未払い分の養育費は時効を迎えれば請求できない!あなたが心配する養育費の請求問題すべて回答!!

知らない人もいるかもしれませんが、未払いの養育費には時効があります。

時効を過ぎた未払いの養育費は、法的に支払う義務が免除されます。

あなたが未払いの養育費を請求したいのであれば、時効期間中に回収する必要があるのです。

あなたが時効を迎えた未払い分を請求したとしても、相手が「NO!」と時効を盾に支払いを拒否すれば、回収することはできません。

あなたが養育費の未払い問題に悩まされているなら、この点はよく理解しておく必要があるでしょう。

そこで今回は養育費請求について徹底解説していきます。

養育費請求でよくある疑問についても、しっかり回答していくので、最後まで目を通して、必要な情報を入手するようにしてください。

未払いの養育費請求の時効について

冒頭で言ったように未払いの養育費には時効があります。

未払いの養育費の時効期間は原則5年で、下記に該当する場合は10年です。

  • 裁判所の調停で養育費の取り決めをした
  • 裁判所の審判で養育費の取り決めをした

この時効期間を過ぎれば、元夫は未払いの養育費を支払う法的義務が免除されてしまいます。

相手が支払うというなら別ですが、時効を盾に支払いを拒否されれば、未払いの養育費は回収できなくなってしまうのです。

それでは、時効期間はいつからカウントされるのでしょうか。

時効問題を考える上で、これは知っておくべき必要不可欠な情報になってきます。

そこでまずは、時効のカウントが始まる時点について、解説していくことにしましょう。

離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合

裁判所を介して離婚したなら話は別ですが、裁判所を介さずに協議離婚した女性の中には養育費の取り決めをしていない人は少なくありません。

とにかく早く離婚したいという思いが強いため、養育費の取り決めをスルーする女性が実に多いのです。

この場合、養育費の時効は発生しません。

養育費の取り決めをしていないからです。

そもそも支払い期日を決めていないのですから、時効のスタート時点が存在するはずありませんよね。

そのため、養育費の時効期間がスタートするのは、離婚後に下記の養育費取り決めをした時点になります。

  • 支払い金額
  • 支払い期日
  • 支払い方法
  • 支払い期間

この中の支払い期日が、時効期間のスタート時点と考えればいいでしょう。

また、当事者同士の話し合いで決着がつかない場合、裁判所に養育費請求調停を申し立てることになります。

この場合、調停不成立となり審判に移行するケースもありますが、養育費の支払いスタートは裁判所に調停申立した月です。

その月の支払い期日が時効期間のスタート時点と考えてもらって結構です。

裁判所に養育費請求調停を申し立てたのが5月、そして裁判所の裁決で養育費取り決めが行われ、支払日が毎月27日と決まったとしましょう。

この場合の時効期間のスタート時点は5月27日といった具合です。

養育費の取り決めをしたが支払いを拒否されている場合

養育費の取り決めをしたが、支払いを拒否されている場合は、養育費の取り決めで交わした支払い期日が、時効期間のスタート時点となります。

5月に養育費の取り決めを交わし、支払い開始月を6月、支払い期日を毎月27日と決めたとしましょう。

この場合、時効期間のスタート時点は6月27日です。

この期日に養育費の支払いがなかった場合、この翌日から時効期間がスタートします。

日本における養育費受給率はおよそ26%という低さです。

養育費の取り決めをしても、未払いとなる可能性は否めません。

その時にしっかり未払いの養育費を回収する為にも、この時効については注意するようにしてください。

未払いの養育費問題については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。

養育費を受け取るのであれば、時効に関する基礎知識は絶対に見に着けておくべきです。

この記事に目を通して、重要な基礎知識を確認してみましょう。

公正証書の有効期限

最近は協議離婚時に離婚協議書を「執行認諾文言付き公正証書」として作成する夫婦が増えてきました。

これは、協議離婚書を「執行認諾文言付き公正証書」として作成することで、未払いになった時に強制執行による差し押さえを申し立てる権利を有することができるからです。

ここで気になるのが、この公正証書の有効期限でしょう。

養育費の支払い期間は、最長で20年にも及ぶため、その間に公正証書の効力がなくなってしまっては意味がありません。

ですが、公正証書自体、養育費支払いに関する取り決めが記載されたものですから、当然、支払い期間も明記されているでしょう。

よって、養育費の支払い期間が終了するまでは、公正証書の効力がなくなることはありません。

ですが問題なのは、あなたが公正証書を紛失した場合です。

養育費の取り決めを記した文書がなくなってしまっては、取り決め事項を立証する術がありませんよね。

しかし、安心してください。

公正証書の原本は、作成した公証役場でちゃんと保管されているのです。

公正証書の原本は公証役場で20年間保管されている!

公正証書の原本は、下記の様に法律で原則20年間、公証役場で保存することが義務付けられています。

(公証人法成功規則第27条)

「公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。」

「一 証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿、信託表示簿 二十年」

しかし、近年は大学進学等で、養育費の支払い期間が20年を超えるケースも想定されます。

ですが、このケースもさほど心配はいらないでしょう。

実際のところ大半の公証役場では、20年を超えても公正証書の原本を保管していると言われています。

中には30年、50年と保管しているところもあるようです。

あなたが公正証書を紛失したとしても、公証役場に再交付を依頼することができます。

20年を超えて保管しているかどうかは、公証役場によって異なるので、確認は必要でしょう。

気になる場合は、作成時に保管期間を確認してみるようにしてください。

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離婚後に養育費の取り決めをした場合、遡って養育費を請求できるのか

離婚時に養育費の取り決めをしている夫婦は、全体の50%にも達していません。

半分以上の夫婦が養育費の取り決めをしていないのが実情です。

それもあり、離婚後に養育費の取り決めを求めるシングルマザーは少なくありません。

そこでよく理解しておいてもらいたいは、養育費は遡って請求することができないという点です。

養育費の支払いがスタートするのは、養育費の取り決めをした時点からになります。

養育費の取り決めは早急に!

あなたが離婚時に養育費の取り決めをせず、離婚してから5年後に養育費を請求したとしましょう。

この場合、離婚してから5年分の養育費を請求することはできません。

そもそも養育費の取り決めをしていないのですから、5年分の代価を算出する術はありませんよね。

しかも、5年分まとめて支払えと言っても、相手に資金的余裕があるとは限りません。

支払えたとしても、相手にとって大きな負担となってしまいます。

相手が支払いに応じるのであれば、何の問題もありません。

しかし、裁判所へ支払いを申し立てても、認められることは万に一つもないでしょう。

あなたが養育費の取り決めをしていないなら、早急に請求手続きをすることをおすすめします。

後回しにするほど、受け取れる養育費は少なくなってしまうからです。

この点をよく理解して、養育費の取り決めをしていない場合は、早急に請求手続きに取り掛かるようにしてください。

養育費は子供が請求することもできるの

養育費は離婚した元妻が元夫から受け取るもの。

こう思っている人もいるかもしれません。

しかし、この考えは間違っています。

養育費の支払いは、親が子供に対して負っている法的義務です。

元夫が元妻に負っている義務ではありません。

よって、養育費の請求権は親でなく、子供が有する法的権利なのです。

あなたが養育費を請求するのは親権者としての義務

親権とは親が子供に対して、下記義務と権利を遂行することです。

  • 子供の養育監護
  • 子供の私的財産の管理
  • 子供の代理として法律行為を行う

婚姻中は夫婦が共同して親権を遂行しますが、離婚後は夫婦どちらかが親権者となります。

つまり、親権者となったあなたが、子供の代理として養育費を請求し、その金銭を子供に代わって管理しているだけなのです。

養育費を受け取っていなかった子供が、自ら離れて暮らす父親に養育費を請求した事例はいくつも見られます。

仮にあなたが養育費請求をしなくても、子供自ら父親に対して養育費を請求することも可能なのです。

養育費を受け取る権利は子供のもの。

あなたが有する権利ではありません。

この点はよく理解しておくようにしてください。

養育費の未払いに法的罰則はあるの

2020年4月に改正民事執行法が施行される際、ツイッター上で下記ツイートが拡散されました。

「養育費を踏み倒して逃げた場合、6ヶ月以下の懲役、50万円以下の罰金が科されます。」

このツイートに狂喜乱舞した女性は少なくなかったでしょう。

しかし、このツイートはまったくのでたらめです。

確かに養育費回収で刑事罰が科されるようにはなりましたが、これは養育費の未払い者に対するものではありません。

仮にあなたがこのツイートを信じているなら、考えを改めてください。

現在、国を挙げて養育費の不払い問題解消のため、法改正に着手しているという情報はあります。

ですが、2020年12月時点では、養育費の未払い者に対する刑事罰は存在しません。

この点は誤解しないように、よく理解しておいてください。

今後の国の展望や、諸外国が実施している不払い解消のための制度、法改正に伴う刑事罰については、下記の記事で詳しく解説しています。

是非この記事に目を通して、重要情報を入手してください。

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時効を迎えていない養育費請求を拒むなら、差し押さえで回収しよう!

未払いの養育費の支払い請求しても、まったく相手が対応してくれない。

この情況では話し合いで問題を解決することはできないでしょう。

相手に支払う意思がないと思うのであれば、早急に強制執行による差し押さえを申し立てることをおすすめします。

あなたも知っての通り、差し押さえは未払いの養育費を回収する最終手段です。

相手に差し押さえることができる財産があるなら、高い確率で未払いの養育費を回収することができるでしょう。

あなたの元夫が会社員であれば、給与差し押さえがおすすめです。

早急に、強制執行による差し押さえを申し立て手続きに、取り掛かってください。

未払いの養育費を差し押さえで回収する方法は、下記の記事で詳しく解説しています。

この記事にしっかりと目を通して、必要な情報を入手するようにしてください。

まとめ

今回は養育費の請求について徹底解説しました。

養育費の支払いは親が子供に対して負っている法的義務です。

親が養育費の支払いから逃げることはできません。

しかし、あなたが相手に養育費を請求しないことには、何も始まらないのです。

離婚時に養育費の取り決めをしていないなら、今回の記事を参考にして、早急に請求手続きに取り掛かるようにしてください。

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