鈴木重嶺作 今様 (婦人文庫『歌謡』今様集 の部に収める)


        橘              鈴木重嶺

ねくたれ髪のさみだれて、        雲立ち迷ふ妹が門、
さと薫りくるたちばなは、        誰が昔をかしのばする。


        早苗            同 人

早苗とり/゛\賤の女が、        歌へる声ぞおもしろき。
その菅笠も折に合ふ、            白き色こそ涼しけれ。


        夕露            同 人

尾花はまねき、苅萱は            思ひみだるゝ夕まぐれ、
契りし誰を待つとてか、          玉敷きわたす庭の露。


        水辺草花        同 人

野川の岸に立ちよれば、          真萩、きちかう、女郎花、
影をうつして水さへに、          錦とこそは見えにけれ。

 

 

婦人文庫『歌謡』奥付

著作者          東京市牛込区通寺町十四番地
                 鶴田新蔵
発行者          東京市牛込区通寺町十四番地
                 婦人文庫刊行会
右代表者         高橋都素武
印刷者          東京市芝区愛宕町三丁目二番地
                 細萱武四郎
印刷所          東京市芝区愛宕町三丁目二番地
                 東洋印刷株式会社

不許複製 歌謡 婦人文庫 第十二回刊行書

印刷日          大正四年三月七日
発行日          大正四年三月十日
発行所          東京市牛込区通寺町十四番地
                 婦人文庫刊行会
                振替東京六一一〇番 電話番町三八〇四番

 

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