『源氏物語の論 AKIYAMA KEN Selection』
『平安文学の論 AKIYAMA KEN Selection』
 秋山 虔 著
 
   
『源氏物語の論 AKIYAMA KEN Selection』
           2011年8月10日・笠間書院発行
           四6判、396頁、定価3200円+税

『平安文学の論 AKIYAMA KEN Selection』
           2011年8月10日・笠間書院発行
           四6判、464頁、定価3200円+税

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『源氏物語の論 AKIYAMA KEN Selection』

  目 次

源氏物語の論

源氏物語の世界――光源氏についての断想 3
  桐壷帝と桐壷更衣 17
  光源氏の王者性について――断章 30
螢巻の物語論 37
播磨前司、明石の入道 54
玉鬘――六条院における進退 70
  もう一人の弘徽殿女御をめぐって 94
     ?
若菜上巻の一問題――出来事の時間と言説の時間 105
若菜上巻、源氏のいう「罪もなしや」について 123
「あまりなる御思ひやりかな」について――文体の問題一つ 135
召人について――源氏物語読解例の一つ 143
蹴鞠の日――柏木登場 166
柏木の生と死 187
  タ霧の物語について――深層と表現 208
「かたしろ形代」としての浮舟 212
常陸介と左近少将 218
源氏物語世界の書について 232
源氏物語現代語訳の方法 255
  源氏物語の現代語訳――その限界をどう考えるか 286
  源氏物語は悪文であるか 298
  晶子古典現代語訳私見 302

書評

武田宗俊『源氏物語の研究』 315
玉上琢弥『評釈 源氏物語』 316
阿部秋生『源氏物語研究序説』上 320
今井源衛『源氏物語の研究』 321
村井順『源氏物語論』上 323
玉上琢弥『源氏物語評釈』第一巻 326
多屋頼俊『源氏物語の思想』 327
村井順『源氏物語論』下 334
藤村潔『源氏物語の構造』 336
重松信弘『源氏物語の仏教思想 仏教思想とその文芸的意義の研究』 339
玉上琢弥編 山本利達・石田穣二校訂『紫明抄 河海抄』 340
玉上琢弥『源氏物語評釈』 342
I・モリス『光源氏の世界』 345
円地文子『源氏物語』巻一 349
曽根豊祐『源氏物語女性群像』全十五巻 353
古田拡・高杉一郎・武田孝・松永巌『源氏物語の英訳の研究』 356
上坂信男『源氏物語の思惟・序説 古代物語の研究(続)』 358
大野晋・丸谷才一『光る源氏の物語』上・下 359
高橋和夫『『源氏物語』の創作過程』 362
阿久澤忠『源氏物語の語法と表現』 366
西村亨『知られざる源氏物語』 368
小嶋菜温子『源氏物語の性と生誕 王朝文化史論』 370
角田文衛『紫式部伝 その生涯と『源氏物語』』 372
池田節子・久富木原玲・小嶋菜温子編『源氏物語の歌と人物』 374

初出一覧 377
解説 鈴木日出男 383
あとがき 394

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    あとがき

 このところ友人知人相継いで鬼籍の人となり、後に取り残された、この老躯はまさ
に前時代の遺物というべきか、そのような私に、これまで書き散らしてきた論作をま
とめてはどうかと何度も何度もお勧めくださったのは年若い友人諸氏であった。そし
てまた、かつて小著『古典をどう読むか』を出版してくださった笠間書院の社長池田
つや子氏や同編集長橋本孝氏からも、拙著刊行の用意ありとのご意向をしばしばお受
けすることにもなった。
 しかしながら、まことに恥じ入るほかないが、自作の論文の整理を怠り、読み確か
めてみたく思う論考についても、記憶をたどり辛うじてその所在を探りつける為体も
しばしばの私であった。そのような次第であって、このたびは人様の手になる目録を
にらんで選び出した論作をもって編集しえたのが本書だが、さらに半世紀にわたり依
頼されるまま執筆した書評や新刊紹介の文章などを巻末に収載したのは、一に橋本編
集長の発案に依ったものである。私としては気恥ずかしい文章群だが、しかしここで
俎上にお載せした多くの論著群に導かれ支えられた私の歩みであったともいえよう。
 本書の内容は、書名に示したように源氏物語をめぐっての論であるが、これらの文
章を選択するにつけても、いささか残念と申すほかないのは、かつて私の最初にまと
めた論文集『源氏物語の世界』(東京大学出版会、昭和34)のなかの「若葉巻の始
発をめぐって」(慶応大学『国文学論叢』第三輯)の続稿を、その後、機会を得て諸
雑誌に発表しつづけたものの、完結には至らなかったため、本書からはすべて除外す
るほかなかったことである。
 源氏物語の若葉巻に始まる、いわゆる第二部の世界の進展を追尋し、その特異な方
法や結構と対面し評定する作業によって、私の源氏物語観は確実に更新されたといえ
よう。本書に収める「若菜上巻の一問題――出来事の時間と言説の時間」は、単独に
書かれた論文ではあるが、内容としては右の続稿の一章に相当するものではあった。
 私の第二部論を中絶に至らしめたのは、阿部秋生・今井源衛両氏との共同作業とし
て進められた源氏物語の全訳注への傾注ゆえであり、その完成後もさして時を隔てる
ことなく続行を余儀なくされた改稿作業への従事、それに更級日記や伊勢物語の注釈
や、これもやはり共同作業として行われた栄花物語の全訳注に力を注がなければなら
なかったゆえであろう。生来羸弱の身、年経るままに体力、気力、知力の減退はやむ
を得ないことでもあった。
 このような拙著の刊行を実現してくださった池田つや子社長、老来緩慢の私を我慢
強く牽引してくださった橋本編集長、丹念な校正作業に徹してくださった鈴木重親氏
に対する感謝の念は筆舌に尽しがたい。また私としては慮外であったと申すほかない
が、鈴木日出男氏が本書について解説の文章を寄せてくださったことも恭いことであ
る。共々厚く御礼申しあげる次第である。
 平成二十三年六月
                              秋山 虔

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『平安文学の論 AKIYAMA KEN Selection』

  目 次

文学史の構想のための覚書 3
文学史の方法――覚書の二、三 25
  王朝文学ノート断片 38
日本文学史における和歌 46
日本的美意識の問題――古今集をめぐって 64
 王朝和歌管見――源氏物語の歌を例として 83
伊勢物語の世界形成 91
「みやび」の構造 110
日記と日記文学 152
  女流日記文学についての序説 167
  女流日記文学の時間 176
  文学史における一条朝 191
物語作家の日記――紫式部日記一面 194
紫式部日記・断章 216
  紫式部日記の冒頭文を読む 236
  枕草子寸見――現実を遮断するたたかい 249
歴史物語の歴史的位相 254
源氏物語から栄花物語へ 275
中古文学研究の今昔 283
  『國語と國文學』と敗戦前後 297
  久松潜一博士の文学史観について 303

書評

日本文学協会編『日本文学の遺産』 313
青木生子『古代文芸における愛 その本質と展開』 317
南波浩『物語文学概説』 318
今井卓爾『平安時代日記文学の研究』 324
川口久雄『平安朝日本漢文学史の研究』上 326
山中裕『歴史物語成立序説』 330
中村真一郎『王朝文学の世界』 332
角田文衛『承香殿の女御 復原された源氏物語の世界』 334
上村悦子『蜻蛉日記 校本・書入・諸本の研究』 335
長谷章久『京都御所 美と千年の歴史』 339
今井卓爾『古代文芸思想史の研究』 342
福井貞助『伊勢物語生成論』 349
藤岡忠美『平安和歌史論 三代集時代の基調』・岸上慎二『後撰和歌集の研究
    と資料』 350
上坂信男『物語序説』 352
与謝野光・新間進一編『晶子古典鑑賞』 354
鈴木知太郎『平安時代文学論叢』 356
長谷章久『作り物語の享受に関する研究』 358
寺田透『和泉式部』 361
大岡信『紀貫之』 363
中野幸一 『物語文学論攷』 365
上村悦子『蜻蛉日記の研究』 375
角田文衛『日本の後宮』 377
国書刊行会『版本文庫』の刊行 379
保坂弘司『大鏡新考』 381
目崎徳衛『王朝のみやび』 383
森本茂編著『校注歌枕大観 山城篇』 385
奥村恒哉『古今集の研究』 388
角田文衛『王朝史の軌跡』 390
中田祝夫監修・編 和田利政・北原保雄編『小学館古語大辞典』全一巻 
         392
藤井貞和『古文の読みかた』 394
佐伯梅友・森野宗明・小松英雄編著『例解古語辞典』第二版 396
望月洋子『ヘボンの生涯と日本語』 398
古筆学研究所編『古筆と国文学』 400
工藤好美『文学のよろこび』 402
久保田淳『古典歳時記 柳は緑花は紅』 405
目崎徳衛『数奇と無常』 407
菅野礼行『平安初期における日本漢詩の比較文学的研究』 410
山口明穂『国語の論理』 412
山下道代『王朝歌人伊勢』 420
須田哲夫『平安朝文学の展開 方法論の探究を含めて』 423
伊原昭『王朝の色と美』 427
木村正中『中古文学論集』全五巻 429
伊井春樹編『国際日本文学研究報告集1 国際化の中の日本文学研究』ほか
      全三冊 435
川村晃生・浅見和彦『壊れゆく景観 消えてゆく日本の名所』 438
増田繁夫『平安貴族の結婚・愛情・性愛 多妻制社会の男と女』 440

初出一覧 443
解説 小町谷照彦 451
あとがき 462

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あとがき
 このところ友人知人相継いで鬼籍の人となり、後に取り残された、この老躯はまさ
に前時代の遺物というべきか、そのような私に、これまで書き散らしてきた論作をま
とめてはどうかと何度も何度もお勧めくださったのは年若い友人諸氏であった。そし
てまた、かつて小著『古典をどう読むか』を出版してくださった笠間書院の社長池田
つや子氏や同編集長橋本孝氏からも、拙著刊行の用
意ありとのご意向をしばしばお受けすることにもなった。
 しかしながら、まことに恥じ入るほかないが、自作の論文の整理を怠り、読み確か
めてみたいと思う論考についても、記憶をたどり辛うじてその所在を探りつける為体
もしばしばの私であった。そのような次第であって、このたびは人様の手になる目録
をにらみ、選び出した論作をもって編集しえたのが本書だが、さらに半世紀にわたり
依頼されるまま執筆した書評や新刊紹介の文章などを巻末に収載したのは、一に橋本
編集長の発案に依ったものである。私としては気恥ずかしい文章群だが、しかしここ
で俎上にお載せした多くの論著群に導かれ支えられた私の歩みであったともいえよう。
 なお、本書の内容は、「平安文学の論」という書名からすれば偏りの存することは
否定すべくもなかろう。私の国文学科の卒業論文は、まったく独り合点の未熟な作文
に過ぎない源氏物語論であったが、源氏物語に限らず和歌や物語・日記文学などのま
ともな享受・研究のためには、その基盤でもあった漢詩文学や説話文学に対する姿勢
を定めることがいかに肝要であるかがおのずと実感されたので、勅撰三集をはじめ菅
家文草や本朝文粋などと向き合う期間が私には続いた。大学院(旧制)の研修期間を
終えるに当たって「道真および道真以後」という題の、かなり長大な論文を提出し、
そのなかのある部分は二、三の雑誌に発表することができたものの、この領域に本格
的に踏み込むことかできなかったのは侮いの残ることではある。
 本書所収の論考とて、総じていかにも一面的な蒼古然の趣は否定しがたかろう。後
の研究者のためにどれほど寄与しうるのか、私には見当もつきかねるが、あの第二次
世界大戦の後を歩んだかつての一学生兵が、このような姿勢で方法で平安文学と向き
合ってきたことを知る一材料として播いていただければと念願するものである。
 このような拙著の刊行を実現してくださった池田つや子社長、老来緩慢の私を我慢
強く牽引してくださった橋本編集長、丹念な校正作業に徹してくださった鈴木重親氏
に対する感謝の念は筆舌に尽しがたい。また私としては慮外であったと申すほかない
が、小町谷照彦氏が本書について解説の文章を寄せてくださったことも恭いことであ
る。共々厚く御礼申しあげる次第である。
 平成二十三年六月 
                             秋山 虔
                                                  
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秋山 虔(あきやま・けん) 

大正13年(1924年)、岡山県生れ。
昭和22年東京帝国大学国文学科卒、同大学院修了。東京大学名誉教授。
日本学士院会員。
源氏物語ほか女流日記文学などの注釈や作家論・作品論を手がけて平安
朝文学研究に寄与した。平成13年文化功労者。
主な著書に、『源氏物語の世界 その方法と達成』(昭和39年、東京大学
出版会)、『王朝女流文学の形成』(昭和42年、塙書房)、『源氏物語』(昭
和43年、岩波新書)、『王朝女流文学の世界』(昭和47年、東京大学出版
会)、『日本古典文学大辞典』(共編)(昭和58―60年、岩波書店)、『王朝
の文学空間』(昭和59年、東京大学出版会)、『王朝文学史』(編)(昭和
59年、東京大学出版会)、『伊勢』(昭和60年、ちくま学芸文庫)、『源氏
物語の女性たち』(昭和62年、小学館)、『王朝語辞典』(平成12年、東京
大学出版会)、『源氏物語を読み解く』(共著)(平成15年、小学館)、『古
典をどう読むか 日本を学ぶための『名著』12章』(平成17年、笠間書
院)、『源氏物語大辞典」(共編)(平成23年、角川学芸出版)などがある。




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