日本の養育費受給率は20%にも達していません。
母子世帯の相対的貧困率が50%を超えているのも、養育費受給率の低さが影響してのことでしょう。
しかし、これは支払わない親にだけ問題があるわけではありません。
なんと、養育費の取り決め率は46%と50%にも達していないのです。
養育費の取り決めをしていないのですから、養育費が支払われるわけありませんよね。
日本の養育費受給率が低いのも仕方のないことでしょう。
ですが今は国が養育費の取り決め義務化を検討しているとの情報もあります。
今後の展開には期待したいところです。
そこで今回は養育費の取り決め義務化、そして養育費の不払い問題解決に有効な情報を解説していきます。
養育費の取り決め義務化について
冒頭でも言ったように、日本の養育費受給率が低い原因の1つに、養育費の取り決め率の低さが挙げられます。
日本では養育費の取り決めは、原則、当人同士の問題だという考えがあるため、養育費の取り決めについて法的規制は何らありません。
この法的整備が行われていないことが、養育費の取り決め率を低くしている理由の1つと言っても過言ではないことでしょう。
裁判所を介した離婚の場合、養育費の取り決めは必ず行われますが、日本における協議離婚率は80%を超えており、確実に取り決めをしているのは20%ほどしかいません。
協議離婚者の間で、養育費の取り決めをしている人が、いかに少ないかがお分かりいただけるでしょう。
しかし、養育費の取り決め率の低さは改善されつつあります。
2020年12月現在、国が離婚時の養育費取り決めを義務化する方向に動いているからです。
共同養育支援議員連盟が森法相に養育費取り決めの義務化を提言!
離婚後も両親が共同して子供を養育する支援拡充を目指している、超党派の議員連盟「共同養育支援議員連盟」が、2020年6月に森雅子法相との面会で下記の原則義務化を求める提言書を提出しました。
- 養育費の支払い
- 親子の交流継続
併せて橋本聖子男女共同参画担当相にも、同様の提言書を提出したとのことです。
これは法改正が必要な事案であるため、早急に対応されるとは考えられませんが、実現すれば養育費日受給率は劇的に改善される可能性を秘めています。
2020年12月現在も、正確な進捗情報は公表されていないため、実現するにしても来年以降という話になるでしょう。
しかし、2020年に入って国が養育費の不払い問題を重く見て、問題解決のために法改正に着手しているという情報も流れています。
となれば、養育費の取り決め義務化も、現実味を帯びた話です。
今後の展開しだいというところですが、養育費受給率の改善のためにも、養育費の取り決め義務化には期待したいところですね。
養育費の取り決め義務化はまだだが、法改正で養育費回収は以前より断然簡単になった!
2020年4月に改正民事執行法が施行されました。
この法改正によって、不払いの養育費を回収できる可能性はグンと上がったのです。
不払いの養育費を回収する手段となれば、強制執行による差し押さえが挙げられます。
相手に差し押さえる財産がありさえすれば、この方法を取れば確実に不払い分を回収することが可能です。
しかし、差し押さえという方法は、誰でも利用できるわけではありません。
下記3つの申立要件を満たした人でなければ、申し立てすることができないのです。
- 債権名義を取得している
- 相手の現住所を把握している
- 差し押さえる財産情報を把握している
この申立要件を満たせずに、差し押さえの申し立てを断念するしかなかったシングルマザーは少なくなかったのです。
しかし、この問題は2020年4月に施行された改正民事執行法で、大幅に改善されました。
以前なら断念するしかなかったケースでも、申立要件を満たして差し押さえしやすくなったなったのです。
改正民事執行法で注目すべきは3つの変更・追加ポイント!
改正民事執行法で注目して欲しいのは、下記3つの変更・追加ポイントです。
- 財産開示手続の利用者枠が拡大された(変更点)
- 財産開示手続時の出頭拒否や虚偽申告に刑事罰が科されるようになった(変更点)
- 第三者からの情報取得手続きができるようになった(追加点)
これら3つが変更・追加されたことで、差し押さえの申立要件が満たしやすくなったのです。
申立要件を満たしていないなら、この3つの変更・追加ポイントは、あなたの大きな味方になってくれるでしょう。
これら3つの変更・追加ポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
あなたが申立要件を満たしていないのなら、この記事を覗いてその方法を入手するようにしてください。
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養育費の不払い者に対する罰則や刑事罰はあるのか
「養育費を支払わない元夫を罰してやりたい!」
こんな風に考えているシングルマザーは多いことでしょう。
ですが残念ながら、2020年12月の段階では、養育費の不払い者をとがめる罰則や刑事罰は存在しません。
仮に養育費を踏み倒して逃げたとしても、あなたの元夫は罰にとがめられることはないのです。
先にも話したように、2020年に入って国は養育費の不払い問題解決に向け、法改正に取り組んでいます。
よって、近い将来、養育費の不払い者を罰することができる時代がやってくるかもしれません。
そんな時代になれば、養育費の不払い問題も大きく改善されるでしょう。
これについては、下記の記事で詳しい情報を公開しています。
詳しい情報を知りたい人は、是非この記事を覗いて必要な情報を入力してください。
国に不払いの養育費を立て替える制度はあるの
あなたもここまでの話で、日本では不払いの養育費問題を解決する法整備が整っていないと感じたかもしれません。
事実、日本は諸外国と比べ、養育費の不払い問題解決には前向きではありません。
現状の日本は、養育費問題は当事者で解決してくださいというスタンスです。
そのため、スウェーデンが導入している、不払い養育費の立て替え払いのような制度も導入されていません。
現在、「養育費立て替え制度」を導入する自治体が増えてきていますが、今のところ国に同様の対応を求めることは不可能です。
現在進められている養育費の不払い問題解決のための法改正に期待したいところですが、今は自分でどうにかするしか方法はありません。
この問題については、下記の記事で詳しく解説しています。
諸外国で導入されている制度も紹介しています。
これら制度を参考に法改正の懸案に入っているとの噂もあるので、諸外国でどんな制度が導入されているのかを確認してみるといいでしょう。
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【要注意】不払いの養育費にも時効があります!
養育費が不払いになった時、一番注意して欲しいのが時効です。
不払いの養育費にも時効があります。
時効期間は原則5年、下記条件に該当する場合のみ10年です。
- 養育費の取り決めを養育費請求調停で決めた(もしくは離婚調停)
- 養育費の取り決めを養育費請求審判で決めた(もしくは離婚審判)
時効を迎えれば、不払い分の養育費の支払いが、法的に免除されます。
あなたが請求しても、相手がNOと拒めば不払い分の養育費は回収できないのです。
そうならないためにも、養育費の時効についてはしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
時効は基礎知識さえ知っておけば怖くない!
しかし、時効はそれほど心配する問題ではありません。
基礎知識さえ理解しておけば、時効は回避できますし、時効を迎えた養育費を回収することだって不可能ではないからです。
養育費の時効については、下記の記事で詳しく解説しています。
時効についての基礎知識は、養育費を受け取っている人ならばもっとおくべきことです。
しっかりと目を通して、理解するようにしてください。
養育費の未払い防止策には養育費保証サービスがおすすめ!
養育費の未払い防止策として、最近注目を集めているのが養育費保証サービスです。
養育費保証サービスは民間保証会社が提供しているサービスの1つで、保証料を支払うことで不払い時の養育費を保証してくれます。
2020年6月にZOZO創業者である前澤氏が事業参入したことで、さらに注目度がアップしました。
あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか。
保証料を支払う必要はありますが、確実に養育費の未払いを回避することができます。
この点において、養育費保証サービスは利用価値の高いサービスと言えるでしょう。
しかし、申込条件や保証内容は、提供する保証会社によって異なります。
まずはあなたが申込条件をクリアしていることが前提になるでしょう。
その上で、できるだけ保証内容のいいところを選ぶようにしてください。
民間保証会社が提供している、この養育費保証サービスについては、下記の記事で詳しく解説しています。
養育費保証サービスは間違いなく有益なサービスです。
この記事を覗いて、利用を検討してみることをおすすめします。
まとめ
今回は養育費の取り決め義務化について、そして養育費の不払い問題解決に有効な情報を解説しました。
現在、養育費の取り決めは義務化されていませんが、近い将来、義務化される可能性はあります。
そうなれば、日本の養育費受給率は大きく改善されることになるでしょう。
また、養育費の不払い者に対する罰則にも期待したいところです。
どう転ぶかは国の判断次第ですが、実際に法改正が実施されれば母子世帯の相対的貧困率も改善され、安心して生活できるシングルマザーも増えることでしょう。
近い将来、そんな時代が訪れることに期待したいところですね。
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