「元夫が養育費を支払ってくれない・・・。」
この解決法として知られているのが、裁判所の強制執行による差し押さえ命令です。
しかし、この差し押さえ申し立ては誰にでもできることではありませんし、裁判所命令が出ても、必ず差し押さえできるわけではありません。
裁判所に差し押さえを申し立てるには、申立要件を満たす必要がありますし、差し押さえできる財産がなければ話にならないからです。
そこで今回は下記3点を徹底解説して、元夫の財産を差し押さえて、未払いの養育費を確実に回収する方法をお教えします。
• 差し押さえ可能な財産
• 差し押さえできる財産がない場合の対処方法
差し押さえによる養育費回収を検討している人は、最後まで目を通して参考にしてください。
養育費の不払い分を差し押さえで回収するための申立要件
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「あなたが養育費を支払わないなら、裁判所に頼んで差し押さえてやる!」
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「だって、これは私たち家族の当然の権利なんだから!」
興奮して元夫に対し、こうまくし立てたという人は、少なくないでしょう。
しかし、差し押さえが当然の権利だと思っているなら大間違いです。
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差し押さえの申し立ては、全ての人に認められた権利ではありません。
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差し押さえの申立要件を満たした人にだけ、認められた権利なのです。
差し押さえの申立要件は下記の通りです。
• 元夫の現住所と差し押さえ対象の財産情報を把握している
• 相手(元夫)に養育費の支払い能力がある
この3つの要件を全て満たして初めて、申し立ての権利を有することになります。
それでは早速、果たしてあなたがこれら要件を満たしているかを、それぞれの要件内容を見ながら、確認していきましょう。
申立人(元妻)が債権名義を取得している
申立要件の中で最も重要で不可欠なのが、この債権名義です。
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債権名義とは債権の存在とその範囲が、公的機関の作成による文書で証明されたものです。
養育費の債権名義であれば、離婚時にお互い話し合いで決められた、下記規定が記載されています
• 非監護親(元夫)が養育費を支払う旨
• 養育費の支払条件(支払い額や支払日など)
そして、債務名義として認められた公文書は複数あり、下記の6つがそれに該当します。
債務名義 |
取得方法 |
確定判決 |
裁判訴訟 |
仮執行宣言付判決 |
裁判訴訟 |
仮執行宣言付支払督促 |
支払督促の訴訟 |
和解調書 |
判決途中の和解 |
調停調書 |
調停による和解 |
執行認諾文言付き公正証書 |
公証人役場での作成 |
聞き慣れないものばかりですから、「こんなものどうやって取得するの?」と思われる人も多いでしょう。
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ですが、取得していることを知らないだけという人も少なくありません。
実は、裁判所に裁決を委ねる判決離婚や調停離婚をした人ならば、下記いずれかの債務名義を取得しているのです。
• 仮執行宣言付判決(上訴できる判決が下された時)
• 和解調書(訴訟中に和解が成立した時)
• 調停調書(調停離婚が成立した時)
また、これ以外にも協議離婚時に離婚協議書を、執行認諾文言付き公正証書で作成していれば、債権名義の取得者になります。
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知らないだけで、取得していたという人もいるのです。
しかし、どれにも該当しないという人は債権名義を取得できていないため、このままでは差し押さえの申し立てはできません。
まずは、債務名義を取得することから始めるようにしてください。
離婚後に債務名義を取得する方法
離婚後に債務名義を取得するには、裁判所で元夫へ養育費支払いを求める訴訟を起こす方法がありますが、これは時間が掛かりすぎるのでおすすめできません。
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おすすめなのは、訴訟よりも簡単に債務名義が取得できる支払督促の手続きです。
支払督促とは、相手が支払に応じてくれない場合、裁判所から相手へ支払いに応じるよう督促してもらう手続きを指します。
この支払督促の手続きをすれば、最短3週間強から1ヶ月くらいで、債務名義となる「仮執行宣言付支払督促」が取得できます。
支払督促の手続きから、仮執行宣言付支払督促取得までの流れは下記の通りです。
2. 裁判所書記官により、支払督促の審査が行われる
3. 支払督促が債務者(元夫)へ発付される
4. 仮執行宣言を申し立てる
5. 仮執行宣言付支払督促の取得
元夫が異議申し立てをすれば、通常訴訟に移行されますが、異議のないまま2週間が経過すれば、仮執行宣言の申し立てができるようになります。
そして、申し立て後に、仮執行宣言付支払督促が取得できるという流れです。
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異議申し立てされれば別ですが、そうでなければこの手続きが、最短で債務名義を取得できる方法になるでしょう。
債務名義の取得時には、併せて仮差し押さえの申し立てを!
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債務名義を取得するまでに、財産を処分されてしまわないか心配だという人もいるでしょう。
離婚したとしても元夫です。
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元奥さんの考え方や性格は十分理解しているでしょうから、差し押さえを予見して、先に財産を処分したり、隠匿する可能性はあるでしょう。
そんな心配があるならば、差し押さえの申し立て前に、裁判所へ仮差し押さえを申し立てて、財産の処分や隠匿に備えておくのもおすすめです。
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仮差し押さえが認められれば、財産の移動を未然に防ぐことができます。
気がかりな人は、担当弁護士に相談してみてください。
元夫の現住所と差し押さえ対象の財産情報を把握している
差し押さえの申し立て時には下記のように、差し押さえする財産の情報提出が求められます。
• 給与の場合 → 会社名・会社住所・給与支払者氏名(代表者名)
差し押さえる財産によって、提出が求められる情報内容は異なり、この情報なくして申し立てはできません。
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差し押さえる財産情報の把握は必須です。
調査の必要がある場合は、少々面倒ではありますが、ちゃんと調べるようにしてください。
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また、元夫の現住所も申し立て時に提出が求められる情報です。
把握できていない場合は、住民票を開示してやれば簡単に確認できます。
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通常ならば婚姻関係にない元夫の住民票の開示は認められませんが、養育費支払の債権がある場合は可能です。
それを証明する債務名義を提示すれば、拒否されることはないでしょう。
相手(元夫)に養育費の支払い能力がある
差し押さえする際に、一番肝心なのが元夫の支払い能力です。
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差し押さえを申し立てても、財産がなくては、何も差し押さえることはできません。
元夫が以前と同じように会社勤務していれば、給与を差し押さえられます。
しかし、無職の場合には給与の差し押さえはできませんし、その上、他に差し押さえるものがない、最悪の事態もあるでしょう。
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残念ながらこの場合、差し押さえによる養育費回収はできません。
何とか他の方法を算段をして、回収する術を見つけ出すしかないでしょう。
この方法については後で詳しく解説するので、そちらを参考にしてください。
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未払いの養育費回収のために差し押さえできる財産は?
ここでは、未払いの養育費回収のために、差し押さえできる財産には、どんなものがあるのかを紹介します。
給与以外に差し押さえできそうなものがないかを、確認しながら見ていくようにしてください。
差し押さえできる主な財産一覧
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差し押さえ対象として一般的なのは、何と言っても給与でしょう。
しかし、誰もが給与を差し押さえの対象にできるわけではありません。
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元夫が無職等の理由で、給与の差し押さえができないこともあるでしょう。
そんな時の為にも、差し押さえする選択肢は、できるだけ多く持っておく必要があります。
そこで、ここでは差し押さえできる主な財産と、差し押さえ時の注意点を解説します。
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差し押さえできるものを知っておけば、複数の中から最適な財産を差し押さえることが可能です。
元夫からどんな財産を差し押さえできるのかを、確認しながら見ていきましょう。
給料
元夫が勤務する会社に対して、その給与を差し押さえることができます。
差し押さえ額には上限が設けられており、税金等が控除された金額の2分の1が上限です。
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ただし、控除後金額が66万円を超える際は、そこから33万円を差し引いた額が上限額になります。
また、一度の差し押さえで完済できない場合は、完済時まで毎月差し押さえが継続されます。
しかし、給与の差し押さえは、会社側に拒否されるケースがしばしばあるようです。
この場合、少々厄介ではありますが、回収を諦める必要はありません。
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養育費の回収は可能です。
このケースでの回収方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
気になる人は、その回収方法をこの記事で確認するようにしてください。
銀行預金
元夫の銀行口座にある預金も差し押さえ対象です。
給与の場合、差し押さえ額に上限がありますが、銀行預金に上限はありません。
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そのため、一度の差し押さえで、一気に未払い額を回収することも可能です。。
短期間で回収を終えたい場合や、未払い額が高額な場合には、おすすめしたい差し押さえ財産になります。
有価証券
有価証券としては株券や手形、小切手などが挙げられますが、これらも差し押さえの対象になります。
しかし、手形や小切手ならば裏書がないものといったように、禁止事項があるので注意が必要です。
有価証券を差し押さえる場合には、担当弁護士によく相談するようにしてください。
自動車など
自動車をはじめとして、所有時に登記や登録が必要になる船舶や航空機、建設機器なども差し押さえの対象です。
差し押さえ後は裁判所による競売後、そこから未払いの養育費の対価となる金額を回収します。
しかし、この差し押さえによって、元夫の生活に支障を生じる場合には、差し押さえできません。
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会社事業に使用していて、差し押さえされたら事業が立ち行かないといったようなケースです。
足抑え対象が私用のものでない時は、注意するようにしてください。
自宅所有の動産
自宅にある現金や貴金属、骨とう品など、元夫が所有する動産であれば、その全てが差し押さえの対象です。
しかし、現金は66万円を超える分しか差し押さえできません。
また、貴金属や骨とう品は差し押さえ後、競売にかけて現金化するのですが、買い手が付かないケースが多いようです。
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換価価値のない動産は、差し押さえても現金化が難しいので、差し押さえ対象としてはあまりおすすめはできませんね。
不動産
元夫が所有する土地や建物といった不動産も差し押さえの対象です。
差し押さえ後は競売にかけられ、その売価から未払いの養育費の対価分を受け取ることになります。
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市場価格より安価な売価額にはなるでしょうが、何と言っても高額売却が可能な不動産です。
現金化するまで時間は要しますが、高額回収が必要な人にはおすすめの差し押さえ財産となるでしょう。
除外しなければならない、主な差し押さえ禁止財産
差し押さえできる主な財産が分かったところで、豆知識として、絶対に差し押さえできない「差し押さえ禁止財産」を簡単に紹介しておきます。
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差し押さえできないものが分かっていれば、選ぶのに無駄な時間も省けます。覚えておくといいでしょう。
民事執行法で定められている、差し押さえ禁止財産は下記の通りです。
• 債務者(元夫)が1ヶ月間で必要な食料と燃料
• 債務者(元夫)の生活費2ヶ月分として政令で認められた66万円までの現金
• 債務者(元夫)が営む事業で必須となる器具(農器具、家畜など)
• 実印
• 礼拝や祭祀に必要な位牌や仏像など
• 債務者(元夫)の学習に必要な器具や書類
• 未発表の発明や著作に係るもの
• 債務者(元夫)に必要な身体補足の義足や義手
主には生活を営む上で必要とされているものが、差し押さえ禁止財産に指定されています。
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これはどうかなと思った時は、これを基準に考えてみるといいでしょう。
また、これら差し押さえ禁止財産の中でも、特に高額なものは対象外となる場合もあります。
該当しそうなものがあれば、担当弁護士に相談してみるようにしてください。
差し押さえる財産が何もない!!元夫に代わって、その両親に未払いの養育費を請求することは可能?
差し押さえによる未払いの養育費回収は、元夫に差し押さえできる財産があったればこそです。
申立要件にもあるように、差し押さえる財産がなければ、差し押さえの申し立てはできません。
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それでは、元夫に差し押さえる財産がない場合は、諦めるしかないのでしょうか?
いいえ、完全に未回収の養育費を、回収する道が閉ざされたわけではありません。
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元夫の両親に請求するという方法もあります。
もちろん、養育費の支払い義務は元夫に課せられたものですから、まったく関係のない元夫の両親に支払い義務はありません。
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しかし、場合によっては、その両親に支払い義務が生じるケースがあるのです。
それでは、元夫の両親に養育費の支払いを請求できるケースについて、分かりやすく解説していきます。
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元夫からの回収を諦めるしかないという人は、しっかりと目を通してください。
元夫の両親が養育費支払の連帯保証人になっている場合
連帯保証人とは債務者(元夫)が養育費を支払わない場合、債務者(元夫)に代わって養育費を支払うことを約束した人を指します。
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つまり、元夫の両親が連帯保証人であれば、養育費の支払い義務を負うことになるのです。
よって、この場合、元妻はその両親に対して、未払いの養育費を請求できる権利を有することになります。
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このケースであれば、元夫の両親に未払いの養育費を請求することも可能です。
しかし、実際のところ、元夫の両親が連帯保証人となっているケースはほとんど見られません。
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皆無に近いといっても過言ではないでしょう。
ですが、求めたところで、元夫の両親が了承するとは到底思えません。
今後、離婚時には不払い回避策として、是非とも交渉して欲しい条件ですが、了承を得られることは難しいでしょうね。
元夫の両親が経済的に余裕がある場合
また、元夫の両親が連帯保証人でなくても、養育費の支払いを請求できるケースがあります。
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それは元夫の両親に経済的な余裕がある場合です。
基本的に元夫の両親に孫の扶養義務はないため、養育費の支払い義務が生じることはありません。
しかし、民法877条には、下記条項が定められています。
つまり、民法上では3親等内の親族には、その親族間に対して扶養義務が生じるとしているのです。
直系血族とは下記の間柄を指します。
• 曾祖父母
• 子ども
• 孫
• 曾孫
よって、直系血族である元夫の両親は、3親等内の親族である孫に対して、法的に扶養義務があるとみなされるのです。
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これは知らない人も多いので、さぞ多くの人を驚かせたことでしょう。
しかも、これは回収目処が立つ元妻にとっては朗報ですが、元夫の両親にとっては寝耳に水なだけです。
これを知れば、支払いを心配する両親はさぞ多いことでしょう。
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ですが、安心してください。
この扶養義務は元夫が課された扶養義務とは少々意味合いが異なります。
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そのため、息子と同じ条件で、養育費の支払い義務が課せられるわけではありません。
それでは、元夫に課せられた扶養義務とはどのようなものなのか、どうすれば元夫の両親に請求ができるのかを見ていくことにしましょう。
元夫の両親に課せられる扶養義務とは?
元夫がその子供に対して負っている扶養義務は、「生活保持義務」と呼ばれ、自分の生活が苦しくても子供の生活を保障する義務が課せられています。
これた対して元夫の両親がその孫に対して負っている扶養義務は、「生活扶助義務」と呼ばれ、自分たちの生活が損なわれない程度で、孫に対して最低限の生活扶助する義務になります。
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ニュアンスとしては「無理しなくてもいいですよ。」
「できる範囲で良いんです。」というくらいのものです。
そのため、無理をしてでも絶対に扶養しなければならない元夫と異なり、その両親にいたっては、経済的に余裕ある場合に限って扶養すればいいというわけです。
よって、元夫の両親が支払う名目は、養育費ではなく扶養費という扱いになります。
そのため、元夫の両親がこの扶養費を支払えば、生活に困るという状況ならば、この扶養義務を盾に扶養費を請求することはできません。
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元夫の両親に養育費を請求できるのは、経済的に裕福なことが前提になります。
最終的判断は、次項で登場する裁判所の判決次第ですが、元夫に課されたような強制力はないと考えておきましょう。
元夫の両親に扶養費を請求をするには?
元夫の両親に孫に対して扶養義務があるといっても、自動的に扶養費の請求義務が生じるわけではありません。
元夫の両親に対して、裁判所に扶養費支払いを求める調停を申し立て、それが認められて初めて請求権が生じます。
請求権が得られるかどうかは、下記の2点が争点となるでしょう。
• 元夫の両親の経済状況
「元夫ならまだしも、その両親に子供の養育費を請求するなんてできない。」と考える人もいるでしょう。
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しかし、養育費がなければ生活がままならないなら、遠慮している場合ではありません。
元夫の両親に経済的余裕があるのなら、養育費の不払い問題を解消するために残された、たった1つの方法です。
離婚後ということもあり、互いにわだかまりもあるでしょうが、他に養育費回収の道がない時には、子供のためにと思って1度検討してみることをおすすめします。
ーーー
まとめ
今回は未払いの養育費の回収手段である、差し押さえに焦点を絞って、徹底解説しました。
現在、差し押さえによる未払いの養育費回収は、2020年に施行された改正民事執行法により、以前と比べ回収しやすくなったのは事実です。
ですが差し押さえするには申立要件をクリアし、差し押さえ可能な財産を選定しなければなりません。
しかも、差し押さえが認められたとしても、必ず未払いの回収ができるとは限らないのです。
しかし、今回話したように何とか道を探れば、不可能だと思った回収も可能に転じさせることもできます。
未払いの養育費の回収を準備している人は最後まで諦めず、今回の記事を参考にして、回収に臨むようにしてください。
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