養育費の不払いが社会的問題となっている今、注目されているのが保証会社が提供している養育費保証サービスです。
不払いの養育費の回収方法はいくつかありますが、確実性を問われれば差し押さえくらいしかありません。
その点において、確実に不払いの養育費を回収できる養育費保証サービスは、養育費を受け取る側にとって大変魅力的なサービスと言えるでしょう。
しかし、新しいサービスであるが故に、トラブルに巻き込まれる可能性がないとも言えません。
利用時にはこのサービスの仕組みや注意すべきポイントを、ちゃんと理解しておくべきでしょう。
そこで今回は、民間保証会社が提供している養育費保証サービスについて徹底検証していきます。
ぜひ最後まで目を通して、養育費保証サービスの利用可否を判断する材料にしてください。
養育費保証サービスの概要
知っているかもしれませんが、養育費保証サービスは保証料を支払うことで、養育費が不払いになった時、相当金額の保証が受けられるサービスです。
保証料の支払いが必要とはいえ、不払いの養育費を確実に回収できる点において、大変魅力的なサービスと言えるでしょう。
このサービスを提供している民間保証会社は、養育費の支払い義務者から立て替えた養育費を回収することで、申込者が支払う保証料を利益としています。
つまり、この養育費保証サービスは、下記の流れが完遂されなければ事業として成り立たないというわけです。
- 申込者から保証料が支払われる
- 養育費不払いの発生
- 申込者に不払い分を支払う
- 支払い義務者に不払い分を請求
- 支払い義務者から不払い分が支払われる
この養育費保証サービスの仕組みについては、下記の記事で詳しく解説しています。
民間保証会社が提供する養育費保証サービスをさらに詳しく知りたいという人は、この記事を覗いてみてください。
自治体の養育費保証制度との違い
近年、自治体が導入している養育費保証制度に注目が集まっています。
しかし、誤解してもらいたくないのは、この養育費保証制度は自治体が養育費保証をしてくれるわけではないという点です。
あなたが「民間保証会社の養育費保証サービスとどう違うの?」と思っているなら、全く同じものだと覚えておいてください。
自治体の養育費保証制度は、自治体が民間保証会社と業務委託して、民間保証会社の養育費保証サービスを保証料無料で提供しているだけです。
養育費保証制度は、自治体が薦める民間保証会社の養育費保証サービスを、無償利用できる制度だと考えてもらえばいいでしょう。
これについては、下記記事の「地方自治体が独自に取り組んでいる不払い養育費の立て替え払い制度」で詳しく解説しています。
実際に同制度を導入している兵庫県明石市を例に挙げて、その概要を紹介しています。
さらに詳しい情報が知りたい人は、記事に目を通して制度概要を理解するようにしてください。
ZOZO創業者前澤さんが始めた養育費保証サービスの概要を見てみよう!
2020年6月にZOZO創業者である前澤さんが事業参入したことで、養育費保証サービスはさらに多くの注目を集めることになりました。
民間会社の養育費保証サービスは、提供している会社によって下記条件が異なります。
- 申込要件
- 保証金額
- 付帯サービスの有無
そのため、申し込みやすく、手厚い保証とサービスが受けられることが、利用先を決定する際の選択ポイントになってくるのです。
これら3つ条件があなたの状況や要望に合致していることが、一番重要な選択ポイントになるでしょう。
その点において、前園さんが提供する養育費保証サービス「小さな一歩」はどうなのでしょうか。
最初に言っておきますが、「小さな一歩」のサービス内容は従来の養育費保証サービスとは一線を画す内容となっています。
あなたが多少でも、一般的な養育費保証サービスの概要を知っているならば、必ずビックリするはずです。
それでは早速、「小さな一歩」のサービス概要から、その是非を確認してみることにしましょう。
「小さな一歩」の仕組み
「小さな一歩」が提供しているサービスの仕組みは下記の通りです。
- サービス利用の申し込み
- サービス利用の契約締結
- 申込者に養育費が支払われる
- 「小さな一歩」が支払い義務者へ養育費を請求
- 支払い義務者が「小さな一歩」に養育費を支払う
「小さな一歩」は一般的な養育費保証サービスのように、不払い時にその相当額を保証するサービスではありません。
毎月支払われる養育費を「小さな一歩」がずっと支払い、その相当額を支払い義務者へ請求して回収する流れになります。
つまり、このサービスを利用すると、毎月の養育費は元夫からではなく、「小さな一歩」から支払われることになるのです。
養育費保証サービスは、養育費不払い時に相当額を保証するのが一般的ですから、従来のサービスとは一線を画すサービス内容と言えるでしょう。
「小さな一歩」の保証内容は、一般的な養育費保証サービスとは完全に異なります。
申込時には、まずこの点をしっかり理解しておくようにしてください。
「小さな一歩」の申込要件
通常、養育費保証サービスを提供している保証会社は、下記事項を考慮して申立要件を決定しています。
- 申込時の養育費不払いの有無
- 債務名義の有無
- 養育費取り決めの有無
- 支払い義務者のサービス利用同意の有無
これら条件を保証会社がどう判断するかで、申込要件が異なるというわけです。
そのため、申込要件を満たせずに、申し込みできないケースも出てくるでしょう。
しかし、「小さな一歩」にはこれといった申込要件はありません。
養育費を受け取っている人ならば無条件で申し込むことができます。
また後述となりますが、養育費の取り決めをしていなくても、申し込むことが可能です。(*この場合は「小さな一歩」の協力弁護士が元夫と交渉して養育費取り決めをすることになります。)
申込要件が満たせず、希望した養育費保証サービスに申し込めない人は少なくありません。
となれば、これは利用者にとって大きなメリットとなってくるでしょう。
「小さな一歩」の気になる保証料は?
一般的な養育費保証サービスとはサービス内容が異なることもあり、「小さな一歩」では保証期間の設定はありません。
通常は年契約となり、その都度、保証料の支払いが必要になります。
しかし、「小さな一歩」では保証期間のくくりがないため、契約更新ごとの保証料の支払いは必要ないのです。
その代わり、養育費の受け取り方法に応じて、下記の手数料が請求されます。
- 毎月ごと受取り:受取金額の15%
- 一年分の一括受取り:受取金額の25%
通常の養育費保証サービスとは、保証料の支払い方も全く異なるというわけです。
申込時には、この保証料については、じっくりと比較検討する必要があるでしょう。
「小さな一歩」の気になる保証金額は?
通常、養育費保証サービスでは、保証金額の上限が定められています。
いくらでも保証してくれるわけではありません。
そのため、不払い金額が保証金額の上限に達すれば、保証契約は終了となってしまういます。
養育費保証サービスは、延々と不払い保証をしてくれるサービスではないのです。
しかし、「小さな一歩」では保証金額の上限が定められていません。
契約さえできれば、養育費の支払い期間が終了するまで、確実に養育費を受け取ることができるのです。
これも従来の養育費保証サービスとは一線を画すサービス内容と言えるでしょう。
ですが無条件に契約を継続できるわけではありません。
元夫の支払状況によっては、途中で保証契約を打ち切られる可能性もあります。
「お支払いがスタートした後、元パートナーの支払いが遅れたり滞ったりしても、私どもが保証してお支払いを継続いたします。(ただし、元パートナーの支払い状況などで、止むを得ず途中で保証を中断することがございますが、一度お振込した養育費は、私どもの負担とし、原則としてあなたから返金の必要はありません。)」
参照先:「小さな一歩」HP
保証金額の上限は定められていませんが、元夫の不払いが続くようであれば、 保証契約が打ち切られる可能性があるということです。
これは保証業務を事業としている会社ですから、当然の対応と言えるでしょう。
保証金額に定めはありませんが、保証契約が打ち切られる可能性があることは、忘れず覚えておいてください。
「小さな一歩」のが提供している付帯サービス
先に話したように「小さな一歩」では、養育費支払いを受けていない人の申し込みも受け付けています。
これは事業主である前園さんの事業意義が大きく影響してのことでしょう。
「小さな一歩」は養育費の不払い問題の解決だけでなく、下記の養育費支払い促進のサポートを企業理念として掲げています。
- 養育費を受け取れていない女性のサポート
- 養育費を受け取っていても受取額が少ない女性のサポート
養育費を受け取っていないなら養育費の取り決めを、受取額が妥当な金額でないなら養育費の見直しを、「小さな一歩」の協力弁護士やカウンセラーが元夫と直接交渉してくれます。
これも不払い保証に特化した、従来の養育費保証サービスとは一線を画すサービス内容です。
弁護士費用を負担することなく、弁護士に交渉を任せられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
今まで元夫が交渉に応じず、費用がなくて弁護士に依頼できなかったという女性には、ぜひ知用を検討してもらいたいサービスです。
しかし、交渉成立時には弁護士費用は養育費から分割請求されます。
成功報酬ですから、交渉が上手くいかなかった場合は請求されませんが、完全無償ではない点は理解しておきましょう。
「「完全成功報酬」「持出し費用0円」で弁護士に書面作成を依頼できるサービスのご案内をいたします。何かしらの理由で書面を作成できない場合、費用は一切かかりませんのでご安心ください。書面作成後に、月々の養育費から書面の作成費用を差し引かせていただきます。」
参照先:「小さな一歩」HP
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問題視されている養育費保証サービスの非弁行為とは!?
あなたは非弁行為をご存知ですか?
非弁行為とは弁護士法違反に該当する行為を指します。
日本弁護士連合会から、各弁護士会長に対して「いわゆる「養育費保証サービス」に関する注意喚起について(情報提供)」と題した注意喚起の文書が、2020年7月17日に通達されたことが大々的にニュース等で取り上げられました。
これによって、養育費保証サービスが非弁行為に当たるのではないかという意見が、飛び交うようになったのです。
確かに注意喚起されている点において、養育費保証サービスに違法性があることは否定できません。
しかし、これはサービスを提供している保証会社が、この違法性について十分理解し、その対策を講じた上でサービス提供しているかどうかで、違法性に問われる是非は全く異なります。
これは申込先を選ぶ際には、必要不可欠な選択ポイントです。
もちろん、サービス提供会社が違法性に問われたとしても、利用者が違法性を問われることはありません。
この点に関しては安心してもらって結構です。
しかし、利用しているサービス提供会社が違法性に問われれば、保証は打ち切られ、支払った保証料が無駄になる可能性は否めません。
そうならないためにも、日本弁護士連合会が注意喚起した内容をよく理解した上で、申込先を吟味する必要があるのです。
養育費保証サービスが非弁行為に当たるかについては、下記記事の「養育費保証サービスは弁護士法に抵触する非弁行為に当たる可能性が!」で分かりやすく解説しています。
養育費保証サービスの利用を検討するならば、知っておくべき重要な情報です。
しっかりと目を通して、サービス提供会社の選択時に役立てるようにしてください。
養育費保証サービスのメリット・デメリット
養育費保証サービスのメリットは明快です。
養育費が不払いになった時に、保証によって、その不測の事態を回避できることに尽きるでしょう。
これは養育費保証サービスの利用を考えているなら、誰もが理解している周知の事実です。
ですが、デメリットとなれば、ちゃんと理解しているという人は決して多くありません。
養育費保証サービスを利用する際は、むしろメリットよりもデメリットをしっかりと理解しておく必要があります。
デメリットを理解することによって、そのデメリットを避け、サービス条件のいい養育費保証サービスを選ぶことができるからです。
養育費保証サービスのデメリットには下記のものが挙げられます。
- 保証金額に上限がある
- 必ず希望する養育費保証サービスを利用できるわけではない
- 保証料の支払いが発生する
最低でもこの3つのデメリットは把握した上で、申込先を比較検討する必要があるでしょう。
これらデメリットについては、下記記事の「養育費保証サービスの注意点」で詳しく解説しています。
必ず目を通して必要な情報を入手し、申込先を選ぶ際の参考にしてください。
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まとめ
今回は民間保証会社が提供している養育費保証サービスについて徹底検証しました。
この養育費保証サービスの登場によって、不払いの養育費問題に悩む人は回収方法の選択肢が確実に広がったと言えます。
また、養育費不払いという不測の事態を回避できるのは、養育費受給者にとって大変魅力的なことでしょう。
しかし、申込時には注意が必要です。
非弁行為に当たるサービスでないかの見極めも必要ですし、できるだけサービス条件のいい保証会社を選ぶ必要があります。
あなたが養育費保証サービスの利用を検討しているならば、ぜひ今回の記事を参考にして、満足いくサービスが受けられる保証会社を選ぶようにしてください。
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