恠談』は、前述の如く、「望帝」「伍子胥」の二話を省略しているので、松平本『恠談』と比較する。(範囲は『怪談全書』巻一)

1、長澤本『怪談録』が漢字のもの……57

  モノ―老(2) ウカ―浮(2) マミ―見 ムカ―昔 ミ―見 ホトヽキス―杜鵑 ウケ―受 コト―如(3) アタ―与(2) ツヰ―遂 フクロ―袋 ワケ―分 ワ―分 オサ―納 コレ―是(2) カタ―語 ナリ―也(5) タメ―為(2) カ―掛 ヨツ―夜 トキ―時 イタ―到 ハナツ―放 コロ―殺(2) モノ―物 ヨヒ―呼 フキ―吹 シツ―真(ママ) 力へ―復(2) ツネ―常 スナハ―即 コト―真 卜モ―●(8) コト―●(4)

2、松平本『恠談』が漢字のもの……14

  也―ナリ(3) 〆―シテ(5) 見―ミ 殺―コロ 時―トキ 是―コレ(2) 過―スキ

  漢字・仮名の異同では、57対14と、長澤本『怪談録』の方が漢字表記が圧倒的に多いが、用字としては、特別なものは見当たらない。仮名表記の多い松平本『恠談』の方が、より原初的な本文と言えるかも知れない。

3、長澤本『怪談録』に無いもの……17(傍線部分)

  望帯 前書已有之不及再書 去ル 入ル 伍子胥 此亦在前書不可再書也 曰ク イマシメテ 引キツクロヒ 童子 榻ニ坐セリ ワタカマリマカリテ 云フ(2) オノツカラ止卜云リケニサモアルヘシ 我カ 飲● ヨミオハリテ コレヲカヘシアタフ

  望帝、伍子胥の注が無い事に関しては、すでに指摘した(102ページ)が、長澤本『怪談録』は第一話の題名も無い。第一話の題名は、諸本「望帝」であるが、東洋大本『怪談録』のみ「●霊」となっている。本文の用字も、長澤本『怪談録』と東洋大本『怪談録』は「●霊」となっており、松平本『恠談』をはじめ諸本は「●令」となっている。これは、長澤本『怪談録』と松平本『恠談』の二本が、別々の原本からの書写であることを推測させるものとして注意すべきである。次に「ケニサモアルヘシ」の八字の欠文であるが、これは「韋叔堅」の条の文末であり、諸本いずれもこの文が有るので、長澤本『怪談録』の誤脱であろう。

4、松平『恠談』に無いもの……12(傍線部分)

  タヽ人 詰● 柘音蔗跋音撥詰音吉 酔タルカ 見ルモノ 云フ 云ヒ ●夢サメテ 埋メヲサム 見ヘタリ 博学大才ニシテ 嘆テ曰ク 日々ニ

 ほとんどが、松平本『恠談』の誤脱と思われるが、「詰●」の注は、長澤本『怪談録』が追加したものであろう。長澤本は「●蜉」の題名の下にも「蟻ノ●也」と注を付している。

5、その他のもの(上が松平本『恠談』)

  ●令―●霊 王帳(ママ)―王●(6) 彼(ママ)フクロ―皮袋 其君(ママ)―其霊 アタヘン―アタハン 智慮―智恵 徳陽―徳● 後ノ世ノ(ママ)―後ノ世ニ 日ヲ強テ(ママ)―日ヲ経テ 軍兵ヲトヽメ―軍兵ヲトヽノへ 険ヲ―険阻 間ヲ―間サ(ママ) 若美酒―君美酒 相待ツ―相待カ 戈―剣 木札―本(ママ)札 難ニマヌカル―難ヲマヌカル 時−●(17) ●―事 ●―● ●―事 所―処(17) 処―所 帰―●(3) 斗―計 許―計 過―● 裏―裡

  力へリ―カヱリ ミヘタリ―ミヱ(エ)タリ ソヘテ―ソヱテ カヘス―カヱス エラヒ―ヱラミ ヒラヒテ―ヒライテ ツヰニ―ツイニ(2) ヲホシクテ―オホシクテ ヤハラカ―ヤワラカ ヲト―オト ヲソフルヽ―ヲソワルヽ イツワリ―イツハリ ヲホヒカクス―オホヒカクス

  これらの異同を見ると、「鼈令―●霊」は前述のように、注意すべきであるが、その他では、松平本『恠談』に誤写がやや多いこと、長澤本『怪談録』は異体字が多いことが目に付く程度である。

  以上、両者を対校してみたが、長澤本『怪談録』は漢字表記が多いが、それらは、ごく一般的な用字であり、仮名表記の多い松平本『恠談』の方が、むしろ初稿本に近い本文と言えるかも知れない。また、両者の拠った原写本は、それぞれ別のものであった可能性が大きいと思われる。

 前述の如く、長澤本『怪談録』は上下二巻で、上巻が『恠談』と同内容になっている。上下巻とも、その筆跡から判断して同一人の書写と思われるが、上巻が十八字、下巻が十九字という字詰から考えても、別々の原本を書写して、上下二巻にまとめた可能性がある。下巻、第一丁オの内題の右上に、白紙を貼付して「六十九合百六十五」と墨書しているが、「六十九」は上巻の丁数であり、これは、「恠談」に下冊を合した折の記録とも考えられる。ただし、合計は一七三丁が現状であり、奥書は下巻の末に記されている。

 

 ◆東洋大学附属図書館・哲学堂文庫所蔵本 か/1/右/26〜27(平成2年8月9   日調査)

 

体裁 半紙本、乾坤、二巻二冊、写本、袋綴じ。

表紙 薄茶色原表紙、縦二三五ミリ×横一六〇ミリ(乾巻)。

題簽 左肩に子持枠題簽、文字は墨書「怪談録一名怪談全書乾」、「怪談録 坤」、縦一五五ミリ×横二九ミリ(乾・坤巻)。

内題 乾巻一丁オ、本文のはじめに「怪談録」とあり、次の行の下に「林民部卿道春編」とある。坤巻には無し。

目録題・目録尾題・尾題 無し。

匡郭無し。一行の字の高さは、二〇〇ミリ前後。

丁付 無し。

丁数 乾巻 二十二丁。

坤巻 三十四丁。

合計 五十六丁。

行数 毎半葉九行。

字数 一行二十六字前後。

話数 乾巻 十七話。

   坤巻 十五話。

   合計 三十二話。

本文 漢字交り片仮名。振り仮名は少しあり、濁点あり。句読点は無いが、乾巻のみ朱点あり。

挿絵 無し。

序  無し。乾巻一丁オに「林民部郷道春編」とあり。

奥書 坤巻、三十四丁オ(最終丁)ウに、

  「右冊者

   堀田加賀守正盛承  台命使余抄出焉

   慶安二己丑季二月 日  林道春作之」

その後に、別筆にて、

  「不侫為漢学生之明写之于時

   明治八年秋八月 九万居士」

蔵書印等 「円了文庫」(花紋の中に)陽刻朱印(約三八ミリ)。「甫水井上氏蔵」陽刻方形朱印(二五ミリ×二五ミリ)。「御大典/記念/図書/甫水/円了/哲学堂」陽刻・陰刻混合長円形朱印(縦四〇ミリ×横二〇ミリ)。「井上氏蔵書」の墨書。「甫水井上円了蔵書/書名  /全二冊/第一(〜二)冊/か函/第一架/右班/第廿六位/禁庫外帯出」のラベル。「東洋大学図書館/7801/昭和51年2月」のスタンプ。

 

 東洋大学・哲学堂文庫本『怪談録』(写真、36、37)は、二巻二冊で長澤本『怪談録』と同様の奥書を持つが、収録内容は長澤本の上巻に相当する三十二話のみである。東洋大本と長澤本の関係を明らかにする手掛りとして、両者の本文を比較する。(範囲は『怪談全書』の巻一)

1、長澤本が漢字のもの……8

  也―ナリ(2) 此―コノ 埋―ウヅ 余―アマ(2) 類―ルイ ●―トモ

2、東洋大本が漢字のもの……438

  ナリ―成 ナ―成 ユ―行(2) 夕ヽ―只 ユツ―譲 ノカ―遁 ウ―生 ウヤマ―敬 アハレ―憐 カハ―蓄(以下略)

8対438と東洋大本の漢字表記が圧倒的に多い。しかし、これらの用字によって、何か特別な事が明らかになる、というものではない。スペースを少なくするためや、読み易くするために、書写者が改めたものと思われる。

3、長澤本に無いもの……74(傍線部分)

 ●霊 ●霊ニユツリ 云フ(9) 云ヘ(2) 其ノ(3) 遁レテ 此ノ(4) 是レ(2) 云テ 去ル 知レズ 知ラス(3) 甚タ(3) 入ル 彼ノ(6) 諌ムレ 大ヒ 大キ 即チ(6) 着タル者一人 我国ノ南ニ南柯郡アリ 安カルへシ 暮レズ 乗テ 生メリ 偃卜名〔●ハ偃ノ字ト同シ〕 珍シカラス 実ニ左モアルベシ 国ニ 物ヲ 救フノ 俄カニ 奪ヒ 若シ(2) 深ク 能ク 負セ 編ミ 待ツ 飲ム● 四ツ足 歎ヒテ 必ス 振フ

 右の異同の大部分が送り仮名や助詞であり、内容的に特に問題になるようなものではないが、次の四か所の異同は注意すべきものと思う。

  ●霊……これは第一話の題名である。他の諸本は「望帝」となっているが、東洋大本は「●霊」としている。まず、東洋大本は原本通りに書写し、長澤本が誤脱させたと考える事が出来る。次に、原本に題名がなく、長澤本はそのまま題名を加えず、東洋大本は、書写者が判断して付加した。その時、冒頭に出る人名を採用し、用字も本文に従って「●霊」とした。この二つの推測が可能であるが、いずれにしても、この用字は、この二本の本文が、諸本の中では、近い関係にある事を示している、という点で注意しておきたい。

 ●霊ニユツリ……この部分の両本は、

長澤本……望帝位ヲユツリテ●霊ヲ宰相トシテヤカテ

東洋大本……望帝位ヲ●霊ニ譲リ頓而

となっており、他の諸本は、用字が「鼈令」とある他は長澤本と同様になっている。原本は長澤本の如くなっていたが、東洋大本が、このように改めて書写したものと思われる。これは、東洋大本の書写態度を知る上で参考になる。

 ●と名〔●ハ偃ノ字ト同シ〕……これは「●」の字についての補注であるが、東洋大本の原本は「●」の字を使っていたものと思われる。

 実ニ左モアルベシ……これは「韋叔堅」の条の文末であり、諸本いずれも、この八字があるので、これは長澤本の誤脱と思われる。なお、東洋大本は、この直前の文・27字を脱落させている。

4、東洋大本に無いもの……48(傍線部分)

  怪談録上 ユツリテ●霊ヲ宰相トシテ 詰● 柘音蔗(シヤ)跋音撥(ヘツ)詰音吉 分ケテ 一人病臥セルモノ 王●後ニ亭ノ長トナリテ行●ニタチマチ馬一疋ハセ来テ亭ノ中ニ マヨヒテ 岸ノ上 其木ノ本ニテ 我カ 契リ 治レリ 威勢 其処ノ人 知ル 行ハシム 桂陽ノ 皆オトロキ 古人ノ詞ニ恠ヲ見テアヤシマサレハ其恠オノツカラ止ト云リ 当リテ 其父ヲ 馳テ 乗リテ 馬ノ皮 蜀ノ図経 飛入リ 見ヘタリ 云フ(5) 問フ 我レ(2) 殺ス●(2) 博学大才ニシテ 苦シムル 烹レ 大同ノ年ノ末ニ 入ル 其夜事ナシ 女ノ履 来ルト云 花ノ下ニ置キ犬ヲハ林中ノ処々ニ置ヘシ時分ヲ待テ 寒ヲモ知スアツキヲモ知ス身ニ 午ノ時

  詰● 柘音蔗跋音撥詰音吉……これは長澤本の書写者の注であると思われる。

  王●後ニ亭ノ長トナリテ(下略)……この27字脱落の部分の長澤本は、6丁ウ3行目、4行目であり、次の如くなっている。

  是ヲシル人ナシ王●後ニ亭ノ長トナリテ

  行●ニタチマチ午一疋ハセ来テ亭ノ中ニ

 両者の拠った原本の字詰は未詳であるが、東洋大本は、3行目の「亭ノ」から4行目の「亭ノ」に目移りして、その間の約1行分を誤脱させてしまったものと思われる。

  古人ノ詞ニ(下略)……27字という大量の脱落であるが、諸本、いずれも、この文があるので、東洋大本の誤脱と思われる。参考のため、松平本『恠談』のこの部分を示すと、

  高位ニノホル 風俗通ト云文ニミヘタリ 古人ノ詞

  ニ恠ヲ見テアヤシマサレハ其恠オノツカラ止ト云リケ

  ニサモアルヘシ

 となっている。出典を示した後一字アキになっている。原本がそのような状態であったために生じた誤脱のように思う。

  花ノ下ニ置キ犬ヲハ(下略)……この脱落も、前の「置キ」から、後出の「置へシ」に目移りして生じたものであろう。

  東洋大本の脱落は、74対48と、数は長澤本よりも少ないが、右に見てきた如く、重要な、大量脱落が多く、その書写態度は、あまり忠実とは言えない。

  その他、用字、仮名遣いの異同等もあるが、特に取り上げる必要はないと思う。

 右の異同を全体的にながめると、東洋大本は、仮名を漢字に改め、紙数を節約しているが、それだけ初稿本から離れたものとなり、脱落も多い。巻末の識語から、明治に入ってからの写本と思われ、近代的な姿勢が伺えるようにも思える。しかし、長澤本と東洋大本の本文は、諸本の中では、かなり近い関係にあると言い得る。書名が共に「怪談録」であり、羅山の署名、奥書も同様である点から、この両本は同系統の原本に拠って書写されたものと推測される。ただ、長澤本の下巻には別内容の二十五話が収録されているのに対し、東洋大本には、それが収録されていない。三十二話収録の「怪談録」が存し、これを両者が書写し、長澤本の書写者は、その後に別本より二十五話を書写し、追加して、慶安二年の奥書を、下巻末に移したのであろうか。東洋大本は収録順序も少し異なる。長澤本で、25番目の張遵言が、20番目の魚服の次に入れられている。『怪談録』に関しては、足利学校遺蹟図書館にも一本が所蔵されており、朝倉治彦氏の調査によれぱ、五十七話を収録しているとの事であるので、長澤本と同系統の本文という事になる。今後、調査して捕訂を行いたい。

 

 

  四、『奇異怪談抄』の諸本

 

 

 『奇異怪談抄』の諸本といっても、現在、天理図書館に一本を所蔵するのみである。以下、その書誌を記し、他の類害との関連を考察したい。

 

所在 天理図書館 923/イ53(平成元年9月5日調査)

体裁 大本、四巻、一冊、写本、袋綴じ。

表紙 明るい青味灰色原表紙、縦二七九ミリ×横二〇五ミリ。

題簽 左肩に書題簽(薄代赭色)「奇異怪談上下全」縦二一九ミリ×横三八ミリ。

内題 各巻一丁オ、本文のはじめに、

   「奇異怪談抄上之上(上之下、下之上、下之下)」

目録題・目録尾題・尾題 無し。

匡郭 無し。一行の字の高さは、二一八ミリ前後。

丁付 無し。

丁数 上之上 二十七丁。

   上之下 十九丁。

   下之上 二十一丁。

   下之下 三十一丁(二十四丁落丁)。

   合計  九十八丁(実質、九十七丁)。

行数 毎半葉九行。

字数 一行十八字〜十九字。

話数 上之上 十三話。

   望帝、詰●、王●、伍子胥、淳于●、呂球、偃王、韋叔堅、馬頭娘、韓朋、元緒、欧陽●、巴西侯。

   上之下  六話。

   李●、●客、張守一、●生、潤玉、中山娘。

   下之上  五話。

   魚服、三娘子、袁氏、●蜉、●隠娘。

   下之下  八話。

   張遵言、薛昭、郭元振、侯元、頼省幹、玉真娘子、(「陰摩羅鬼」は前半欠落のため題名なし)、金鳳釵。

   合計 三十二話。

本文 漢字交り平仮名。振り仮名・濁点を施す。句読点なし。

挿絵 無し。

序  無し。

奥書 下之下、三十一丁(最終丁)ウに、

   「 右一冊故有而書之

   于時寛永廿年発未 羅山子」

蔵書印等 「天理図書館印」陽刻方形朱印(四五ミリ×四五ミり)。「寄贈/中山正善氏/昭和八年十二月十二日」陽刻長方形朱印、氏名は紫印、年月日はペン書(縦五一ミリ×横一九ミリ)。「天理図書館/昭和十年六月廿九日/83303」陽刻長円形朱印、洋数字は青印(縦二九ミリ・横四一ミリ)。「923/イ53」のラベル。

その他 下之下、二十四丁目(「玉真娘子」の後半と「陰摩羅鬼」の前半)落丁。

 

 天理図書館所蔵の『奇異怪談抄』(写真、38、39、)は四巻一冊であるが、内容は『恠談』と同様のものである。下之下の「玉真娘子」の後半と「陰摩羅鬼」の前半が欠落しているが、この部分は、松平本『恠談』で約十四行分(約三一五字)、長澤本『怪談録』で約十七行分(約三〇六字)となる。『奇異怪談抄』の一丁の字詰は、約三四〇字であるので、丁付は無いが二十四丁目にあたる丁が落丁したものと思われる。おそらく、書写段階では存したものが、綴じの段階あたりで紛失したのではないかと推測される。

 本書について、長澤規矩也氏は次の如く述べておられる。(注19)

 「  奇異怪談抄

 中村幸彦氏がかつて寛文ごろの写本であろうといわれたが、平がなまじりで、かな書き部分が比較的多く、怪談全書と順序だけ多少異なる、一冊本がある。末に奥書があつて、  右一冊故有而書之

  于時寛永廿年癸未羅山子

とある。この奥書もあやしい。「有故而」でなくて「故有而」もおかしいが、ほぽ同一内容の怪談録が慶安二年の作というのと寛永二十年の書とでは矛盾する。

 奇異怪談抄と奇異雑談集との間の書名の類似もふしぎである。

 なお「近世怪異小説」巻末の解題に、本書に玉真娘子・陰摩羅鬼の二編がないとあるのは誤りで、前者の末と後者の初とが欠けている。」

 

 『奇異怪談抄』の本文について考える場合、これまで、類書の本文を調査してきたので、いくつかの前提を設けることは可能であるが、ここでは、まず、松平文庫本『恠談』との本文の異同を示すことにする。(範囲は『怪談全書』巻一とし、必要に応じて巻二以下も加える。)

1、松平本『恠談』が漢字のもの……547

  云―いふ(11) 云―い(34) 云―いひ(11) 云―いへ(3) 云―いへり 云―いハ 時―とき(17) 是―これ(11) 一―ひと(8) 所―ところ(7) 又―また(7) 如―ごと(6) 多―おほ(7) 上―うへ(7) 其―その(7) 本―もと(6) 大―おほき(7) 者―もの(7) 即―すなハち(8) 知―し(6) 知―しら(4) 知―しれ 必―かなら(7) 復―かへ 餞―はなむけ 叢―くさむら 菌―しとね 電―いなぴかり 羅―うすもの 諌―いさむ 攜―たづさへ……(以下略)

2、『奇異怪談抄』が漢字のもの……61

  ユク―行 ユキ―行 カフ―蓄 ミ―見(4) カリ―狩(2) クルマ―車 ツヰ―終(2) シフト―舅 ソクハク―許多 タマ―給 コレ―是(6) クワ―委 キヽ―聞(2)フクロ―袋 ヤフ―破 フル―古 キ―着 ムコ―聟 コト―事(4) トキ―時(3) トコロ―所 ワカキ―若 クサ―草 ムスフ―結 コロ―殺 カマト―竈 ハリ―張 ナキ―啼 モノ―物 キリ―伐 コヽ―愛(8) マモ―守 フキ―吹 トヒラ―扉 カヘ―帰(2) トケ―解 ヲホ―覆 ヒキ―引 カホ―● スキ―過 ヨミ―読 カキ―書

 漢字・仮名の異同は、547対61と圧倒的に松平本『恠談』の方が漢字表記が多い。例示した終りのものなどは、ややむずかしい読みかと思うが、他は大部分、一般的な漢字である。『奇異怪談抄』は数少ないが、竈・●など、むずかしいものがある。しかし、この異同では省略しているが、『奇異怪談抄』の漢字には、大部分のものに振り仮名が施されているので、これも、特に問題にならないと思う。要するに、松平本『恠談』は片仮名で漢字を多用しており、漢籍の翻訳という点を考えると、やはり初稿本に近いものと思われる。

3、松平本『恠談』に無いもの……57(傍線部分、なお、振り仮名は省略した。)

  只人 よく/\ 来りて(3) 呉王きかずしていかつて 扨火をとほし いたるに 名づく(3) 名つけて ●が政のよきに なりて かたちもうるハし ゆくことあたハずそれゆへに舟を 弓をひきて 是又則ふるき獺なり 女ありて つかハしたまひ ほろぼすとなり 叔堅おもふは此犬あづらし さらに凶事にあらず また殺さんといへり いふに彼馬 いづれの所へ のりて 奪ひとる 見えたり さて又韓朋名ハ 帰るにこたえて曰 桑の日 煮れども梁の武帝 しづまるに たちまちに 尋ね 負て 広く ●がちかづきて 麻布十斤 ゆくに 鬼神ハ ゆひつけしむかならずも一たび おきて 申の刻 四足ハ 白猿を見るがごとし 兵共 さけんで ことにまたあやしき 古き文 よむなり 財物珍物さて諸女 梁の世のほろぶる あらハすとなり

  大部分のものは、送り仮名や助詞などであり、これらは、増補とも脱落ともとれるが、「呉王きかずしていかつて、ゆくことあたハずそれゆへに舟を、つかハしたまひ、叔堅おもふは此犬めづらし、白猿を見るがごとし」などは、やや別系統の本文かという事を推測させる。

4、『奇異怪談抄』に無いもの……33(傍線部分)

  望帝 前書已有之不及再書 あふてカタル いふやうハ 伍子胥 此亦在前書不可再書也 ツヰニ呉をほろぼす 男女ハ 童子 榻ニ座せり 龍蛇の形ノことし 皆荷葉を 舟ハ皆うき草 火をたくナリ おもひて悲テ ひききり馳て 皮又とびきて きぬを織●の 二つの墳ノうへに しばりテ 孫権ニ進上ス孫権 たてまつるもの先ニ亀と 入ル ごとくニして 渓を伝ひ険ヲ凌テ是ヲモトム月ヲ経テ百里許ノ外ニテくさむらの上にて かなしひてイヨ/\ ●ツフサニその故を 一月ニ過たり 他行せり其かへらざるまへに 手足を床ニゆひつけ 時分をまちて 五六寸あまり 菓を食ヒ尤犬ヲくらふ ●其財物珍物 其形猿に似たり

  以上が、巻一のものであるが、巻二以下の主なものを示す。

  ⊂綰群璽襭加オ2行目

  一人の女門を出てコレヲ招ク李●馬ヨリ下テ入ル香キ風ノ吹ヲ聞クよのつねの匂ひにあらず

 ◆下之上、4丁ウ5行目

  壁を隔て三娘子カ物ヲウコカス声ヲ聞テすきまよりのそくに

 、下之上、6丁オ4行目

  夜深にいたるまで懇にす所望ハ何●ソト問フ李和がいハく

 ぁ下之上、9丁ウ1行目

  人ハ陰陽をうけ魂魄ヲ納ム陰陽哀ヘ魂魄たゝかふときハ

 ァ下之上、16丁オ4行目

  疑てしきりにとふ陰娘申サク真実ヲ云フトモ其疑ンコトヲ恐ル鋒又真実ニ語レト云フ即云ヒケルハ陰娘はじめ尼にミちひかれ

  これらの内の大部分は『奇異怪談抄』の脱落と思われるが、この大量脱落の部分について、長澤本『怪談録』を確認すると、松平本『恠談』と同様の文が入っている。そして、この逆に『怪談録』『恠談』の大量脱落は見当たらない。これらは『奇異怪談抄』の本文の優劣に関わる異同と思われる。

5、その他のもの……113(上が松平本『恠談』)

  ヤカテ王トシテ望帝ノカレユク―やかて王ハ望帝になしてのがれゆく 王帳―王●(6) 大ナル潮ノサス―おほきに潮のさす 見モノ皆―見る人ミな 白馬素車―白鳥素車 方輿勝覧―与地勝覧 ムカヘタテマツルタメニ来ルト云フ―むかえたてまつり来れといふ 主人ノ王トヲホシクテ白キ衣―主人の王とおぼしきがしろきころも 治レリ―おさまりぬ 老女ヲ射ル―老女を射ころしぬ 云フ―いへり クワへ来テ―くハへて来りて 卵ヒラヒテ―卵ひらけて ウツブセル故ニ―侍るゆへに 慈悲ノ心アリ―慈悲のこゝろもあれぱ 人イヨ/\アヤシム―人々見てあやしむ 耕作ス―耕作するゆヘ トラヘラル―とらへられけり 妻トセシメン―妻にせん ケニサモアルヘシ―まことにさもあるべし 馬甚タアカキクルフ―馬そのゆふべあがきくるふ ミメヨシ―ミめよく侍れは 申スベシ―いふべし 韓朋又ハ韓憑トモ号ス―さて又韓朋名ハ韓憑とも号す トラヘラルト云フ―とらへられ侍るといへり、如クニシテ―がごとし 番トス―番をさせける 既ニ―即時ニ トヽメ―とゝのへ 我家ノ外二百里斗―わが家に百里ばかり 高クシケレリ―たかくして 犬ヲハ林中ノ所々ニ置ヘシ―犬をぱ林中に置べし 天ノ我ヲ殺セルナリ―天のわれをころせり 今麻ノ中へ絹ヲ入レ―今練の中に麻を入 身ニ白毛長サ五六寸余アリ―身しろくして毛のながさ六寸あまり 木札―本 トリテカヘル―とりて帰て後

是―此 代々―代● 重々―重● 人々―人● ●−事(12) ●−事(22) 坐―座 体―躰 船―舟(4) 群聚―群集 即―則(2) 本―下 履―沓 歌―哥 鬚−髭

  見へ―見え(7) オハリ―をハり 口ツサメリ―くちすさめり ムクイズ―むくひず トモシ―とほし ヲコル―おこる クワヘ―くハヘ ヲサム―おさむ ヌイテ―ぬひて 苦ミ―くるしひ ヨツテ―よりて オソフル―おそハる 力ヽツテ―かゝりて ウハヲソヒ―うはおそひ

 これらの異同について、具体的に述べることはしないが、全体を見渡して、やはり、『恠談』と『奇異怪談抄』は別系統の本文である事が解ると思う。ただ「馬甚タアカキクルフ―馬そのゆふべあがきくるふ」の異同は『奇異怪談抄』が片仮名本の原本を書写している事を思わせる。「甚タ」を「其夕(ゆうべ)」と誤読したところから生じたものと思わせるからである。

 

 以上、『奇異怪談抄』の本文について述べてきたが、その他の条件も総合して考えると、次の如く言い得ると思う。

『奇異怪談抄』の各話の収録順序は、松平本『恠談』、長澤本『恠談』、長澤本『怪談録』と同じであり、長澤本『恠談』は、下巻、1丁オ13行目で「己の刻」の「己」に「亥イ」と注を付しているが、『奇異怪談抄』は「亥の刻」となっている。本文対校の結果『奇異怪談抄』の本文は、松平本『恠談』とは別系統のものと思われ、長澤本『恠談』と『奇異怪談抄』は、仮名表記が非常に多い点も共通しており、この二本は同系統の本文と判断される。ただし、『奇異怪談抄』が長澤本『恠談』を書写したものでない事は、長澤本には「望帝」「伍子胥」が収録されていないし、下巻、11丁オ8行目の1行脱落の部分が『奇異怪談抄』は出ているのでも明らかな事である。拠ったところの原写本は、長澤本『恠談』と同系統の片仮名本ではなかったか、と推測される。

 『奇異怪談抄』には、右に見てきた如く、多くの脱落があり、

 白馬→白鳥、幽冥録→曲冥録、夫人→大人、羊車→半車、決山寺→沢山寺、魏愽→魏博、布嚢→市嚢、五十余人→五十四人、烏将軍→鳥将軍、此地→此池、五斗米→五斗末、浙中→術中、掲諦→楊諦

 このような誤写も多い。奥書には「于時寛永廿年癸未」とあるが、中村幸彦氏の指摘の如く、松平本『恠談』よりも後の書写と思われ、また、本文としても問題点を含むものと思われる。長澤規矩也氏の指摘される、書名についての疑問と共に、今後、さらに、調査を重ねてゆきたい。

 

 

  五、『怪談録前集』の諸本

 

 

 『漢考怪談録前集』の版本は、その所在が明らかになっているのは、現在のところ、天理図書館所蔵本のみである。以下、その書誌を記し、考察を加えたい。

 

所在 天理図書館 913・61/イ5/1(〜5)(平成2年9月5日調査)

体裁 半紙本、五巻五冊、袋綴じ。

表紙 濃藍色原表紙、縦二三一ミリ×横一六〇ミリ(巻一)。

題簽 左肩に四周単辺原題簽。巻一・巻三は楷書体、巻二・巻四・巻五は草書体で、「〔漢考〕怪談録前集絵入一(〜五)」(縦一七〇ミリ×横三八ミリ(巻一)。

目録題 巻一、二丁オに「漢考怪談 前集/目録并引用書目」とあり、続いて、次の如く一括掲出している。巻一の「韓朋」の題名は脱落している。

  一之巻/望帝 蜀王本記/詰● 後魏書/王● 後漢書/伍子胥 呉越春秋/李●説淵/呂球 幽冥録/馬頭娘 蜀図経/陰摩羅記 清尊録/韋叔堅 風俗通/淳干(ママ)● 大槐 宮記/偃王 事文類聚/元緒 異苑

  二之巻/欧陽● 白猿伝/巳西侯 説淵/●客 春渚紀聞/張守一 異聞録/●生 説淵

  三之巻/閏(ママ)玉 説淵/中山狼 説海/魚服 同/三娘子 同/袁氏 大(ママ)平広記

  四之巻/●蜉 説海/●隠娘 大(ママ)平広記/張導(ママ)言 説淵/薛昭 同

  五之巻/郭元振 同/侯元 説淵/頼省幹 唐史/王(ママ)真娘子 説略/金鳳釵 剪灯新話

目録尾題無し。

内題 巻一、四丁オに「怪談 巻之一 前集」。以下、各巻一丁オに「怪談録 巻之二(〜五) 前集」。

尾題 巻一、二十八丁ウに「漢考怪談一之終」。巻二以下は無し。

匡郭 四周単辺、ただし、挿絵の丁を除いて版心の界線なし。序は匡郭なし。

  序(1丁オ) 一行の字の高さ、一六三ミリ前後。

  目録(2丁オ) 縦一八〇ミリ×横一三二ミリ(柱刻の字の右まで)。

本文(4丁オ) 縦一八〇ミリ×横一三二ミリ(柱刻の字の右まで)。

挿絵(5丁オ) 縦一七七ミリ×横一三〇ミリ。

柱刻 版心は白口。挿絵の丁を除いて界線なし。

   巻一…「怪談録一之巻 一」「怪談 一巻 二(〜二十八)」。三丁目の丁付は「二」   とある。

   巻二…「怪談二巻 一(〜二十六)」。

   巻三…「怪談三巻 一(〜廿六)」。

   巻四…「怪談四巻 一(〜廿四)」。

   巻五…「怪談五巻 一(〜廿七)」。

丁数 巻一…二十八丁(内、序一丁、目録二丁)。

   巻二…二十六丁。

   巻三…二十六丁。

   巻四…二十四丁。

   巻五…二十七丁。 合計一三一丁

行数 序は毎半葉六行、目録・本文は毎半葉十行。

字数 序は一行約十字、本文は一行約十五字。

話数 巻一…十三、巻二…五、巻三…五、巻四…四、巻五…五話。

   合計 三十二話。

挿絵 巻一…片面二図(五オ、九オ)。見聞き五図(十ウ・十一オ、十三ウ・十四オ、十六ウ・十七オ、二十ウ・二十一オ、二十三ウ・二十四オ)。

   巻二…見開き五図(三ウ・四オ、十一ウ・十二オ、十五ウ・十六オ、十七ウ・十八オ、二十二ウ・二十三オ)。

   巻三…見開き五図(二ウ・三オ、七ウ・八オ、十一ウ・十二オ、十六ウ・十七オ、二十二ウ・二十三オ)。

   巻四…見開き四図(一ウ・二オ、七ウ・八オ、十四ウ・十五オ、二十一ウ・二十二オ)。

   巻五…見開き五図(二ウ・三オ、十ウ・十一オ、十四ウ・十五オ、十七ウ・十八オ、二十三ウ・二十四オ)。

   合計 片面二図、見開き二十四図。

本文 漢字交り平仮名。振り仮名(片仮名)・濁点を施す。句読点なし。

序  巻一、一丁に、松月堂不角の序あり。

   「凡薯蕷の●蛤の雀すべて/変化のことハり是天地/自然成ものを愚かに/あやしめは水にうつれる/我影に我を呑る心は/万境にしたかつて転す/徳の流行してハ妖/をのつからなす/一円水の中に/指さすかことし/松月堂不角序/松月堂(印)水□目□(印)」

跋・刊記 無し。

蔵書印等 「岡田真之蔵書」子持枠陽刻長方形朱印(縦三二ミリ×横一五ミリ)。「天理図書館蔵」陽刻長方形朱印(縦二六・五ミリ×横一八ミリ)。「寄贈/天理教教会本部/昭和卅年五月三十日」陽刻長方形朱印、年月日は墨書、「天理教…」は紫スタンプ(縦四五ミリ×横一五ミリ)。「天理図書館/昭和卅一年弐月壱日/48658(〜486562)」陽刻長方形朱印、洋数字は青印(縦二六・五ミリ×横四五ミリ)。「913・61/イ5/1(〜5)」のラベル。

 

天理図書館蔵『怪談録前集』(写真、40、41、42、)について、長澤規矩也氏は次の如く述べておられる。

「  刊本怪談録前集

 天理図書館所蔵。後集があつて佚したものか、未刊か。巻頭は怪談、巻二から五までの巻首は怪談録。平かなまじり、絵入り。題簽は「〔漢考〕怪談録前集」、版心は怪談、刊記はないが、巻首に無年号の松月堂不角の漢考怪談の序があり、不角が宝暦三年に九十二歳で死んだ俳人で、元禄二年に江戸惣鹿子を著した人なので、版式からみて、元禄以後の刊行らしい。

 本書の内容は刊本怪談全書の巻五の三篇が各巻中に分散され、順序に多少の差があり、文字にも多少の異同があるが、

  巻一 望帝 から 元緒   巻四 ●蜉 から 薛昭

  巻二 欧陽● から ●生  巻五 郭元振 から 金鳳釵

  巻三 閏玉 から 袁氏

 羅山の名が全く見えない。

 この書は後印本で、外題換えかもしれない。」

 長澤氏の指摘される如く、本書の刊行が元禄以後とすると、松月堂不角は、その刊行に当って、どの本文を底本に使用したのであろうか。現在、伝存する諸本を整理すると、次の如くである。

 〇長澤本『恠談』(写本、平仮名、寛永頃?)

 〇長澤本『怪談録』(写本、片仮名、慶安〜寛文頃?)

 〇松平本『恠談』(写本、平仮名、寛文頃?)

 〇天理本『奇異怪談抄』(写本、平仮名、寛文頃?)

 〇『怪談全書』(刊本、片仮名、元禄十一年刊)

 この他、東洋大本『恠談』(写本、平仮名)、東洋大本『怪談録』(写本、片仮名)が存するが、共に、長澤本『恠談』、長澤本『怪談録』と、その本文が、概ね同様であり、書写年代も後のものと思われるので省略する。

 さて、右に掲出した内の、長澤本『恠談』は「望帝」「伍子胥」の二話が収録されていない。また、天理本『奇異怪談抄』は「玉真娘子」の後半と「陰摩羅鬼」の前半が欠けている。これらの点から、この二本を使った可能性は無いものと思う。

 次に、元禄十一年刊の『怪談全書』であるが、この本文と松平本『恠談』(以下『恠談』と略す)の本文とを比較すると、『怪談全書』に少なからず欠文かあり、10字以上の欠文は七か所ある(96ページ以下参照)。この部分の『怪談録前集』(以下『前集』と略す)を見ると、長澤本『怪談録』(以下『怪談録』と略す)・『恠談』と同様の本文になっている。従って、本書が『怪談全書』を底本に使用した可能性も少ない。

 また、両者とも挿絵か入っており、『怪談全書』は二十四図、計十二丁、『前集』は二土六図、内、見開き二十四図、計二十五丁であるが、その絵柄など、特に影響関係があるとは思えない。

 以上の諸点を考えると、本書が底本として使用した可能性のあるものは、『怪談録』と『恠談』という事になる。この三本の本文を比較すると、『前集』に、かなりの欠文がある。5字以上のものを『前集』の丁付に従って掲げると、次の如くである。〔 〕の中が欠文であり、『怪談録』で示した。(振り仮名は省略)

 巻一の26丁ウ・9行目

  偃と名付〔徐国ノ君是ヲ聞テコレヲ呼テソタテ養フ成人シテ智恵アリ慈悲ノ心アリ徐国ノ君位ヲ譲テ政ヲ行ハシム即偃王卜名ク〕鵠倉病死せんとする時

 巻一の28丁オ・9行目

  亀本のことし〔諸葛●ヲ呼テ是ヲ問フ〕諸葛●是ハ年久敷キ

 巻二の5丁オ・3行目

  昼より後いたる〔へシ早クイタル〕事なかれ

 巻二の7丁ウ・8行目

  古文のことく成〔字書キタル〕木札をよむ

 巻二の14丁オ・2行目

  大熊其前に臥す〔コレ六雄将ナリ又其前ニ白キ頂ノ虎酔テ伏ス〕是白額侯也

 巻二の25丁ウ・3行目

  須女の三星〔皆光ナシ是三ノ星〕人間に下つて

 巻三の15丁オ・1行目

  聞者〔皆是ヲアヤシム〕是より

 巻三の19丁ウ・7行目

  路次にて一人の〔老人ニ逢フ〕老人手を打て

 巻四の11丁ウ・10行目

  見たる人なし〔イヅクヘカ行ケン〕大平広記に載たり

 巻五の9丁ウ・10行目

  家ニ帰れハ〔父兄驚キ悦テ既ニ〕一旬になり

 巻五の11丁ウ・2行目

  賢聖なりと称す〔官ヲ立テ左右ノ大将トシ軍兵ヲ名ヲ称ス〕毎月朔日

 巻五の19丁ウ・10行目

  音信なし〔興娘ステニ年十九ニナリヌ母コレヲ他人ニヤラント云フ父キカス〕興娘待かねて

 これらの欠文の条は、『恠談』も『怪談録』と同様の文となっており、いずれも『前集』の誤脱と思われる。この中の、巻一の26丁ウ・9行目のものは、52字で『怪談録』で、約3行分であり、5行目の「偃卜名ク」から、8行目の「偃王卜名ク」に目移りしたものであろうか。さらに、巻五の11丁ウ・2行目のものは、18字で『怪談録』で、ちょうど1行分であり、「称ス」が2行目と3行目に並んでいる。これも、次行の文字に目移りしたところから生じた可能性がある。なお、この部分の『恠談』は、1行22〜23字という字詰の関係から、隣り合わせにはなっていない。

 次に、その他の本文異同について整理すると以下の如くである。

 (範囲は『前集』巻一)

1、『前集』が漢字のもの……238

  ナリ→也(20) コレ→是(19) アリ→有(10) ナリ→成(5) カリ→狩(2) カフ→飼ふ アハレ→憐 カヒコ→卵 ミメ→眉目 ヱヒス→夷 クタル→降 サキ→嚮 タチマチ→忽 ソクハク→若干 オトロカス→驚す(以下略)

2、『前集』が仮名のもの……78

  云フ→いふ(15) 云→いふ(5) 果シテ→はたして(2) 甚→はなハた(2) 故→ゆへ(2) 驚テ→おどろきて(2) 者→もの 皆→ミな 即→すてハち 従フ→したかふ(以下略)

 238対78と『前集』が約三倍の漢字を使っており、中には「サキ→嚮・オコタリ→懈・イマシメテ→禁て・ヨリ/\→時/\・イナヽヒテ→嘶て・アハテ→周障」など、やや難しいものも含まれているが、これらの漢字には、大部分振り仮名が施されており、本文が必ずしも難解になっている訳ではない。

3、『怪談録』・『恠談』が同じで『前集』と異なっているもの……150

 これらを、いくつかに分けてみると、

 ◆愾綾検戮北気い發痢帖44

 「云フ→云(7)・己レ→己・申ス→申」等の、送り仮名の無いものが26。「酒ヲ→酒・蜀ノ王→蜀王」等の助詞の無いものが6と、その大部分を占めている。その他のものは「毎年八月→毎年・大亀→亀・桑ノ木ノ→木の・書付タリ→書たり・此鳥ハ→是ハ・槐安国王→槐安国・其夫婦→其婦・皆→〔ナシ〕(2)・シタカヒ→〔ナシ〕」等であり、いずれも『前集』の誤脱と思われるが、意味不通という程のものではない。

◆◆愾綾検戮僕るもの……34

 「来テ→来りて(5)・名ク→名つく(2)・笑テ→笑ひて」等の、送り仮名の有るものが26。「行方→行方を・父→父を」等の助詞の有るものが4と、これも、その大部分を占めている。その他のものは「救フ→すくふ事・亀対テ→亀聞て答て」等であり、『前集』が補ったものと思う。

、字体等の異同……28

 「 →事(12)・ →事(5)・即→則(8)・故郷→古郷・船→舟・食ヒ→喰ひ・群聚→群集・曰ク→云・烹→煮・処→所・重々→重/\」写本から版本へという事で、『前集』にやや一般的な文字遣いの傾向がみられる。

ぁ△修梁召里發痢帖44

  銑0奮阿里發里魄豎腓靴燭、「見へ→見え(7)・ウヤマイ→うやまひ」等の仮名遣いの異同が11あり、「アガツテ→あかりて・カサツテ→飾て・アツテ→ありて」等、文語的に改めたものが目につく。他には「口ツサメリ→口すさミけり・耕作す→耕す・シテ閑ニ→閑にして」等があるが、特に内容を改変するような異同は無い。

4、『怪談録』と『前集』とが同じもの……36(上が『恠談』)

  ●→事(4) ●凶→凶事(2) 豆文類聚→事文類聚 ●→事 所→処(2) 処→所 許→計

  也→ナリ・なり(2) 〆→シテ・して(2)

  モノ→者 モノ→物 ワケ→分 コレ→是(2) カタリ→語リ・語り コロサン→殺サン・殺さん(2) ウカヒ→浮ヒ・浮ひ キク→聞ク・聞く トモ→●

  去ル→去 入ル→入 引キ→引

  見→見ル・見る

  ヲホシク→オホシク・おほしく ヒラヒテ→ヒライテ・ひらいて

  人→タヽ人・唯人 間→間ニ・間に

  ワタカマリマカリテ→ワタカマリテ・わだかまりて

5、『恠談』と『前集』とが同じもの……54(上が『怪談録』)

  処→所(6) 皈→帰(5) ●→時(4) ●霊→鼈令(2) 計→斗 徳●→徳陽 ●→過

  為→タメ・ため(2) ●→トモ・とも(2) 如→コト・こと(2) 也→ナリ・なり(2) 受→ウケ・うけ 与フ→アタフ・あたふ 袋→フクロ・ふくろ 到リ→イタリ・いたり

  依テ→ヨツテ・よつて 杜鵑→ホ卜ヽキス・ほとゝきす

  ミ→見 コロス→殺ス・殺す コレ→是(2)

  云→云フ・云ふ 乞シテ→乞テ・乞て

  浮ミ→ウカヒ・うかひ ツイニ→ツヰニ・つゐに ヤワラカ→ヤハラカ・やハらか ミエタリ→ミヘタリ・ミへたり

  国→国ニ・国に 我力→我等カ・我等か

  榻→榻ニ・榻に 〔ナシ〕→ケニサモアルヘシ・実さも有へし 夢サメテ→夢サメテ・夢さめて 材帚→帚 博学大才→博学

  形→● 童→童子 内ニ→内ヘ・内へ

 4・5 は『前集』が『怪談録』と『恠談』のいずれに近い本文か、という点で注意すべき異同である。36対54と『恠談』と共通のものが多く、「●霊→鼈令 〔ナシ〕→ケニサモアルヘシ・実さも有へし」等の異同から考えると、『前集』の本文は『恠談』に近い関係にある、と一応言い得る。

6、その他のもの……26(上から『怪談録』『恠談』『前集』)

  ●→●→事 ●→トキ→時(2) 昔シ→ムカシ→昔 分ケテ→ワケテ→分て 納メ→オサメ→納 云フ→云→いふ 云→云フ→いふ ノ曰→ノ曰ク→のたまハく 見ユ→マミユ→ま見ゆ 放テ→ハナツテ→放して 見ヘタリ→見タリ→見えたり オト→ヲト→昔 カヱリ→カヘリ→帰(カヘリ) ミヱ→ミへ→見え カヱス→カヘス→返す ユクトキ→ユク時→行時 然●→然トモ→しかれとも 煮レ●→煮トモ→煮れども 申シ→申シキ→申き 遂イニ→ツヰニ→終ニ 掛ケリ→カケリ→書けり 也→ナリ→成 顔ヨシ→カホヨシ→娟(カホヨシ) 大●→大蛇→大蛇(ヲロチ) 到ル→イタル→至る

 これらの異同を見ると「ノ曰→曰ク→のたまハく、申シ→申シキ→申き」など、『前集』は『恠談』にやや近い本文であるようにも思われる。

 以上、本文異同の関連から、『前集』が使用した底本について考えてみたが、『前集』の本文は、いずれかと言うならぱ『怪談録』よりも『恠談』に近い事がわかった。しかし、この調査は『前集』巻一の範囲内であること、『前集』の大量脱落の部分は『怪談録』の字詰めと関連性があること、さらに、書名を「怪談録前集」としており、『怪談録』は上下二巻に分かれ、その上巻が『前集』の内容と一致していること、これらの事を考え合わせると、『前集』が『恠談』を底本に使用したとは速断できず、むしろ、『怪談録』との関係が深いように思える。この点は、今後、さらに検討したいと思う。

 

 本書に序を付す松月堂不角は、立羽氏、通祢定之助、遠山・千翁・虚無斎・松月堂・南々舎と号した。岡村不卜に学んだ俳人で、調和と共に点取俳諧の宗匠として栄え、宝暦三年(一七五三)に九十二歳で没している。江戸平松町南側に住し、出版を営んでいた。文才があり、俳書以外、浮世草子など編著も多数あるが、それらは自筆版下の私家版が多い。その編書中に、『一騎討後集』『百人一句後集』『松蘿前集』『矢の根鍛冶前集』『同後集』『双子山前集』『米の守後集』などがあり、「怪談録前集」と、その書名に相通じるものがある。

 なお、山崎麓氏の『日本小説書目年表』の「読本」の部に、

  「○怪談録後集 六 箭角 同(宝暦七年)」

とあるが、その原物を見る事が出来なかった。今後も調査を続け、本書との関連を考察したいと思う。

 

 

  六、収録順序一覧と諸本系統図

 

 

 『恠談』『怪談録』『奇異怪談抄』の収録順序は、ほぼ一致している。東洋大本『怪談録』の、25魚服の次に移されて、以下四話が順次繰り下げられている以外は、写本の全てが同じである。つまり、初稿本の収録順序は、これらの写本の順序と同じであったと推測し得る。

 次に版本『怪談全書』であるが、これは、写本系統の本文(松平本『恠談』など)を、五巻に分割したものと思われるが、13巴西侯・21三娘子・26薛昭の三話を末尾に移して、これを巻五としている。各巻の行数は、巻一…303行、巻二…307行、巻三…266行、巻四…290行、巻五…179行、となっており、巻五が特に少ない。各話を行数の多い順に並べると、12欧陽●…94行、32金鳳釵…89行、25張遵言…87行、27郭元振…84行、24●隠娘…81行、17●生…80行、19中山狼…75行、22袁氏…64行、13巴西侯…63行、28侯元…60行、21三娘子…59行、26薛昭…57行、となっており、特に長い話を移動させた訳でもないようである。原典との関連かとも思ったが、特に関連はないようである。このように分けた理由が判然としない。

 『怪談録前集』は、31陰魔羅鬼→8、14李●→5、9馬頭娘→7、5淳于●→11、7偃王→12、13巴西侯→15、と順序を改めているが、これも、その移動の基準など判然としない。諸本の収録順序を整理したのが137ページの一覧表である。

 諸本間の系統を、現在までの調査結果に基づいて図示すると次の如くである。これは、文字通り、試案の試案である。

 

(図省略。元本参照のこと)

 

 

 

注1 東北大学附属図書館・狩野文庫本は未見であるが、この蔵本に関しては、高橋清隆氏の詳細な調査報告(『日本文芸論叢』第6号別冊、昭和63年3月)によって、ここに入れてよいものと思われるが、改めて調査確認したいと思う。

注2 慶応義塾大学附属研究所・斯道文庫編『江戸時代書林出版書籍目録集成』(昭和37年12月25日〜昭和39年4月15日)に拠る。以下同じ。

注3 井上和雄氏『慶長以来書賈集覧』(大正5年9月25日)等に拠る。

注4 二論文ともに『長澤規矩也著作集』第五巻(昭和60年2月15日)に収録されている。引用は同著作集に拠る。

注5 「『怪談全書』考」。『野田教授退官記念 日本文学新見―研究と資料―』(昭和51年3月31日)

注6 注4に同じ。

注7 『大妻女子大学紀要―文系―』第二十五号(平成5年3月)

注8 注5に同じ。

注9 注3に同じ。

注10 「肥前島原 松平文庫紹介」。『文学』第二十九巻十一号(昭和36年11月)、第三十巻一号(昭和37年1月)。『中村幸彦著述集』第十四巻(昭和58年3月30日)に収録。

注11 「林羅山の翻訳文学―『化女集』『狐媚鈔』を主として―」。『文学研究』第六十一輯(昭和38年3月)。『中村幸彦著述集』第六巻(昭和57年9月10日)に加筆収録。引用は、同著述集に拠る。

注12 「江戸文学に及ぼした支那文学の影響」。『国語と国文学』第三十八巻四号(昭和36年4月)。『長澤規矩也著作集』第五巻(昭和60年2月15日)に収録。引用は、同著作集に拠る。

注13 注11に同じ。

注14 注5に同じ。

注15 「林羅山編著『幽霊之事』」。水野稔編『近世文学論叢』(平成4年3月30日)所収。

注16 注12に同じ。

注17 「怪談全書・奇異雑談集についての疑問」。『文学論叢』特輯号、(昭和32年3月)『長澤規矩也著作集』第五巻(昭和60年2月15日)に収録。

注18 注5に同じ。

注19 注12に同じ。

注20 注12に同じ。

 

 付  記

 この度の調査に際し、大阪府立中之島図書館、香川大学附属図書館、学習院大学日本語日本文学科研究室、京都大学附属図香館、宮内庁書陵部、国文学研究資料館、国立国会図書館、島原市立図書館、天理図書館、東洋大学附属図書館、都立中央図書館、長澤孝三氏、龍谷大学大宮図書館、早稲田大学図書館の御高配を賜りました。

 長澤規矩也、中村幸彦両博士の御論文は多く引用させて頂きましたが、なお、不十分な引用になっているのではないかと心配です。是非、両博士の著作集・著述集を参看して頂きたく、お願い致します。太刀川清氏の御論考にも教えられる点が少なくありませんでした。

 朝倉治彦、長澤孝三両氏には、調査過程で具体的な御指導を賜りました。

 以上の諸機関、諸先生に対し、心からの感謝と御礼を申し上げます。

 なお、未調査本も何点か残っておりますので、今後、それらの調査を続け、さらに考えを深めてゆきたいと念じております。

(平成5年8月20日)

(『近世初期文芸』第10号 平成5年12月20日発行 に掲載)


◆愆嫣陝戮僚本

 

深沢秋男

 

 

 『鑑草』の諸本については『仮名草子集成』第十四巻(平成5年11月20日発行)の解題で報告したことがある。ただ、そこでは紙幅の関係から、調査結果の全てを述べることか出来なかった。その後の調査をも加えて、改めて報告し、考察を加えたいと思う。

 『鑑草』を初めて翻刻刊行したのは『武家時代女学叢書・第一編』(梅沢精一校注・編纂、明治39年1月1日、有楽社発行)であるが、梅沢氏は、その解題中で、

 「本書は正保四年の初版(寛文九年再刻)なるが、世誤りて寛文本を初版と為す。家綱公の時古列女伝(承応三年)仮名列女伝(明暦元年)和訳女四書(同二年)女訓抄(万治元年)女郎花物語、本朝列女伝(寛文八年)等続々刊行せられたるが多くは伝記物なりき。本書の再刻は如上の諸書に後れしかども、其の創作の時日は、かへりて諸書の出版に先き立つ。……」

 と述べておられる。

 大正三年一月発行の『中江藤樹文集』(有朋堂文庫、三浦理編、武笠三校訂)、大正三年四月発行の『婦人文庫・教訓』(婦人文庫刊行会、芳賀矢一他編)には、いずれも原本に関する解説は無い。

 昭和三年、藤樹書院発行の『藤樹先生全集』第三冊・倭文心学成書二、の高橋俊乗氏の解説に、最初の詳細な報告を見る事ができる。この全集は、その後、昭和十五年二月二十五日、増訂版として岩波書店から発行されている。今、その増訂版に拠って紹介する。

 高橋氏は、『藤樹先生全集』刊行以前に出版された、右の三翻刻について次の如く述べておられる。

 「明治以後活版本の翻刻は凡て三種あり。一つは有朋堂文庫の「中江藤樹文集」中にあるものにして、大正三年一月の発行にかゝる。その底本は何版によりしか不明なれど、原本の振仮名を保存し、新に句読点を施して印刷せり。誤植は稀なり。頭註を加へたり。

 第二は婦人文庫の「教訓」の篇に、「女大学」「女四書」「夜の訓抄」と共に採取せるものにして、大正三年四月の発行にかゝる。誤植多し。又頭註を加えたれども、それにも誤と認めらるゝもの多きやうなるは惜しむべし。

 第三は「武家時代女学叢書」第一巻中にあるものにして、梅沢精一氏の編する所なり。振仮名を存し、句読点を加へ、頭註を施したり。明治三十八年発行。正保四年版に依れるものゝ如し。誤植多く、註の誤も間々存せり。」

 古典翻刻の場合の先後関係と、ミスの有無、多少に関わることで、考えさせられる記述である。高橋氏は、続いて諸本に関し、次の如く記しておられる。

 

 「次に鑑草の版本について述べんとす。江戸時代の整版印刷に少くとも次の六回あり。

  第一は翁問答の条に既述せる如く、正保四年版にして、それ以前翁問答を私に出版せんとせしを、先生が中止せしめし為、出版元の失費の償として、鐘草を発行せしめられし際のものなり。六巻六冊に分たる。各頁十一行。一行の字数不定。句読点は極めて稀に、全巻中に三四ヶ所だけ、●《破線による句点》のみを句点として、読みにくき所に附したる外、すべて之を施さず。振仮名あり。

  第六冊の終りに次の奥書あり。

   正保丁亥暦仲秋

   風月宗知刊行

  次に万治二年己亥の出版あり。正保版に後るゝ事、実に十二年なり。印刷の体裁は正保版と全く同一なり。板木も同一のものを用ひたるかと思はるゝほどなり。その発行所について、第六冊の終に次の如き奥書あり。

   万治二年(ママ)

    戌九月吉日(ママ)

       伊吹権兵衛開版(ママ)

  此の他に発行年及び発行所について、奥書を記さゞれど、右二版と全く同一の出版を見ることあり。之を仮りに第三に数ふ。

  第四は更に下つて天明元年発行のものあり。正保より百三十一年後に当る。これは巻之一と二を第一冊に、巻之三と四を第二冊に、巻之五と六を第三冊に綴りたる合計三冊の本なり。前記六冊本は表紙題簽には書名の下に「巻之一孝逆之報」といふ如く、巻数と巻名を併せ記したれども、天明版は只書名のみを記す。印刷は正保版と同じ頁と、全く新しく刻しかへたる頁と混在せり。磨滅せる部分を新しく改刻せしものなるべし。改刻せる頁も行数は同じけれども、文字の配置を異にし書風をも異にせり。奥書は次の如し。

  天明元辛丑歳十一月求板   尾張屋勘兵衛

          二条通柳馬場西エ入町

              八文字屋庄兵衛

     書 林  麩屋町姉小路上ル町

              近江屋治郎吉

     弘 所  松原通柳馬場東エ入町

              炭屋勘兵衛

          堀川通高辻下ル町

              炭 屋 文 蔵

  求板とあるは、古き板木を購入したることなるべし。尚右売捌店の地名は凡べて京都市内なり。

  以上四種は多少の差ありとするも、要するに同一系統の板木を用ひたるものなり。然るに先生死後二十七年、正保版に後るゝ二十八年、延宝三年に出版されたるは全く別種の板木を用ひたり。本文の周囲に一枚通して単線の枠を施し、一頁十二行、一行の字数も正保版よりやゝ多し。振仮名を施せども、句読点なきことは正保版に同じ。殊に著しき差異は、評の部分を、一頁十八行とし、一行の字数は十二行に書ける本文の一行の字数の約一倍半となせり。かくして節約し得たる紙面を利用して、一頁大の挿絵を殆ど凡ての例話ごとに、加へたり。……中略……

  尚この外に寛文九年即ち先生没後二十一年に発行せるものある由にて、佐村氏国書解題その他にも寛文版の記事見えたれども、余は不幸にして、未だ実物を見ず。よつて詳記を避く。

  以上少くとも、江戸時代に、右六度発行されたるを以て見ても、本書の大いに普及したるを知るに足るべし。」

 

 昭和十四年発行の、岩波文庫『鑑草』(昭和14年4月17日初版発行、平成2年第4刷)の校注者・加藤盛一氏は、右の高橋俊乗氏と共に『藤樹先生全集』の編纂に携わっており、したがって、諸本についての記述も、ほぽ高橋氏のものと同様である。

 

 「鑑草の古版本で筆者の知り得たものに数種ある。

   正保四年本………六冊

   万治二年本………六冊

   寛文九年絵入本…六冊〔京大図書館にあるもの、書名カードに寛文九年刊巻六欠本としてある。他の五冊について見るも寛文九年本といふ刊記は見えぬ。何によつて刊記を定めたかは不明である。〕

   延宝三年絵入本…六冊〔第六冊の末尾に延宝三乙卯年の刊記が見えてゐる。〕

   年紀不明本………六冊〔筆者蔵有のものは後に二冊に改装したものである。従つて表紙題簽にも上冊は巻之一孝逆報とのみ見え、二三と墨書して巻数を追記し、下冊も巻之四教子報とのみ見え、五六と墨書して巻数の辻棲を併せてゐる。〕

   天明元年本………三冊

 等である。是を大別すると(一)正保四年本と其の系統を引いた万治二年本と年紀不明本と天明元年本 (二)寛文九年絵入本と延宝三年絵入本との二種である。正保四年本は初版本である。翁問答の如く後に藤樹の改訂がないから又定稿本と見て差支ない。〔本書は此の本を底本にとつた。………〕」

 

 その後、『家政学文献集成・続編・江戸期・后戞陛鎮罎舛浸辧ε鎮羹乕彿圈⊂赦44年3月15日、渡辺書店発行)に、正保四年版の複製が収録されたが、諸本に関する新しい見解は示されていない。青山忠一氏は、『仮名草子女訓文芸の研究』(昭和57年2月1日、桜楓社発行)において、正保四年版(東大本)、天明元年版(東大本)、寛文九年版(国会本)の三本の書誌を記されている。

 

 

 以上の報告をふまえ、実地に調査した結果、この作品の諸本は、現在のところ、正保四年版系統と延宝三年版絵入本系統の二つは大別され、それらは、さらに版次・刷次によって次の如く分けることができる。

 

   【一】 正保四年版系統

〔1〕正保四年風月宗知版

  |羚焼樹記念館・A

  謙堂文庫(石川謙氏旧蔵・石川松太郎氏蔵)

  C淒搬膤愎渊餞

  づ豕大学図書館・A

  ヅ豕大学図書館・B

  γ羚焼樹記念館・B

   ▲初智艸堂文庫(田中初夫氏蔵、未見)

〔2〕万治二年伊吹権兵衛求版

  |羚焼樹記念館・A

  中江藤樹記念館・B

  C羚焼樹記念館・C

〔3〕 寛文九年西沢太兵衛求版

  々餡饋渊餞

   ▲岐阜市立図書館(未見)

〔4〕 天明元年尾張屋勘兵衛求版

  ‥豕大学図書館

  ∩甍霤賃膤愎渊餞

〔5〕 無刊記版

  |羚焼樹記念館

  京都大学図書館

  9餡饋渊餞

  ず寛貘膤愎渊餞曄小城鍋島文庫

  ヅ堽中央図書館・井上文庫

  ε堽中央図書館・東京誌料

  福島県立図書館

〔6〕 寛政元年松村九兵衛等求版

   々餡饋渊餞

 

 【二】 延宝三年版絵入本系統

〔1〕 延宝三年福森・村田版

  ゝ都大学図書館

  △茶の水図書館・成簣堂文庫

  9駟験惴Φ羯駑全

  っ羚焼樹記念館

〔2〕 無刊年記福森・村田版

  ‖膾綵子大学図書館

  香川大学図書館・神原文庫

〔3〕 無刊記植村求版

  ゞ眤大学図書館

〔4〕 無刊記版

  ヽ惱院大学図書館

   ▲岐阜市立図書館(未見)

〔5〕 その他

  ゝ都大学文学部

  中江藤樹記念館・A

  C羚焼樹記念館・B

  っ羚焼樹記念館・C

 ◎  写本

 \轍兎科幻

 

 

 以下、諸本の書誌を記し、考察を加えたいと思うが、同一版木の場合、一本についてのみ版式を詳しく記し、他は、これと異なる点を記すに止めたい。

 

 

【一】 正保四年版系統

 

〔1〕 正保四年風月宗知版

 

 |羚焼樹記念館蔵・A 癸后■坑隠院腺坑隠供癖神4年3月19日調査)。

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 麻の葉地紋、牡丹模様藍色原表紙、縦二七四ミリ×横一八五ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なしの原題簽。縦一七五ミリ×横三五ミリ(巻二)。

  巻一の上部、下部に破損あり。

  「(破損)草 巻之一/孝逆報」

  「鑑草 巻之二/守節背夫報」

  「鑑草 巻之三/不嫉妬毒報」

  「鑑草 巻之四/教子報」

  「鑑草 巻之五/慈残仁虐報」

  「鑑草 巻之六/淑睦廉貪報」

目録題・目録尾題 なし。

内題 各巻本文の前に次の如くあるが、巻五のみ草書体。

  「鑑草巻之一」

  「鑑草巻之二(〜六)」

序題・尾題 なし。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二四ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一九ミリ(巻一、6丁オ3行目)。例話の文頭の「〇」印は、それより上に付す。批評の部分は一字下げ。

柱刻 版心は白口で界線なし。上部に書名・巻数、下部に丁付。

  「鑑草巻之一 一(〜三十七)」。

  「鑑草巻之二 一(〜三十)」。

  「鑑草巻之三 一(〜二十四)」。

  「鑑草巻之四 一(〜十五)」。

  「鑑草巻之五 一(〜三十四)」。

  「鑑草巻之六 一(〜十七)」。

丁数 巻一…三十七丁(内、序五丁)。

   巻二…三十丁。

   巻三…二十四丁。

   巻四…十五丁。

   巻五…三十四丁

   巻六…十七丁(2丁目落丁)。

   合計…一五七丁(実丁数は、六の2丁落丁故、一五六丁)。

行数 序・本文とも、毎半葉十一行。

字数 一行、序は約二十二字、本文は約二十三字で、批評の部分は一字下げ。例話の文頭に「〇」印を付す。

例話 巻一… 十話。

   巻二…十三話。

   巻三… 九話。

   巻四… 七話。

   巻五…十五話。

   巻六… 六話

本文 漢字交り平仮名。振り仮名・濁点を施す。句読点は、まれに「。」を施す(巻四の3丁ウ2行目、10丁ウ8行目、10行目、巻六の10丁オ7行目、15丁ウ10行目など)。

挿絵 なし。

序  巻一の一丁〜五丁に藤樹の自序があるが、年記はない。

跋  なし。

刊記 巻六の十七丁ウに、

  「正保丁亥暦仲秋

   風月宗知刊行」

蔵書印等 「藤樹書院」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。「中江文庫」陽刻長方形朱印(縦四一ミリ×横一一ミリ)。「高島郡教育会藤蔭文庫/分類号=記(乙藤樹研究)/図書番号=盒紂進篏芝月日= 年 月 日/備考=九一一(〜六)」の青ラベル。「藤樹展出品物/第24号/品名=鑑草/種別=本/所有者/住所=  氏名=藤樹書院」のガリ版青ラベル。各巻前見返しに「江見氏」と墨書。巻三の一丁〜七丁オまで、匡郭の如く、卦を書き入れている。

その他 巻六の二丁目落丁。

 

 ◆仝堂文庫蔵(石川謙氏旧蔵・石川松太郎氏蔵) シ・1/1・22a(〜f)/2554(〜2559) (平成5年2月14日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 藍色原表紙、縦二七二ミリ×横一八二ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なしの原題簽。縦一七〇ミリ×横三五ミリ(巻一)。

  この題簽は、中江藤樹記念館・A本と異なる。

  「鑑草 巻之一/孝逆報」

  「鑑草 巻之二/守節背夫報」

  「鑑草 巻之三/不嫉妬毒報」

  「鑑草 巻之四/教子報」

  「鑑草 巻之五/慈残報仁虐報」

  「鑑草 巻之六/淑睦報廉貪報」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二二ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一八ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

蔵書印等 「石川謙蔵書」陽刻方形朱印(二二ミリ×二二ミリ)。

  「部類= /番号= /石川蔵」の黒ラベル。「シ・1/1・22a(〜f)/2554(〜2559)」の赤ラベル。白紙添付、次の如くペン書あり。「Title:Kagamigusa./Text book for moral showing the second steps of Chinese influence. /Contents are the biographics of famous Chinese women. /Present edition printet 1647.」

 

  筑波大学附属図書館蔵 ロ580/63(平成4年2月18日調査)

体裁 大本、六巻三冊、袋綴じ。

  第一冊目…巻一、巻二。

  第二冊目…巻三、巻四。

  第三冊目…巻五、巻六。

  六巻六冊のものを、後に三冊に合冊したものと思われる。

表紙 市松模様水浅葱色原表紙、縦二七五ミリ×横一七五ミリ(1冊目)。

題簽 左肩に枠なしの原題簽。縦一八一ミリ×横三四ミリ(1冊目)。

  「鑑草 上 一二」

  「鑑草 中 三四」

  「鑑草 下 五六」

  「鑑草」以外は墨書。中江藤樹記念館蔵、万治二年版・A本と同様の題簽である。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二〇ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一八ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…入木のようである。

  巻二の三十丁目…なし。

  巻四の十五丁目…なし。

蔵書印等 一冊目、前見返しに次の墨書あり。「○此書ハ熊沢了芥先生/之師匠中江藤樹先生/之作にして江戸の□朴/翁が雑長持といふ物に/も称美しおける書なり」一冊目前表紙に白紙を貼付、墨書にて「教古千弐百三十七」「や弐百五拾七」とあり。また、白紙に「経」と朱書。「第五二六三号/三冊」の黒ラベル。「ロ580/63」の黒ラベル。

 

 ぁ‥豕大学総合図書館蔵・A B40/1551(平成4年1月17日調査)

体裁 大本、六巻一冊、袋綴じ。

  六巻六冊のものを一冊に合冊したものと思われる。

表紙 薄黄橙色後補表紙、縦二七三ミリ×横一八〇ミリ。

題簽 なし。左肩に墨書にて、次の如くあり。

  「鑑草 全」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二三ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二二〇ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

蔵書印等 巻六の刊記の前に「慶安二暦/雲梯子」と墨書、その下に「雲梯」陽刻陰刻混合方形黒印(三四・五ミリ×三四・五ミリ)。「東京帝国大学図書印」陽刻方形朱印(縦五九ミリ×横五八ミリ)。前見返しの左上に「鏡草善悪書」と墨書。上小口に「自一到六鑑草」「鑑草自一到六」と墨書。背に「鑑草自一到六」と墨書。「B15119」の青スタンプ。「B40/1551」と鉛筆書き。「B40/1551」の赤ラベル。

その他 巻一の一丁〜四丁、巻六の十七丁は総裏打ちしてある。

刊記の部分の下に欠損あり。

 

ァ‥豕大学総合図書館蔵・B B40/448(平成4年1月17日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。保護表紙にて一冊に合綴。

表紙 水色表紙、縦二七四ミリ×横一七七ミリ。

題簽 なし。左肩の題簽剥落の跡に墨書にて、「鑑草 」「鑑草 二」「かゝミ草 三」「かゝミ艸 四(〜六)」とあり。

柱刻 中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

  巻四の十五丁目…なし。

蔵書印等 「伊地知峻蔵書」陽刻方形朱印(縦三二ミリ×横三二・五ミリ)。「公鑑/預托南洲祠堂/大正丁巳之歳/伊地知峻」陽刻長方形朱印(縦六一ミリ×横三九ミリ)。「寄贈/大正拾参年弐月九日/伊地知峻氏」紫スタンプ。「東京帝国大学図書印」陽刻方形朱印(縦五九ミリ×横五八ミリ)。「第六百五十四番/全六冊/第一(〜六)」の黒ラベル。「B5690」の青スタンプ。「B40/448」の赤ラベル。巻一の前見返しに「中江藤樹先生著述/全部六冊」と墨書。

その他 巻五の三十三丁目が重複している。一冊に合綴する時「一、三、四、二、五、六」と順序を誤っている。

 

 Α|羚焼樹記念館蔵・B 112/14/1(〜3)(平成4年3月19日調査)

体裁 大本、六巻三冊、袋綴じ。

  第一冊目…天(巻一、巻二)。

  第二冊目…地(巻三、巻四)。

  第三冊目…人(巻五、巻六)。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様水浅葱色表紙、縦二八四ミリ×横一七七ミリ(1冊目)。

題簽 なし。左肩に書題簽、縦二〇三ミリ×横三六ミリ(1冊目)。

  「鑑草 /孝逆報/守節背夫報/ 天」

  「鑑草 /不嫉妬毒報/教子報/ 地」

  「鑑草 /慈残報/仁虐報/淑睦報 廉貪報/ 人」

尾題 各巻の末に墨書にて、

  「鑑草巻之一(二、三、五)終」

  「鑑草巻之六大尾」

  巻四は、柱刻「鑑草巻之四」に「終」を墨にて加筆している。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二一ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一七ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

蔵害印等 「志村譲印」陽刻方形朱印(一七ミリ×一七ミリ)。「藤樹書院教授」陰刻方形朱印(一七ミリ×一七ミリ)。「滋賀県高島郡安曇川町木村光徳文庫之印」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。一冊目巻頭に遊紙三枚あり、その一枚目表に墨書にて次の如くある。「此鑑草三巻壱部ハ藤樹先生の/著述にして友人高島郡小川村志村/倹蔵兄乃愛蔵自注にかゝるものな/れとも予にこれを恵贈せられたり/時ハ明治九年十月上浣也□□識」巻六の末尾に遊紙一枚あり、その表に墨書にて「鑑草六巻ハ藤樹中江先生の著し給へる也すへて仮名文の書には其著せる人の名氏を挙ざるか古来/よりの定例也世継栄花大鏡小鏡増鏡徒然草其他かす/\の書とも皆然り」とあり、次の紙に「明治元年戊辰二月 志村倹蔵譲しるす/時六十五歳」とある。「志村蔵書」と朱書。本文中に朱引き、朱点を付し、上欄に朱の注を加えている。「112/14/1(2、3)」の赤ラベル。

 

▲  初智艸堂文庫蔵(田中直日氏蔵) 未見。

  『家政学文献集成・続編・江戸期・后戞陛鎮罎舛浸辧ε鎮羹乕彿圈⊂赦44年3月15日、渡辺書店発行)に全冊複製されている。底本に使用した原本は、現在、田中直日氏が所蔵されており、諸種の事情から閲覧し得なかった。

 

〔2〕万治二年伊吹権兵衛求版

 

 |羚焼樹記念館蔵・A 藤樹書院陳列本(平成4年3月19日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様丹色原表紙、縦二七一ミリ×横一七八ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なしの原題簽。縦一八三ミリ×横三六ミリ(巻一。用紙が非常に簿く、表紙の丹色が透けて見える。

  「鑑草 巻之一/孝逆報」

  「鑑草 巻之二/守節背夫報」

  「鑑草 巻之三/不嫉妬毒報」

  「鑑草 巻之四/教子報」

  「鑑草 巻之五/慈残報仁虐報」

  「鑑草 巻之六/淑睦報廉貪報」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二一ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一六ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

  巻五の三十三丁目…「三十二」と「三」が欠けている。

刊記 巻六の十七丁ウに、次の如く入木されている。

  「万治弐年

   戊九月吉日

      伊吹権兵衛開板」

蔵書印等 「井岡邑渡辺蔵」陽刻長方形朱印(縦三三ミリ×横二一・五ミリ)。「藤樹書院」陽刻方形朱印(三一ミリ×三一ミリ)。巻二〜巻六の前表紙に白紙を貼付し「騰」と墨書。各巻題簽の右に次の如く墨書。

  巻一…「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ六」

  巻二…「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ七」

  巻三…「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ八」

  巻四…「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ九」

  巻五…「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ十」

  巻六…「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ十一」

  各巻前見返し(巻六のみ1丁オ)に、次の如く朱筆の書き入れがあり、印刷のポイント指定がある。

  巻一…「藤樹先生全集 巻之二十七」

  巻二…「藤樹先生全集 巻之二十八」

  巻三…「藤樹先生全集 巻之二十九」

  巻四…「藤樹先生全集 巻之三十」

  巻五…「藤樹先生全集 巻之三十L

  巻六…「藤樹先生全集 巻之三十二」

  本文には、朱筆にて、濁点、句読点を付加している。また、内題等に印刷のポイント指定を施し、語注と思われる紙片を付す。

 

 ◆|羚焼樹記念館蔵・B 収蔵庫本(平成4年3月19日調査)

体裁 大本、六巻二冊、袋綴じ。

  第一冊目…巻一、巻二、巻三。

  第二冊目…巻四、巻五、巻六。

  六巻六冊のものを、後に二冊に合冊したものと思われる。

表紙 万字つなぎ壮丹唐草模様黒色原表紙、縦二七〇ミリ×横一七九ミリ(1冊目)。

題簽 左肩に枠なし原題簽。縦一八二ミリ×横三七ミリ(1冊目)。

  「鑑草 巻之一二三」(一二三」は墨書)

  「鑑草 巻之四五六」(「五六」は墨書)

  二冊目は巻四のものを使い、一冊目は他のいずれかの巻の題簽を使用したものと思われる。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二〇ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一六ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…「鑑草巻之一」のみが極めて薄く出ている。

  巻二の三十丁目…極めて薄く出ている。

  巻四の十五丁目…極めて薄く出ている。これらは入木か。

  巻五の三十三丁目……「三十二」と「三」が欠けている。

刊記 中江藤樹記念館・A本と同様に入木されている。

蔵書印等 「藤樹書院」陽刻方形朱印(三一ミリ×三一ミリ)。「中江文庫」陽刻長方形朱印(縦三一ミリ×横一一ミリ)。「高島郡教育会藤蔭文庫/分類号=記(乙藤樹研究)/図書番号=盻宗進篏芝月日= 年 月 日/備考=十〜一(二)」の青ラベル。

その他 巻五の二十九丁が落丁。

 

  中江藤樹記念館蔵・C 収蔵庫本(平成4年3月20日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 茶白色格子縞表紙、縦二六三ミリ×横一七五ミリ(巻一)。

題簽 巻三のみ、左肩に後補題簽。子持枠のみ刷りで、文字は墨書。縦一八三ミリ×横三五ミリ。(他の巻は剥落の跡のみ。)

  「かゝ美くさ 三」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二〇ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一七ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

  巻五の三十三丁目…「三十二」と「三」が欠けている。

刊記 中江藤樹記念館・A本と同様に入木されている。

蔵書印等 「徳本堂」陽刻長方形朱印(縦三九ミリ×横一五ミリ)。「アノヤ」陽刻長円形黒印(縦二八ミリ×横一六ミリ)。「藤樹図書館」陽刻方形朱印(四五ミリ×四五ミリ)。「藤樹書印」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。

その他 巻三の二十四丁落丁。巻五の十七丁の下部裏打ち補修。

 

〔3〕 寛文九年西沢太兵衛求版

 

  々餡饋渊餞杪◆。隠械供殖隠沓掘癖神4年1月24日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様灰墨色原表紙、ただし、巻一の前表のみ濃藍色、縦二六四ミリ×横一七六ミリ(巻一)。さらに二冊ずつ合綴し、三分冊として、国会図書館の保護表紙(薄黄橙色)を付す。

題簽 左肩に子持枠原題簽。縦一七二ミリ×横三五ミリ(巻一)。

  「鑑草一/孝逆報」

  「鑑草 二/守節背夫報」

  「鑑草 三/不嫉妬毒報」

  「鑑草 四/教子報」

  「鑑草 五/慈残報仁虐報」

  「鑑草 六/淑睦報廉貪報」

  保護表紙には、左肩に子持枠題簽で文字は墨書、

  「鑑草一/(二、三止)」

序題 巻一、一丁オに「鑑草之序」とある。

内題 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、巻二のみ、なし。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二一八ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一九ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

巻一…「鑑草一 一(二、三、四ノ五)」

   「鑑草巻之一 六(〜三十七)」

   これは、巻一の一丁〜五丁までを改刻したためである。

丁数 巻一…三十六丁(内、序四丁)。

      他は、正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同じ。

刊記 巻六の十七丁オに、次の如く入木されている。

  「寛文九巳酉稔孟春吉日(ママ)

     西沢太兵衛板行」

蔵書印等 「東京書籍館/明治五年/文部省創立/TOKYO LIBRARY/FOUNDED BY MOMBUSHO 1872」陽刻円形朱印(径四九ミリ)。「明治九年文部省交付」陽刻長方形朱印(縦五〇ミリ×横一五・五ミリ)。「東京図書館/和書門/教訓類/一四函/一〇架/二八号/六冊」の黒ラベル。上記ラベルを「東京図書館/和書門/一三六函/四架/一七七号/六冊」と朱で訂正。「136/6177」の青ラベル。

その他 巻一の一丁〜五丁を改刻している。巻五の三十二丁重複。巻二の一丁に朱の罫紙が間紙のように入っている。

 

 ▲ 岐阜市立図書館・取合本 15/91/1(3、4A)(国文学研究資料館、マイクロフィルムに拠る。未見)

  延宝三年版絵入本との取合本である。巻二、巻五、巻六の三巻を存し、刊記は、国会本と同様である。

 

〔4〕 天明元年尾張屋勘兵衛求版

 

 ‥豕大学総合図書館蔵・青洲文庫 B40/55(平成4年1月17日調査)

体裁 大本、六巻三冊、袋綴じ。

  巻之上…巻一、巻二。

  巻之中…巻三、巻四。

  巻之下…巻五、巻六。

表紙 薄浅葱色原表紙、縦二五五ミリ×横一八〇ミリ(巻上)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、縦一六二ミリ×横三七ミリ(巻上)。

  「鑑艸 巻之上(中、下)」

序題 巻一、一丁表に「鑑草之序」とある。

内題 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、巻二のみ、なし。

匡郭 なし。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一…「鑑草一 一(二、三、四ノ五)」

     「鑑草巻ノ一 六(三十七)」

  巻五…「鑑草巻之五 一(〜二十四、二十五六、二十七〜三十四、二十六)」

     25丁ウ11行目(最後の行)の傍線部分の15字を削除。

       (HTML版では太字で示す)

     26丁を34丁の後に移している。

  巻六…「鑑草巻之六 一(〜四、五ノ六、七〜十七)」

     5丁ウ11行目の傍線部分の8字を削除。

       (HTML版では太字で示す)

     「行にあらすと云ことなし夫は妻の云なしに」

     6丁目を削除している。

丁数 巻一…三十六丁(内、序四丁)。

   巻六…十六丁(6丁目を削除)。

      他は、正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同じ。

刊記 巻六の十七丁(実は十六丁)ウに、

  「天明元年丑歳十一月求板   尾張屋勘兵衛

          二条通柳馬場西江入町

                 八文字屋庄兵衛

     書 林  麩屋町姉小路上ル町

                 近江屋治郎吉

     弘 所  松原通柳馬場東エ入町

                 炭屋勘兵衛

          堀川通高辻下ル町

                 炭 屋 文 蔵」

蔵書印等 「青洲文庫」子持枠陽刻長方形朱印(縦五三ミリ×横一八ミリ)。「東京帝国大学図書館印」陽刻方形朱印(五八ミリ×五八ミリ)。「B7874」の青スタンプ。「B40/55」の赤ラベル。

その他 巻一の六丁〜八丁を改刻している。

 

 ◆〜甍霤賃膤愧羆図書館蔵 ロ9/617/1(〜3)(平成4年8月3日調査)

体裁 大本、六巻三冊、袋綴じ。

  第一冊目…巻一、巻二。

  第二冊目…巻三、巻四。

  第三冊目…巻五、巻六。

表紙 松皮菱模様海老茶色原表紙、縦二六〇ミリ×横一八三ミリ(1冊目)。

題簽 左肩に子持枠原題簽、縦一七七ミリ×横三七ミリ(2冊目)。

  一冊目の上部に補修あり。

  「鑑草 一二(三四、五)」「一二、三四、五」は墨書。同版の題簽に巻数のみを書いたものと思われる。「五」は「五六」とあるべきところ。

序題・内題 天明元年版、東大本と同様。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二一三ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二〇五ミリ(巻一、6丁オ1行目)。

柱刻 天明元年版、東大本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻五…丁付が「一(〜二十四、二十五六、二十六、二十七〜三十四」とあり、26丁を「二十五六」の後に入れている。

  巻六…丁付が「一(〜四、五ノ六、□、七〜十七)」とあり、6丁目を丁付なしで「五ノ六」の後に入れている。

丁数 巻一…三十六丁(内、序四丁)。

      他は、正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同じ。

刊記 天明元年版、東大本と同様。

蔵書印等 「上州/イセサキ/小暮」陽刻長方形黒印(縦一八ミリ×横一三ミリ)。「上州《刀が三つの異体字》/伊勢崎/新町店/久小暮」陽刻円形黒印(径三三ミリ)。「明治三十八年/六月一九日/購求」陽刻長方形朱印(数字はペン書き、縦三八ミリ×横一四ミリ)。「早稲田大学図書」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。「ロ9/617/1(〜3止)」の水色ラベル。

その他 巻一の三十二丁と三十三丁が乱丁。巻一の七丁ウ、巻二の一丁オ、巻四の三丁ウ、巻五の九丁ウ、巻六の十五丁ウに欠字がある。

 

〔5〕無刊記版

 

  |羚焼樹記念館蔵 11/11〜1(〜6)(平成4年3月19日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様丹色原表紙、縦二七八ミリ×横一八〇ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なしの原題簽。縦一八六ミリ×横三五ミリ(巻二)。各巻、部分的に摩損している。

  「鑑草 巻之一/孝逆報」

  「鑑草 巻之二/守節背夫報」

  「鑑草 巻之三/不嫉妬毒報」

  「鑑草 巻之四/教子報」

  「鑑草 巻之五/慈残報仁虐報」

  「鑑草 巻之六/淑睦報廉貪報」

内題 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二二ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一六ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻六の六丁目…なし。

刊記なし。

蔵書印等 「藤蔭」陽刻方形朱印(二五ミリ×二五ミリ)。「藤樹書院」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。「藤樹□□」陰刻長方形朱印(縦二四ミリ×横一八ミリ)。「高島郡教育会藤蔭文庫/分類号=記(乙藤樹研究)/図書番号=盻衆譟進篏芝月日= 年 月 日/備考=十一〜一(〜六)」の青ラベル。

その他 巻六は総裏打ちされている。

 

 ◆ゝ都大学附属図書館蔵 185/カ1(平成4年3月18日調査)

体裁 大本、六巻二冊、袋綴じ。

  第一冊目…巻一、老二、巻三。

  第二冊目…巻四、巻五、巻六。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様丹色原表紙、縦二七〇ミリ×横一七二ミリ(1冊目)。

題簽 中央よりやや左寄り上部に後補書題簽。縦一七〇ミリ×横三五ミリ(1冊目)。

  「中江藤樹先生著/鑑草/孝逆報」

  「中江藤樹先生著 /鑑草/二/守節背夫報」

  一冊目は巻一のものを、二冊目は巻二のものを墨書して合綴したものと思われる。

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二〇ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一四ミリ(巻一、6丁オ1行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

  巻四の十五丁目…入木か。

  巻五の六丁目…「鑑草巻之六」は入木か。丁付はなし。

刊記 なし。

蔵書印等 「京都帝国大学図書之印」陽刻方形朱印(五〇ミリ×五〇ミリ)。「明治三三・一二・一九・購入/京大図」陽刻円形朱印(径二五ミリ)。「14597」の青スタンプ。「85/カ/1」の黒ラベル。一冊目の前見返しに次の墨書あり。「鑑草は明の顔茂猷之迪吉録八巻より我国の/女子教導に必要なる所を抜書して藤樹先/生の説を雑へ之を和文に書きたるものなり/大正七年六月下旬狂斎謹識」

 

  国会図書館蔵 857/2(平成6年8月11日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様藍色原表紙、縦二七八ミリ×横一八二ミリ(巻一)。

題簽 巻三、巻四は、左肩に枠なし原題簽を存す。縦一六八ミリ×横三九ミリ(巻三)。巻五、巻六は、原題簽の部分(上部)を存す。巻一、巻二は剥落の跡のみ。

  「鑑草 巻之三/不嫉妬毒報」(摩損あり)

  「鑑草 巻之四/教子報」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二三ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一七ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様に見える。

刊記 なし。

蔵書印等 「帝国図書館」陽刻長方形朱印(縦七五ミリ×横一八ミリ)。「帝国/昭和二〇・一一・十四・購入」陽刻円形朱印径二五ミリ)。「帝国」陽刻長円形朱印(縦九ミリ×横四ミリ)。「取扱/注意/帙入」白紙に陽刻朱印。「857/2」のオレンジラベル。各巻の題簽の下に「巻一(〜六)」と朱書。

 

 ぁ〆寛貘膤愽軋或渊餞杪◆小城鍋島文庫 093/5/(1)(〜(6))(平成6年3月22日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 雷文つなぎ牡丹唐草模様藍色表紙、縦二七七ミリ×横一七九ミリ(巻一)。

題簽 左肩に後補書題簽。二種あり、縦一七四ミリ×横三八ミリ(巻一)。縦一七五ミリ×横三三ミリ(巻二)。

  「鑑草 一(三、六)」

  「鑑草 巻之二/守節背夫報」

  「鑑草 巻之四/教子報」

  「鑑草 巻之五/慈残報」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二一ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一六ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…なし。

  巻四の十五丁目…なし。

  巻六の六丁目…「巻之六」の部分のみ少し出ている。

刊記 なし。

蔵書印等 「曲肘亭」陽刻長方形朱印(縦四二ミリ×横二四ミリ)。「佐賀大学図書館之印」陽刻方形朱印(二五ミリ×二五ミリ)。「佐賀大学附属図書館/昭和/36・3・31/ア第52120(〜52125)番/図書館」陽刻横長円形赤スタンプ、番号は青色(縦三九ミリ×横五三ミリ)。「093/5/(1)(〜(6)/佐賀大学」の茶色ラベル。

その他 巻五の三十四丁が落丁。

 

 ァ‥堽中央図書館蔵・井上文庫 井上文庫/163/1(2)(平成6年8月18日調査)

体裁 大本、六巻二冊、袋綴じ。

  第一冊目…巻一、巻二。

  第二冊目…巻三、巻四、巻五、巻六。

表紙 水色布目表紙、縦二六〇ミリ×横一七七ミリ(1冊目)。

題簽 左肩に、子持枠後補題簽。文字は墨書。縦一八三ミリ×横三八ミリ(1冊目)。

  「鑑草 一(二)」

匡郭 なし。一行の字の高さは、序…二二一ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一八ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目……「三十」がなし。

刊記 なし。

蔵書印等 「□然亭子幹蔵書」陽刻長方形朱印(縦四五ミリ×横二七ミリ)。「井上巽軒蔵書之印」陽刻長方形朱印(縦四三ミリ×横二九ミリ)。「井上文庫」四周無界陽刻朱印(縦二三ミリ×横七ミリ)。「井上巽軒蔵之印」陽刻方形朱印(五一ミリ×五一ミリ)。「東京都立図書館蔵書」陽刻方形朱印(五〇ミリ×五〇ミリ)。「日比谷図書館」陽刻長方形朱印(縦二一ミリ×横八ミリ)。下小口に「鑑草 上(下)」と墨書。各表紙右上に「共二」と墨書。巻一の十八丁ウ、二十二丁オに、朱の書き入れあり。「東京都立日比谷図書館/昭和28・7・23/114234(〜5)」横長円形黒スタンプ。「W1215/N286/K1−1(2)」の緑ラベル。「井上文庫/163/1(2)」の青ラベル。

その他 巻一の一丁の左上、右上に欠損あり、墨書で補筆。巻一の三十一丁〜三十七丁の版心上部欠損補修。

 

 Α‥堽中央図書館蔵・東京誌料 377/15(平成6年8月18日調査)

体裁 大本、六巻合一冊、袋綴じ。

表紙 薄縹色後補表紙、縦二六九ミリ×横一七九ミリ。

題簽 左肩に四周単辺後補題簽、文字は墨書。縦一五一ミリ×横三一ミリ。「鑑草 」

匡郭 なし。一行の字の高さ、序…二二一ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一六ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…なし。

  巻二の三十丁目…入木か。

刊記 なし。

蔵書印等 「●《「山」の下に「松」》□堂印」陽刻方形朱印(一三ミリ×一三ミリ)。「合□書堂」陽刻方形朱印(縦二〇ミリ×横一九ミリ)。「大礼記念図書」陽刻円形朱印(径五二ミリ)。「日比谷図書館」陽刻長方形朱印(縦三三ミリ×横九ミリ)。「日比谷図書館購求/6−6−2」陽刻円形朱印(径三〇ミリ)。「1964」の青スタンプ。「東京都立日比谷図書館/東京誌料/昭和・42・2・17/33404」横長円形黒スタンプ。「東京誌料/377/15」の緑ラベル。背に「鑑草 全」と、下小口に「加々美久左」とそれぞれ墨書。

 

 А(‥膰立図書館蔵 159・6/N/1(〜3)(平成4年3月27日調査)

体裁 大本、六巻三冊、袋綴じ。

  第一冊目・上…巻一、巻二。

  第二冊目・中…巻三、巻四。

  第三冊目・下…巻五、巻六。

表紙 薄藍色表紙、縦二七七ミリ×横一八四ミリ。(1冊目)。

題簽 左肩に、子持枠後補題簽、文字は墨書。縦一八二ミリ×横三六ミリ(1冊目)。

  「鑑草 上」

  「賀々見草 中」

  「加々見草 下」

匡郭 なし。一行の字の高さ、序…二二〇・五ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一七ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、次の点が異なる。

  巻一の五丁目…薄く出ている。丁付は欠字。

刊記 なし。

蔵書印等 「蕉園図書之記」陽刻長方形朱印(縦四二ミリ×横二七ミリ)。「福島市立図書館之印」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。「登記番号/大正元年十月一日/第五七二五号/購」黒印(数字は墨書)。第一冊前見返しに「寛文九年ノ出版」。「FUKUSHIMA/PUBLIC LIBRARY/昭和 /8946(〜8948)」の紫スタンプ。「240/165」の青ラベル。「154/154」の黒ラベル。「159・6/N/1(〜3)」の赤ラベル。

その他 巻五に虫損あり、補修済み。

 

〔6〕 寛政元年松村九兵衛等求版

 

 々餡饋渊餞杪◆,錚隠毅后47/1(〜5止メ)(平成4年1月31日調査)

体裁 大本、六巻五冊(巻六欠)、袋綴じ。

表紙 白緑色表紙、縦二五五ミリ×横一八四ミリ(巻一)。巻五の後表紙は白緑色の表面紙が剥落している。

題簽 左肩に、後補書題簽、縦一九八ミリ×横四〇ミリ(巻一)。

  「貞女教訓鑑草 中江藤樹 一」

  「貞女教訓鑑草 中江藤樹先生著 二(〜五)」

匡郭 なし。一行の字の高さ、序…二一八ミリ(巻一、1丁オ1行目)。本文…二一五ミリ(巻一、6丁オ3行目)。

柱刻 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同様であるが、部分的に欠字などがある。

刊記 巻五の後見返しに次の如くある。

  「寛政改元巳酉歳四月

          通本町三丁目

     東都書肆  西 村 源 六

          順慶町五丁目

           渋川与左術門

     摂陽書肆 心斎橋南一丁目

           松村九兵衛」

蔵書印等 「幸住」陰刻方形朱印(一三ミリ×一三ミリ)。「宮田文庫」陽刻長方形朱印(縦六〇ミリ×横一三ミリ)。「帝国図書館蔵」陽刻方形朱印(四五ミリ×四五ミリ)。「帝国/昭和二〇・三・二四購入」陽刻円形朱印(径二四ミリ)。「わ159/47/1(〜5)」の緑ラベル。その他朱印一顆。

その他 巻六欠。巻二の十八丁は落丁であるが、書写で補っている。

 

 

   【二】延宝三年版絵入本系統

 

 

 〔1〕 延宝三年福森・村田版

 

  ゝ都大学附属図書館蔵 185/カ3(平成4年3月18日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 濃藍色原表紙(金泥にて草花の模様を描く)、縦二六六ミリ×横一九〇ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なし原題簽(巻一、巻二は縦の右のみ単線あり)、

 縦一六九ミリ×横三六ミリ(巻一)。

  「鑑草巻之一/孝逆報」

  「鑑草巻之二/守節背夫報」

  「鑑草巻之三/不嫉妬毒報」

  「鑑草巻之四/教子報」

  「鑑草巻之五/慈残報仁虐報」

  「鑑草巻之六/淑睦報廉貪報」

目録題・目録尾題なし。

内題 各巻本文の前に次の如くあるが、巻五のみ草書体。

  「鑑草巻之一 孝逆之報」

  「鑑草巻之二 守節背夫報」

  「鑑草巻之三 不嫉妬毒報」

  「鑑草巻之四 教子報」

  「鑑草巻之五 慈残報」

  「錘草巻之六 淑睦報」

序題・尾題 なし。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一七ミリ×横一六七ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一七ミリ×横一六六ミリ(巻一、5丁オ)。縦は一行目と二行目の間、横は一字目と二字目の間で、ノドの界線の外側から柱題の「鑑」の右端で計測した。以下同じ。

柱刻 版心は白口で界線なし(挿絵の丁を除く)。上部に書名・巻数、下部に丁付。

  「鑑草巻之一 一(〜卅三終)」

  「鑑草巻二 一(〜廿九終)」

  「鑑草巻三 一(〜廿二終)」

  「鑑草巻四 一(〜十四終)」

  「鑑草巻之五 一(〜卅四終)」

  「鑑草巻之六 一(〜十六終)」

丁数 巻一…三十三丁(内、序四丁)。

   巻二…二十九丁。

   巻三…二十二丁。

   巻四…十四丁。

   巻五…三十四丁。

   巻六…十六丁。

   合計…一四八丁。

行数 毎半葉、序・本文は十二行、批評の部分は一字下げで十八行。

字数 一行、序・本文は約二十二字、批評の部分は一字下げで約二十九字。

例話 正保四年版、中江藤樹記念館・A本と同じ。

本文 漢字交り平仮名。振り仮名・濁点を施す。句読点は、まれに「.」「。」を施す。(巻三の15丁オ10行目、巻四の10丁オ1行目・2行目、14丁ウ9行目、巻六の8丁ウ2行目など)。

挿絵 巻一…片面十図(12丁オ、13丁ウ、17丁オ、19丁オ、20丁ウ、22丁ウ、24丁オ、26丁ウ、28丁ウ、33丁ウ)。

   巻二…片面十三図(5丁オ、7丁オ、9丁オ、11丁オ、13丁ウ、15丁ウ、17丁ウ、19丁オ、21丁ウ、23丁ウ、26丁オ、28丁オ、29丁ウ)。

   巻三…片面八図(4丁ウ、6丁ウ、7丁ウ、9丁オ、11丁ウ、14丁オ、16丁オ、18丁ウ)。

   巻四…片面五図(5丁ウ、7丁ウ、9丁ウ、11丁オ、12丁ウ)。

   巻五…片面十五図(6丁ウ、9丁オ、10丁ウ、13丁オ、15丁オ、17丁ウ、19丁ウ、21丁オ、23丁オ、25丁ウ、28丁オ、29丁ウ、31丁オ、33丁オ、34丁ウ)。

   巻六…片面六図(3丁ウ、5丁ウ、10丁オ、12丁オ、14丁オ、16丁オ)。

   合計…片面五十七図。

序  巻一の一丁〜四丁に藤樹の自序があるが、年記はない。

跋  なし。

刊記 巻六の十六丁ウに、

  「延宝三乙卯年

     村田庄五郎

           板行

     福森兵左衛門  」

蔵書印等 「八田所蔵」陽刻長円形朱印(縦三一ミリ×横一九ミリ)。「サトウ」陽刻長方形朱印(縦二五ミリ×横一三ミリ)。「京都帝国大学図書之印」陽刻方形朱印(四八ミリ×四八ミリ)。「京大/218535/大正10、8、30」黒印。「85/カ/3」の黒ラベル。

 

 ◆,茶の水図書館蔵・成簣堂文庫(平成4年8月5日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 水浅葱色原表紙、縦二六三ミリ×横一八九ミリ(巻一)。この上に、厚手和紙を二つ折りにした渋引き保護表紙を付す。

題簽 左肩に四周単辺(部分的に線を欠く)原題簽。延宝三年版、京大本と同様であるが、巻一、巻二の上部に欠損あり。保護表紙には直接墨書で「中江藤樹著/鑑草 一」「鑑草 二(〜六)」とあり。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一八・五ミリ×横一六六ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一八ミリ×横一六六ミリ(巻一、5丁オ)。

蔵書印等 「徳富猪一郎印」陰刻方形朱印(縦三六・五ミリ×横三六ミリ)。「徳富文庫」子持枠陽刻長方形朱印(縦五三ミリ×横一九ミリ)。「徳富猪一郎」陰刻方形朱印(三四ミリ×三四ミリ)。「須愛護/蘇峰嘱」陽刻変円形朱印(縦三三ミリ×横二七ミリ)。巻一前表紙に「延宝板/中江藤樹作/婦女教訓書」と墨書。巻一の保護表紙に「延宝板」と朱書、「共六」と墨書。巻一に白の付箋あり「延宝板 中江藤樹著/鑑草 共六」と墨書。巻一前見返しに「38、1、9 六冊 65 名古屋□中堂」と鉛筆書。

 

  国文学研究資料館蔵 ヤ9/28/1(〜6)(平成4年2月14日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 藍色原表紙、縦二七四ミリ×横一九五ミリ(巻一)。巻一の前、後、巻二の前、後、巻五の前、巻六の後は、藍色の表面紙が、全部または部分的に剥落している。

題簽 巻一、巻三、巻五、巻六は、延宝三年版、京大本と同様の、枠なし原題簽の部分を存す。巻二は芯紙に直接「鑑草 巻之弐」と墨書。巻四は剥落の跡のみ。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一七ミリ×横一六四ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一七ミリ×横一六四ミリ(巻一、5丁オ)。

蔵書印等 「国文学研究資料館」陽刻長方形朱印(縦三九ミリ×横二四ミリ)。「国文学研究資料館/22153(〜22157)/昭和51年1月28日」陽刻横長円形朱印(数字は黒スタンプ、なお、巻六には押されていない)。「ヤ9/28/1(〜6)」の黒ラベル。

 

 ぁ|羚焼樹記念館蔵・図書室本 112/13/1(2)(平成4年3月20日調査)

体裁 大本、六巻二冊、袋綴じ。

  第一冊目…巻一、巻二、巻三。

  第二冊目…巻四、巻五、巻六。

表紙 万字つなぎ牡丹唐草模様黒色表紙、縦二五五ミリ×横一八三ミリ(1冊目)。

題簽 なし。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一七ミリ×横一六六ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一七ミリ×横一六五ミリ(巻一、5丁オ)。

蔵書印等 「松本蔵書」陽刻方形朱印(二七ミリ×二七ミリ)。「112/13/1(2)」の赤ラベル。

 

 

  〔2〕 無刊年記福森・村田版

 

  ‖膾綵子大学附属図書館蔵 150・2/N3/1(〜6)(平成4年3月17日調査)

体栽 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 藍色原表紙、縦二六〇ミリ×横一八八ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なし原題簽(右側のみ単線あり)。延宝三年版、京大本と同様であるが、巻五など摩損がある。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一八・五ミリ×横一六七ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一八・五ミリ×横一六六・五ミリ(巻一、5丁オ)。

柱刻 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁は無し。

丁数 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁は無し。

挿絵 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁オの絵は無し。

刊記 巻六の後見返しに、

  「 村田庄五郎

          板行

    福森兵左衛門  」

蔵書印等 「書肆●《○の中に「利」》/大垣/俵町/平流軒利兵衛」陽刻長方形黒印(縦四一ミリ×横二九ミリ)。巻一前表紙に白紙貼付、「百五十二/全 六巻/(摩損)/書肆/平流軒」とある。「寄贈/平林秋子/35年7月4日」の黒スタンプ。「大阪女子大学附属図書館/寄贈/8558(〜8563)」の黒スタンプ。「150・2/N3/1(〜6)」の黒ラベル。

その他 巻六の十六丁オの挿絵を削除して、十六丁ウの刊記の「延宝三乙卯年」を省き、書肆名のみ後見返しに入れている。

 

 ◆々畧鄲膤愽軋或渊餞杪◆神原文庫 K159/6(平成4年3月16日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 水色原表紙、縦二六五ミリ×横一七七ミリ(巻一)。巻一の前の下部、後の全体、巻二の後の下部、巻三の前の下部、巻四の前の下部、巻五の前の下部、巻六の前の下部は、それぞれ、水色の表面の紙が剥落している。巻一〜巻三は新しい糸で綴じ直されている。

題簽 剥落の跡のみ。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一七ミリ×横一六四ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一七ミリ×横一六三ミリ(巻一、5丁オ)。

柱刻 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁は無し。

丁数 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁は無し。

挿絵 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁オの絵は無し。

刊記 巻六の後見返しに、

  「  村田庄五郎

           板行

     福森兵左衛門  」

蔵書印等 「神原家図書記」陽刻長方形黒印(縦四五ミリ×横一二ミリ)。「香川大学附属図書館」陽刻方形朱印(四五ミリ×四五ミリ)。「寄贈図書/神原文庫/香川大学設立準備委員会」横長円形赤色スタンプ。「昭和(乙)/31・3・30/受入118213(〜118218)号」横長円形紫スタンプ。「K159・6/2/1(〜6)/C」の紫スタンプ。

その他 巻六の十六丁オの挿絵を削除して、十六丁ウの刊記の「延宝三乙卯年」を省き、書肆名のみ後見返しに入れている。巻三の十九丁に破損あり。

 

  〔3〕 無刊記植村求版

 

  ゞ眤大学附属図書館蔵 2/43/7(平成5年3月17日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 青色原表紙、縦二六八ミリ×横一八九ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なし原題簽(右側の縦線が部分的に存す)、縦一六九ミリ×横三五ミリ(巻一)。題簽題等、延宝三年版、京大本と同様。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一七ミリ×横一六六ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一六・五ミリ×横一六六ミリ(巻一、5丁オ)。

柱刻・丁数・挿絵 延宝三年版、京大本と同様。

刊記 巻六の十六丁ウに、

  「堀川通高辻上ル町

       植村藤右衛門

   通本石町十軒店角  板行

       植村藤三郎   」

右の内、「板行」のみ、延宝三年版と同じで、他は書体も明朝体に改めている。「植村藤三郎」と「板行」の墨が濃い。

蔵書印等 「第四高等学校図書」陽刻方形朱印(縦六一ミリ×横六〇ミリ)。「第四高等学校/図書室/明治卅八年三月廿三日」陽刻横長円形朱印(年月日など墨書を混合)。「2門/43類/7号」の白ラベル。

その他 金沢大学附属図書館のカードは「寛文9年版」としているが、現物はこの蔵本である。『国書総目録』はこのカードに拠ったものと思われる。

 

  〔4〕 無刊記版

 

  ヽ惱院大学附属図書館蔵 1O5/80(平成4年8月11日調査)

体裁 大本、六巻六冊、袋綴じ。

表紙 水浅葱色原表紙、縦二五八ミリ×横一八〇ミリ(巻一)。

題簽 巻一、巻五は、左肩に四周単辺の原題簽、縦一六九ミリ×横三四ミリ(巻一)。題簽題等、延宝三年版、京大本と同様。他の巻は剥落の跡に次の如く墨書。巻二「嘉賀美具佐」、巻三「加賀見久左」、巻四「鑑艸」、巻六「嘉賀美具佐」。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一六・五ミリ×横一六五ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一七ミリx横一六四ミリ(巻一、5丁オ)。

柱刻 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻六の十六丁目は無し。

丁数 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻二の二十八丁が落丁、巻三の八丁が重複している。

挿絵 延宝三年版、京大本と同様であるが、巻二の二十八丁オの絵は落丁のため欠。

刊記 なし。巻六の十六丁ウは空白となっている。

蔵書印等 「学習院図書記」陽刻方形朱印(五二ミリ×五二ミリ)。「学習院図書館/105/80/38278」(巻一)の肌色ラベル。通し番号、巻二「38283」、巻六「38279」と逆になっている。「105/80」の黒ラベル。

その他 巻二の二十八丁落丁。巻三の八丁重複。巻六の十六丁ウが空白となっている。

 

 ▲ 岐阜市立図書館・取合本 15/91/2(4B)(国文学研究資料館、マイクロフィルムに拠る。未見)

  寛文九年、西沢版との取合本である。巻四、巻六の二巻を存し、巻六の刊記は、学習院大本と同様に空白であるが、柱刻は丁数も入っている。

 

  〔5〕 その他

 

 ゝ都大学文学部蔵 国文学/Pb/9(平成4年3月18日調査)

体裁 大本、五巻五冊(巻六欠)、袋綴じ。

表紙 白茶色原表紙、縦二六二ミリ×横一八〇ミリ(巻一)。

題簽 左肩に枠なし原題簽を存するが、巻四はほぽ完全、巻五は部分欠損、巻二、巻三は摩損多く、墨筆・朱筆で補筆、巻一は欠。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一六ミリ×横一六四ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一八ミリ×横一六四ミリ(巻一、5丁オ)。

刊記 巻六欠のためなし。

蔵書印等 「京都帝国大学図書」陽刻方形朱印(三五ミリ×三五ミリ。「495308/昭和、7、7」の黒印。

その他 巻六欠。

 

 ◆|羚焼樹記念館蔵・A 収蔵庫本(平成4年3月20日調査)

体裁 大本、六巻二冊、袋綴じ。

  第一冊目(上)…巻一、巻二、巻三。

  第二冊目(下)…巻四、巻五、巻六。

表紙 薄水色表紙、縦二四八ミリ×横一七八ミリ(1冊目)。題簽から推測すると、一冊目は巻五、二冊目は巻三の表紙を利用した可能性がある。

題簽 左肩に四周単辺の原題簽、縦一七〇ミリ×横三五ミリ(1冊目)。書名の下に白紙(上=縦七七ミリ×横三一ミリ、下=縦七六ミリ×横二九ミリ)を貼付し、巻数等を墨書する。

 「鑑草 巻一 孝逆報/巻二 守節背夫報/巻三 不疾妬毒報/上」

 「鑑草 巻四 教子報/巻五 慈残報仁虐報/巻六 淑睦報廉貪報/下」

 一冊目は巻五のもの、二冊目は巻三のものを利用しているものと思われる。

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一八ミリ×横一六四ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一七・五ミリ×横一六四ミリ(巻一、5丁オ)。

柱刻・丁数・挿絵 巻六の十六丁が落丁のため、この一丁欠。

刊記 なし。ただし、十六丁オに挿絵、十六丁ウに刊記を書写で補っている。刊記は、

  「延宝三乙卯年

     村田庄五郎

           板行

     福森兵左衛門  」

とあり、その後に、朱の識語が次の如くある。

  「大正十一年四月京都帝国大学蔵書本ニツキ比較研究スルニ延/宝三年版卜全ク同一ナルヲ認メ茲ニ其落丁ヲ補フ/紫水識」

  右の書写は、この識語から京大本に拠っている事がわかるが、書写は、かなり忠実である。書写者は、小川喜代蔵氏である。

蔵書印等 「□頭氏蔵書印」陽刻長方形朱印(縦二二ミリ×横二〇ミリ)。「藤樹書院」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。

 「分類=第一門第一類/台帳順号=第四一四号/書目順号=第四〇号/函架号=架第七号/大小ノ別=大/装釘区別=和/排列番号=第二七号/蔵書委託ノ別=蔵書」の黒ラベル。

その他 巻六の十六落丁。これを書写で補う。

 

  中江藤樹記念館蔵・B 収蔵庫本 12(平成4年3月20日調査)

体裁 大本、四巻三冊(巻五、巻六欠)、袋綴じ。

  第一冊目…巻一。

  第二冊目…巻二。

  第三冊目…巻三、巻四。

表紙 水色後補表紙(空押模様あり)、縦二五五ミリ×横一八一ミリ(1冊目)。

題簽 左肩に後補書題簽、縦一八六ミリ×横四三ミリ(3冊目)。

  「鑑草 一」「鑑草 二」「かゝ見草 三四」

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。序…縦二一六ミリ×横一六四ミリ(巻一、1丁オ)。本文…縦二一六ミリ×横一六四ミリ(巻一、5丁オ)。

蔵書印等 「藤蔭」陽刻方形朱印(一四ミリ×一四ミリ)。「藤樹□□」陰刻長方形朱印(縦二四ミリ×横一八ミリ)。「藤樹書院」陽刻方形朱印(三〇ミリ×三〇ミリ)。

その他 巻五、巻六欠。

 

 ぁ|羚焼樹記念館蔵・C 図書室本 112/12(平成4年3月20日調査)

体裁 大本、一巻一冊(巻五のみ存)、袋綴じ。

表紙 雷文つなぎ牡丹唐草模様焦茶色原表紙、縦二六三ミリ×横一八六ミリ。

題簽 左肩に、右側のみ単線のある原題簽、縦一六六ミリ×横三四ミリ。

  「鑑草 巻之五/慈残報仁虐報」

匡郭 四周単辺、ただし、版心の界線なし。本文…縦二一五ミリ×横一六五ミリ(巻五、1丁オ)。

蔵書印等 「平塚蔵書」陽刻長方形朱印(縦四一ミリ×横一三ミリ)。「松平蔵書」陽刻方形朱印(二七ミリ×二七ミリ)。

その他 巻五のみの端本。

 

 

  写  本

 

  \轍兎科幻紡◆松井文庫 25190/2/538・24(平成4年8月26日調査)

体裁 大本、天地二冊、写本、袋綴じ。

  第一冊目・天…巻一、巻三。

  第二冊目・地…巻四、巻五。

表紙 鴇色表紙に花模様(柿茶色と鼠色)を配す。縦二七三ミリ×横一九〇ミリ(天)。

題簽 左肩に書題簽、縦一九九ミリ×横四五ミリ(天)。

 「中江藤樹先生著/かゝ見久さ 天」

 「かゝ見久さ 地」

序題 なし。

内題 一冊目(天)

 「鑑草巻之一」

 「不嫉妬毒報」

  二冊目(地)

 「仁虐報」

 「教子報 四」

 「鑑草巻之五」

匡郭 なし。一行の字の高さは、二二〇ミリ前後。

丁付なし。

丁数一冊目(天)

  巻一…三十七葉(内、序五葉)。

  巻三…二十四葉。

  二冊目(地)

  巻五…八葉。

  巻四…十四葉(6丁ウ・7丁オが欠)。

  巻五…二十五葉(21丁オが欠)。

行数・字数等 正保四年版と同様。

蔵書印等 「硯湖秘蔵寄書之壱」陽刻長方形朱印(縦四八ミリ×横二八ミリ)。「山崎家蔵」陽刻方形朱印(縦二五・五ミリ×横二四・五ミリ)。「誠」陰刻方形朱印(一〇ミリ×一〇ミリ)。「松井氏蔵書章」陽刻長方形朱印(縦三五ミリ×横二六ミリ)。「静嘉堂蔵書」子持枠陽刻長方形朱印(縦五〇ミリ×横一五ミリ)。「改写」陽刻長方形黒印(縦一三ミリ×横七ミリ)。一冊目後見返しに「天保元寅年十二月写之畢/源長松(印)」と墨書。印は「封」陰刻長方形朱印(縦一三ミリ×横一一ミリ)。

その他 この写本は、正保四年版の写しと思われる。巻一、巻三、巻四、巻五を収めているが、巻四の一丁分、巻五の半丁分が欠けている。

 現在までに調査し得た『鑑草』の諸本は以上の通りである。未調本も若干あるが、これについては、改めて調査することとし、右の諸本に関して考察を加えることにする。

 

 

 

   【一】 正保四年版系統

 

  〔1〕 正保四年風月宗知版

 

 『鑑草』の初版は、正保四年八月、京都の書肆・風月堂宗知から刊行されたものであろうと推測されるが、風月堂が本書を出版するについては、『翁問答』に関連して、中江藤樹との間に、ちょっとしたいざこざがあったらしい。それは、藤樹の、池田与兵衛等に宛てた、慶安元年三月十九日付書簡によって知ることが出来る。

 「あまり久布申絶御床敷存候条大坂平久迄頼候て捧愚翰候。如何御息災ニ御座候哉。拙夫無恙罷在候可御心易候(略)

 一、当代世間のまよひをわきまへたる議論をあつめ翁問答と題し、同志の提撕に仕候を京にてぬすみいだし、板にほりかけ申を見つけ、いろ/\ことはり仕板をやぶり申候。其故ハまへかど書申候ものニ候ヘバ、われら気ニ不入処あまた御座候。かきなをし可申覚悟御座候故に候。此故其元へも不遣候中やぶり申板やそんまいり候て迷惑仕旨ことわり申候ニ付、女中方ノ勧戒にと、迪吉録のぬき書に評判をかきたる書を鑑草と題し前かどより御ざ候を、かのそんのつぐのひに板行仕せ申候。いまだ京にてはひろくうり不申候。御なぐさにと一部おくり進候。御覧可被成候。故事は迪吉録・三綱行実などのぬき書、評は鄙夫の愚案にて御座候。(中略)

  三月十九日         中江与右衛門

                       花押

   池田与兵様

       人々御中               」

                         (『藤樹先生全集』巻之十八)

 つまり、中江藤樹は、寛永十七、八年の頃、『翁問答』を執筆したが、同二十年、京都の書肆某が、門人の転写本を使用して、無断でこれを出版した。藤樹は、意に充たない内容であるという理由から、その中止を申し入れ、版木を破却させた。その後、版元が、その失費を嘆いてきたので、その埋め合わせに、前々(寛永十三、四年の頃か?)から執筆していた『鑑草』を与え出版させた、という事である。したがって、『翁問答』を無断で出版したのは、京都の風月宗知であったことも判明する。

 藤樹は、正保四年八月刊行の本書が、翌慶安元年三月に、同じ京都で、未だ広く販売されていない、と書いている。あるいは、刊記と実際の刊行年月の間に、何等かの事情で、ずれが生じたのかも知れない。

 本書についての、当時の書籍目録の記録は次の通りである。(注1)

 愎携捗饑厂槝拭拏緬棔碧治2年10月11日書写、東寺観智院蔵)

 「平家物語 保元平治(物語) 伊曽保物語 緊楽物語 祇園物語 宝物集 可笑記 曽我物語 西行物語 鵜鷺物語 信長記 善悪集 栄華物語 翁問答 義経記 撰集鈔 大坂物語 清水物語 秋夜長物語 化物語 鑑草」55丁ウ

◆慙卒曾饑厂槝拭戞粉科牽暁頃刊)

 「六冊/かゝみ草」

『増補書籍目録/作者付・大意』(寛文10年刊、西村版)

 「六冊/かゝみ草 同断(古事をしるし女のをしへ也)孝行 逆報 守節背夫報 不嫉妬毒報 教子報 慈残報 仁虐報 淑睦報 廉貪報」

ぁ愎携珍補書籍目録/作者付大意』(寛文11年刊、山田版)

 「かゝみ草 同断(古事をしるし女のをしへ也)/六/孝行 逆報 守節背夫報 不嫉妬毒報 教子報 慈残報 仁虐報 淑睦報 廉貪報」

ァ愾続古今本朝彫刻書籍題林大全/作者付・大意入』(延宝3年4月刊、京・毛利版)

 「六/かゝミ草 同断(古事をしるし女のおしへ也)/孝行 逆報 守節背夫報 不嫉妬毒報 教子報 慈残報 仁虐報 淑睦報 廉貪報」

Α愎形書籍目録』(延宝3年5月刊、江戸・書林版)

 「六/鑑草」

 「六/同絵入」

А愎契饅饑厂槝紳臍粥芯消壁嫗膂奸戞文杵存鞠刊、山田版)

 「六/鑑草  四匁五分

  六/同絵入 六匁  」

─惺益書籍目録』(貞享2年刊、西村他版)

 「六/かゝミ草 同断(古事をしるし女のおしへ也)/孝行 逆報 守節背夫報 不嫉妬毒報 教子報 慈残報 仁虐報 淑睦報 廉貪報」

『本朝彫刻広益書籍目録大全/作者付大意』(元禄5年刊、永田・西村・坂上・八尾版)

 「六/かゝ見草 同断(古事をしるし女のおしへとなす)/孝行 逆報 守節背夫報 不嫉妬毒報 教子報 慈残報 仁虐報 淑睦報 廉貪報

  六/同新板ゑ入」

『増益書籍目録大全』(元禄9年刊、河内屋版)

 「六/村勘左/鑑草 三匁

  六/福 森/同絵入 三匁三分」

『新板増補書籍目録/作者付大意』(元禄12年刊、永田他版)

 「六/かゝミ草 同断(古事をしるし女のおしへとす)」

『増益書籍目録大全(増修本)』(宝永6年刊、丸屋源兵衛版)

 「六/村勘左/鑑草 三匁

  六/福 森/同絵入 四匁三分」

『増益書籍目録大全』(正徳5年刊、丸屋源兵衛版)

 「六/村勘左/鑑草 四匁

  六/福 森/同絵入 五匁三分」

『鑑草』は、万治二年の写本『新板書籍目録』に『伊曽保物語』『聚楽物語』『祇園物語』『可笑記』『信長記』『翁問答』『大坂物語』『清水物語』などと共に記載されているが、初版が十二年前であるので、当然とも言える。おそらく、この「鑑草」は初版のもので、万治二年九月刊の伊吹権兵衛版ではなかろうと思う。

 ここに一括掲出した、書籍目録の記録については、以下の各版の項で随時参照してゆきたい。

 

版元の「風月宗知」は、書肆・風月堂の初代・風月庄左衛門宗智(生没未詳)、沢田氏、寛永中創業。京都二条通観音町居住。儒書、医書などを多く刊行した。

 寛永四年刊行『長恨歌・琵琶行・野馬台詩』が今のところ古いようで、『医法明鑑』(同五年)、『本草綱目』(同九年)、『孔子家語』(同十五年)、『丙辰紀行』(同年)、『新蒙求』(同二十年)、『真字伊勢物語』(同年)、『三千句』(同二十一年)、『古事記』(同年)などがあり、正保四年には『仮名貞観政要』を刊行している。(注2)

 『鑑草』は、現在のところ、中江藤樹記念館にも藤樹の自筆本はもとより、書写本も伝存していない。この正保四年版は、最も早い本文であり、藤樹自身、刊行の翌年三月、京都では未だ広く販売していないからと、池田与兵衛に直接贈呈している。しかも、作者はその八月二十五日に没しているのである。これらの諸条件を考え合わせる時、この正保四年版は、最も重視すべき本文であると言うことが出来る。

 正保四年版の諸本について、その刷時の先後を考えるため、全体の文字の欠損、版面の状態等を比較した結果、中江藤樹記念館・A本(写真、癸院Ν癸押Ν癸魁法東大・A本が早印本で、以下、謙堂文庫本(写真、癸粥Ν癸機法中江藤樹記念館・B本(写真、癸供法東大・B本、筑波大本(写真、癸掘砲僚腓砲覆襪隼廚錣譴襦なお、『藤樹先生全集』第三冊に「鑑草古版本」(正保本)として、序、本文(巻一)、刊記の三枚の写真を掲出しているが、これは、現在、中江藤樹記念館に所蔵されている正保四年版とは別の本である事が、蔵書印等からわかる。

〈HTML版注=ここでは写真は省略する〉

 

  〔2〕 万冶二年伊吹権兵衛求版

 

 この版は、正保四年版の版木を使った後印本である。刊記に「万治弐年/戊九月吉日」とあるが、万治二年の干支は「己亥」で、万治元年が「戊戌」である。万治は七月二十三日に改元しており「万治弐年」が「万治元年」であれぱ問題はないが、刊記はどう見ても「弐」と「戊」である。あるいは「戊戌」の万治元年刊行予定であったが、何らかの事情で万治二年に延引したのかも知れない。

 刊記の書肆「伊吹権兵衛」については、詳細は現在、未詳であるが、正保三年に『書言故事大全』、承応元年に『先天図』を刊行している。(注3)

 諸本は、中江藤樹記念館に三本が所蔵されている。この三本の文字の欠損の状態等を比較してみた結果、この中では、A本(写真、癸検Ν癸后Ν10・11)が刷りが早く、B本(写真・12)、C本(写真、13)は、さらに後の刷りと思われる。A本には、書誌の項(46ページ)で記した如く、各表紙、題簽の右側に「藤樹先生全集原稿/第三冊ノ六」(巻一)等と墨書され、各巻前見返しに「藤樹先生全集 巻之二十七」(巻一)等と朱書され、各内題には直接、印刷用のボイン卜指定が施されている。これを『藤樹先生全集』第三冊と比較すると、いずれも符合するので、この、A本を全集の原稿に使用したものと推定される。解題には、正保版を初版としながら、何故、万治二年の後印本を原稿に使用したか、理解できない。明治・大正期には、原本を直接原稿に使用している例が時折見られるが、現在では考えられない事である。

 

  〔3〕 寛文九年西沢太兵衛求版

 

 この版でみることが出来たのは、国会図書蔵本(写真、14・15・16・17・18)のみである。この寛文九年版は、万治二年版の版木を使った後印本であるが、巻一の一丁〜五丁の序の部分を改刻して、一丁分を縮めている。

 改刻部分の両版の異同は次の如くである。

 1.寛文九年版が漢字を仮名に改めたもの………36

   例 報→むくひ 行ひ→おこなひ 受→うく 皆→みな 栄→さかふ

 2.寛文九年版が仮名を漢字に改めたもの………6

   とも→共(2) すて→捨 なり→也(2)

 3.寛文九年版が振り仮名を省いたもの…………53

 4.寛文九年版が振り仮名を付加したもの………5

 5.寛文九年版は「鑑草之序」を付加している。

 これらの異同を見ると、寛文九年版は、漢字を仮名に改め、振り仮名を省き、冒頭に序題を付加しているが、その他には特別に改変意図は認められない。万治二年版は一行約二十二字であるが、寛文九年版は一行約二十四字と字数を多くし、万治版五丁オの五行分を四丁までに収めて、一丁分を節約したものであろう。従って、丁付も「四ノ五」と改めている。

 刊記の「西沢太兵衛」は、正本屋太兵衛。西沢氏、名は貞陣。元禄十六年七月十二日没。万治中に正本屋として開業し、大阪上久宝寺町三丁目に居住した。出版物には『仁たんの四郎』(大和掾正本、万治二年)、『花物狂』(寛文二年)、『いしやまもんだう』(同年)、『古今象戯鏡』(寛文三年)、『をときぱうこ』(寛文六年)、『鉄槌』(寛文十二年)などがある。(注4)

 

  〔4〕 天明元年尾張屋勘兵衛求版

 

 この版は、寛文九年版の版木を使った後印本であると思われるが、さらに、六丁から八丁までを改刻している。現在までに調査し得たのは、東大本(写真、19・20・21・22・23)と、早大本(写真、24・25・26奸砲任△襦

 六丁から八丁までの改刻部分の異同は次の如くである。

 1.天明元年版が仮名を漢字に改めたもの………83

   例 なり→也(11) こゝろ→心(6) これ→是(5)

     もの→物(5) よめ→婦(4)  きやくしん→隔心

 2.天明元年版が漢字を仮名に改めたもの………6

   思ふ→おもふ 理り→ことハり 取→とり 事→こと

   道→みち   本心→ほんしん

 3.天明元年版が振り仮名を付加したもの………38

 4.天明元年版が振り仮名を省いたもの…………1

 5.仮名遣いの異同(天明版が下)………………22

   例 福(さいわひ)→福(さいわい) をしく→おしく

     おこなひ→をこなひ 天道(てんたう)→天道(てんとう)

 6.その他の異同(天明版が下)…………………5

   父母(ふぼ)→父母(ちゝはゝ)誠→実(まこと)

   人もこれを→人これを 容儀(ようぎ)→容義(ようぎ)

   かと有ふりのつかへ→かと有物つかへ

 右の異同からも解るように、天明元年版に、特別の意図をもって、内容を改めようという態度は見られない。九丁以下の本文の刷の状態からも察せられるように、正保四年の初版刊行より、この天明元年まで一三〇年以上の年月を経過しており、この間に、版元も何度か変えながら、かなりの部数印刷されたものと思われ、版木の欠損も相当見られる。この様な事情から、巻一の六丁から八丁までを、新たに彫り直して売り出したものと推測される。

 版元の尾張屋勘兵衛は、京都四条柳馬場東入、また四条通富小路西入に、住し、寛文九年に『和論語』を刊行し、明治期まで、代々存続した書肆である。

 以下、書林弘所として記す書肆について、井上和雄氏、矢島玄亮氏、井上隆明氏の著書に拠って整理すると、次の如くである。

八文字屋庄兵衛 天明〜、京都二条通堺町東入ル。『絵本雨やどり』(天明)、『雨の晴間』(天明六年)、『籠かき』(天明二年序)など。

近江屋治郎吉 安永〜寛政、京都麩屋町通御池下ル。『和歌職原捷径』(天明三年)、『伊州東条孝子留松伝』(天明四年)など。

炭屋勘兵衛 安永〜寛政、京都烏丸通松原下ル、天明頃、松原通柳馬場東入町に移転。『京大町かがみ』(正徳五年)など。

炭屋文蔵 安永〜天明、京都西堀川松原上ル。『朝倉新話』(安永九年序)、『明徳和賛』など。

 伝本、二本の内では、版の欠損状態から推測すると、東大本の方が早印であると思われる(写真、27・28)。

 

 無 刊 記 版

 

 書誌の項で、無刊記版として、七点を掲げたが、その後の調査で、これらの諸本には二種のものがある事が判明した。正保四年版の後印本と覆刻版とである。したがって、

 〔5〕 無刊記後印本

 〔6〕 無刊記覆刻版

の如く分類したいと思う。

 

  〔5〕 無刊記後印本

 

 無刊記版の内、後印本と思われのは、次の三点である。

  (‥膰立図書館蔵(六巻、三冊に合綴)。

 ◆‥堽中央図書館蔵・東京誌料(巻三〜巻六の四巻、一冊に合綴。写真、29・30・31・32・33)。

  都立中央図書館蔵・井上文庫(巻一・巻二の二巻、一冊に合綴)。

 これは、正保四年風月堂版の後印本で、刊記の無い本であり、刷りは、万治二年版より早いものと思われる。したがって、正保四年の風月堂版と万治二年伊吹版の間に、刊記・書肆名のないものが刷られた事になる。ただ、この中で、の都立中央図書館・井上文庫本は、正保四年の刊記を持つものの端本という可能性もある。この都立中央図書館蔵の二本は、次の無刊記覆刻版との取合本である。次項で、やや詳しく述べたい。

 

  〔6〕 無刊記覆刻版

 

 無刊記版の内、覆刻版(かぶせ版)と思われるのは、次の六点である。

  |羚焼樹記念館蔵(六巻、六冊)。

 ◆ゝ都大学附属図書館蔵(六巻、二冊に合綴)。

  国会図書館蔵(六巻、六冊)。

 ぁ〆寛貘膤愽軋或渊餞杪◆箆惨、六冊)。

 ァ‥堽中央図書館蔵・東京誌料(巻一・巻二、一冊に合綴)。

 Α‥堽中央図書館蔵・井上文庫(巻三〜巻六、一冊に合綴)。

 この版は、正保四年版の覆刻版(かぶせ版)であると思われるが、各蔵本の文字の欠損等を比較した結果、この中では、中江藤樹記念館本(写真、34・35・36・37・38)と国会本が、やや早い刷りで、佐賀大学本(写真、39・40)と都立中央の二本は、後の刷りと思われる。

 正保四年版と比較すると、かなり忠実な覆刻である。巻三の二丁ウ四行目の行間の補刻、巻四の二丁ウ九行目の「災ひ」、巻五の十三ウ十一行目の「秦潤夫」など、原版に誤りがあっても、そのまま踏襲している所もある。その他、主なものを掲げると、次の通りである。

 ヾ一の4丁オ11行目=地獄→地獄(こく)

 巻五の7丁ウ1行目=国王(くわう)→国王(こくわう)

 4五の29丁ウ8行目=出ぬ→出(いて)ぬ

 ご六の8丁オ7行目=婦人(ふじん)→婦(ふじん)

 ゴ六の9丁オ4行目=諺(ことハざ)に(「に」の字形が全く異なる)

 Υ六の13丁オ3行目=北山下(ほくさんか)→北山下(ほくさんト)

 Т六の15丁オ7行目=貪(むさぶ)る→貪(むさべ)る

  ↓◆↓は振り仮名を付加したもの。イ蓮屬法廚琉曚覆訌霆饌里鮖箸辰燭發痢Δ蓮峅次廚凌兇蟆礁勝屬」を誤読したものか。Г論喫殀任凌兇蟆礁勝屬屐廚了形が「べ」に似ているのを、そのまま「べ」に改めてしまったもの。注意したいのはい如∪喫殀任療貘臻棔Γ舛任蓮嵒愎諭覆佞犬鵝法廚箸覆辰討い襪、東大本・Bでは「婦ノ(ふじん)」と「人」が欠損している。その他の異同関係をも含めて考えると、この無刊記覆刻版は、正保版の、やや後の刷りのもの(例えば、東大本・B)を利用して覆刻したものと推測される。参考のため、両版の異同の部分の写真を掲げておく(写真、41)。

 次に両版の寸法であるが、匡郭がないため判然としない点もあるが、各巻、一丁オ一行目の寸法を整理して示すと次の如くである。各蔵本によって、補修の有無や様々な条件が異なると思うが、やはり、覆刻版の方が、全体的に短いという事は言えると思う。

 

〈HTML版注=寸法表は省略。「均整初期文芸」11号を参照されたい〉

 

 都立中央図書館蔵の二本についてであるが、この二本は、いずれも、後印本と覆刻本の取合本である。東京誌料本は巻一・巻二が覆刻本、巻三〜巻六が後印本、井上文庫本は逆に、巻一・巻二が後印本、巻三〜巻六が覆刻本である。しかし、日比谷図書館では、この二つのコレクションを別々に購入したものであり、購入以前の段階で、それぞれが取合本であったという可能性が大きい。なお、井上文庫は、一冊目が巻一・巻二、二冊目が巻三〜巻六となっているが、あるいは、旧蔵者または古書店は、取合本である事を承知していたのかも知れない。

 

  〔7〕 寛政元年松村九兵衛等求版

 

 この版は、無刊記覆刻版の後印本であり、巻六を欠いているが、巻五の後見返しに刊記を付しているので、巻六なしで刊行したものと思われる。版木の破損などもかなり目立つものとなっている。現在、国会図書館(写真、42・43)に一本を蔵するのみである。

 刊記の松村九兵衛は、敦賀屋九兵衛、文海堂、松村氏、大坂順慶町五丁目、また、心斎橋筋南一丁目、錺屋町等に住し、『連歌至宝抄』(寛永四年)、『紅梅千句』(承応二年)等を刊行している(井上隆明氏『近世書林板元総覧』)。

 西村源六は、西村氏、文刻堂。享保から天保にかけて、江戸通本町三丁目に住した書肆。天保の頃、浅草黒船町に移転。『百人一句』(享保十二年)、『紫芝園稿』(宝暦二年)、『絵本浅紫』(明和六年)、『宋三家妙絶』(文化四年)等を刊行しており(井上和雄氏『慶長以来書賈集覧』)、矢島玄亮氏の『徳川時代出版者出版物集覧』には、一六九点の刊行書が掲示されている。

 渋川与左衛門は、矢島氏『徳川時代出版者出版物集覧』によれぱ、大坂で『忠義水滸伝抄訳』(天明四年)、『予之也安志夜』(寛政五年)などを刊行しているが、詳細は未詳である。

 

 

    【二】 延宝三年版絵入本系統

 

  〔1〕 延宝三年福森・村田版

 

 この版は、正保四年版系統のいずれかの版木を使用して、別に本文を作り、新たに挿絵五十七図を加添したものと解される。どの版本に近い本文であるかを判断するために、正保四年版の本文と比較した結果を、次に掲げる(範囲は、延宝三年福森・村田版の一丁〜十一丁である)。

1.延宝三年版が振り仮名を付加したもの………228

 例 明徳仏性(めいとくぶつしやう) 修行(しゆぎやう)

   誠(まこと) 福分(ふくぶん) 又(また) 子孫(しそん)

2.延宝三年版が振り仮名を省いたもの…………15

 例 其 然るに 思ひ 所 日 三十

3.延宝三年版が仮名を漢字に改めたもの………345

 例 とも→共 まて→迄 よく→能 わさハひ→禍 これ→是

4.延宝三年版が漢字を仮名に改めたもの………69

 例 明か→あきらか 虫→むし 事→こと 迷ひ→まよひ

5.仮名遣いの異同(下が延宝三年版)…………16

 愛(あひ)→愛(あい)(4) 福(さいはひ)→福(さいはい)

 愛敬(あひきやう)→愛敬(あいきよう) 互(たかひ)→互(たがい)

 あひしらひ→あいしらひ とひ→問(とい) 報(むくい)→報(むくひ)

 おもむき→をもむき おこなひ→をこなひ 夫(おつと)→夫(をつと)

 いとをしく→いとおしく 家(いへ)→家(いゑ)

 毛頭(もうとう)→毛頭(もうたう)

6.送り仮名を振り仮名に変えたもの……………5

 行(をこな)ひ→行(をこなひ) 理(ことハ)り→理(ことハリ)

 禍(わさハ)ひ→禍(わさハひ) 迷ひ→迷(まよひ)

 慰(なぐさ)ミ→慰(なくさミ)

7.用字の異同………………………………………6

 誠→実(まこと) 誠(まこと)→実(まこと) 我→吾(わが)

 在(あり)→有(あり) 容儀(ようぎ)→容義(ようぎ)

 難儀(なんぎ)→難義(なんぎ)

8.助詞を補ったもの………………………………3

 ところ有(あり)→所に有(あり) 男(おとこ)→男(おとこの)

 おとこ→男(おとこの)

9.その他の異同……………………………………2

 ヾ嫣雋之一

        → 鑑草巻之一 孝逆之報

  孝逆之報

 △とあるふりのつかへなれハ→かと有物のつかへなれバ

 右の異同を見るに、延宝三年版は、仮名を漢字に改め、振り仮名を付加し、送り仮名を振り仮名に改めるなど、いずれも、内容の改変というよりも、丁数の節減が目的であったものと思われる。仮名遣い、用字の異同も、この際、特に問題にする必要はないと思う。その他、全巻の中で目につく異同を掲げると以下の如くである。

 丁数行数は正保四年版で示した。

 巻二の20丁オ2行目=つぶさかに→つぶさに

 巻三の2丁ウ4行目=(行間に補刻)これ妬毒の報その三なり→

            是妬毒の損其三也(と本文に挿入)

 巻三の10丁ウ3行目=晋国(しこく)→晋国(しんこく)

 巻三の13丁オ11行目=すなハぢ→すなハち

 巻三の20丁オ9行目=●《「霊」の異体字》氏(れし)→●氏(れいし)

 巻四の2丁ウ9行目=災ひ(わさわひ)→災(わさは)ひ

 巻五の6丁ウ1行目=国王(くわう)→国王(こくわう)

 巻五の13丁ウ9行目=もとむき→もとむへき

 巻五の13丁ウ11行目=秦潤夫(んしゆんふ)→秦潤夫(しんしゆんふ)

 巻五の20丁ウ3行目=甲生(しんせい)→申生(しんせい)

 巻六の11丁オ4行目=奉(たてまつら)らん→ 奉(たてまつ)らん

 これらの異同は、正保四年版の版木の欠損などによる誤りを、延宝三年版が正しているが、いずれも常識的なもので、この時、すでに藤樹は他界しているのであるから、書肆が正したものであろう。

 ただ、前述の異同の中の「9.その他の異同」は注意すべきである。

  内題と項目名を、正保四年版、万治二年版、寛文九年版、寛政元年版、無刊記覆刻版は、いずれも二行書きにしているが、延宝三年版は一行書きに改めている。一行書きのスタイルは、天明元年版の巻一のみに見られる。延宝三年版は、各巻、内題と項目名を一行書きにしているが、これは、巻一は天明元年版に従い、巻二以後は巻一のスタイルに準じて改めたものと思われる。

 ◆∪喫飮庸版、巻一の八丁オ八行目であるが、各版は次の如くなっている。

正保四年版 =ましてかとあるふりのつかへなれハ

無刊記覆刻版=ましてかとあるふりのつかへなれハ

寛文九年版 =ましてかとあるふりのつかへなれハ

天明元年版 =ましてかど有物(あるもの)つかへなれバ

延宝三年版 =ましてかど有(ある)物つかへなれバ

 前述の如く、寛文九年版は、巻一の一丁〜五丁を改刻し、天明元年版は、さらに、巻一の六丁〜八丁を改刻している。この改刻の折に、天明元年版が、このように改めたらしく、それを、絵入本の延宝三年版は踏襲したものと思われる。

 これらの異同を考え合わせると、その数こそ少ないが、天明元年版と延宝三年版の本文が近い関係にある事は明らかであり、従って、延宝三年版は、天明元年版を使った可能性が高いという事になる。しかし、延宝三年は天明元年より百年余も前であり、これは、あり得ない事である。つまり、天明元年版には、さらに早い頃に刷られた版が在ったものと推測される。その印刷年代は、寛文九年以後、延宝三年以前という事になるが、おそらく、延宝三年から、あまり遡らない頃、延宝元年の頃ではないかと思われる。その版の本文を使って、挿絵を新加したのが、延宝三年福森・村田版ではないかと、現時点ではこのように推定しておく。

 書肆の目録(66ページ)では、延宝三年四月、京都の毛利文八刊の『古今書籍題林』には絵入本は出ていないが、同じ三年の五月刊の江戸版『新増書籍目録』には記載されている。江戸で出された目録だが、前者より後の発行であるため記載されたのかも知れない。

 版元の一人である「福森兵左衛門」は、万治頃からの書肆で、京都五条通高倉西入ルに住した。『おもかけ物語』(万治三年)、『子孫鑑』(寛文十三年)、『怪談全書』(元禄十一年)などを発行している。なお、元禄九年、宝永六年、正徳五年の目録には絵入本の版元として「福森」と出ている。もう一人の「村田庄五郎」は、『原人論発微録』(万治四年)、『仏説仁王護国般若波羅蜜多経疎補宝記』(延宝九年)、等を出版している(井上隆明氏『近世書林板元総覧』)。

 伝存諸本の中で、京都大学附属図書館本(写真、44・45・46・47・48・49・50)と、中江藤樹記念館本(写真、51・52)の表紙等の写真を掲げた。なお、この京都大学本の原題簽と、正保四年風月宗知版の中の、謙堂文庫本のものが同じ版木に拠るものであることを注意しておきたい。

 この延宝三年版の大きな特色は、全五十七図の挿絵を追加したことである。この作品の主たる原典が『迪吉録』であることから、その挿絵は、当然のことながら漢画風である。ただ、この挿絵について、現在のところ未調査である。花田富二夫氏の「仮名草子漢画風挿絵考」(注5)という、示唆に富む論文が発表されているので、今後、本書の挿絵についても、調査・考察を加えたいと念じている。なお、この五十七図の挿絵は掲出しないが、『仮名草子集成』第十四巻にが収録されているので参照願いたい。

 

  〔2〕 無刊年記福森・村田後印本

 

 この版は、延宝三年福森・村田版の後印本であるが、巻六の十六丁オの挿絵を削除し、十六丁ウに入っていた刊記を後見返しに貼付している。また、刊記の「延宝三乙卯年」を削除している。伝本は大阪女子大学附属図書館本(写真、53・54)と香川大学附属図書館本(写真、55)の二点である。

 以下の版と共に、絵入でない天明元年尾張屋版までの間に刊行されたものであろう。

 

  〔3〕 無刊記植村求版

 

 この版は、福森・村田版の求版で、刊記の部分は「板行」の二字のみ、元のものを残し、書犀名は入木している。また、その書体も明朝体に改めている。伝本は、金沢大学附属図書本(写真、56・57・58)の一本を見たのみである。

 刊記の「植村藤右衛門」は、天和から文政にかけての書肆で伏見屋玉枝軒と号した。「藤三郎」は江戸店で享保以後宝暦頃まで出版に従事している、錦山房とも号した。金沢大学附属図書館のカードは「寛文9年版」としているが、現物はこの本である。

 

  〔4〕 無刊記版

 

 この版は、延宝三年福森・村田版の後印本であるが、巻六の十六丁ウの刊記は全て削除されている。従って、〔3〕の無刊記植村求版よりも後の出版と推測される。伝本は、学習院大学附属図書館本を調査し得たが、他に、岐阜市立図書館に、巻四、巻六の二冊を所蔵する事を、国文学研究資料館のマイクロフィルムで知り得た。

 

  〔5〕 その他

 

 ここには、絵入本ではあるが、様々な条件で、前述の〔1〕から〔4〕までの、いずれとも断定し得ないものを一括した。

  京都大学文学部本は、巻六を欠くため、断定は出来ないが、文字の破損状態等の比較によれば、〔2〕の大阪女子大学本よりも早い刷りと思われる。

 ◆中江藤樹記念館・A本(写真、59・60・61・62)は巻六の十六丁が落丁のため刊記が無い。この刊記の部分を、大正十一年に小川喜代蔵氏が書写で補っている。小川氏は、京都大学附属図書館本(〔1〕の 砲傍鬚辰特藜造暴饉未靴討い襪、この本の刷りの状態は、〔2〕の大阪女子大学本に近いものとなっている。

 、中江藤樹記念館・B本は、巻一〜巻四を存し、巻五、巻六を欠くが、刷りは、〔2〕の大阪女子大学本に近い後印本と思われる。

 ぁ中江藤樹記念館・C本は、巻五のみの端本である。

 

 

  写  本

 

 中江藤樹記念館にも、藤樹の自筆草稿、写本は所蔵されていない。写本では、静嘉堂文庫の一本のみであるが、これは、正保四年版の写しと思われる。この写本の第一冊目は、天保元年十二月に源長松なる人物によって書写されたものである事が、その書写奥書から推定される。おそらく、第二冊目も引き続き同人によって書写されたものであろう。本文は正保四年版と同様であり、振り仮名を省略したものもあり、漢字・仮名の異同も少しはあるが、行数・字詰も同じで、かなり忠実な書写本である。ただ、巻二、巻六等が省かれている。

 以上、『鑑草』の諸本を実地に調査して、分類を試みた。未調査本も数点残っているが、今後、折をみて調査を重ね補訂したいと思う。以上の調査結果に基づいて、諸本の系統図(95ぺージ)を作ってみたが、勿論、試案である。

 

〈諸本系統図(試案)はHTML版では省略〉

 

 

 

『鑑草』の翻刻・影印

1.武家時代女学叢書・第一編 梅沢精一編校注(明治39年1月1日、有楽社発行)

2.中江藤樹文集(有朋堂文庫)三浦理編、武笠三校訂(大正3年1月10日、有朋堂書店発行)

3.婦人文庫・教訓 芳賀矢一他編(大正3年4月30日、婦人文庫刊行会発行)

4.藤樹先生全集・第三冊 高橋俊乗解題校訂(昭和3年、藤樹書院発行。昭和15年2月25日増訂版、岩波書店発行)

5.大日本思想全集・2(巻一のみ収録)中江藤樹集・熊沢蕃山集、上村勝弥編(昭和9年7月18日、大日本思想全集刊行会発行)

6.鑑草(岩波文庫)加藤盛一校註(昭和14年4月17日、岩波書店発行)

7.家政学文献集成・続編・江戸期・后癖製)田中ちた子・田中初夫編(昭和44年3月15日、渡辺書店発行)

8.仮名草子集成・第十四巻 朝倉治彦・深沢秋男編(平成5年11月20日、東京堂出版発行)

 

 



1.慶応義塾大学附属研究所・斯道文庫編『江戸時代書林出版書籍目録集成』(昭和37年12月25日〜昭和39年4月25日、井上書房発行)に拠った。また、万治写本については、禰吉光長氏の『未刊史料による日本出版文化』第四巻(平成元年7月20日、ゆまに書房発行)に拠る。

2.井上和雄氏『慶長以来書賈集覧』(大正5年9月25日、彙文堂書店発行)。

3.矢島玄亮氏『徳川時代出版者出版物集覧』(昭和51年8月30日、同刊行会〈東北大学〉発行)。

  井上隆明氏『近世書林板元総覧』(昭和56年1月31日、青裳堂書店発行)。

4.前記、井上和雄氏、矢島玄亮氏、井上隆明氏の各著書に拠る。以下、書肆、及び出版物に関しては、三氏の著書に拠った。

5.花田富二夫氏「仮名草子漢画風挿絵考」(『大妻女子大学紀要―文系―』第二十五号(平成5年3月)。

 

 

  付、  記

 この度の調査に際し、大阪女子大学附属図書館、お茶の水図書館、香川大学附属図書館、金沢大学附属図書館、学習院大学附属図書館、京都大学附属図書館、京都大学文学部図書室、謙堂文庫、国文学研究資料館、国立国会図書館、佐賀大学附属図書館、静嘉堂文庫、筑波大学附属図書館、東京大学総合図書館、都立中央図書館、中江藤樹記念館、福島県立図書館、早稲田大学中央図書館の御高配を腸りました。

 高橋俊乗氏、加藤盛一氏、青山忠一氏の研究に教えられるところが多大でありました。

 朝倉治彦氏には、調査過程で具体的な御指導を腸りました。近江聖人中江藤樹記念館館長の萬木甚一良氏には、格別の御配慮と御教示を腸りました。田中直日氏は、御所蔵本に関し、御多忙の中、時間を割いて下さいました。

 以上の諸機関、諸先生に対し、心からの感謝と御礼を申し上げます。

 慶安元年八月二十五日、四十一歳という若さでこの世を去った著者・中江藤樹の偉大さに、改めて感動を覚え、『鑑草』の内容研究に対する意欲をかきたてられました。未調査本の補訂と共に、今後の課題にしたいと思います。      (平成6年8月29日)

(『近世初期文芸』第11号 平成6年12月10日発行 に掲載)


2礁樵雹匣酩覆慮貼餡

◎出来斎京土産=延宝6年,山口市郎兵衛版,絵入,美濃版,7冊,原装。緑色表紙,延宝5年版の再印本。
200万【1】

◎醒睡笑=慶安元年刊,8巻,咄本,安楽庵策伝作,半紙本,3冊,丹表紙。寛永版(無刊記)に次ぐもの。中冊は補配か。
98万【1】

◎可笑記=如儡子作,万治2年,山本五兵衛刊,絵入,半紙本,5冊,紺表紙。巻4の3〜7丁は別本よりの補配。焼焦げ補修あり。
98万【1】

◎釈迦八相物語=寛文6年刊,合本2冊。
7万【2】

◎一休ばなし=本田長兵衛板,絵入,咄本,4巻,2冊。
25万【3】

◎あみだはだか物語=明暦2年初春吉辰刊,原装題箋,2冊。
48万【3】

◎一休諸国物語=揃,江戸前期刊,堺屋仁兵衛板,絵入,原表紙。
25万【3】

◎むさしあぶみ=浅井了意,西宮新六板,明和9年刊,筆彩色絵入。上巻原表紙題箋有,上下合本,1冊。
120万【3】

◎清水物語=朝山意林庵著,寛永15年刊,上下合本,1冊。
78万【3】

◎新板絵入/うすゆき物語=梅村判兵衛板,原装表紙題箋美。半紙本,2冊,元禄頃刊。
68万【3】

◎釈迦八相物語=揃,塩屋平助板,寛文6年刊,絵入美。原表紙題箋。
28万【3】

◎念仏草紙=鈴木正三,刊年不詳,原装題箋,1冊。
45万【3】

◎糺物語=上下,日心,栗山弥兵衛板,絵入,原装題箋,良刷。
30万【3】

◎おみなへし物語=写本,2巻,絵入,伝北村季吟撰,1帙2冊。17・5糎,横12・4糎の小本。田安家の蔵書印。
28万【4】

◎清水物語=朝山意林庵,寛永15年刊,原表紙,敦賀屋久兵衛版。2巻,1帙2冊。少虫補修済。
24万【4】

◎絵入念仏草紙=2巻,鈴木正三,刊年不明,1帙1冊。縦25・7糎,横18・6糎,淡黄色無地表紙,岡田真旧蔵印。
48万【4】

◎あみだはだか物語=2巻,明暦2年刊,1帙2冊。縦26・4糎,横18・7糎,紺色表紙,藤井文庫旧蔵印。
38万【4】

◎京雀=浅井了意作,7巻,寛文5年刊,田中文内版,1帙7冊。縦26・0糎,横17・4糎,平出鏗二郎旧蔵本。
430万【4】

◎理慶尼の記=一名武田勝頼滅亡記,弘化2版,絵入,大1冊。
4万5千【5】

◎古老軍物語=荒木利兵衛開板,外題古老物語,6巻,古雅絵入,大6冊。
35万【5】

◎大仏物語=寛永19年刊,大本,2冊。
80万【6】

◎釈迦八相物語=寛文6年,塩屋平助刊,大本,2冊,合本,後刷。
3万8千【6】

◎糺物語=宝永3年刊,大本,2冊,原装,但し少シミあり。
5万【6】

◎堪忍記=宝永元年,吉田屋平介刊,中本,小虫。
38万【6】

◎賢女物語=満女,寛文9年,出雲寺和泉掾刊,後刷,大本,2冊。
4万【6】

◎太閤記=小瀬甫菴道喜輯,正保3年,林甚右衛門刊,大本,22冊。
25万【6】

◎醒睡笑=5巻,酒元嘉,寛保元年奥書,写本,中本,1冊。
9万5千【6】

◎釈迦八相物語=文政10年,吉野屋仁兵衛板,原装,題簽スレ,絵入,表紙スレ,蔵印有。
6万【7】

◎むさしあぶみ 写=1冊,5丁,明暦3年の大火のこと,蔵印有,美本。
3万【7】

◎可笑記=3巻,1冊,寛政13年刊,絵入,
6万8千【8】

◎新板 死霊解脱物語 下=山形屋吉兵衛,正徳2年刊,1冊。
15万【8】

◎江戸雀=菱川師宣著并画,延宝5年刊,大本,12冊,7冊に原題簽付,紺表紙,挿絵33図,少手摩れあり。極稀本。
850万【9】

◎釈迦八相物語=寛文6年刊,大本,帙入,表紙痛み,
20万【9】

◎宗祇諸国物語=半紙本,1冊,正徳3年正月刊,西村市郎右衛門・丹波屋茂兵衛版,改装,5巻合冊。
65万【9】

◎一休可笑記=大本,3冊,6冊の内(一,三,五),絵入,小虫疲れ本,題簽欠,宝永板か。
5千【10】

◎棠陰比事=大本,1冊,江戸前期刊,原装。
5千【10】

◎新板改正甲陽軍鑑=高坂昌信,元禄12年刊,村上勘兵衛板,図入,原表紙題簽,10冊,揃。
65万【11】

◎信長記=小瀬甫庵,寛永元年刊,栗皮色表紙,題簽小有。
120万【11】

◎むさしあぶみ=浅井了意,西宮新六板,明和9年刊,筆彩色絵入,上巻原表紙題簽有,上下合本,1冊。
120万【11】

◎清水物語=朝山意林庵著,寛永15年刊,上下合本,1冊。
78万【11】

◎桃源集=□田鈍太郎末孫白面書生著,承応4年刊,保存良,全35丁,10行,19×14cm,嶋原遊女評判記で現存最古版,極稀,1冊。
400万【11】

◎新板絵/入うすゆき物語=梅村判兵衛板,原表紙題簽美,元禄頃刊,半紙本,2冊。
68万【11】

◎釈迦八相物語=塩屋平助板,寛文6年刊,絵入美,原表紙題簽有,5冊。
28万【11】

◎念仏草紙=鈴木正三,刊行未詳,原装題簽,1冊。
45万【11】

◎二人比丘尼=鈴木正三,堤六左衛門板,筆彩色絵入,延宝刊,丹表紙,1冊。
58万【11】

◎奇異雑談集=中村某著,古版ひらかな,絵入,原表紙題簽有,江都富野治左衛門・京茨木多左衛門板,6冊。
65万【11】

◎糺物語=日心,栗山弥兵衛板,良刷,絵入,原装題簽,2冊。
30万【11】

◎一休ばなし=本田長兵衛板,絵入,4冊。
25万【11】

◎一休ばなし=続編也来編,寛政頃刊,絵入,原装題簽,6冊。
45万【11】

◎あみだはだか物語=明暦2年初春吉辰刊,原装題簽,2冊。
48万【11】

◎薬師通夜物語=作者不詳,寛永20年2月刊,原表紙,1冊。
120万【11】

◎堪忍記=元禄13年刊,絵入合本,1冊。
5万【11】

◎一休諸国物語=江戸期刊,堺屋仁兵衛板,絵入,原装題簽,5冊。
25万【11】

◎鎌倉紀行=戸田幹著,武村市兵衛板,文政4年刊,大本,1冊。
85万【11】

◎鎌倉物語=中川喜雲撰,菱川師宣画,須原屋板,宝暦2年刊,絵入,1冊。
50万【11】

◎北条九代記=浅井了意,梅村弥右衛門板,延宝3年刊,原表紙,12冊。
48万【11】

◎天正記―太閤記拾遺=太田牛一,承応3年刊,中村五兵衛板,原表紙題簽,8冊。
38万【11】

◎重刊改正/信長記=小瀬甫庵,寛文12年刊,原表紙題簽,8冊。
95万【11】

◎甲陽軍鑑=高坂弾正,河内屋茂兵衛板,元禄12年刊,原装題簽,10冊。
25万【11】

◎甲陽軍鑑=高坂昌信,寛文延宝頃刊,原表紙・題簽少欠,保存良,23冊。
85万【11】

◎甲陽軍鑑管見抄=馬場信貞,寛文2年刊,原表紙装題簽,稀書,揃,15冊。
280万【11】

◎甲陽軍鑑=明暦頃刊,丹表紙原題簽,13冊。
150万【11】

◎奥州軍志―附奥州後三年記=林和泉掾板,寛文2年刊,合本絵入,1冊。
48万【11】

◎甲陽軍鑑=万治2年刊,安田十兵衛板,十一行本,原表紙題簽,揃,20冊。
60万【11】

◎仮名烈女伝=北村季吟訳,勝村治右衛門板,寛文8年刊,原表紙題簽,揃,8冊。
85万【11】

◎女四書=辻原元甫,明暦2年刊,絵入,教訓,原表紙題簽,揃,7冊。
25万【11】

◎可笑記=如儡子作,万治2年,山本五兵衛刊,絵入,半紙本,5冊,元紺表紙付き,元題簽は擦れて殆ど読めない(巻4のみ他本からの題簽を貼付),序半丁,巻5を除き尾題有,巻4第3〜7丁はやや小振りの別本よりの補配,第8〜21丁欄外焼焦げ補修,少水染み,少し疲れ有。
78万【12】

◎信長記=大田牛一録,小瀬甫庵重撰,寛永元年刊,少疲れ,合本,6冊,美濃判,元の栗皮表紙付,第2冊にのみ元題簽(破れ有),巻15少傷み,数ケ所水染み有,「能州正力仏照寺」の印有。
25万【12】

◎女訓抄=下巻,寛永14年刊,古活字版,13行,平仮名交り,3巻の内,1冊,美濃判,元丹表紙付,僅か虫損有,第8条「けいのふあるへき事」を収める,「神原家図書記」の黒印有,『国書総目録』に記されている伝本は,徳島大学阿波国文庫の焼失本のみである。
28万【12】

◎倭小学=辻原沙子(元甫)著,元禄9年,野田弥兵衛版,絵入,6冊,美濃判,原装,題簽少擦れ有,保存良。
6万5千【12】

◎古老軍物語=外題古老物語,万治4年版,荒木利兵衛開板,古雅絵入,大本6冊。
35万【13】

◎鑑草=中江藤樹,延宝3年版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大本,6巻6冊。
12万【13】

◎料理物語=慶安2年版,中本1冊,虫少裏打補修有,題簽欠。
20万【13】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本)・無刊年,永田長兵衛開板・大本4冊,原表紙題簽。
20万【13】

◎堪忍記=浅井了意,無刊年版,美濃屋彦兵衛板,題簽掠・原表紙。
20万【13】

◎和漢賢女物語=満女,5巻,寛文9年版,出雲寺和泉掾板,絵入,大本5冊,原表紙題簽。
58万【13】

◎清水物語=朝山意林庵著,2冊,元禄2年刊,永田長兵衛板,版心「清水 上(下)(丁数)」,紙数上34枚,下34枚(表3共),紙面縦25・3,横18・5糎,拵帙入。
50万【14】

◎和漢絵入/奇異雑談集=6冊,貞享4年(1687)成,別題「奇異雑談」,原表紙・原題簽,紙数巻一27枚5図,巻二19枚4図,巻三18枚3図,巻四20枚3図,巻五19枚3図,巻六21枚3図,紙面縦22・3,横15・7糎,拵帙入。
65万【14】

◎理慶尼の記=一名武田勝頼滅亡記,弘化2版,絵入,大1冊,原装。
4万5千【15】

◎鑑草=中江藤樹・延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6ノ6)欠有・原表紙題簽
12万【15】

◎倭小学=辻原元甫・万治3版・埜田弥兵衛開板,絵入,大8冊,極少虫,原表紙簽欠。
9万8千【15】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,墨色原表紙・第6巻表表紙欠,題茶欠。
30万【15】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫少裏打補修有,題簽欠。
20万【15】

◎一休はなし=外題絵入一体はなし,4巻,咄本,無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【15】

◎新語園=浅井了意,10巻,仮名草子,天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁に文字にかかる小穴有,改装,書題簽。
15万【15】

◎堪忍記=浅井了意,8巻,仮名草子,無刊年版,美濃屋彦兵板,古雅絵入,大4冊,題簽掠,原表紙。
20万【15】

◎和歌女郎花物語=北村季吟?,3巻,仮名草子,無刊年版,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原装。
38万【15】

◎和漢賢女物語=満女,仮名草子,寛文9版,出雲寺和泉掾板,絵入,大5冊,原表紙題簽。
58万【15】

◎大倭二十四孝=浅井了意,寛文5年刊,原装,12冊,水谷不倒旧蔵。
120万【16】

◎酒茶論=寛永頃刊,紙数16枚,1冊,「室町時代物語大成」収録の底本,横山重旧蔵。
450万【16】

◎山名玉松=菱川師宣画,延宝頃刊,仮名草子,絵15図,1冊。
70万【16】

◎安土宗論=万治3年刊,仮名草子,原装,絵2図,1冊。
120万【16】

◎甲陽軍鑑評判=大10冊,伊南芳通,万治4。
45万【16】

◎理慶尼の記=一名武田勝頼滅亡記,大1冊,理慶尼,弘化2。
4万5千【16】

◎古老軍物語=大6冊,古雅絵入,題簽少存,荒木利兵衛板,万治4。
35万【16】

◎一休ばなし=絵入,文政板後刷,3冊。
1万2千【16】

◎桃原集=□田鈍太郎末孫白面生書,承応4年刊,嶋原遊女評判記,極稀,1冊。
250万【16】

◎太閤記=虫,欠本,小瀬甫庵,万治4年刊,9冊。
3万【16】

◎可笑記=3巻,絵入,寛政13年刊,1冊。
4万8千【16】

◎丙辰紀行=元和2年,羅浮子(善庵旧蔵),1冊。
6万8千【16】

◎難波名所/芦分舟=大坂鑑,延宝6年版,付録共帙入,だるまや,7冊。
5万8千【16】

◎奇異雑談集=揃,中村某著,古版ひらかな,仮名草子,原装,絵入,江都富野治左衛門・京茨木多左衛門板,6冊。
65万【17】

◎糺物語=揃,日心,栗山弥兵衛板,仮名草子,良刷,原装,絵入,2冊。
30万【17】

◎一休ばなし=本田長兵衛板,咄本,全4巻,絵入,2冊。
25万【17】

◎一休ばなし=正続揃,続編也来編,咄本,原装,絵入,寛政頃刊,6冊。
45万【17】

◎夢遊集=水田甚左衛門板,仮名草子,3巻合本,慶安3年刊,1冊。
45万【17】

◎薬師通夜物語=作者不詳,仮名草子,原表紙,寛永20年2月刊,1冊。
120万【17】

◎あみだかんきん抄=松会開板,仮名草子,原装,絵入,1冊。
30万【17】

◎あみだはだか物語=仮名草子,原装題箋,明暦2年初春吉辰刊,2冊。
48万【17】

◎一休諸国物語=揃,堺屋仁兵衛坂,仮名草子,原装,絵入,江戸期刊,5冊。
25万【17】

◎堪忍記=巻2〜8,絵入,合本,元禄13年刊,1冊。
5万【17】

◎やまと小学=野田弥兵衛板,合装,絵入,題箋付,万治2年刊,2冊。
9万5千【17】

◎鎌倉物語=中川喜雲撰,菱川師宣画,須原屋板,全5巻,絵入,宝暦2年刊,1冊。
50万【17】

◎重刊改正/信長記=揃,小瀬甫庵,原装題箋,寛文12年刊,8冊。
95万【17】

◎甲陽軍鑑=揃,高坂弾正,河内屋茂兵衛板,原装題箋,元禄12年刊,10冊。
25万【17】

◎甲陽軍鑑=揃,高坂昌信,原表紙,題箋少欠,保存良,寛文延宝頃刊,23冊。
85万【17】

◎新板改正/甲陽軍鑑=揃,高坂昌信,村上勘兵衛板,図入,原装,元禄12年刊,10冊。
65万【17】

◎甲陽軍鑑管見抄=揃,馬場信貞著,稀書,原表紙題箋,良,寛文2年刊,15冊。
280万【17】

◎甲陽軍鑑=揃,丹原表紙原題箋,明暦頃刊,13冊。
150万【17】

◎絵入太閤記=揃,出雲寺和泉板,,原装題箋,宝永7年刊,11冊。
80万【17】

◎甲陽軍鑑=揃,安田十兵衛板,11行本,原表紙題箋,万治2年刊,20冊。
60万【17】

◎仮名列女伝=揃,北村季吟訳,良刷美,原装,絵入,享保頃刊,8冊。
45万【17】

◎本朝列女伝=揃,黒沢弘忠著,勝村治右衛門板,原表紙題箋,寛文8年刊,6冊。
25万【17】

◎女四書=揃,辻原元甫,教訓,原装,絵入,明暦2年刊,7冊。
25万【17】

◎棠陰比事=大本5冊,慶安2年,安田十兵衛板,原表紙・原題簽存,第1冊ムレ・痛み有,オモテ表紙〜目次に穴・巻末3丁〜ウラ表紙柱部破損。
17万【18】

◎仮名列女伝=大本8冊・江戸後期頃・西村市郎右衛門板,北村季吟著,原表紙,原題簽存(第1冊欠)。
20万【18】

◎驢鞍橋=大本3冊,寛文9年,堤六左衛門板,原表紙,原題簽,鈴木正三者・恵三編,旧蔵印「斎藤文庫(=斎藤月岑)」他,※虫有・裏打補修有,書き込み多し。
7万5千【18】

◎鑑草=江戸中期頃板,原表紙原題簽存・良刷,大本6冊,中江藤樹著,正保・万治板系無刊記本,※少シミ・虫有。
8万【18】

◎釈迦八相物語=江戸後期頃・高橋平助板・原表紙・原題簽,寛文6年版後刷,保存良,8巻,大本5冊。
3万5千【18】

◎目なし草 一休鏡注=江戸早期頃・菊屋七郎兵衛板,大本1冊,原表紙,原題簽,24丁,旧蔵印「海心院蔵本」※少虫。
2万【18】

◎やまと小学=江戸中頃(奥付無),原表紙・原題簽存・大本6冊,辻原元甫著。
5万【18】

◎女四書=明和9年,境屋嘉兵衛板,原表紙,原題簽,保存良,大本4冊。
4万5千【18】

◎大和小学(序題)=万治3年,上村四郎兵衛板,後刷,題簽欠,山崎闇斎著,3巻5冊合,旧蔵印「墨川」※虫有,大本1冊。
9千【18】

◎釈迦八相物語=江戸後期頃,高橋平助板,原表紙,席題簽,寛文6年塩屋平助他板後刷,8巻,保存良,大本5冊。
4万5千【18】

◎目なし草 一休鏡注=延宝3年(版元名無)板,原表紙,原題簽,43丁,大本1冊。
2万【18】

◎目なし草 一休鏡注=江戸中後期頃・菊屋七郎板,24丁,替表紙,原題簽,※少虫,大本1冊。
1万3千【18】

◎一休ばなし=江戸後期頃,秋田屋太兵衛板,原表紙,原題簽存,4巻,大本2冊,※第1巻第17・21丁第3巻第6丁欠コピー補,虫有。
2万【18】

◎名所/絵入 難波鑑=大本,原装,古雅絵入,箱入,5冊,一無軒道冶輯,延宝8年序刊。大坂の名所・旧跡・年中行事・祭礼を暦の順に並べて紹介。住吉神社・天王寺・座摩社・天満天神・四天王寺・今宮祭・道頓堀芝居等,大坂古版地誌として「芦分船」と共に有名である。江戸中期の大阪繁栄と神事祭祀心行事の由来と風俗を詳細に記す。伝本甚だ少なく僅に数本のみ伝存。市場に出ること殆ど少く稀覯書である。小汀利得旧蔵印。巻6缺,題簽巻3・4のみ有り,巻1首僅に湿損あり。
300万【19】

◎住吉相生物語=大本,上本,5冊。一無軒道冶,古雅絵入,大坂住吉神社の縁起・由来・神事・伽藍等を詳細に記した書。大坂古版地誌のひとつ。5巻,延宝6年刊,元装,伝本稀。
650万【19】

◎大坂物語=合本,大本,1冊。大坂冬・夏之陣戦記,頸帳付,2巻,かな,古雅絵入,明暦4年刊,本屋板。
38万【19】

◎大坂物語=2巻2冊,かな,慶応元年岡本宣紹写,くび帳入。
25万【19】

◎釈迦如来一代記=仮名草子,元禄頃刊,絵入,巻5・8下欠、大本,8冊。
3万8千【19】

◎新板一休水かがみ=山岡元隣,ひらかな,明暦2年序刊,題箋附,大本,1冊。
2万8千【19】

◎水鏡註目無草=一休和尚,かな,菊屋板,少湿,江戸後期刊,大本,1冊。
1万5千【19】
◎甲陽軍鑑=結要品,5冊。軍法之巻,2冊。前集,1冊。末書,4冊。龍韜品・虎略品・豹業品,1冊。カナ,図入,朱書入,谷口元武写,文化頃写,小虫入。一括。
18万【19】
◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽一部存,1661。
35万【20】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,題簽極少欠,原表紙1692。
6万8千【20】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊,虫損,原表紙疲れ,原題簽掠れ,1675。
2万8千【20】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【20】

◎比売鑑=中村テキ斎,述言12巻,紀行19巻,宝永6,正徳2版,絵入,半合16冊,虫裏打補修有,原表紙,1712。
30万【20】

◎倭小学=辻原原甫,6巻,万治2版,埜田弥兵衛開板,絵入,大8冊,極少虫,原表紙題簽欠,1659。
9万8千【20】

◎大和小学=(山崎闇斎),万治3版,上村四郎兵衛開板,大5冊,少虫,題簽少擦,1660。
4万5千【20】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,墨色原表紙,第6巻表表紙欠,題簽欠。
30万【20】

◎女四書=辻原元甫,7巻,明暦2版,杉山太郎左衛門板,絵入,大7冊,極少虫,原表題簽,〔女孝経2巻,内訓2巻,女論語2巻,女誡1巻,1656。
7万8千【20】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫少裏打補修有,題簽欠,1649。
20万【20】

◎山城四季物語=6巻,坂内直頼,延宝2版,本間長兵衛開板,古雅絵入,大6冊,虫少裏打補修有,巻2・4題簽欠,原表紙,1674。
250万【20】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,題簽欠,1700。
28万【20】

◎一休はなし=外題絵入り一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【20】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁ニ文字ニカカル穴有,改装,書題簽,1682。
15万【20】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年版,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,題簽掠,原表紙。
20万【20】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年版,秋田屋安兵衛板,絵入,大6冊,原装。
38万【20】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,大5冊,原表紙題簽,1669。
58万【20】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫原表紙疲,原題簽掠,1720。
38万【20】

◎清水物語=2巻(仮名草子),寛永15年刊本覆刻,朝山意林庵作,原表紙,少虫補修済,1帙2冊。
24万【21】

◎二人びくに=2巻合冊(仮名草子),鈴木正三作,寛文4年刊,山本九兵衛版,手擦レ裏打補修題簽欠表紙汚レ,1帙1冊。
45万【21】

◎京雀=7巻(仮名草子),浅井了意作,田中文内版,寛文5年刊,1帙7冊。帙には,縦17.6・,横3.6・の題簽が付され,「京雀 寛文五年刊,七冊 田中文内板 平出鏗二郎旧蔵本」と記されている。保存上本。
400万【21】

◎御伽婢子=後編1〜5,浅井了意著,題簽付,文政9年刊,前川六左エ門等版,表紙擦レ,本文少墨シミ有,5冊。
13万【21】

◎仁勢物語=巻下(上欠),烏丸光広,寛永版(後印),無跋本,題簽上部少破,大一。
 40万【22】

◎尤之双紙=巻上(下欠),斎藤徳元,寛永十一版か,題簽欠,少虫入,大一。
15万 【22】

◎七人びくに=中下巻(上欠),寛永十二年,下巻題簽欠,落丁墨書有,大二。
14万 【22】

◎信長記=巻1・6−10欠(全十五巻中),寛永中,改装,大合三。
3万5千【22】

◎太閤記=巻二欠(全二十二巻中),巻四写本,巻五−八正保版,補記,太閤記には古活字版がなく小瀬甫庵本がテキストの最善本,大二一。
10万【22】

◎うすゆき物語=巻上(下欠),寛文頃,薄雪物語板本考〔7〕か,第三丁欠,墨書汚あ り,大一。
4万【22】

◎棠陰比事物語=巻五(全五巻中),慶安二,大一。
5万5千【22】

◎絵入/棠陰比事=巻7・8(全八巻中),万治寛文頃か,題簽欠,松会版,大合一。
6万8千【22】

◎念仏草紙=巻上(下欠),寛文延宝頃,絵入り,題簽剥落,大一。
5万【22】

◎目覚物語=巻五(全五巻中),標題は目録題,柱刻に「そろり巻五」とあり,寛文頃, 江戸本問屋,大一。
8万【22】

◎三国物語=巻1・2・3(全五巻中),寛文七吉野屋版か,改装,大合一。
20万【22】

◎智恵鑑=巻1・2・4・5・10,万治三跋,京都上村次郎衛門,大五。
4万【22】

◎堪忍記=巻6・7・8(全八巻中),寛文四,版元名削る,絵入,少シミ,大三。
3万8千【22】

◎伽婢子=巻一零本,浅井了意,寛文六自序,後印,絵入,題簽欠,半一。
1万【22】

◎理屈物語=巻1・2・3・5(全六巻中),寛文七徑山子序,絵入,大四。
18万【22】

◎をんな仁義物語=巻下零本,無年記,絵入,松会版,大一。
6万5千【22】

◎絵入/一休はなし=巻一零本,寛文九,松会版,一部痛ミを補修,大一。
4万【22】

◎本朝寺社物語=巻2・3・6・8・9(全九巻中),寛文七,年記以後の三行は入木,毎寺社絵入,大合一。
20万【22】

◎一休諸国物語=巻1・2・5(全五巻中),寛文十二,堺屋庄兵衛,表紙屋庄兵衛版に先行するか,大三。
55万【22】

◎鎌倉管領九代記=伝浅井了意,外題・管領鎌倉九代記,9巻,寛文12,田中庄兵衛・梅村弥右衛門版,古雅絵入,大15冊,巻1上・巻9下,題簽欠,原表紙少剥,1672。
78万【23】

◎古老軍物語=外題・古老物語,荒木利兵衛板,6巻,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽一部存,1661。
35万【23】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,題簽極少欠,原表紙,1692。
6万8千【23】

◎鑑草=中江藤樹,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【23】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,墨色原表紙,第6巻表表紙欠,題簽欠。
30万【23】

◎一休はなし=4巻,咄本,元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙少剥少有,題簽欠,1700。
28万【23】

◎一休はなし=外題・絵入/一休はなし,4巻,咄本,無刊年,永田長兵衛板,大4冊,原表紙題簽。
20万【23】

◎新語園=浅井了意,10巻,仮名草子,天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁ニ文字ニカカル小穴有,改装,書題簽,1682。
15万【23】

◎堪忍記=浅井了意,8巻,仮名草子,無刊年版,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,題簽掠,原表紙。
20万【23】

◎和歌女郎花物語=北村季吟,3巻,仮名草子,無刊年版,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原装。
38万【23】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻,仮名草子,寛文9版,出雲寺和泉掾板,絵入,大5冊,原装題簽,1669。
58万【23】

◎杉楊枝=6巻,仮名草子,享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,原題簽掠れ,1720。
38万【23】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽一部存,1661。
35万【24】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,題簽極少欠,原表紙,1692。
6万8千【24】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊,虫損,原表紙疲れ,原題簽掠れ,1675。
2万8千【24】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【24】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,墨色原表紙,第6巻表表紙欠,題簽欠。
30万【24】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫少裏打補修有,題簽欠,1649。
20万【24】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,1632。
20万【24】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,題簽欠,1700。
28万【24】
◎一休はなし=外題絵入り一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【24】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年版,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,題簽掠,原表紙。
20万【24】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁ニ文字ニカカル穴有,改装,書題簽,1682。
15万【24】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年版,秋田屋安兵衛板,絵入,大6冊,原装。
38万【24】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,大5冊,原表紙題簽,1669。
58万【24】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,原題簽掠,1720。
38万【24】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽一部存,1661。
35万【25】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,題簽極少欠,原表紙,1692。
6万8千【25】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊,虫損,原表紙疲れ,原題簽掠れ,1675。
2万8千【25】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一名一休水鏡注,2巻,文化3版,大1冊,原表紙稍少傷,原題簽,1806
3万8千【25】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【25】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,墨色原表紙,第6巻表表紙欠,題簽欠。
30万【25】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫少裏打補修有,題簽欠,1649。
20万【25】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,1632。
20万【25】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,題簽欠,1700。
28万【25】

◎一休はなし=外題絵入り一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【25】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年版,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,題簽掠,原表紙。
20万【25】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁ニ文字ニカカル穴有,改装,書題簽,1682。
15万【25】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年版,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原装。
38万【25】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,大5冊,原表紙題簽,1669。
58万【25】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫原表紙疲,原題簽掠れ,1720。
38万【25】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【26】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,題簽極少欠,原表紙 1692。
6万8千【26】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊 虫損,原表紙疲,簽掠れ,1675。
2万8千【26】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一名一休水鏡注,2巻,文化3版,大1冊,原表紙稍少傷 原題簽,1806
3万8千【26】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁 (6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【26】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫, 原表紙,題簽欠。第6巻表紙欠,
30万【26】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫少裏打補修有,題簽欠,1649。
20万【26】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,1632。
20万【26】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,題簽欠,1700。
28万【26】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊 原表紙題簽。
20万【26】

◎小町物かたり=外題新板小野小町物語(仮名草子),無刊年,鱗形屋板,江戸板,古雅絵入,中1冊,裏打補修有。
85万【26】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年版,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊 題簽掠,原表紙。
20万【25】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻910染み汚損 末ノ3丁ニ文字ニカカル穴有,改装,書題簽,1682。
15万【26】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年版,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原装。
38万【26】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,大5冊,原表紙題簽,1669。
58万【26】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫 原表紙疲,原題簽掠れ,1720。
38万【25】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【27】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,原表紙題簽極少欠,1692。
6万8千【27】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊虫損,原表紙疲,簽掠れ,1675。
2万8千【27】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一名一休水鏡注,2巻,文化3版,大1冊,原表紙稍少傷原題簽,1806
3万8千【27】

◎倭小学=辻原元甫,6巻,万治2版,絵入,大8冊,極少虫,原表紙簽欠,1659
9万8千【27】

◎新板絵入/倭小学=辻原元甫,6巻,宝暦9版,勝村治右衛門板,半5冊,少虫,原表紙少剥原題簽,1759
3万8千【27】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年版,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,原表紙簽欠,第6巻表紙欠
30万【27】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫裏打補修有,簽欠,1649。
20万【27】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,1632。
20万【27】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,簽欠,1720。
28万【27】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【27】
◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原表紙題簽。
38万【27】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,大5冊,原紙題簽,1669。
58万【27】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少原表紙疲,簽掠れ,1720。
38万【27】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【27】

◎鎌倉管領九代記=伝浅井了意,外題管領鎌倉九代記,9巻,寛文12,田中庄兵衛・村弥右衛門板,古雅絵入,大15冊,1672
78万【27】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【28】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,原表紙題簽極少欠,1692。
6万8千【28】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊虫損,原表紙疲,簽掠れ,1675。
2万8千【28】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一名一休水鏡注,2巻,文化3版,伊予屋左右衛門板,大1冊,原表紙稍少傷,原題簽,1806。
3万8千【28】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【28】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,原表紙簽欠,第6巻表紙欠。
30万【28】

◎女誡=辻原元甫,明暦2版,小嶋称左衛門梓,絵入,大1冊,原表紙簽極少存,1656。
2万8千【28】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,1632。
20万【28】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,簽欠,1720。
28万【28】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【28】

◎小町物かたり=外題新板小野小町物語(仮名草子),無刊年,鱗形屋板,江戸版,古雅絵入,中1冊,裏打補修有,題簽貼付。
85万【28】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年版,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,原表紙簽掠れ。
20万【28】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ丁に文字にかかる小穴有,改装書題簽,1682。
15万【28】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原表紙題簽。
38万【28】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,絵入,大5冊,原紙題簽,1669。
58万【28】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,簽掠れ,1720。
38万【28】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【29】

◎三河物語=大久保忠教,写本,寛永2奥書,墨付92枚,大(25×21糎),1冊,「内務省蔵書印」消印有。
15万【29】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,原表紙題簽極少欠, 1692。
6万8千【29】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鑑見注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1 冊,虫損,原表紙疲,簽掠れ,1675。
2万8千【29】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一名一休水鏡注,2巻,文化3版,伊予屋佐右衛門板,大1冊,原表紙稍少疲,少痛原題簽,1806。
3万8千【29】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【29】

◎倭小学=辻原原甫,万治2版,埜田弥兵衛板,絵入,大8冊,極少虫,原表紙簽欠,1659。
9万8千【29】

◎新板絵入/倭小学=辻原元甫,宝暦9版,勝村治右衛門板,半5冊,少虫,原表紙少剥原題簽,1759。
3万8千【29】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,原表紙簽欠,第6巻表紙欠。
30万【29】

◎女四書=辻原元甫,7巻,明和9版,銭屋庄兵衛板,境屋嘉兵衛行,絵入,大4冊,原 表紙題簽,1772。(女孝経2巻・女論語2巻・内訓2巻・女誡1巻)
5万5千【29】

◎女誡=辻原元甫,明暦2版,小嶋称左衛門梓,絵入,大1冊,原表紙簽極少存,1656。
2万8千【29】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫裏打補修少有,簽欠,1649。
20万【29】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,1632。
20万【29】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,簽欠,1720。
28万【29】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【29】

◎小町物かたり=外題新板小野小町物語(仮名草子),無刊年,鱗形屋板,江戸版,古雅絵入,中1冊,裏打補修有,替表紙,題簽貼付。
85万【29】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,原表紙簽掠れ。
20万【29】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁に文字にかかる小穴有,改装書題簽,1682。
15万【29】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原表紙題簽。
38万【29】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,絵入,大5冊,原表紙題簽,1669。
58万【29】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,簽掠れ,1720。
38万【29】

◎他我身のうへ=(1)(2),仮名草子,替装,刷悪,2冊,
8万5千【30】

◎出来斎京土産=巻之一,1冊,版本,絵入,大本,※虫損ノママ、不美。
3万【31】

◎うすゆき物語(内題)=揃2巻2冊,寛文9年刊,上巻第5丁欠落,絵入,縦25・5×17・8糎,紺表紙,(題簽欠),角少損,ツカレ。
8万【31】

◎大坂物語=上巻,刊年不明,絵入,大1冊,小穴(顔部分)有,墨色表紙疲れ有簽欠。
2万8千【32】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【32】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,原表紙題簽極少欠,1692。
6万8千【32】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鑑見注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛開板,大1冊,虫損,原表紙疲,簽掠れ,1675。
2万8千【32】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一名一休水鏡注,2巻,文化3版,伊予屋佐右衛門板,大1冊,原表紙稍疲,少痛原題簽,1806。
3万8千【32】

◎狂雲集=一休宗純,2巻(漢詩),寛永19版,河南四郎右衛門板,大2冊,極少虫,原表紙題簽,1642。
20万【32】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【32】

◎倭小学=辻原元甫,万治2版,埜田弥兵衛板,絵入,大8冊,極少虫,原表紙簽欠,1659。
9万8千【32】

◎新板絵入/倭小学=辻原元甫,宝暦9版,勝村治右衛門板,半5冊,少虫,原表紙少剥原題簽,1759。
3万8千【32】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,原表紙簽欠,第6巻表紙欠。
30万【32】

◎女四書=辻原元甫,7巻,明和9版,銭屋庄兵衛・境屋嘉兵衛板行,絵入,大4冊,原表紙題簽,1772。(女孝経2巻・女論語2巻・内訓2巻・女誡1巻)
5万5千【32】

◎料理物語=慶安2版,中1冊,虫裏打補修少有,簽欠,1649。
20万【32】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,〔小見出しに「水かゝ見・二人ひくに」とあり〕1632。
20万【32】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,簽欠,1720。
28万【32】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【32】

◎小町物かたり=外題新板小野小町物語(仮名草子),無刊年,鱗形屋板,江戸版,古雅絵入,中1冊,裏打補修有,替表紙,題簽貼付。
85万【32】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,原表紙簽掠れ。
20万【32】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁に文字にかかる小穴有,改装書題簽,1682。
15万【32】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原表紙題簽。
38万【32】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,絵入,大5冊 ,原表紙題簽,1669。
58万【32】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,簽掠れ,1720。
38万【32】

◎堪忍記=巻2〜8,仮名草子,元禄13年刊,絵入,合本。
5万【33】

◎薬師通夜物語=仮名草子,寛永20年2月刊,原表紙,作者不詳。
85万【33】

◎むさしあぶみ=仮名草子,明和9年刊,筆彩色絵入,浅井了意,西宮新六板,上巻原表紙題箋有,上下合本。
12万【33】

◎清水物語=仮名草子,寛永15年刊,上下合本,朝山意林庵著。
78万【33】

◎新板絵入/うすゆき物語=仮名草子,元禄頃刊,原装美,梅村判兵衛板,半紙本,2冊。
68万【33】

◎和歌女郎花物語=揃,仮名草子,万治頃刊,絵入,原装,北村季吟,秋田屋・坂田屋板。
48万【33】

◎一休諸国物語=仮名草子,江戸前期刊,絵入,原装,堺屋仁兵衛板,5冊。
25万【33】

◎釈迦八相物語=揃,仮名草子,寛文6年刊,絵入,原装美,塩屋平助板,5冊。
28万【33】

◎あみだかんきん抄=仮名草子,絵入,原装,松会開板。
30万【33】

◎二人比丘尼=仮名草子,延宝刊,筆彩色絵入,丹表紙,鈴木正三,堤六左衛門板。
58万【33】

◎念仏草紙=揃,仮名草子,絵入,原表紙・題箋欠,鈴木正三,平野屋佐兵衛板。
60万【33】

◎奇異雑談集=揃,仮名草子,絵入,原装,中村某著,古版ひらかな,江都富野治左衛門・京茨木多左衛門板,6冊。
65万【33】

◎江戸雀=12冊,菱川師宣画,鶴屋喜右衛門板,27×19┰,元表紙,題箋は4冊のみ,延宝5年刊,江戸地誌,32図(内見開き図7図),跋に「延寶五年丁己仲春日/武州江戸之住 絵師菱川吉兵衛 江戸大傳馬三丁目/鶴屋喜右衛門板」勝海舟旧蔵。
980万【34】

◎鎌倉管領九代記=外題管領鎌倉九代記,伝浅井了意,9巻,寛文12,田中庄兵衛・梅村弥右衛門板,古雅絵入,大15冊,1672。
78万【35】

◎大坂物語=上巻,刊年不明,絵入,大1冊,小穴(顔部分)有,墨色表紙疲れ有簽欠。
2万8千【35】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【35】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【35】

◎仮名列女伝=北村季吟,8巻,無刊年,絵入,書入有(筆者不明),大8冊,少虫,原表紙簽欠,第6巻表紙欠。
30万【35】

◎女四書=辻原元甫,7巻,明和9版,銭屋庄兵衛・境屋嘉兵衛板行,絵入,大4冊,原表紙題簽,1772。〔女孝経2巻・女論語2巻・内訓2巻・女誡1巻〕 
5万5千【35】

◎水鏡(柱題)=寛永9版,中野市右衛門板,大1冊,栗皮表紙,〔小見出しに「水かゝ見・二人ひくに」とあり〕1632。
20万【35】

◎一休はなし=4巻(咄本),元禄13版,菊屋七郎兵衛板,古雅絵入,半5冊,表紙剥少有,簽欠,1720。
28万【35】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【35】

◎小町物かたり=外題新板小野小町物語(仮名草子),無刊年,鱗形屋板,江戸版,古雅絵入,中1冊,裏打補修有,替表紙,題簽貼付。
85万【35】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,原表紙簽掠れ。
20万【35】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁に文字にかかる小穴有,改装書題簽,1682。
15万【35】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原表紙題簽。
38万【35】

◎和漢/賢女物語=満女,5巻(仮名草子),寛文9版,出雲寺和泉掾板,絵入,大5冊,原表紙題簽,1669。
58万【35】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,簽掠れ,1720。
38万【35】

◎大坂物語=上巻,刊年不明,絵入,大1冊,小穴(顔部分)有,墨色表紙疲れ有簽欠。
2万8千【36】

◎古老軍物語=外題古老物語,6巻,荒木利兵衛開板,万治4版,古雅絵入,大6冊,題簽少存,1661。
35万【36】

◎絵入/一休骸骨=一休宗純,元禄5年版,土佐屋喜兵衛板,大1冊,原表紙,簽極少欠,1692。
6万8千【36】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鑑注,2巻,延宝3版,吉野屋徳兵衛板,大1冊,虫損,原表紙疲,簽掠れ,1675。
3万8千【36】

◎水鏡注目無草=外題目なし草一休水鏡注,2巻,文化3版,伊予屋佐右衛門板,大1冊,原表紙稍疲少傷,原題簽,1806。
2万8千【36】

◎鑑草=中江藤樹,6巻,延宝3版,村田庄五郎・福森兵右衛門板,絵入,大6冊,1丁(6/6)欠有,原表紙題簽,1675。
12万【36】

◎一休はなし=外題絵入一休はなし,4巻(咄本),無刊年,永田長兵衛開板,大4冊,原表紙題簽。
20万【36】

◎堪忍記=浅井了意,8巻(仮名草子),無刊年,美濃屋彦兵衛板,古雅絵入,大4冊,原表紙簽掠れ。
20万【36】

◎新語園=浅井了意,10巻(仮名草子),天和2版,大合5冊,巻9・10染み汚損・末ノ3丁に文字にかかる小穴有,改装書題簽,1682。
15万【36】

◎和歌女郎花物語=3巻(仮名草子),北村季吟(?),無刊年,秋田屋安兵衛求板,絵入,大6冊,原表紙題簽。
38万【36】

◎杉楊枝=里木予一,6巻(仮名草子),享保5版,絵入,半6冊,手擦少汚損,極少虫,原表紙疲,簽掠れ,1720。
38万【36】

◎佐倉物語=仮名草子,(半)42丁,江戸後期写,『藻屑物語』の一類本。寛永−延宝頃成,下総国佐倉藩士を主人公とした衆道物語。
25万【37】




1『一誠堂古書日録』第86号・平成10年6月
2『日本書房目録 国語国文』NO.57・平成10年6月
3『沙羅書房古書目録』第57号・平成10年
4『日本書古書目録』(臨川書店)第78号・平成11年1月
5『自游書院文献情報』NO.84・平成11年4月
6『琳琅閣古書目録』第145号,古典号,平成10年1月
7『文学堂書店古書目録』第21号,平成10年秋
8『慶文堂古書目録』第63号,平成11年
9『思文閣古書資料目録』 No.162号・平成11年4月
10『穂ノ国書店古書筆蹟類目録』平成11年5月
11『沙羅書房古書目録』第58号・平成11年6月
12『一誠堂古書目録』第88号・平成11年6月
13『自游書院文献情報』NO.85・平成11年7月
14『玉英堂稀覯本書目』249号・平成11年7月
15「自游書院文献情報」NO.86・平成11年10月
16『神田古本まつり 特選古書即売展目録』平成11年。
  (会期 11年10月29日〜31日)
17『沙羅書房古書目録』第59号・平成11年
18『中澤書店古書目録』No.16号,平成11年
19『中尾松泉堂書店 古典目録』新収古典籍特輯,平成11年11月
20『自游書院文献情報』NO.87 2000年1月
21『和・洋古書特選優品目録』平成12年春期特集号,臨川書店
22『端本・青裳堂古書目録』平成12年3月
23『自游書院文献情報』2000年4月
24『自游書院文献情報』NO.90 2000年10月
25『自游書院文献情報』NO.91 2001年1月
26『自游書院文献情報』NO.92 2001年4月
27『自游書院文献情報』NO.93 2001年7月
28『自游書院文献情報』NO.95 2002年1月
29『自游書院文献情報』NO.96 2002年4月
30『筑波書店古書目録』NO.74 平成14年3月
31『牽牛庵和本目録』 平成14年4月
32『自游書院文献情報』NO.97 2002年7月
33『沙羅書房古書目録』第64号 平成14年6月
34『八勝堂古書目録』第16号 平成14年
35『自游書院文献情報』NO.98 2002年10月
36『自游書院文献情報』NO.1002003年4月
37『筑波書店古書目録』第76号平成15年4月




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