養育費相場を決定する条件の1つが子供の人数です。
養育費相場は子供が1人よりも2人、2人よりも3人といった具合に、人数が多い方が高くなる傾向にあります。
しかし、養育費を決めるのは子供の人数だけではありません。
他にも下記2つの条件が養育費相場に影響してきます。
- 離婚する夫婦それぞれの年収
- 子供の年齢
つまり、これら3つ条件の相互作用により養育費相場が決定されるため、子供が多ければ確実にその分養育費相場が高くなるわけではないのです。
そこで今回は子供が2人いる場合、残り2つの条件が異なることで、養育費相場がどう変わるのかを検証します。
子供が2人いる場合に受け取れる養育費の具体的な金額と、その計算方法を紹介するので、受け取れる養育費が気になる人は、最後まで目を通して参考にしてください。
養育費相場の基本的な確認方法を理解しよう!
「養育費がいくらになるかなんて、素人に分かるはずはない。」
「養育費は弁護士等の専門家に計算を依頼するしかない。」
こう思っている人は多いでしょう。
しかし、養育費相場の確認は誰にでも簡単にできます。
わざわざお金を払って専門家に依頼することはないのです。
裁判所HPで無料公開されている「養育費算定表」を使えば、誰でも簡単に知りたい養育費相場を確認することができます。
養育費算定表は協議離婚時、裁判所の調停や審判で養育費を決定する際の基準価格として取り上げられている、信頼性と実効性の高いデータです。
そのため養育費相場の確認には、まさに打ってつけのデータと言えるしょう。
確認方法も簡単です。
今から分かりやすく確認方法をお教えするので、きちんとマスターしてください。
養育費算定表を使った養育費相場の確認方法
先ほど言ったように、養育費算定表は下記裁判所HPで無料閲覧できます。
まずは上記サイトにアクセスしてください。
アクセスすると画面上に「養育費・婚姻費用算定表」ページが開いているかと思います。
それでは一緒に、養育費相場の確認手順を1つずつ見ていくことにしましょう。
ステップ1:「養育費・婚姻費用算定表」を開く
現在画面に開いている「養育費・婚姻費用算定表」ページのトップ下に「▶養育費・婚姻費用算定表」が確認できるでしょう。
確認できたら、その「▶養育費・婚姻費用算定表」をクリックしてください。
ステップ2:自分の条件に該当する養育費算定表を開く
現在、画面に「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」ページが開いている状態です。
このページに羅列しているPDFファイル「(表1)から(表9)」が、今回使用する養育費算定表になります。
これら各PDFファイル名には下記情報が記載されています。
- 子供の人数(1人~3人)
- 子供の年齢(14歳以下、15歳以上)
自分の条件に該当するPDFファイルを開けば、必要な養育費算定表が開くというわけです。
今回は「(表3)養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)」を使って、養育費相場の確認方法を見ていくことにしましょう。
ステップ3:夫婦それぞれの年収から養育費を確認する
必要な養育費算定表が画面に現れたら、まず確認するのは下記の4点です。
- 義務者 ⇒ 非親権者(離婚する夫)
- 権利者 ⇒ 親権者(あなた)
- 自営 ⇒ 自営業者
- 給与 ⇒ 会社員
後は離婚する夫とあなたの職業に応じた年収をグラフ上でクロスさせ、そのマスが分布している金額を確認するだけです。
試しに、下記条件で養育費がいくらになるのかを、一緒に確認してみましょう。
- 夫の年収(会社員):150万円
- 妻の年収(パート・アルバイト):100万円
この場合両者の年収がクロスするのは下記の様に「1~2万円」になります。
おそらくあなたも同じ金額になったことでしょう。
以上ように養育費算定表ならば、誰でも簡単に養育費相場の確認ができます。
本当に確認手順がマスターできたか、もう一度他の条件で養育費相場の確認をしてみるといいでしょう。
ーーー
年収別に分けて子供2人の養育費相場を確認しよう!
養育費相場は下記3つの条件によって結果が異なります。
- 離婚する夫婦それぞれの年収
- 子供の人数
- 子供の年齢
この中でも最も養育費相場に影響を与えるのが年収です。
養育費を支払う夫の年収もさることながら、夫婦の年収差も重要なポイントになってきます。
そこで、妻の年収が下記の場合、子供2人の養育費相場がどう変動するのかを、夫の年収別に分けて確認してみることにします。
- 妻の年収:無収入(専業主婦)
- 妻の年収:120万円(パート・アルバイトの全国平均年収)
- 妻の年収:280万円(女性の年収中央値)
今回確認する夫の年収は下記の通りです。
- 年収300万円
- 年収400万円
- 年収500万円
- 年収600万円
夫の年収、そして夫婦の年収差が養育費相場にどう影響するのかを、比較しながら見るようにしてください。
夫の年収が300万円時の養育費相場
夫の年収が300万円で妻が無収入の場合、子供の年齢が異なることで、下記の様に養育費相場が変動します。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
4万円~6万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
6万円~8万円 |
次は妻の年収が120万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
4万円~6万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
4万円~6万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
4万円~6万円 |
最後は妻の年収が280万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
2万円~4万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
2万円~4万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
2万円~4万円 |
夫の年収が300万円の場合、養育費は「2万円~8万円」が相場となっています。
年収300万円の場合、子供の年齢による影響は殆どないと考えた方がいいでしょう。
妻が無収入の時には、15歳以上の子供が1人増えた時点で2万円の増額がありましたが、妻に年収がある場合は一切増額は見られません。
夫の年収が400万円時の養育費相場
夫の年収が400万円で妻が無収入の場合、子供の年齢が異なることで、下記の様に養育費相場が変動します。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
8万円~10万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
8万円~10万円 |
次は妻の年収が120万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
4万円~6万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
6万円~8万円 |
最後は妻の年収が280万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
4万円~6万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
4万円~6万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
4万円~6万円 |
夫の年収が400万円の場合、養育費は「4万円~10万円」が相場となっています。
先ほどの年収300万円の時より全体的に2万円のアップとなっていますが、年収300万円と同様に、子供の年齢による影響は殆どありません。
夫の年収が500万円時の養育費相場
夫の年収が500万円で妻が無収入の場合、子供の年齢が異なることで、下記の様に養育費相場が変動します。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
8万円~10万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
10万円~12万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
10万円~12万円 |
次は妻の年収が120万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
8万円~10万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
8万円~10万円 |
最後は妻の年収が280万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
6万円~8万円 |
夫の年収が500万円の場合、養育費は「6万円~12万円」が相場となっています。
ここまでと同じく、先ほどの年収400万円の時より全体的に2万円のアップとなっていることから、養育費相場は100万円単位ごとに月額2万円のアップが規定ラインだと考えていいでしょう。
また、今回も子供の年齢による影響はほとんどなかった点も留意しておいてくだささい。
夫の年収が600万円時の養育費相場
夫の年収が600万円で妻が無収入の場合、子供の年齢が異なることで、下記の様に養育費相場が変動します。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
10万円~12万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
12万円~14万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
12万円~14万円 |
次は妻の年収が120万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
8万円~10万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
10万円~12万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
10万円~12万円 |
最後は妻の年収が280万円の場合です。
子供の人数・子供の年齢 |
養育費相場 |
子供2人・共に年齢14歳以下 |
6万円~8万円 |
子供2人・第1子年齢15歳以上/第2子年齢14歳以下 |
8万円~10万円 |
子供2人・共に年齢15歳以上 |
8万円~10万円 |
夫の年収が600万円の場合、養育費相場は「6万円~14万円」と、ここまでで最高価格になっています。
夫の年収が高ければ、それだけ養育費相場も高くなるという証ですね。
今回は下限値が6万円ですが、やはり100万円単位ごとに月額2万円のアップは規定ラインであることに違いはありません。
また、今回も子供の年齢による影響はほとんど見られませんでしたが、これは複数の子供を養育している親にとっては切実な問題です。
15歳以上になると子供の生活指数は大人とほぼ変わりません。
そこに高校進学に向けたあらたな教育費が掛かるのですから、この年齢に伴う養育費の増額では全然足りないというのが素直な印象です。
養育費の月額増額を望んでも、養育費算定表以上の増額が認められることはありません。
これは親権者自らが不足する養育費を穴埋めするために、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。
夫婦それぞれが子供を引き取った場合の養育費
中には夫婦それぞれが子供を1人ずつ引き取るケースもあるでしょう。
残念ながらこのケースでは養育費算定表で、養育費相場を確認することはできません。
養育費相場の養育費相場は、片親が子供を全員引き取ったケースを前提に算定されているからです。
この場合の養育費相場は、養育費算定表の算定時に用いられた標準計算式を使って計算することになります。
ですが、この方法はあまりおすすめできません。
その計算方法は下記の記事で紹介していますが、計算が複雑なため計算ミスを起こしやすいというデメリットがあります。
そこで今回は誰でも計算ミスなく、簡単に計算できる方法を紹介します。
養育費算定表の様に計算無しの目視だけの確認とはいきませんが、今のところこの計算方法が最もおすすめです。
分かりやすくその計算方法を紹介するので、必要な人はマスターするようにしてください。
今回は下記条件で計算を進めていきます。
- 夫の年収:500万円
- 妻:無収入
- 夫婦がそれぞれ14歳未満の子供を1人ずつ監護
順を追って解説するので、しっかりと理解するようにしてください。
ステップ1:子供の生活指数を確認する
子供の生活指数は一般的な大人の生活を100とした際の子供の指数です。
子供の生活指数は年齢に応じて、下記の2つに区分されています。
- 0歳~14歳未満:55
- 14歳以上:90
今回は共に14歳未満ですから、2人の生活指数はそれぞれ55です。
ステップ2:養育費を支払う子供の生活指数割合を求める
生活指数割合は下記の計算式で求められます。
まずは 子供全員の生活指数合計値を求めましょう。
子供それぞれの生活指数は55ですから、2人の生活指数合計値は下記の通りです。
今回、養育費を支払う子供は1人です。
よって、生活指数割合は下記の計算で求められます。
55 ÷ 110 × 100 = 50
⇒生活指数割合50%
今回は子供の生活指数が同じでしたが、異なる場合には計算ミスする可能性が大きくなります。
くれぐれも生活指数を取り違えて計算しないように注意してください。
ステップ3:養育費算定表から養育費相場を確認する
次はあなたが子供全員を引き取った時の養育費相場を、養育費算定表を使って確認してください。
今回の養育費は下記の通り「8万円~10万円」です。
ステップ4:養育費を計算する
最後は今確認した養育費相場に、先に計算した生活指数割合を掛けてやれば、下記の様に養育費相場が求められます。
以上が子供を夫婦それぞれが引き取った時の、養育費相場の確認方法です。
計算が必要ですが、さほど面倒な計算ではなかったと思います。
これならあなたも気後れせず、計算しようという気になったのではないでしょうか。
おさらいのためにも、ぜひ一度自分で計算してみてください。
元夫のボーナスで養育費増額を狙うのも1つの手!
今回の記事でお分かりいただけたかと思いますが、養育費は元夫の年収しだいという事実は否めません。
元夫の年収が高いほど、満足のいく養育費を受け取れる可能性は高くなるでしょう。
しかも、元夫が高額年収であれば、必要に応じて養育費の増額に応じてくれる可能性も高くなってきます。
夫の年収が高いということは受け取れる養育費だけでなく、将来を踏まえた子供の養育にも大きなメリットを生む可能性があるのです。
しかし、年収によっては、これ以上の増額は勘弁して欲しいという人が多いのも事実です。
むしろ、こんな人の方が多いでしょう。
そんな相手に増額を申し出ても拒否されるでしょうし、そもそもその余裕があるとは思えません。
ですが、まとまった収入が入るボーナス月なら話は別です。
月額の増額には対応できなくても、ボーナス月なら対応できる可能性はグンと高くなってくるでしょう。
養育費の増額を望むならば、ボーナス時の増額請求は有効な増額手段です。
利用できるなら、利用しな手はありません。
このボーナス月の増額請求については、下記の記事で詳しく解説しています。
なんとか養育費の増額をと考えている人は、ぜひ目を通して参考にしてください。
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養育費の支払い期間はいつまで?!支払い期間延長の可否
増額と並んで子供の親権者を悩ますもう1つの問題と言えば、やはり支払い期間の延長でしょう。
養育費を受け取っている親権者も、支払い期間が成年年齢となる20歳までなのは百も承知です。
それを知りながら敢えてこの質問が後を絶えないのは、大学進学を気にしてのことでしょう。
結論から言えば養育費の支払い期間は延長可能です。
相手が申し出に同意しさえすれば、すんなり事も進むでしょう。
ですが話し合いで決着がつかず、裁判所に裁決を委ねる場合には、少々話しが厄介になってきます。
必ずしも裁判所が、支払い期間の延長を認めるわけではないからです。
ですが、大学進学を視野に入れているならば、ダメもとでも支払い期間の延長は請求すべきでしょう。
この問題については下記の記事で詳しく解説しています。
支払い期間の延長が必要な人は、ぜひ目を通して参考にしてください。
まとめ
今回はいくらの養育費が請求できるのかを、年収別に検証しました。
養育費は支払う夫の年収が高いほど、受け取れる養育費は高くなります。
これは覆しようのない事実です。
ですが、その上で受け取れる養育費を把握し、近い将来必要になる養育費の増額や、支払い期間の延長に対処する必要があります。
今回話した内容を参考にして、できるだけ満足のいく条件で養育費を受け取れるようにしてください。
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