未払いの養育費はどれくらいで回収できる?裁判所に養育費請求の申し立てをする時に必要な情報をすべて公開!

養育費未払いの最終的な解決法となれば、強制執行による差し押さえになります。

相手に財産がありさえすれば、高い確率で未払いの養育費は回収できるでしょう。

しかし、裁判所への差し押さえ申し立ては誰でもできるというわけではありません。

まずは、申し立てができる権利である債権名義を取得していることが大前提です。

そのため、債権名義を取得しているかどうかで、差し押さえ申し立ての方法と手順は違ってきます。

あなたが債権名義を取得しているかどうかで、差し押さえの方法はまったく違ってくるのです。

そこで今回は未払いの養育費を裁判所を介して回収する時に、知っておくべき必要な情報を分かりやすく解説します。

現在は法改正によって差し押さえしやすくなっている!

冒頭でも言ったように差し押さえは誰でもできるわけではありません。

裁判所に差し押さえを申し立てるには、下記3つの申立要件を満たす必要があるからです。

  • 債権名義を取得している
  • 相手の現住所を把握している
  • 差し押さ対象となる財産情報を把握している

差し押さえできれば、高い確率で未払いの養育費回収は可能になります。

しかし、そのためにはこれら申立要件を満たす必要があるのです。

これがネックとなって、差し押さえを断念せざるを得なかったシングルマザーは少なくありませんでした。

ですが安心してください。

2020年の法改正に伴い、あなたが債権名義を取得さえしていれば、残り2つの申立要件は以前よりもグンと調査しやすくなったのです。

法改正の注目ポイントは3つ!

債権名義は取得できているのに、差し押さえる財産が特定できない。

相手の現住所が分からない。

以前はこういった理由で、差し押さえを断念したシングルマザーは実に多かったのです。

そもそも第三者の個人情報を、素人が簡単に調べ上げることは容易ではありません。

調べてみたが分からず、諦めるしかなかったというシングルマザーが多かったのもうなずける話ですよね。

しかし、2020年4月に施行された改正民事執行法により、下記2つの情報を得ることがずいぶん容易になったのです。

  • 相手の現住所
  • 差し押さえ対象にする財産の情報

そして、改正民事執行法で注目して欲しいのは、下記3つの変更・追加です。

  • 財産開示手続の利用者枠が拡大された(変更点)
  • 財産開示手続時の出頭拒否や虚偽申告に刑事罰が科されるようになった(変更点)
  • 第三者からの情報取得手続きが可能になった(追加点)

これら3つの変更・追加により、以前よりも差し押さえ時の申立要件を満たしやすくなりました。

以前ならば諦めるしかなかったというケースでも、差し押さえの申し立てができる可能性がグンと上がったのです。

現在、相手の住所や差し押さえる財産情報が分からず、申立要件を満たせないでいるならば、ぜひ利用して欲しい制度と言えるでしょう。

この法改正の概要とメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。

あなたが差し押さえの申立要件を満たせずに悩んでいるなら、この記事を覗いて調査方法を入手してください。

裁判所で養育費の取り決めをしたのに未払いのまま!この時に取るべき手続き方法

裁判所を介して未払いの養育費を回収する方法となれば、誰もが差し押さえを思い浮かべるでしょう。

しかし、差し押さえとなれば時間や労力、そして費用が必要になります。

できるならば手間や費用を掛けず、もっと簡単に回収したいところですよね。

実は裁判所を介して未払いの養育費回収をする方法は、差し押さえだけではありません。

あなたが養育費の取り決めを裁判所を介した下記手続きで行っているなら、他の回収方法も検討してみるべきでしょう。

  • 養育費請求調停(または離婚調停)
  • 養育費請求審判(または離婚審判)

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裁判所を介した未払いの養育費を回収する方法は2つ

あなたが裁判所を介して養育費の取り決めをしたならば、下記2つの回収方法を選択することもできます。

  • 履行勧告
  • 履行命令

裁判所で取り決めたことの履行を確保する方法は、下記の2つに分類されます。

  • 直接強制
  • 間接強制

直接強制が強制執行による差し押さえ、今紹介した2つの方法が間接強制に当たります。

  • 履行勧告:裁判所から支払いを勧告してもらう
  • 履行命令:裁判所から支払いを勧告してもらい、応じない場合には10万円以下の過料支払いが命じられる

これら2つの間接強制は、直接強制となる差し押さえのような法的強制力はありませんが、下記メリットがあります。

  • 相手に心理的プレッシャーを与え支払いを促す
  • 手続きが簡単

まずは、差し押さえをする前に、これら間接強制を申し立ててみるのも1つの方法でしょう。

これら間接強制を申し立てて効果がないなら、強制執行による差し押さえを申し立てるという流れです。

しかし、相手が支払いに応じる確率は決して高くないと言われています。

ですが、可能性に賭けてみるのもいいかもしれませんね。

また、最終手段となる強制執行による差し押さえに必要な情報と注意点は、下記の記事で詳しく解説しています。

間接強制では効果がなかった、面倒なことは止めて差し押さえを申し立てたいという人は、是非この記事を覗いて必要な情報を入手してください。

養育費請求調停の申し立てに必要な書類

離婚時に養育費の取り決めをしても、下記のような人は少なくありません。

  • 口頭で取り決めた
  • 当事者同士で交わした私文書しか作成していない

この場合、債権名義は取得できていません。

裁判所を介さずに養育費の取り決めをした場合、協議書を「執行認諾文言付き公正証書」として作成しておかなければ、債権名義を取得することはできないのです。

つまり、あなたが上記どちらかに該当するならば、裁判所へ強制執行による差し押さえを申し立てる権利を有していない状態になります。

このケースで未払いの養育費を回収するためには、裁判所に養育費請求調停を申し立てるしかないでしょう。

あなたが上記どちらかに該当するならば、至急、裁判所に養育費請求調停を申し立てることをおすすめします。

養育費請求調停の申し立て方法

養育費請求調停の申し立て先は、下記いずれかの家庭裁判所です。

  • 相手の現住所地の家庭裁判所
  • 当事者同士で合意した家庭裁判所

未払いともなれば相手が請求に応じないケースが多いでしょうから、相手の現住所地にある家庭裁判所に申し立てることになるでしょう。

また、気になる費用ですが、裁判所で必要になる実費は心配することはありません。

下記のように数千円ですむため、あなたの負担にはならないでしょう。

  • 収入印紙1,200円分(*子供1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(*申立先の裁判所によって異なる)

弁護士を雇うとなれば数十万円という費用が必要ですが、あなたが自ら申し立てるならば費用面は何ら気にする必要はありません。

申し立てに必要な書類も下記の通りです。

  • 申立書とその写し1通
  • 子供の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • あなたの収入証明書(源泉徴収票の写し、給与明細書の写し、確定申告書の写しなど)

作成する申立書も下記の通り複雑なものではありません。

申し立てだけならば、あなた1人でも問題なく手続きできるでしょう。

しかし、養育費請求調停に臨む際は、弁護士を雇った方が満足のいく結果が得られやすくなります。

できるならば弁護士を雇った方が無難でしょう。

養育費請求調停で掛かる弁護士費用については、下記記事の「弁護士を雇う時に掛かる弁護士費用の相場」で詳しく解説しています。

まずはこの記事を覗いて、弁護士を雇うかどうかを検討してみましょう。

裁判所の養育費請求調停に相手がこない!こんな時はどうなるの

「養育費請求調停が開かれたのはいいが、相手が裁判所に出頭してこない・・・。」

こんなケースは珍しくありません。

では、こんな時、養育費請求調停はどうなってしまうのでしょうか。

あなたの元夫が図太く、いい加減な男性ならば、そうなる可能性は高いでしょう。

この場合、養育費請求調停は不成立となって終了となります。

ですが、心配する必要はありません。

調停不成立となれば、審判手続きに移行され、審議の場が審判に移されます。

審判は裁判官の判断により、裁決が下されるので、相手が審判にこなくても何ら問題はありません。

この養育費請求調停に相手がこなかった場合の対処方法と注意点は、下記の記事で詳しく解説しています。

あなたにも十分可能性のある話です。

しっかりこの記事に目を通して、そうなった時の対応策を講じるようにしてください。

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裁判所に申し立てる時は気を付けて!養育費を受け取れる期間

養育費の取り決めで支払額と並び、重要になるのが支払い期間です。

基本的に養育費の支払い期間は、子供が成年年齢に達する20歳までとされています。

しかし、近年は大学進学率が50%を超えたことから、支払い期間の延長を求めるシングルマザーも多くなっているようです。

あなたもその一人ではないでしょうか。

もし、あなたが大学進学等を見据えて、養育費の支払い期間を延長したいのであれば不可能な話ではありません。

養育費の支払い期間は当事者同士の話し合いで延長・短縮することができます。

あなたの元夫が同意すれば、支払い期間を延長することは可能です。

ですが、相手が同意しない場合は、少々厄介な話になってくるでしょう。

この場合、裁判所へ支払い期間の延長請求を申し立てることになるのですが、裁判所が申し立てを認めるとは限りません。

認められない可能性の方が、高いと思っておいた方が良いでしょう。

この問題に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。

あなたが支払い期間の延長を求めるなら、知っておいてもらいたい情報が満載です。

しっかりと目を通して、必要な情報を入手してください。

養育費にも時効がある!時効を過ぎれば裁判所に差し押さえ申し立てもできない!!

未払いの養育費を回収する際、注意して欲しいのが時効です。

養育費の時効は原則5年、裁判所で下記いずれかの方法で養育費の取り決めをした場合のみ10年に延長されます。

  • 養育費請求調停(または離婚調停)
  • 養育費請求審判(または離婚審判・離婚訴訟)

時効を迎えれば、元夫は法的に未払いの養育費支払いが免除されるので注意が必要です。

しかし、養育費の時効問題はそれほど心配する必要はありません。

養育費の時効に関する基礎知識さえ持っていれば、時効は回避できますし、時効となった養育費を回収することだって不可能ではないからです。

未払いの養育費の時効については、下記の記事で詳しく解説しています。

養育費を受け取っているなら、絶対に押さえておいてもらいたい情報です。

しっかりと目を通して、時効の基礎知識を身に着けるようにしてください。

まとめ

今回は未払いの養育費を裁判所を介して回収する時に、知っておいてもらいたい必要情報を解説しました。

養育費の未払いは、今や社会的な問題になっています。

あなたが今、未払いの状態になくても、そうなる可能性は否めません。

そうなった時には、今回の記事を参考にして、早急に適切な対処方法で回収するようにしてください。

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