鈴木重嶺の『元始祭』
安田寛氏は「唱歌の作歌と御歌所人脈」(『奈良教育大学紀要』55巻1号、平成18年、2006年8月)で、唱歌と御歌所の人脈に関して論じておられる。
明治21年6月7日、宮内省に御歌所が置かれ、所長に高崎正風が就任した。『祝日大祭日唱歌』の作詞者は、次の通りである。

君が代  古歌
勅語奉答 勝安房
一月一日 千家尊福
元始祭  鈴木重嶺
紀元節  高崎正風
神嘗祭  木村正辞
天長節  黒川真頼
新嘗祭  小中村清矩

これをみると、旧派歌人が中心であるようだ。安田氏は、

「……これまではもっぱら徳育の観点からのみ論じられ、日本固有の伝統ある和歌を保守するという面からの論述が欠けていた。唱歌を日本のミッションによってもたらされたキリスト教とそれに抗する反キリスト教勢力との拮抗から生まれたものだとする視点からは、この面がむしろ重要であって、和歌の保守勢力の唱歌に対する関わりの概要は明らかに出来たと思う。……」

と述べておられる。


『祝日大祭日唱歌』は、明治26年(1893)8月12日に制定された。

『祝日大祭日歌詞並楽譜』
文部省告示第三号官報第3037号
小学校ニ於テ祝日大祭日ノ儀式ヲ行フノ際唱歌用ニ供スル歌詞並楽譜別冊ノ通撰定ス
明治二十六年八月十二日
  文部大臣 井上 毅

第四 元始祭  鈴木重嶺 作詞、芝 葛鎮 作曲

天津日嗣の 際限なく。
天津璽の 動きなく。
年のはじめに 皇神を。
祭りますこそ かしこけれ。
四方の民くさ うち靡き。
長閑けき空を うち仰ぎ。
豊栄のぼる 日の御旗。
たてて祝ははぬ 家ぞなき。
 

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