『浮世草子研究資料叢書』 全7巻
    倉員 正江・佐伯孝弘 編・解説

          2008年11月25日・クレス出版発行
          A5判・総4654頁・揃定価95000円+税


 目  次

第一巻 影印編 1 怪異物・奇談物

拾遺御伽婢子(柳糸堂、元禄17年刊、国立国会図書館蔵)
怪醜夜光魂(花洛隠士音久、享保2年刊、国立国会図書館蔵)
御伽厚化粧(筆天斎、享保19年刊、国立国会図書館蔵)
怪談御伽桜(都塵舎、享保末〜元文初年頃刊、早稲田大学図書館蔵)

第二巻 影印編 2 好色物

好色酒天童子(桃林堂蝶麿、元禄8年刊、東京大学総合図書館蔵)
風流連三味線(風音堂、元禄17年刊、東京大学総合図書館蔵)
字津山小蝶物語(森田吟夕、宝永3年刊、東京大学総合図書館蔵)
男色今鑑(宝永8年刊、東京大学総合図書館蔵)

第三巻 影印編 3 古典やつし物

風流日本荘子(都の錦、元禄15年刊、国立国会図書館蔵)
新平家物語(一声子、元禄16年刊、大阪府立中之島図書館蔵)
風流源氏物語(都の錦、元禄16年刊、東京大学総合図書館蔵)

第四巻 影印編 4 時事物・雑話物

当世誰が身の上(凉花堂斧麿、宝永7年刊、東京大学国文学研究室蔵 
正徳5年版)
新鑑草(光風子、宝永8年刊、筑波大学附属図書館蔵)
忠義武道播磨石(宝永8年刊、東京大学総合図書館蔵)

第五巻 研究編 1 雑誌論文・講座論文

関根吟風「南嶺子」(明治23年3月)
水谷不倒「八文字屋もの」(明治29年1、2月)
水谷不倒「浮世草子中の詐欺事件」(明治30年5月)
饗庭篁村「江島其磧」(明治40年1月)
片岡良一「浮世草子の本質」(昭和2年4月)
尾崎久弥「自笑の家婦・娼婦の論」(昭和2年6月)
吉田澄夫「八文字屋本について」(昭和2年9月)
石川 巌「『好色四季咄』の正体」(昭和5年1月)
孝   「元禄時代と日本武士鑑―帝国文庫所収日本武士鑑に題す−」
(昭和5年3月)
小柴値一「風流曲三味線について」(昭和5年7月)
藤村 作「好色破邪顕正」(昭和6年4月)
山崎 麓『〈岩波講座日本文学〉浮世草子」(昭和7年12月)
宇佐美喜三八「浮世草子―その伝奇的傾向の展開―」(昭和8年3、4、
11月)
近藤忠義「西鶴と其磧―『商人軍配団』覚え書―」(昭和8年10月)
山村太郎「傾城国土産と好色由来揃」(昭和8年12月)
藤村 作『〈日本文学講座4〉浮世草子の研究」 (昭和9年9月)
藤田徳太郎「浮世草子の流行唄と現存民謡」(昭和11年9月)
吉町義雄「『男色哥書羽織』の西国ばい」(昭和12年11月)
滝田貞治「『鎌倉比事』に就いて―本朝桜陰比事説話系統の研究補遺―」
(昭和12年12月)
森山重雄「現実像の解体―浮世草子試論―」(昭和23年8月)
堀江善郎「八文字屋本に於ける三味線物について」(昭和22年11月)
神保五弥「浮世草子町人物の展開」(昭和27年10月)
田中 伸「享保期文学の位相」(昭和28年3月)
ハワード・エス・ヒベット(玉井乾介訳)「江島其磧と彼の気質物」(昭
和22年11月)
渋井 清「江戸と上方―浮世草子の挿絵にみる―」(昭和30年5月)
石川潤二郎「江島屋其磧浄瑠璃著作考」(昭和30年8月)
石川潤二郎「其磧世話物考説―主としてその生成を中心として―」(昭和
32年3月)
長谷川強「西鶴と八文字屋本」(昭和32年6月)
平尾美都子「仮名草子、浮世草子に取材した歌舞伎劇の研究」(昭和32
年9月)
石川潤二郎「江嶋其磧・気質物叙説―其磧における「気質もの」の起源と
推移。及びその語義についてを、主な論点として―」(昭和33年3月)
森山重雄「秋成の浮世草子―気質物から諸道聴耳世間猿と世間妾形気―」
(昭和33年6月)
石川潤二郎「『風流曲三味線』の成立とその意義―翻案潤色小説の起りは
じめ―」(昭和33年10月)
渋井 清『〈岩波講座日本文学8・近世〉近世小説と挿絵』「浮世草子 
上方」「浮世草子 江戸」(昭和33年11月)
井口和子「浮世草子と堺」(昭和34年2月)
石川潤二郎「江島其磧作『国姓爺明朝太平記』から見た『国姓爺合戦』に
ついて―その史的位相をめぐって―」(昭和34年6月)
柳 牧也「鷺水略年譜」(昭和34年7月)
柳 牧也「書肆・林義端考」(昭和35年2月)
檜谷昭彦「名所記・評判記と浮世草子―好色旅日記をめぐって―」(昭和
35年3月)
尾崎久弥「西鶴の遺稿及び後至作家の研究」(昭和35年3月)
柳 牧也「『昼夜用心記』の位置について」(昭和35年4月)
山田登志子「西鶴と其磧―町人物の一部を通して―」(昭和35年5月)
花谷登美乃「西鶴と其磧―西鶴好色物と其磧三味線物を中心として―」
(昭和35年5月)
笠井 清「作品中の文章の近似をめぐつて―西鶴・其磧・京伝−」(昭和
35年5月)
栗林 章「日本桃陰比事考」(昭和35年9月)
石川潤二郎「『役者口三味線』成立前後―江嶋其磧の習作時代―」(昭和
35年10月)
栗林 章「鎌倉比事考 鎌倉北条九代記との関連において―」(昭和36
年3月)
冨士昭雄「江戸の浮世草子」(昭和37年2月)
丸木一秋「其磧と西鶴の関係についての一考察」 (昭和37年2月)
東 明雅「西村未達(市郎右衛門)の研究」(昭和37年2月)
東 明雅「元禄太平記の論争」(昭和37年6月)
長谷川強「八文字自笑と江島其磧の抗争」(昭和37年6月)
滝口 洋「元禄浮世草子にみる心中の諸問題―近松心中劇主題の一前提と
して―」(昭和37年7月)
石川潤二郎「『傾城竈照君』と『傾城山枡太夫』と―江嶋其磧と絵人狂言
本―」昭和37年10月)

第六巻 研究編 2 単行本・研究書

尾崎久弥『江戸軟派雑考』「『好色むらく坊』と作者桃隣」、「補遺・桃
隣小伝」大正14年6月)
鈴木敏也『文芸論抄 廃園雑草』「元禄享保の文芸に咲く悪の華―「女敵
討」―」、「文芸に現はれた赤穂事件」(大正14年10月)
前島春三『近代国文学の研究』「都の錦」、「錦文流」(昭和3年10月)
封酔小史『会本雑考』(尾崎久弥)「会本の諸形式」「浮世草紙系の会本」
(昭和3年11月)
尾崎久弥『江戸小説研究』「総論」、「浮世草紙」の一部と「補遺」(昭
和10年3月)
藤田徳太郎『日本小説史論』「傾城思升屋」(昭和14年11月)
暉峻康隆『近世文学評論』「封建インテリの悲劇性」、「西鶴と後続文学」、
「近世写実小説の展開」の一部(昭和17年10月)
田崎治泰『日本文学史論―小説篇―』「気質物について」久松潜一編(昭
和19年11月)
麻生磯次『笑の研究』「類型的滑稽人物」(昭和22年9月)
近藤忠義『近世文学論』「近世文学史 前編・上方時代」の一部、(昭和
25年12月)
吉田澄夫『近世語と近世文学』「浮世草子に現れたる曽我伝説」、「八文
字屋本の研究」(昭和27年10月)
暉峻康隆『近世文学の展望」「日本の書翰体小説」のうち「第六章 書翰
体小説の流行と衰退」の一部、「近世小説における挿絵の位相」(昭和2
8年1月)
岡田 甫『奇書』「二つの『好色四季咄』」、「『諸遊芥子鹿子』」(昭
和33年1月)
野田寿雄「〈日本古典鑑賞講座第24〉秋成』「浮世草子の流れ」(昭和
33年9月)
中川光利『はまなす―故荻野清先生追悼文集―』「浮世草子町人物の展開」
(昭和36年8月)

第七巻 研究編 3 文学史・辞書・解題

文学史

藤岡作太郎『近代小説史』の一部(大正6年1月)
鈴木敏也「京阪時代文学」「江戸時代文学」(昭和4年9月)
藤井乙男「八文字屋本」(昭和5年4月)
高須芳次郎「近松・西鶴以後の京阪文学と江戸文学との交渉(上・下)」
(昭和6年3月)

辞書・解題

石川 巌『浮世草紙・第一巻』「解題」(大正5年10月)
石川 巌『浮世草紙・第二巻』「解題」(大正5年12月)
石川 巌『浮世草紙・第三巻』「解題」(大正6年1月)
石川 巌『浮世草紙・第四巻』「解題」(大正6年2月)
石川 巌『浮世草紙・第五巻」「解題」(大正6年5月)
笹川種郎『〈近代日本文学大系4〉浮世草子集』「解題」(昭和3年3月)
笹川種郎「〈近代日本文学大系5〉八文字屋集』「解題」(昭和3年9月)
笹川種郎『〈近代日本文学大系13〉怪異小説集』「解題」(昭和2年5
月)
水谷不倒『〈帝国文庫8〉其磧自笑傑作集』「解題」(昭和4年8月)
尾崎久弥『甘露堂文庫稀覯本攷覧』の一部(昭和8年3月)
暉峻康隆『江戸文学辞典』解説「第三章 浮世草子」、「浮世草子」
(昭和15
    年4月)
林 美一「翻刻『通俗諸分床軍談』、解題」(昭和28年11月)
岡田 甫『魂胆色遊懐男(丹頂版)』[解題」(昭利30年6月)
吉田幸一「近世怪異小説解題」(昭和30年9月)
中村幸彦『〈未刊国文資料〉八文字屋本集と研究』「解題―研究にかへて
―」(昭和32年6月)
小島政二郎訳「世間子息気質」麻生磯次「略歴」、安藤鶴夫「解説」
(昭和31
    年12月)
宮嶋夏樹「上田秋成主要著作解題」の一部(昭和34年5月)
板坂 元「けいせい洗髪解説」(昭和35年6月)
水野 稔『〈古典日本文学全集28〉江戸小説巣(上)』「解説」の一部
(昭和35年9月)
田暗治泰『新御伽婢子』「解題」(昭和35年10月)
冨士昭雄『好色江戸紫』「解題」(昭和35年10月)
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刊行にあたって


                   日本大学教授   倉員 正江
                   清泉女子大学教授 佐伯 孝弘

 浮世草子は天和二年(一六八二)刊行の井原西鶴『好色一代男』に始ま
り、現実主義的な娯楽作品という近世文学の流れを決定付け、文学史的に
は約百年間も命脈を保った。だが研究史的には、西鶴以降の作者・作品は
往々に「西鶴の亜流」として低い評価に終始してきた。近年はその弊が是
正されつつあるのは喜ばしい。本叢書は西鶴以降の浮世草子のうち、未だ
正確な翻刻や影印のない作品を収めた「影印編」と、今では入手しにくい
論文や研究書を集めた「研究編」から或る。本叢書の刊行が、江島其磧や
都の錦といった、西鶴以降の浮世草子研究の更なる進展に繋がるはずであ
る。また西鶴研究の一助ともなると確信している。西鶴という「頂き」だ
け見ていても、西鶴も浮世草子も真に理解できないからである。加えて、
挿絵を含む浮世草子は風俗史研究などの貴重な資料と成り得るであろう。
 影印編の四巻は、作品のテーマ・内容別に構成した。第一巻は〈怪異・
 奇談編〉。諸国の怪異・奇談を集めた『拾遺御伽婢子』『怪醜夜光魂』
『御伽厚化粧』『怪談御伽桜』。仮名草子から初期読本に至る短編怪談集
の中に位置づけると興味深い。第二巻は〈好色編〉。浮世草子の主要テー
マである好色物より、桃林堂蝶麿『好色酒天童子』、『新色五巻書』の影
響作『風流連三味線』、男色物の大森善清画『宇津山小蝶物語』と『男色
今鑑』。第三巻は〈古典やつし編〉。題名に古典作品を踏まえた都の錦の
二作『風流日本荘子』『風流源氏物語』と『新平家物語』。古典の享受や
「やつし」の手法の面からも注目されよう。第四巻は〈時事・雑話編〉。
仮名草子を踏まえた教訓的な雑話物で幕末まで読まれた『当世誰が身の上』
『新鑑草』、赤穂義士事件を扱った『忠義武道播磨石』を収めた。
 研究編の三巻は、昭和三十七年以前刊行の単行本・雑誌より、再刊され
ず希少価値の高いものを抽出して纏めた。第五巻〈雑誌論文・講座論文編
〉には水谷不倒・藤村作・柳牧也・石川潤二郎氏らの論考を、第六巻〈単
行本・研究書編〉には尾崎久弥・鈴木敏也・吉田澄夫氏らの論考を収録。
解題で浮世草子研究史を概観すると共に、今回収録できなかった重要な論
考も紹介。第七巻〈文学史・辞書・解題編〉は藤岡作太郎著『近代小説史』
の記述や、暉峻康隆著『江戸文学辞典』、『浮世草紙』・『甘露堂文庫稀
覯本攷覧』・『近世怪異小説』・『近世国文学―研究と資料』等の解題を
集め、利用の便宜を考えて索引を付した。


                                 
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