離婚時に養育費の取り決めをしている人は、全体の半数にも達していません。
つまり、離婚後に1度も養育費を受け取っていないシングルマザーの数は、全体の半数以上にも上るというわけです。
そんな中、現在日本では養育費の不払いが社会的問題として注目を集め、全く対応しようとしなかった国までもが法改正に取り組むようになりました。
このあおりを受け、今まで養育費を請求しようとしなかった、多くのシングルマザーが養育費請求を考えるようになっているとのことです。
そこで今回はそんなシングルマザーに向けて、離婚後に養育費請求する方法と、知っておいてもらいたい注意点を紹介します。
これから養育費請求をと考えているシングルマザーの人は、しっかりと目を通して、自信を持って養育費請求できるようになってください。
離婚時に養育費の取り決めをしていない・・・離婚後に養育費を請求するための対処方法!
それではまず離婚時に養育費の取り決めをしていない時に、養育費を請求するための方法を紹介します。
離婚後に養育費を請求するには、まず養育費の取り決めをしなければなりません。
最低限取り決めておくべきポイントは下記の4つです。
- 金額
- 支払い時期
- 支払い期間
- 支払い方法
他にも要望があればきちんと話し合うべきですが、上記4つは最低限必要になる取り決め事項になります。
どれも欠かさず話し合うようにしてください。
そして、肝心な請求手続きですが、その手続き方法は下記の3つが挙げられます。
- 当事者同士の話し合い
- 家庭裁判所への養育費請求調停や審判
- 高等裁判所での裁判
当事者同士の話し合いで決着がつかなければ、家庭裁判所での養育費請求調停や審判、それでも決着がつかなければ高等裁判所での裁判という流れになります。
先延ばしになるほど長期化し、裁判までもつれ込めば、決着するまでに1年以上もの期間が掛かるので、できるだけ早めに決着がつく方が好ましいでしょう。
それでは当事者同士の話し合い、裁判所に場所を移しての請求手続きとなった時の注意点を確認していきましょう。
当事者同士の話し合い
一番おすすめなのは、話し合いで決着をつける方法です。
裁判所に裁決を求めると、間違いなく決着は長期化します。
余計な費用や労力も必要になるので、話し合いで決着をつけるのがベストでしょう。
しかし、話し合いで決着をつける際は、取り決め事項には注意が必要です。
先に紹介した最低限取り決めておくべき事項のうち、下記の2つには請求するに至った正当性が求められます。
- 金額
- 支払い期間
これら2つを取り決める時の注意点は、後述する「養育費の金額決定には養育費算定表の相庭データがおすすめ!」で解説するので、そちらを参考にしてください。
また、取り決め時には、養育費が不払いになった時の対応措置も欠かせません。
直ぐに強制執行による差し押さえができる体制は整えておくべきでしょう。
そのために必要なのが執行認諾文言付き公正証書の作成です。
養育費協議書を執行認諾文言付き公正証書として作成しておいてください。
公正証書は公証役場で作成可能です。
離婚後に作成する方法や、注意点は下記の記事で詳しく解説しています。
話し合いで決着がついた場合には、執行認諾文言付き公正証書の作成が必須です。
よく目を通して作成方法を覚えておくようにしてください。
裁判所での養育費請求調停や審判と裁判
話し合いで決着がつかない場合、取れる手は裁判所での養育費請求調停になります。
離婚後の養育費取り決めは、当事者同士の話し合いでは決着がつかないことも多く、相手が話し合いに全く応じないことも少なくありません。
そのため、裁判所に養育費請求調停を申し立てる方法や注意点、そして申し立てた後の養育費請求の行方がどうなるかを知っておくべきでしょう。
これについては下記の記事で詳しく解説しています。
養育費請求調停で決着がつくとは限りません。
審判、そして裁判へ移行される可能性もあるので、よく目を通して申し立て後に必要となる対応の参考にしてください。
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離婚後に養育費請求する時に知っておいてもらいたいポイントはコレ!
養育費請求の手続き方法と注意点が分かったところで、離婚後に養育費請求する時に知っておいてもらいたいポイントを確認していきましょう。
請求するのが離婚後ということもあり、離婚時とは請求条件が多々異なります。
「あっ、これわたしもだ!」という人も多いかと思うので、自分に該当する項目には、よく目を通すようにしてください。
今回紹介するポイントは下記の3つです。
- 離婚時まで遡って養育費請求ができるかどうか
- 離婚後に再婚した状態で養育費請求ができるかどうか
- 未婚でも養育費請求ができるかどうか
それでは順追って見ていくことにしましょう。
離婚時まで遡って養育費請求ができるかどうか
結論から言えば、離婚時に養育費取り決めをしていない場合、離婚後に養育費の取り決めをしたとしても、過去に遡って請求することはできません。
養育費の支払いは、取り決めが交わされた時がスタート時点になります。
離婚してから5年後に養育費の取り決めをしたとすれば、過去5年分の養育費を請求することはできないのです。
この件に関しては下記記事の「不払いの養育費はどこまで遡って請求できるのか?」で、分かりやすく解説しています。
詳しく知りたい人は、この記事を覗いてみてください。
離婚後に再婚した状態で養育費請求ができるかどうか
これも結論から言えば可能です。
あなただけでなく、相手となる元夫が再婚していても、子供の養育費は請求することができます。
これはお互いの再婚に関係なく、親には子供が経済的・社会的に独立するまで、養育費の支払い義務が課せられているからです。
しかし、請求できる養育費は離婚時とは全く条件が異なってくるでしょう。
その理由はお互いの再婚が、養育費の減額理由に相当するからです。
お互いの再婚後の状況に応じて、減額幅は異なる上、あなたが再婚したケースでは大幅な減額、もしくは免除という可能性すら出てきます。
あなたの再婚により当初よりも養育費が減額、または免除される可能性は、下記の記事を読んでもらえば大体の見当をつけることが可能です。
請求できる養育費相場の計算方法も紹介しているので、再婚後に養育費請求しようと考えている人は、是非この記事を覗いて必要な情報を入手してください。
未婚でも養育費請求ができるかどうか
これも結論から言えば可能です。
子供の養育費は結婚事実に関係なく請求することができます。
請求できないと思い込んでいる人もいるようですが、これは大きな間違いです。
子供には請求権利がちゃんとあるので、安心して請求手続きを進めてください。
しかし、未婚の場合、1点だけ注意して欲しいことがあります。
それは認知の有無です。
相手が子供を認知していなければ、法的に親子関係が成立していません。
養育費の支払い義務は法的規定に則ったのもですから、法的に親子関係が成立していなければ、その義務も発生しないというわけです。
あなたの子供が認知してもらっていないなら、まずは子供の認知を認めてもらうための手続きから始めてください。
未婚のシングルマザーが養育費請求する方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
たとえ相手が認知を拒んだとしても、認知を成立させることは可能です。
請求できる養育費相場も紹介しているので、しっかりと目を通して認知請求の参考にしてください。
養育費の金額決定には養育費算定表の相場データがおすすめ!
先に話したように、取り決め時には下記2つの取り決め事項が、適正なものでなければなりません。
- 金額
- 支払い期間
話し合いで決着がつくならば、養育費の取り決めは自由に設定することができます。
世間一般に適正と言われる条件でなくても、お互いが合意するのであれば何の問題もありません。
しかし、離婚後となれば、相手がすんなりOKとはいかないケースが多くなります。
そのため、これら2つの取り決め事項には相手を納得させる正当性が求められるのです。
支払い期間に関しては、子供が20歳になるまでというのが一般的です。
20歳になるまでとすれば、相手が反対することはないでしょう。
ですが、大学進学に備えて、22歳とする人も多くなっています。
支払い期間を延長したいなら、しっかりと話し合っておくようにしてください。
そして、一番肝心なのが養育費の金額です。
一番大きな争点となるので、しっかりと請求する金額に正当性があることを主張しなければなりません。
そこで、金額決定の参考にしてもらいたいのが、裁判所が公表している養育費算定表です。
今のところ最も信頼性と実効性の高いデータとして認知されているので、この養育費算定表のデータを相場価格として、金額決定時の参考にするといいでしょう。
養育費算定表の見方
養育費算定表の一番のおすすめポイントは、下記3つの条件さえ分かれば、一目で請求できる養育費相場を確認できる点です。
- 元夫婦それぞれの年収
- 子供の人数
- 子供の年齢
計算いらずで、簡単に養育費相場が分かります。
現状では、一番簡単に信頼性と実効性のある養育費相場が調べられるツールと言えるでしょう。
しかし、養育費算定表の相場データは、下記条件に該当する人は利用できません。
- 子供が4人以上いる
- 離婚時に夫婦それぞれが子供を引き取っている
この場合には養育費算定表のデータ算出に用いられた、養育費の基本的な計算式を使って、自ら養育費相場を計算しなければなりません。
養育費算定表の見方と、養育費の基本的な計算方法は下記の記事で分かりやすく解説しています。
この記事を覗いて、自分が請求できる養育費相場を確認してみましょう。
また、養育費算定表の利用や、自分で計算するのが面倒だという人は下記の記事を覗いて見てください。
下記条件別に、養育費相場をシミュレーションして紹介しています。
- 年齢
- 子供の人数
- 子供の年齢
すぐに請求できる養育費相場を知りたい人は、この記事のシミュレーションデータを参考にするといいでしょう。
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養育費の請求手続きに掛かる弁護士費用
当事者同士の話し合いで決着がつくなら、弁護士の力を借りる必要はありません。
ここまでの記事内容を理解してもらえば、あなただけの力でも対応することはできるでしょう。
しかし、話し合いの場が裁判所に移った後は、弁護士を雇った方が結果的には満足のいく成果が得られます。
できるならば、弁護士を雇うようにしてください。
といっても、気になるのが弁護士費用です。
弁護士費用と言えば高額と相場が決まっているので、やすやす依頼することはできませんよね。
ですが高額と言われる弁護士費用は減額することもできますし、分割で支払うことも可能です。
高額だからと思い込んで、弁護士雇用を躊躇する前に、弁護士費用の相場を確認し、分割払いの利用を検討するべきでしょう。
この問題に関しては、下記記事の「養育費請求調停の申し立てで掛かる費用」で詳しく解説しています。
離婚後の養育費請求は裁判所の裁決を仰ぐケースが多いので、ぜひ目を通して対処方法を学んでください。
養育費の時効について学んでおこう!
養育費にも時効があります。
そのため、不払いとなった養育費が時効を迎えれば、あなたは法的に請求できる権利を失ってしまいます。
ですが、養育費の時効についてよく理解しておけば、時効を回避することもできますし、時効になった養育費を回収することもできるのです。
これから養育費を請求する人は、現状必要になる情報ではありません。
しかし、養育費請求が認められ、実際に養育費が支払われるようになった時には、絶対に知っておくべき情報です。
不払いとなり相手が支払いに応じない時には、時効にならないよう対策を講じる必要があるでしょう。
この情報に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひ目を通して、時効に関する必要な情報を頭に入れておきましょう。
離婚後の養育費請求の決定後に養育費が不払いになった時の対処方法
養育費請求が認められたといって、それだけで安心してはいけません。
今言ったように、不払いとなる可能性があるからです。
養育費の不払いが社会的問題に発展しているくらいですから、これは誰もがその可能性があると考えておくべきでしょう。
不払いとなった養育費の回収方法はいくつかありますが、最終手段となれば強制執行による差し押さえです。
これは相手の財産を裁判所命令によって差し押さえ、そこから不払いの養育費を回収することから、究極の回収方法とも言われています。
将来、養育費が不払いになった時に備えて、申立方法や注意点は知識として持っておくことをおすすめします。
裁判所に強制執行による差し押さえを申し立てるには
裁判所に強制執行による差し押さえを申し立てる際は、下記3つの申立要件をクリアしなければなりません。
- 債務名義を取得している
- 元夫の現住所を把握している
- 差し押さえる財産情報を把握している
この中でも多くのシングルマザーが申し立てるために、四苦八苦することになるのが債務名義の取得です。
債権名義は裁判所に強制執行による差し押さえを申し立てる権利があることを、公的に証明する書類になります。
そのため、債権名義を取得していなければ、他の条件が揃っていても、申し立てることができないのです。
債権名義は下記方法で取得できます。
- 養育費協議書を執行認諾文言付き公正証書として作成する
- 裁判所の調停・審判・裁判で養育費請求をする
今回の記事で紹介した通り、請求手続きしてもらえば、あなたは債権名義を取得できているというわけです。
離婚後に債権名義を取得するには、いくつもの手続きが必要になり、時間と労力、そして費用が必要になります。
それを回避するためにも、当事者同士の話し合いで決着がついた時は、必ず養育費協議書を執行認諾文言付き公正証書として作成しておくようにしてください。
強制執行による差し押さえで不払いの養育費を回収する方法と注意点は、下記の記事で分かりやすく解説しています。
直ぐ必要になるわけではありませんが、予備知識として頭に入れておくようにしてください。
まとめ
今回は離婚時に養育費取り決めをしていないシングルマザーのあなたに向けて、離婚後に養育費請求する方法と注意点を解説しました。
今は国を挙げて不払いの養育費を撲滅しようという動きが出てきています。
徐々にではあるでしょうが、今後は養育費の不払いは減っていくことになるでしょう。
ですが、養育費の取り決めをしなければ、養育費を支払ってもらうことすらできません。
現在、養育費の取り決めをしていないシングルマザーは、早急に養育費請求の手続きに取り掛かるべきです。
今回の記事を参考にして、養育費請求の手続きに取り組んでください。
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