養育費は何歳まで請求できるのか。
これは養育費を受け取る側だけなく、支払う側にとっても、是非とも知っておきたい情報でしょう。
養育費の支払い期間は20歳までというのが一般的な解釈です。
事実、支払い期間を20歳までとするのは間違ってはいません。
ですが、養育費の支払い期間は20歳までと決められているわけではないのです。
よって、支払い期間は養育費の取り決めで両者が合意さえすれば、短縮することもできますし、延長することもできます。
要は養育費の取り決めしだいというわけです。
そこで今回はその養育費の取り決め方法と注意点について解説します。
特に養育費の支払い期間の延長を希望している人は、しっかりと目を通して参考にしてください。
養育費は何歳まで請求することができるのか
冒頭で養育費の支払い期間は20歳までというのが一般的な解釈だと言いました。
こんな回りくどい言い方をしたのには、法律で何歳まで支払わなければならないという定めがないからです。
そもそも法律自体に「養育費」という語彙で支払義務の規定はありません。
それではなぜ20歳までという解釈が受け入れられているのでしょうか。
養育費の支払い期間の交渉をする時には、その理由を理解しておかなければ、優位に交渉を進めることはできません。
「養育費は何歳まで請求することができるのか?」という疑問にも答えが出ないでしょう。
そこでまずは、下記の2点について解説し、その答えを確認していくことにします。
- 親に養育費の支払い義務が課せられている根拠
- 親には何歳までの支払い義務が課せられるのか
この2つを理解すれば「養育費は何歳まで請求することができるのか?」の正しい答えが分かり、交渉も優位に進めることができます。
しっかりと目を通して、よく理解するようにしてください。
親に養育費の支払い義務が課せられている根拠
養育費は子供が経済的・社会的に自立するまでに必要になる費用を指し、離婚によって子供と離れて暮らすことになった親が負担します。
これが養育費に対して一般的に認識されている概念です。
しかし、先に言ったように法律で養育費という語彙を用いて、支払い義務を定めている条文は見当たりません。
よく養育費は法律で認められた、親の義務といった言われ方をしますよね。
ですが、実のところ、その定めを直接規定した法律は存在しないのです。
それではなぜ、法律で認められた権利などという言い方がまかり通っているのでしょうか。
これは法律で定められた「扶養」についての規定が根拠となっているのです。
養育費の支払い義務となる扶養とは?
民法には「扶養」について定めた規定がいくつも設けられています。
その中で離婚して離れて暮らす親に、養育費の支払い義務があることを規定するのが下記の2つです。
- 民法第877条
- 民法第766条1項
民法第877条では、下記の様に親は直系血族である子供に対して扶養をする義務があると規定しています。
そして、民法第766条1項では、下記の様に離婚後の親に養育費を子供の利益を優先して決めなさいと規定しています。
つまり、親は子供を扶養する義務があり、その義務は離婚して離れて暮らすことになっても、ないくならないというわけです。
これが親は離婚後に、養育費を支払らう義務が法的にに認められていると言われる根拠になります。
そして注目してもらいたいのが、親が子供に対して負っている扶養義務の性質です。
法律で言うところの扶養義務は下記の2つに分けられます。
- 生活保持義務
- 生活扶養義務
そして、親が子供に対して負っている扶養義務は、このうちの生活保持義務になります。
よって、養育費の支払い義務の性質は、この生活保持義務を根拠として決められているのです。
生活保持義務とは?
この2つの扶養義務がどのような義務なのかを知ってもらえば、養育費支払いがどれだけ重い義務かを理解してもらえるでしょう。
先に話したように扶養義務は子供だけでなく、直系血族及び兄弟姉妹に及びます。
このうち誰に対する扶養義務かによって、課せられる義務いずれかに区分されるのです。
- 生活保持義務:相手に対して自分と同水準の生活を保障する義務
- 生活扶養義務:自分の生活を維持した上で余力がある場合、その限度内で相手の生活を援助する義務
つまり、養育費とは自分の生活状態のいかんを問わず、どのような場合でも支払わなければならない、親に課せられた重い扶養義務になります。
親は養育費の支払い義務から逃げられないと言われるのは、こういった法的根拠があるからです。
親には何歳までの支払い義務が課せられるのか
先に養育費は子供が経済的・社会的に自立するまでに、必要な費用を指すと説明しました。
一般的に養育費の支払い期間が20歳までとされているのは、民法で成人年齢が20歳と定められているからでしょう。
成人年齢の規定は下記の通りです。
- 単独で契約締結などの法律行為ができる年齢
- 父母の親権に服する必要がなくなる年齢
ですが、養育費の支払い期間を検討する際、もう1つ成人年齢を決める判断基準があります。
それは未成熟子という概念です。
未成熟子とは?
未成熟子とは、簡単に言うと経済的・社会的自立が期待できない子供を指します。
つまり、成人年齢に達していても未成熟子という観点から見れば、経済的・社会的自立ができていないと判断されれば、養育費を受け取る権利が継続していると考えられるのです。
これは逆の場合も同じです。
成人年齢に達していなくても、高校卒業と同時に就職し、経済的・社会的自立ができていると判断されれば、養育費を受け取る権利が消滅したと考えられます。
つまり、養育費は年齢だけでなく、未成熟子であるかどうかによって、支払い期間を延長することもできますし、短縮することもできるというわけです。
養育費の支払い期間は、法律で規定がありません。
養育費を支払い義務に基づき、妥当とされる支払い期間が設定されます。
そのため、未成熟子であることを根拠とすれば、養育費の支払い期間の延長が認められて当然という考えが成り立つのです。
法務省HPでも下記の様に、養育費の支払い期間について言及しています。
未成熟子は養育費の支払い期間の延長を求める、十分な根拠になるというわけですね。
裁判所に未成熟子と認められた判例
ですが、未成熟子を根拠とする判断は、法律で支払い期間が定められていないため、この主張が法的に正しいかどうかの判断は簡単につきません。
もちろん、養育費の支払い義務者が、権利者の主張を認めれば、難なく支払い期間の延長はできます。
ですが相手が認めない場合は、最終的に裁判所の法的判断に委ねるしかありません。
支払い期間の延長の可否は、裁決しだいとなるでしょう。
しかし、成人年齢に達していても、未成熟子として認められた判例はいくつもあります。
下記の様に未成熟子という根拠から、養育費の支払い期間の延長が認められる可能性はあるのです。
①昭和46年3月15日:東京高等裁判所の決定
子供の状況
- 自閉症および肝炎を患っている
- 生来病弱で再三にわたる入院加療を続けている
- 現在も自宅で母親の世話になり療養生活を送っている
裁判所は母親と離れて独立して生活を営む似たる能力がないとして、未成熟子の判定を下しました。
②昭和47年3月31日:福岡家庭裁判所・小倉支部の審判
子供の状況
- 21歳だが極度の貧血で通常生活もままならない
これに対してさあい番所は通常の就職稼働ができないとして、未成熟子との審判を下しています。
➂平成2年8月7日:大阪高等裁判所の決定
子供の状況
- 子供が大学の薬学部に進学している
裁判所はその両親が大学の医学部と薬学部を卒業していることから、親と同等レベルの生活水準を維持するという観点から、未成熟子との決定を下しています。
法律による成人年齢18歳への引き下げによる養育費への影響
2018年6月に「民法の一部を改正する法律」が成立し、民法で定められる成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。
この法改正は2022年4月1日から施行されますが、この成人年齢引き下げによる養育費への影響はあるのでしょうか。
この法改正のニュースを聞けば、養育費を受け取っている人は心配になったことでしょう。
しかし、安心してください。
成人年齢が引き下げられたからといって、全ての権利が現在の20歳と同じ扱いになるわけではありません。
成人年齢を18歳としても、20歳と同様に経済的・社会的自立が期待できるとは考えておらす、下記の様に引き下げ後も変わらない権利も多く見られます。
- 飲酒
- 喫煙
- 国民年金の加入義務
養育費の支払い期間も同様です。
法務省はHPで「成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について」として、下記の通り言及しています。
また、養育費は、子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので、子が成年に達したとしても、経済的に未成熟である場合には、養育費を支払う義務を負うことになります。
このため、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。
例えば、子が大学に進学している場合には、大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
つまり、法改正による成人年齢引き下げは、養育費の支払い期間になんら影響しないというわけです。
現在取り決めを交わしてい人も、法改正後に取り決めを交わす人も、養育費の支払い期間は原則20歳までと理解しておきましょう。
養育費の各条件の取り決め方法とその手順
養育費の支払いで重要なのが、支払い条件の取り決めです。
この取り決めがなければ、未払いになった時、何を根拠に請求するのかが問われてしまします。
養育費の基本的な取り決め事項は下記の3つです。
- 支払い金額
- 支払い期間
- 支払時期
そして、この取り決め事項に加え、大学進学時の支払い期間延長などの特記事項が必要になります。
取り決めを交わす際は、将来、支払い期間の延長が必要かどうかが判明していないため、この特記事項の取り決めをしない人が多いようです。
この場合、支払い期間延長が必要ならば再度、取り決め事項の変更を話し合う必要があり、最悪、裁判所の裁決を仰ぐ必要が出てきます。
この面倒を回避するためにも、この特記事項の取り決めはしておくことをおすすめします。
さて、この養育費の取り決め方法ですが、取り決める時期によって異なります。
- 離婚時
- 離婚後
離婚時に養育費の取り決めをしているのは全体の40%ほどしかいません。
離婚後に考え直して請求したいという人も多いことでしょう。
それでは、この2つのケースに分けて、養育費の取り決め方法とその手順を見ていくことにしましょう。
離婚時の取り決め方法とその手順
離婚時に取り決める場合の方法と手順は下記の通りです。
- 両者による離婚条件の話し合いで取り決める
- 離婚調停で取り決める
- 裁判所の審判や訴訟で取り決める
基本的な流れば取り決め時期にかかわらず、まず両者による話し合いが行われ、それで合意できない場合、裁判所に裁決を委ねることになります。
それではこれら手順と注意点を確認していきましょう。
①両者による離婚条件の話し合いで取り決める
一番いいのは、この両者の話し合いで合意に至ることでしょう。
ここで合意に至らなければ、裁判所が介入することになり、時間と手間が掛かってきます。
ですが、離婚時の取り決め事項は、何も養育費だけではありません。
そのため話し合いが決裂し、裁判所に離婚調停を申し立てるケースも出てくるでしょう。
しかし、日本では両者の話し合いで離婚を決める協議離婚が約90%を占めます。
この話し合いで養育費についても合意に至るケースが多いでしょう。
そこで注意して欲しいのが下記の2点です。
- 取り決め事項の書面化
- 養育費の相場価格
取り決め事項の書面化
ますやってもらいたいのが、取り決め事項の書面化です。
協議離婚では離婚条件の取り決めを、下記の形で取り決める人が少なくありません。
- 個人間で取り交わす協議離婚書
- 口約束
しかし、これら方法で取り決められたことは、何ら法的執行力を持たないのです。
法的執行力とは、養育費で言えば、取り決めた養育費が支払われない場合、強制執行による差し押さえができる権利を有することを指します。
この権利を有するには、協議離婚書を「執行認諾文言付き公正証書」として作成しておかなければなりません。
法的執行力を持たない取り決めでは、差し押さえを申し立てるために、様々な手続きが必要です。
かなりの手間と時間が必要になるでしょう。
この話し合いで決着がついた時は、必ず離婚協議書を「執行認諾文言付き公正証書」として作成するようにしてください。
公正証書の作成は弁護士に頼らなくても、個人で十分対応できます。
この公正証書の効力と作成方法に関しては、下記の記事で詳しく解説しているので、まずは目を通してみましょう。
養育費の相場価格
また、養育費を決める上で争点となるのが、支払い額です。
受け取る側はできるだけ高く、支払いう側はできるだけ低くと考えるため、お互いの意見が食い違うことは十分に考えられます。
そこで参考にして欲しいのが、裁判所が公表している「養育費算定表」です。
これには裁判所が養育費を決定する際に参考にしている、養育費相場が記載されています。
下記の3つが分かれば、簡単に確認可能です。
- 夫婦それぞれの年収
- 子供の人数
- 子供の年齢
まずは確認して、養育費を取り決める際の適正価格としてください。
そうすれば相場よりも低い養育費となることを避け、適正価格を請求できるでしょう。
養育費算定表の使い方は下記の記事で分かりやすく紹介しています。
また、条件を入力するだけで簡単に養育費相場が分かる、WEB公開されている養育費計算ツールも併せて紹介しています。
確認作業が面倒な人は、養育費計算ツールの利用がおすすめでしょう。
②離婚調停で取り決める
互いに離婚条件を話し合いで合意できない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、話し合いの場はこの調停に移ります。
申し立てる裁判所は下記のいずれかです。
- 相手の現住所地を管轄する家庭裁判所
- 両者で合意した家庭裁判所
離婚調停は裁判とは違い、調停しつのテーブルを囲んで下記3者によって、両者が納得のいく解決を目指して話し合いが行われます。
- 離婚する両者
- 裁判官
- 調停委員
この調停は数回行われ、ここで合意に至れば取り決め事項が「調停調書」として作成されます。
この調停調書は先に話した公正証書と同じ法的執行力を持つので、公正証書の作成は気にしなくて結構です。
申し立てに必要な書類や費用については、下記の弁護士HPを参照ください。
➂裁判所の審判や訴訟で取り決める
離婚調停が不成立に終わると審判に移り、裁判官が離婚条件の取り決めに関する結論を下します。
養育費の取り決めは、裁判官の決定に準じるというわけです。
取り決め事項は家事審判書として作成され、これも公正証書と同じ法的執行力を持つので、公正証書の作成は必要ありません。
離婚協議は大抵この審判で決着がつくので、訴訟に持ち越されることはないでしょう。
離婚後の取り決め方法とその手順
離婚後に取り決める場合の方法と手順は下記の通りです。
- 両者による養育費の支払い条件を話し合いで決める
- 養育費請求調停で取り決める
- 裁判所の審判や訴訟で取り決める
基本的にやることは離婚時と同じです。
取り決めの方法と注意点が若干違うだけです。
ですが、離婚後ということもあって、面倒なことは多いかもしれません。
離婚時は両者が離婚に向けて話し合っているため、相手と連絡が取れないということはないでしょう。
あるとすれば、相手が離婚に同意していない時くらいです。
しかし、相手との連絡が取れない、話し合いに応じてくれないなど、取り決めに支障をきたす可能性があることは覚悟しておいた方がいいかもしれません。
それでは相手が話し合いや、裁判所への出頭を拒んだ時の対処方法を交えながら、これら手順と注意点を確認していきましょう。
①両者で養育費の支払い条件を話し合いで決める
この話し合いのポイントと注意点は離婚時と同じです。
下記2点に注意して、話し合いを進めてください。
- 取り決め事項の書面化
- 養育費の相場価格
また、相手が話し合いに応じないこともあるでしょう。
この時は次の手順となる、裁判所に養育費請求調停の申し立てをしてください。
相手の現住所さえ分かれば、家庭裁判所へ申し立てできます。
②養育費請求調停で取り決める
養育費請求調停では養育費の支払い条件について、裁判所を介した話し合いが行われます。
出席メンバーは離婚時と同じです。
成立時には調停書が作成されるので、公正証書の作成は必要ありません。
ここで不安に思われるのは、相手がこの調停に出席しなかった場合でしょう。
しかし、何の心配もいりません。
その場合は調停が自動的に不成立となり、次の審判に移ります。
申し立てに必要な書類や費用については、下記の弁護士HPを参照ください。
➂裁判所の審判や訴訟で取り決める
この審判の流れも離婚時と同じです。
養育費請求調停の成立には両者の合意が必要なため、相手が出頭しなければ調停は成立に至りません。
しかし、審判は裁判官が結論を下すので、相手が出頭していなくても養育費の取り決めについて結論が下されます。
ですが、ここで気になるのが養育費の額面ですよね。
相手が連悪に応じない、出頭しないでは、収入の状況も知ることはできません。
ですが、安心してください。
その場合には下記情報を元に推定収入を割り出す喜寿となる「賃金センサス」から、養育費算定表に基づいて養育費が決定されます。
- 学歴
- 職歴
- 年齢
相手がいなくても養育費の取り決めはちゃんと成立するので、心配しないようにしてください。
離婚後に養育費を請求する方法については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
ここでの解説は「離婚時の取り決め方法」と同じ部分を端折っています。
そのため「離婚時の取り決め方法」を飛ばして、直接この「離婚後の取り決め方法」を見た人は、こちらの記事の方が分かりやすいかもしれません。
分かりにくかったという人は、こちらの記事を覗いてみてください。
20歳までに受け取れる養育費の平均額
厚生労働省が公表した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告書」によると、ひとり親世帯が受け取っている平均養育費は下記の通りです。
- 母子世帯:43,707円/月
- 父子世帯:32,550円/月
よって、母子世帯が受け取れる養育費の平均受給総額は下記の様になります。
受給年数 | 受給総額 |
20年 | 10,489,680円 |
15年 | 7,867,260円 |
10年 | 5,244,840円 |
5年 | 2,622,420円 |
受け取る期間が長い方が、確実に受給総額は多くなるので、養育費の取り決めをしていない人は、至急手続きをするべきでしょう。
ですが、これはあくまでも母子世帯の平均です。
請求できる養育費は下記条件によって異なるため、人によって受給総額は違ってきます。
- 夫婦それぞれの年収
- 子供の人数
- 子供の年齢
よって、離婚後に請求できる養育費をできるだけ正確に知りたいなら、この受給総額は当てになりません。
ですが安心してください。
あなたの条件にあった養育費相場をシミュレーションすれば、実際に請求できる養育費月額とほぼ同額の相場を確認できます。
養育費請求を検討している人は、まずどれくらいの養育費が請求できるのかを把握しておくに越したことはありません。
下記の記事ではこの3条件に照らし合わせて、状況別に養育費相場をシミュレーションしています。
計算することなく一目で別額が確認できるので、請求できる養育費相場を知りたい人は、ぜひ目を通して確認してみましょう。
養育費の支払い期間は延長できる!
養育費の支払い期間は延長できる可能性があります。
その理由は先に話した通りです。
養育費の取り決めで、大学進学等による養育費支払い期間延長の特記事項がなくても、後から話し合うことはできるので安心してください。
しかし、その裁決を裁判所に委ねた場合、その結果は是非はどうなるか分かりません。
申立人と養育費の支払い義務者の収入や学歴などの各条件が考慮されるので、その結果は人によって異なります。
話し合いで相手が合意すれば問題ありませんが、裁判所が介入した場合は支払い期間延長の請求可否は断言できません。
この点はよく理解しておいてください。
養育費の支払い期間延長の是非については、支払い額の増額の可否と併せて、下記の記事で詳しく解説しています。
裁判所の判例も紹介しているので、ぜひ目を通してあなたの請求可否を予測してみましょう。
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子供が18歳で就職した!この場合の養育費支払い義務の行方は?
何度も話したように、養育費の支払い期間は延長・短縮できる可能性があります。
ここまでは延長できる可能性に焦点を縛っていましたが、ここでは短縮の可能性について検証します。
養育費の支払い期間を短縮できる可能性があるケースは下記の2つです。
- 子供が20歳未満で就職した
- 子供が20歳未満で結婚した
養育費は子供が経済的・社会的に自立できていない未成熟子に対して支払われるものです。
その点において、この2つのケースは経済的・社会的に十分自立していると考えられます。
そのため、元夫から養育費の支払い期間短縮を求められることもあるでしょう。
この場合、元両親と子供の3者が合意すれば、その時点で養育費の支払い期間を短縮することは可能です。
それでは、これらケースで支払い期間の短縮を求める際の、注意点を確認していくことにしましょう。
子供の同意を忘れずに!
まず注意して欲しいのは、子供の同意です。
子供が幼年であれば母親が権利者として、養育費を請求する代理人となります。
しかし、18歳を過ぎれば、子供が自分で十分判断できる年齢です。
そのため、養育費の支払い期間を短縮するなら、子供の同意は得るようにしてください。
そもそも、養育費の受け取る権利は母親のものではなく、子供のものです。
支払い期間の短縮を求めるならば、子供の合意が必要なのはご理解いただけるでしょう。
仮に子供の同意を得ずに、養育費支払を停止したとしましょう。
この場合、子供から養育費の支払いを求められれば、養育費の支払いを再開し、停止間の養育費支払いが求められる可能性があります。
相手がそれに合意しなければ、裁判所への養育費請求調停の申し立てがされ、面倒な話に発展する可能性もあるのです。
これは元夫と子供との親子関係を複雑にする可能性も出てきます。
そうならないためにも、話し合いで養育費の支払い期間短縮を決める際は、子供を交えて話し合うようにしてください。
相手が裁判所へ支払い期間短縮の請求調停を申し立てる可能性も!
話し合いで決着が付かない場合、元夫が支払い期間短縮を求めて、裁判所へ請求調停を申し立てる可能性もあります。
結果はどうなるか分かりませんが、認められる可能性は十分あります。
子供が養育費の支給継続を望んでいる場合は、その可能性があることをよく説明しておいてください。
お互いが再婚した時の養育費への影響
離婚後の養育費の処遇で考えておかなければならないのが、お互いの再婚が養育費に与える影響です。
これはどちらが再婚したとしても、養育費が減額される可能性が高くなります。
あなたが再婚し、再婚相手が子供と養子縁組すれば、養育費の支払いが免除となる可能性も出てくるのです。
よって、あなただけでなく、元夫の再婚は大なり小なり、養育費に影響を及ぼします。
どのくらいの影響を及ぼすのかは、お互いの再婚時の条件によって異なります。
離婚後の再婚は、お互い十分にあり得ることです。
そのため、その再婚が養育費へどう影響を及ぼすのかは、事前によく理解しておく必要があるでしょう。
この問題に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
再婚後に養育費がどれくらい減額されるかの計算方法も紹介しているので、実際に再婚に直面している人は計算してみることをおすすめします。
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まとめ
今回は養育費は何歳まで受け取れるのかについて解説しました。
養育費の支払い期間は原則20歳までとするのが一般的です。
しかし、この支払い期間は延長・短縮することができ、両者の話し合いもしくは裁判所の裁決でその可否が決定されます。
ですが両者の話し合いで合意に至らなければ、この請求可否はどうなるか分かりません。
ですがその可能性は十分期待できます。
今回話した取り決め方法や注意点を参考にして、まずは話し合いに臨んでみるようにしてください。
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