残念ながら日本の養育費受給率は高くありません。
むしろ低すぎると言っても過言ではないでしょう。
倫理的責任を問えば、養育費を支払わない親がいること自体がおかしな話です。
特に養育費を払いたくないと言う親がいること自体、子供を養育している同じ親の筆者からすれば、信じることができません。
養育費の支払いは、親が子供に対して負っている義務です。
未払いの養育費は何とかして回収しなければなりません。
そこで今回はなぜ養育費を支払わない親がいるのか、そしてどうすれば確実に回収できるのかを検証します。
現在、養育費が未払いになっている人は、一読して養育費回収の参考にしてください。
養育費を支払わないとどうなるの
まず、養育費を支払わない親に対しては、どうして養育費の支払い義務が課せられているのかを、真剣に考えてもらう必要があります。
支払い義務が課せらている理由をよく理解してもらった上で、誠実に養育費の支払いに臨んでもらうようになってもらう必要があるでしょう。
しかし、その義務にそっぽを向いて、支払わない親がいるのも事実です。
これは養育費を支払わなくても、とがめられることがないのが一番大きな原因でしょう。
残念ながら養育費を支払わなくても、その親が罰せられることはありません。
現在のところ、刑罰に科されることはないのです。
そこでまずは、養育費の支払い義務を再確認し、今後の未払い時の罰則化に関する動きを見ていくことにします。
どちらも養育費を支払われていない人にとって重要な情報です。
しっかりと目を通して理解するようにしてください。
親に課せられた養育費の支払い義務
養育費の支払いは、親に課せられた法的義務です。
これは誰もが理解していることでしょう。
しかし、何を根拠として養育費支払いが法的義務と言われるのかを、しっかり理解している人は多くありません。
この法的根拠をしっかり理解していないために、養育費の不払いという愚行が蔓延しているのです。
親は子供に対して扶養義務があります。
この扶養義務はちゃんと民法に規定されており、離婚して離れて暮らすことになったとしても、扶養義務が免除されることはないのです。
よって、離婚しても親は子供に対して、扶養義務を継続しなければなりません。
この扶養義務こそが、養育費の支払いが法的義務と言われる理由です。
そしてこの扶養義務は離婚後、下記のような生活環境の変化が生じても、親または子供が死なない限り、無くなることはありません。
- 再婚した
- 生活保護を受けるようになった
- 自己破産した
- 無収入になった
まずは、親は養育費の支払いが、どれほど強い義務であるかを理解するべきでしょう。
この支払い義務については、下記の記事で詳しく解説しています。
正当な権利であると自信を持って養育費請求するためにも、しっかり目を通すようにしてください。
養育費を支払わない相手への罰則
現在、養育費の未払い状況を重く見た国政が、法改正による罰則化の導入を検討中です。
しかし、今のところ、養育費を支払わなくても罪に問われることはありません。
そのため養育費の未払い問題は、個人で何とかしなければならないのが実情です。
今後、法的な罰則が科される可能性はあります。
ですが今現在、未払いの養育費問題に直面している人は、この実情をよく理解して、回収に努めるしかないでしょう。
しかし、未払いの養育費回収は、2020年に民事執行法が改正されたことによって、ずいぶんやりやすくなりました。
これは未払いの養育費回収をする人にとっては大きな朗報です。
以前なら泣き寝入りして諦めなければならなかったケースでも、今は回収できる可能性が高くなったと言われています。
安心して回収手続きをはじめてください。
今後の法的罰則化と、民事執行法の改正に伴う回収メリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。
未払いの養育費回収を検討している人にとっては重要な情報です。
まずは目を通して、未払いの養育費回収の参考にしてください。
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養育費を支払わない割合や払わない理由
冒頭で日本における養育費の支払い率は低すぎると言いましたが、現在、継続して養育費を置け取っている母子世帯はたったの20%強です。
約80%もの母子世帯が養育費を受け取っていないのですから、筆者が低すぎると言ったのにも納得してもらえるでしょう。
これは先進国の中でも飛び抜けて低い数値です。
ではなぜ、日本の養育費受給率はこれほど酷い事態を招いているのでしょう。
その理由は下記の2つが挙げられます。
- 養育費の取り決めをしない人が多い
- 未払い時の法的罰則がない
養育費を受け取るには、その取り決めをしなければなりません。
しかし、その取り決め率は40%強と低く、半数以上が養育費の取り決めをしていないのです。
これでは養育費受給率が低くても仕方ありませんよね。
また、社会問題となっている養育費の未払いですが、未払いが横行している原因は、それを食い止める法的な抑止力がまったくない点に尽きるでしょう。
支払わなくても罰せられることがないのですから、未払いを食い止めることはできません。
これは今後の法改正に期待したいところです。
この養育費受給率の現状と、支払わない親が多い理由については、下記の記事で詳しく解説しています。
世界各国が実施している制度も紹介しています。
今後の法改正はこれら制度が参考にされているので、日本でも同じような制度が導入される可能性も高いでしょう。
法改正によって、どんな制度が導入されるのかを、期待しながら読み進めてください。
相手が養育費を支払わない時の対処方法
相手に支払いを期待して、養育費の未払いをそのままにしていても、改善されることはありません。
相手に対して請求のアクションを起こさなければ、未払い分を回収することもできませんし、今後も未払いが続くことになるでしょう。
未払いの養育費を回収する、最終的な方法と言えば差し押さえです。
請求しても支払う意思がないならば、裁判所へ差し押さえの申し立てをするしかないでしょう。
しかし、この差し押さえは誰でも申し立てられるわけではありません。
下記3つの申立要件を満たさなければ、申し立てることはできないのです。
- 債権名義の取得
- 相手の現住所の把握
- 差し押さえる財産情報の把握
そして、この中で最も重要なのが債権名義の取得です。
債権名義は裁判所に差し押さえを申し立てることができる権利を、公文書によって証明する書類になります。
請求しても未払いの養育費が支払われない場合、差し押さえに頼るしかありません。
よって、まずはあなたが債権名義を取得しているかどうかが、重要なポイントになってくるのです。
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協議離婚者は公正書の有無が重要なポイントに!
離婚、または養育費の取り決めを裁判所を介して行っていれば、無条件で債権名義を所得できます。
しかし、当事者同士の話し合いによる協議離婚では、自動的に取得することはできません。
協議離婚者は協議離婚書を「執行認諾文言付き公正証書」で作成していなければ、債権名義は取得できていないのです。
近年は公正証書を作成する人も増えていますが、それでもそれはほんの一握りしかいません。
協議離婚者の多くが、債権名義を取得していないのが実情です。
執行認諾文言付き公正証書を作成してない人は、下記いずれかの方法で債権名義を取得しなければなりません。
- 執行認諾文言付き公正証書を作成する
- 裁判所手続きを経て債権名義を取得する
現在、未払いになっていない人も、未払いになった時の保険のために取得しておくべきでしょう。
これら債権名義の取得方法については、下記の記事で詳しく紹介しています。
現在、債権名義を取得できていない人は、この記事に目を通して、早急に債権名義の取得に取り掛かってください。
強制執行による差し押さえの申立方法
それでは未払いの養育費を回収する、究極の手段である、強制執行による差し押さえの申立方法についてお教えします。
申立要件を満たせば、必要書類と申立書を揃えて裁判所に提出するだけです。
弁護士に依頼するのであれば、丸投げできるので何の心配もいりません。
しかし、中には自分でやろうという人もいるでしょう。
そんな人は、特に強制執行による差し押さえの申立方法と、注意点はしっかり把握しておく必要があるでしょう。
下記の記事では申立方法と回収までの流れ、そして申立時の注意点を詳しく解説しています。
差し押さえで想定されるあらゆるケースを検証しています。
あなたがどんな状況に置かれたとしても、必ず対処できるようになるでしょう。
しっかりと目を通して、その対処方法を身に着けるようにしてください。
養育費の未払いと面会交流の関係
面会交流に応じてくれないから、養育費は支払わない。
離婚した相手にこう言われたことがある人は多いのではないでしょうか。
中にはこう言われて、納得する人もいるでしょう。
しかし、面会交流と養育費は全く別の権利です。
よって、面会交流に応じないから、養育費を支払わないという主張は認められません。
面会交流に応じていなくても、養育費は支払われるべきものなのです。
また、養育費が支払われないからといって、一方的に面会交流を拒絶することもできません。
養育費が支払われなくても、面会交流には応じなければならないのです。
養育費の支払いと面会交流には、まったく相互関係はありません。
この点は勘違いしないように、しっかりと理解しておきましょう。
養育費を支払わないなら、会わせなくても良いはNG!
面会交流を拒絶できるのは、下記理由言該当する場合のみです。
- 子供を虐待する恐れがある
- 子供が面会を拒否している
面会交流は離れて暮らす子供と親に与えられた権利ですが、一番の目的は子供に対する福祉です。
離れて暮らす親と会えないことによって、子供の成長が阻害されないよう面会交流が権利として認められています。
そのため、面会交流が子供にとって害となるケースを除き、養育費の支払い状況に関係なく、実施しなければなりません。
一方的に面会交流を拒絶すれば、あなたは下記のリスクを被る可能性も出てきます。
- 面会交流調停を申し立てられる
- 家庭裁判所から履行勧告を受ける
- 間接強制による制裁金の支払い命令を受ける
- 損害賠償請求を受ける
- 親権者変更が申し立てられる
正当な理由がない限り、一方的に面会交流を拒絶するのは止めた方が良いでしょう。
この問題に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
養育費支払いと面会交流の関係性を誤解している人は多いので、この記事を通して正しい認識を持つようにしてください。
まとめ
今回は養育費を支払わない親がいる理由、そして確実に未払いの養育費を回収する方法を検証しました。
養育費の未払い問題を解決するには、国政主導による政策実施が必要不可欠です。
これは今後の対応に期待するしかありません。
今後改善される可能性はありますが、2020年の時点では個人自らが回収に努めるしか手立てはないのです。
現在は2020年の民事執行法改正によって、以前よりも未払いの養育費回収がしやすくなっています。
未払いの養育費は回収できる!
そう信じて、今回の記事を参考に未払いの養育費回収に取り掛かるようにしてください。
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