『「一分」をつらぬいた侍たち――『武道伝来記』のキャラクター』
       新典社選書 48
    
 岡本 隆雄 著


          2012年1月30日・新典社発行
          B6判、206頁、定価1500円+税



   目  次

 
凡  例 …………………………………………………………………  12

はじめに なぜ五文字のタイトルか? ………………………………  13

   西鶴の代表作/五文字のタイトル/西鶴の小説の演劇性/
   『好色一代男』と『好色五人女』は歌舞伎の「世話物」/
   題簽に角書をつけた形式/「武道」の語が意味するもの/
   歌舞伎の「時代物」を思わせる『武道伝来記』のタイトル

第T部 『武道伝来記』の演劇性
    ――作品を面白く読むためのノート

 一章 譚の歌舞伎的構造 …………………………………………  22
    ――縦筋と横筋

   「諸国敵討」という角書の役割/「不断心懸の早馬」は
   敵討ち譚か?/縦筋と横筋/「世界」に似た“ストーリ
   ーの大枠”/譚の歌舞伎的な構造

二章 “見せ場”の楽しさ ………………………………………  29
     ――「我が命の早使」を例に
   「我が命の早使」の“見せ場”/“己の命を奪え”という
   書簡を託された塚林権之右衛門/春川主計の直感/頼母の
   非道を暴露する/「見顕し」の典型/権之右衛門の「愁嘆」
   /「責め場」/「侍畜生」のセリフと敵討ちの結末/『武道
   伝来記』の“見せ場”の多彩さ

 三章 人気狂言の“見せ場”と“芸” ………………………  45
    ――「続き狂言」成立期の上方歌舞伎

  1節 上方歌舞伎の動静 ……………………………………  45
       ――貞享期を中心に

   二つの資料/絵入狂言本『あすか川』―内容は、当時流行の
   「お家物」風の狂言/役者評判記『野郎立役舞台大鏡』―
   人気狂言のタイトルと“芸”の用語がみられる/“上方の芸”
   の特色

  2節 『よしの身請』の“見せ場” ………………………  50
       ――嵐三右衛門の“大臣の「やつし」“芸”

   “元禄の上方歌舞伎”の基礎をつくった名優―初世嵐三
   右衛門/ホツトニュースを劇化した『よしの身請』/
   狂言の内容を『御伽名題紙衣』「一之巻」から推測する/
   揚屋に呼び出された小倉屋源兵衛―大詰めの“見せ場”/
   『よしの身請』上演は大坂の“『夕ぎり』劇人気”に対抗
   するため?
                      
  3節 『夕ぎり』の“見せ場” ……………………………  56
       ――坂田藤十郎の“大臣の「やつし」”芸

   はじめての当り役―追善劇『夕ぎり』の藤屋伊左衛門/
   『野郎立役舞台大鏡』の批評―“大臣の「やつし」”芸の
   確立/『夕ぎり』の内容を伝える『夕霧阿波鳴渡』と
   『廓文章』/“深編笠に紙衣”姿での登場―『廓文章』の
   伊左衛門/“吉田屋の揚”―「口舌事」の面白さ

  4節 『あすか川』「第二」の“見せ場” ………………  60
      ――坂田藤十郎の“浪人の「やつし」”芸

   “浪人の「やつし」”芸への挑戦/“揚屋内の場”―
   『あすか川』「第二」の“見せ揚”/侍としての不甲斐
   なさを嘆く浪人倉橋源左衛門

  5節 『非人かたき打』の“見せ場” …………………  63
      ――荒木与次兵衛の“非人の「手負い事」”

   大坂の歌舞伎界を代表する名優荒木与次兵衛―
   「手負い」芸の名人/改作の『非人かたき打』―
   荒木与次兵衛の演じた春藤次郎右衛門/絵入狂言本
   『非人敵討二番続』―二つの“見せ場”/須藤六郎
   右衛門に殺された父介太夫―“春藤家門外の場”/
   非人に身をやつして敵を狙う春藤次郎右衛門―“墓
   地の非人小屋の場”/敵役加村宇田右衛門との対決/
   寝込みを襲われて「手負い」となった次郎右衛門/
   「手負い」は大坂を代表する芸

  6節 『中将ひめ』の“見せ場” ………………………  69
      ――荒木与次兵衛の“忠臣の「手負い事」”

   百二十日間のロングランとなった『中将姫三番続』/
   古浄瑠璃『中将姫之御本地』―久米の八郎の登場/
   「せまじき物はみやつかひ」のセリフ/『当麻中将
   姫まんだらの由来』―「手負い」の久米の八郎を演
   じた荒木与次兵衛/中将姫・少将を亡き者にしよう
   とする二人の継母―右大臣とよ成家と三条家の騒
   動/生首を持参してとよ成館に乗り込む久米の八郎
   ―二人の忠臣の対決/「身代わり」の秘密を明かす
   「手負い」の久米の八郎―大詰め“ひばり山の場”/
   「お身替りにたてたか。でかした/\」というセリフ
   /もう一つの人気狂言―「悪人方」大山儀右衛門が
   主役を勤めた『大友のまとり』

 四章 歌舞伎的なキャラクター ………………………………  81

  1節 歌舞伎における“役柄”の成立 ……………………  81

   おびただしい数の人物が登場する『武道伝来記』/
   歌舞伎における“役柄”の成立/“役柄”にみられ
   る善と悪の規準/『あすか川』―「お家物」風の狂言
   /「第一」幕“月若丸本陣の場”―悪家老秋山大蔵/
   正義漢の浪人高松勘助―「詰め開き」の迫力/“善方”
   と“悪人方”の色分け/「実方」の元祖―「立役」
   藤田小兵次

  2節 「立役」キャラクター 付り「敵役」キャラクター …  88

   『武道伝来記』の登場人物に、歌舞伎の“役柄”を当
   てはめる/「実方」系の「立役」キャラクター/「武
   道方」系の「立役」キャラクター/「居合の名人」沖
   浪大助の「早業」/「出来出頭」南江主膳の侮辱/痛
   快な「武道(事)」の“見せ場”/“葉隠武士”のような
   「武道方」系の「立役」キャラクター/多彩な「敵役」
   キャラクター/異色の侍たち―三人の「立役」キャラクター

3節	「若衆方」キャラクター 付り「花車方」キャラクター … 106

   敵討ちの慣習法/創作された敵討ち/魅力的な「若衆方」
   キャラクター/「花車方」キャラクター

第U部 『武道伝来記』のキャラクター

 一章 無垢で剛勇の若武たち ………………………………………… 114
     ――「若衆方」キャラクター

  1節 潔く戦った少年熊井五七郎 ………………………………… 114
      ――親譲りのフェアな精神

   武芸の達人熊井五助への悪口/五助、武芸を若殿に披露
   した上で果たし合いを申し入れる/「一分立たず」という句
   /三人の臆病者の弁解/五助毒殺/内輪破れ/少年乙見角
   之丞の敵討ち/少年熊井五七郎の敵討ち/角之丞の母の述懐

  2節 「男達」を愛した沼菅半之丞………………………………… 132
      ――献身としての“あと追い死”

   「見初め」の舞台/浪人竹倉伴蔵の横恋慕/沼菅半之丞の
   念者/「男達」藤内への脅迫/“長ぜりふ”の面白さ/
   『助六由縁江戸桜』の「悪態」/“脅迫の見せ場”にみら
   れる不整合/藤内の怒りと死/先立たれた悲しみ/半之丞の
   “後追い死”

  3節 隻手で戦った大津兵之助 ………………………………… 148
     ――“身代わり”の敵討ち

   梶田奥右衛門の剛勇ぶり/奥右衛門、若衆大津兵之助に兄
   の敵討ちのことを打明ける/兵之助、念者の敵と遭遇して戦
   い、互いに腕・手首を失う/左手を失った兵之助を嘆き悲
   しむ奥右衛門/敵討ちをする念者への助太刀を願い出る兵
   之助/隻手の兵之助、病み上がりの念者に代わって敵を討つ
   /“身代わり”のモチーフ

二章 男らしく、品格のある侍たち ………………………………… 160
    ――「立役」キャラクター                     

  1節 非道の「家老」を斬った安川権之進 …………………… 160
      ――“本物の武士は、本物の武士を知る”

   茶坊主を「抜打」にした「出頭家老」金塚数馬/「大横
   目」安川権之進、非道の家老を斬って退去する/細井金
   太夫が、権之進妻子の保護を決意した理由/“駆け込み人”
   保護の慣行/“入替わり”のトリック/二つの敵討ち/権
   之進が「武の本意」を尽くしたと称えられた意味

  2節 心優しい「高家」の武士平尾修理 ……………………… 173
     ――二人の小姓への「勘当」

   突然「入道」した平尾修理/「美童」采女と左京/最後の
   「対面」を懇願する二人への「勘当」/禁じられた殉死/
   「先腹」を切った采女と左京/左京の悪口を言い触らす関
   屋為右衛門/二人の荒若衆、為右衛門を討ち果たして退去
   する            

  3節 「一分」をつらぬいた「大組頭」椿井民部 …………… 185
      ――男らしさの美

   馬上の「断り」が聞こえなかった綱嶋判右衛門/果し合い
   の申し入れに潔く応じた椿井民部/「御前」の仲裁/民部
   が剃髪して江戸へ出奔した意味/門前で行われた敵討ちに、
   民部内儀が助太刀をする/「武士の義理」を立て通した二人

おわりに 西鶴が描いた「武道」のイデア(理想) …………… 199
      ――フェアの精神

   映画『武士の一分』の楽しさ/西鶴が描いた「武道」の
   イデア(理想)/“男らしさ”とフェアな精神

あとがき …………………………………………………………… 203

引用・参考文献 …………………………………………………… 205

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岡本 隆雄(おかもと たかお)

昭和11年3月22日 札幌市生まれ             
昭和33年3月 北海道大学文学部国文学科卒業
専攻 井原西鶴の浮世草子             
   仮名草子・説経浄瑠璃(小栗判官)正本の研究     
現職 群馬県立女子大学名誉教授              
著書 『世間胸算用全釈』(武蔵野書院 昭和54年8月共著)
   『椀久一世の物語・嵐は無常物語』(桜楓社 昭和59年10月)
論文「『世間胸算用』のアイロニー」(北海道大学国語国文学会編『国語国
   文研究』61号,昭和54年2月),「『本朝桜陰比事』論―民事譚の法認識
   を中心に―」(群馬県立女子大学国語国文学会編『国文学研究』10号,
   平成3年3月),「『好色五人女』論―ヒロインの造型をめぐって―」(論
   集近世文学3『西鶴の周辺』,勉誠社,平成3年11月),「『武道伝来記の
   演劇性―趣向と人物類型を中心に―」(群馬県立女子大学国語国文学会
   編『国文学研究』27号,平成19年3月),「『伊曽保物語』論―仮名草
   子性について―」(『群馬県立女子大学紀要』15号,平成6年3月),「弘前
   市立図書館蔵『小栗判官甦活(そせい)物語』―翻刻と解題―」(群馬県
   立女子大学国語国文学会編『国文学研究』16号,平成8年3月,共著)



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