『典籍逍遥 大東急記念文庫の名品』
       長谷川強 監修
     2007年年3月31日、大東急記念文庫 編集・発行
      A4判・128頁

目 次

大東急記念文庫の今日まで…………………………… 長谷川強…… 1

1 古写本………………………………………………………………… 7
 一 古写経  8
二 物語と詩歌  12
三 中古・中世の学問世界  20
四 諸芸  27

2 古版本……………………………………………………………… 29

一 百万塔陀羅尼・諸寺院版  30
二 五山版・その他外典類  33
三 宋元版・朝鮮版  37

3 近世の書物………………………………………………………… 39

一 古活字版  40
二 近世小説  44
三 古歌謡・古浄瑠璃  49
四 俳諧・近世和歌  51
五 丹緑本・色刷本  53
六 地誌・評判記  59
七 博物・理学  64

4 古文書・芸術資料…………………………………………………… 67

一 古文書  68
二 絵画・書跡  70
三 名家自筆本  84

附 蔵書印のさまざま…………………………………………………… 91

 寺社・僧侶  91
公家・武家・医家  93
儒学者・国学者  94
書物の周辺  95

作品・図版解説…………………………………………………………… 97

 凡例  98
1 古写本  99
2 古版本  103
3 近世の書物  105
4 古文書・芸術資料  112
  用語解説  116
〔附〕蔵書印のさまざま  117
 図版目録  121
…………………………………………………………………………………
大東急記念文庫の今日まで
                              長谷川 強

 財団法人大東急記念文庫は、昭和二十三年に大東京急行を東京急行電鉄・京浜急行電鉄
・京王帝都電鉄・小田急電鉄・東横百貨店に分離することとなった際に、その記念事業の
一つとして企図され、五社の協力のもとに設立されたものである。設立に先駆けて当時東
京急行電鉄の取締役会長であった五島慶太氏は久原文庫を一括購入し、翌二十四年には井
上通泰氏の蔵書を購入し、これが発足時の根幹の蔵書となったのである。
 久原文庫は、大正年間に久原鉱業社主・政友会総裁の久原房之助氏が和田維四郎氏の勧
めによって、同氏の手を通して集めた本である。和田氏は同時に三菱財閥の岩崎久弥氏に
も蒐書を勧めて、集めた本を久原・岩崎両氏に配分し、岩崎氏分は現に東洋文庫に岩崎文
庫として蔵されているものである。和田氏は農商務省の鉱山局長などを務めたが、雲村と
号し古書に通じ『嵯峨本考』『江戸物語』などの著書もあり、その鑑識を経た本が集めら
れたのである。
――中 略――
 大東急記念文庫は、昭和二十四年発足当時は財団法人「大東急再編成記念図書館」と称
し、二十九年に至り「大東急記念図書館」、更に同年中に「大東急記念文庫」と改められ
た。その設置場所は一時東京急行電鉄の図書室を代用したが、三十年に目黒区上目黒七丁
目一〇九四番地(現在の東急労働会館の敷地)に文庫を建設し閲覧を開始、三十五年四月
に五島美術館の開館に伴い現在地に移転した。
この間二十年代には開館に向けての会議が持たれ、謄写版の仮目録が作成されたが、三十
年には本格的な整理が行われ、久原文庫を五島氏に紹介し東京移転の実質的な労をとられ
た書誌学者・国文学者の川瀬一馬氏や、中国文学者長澤規矩也氏・国文学者中村幸彦氏を
中心として、各専門の研究者の協力により三十年八月に『大東急記念文庫書目』が刊行さ
れ、同時に東横百貨店で初公開展を開催、活動は軌道に乗った。
――中 略――
戦後の混乱期には旧公家・大名家などの蔵書が四散し、海外に流出したものもある。その
ような時に、久原文庫の一括購入を決断し、文庫の事業を推進された五島氏の功はまこと
に大きく、称賛されて然るべきであろう。
文庫は公開されており、影印本などの刊行によって広く研究者の便も図っている。斯学の
発展のために一層の利用を願うものである。
          (はせがわ・つよし  国文学研究資料館名誉教授/
                    財団法人大東急記念文庫理事)



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